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元スレ勇者「俺は勇者様の影武者ですから」

みんなの評価 : ★★
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真勇者「……なんだ?」
勇者「俺は影武者としてあなたの家に拾われて以来」
勇者「ずっと、あなたになり代わりたい、本物になりたいと願っていました」
勇者「さっき僧侶がいったとおり、なりすます自信もあった」
勇者「あなたの命を奪いたいと思ったことも、一度や二度ではありません」
真勇者「なら、いいじゃねえか。ここで俺が死ねばお前の夢は叶う」
勇者「しかし」
勇者「あなたが密かに俺と同じ箇所に自ら傷をつけていると悟った時」
勇者「俺は自分を恥じました」
勇者「俺は自分が逆の立場だったら、果たして同じことができただろうか、と」
勇者「俺は影武者としてあなたの家に拾われて以来」
勇者「ずっと、あなたになり代わりたい、本物になりたいと願っていました」
勇者「さっき僧侶がいったとおり、なりすます自信もあった」
勇者「あなたの命を奪いたいと思ったことも、一度や二度ではありません」
真勇者「なら、いいじゃねえか。ここで俺が死ねばお前の夢は叶う」
勇者「しかし」
勇者「あなたが密かに俺と同じ箇所に自ら傷をつけていると悟った時」
勇者「俺は自分を恥じました」
勇者「俺は自分が逆の立場だったら、果たして同じことができただろうか、と」
勇者「そしてなにより──あなたと痛みを共有してるということが本当に嬉しかった」
勇者「だから俺はあなたの自傷行為に気づいていながら……」
勇者「魔王軍との戦いを正確に報告してきました」
勇者「俺は無傷だと報告すれば、あなたは自分を傷つけずに済むと知りながら……!」
勇者「俺は最低の人間です」
勇者「申し訳ありません……!」バッ
真勇者「ふっ、謝るなよ……」
真勇者「むしろ、お前の痛みを少しはまともに分かち合えてたって分かって」
真勇者「俺は嬉しい……」
勇者「だから俺はあなたの自傷行為に気づいていながら……」
勇者「魔王軍との戦いを正確に報告してきました」
勇者「俺は無傷だと報告すれば、あなたは自分を傷つけずに済むと知りながら……!」
勇者「俺は最低の人間です」
勇者「申し訳ありません……!」バッ
真勇者「ふっ、謝るなよ……」
真勇者「むしろ、お前の痛みを少しはまともに分かち合えてたって分かって」
真勇者「俺は嬉しい……」
勇者「そして俺は決意しました」
勇者「俺はこの方の影として戦うと、この方の影として魔王を倒すと」
勇者「この方の影として死ぬと……!」
勇者「俺が人々や仲間たちに勇気を与えたというのなら」
勇者「俺に勇気を与えてくれたのは、他ならぬ勇者様、あなたです!」
勇者「俺が勇者だというのなら、あなたもまた紛れもなく勇者なのです!」
勇者「俺は勇者であるあなたの影でいられたことを、心から誇りに思っています!」
真勇者「バカいえ……俺は勇者なんかじゃ……」
真勇者「…………」
真勇者「ありがとう……」
戦士(なるほどな……)
魔法使い(勇者さんの忠誠心の源がどこにあったのか──)
僧侶(ようやく理解できたような気がします……)
勇者「俺はこの方の影として戦うと、この方の影として魔王を倒すと」
勇者「この方の影として死ぬと……!」
勇者「俺が人々や仲間たちに勇気を与えたというのなら」
勇者「俺に勇気を与えてくれたのは、他ならぬ勇者様、あなたです!」
勇者「俺が勇者だというのなら、あなたもまた紛れもなく勇者なのです!」
勇者「俺は勇者であるあなたの影でいられたことを、心から誇りに思っています!」
真勇者「バカいえ……俺は勇者なんかじゃ……」
真勇者「…………」
真勇者「ありがとう……」
戦士(なるほどな……)
魔法使い(勇者さんの忠誠心の源がどこにあったのか──)
僧侶(ようやく理解できたような気がします……)
勇者「だから──」チャッ
勇者「この命、勇者様に捧げます」ス…
勇者「用済みになった影は……もはやこの世に不要なのです」グッ…
首筋に剣を押し当てる勇者。
真勇者「バ、バカ! やめろ!」
真勇者「魔王を倒したお前が死んでどうすんだっ!」
勇者「僧侶、勇者様の傷……今からでも治せるものはあるはず」
勇者「どうか治してあげてくれ……」
僧侶「剣を降ろして下さい!」
戦士「やめてくれぇっ!」
魔法使い「ダメだっ!」
真勇者「死ぬなぁっ!!!」
───
──
─
勇者「この命、勇者様に捧げます」ス…
勇者「用済みになった影は……もはやこの世に不要なのです」グッ…
首筋に剣を押し当てる勇者。
真勇者「バ、バカ! やめろ!」
真勇者「魔王を倒したお前が死んでどうすんだっ!」
勇者「僧侶、勇者様の傷……今からでも治せるものはあるはず」
勇者「どうか治してあげてくれ……」
僧侶「剣を降ろして下さい!」
戦士「やめてくれぇっ!」
魔法使い「ダメだっ!」
真勇者「死ぬなぁっ!!!」
───
──
─
<勇者一族の屋敷>
当主「おおよくぞ戻った、私の可愛い息子よ!」
当主「魔王討伐の件はすでに私の耳にも入っておる」
当主「……ところで、影武者はちゃんと始末しただろうな?」
真勇者「はい、この棺桶の中に入っております……父上」ガタン
当主「ふむふむ、お前とそっくりな人間の死体を見るのは心苦しいが」
当主「こうせねば、我が一族の名誉を守れんからな」
当主「これでお前は世界でただ一人の勇者というわけだ!」
真勇者「はい……」
当主「では約束通り、お前たち三人にも報酬を用意しよう」
戦士「ども……」
魔法使い「……ありがとうございます」
僧侶「これで……教会を立て直せます」
当主「おおよくぞ戻った、私の可愛い息子よ!」
当主「魔王討伐の件はすでに私の耳にも入っておる」
当主「……ところで、影武者はちゃんと始末しただろうな?」
真勇者「はい、この棺桶の中に入っております……父上」ガタン
当主「ふむふむ、お前とそっくりな人間の死体を見るのは心苦しいが」
当主「こうせねば、我が一族の名誉を守れんからな」
当主「これでお前は世界でただ一人の勇者というわけだ!」
真勇者「はい……」
当主「では約束通り、お前たち三人にも報酬を用意しよう」
戦士「ども……」
魔法使い「……ありがとうございます」
僧侶「これで……教会を立て直せます」
真勇者「ところで父上、影武者の死体はどうしましょう?」
当主「もうそいつは我が一族とはなんの関係もない人間だ」
当主「適当に始末しておけ」
真勇者「……分かりました」
真勇者「じゃあ僧侶、お前のところの墓地に埋葬を頼めるか?」
僧侶「はい、もちろんです」
僧侶「丁重に埋葬させていただきます」
僧侶「勇者様のご一族にとっては単なる影武者でも──」
僧侶「私たちにとっては、かけがえのない大切な仲間でしたから……」
当主「ふん」
当主「では私は忙しいのだ。報酬の件はまたあとで連絡をする」
ギィィ…… バタンッ
当主「もうそいつは我が一族とはなんの関係もない人間だ」
当主「適当に始末しておけ」
真勇者「……分かりました」
真勇者「じゃあ僧侶、お前のところの墓地に埋葬を頼めるか?」
僧侶「はい、もちろんです」
僧侶「丁重に埋葬させていただきます」
僧侶「勇者様のご一族にとっては単なる影武者でも──」
僧侶「私たちにとっては、かけがえのない大切な仲間でしたから……」
当主「ふん」
当主「では私は忙しいのだ。報酬の件はまたあとで連絡をする」
ギィィ…… バタンッ
<教会>
勇者の死体「…………」
真勇者「おい、もういいぞ」
ボワンッ!
オバケ「これで俺は自由の身なんですよね?」
戦士「おう、どこにでも行け。ただし悪さするんじゃねえぞ」
オバケ「もちろんですよ~」
オバケ「じゃ、サヨナラ~」ヒュルルルル…
真勇者「……ぷっ」
真勇者「ワハハハハハッ!」
戦士「ギャハハハハハッ!」
魔法使い「アハハハハハッ!」
僧侶「ふふふっ……」
勇者の死体「…………」
真勇者「おい、もういいぞ」
ボワンッ!
オバケ「これで俺は自由の身なんですよね?」
戦士「おう、どこにでも行け。ただし悪さするんじゃねえぞ」
オバケ「もちろんですよ~」
オバケ「じゃ、サヨナラ~」ヒュルルルル…
真勇者「……ぷっ」
真勇者「ワハハハハハッ!」
戦士「ギャハハハハハッ!」
魔法使い「アハハハハハッ!」
僧侶「ふふふっ……」
魔法使い「それにしても、よくあの場面で思いつきましたね」
魔法使い「旅の途中で戦った、ボクらに化けるオバケを捕まえて利用するなんて……」
真勇者「俺はお前たちの戦いをアイツからよく聞いてたからな」
真勇者「ただの死んだフリじゃ絶対バレるが」
真勇者「オバケなら死んだフリもお手のものだったしな」
真勇者「ただ、親父が“ウチで丁重で埋葬する”なんていいだしたら危なかったが」
真勇者「あの親父がそんなこというはずないってのも分かってたしな」
真勇者「……しかし、ホントうっかりしてたな」
真勇者「もっと早くこれを思いついてりゃ」
真勇者「どっちが本物だの、どっちが死ぬだの、大騒ぎしなくてよかったんだがな」
僧侶「ふふっ、仕方ありませんよ」
僧侶「命の二択という極限状況が、この閃きを生んだんでしょうから」
魔法使い「旅の途中で戦った、ボクらに化けるオバケを捕まえて利用するなんて……」
真勇者「俺はお前たちの戦いをアイツからよく聞いてたからな」
真勇者「ただの死んだフリじゃ絶対バレるが」
真勇者「オバケなら死んだフリもお手のものだったしな」
真勇者「ただ、親父が“ウチで丁重で埋葬する”なんていいだしたら危なかったが」
真勇者「あの親父がそんなこというはずないってのも分かってたしな」
真勇者「……しかし、ホントうっかりしてたな」
真勇者「もっと早くこれを思いついてりゃ」
真勇者「どっちが本物だの、どっちが死ぬだの、大騒ぎしなくてよかったんだがな」
僧侶「ふふっ、仕方ありませんよ」
僧侶「命の二択という極限状況が、この閃きを生んだんでしょうから」
オwwwwwwwwwばwwwwwwwwwwwwww毛wwwwwwwwwwwww
戦士「はぁ~……」
戦士「実際、オバケと戦った俺たちが思いつけねえとは情けねえ……!」
僧侶「まあまあ、いいじゃありませんか」
僧侶「おかげで二人の勇者様は、どちらも死なずに済んだのですから」
魔法使い「結果オーライだね」
ガサゴソ……
勇者「その様子だと、うまくいったみたいですね?」
真勇者「おう、まんまと出し抜いてやったよ」
ハッハッハッハッハ……!
戦士「実際、オバケと戦った俺たちが思いつけねえとは情けねえ……!」
僧侶「まあまあ、いいじゃありませんか」
僧侶「おかげで二人の勇者様は、どちらも死なずに済んだのですから」
魔法使い「結果オーライだね」
ガサゴソ……
勇者「その様子だと、うまくいったみたいですね?」
真勇者「おう、まんまと出し抜いてやったよ」
ハッハッハッハッハ……!
先読みしたら伏線回避するかと思ったけど
書き終えてたようだな、すまんかったw
書き終えてたようだな、すまんかったw
真勇者「さて、と」
真勇者「そろそろお別れだな」
戦士「俺は今回の報酬で、武器屋をなんとか立て直してやらぁ!」
魔法使い「ボクも、魔法塾を繁盛させてみせるよ!」
僧侶「私もこの教会を……人々からもっと愛されるようにいたします」
真勇者「魔王を倒したお前たちなら、きっとやれるさ」
真勇者「俺も誇りを失った一族を、なんとか変えてみせる!」
真勇者「……で、お前はどうするんだ?」
勇者「俺は旅に出ます」
勇者「いくらオバケを身代わりにしたといっても」
勇者「この国にいるのは、お互いのためによくありませんからね」
真勇者「……たしかにな」
真勇者「そろそろお別れだな」
戦士「俺は今回の報酬で、武器屋をなんとか立て直してやらぁ!」
魔法使い「ボクも、魔法塾を繁盛させてみせるよ!」
僧侶「私もこの教会を……人々からもっと愛されるようにいたします」
真勇者「魔王を倒したお前たちなら、きっとやれるさ」
真勇者「俺も誇りを失った一族を、なんとか変えてみせる!」
真勇者「……で、お前はどうするんだ?」
勇者「俺は旅に出ます」
勇者「いくらオバケを身代わりにしたといっても」
勇者「この国にいるのは、お互いのためによくありませんからね」
真勇者「……たしかにな」
真勇者「すまねえな、お前には世話になりっぱなしだ」
真勇者「本来なら、お前がこの国に残るべきだってのに……」
勇者「いえ、俺はこの手で魔王を倒せたというだけで十分満足していますし」
勇者「それにあの時、勇者様があのアイディアを思いついたから」
勇者「俺は今こうして生きているのです」
勇者「ならばこの生き永らえた命、引き続き人々のために使います」
勇者「なぜなら俺は──」
勇者「勇者様の影武者ですから!」
そして──
真勇者「本来なら、お前がこの国に残るべきだってのに……」
勇者「いえ、俺はこの手で魔王を倒せたというだけで十分満足していますし」
勇者「それにあの時、勇者様があのアイディアを思いついたから」
勇者「俺は今こうして生きているのです」
勇者「ならばこの生き永らえた命、引き続き人々のために使います」
勇者「なぜなら俺は──」
勇者「勇者様の影武者ですから!」
そして──
一年後──
<勇者一族の屋敷>
当主「なんだ!? この面白くない記事は!?」グシャッ
真勇者「どうしたんですか、父上」
当主「なんでも遠い異国の地で、お前にそっくりな男が」
当主「魔王軍残党を退治したり、盗賊団を壊滅させたりと大活躍し」
当主「人々から“影の勇者”などと呼ばれ、慕われているそうだ!」
当主「何者かは知らんが、我が一族でもないのに勇者の名を冠するとは不届きな輩だ!」
当主「いっそ制裁を──」
<勇者一族の屋敷>
当主「なんだ!? この面白くない記事は!?」グシャッ
真勇者「どうしたんですか、父上」
当主「なんでも遠い異国の地で、お前にそっくりな男が」
当主「魔王軍残党を退治したり、盗賊団を壊滅させたりと大活躍し」
当主「人々から“影の勇者”などと呼ばれ、慕われているそうだ!」
当主「何者かは知らんが、我が一族でもないのに勇者の名を冠するとは不届きな輩だ!」
当主「いっそ制裁を──」
真勇者「放っておきましょうよ」
真勇者「影の勇者、なんてなかなかシャレてるじゃありませんか」
真勇者「勇者の血を引く一族というのは、もっとドンと構えておくべきでしょう」
真勇者「ねぇ?」ニヤッ
当主「ぐっ……!」
当主(こいつめ、前までは私のいうことに従うことしかできなかったのに)
当主(魔王討伐の旅を終えてから急激に、私以上の威厳を身につけおった……!)
真勇者「それに俺は──」
真勇者「勇者が二人いるってのも、なかなかオツなものだと思いますよ」
<おわり>
真勇者「影の勇者、なんてなかなかシャレてるじゃありませんか」
真勇者「勇者の血を引く一族というのは、もっとドンと構えておくべきでしょう」
真勇者「ねぇ?」ニヤッ
当主「ぐっ……!」
当主(こいつめ、前までは私のいうことに従うことしかできなかったのに)
当主(魔王討伐の旅を終えてから急激に、私以上の威厳を身につけおった……!)
真勇者「それに俺は──」
真勇者「勇者が二人いるってのも、なかなかオツなものだと思いますよ」
<おわり>
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