元スレ剣士「勇者を決めるトーナメントだと……?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
151 :
おそ
152 :
がんばれ
153 :
しーえーん
154 :
これは落とさずに完結させないと
155 :
しかし──
実況『魔法剣士、押してはいるものの、なかなか剣士を攻め切れません!』
魔法剣士(なぜだ……なぜ圧倒している俺が焦らねばならない)
キィンッ!
実況『徐々に──』
ガキンッ!
実況『剣士の──』
キィンッ!
実況『ペースになってる!?』
魔法剣士(なぜだっ!)
女剣士(剣士のもっとも恐ろしいのは、あの愚直なまでに基本に忠実な動きよ)
女剣士(派手さも一発もないけど……安定感は抜群)
女剣士(もし彼が、どこか能力が勝ってるくらいで押し勝てるようなら)
女剣士(怪力剣士か私が、すでに負かしているでしょうね)
156 = 155 :
ザシュッ!
魔法剣士「うぐぅっ!」
剣士(やはりそうだ!)
剣士(速くなっても、力強さが増しても、動きは同じ!)
剣士(無理に速さや力に対抗しようとしなければ、対処できる!)
魔法剣士「なぜだぁっ!!!」
キィンッ!
剣士「!」バッ
魔法剣士「剣のみに生きていたような輩に、この俺が……!」
剣士「剣だけの俺より、剣と魔法を扱えるアンタの方が上ってことか?」
魔法剣士「そうではない」
157 :
しえ
老剣士は死んだのだろうか
158 = 155 :
魔法剣士「俺は最初に剣術を志した」
魔法剣士「しかし、才能の壁にブチ当たり……挫折した」
魔法剣士「次に俺は魔法使いを目指した」
魔法剣士「だがやはりぶ厚い壁があった。俺の呪文レベルはせいぜい中級だ」
魔法剣士「俺は剣でも魔法でも……一流にはなれないと悟った」
魔法剣士「だが運命は俺を見捨てなかった」
魔法剣士「俺は……剣と魔法を組み合わせる戦うことに関しては、才能があった」
魔法剣士「二度の挫折を経て、俺はようやく自分の道を見つけることができた」
魔法剣士「それに引き換え、キサマらは順調に剣の才に恵まれたものばかり」
魔法剣士「準決勝の老いぼれに至っては、剣と武器職人の才能を持っていた」
魔法剣士「挫折を知らぬ……軽薄な力だ!」
魔法剣士「俺の力は、キサマらとは重みが違うのだ!」
剣士「…………」
159 = 152 :
もっとがんばれ
160 = 157 :
しえしえ
161 = 155 :
魔法剣士「味わえ」
魔法剣士「──我が魔法剣をっ!」
パアァァァ……
魔法剣士は持てる魔力を全て、自らの剣に叩き込んだ。
魔法剣士「魔力で剣は切れ味を増す」
魔法剣士「しかももう呪文を唱える必要もない」
魔法剣士「剣を振るうだけで、魔法が放たれるからな」
魔法剣士「これが俺が達した剣と魔法の究極戦術、魔法剣だっ!」ブオンッ
ゴォワァッ! パキィンッ! ピシャァン!
実況『炎魔法! 氷魔法! 雷魔法!』
実況『す、すごいっ! 本当に剣を振るだけで、次々と魔法が飛んでいく!』
友人「なんだよそれ……呪文唱えなくていいとか、は、反則だろ……!」
あらゆる属性の魔法が、剣士に次々襲いかかる。
ボゥワァッ! ピシャァン! ザシュゥッ!
剣士「ぐっ!」ダダッ
163 = 155 :
剣士(剣を見ていれば、魔法の軌道は読める!)
剣士(かわしながら──接近戦に持ち込めば!)ダダダッ
魔法剣士「話を聞いてなかったのか?」
魔法剣士「剣は切れ味を増した、と」
魔法剣士「雑魚が」
パキィンッ!
実況『魔法剣士の剣によって、剣士の剣が真っ二つになったぁ!』
友人「剣士っ!」
剣士(たとえ剣が折れても、俺にはこれしかできない!)
実況『剣士、まだ心は折れていないっ! 基本通りの動きで、魔法剣士に迫るっ!』
魔法剣士「な……っ!」
164 = 155 :
剣士(いつものように、剣を構えて──)
魔法剣士(剣で受けるか!?)
魔法剣士(いや呪文で迎撃するか!?)
魔法剣士(一度間合いを開けるか!?)
剣士(斬る!)
ザグゥッ!
剣士の折れた剣が、魔法剣士の胸を切り裂いた。
魔法剣士「あ、ぐぅ……っ!」
魔法剣士(な、なぜ、だ……)
魔法剣士(なぜ……コイツは──)ブシュウ…
ドザァッ!
実況『血しぶきを上げ、魔法剣士がついに崩れ落ちたっ!』
審判「それまでぇっ!」
165 :
アバン長いな
167 :
こっから勇者としての旅が始まるんだよな?
168 :
前置きがクライマックス
169 = 155 :
ワアァァァァァ……!
実況『ついに決まったぁっ!』
実況『勇者決定トーナメント優勝、すなわち勇者の称号を獲得したのは』
実況『──剣士だぁっ!!!』
ワアァァァァァ……!
友人「や、やりやがった……! やりやがった、すげぇ!」
女剣士「おめでとう……かっこよかったわよ」
怪力剣士「ぐははっ、さすが俺様をブッ倒しただけのことはあるぜ」
盾剣士「これほど自分に迷いがない剣士は、見たことがないな」
二刀剣士「……俺も一から出直し、だな」
170 = 155 :
魔法剣士「ひ、ひと、つ……聞かせろ……」
剣士「なんだ?」
魔法剣士「なぜお前の剣は乱れない……?」
魔法剣士「見慣れぬ戦法を見たら……普通の人間は動きにブレが出るはずだ」
魔法剣士「少なくとも、俺の魔法剣は……初見のハズだ」
剣士「…………」
剣士「剣の使い手なら、だれだって最初に“基本の型”を習う」
剣士「習得に三ヶ月要するというが、アンタはどれだけかかった?」
魔法剣士「…………」
魔法剣士「お、俺は……半年以上かかった……」
魔法剣士「才能が、なかったからな……」
171 :
はいはい支援支援
173 = 155 :
剣士「俺は……五年かかった」
魔法剣士「!?」
剣士「基本にそれだけ費やしたら──」
剣士「もう独自のスタイルを追求するとか、必殺技を身につけるとか」
剣士「アンタみたいに魔法や他の武器に手を出す気力もなかった」
剣士「引き返せなかった」
剣士「だから……基本の型だけを徹底的に鍛え抜いた」
剣士「動きがブレに出ないのは当たり前だ」
剣士「それしか……できないんだから」
魔法剣士「なるほ、ど……」
魔法剣士「まさか俺以上に才能のないヤツが、出場してたとはな……」
魔法剣士「くくくっ……誤算、だった……」
魔法剣士「くぅっ……」グスッ
174 = 155 :
<トーナメント表>
┏━ 剣士
┏━┫
┃ └─ 怪力剣士
┏━┫
┃ │ ┏━ 女剣士
┃ └━┫
┃ └─ 神聖剣士
━┫
│ ┌─ 二刀剣士
│ ┏━┫
│ ┃ ┗━ 魔法剣士
└━┫
│ ┏━ 老剣士
└━┫
└─ 盾剣士
175 :
魔王が一番弱い奴を優勝させる為に工作した模様
176 = 157 :
神聖剣士……
178 = 155 :
表彰式──
国王「おっほん」
国王「剣士君、おめでとう!」
国王「強さはもちろん、戦いぶりもみごとなものであった!」
国王「君はまさしく、勇者の名に相応しい剣士だ!」
国王「ではさっそく、称号を──」
剣士「お待ち下さい、国王様」
国王「ん、どうしたのかね?」
剣士「今回の大会で、俺はさまざまな剣の使い手と出会いました」
剣士「特にトーナメントに出そろった選手は、みな実力伯仲」
剣士「組み合わせや試合の流れ、ちょっとした時の運次第で」
剣士「8名のうち……だれがここに立っていても、おかしくはありませんでした」
179 :
魔王=王
180 :
ナルトvsネジ思い出した
181 = 155 :
剣士「それに……勇者は人間の勇気の象徴」
剣士「その称号をたった一人だけに与えて」
剣士「もしその一人が倒されたら人間側のダメージははかり知れません」
剣士「たまたま優勝したとはいえ、俺には荷が重すぎます」
剣士「ならばいっそ、複数の勇者がいたっていい」
剣士「少なくともトーナメントの出場者には、勇者を名乗れる実力があるはず」
剣士「ですから国王様、今回俺に与えられるはずの数々の特権──」
剣士「8等分していただくことはできませんか?」
剣士「もちろん彼らの同意があれば、ですが」
国王「ほほう……なかなか面白いことを考える」
国王「たしかにそうだ」
国王「勇者とは人類の心のよりどころ」
国王「それをたった一人に担わせては、諸刃の剣になりかねんな」
182 = 155 :
国王「──よろしい!」
国王「ならば今日この場で、『勇者部隊』の設立を宣言する!」
国王「メンバーはトーナメントに参加した8名!」
国王「リーダーはもちろん……剣士、おぬしだ!」
剣士「ありがとうございます……!」
ワアァァァァァ……!
友人「あ~あ、もったいねぇ」
友人「でも……お前みたいなヤツを友人に持てて誇りに思うよ」
友人「おめでとう……!」
会場の盛り上がりが最高潮に達した──
その時だった。
『フハハハハハハッ!!!』
185 = 152 :
どうした
186 :
俺「始まった…か…」
188 = 155 :
剣士「な、なんだ!?」
国王「この声は!?」
ザワザワ…… ドヨドヨ……
突如、会場中に巨大な声が降ってきた。
魔王『ワシは魔王だ!』
魔王『まずは人間どもよ、なかなか面白い見世物だった! 礼をいうぞ!』
魔王『そして勇者部隊ときたか……面白い! 実に面白いぞ!』
魔王『ワシが求めるのは、人間どもの豊かな大地と──血湧き肉躍る戦い!』
魔王『かつてワシを打ち破った勇者との戦いのような、死闘を欲しておる!』
魔王『我が軍はまもなく進撃を開始する』
魔王『七人の勇者たちよ、全力でワシらを迎え撃つがよい!』
魔王『期待しているぞ、フハハハハハハハ……!』
189 = 157 :
七人って老剣士が死んだのか、神聖剣士が除外されたのか
190 :
魔王が男だとは一言も言っていない
つまり
191 :
後の七英雄である
192 = 180 :
人間の歴史に疎い観客Cが魔王
193 = 155 :
国王「魔王め……まさか大会を見ていたとは……!」
剣士「……そのようですね」
国王「おのれ、いったいどこから……」
剣士「おそらく千里眼のような能力があるのでしょう」
剣士「あるいはこの会場内のどこかに、魔王に映像を送る使い魔がいたのかもしれません」
国王「ふぅむ……。やはり魔王とは、我々の想像以上に恐ろしい敵のようだな」
剣士「はい」
剣士「しかし、魔王の野望は、この国の剣士たちが必ず阻止します!」
194 = 155 :
そして──
女剣士「おめでとう、勇者! ──って、私も勇者になっちゃったのよね」
女剣士「なんか変な気分だわ」
剣士「今日の敵は明日からは友だ。よろしく頼む」
女剣士「うん」
剣士「ところで、さっきの試合での約束、覚えているか?」
女剣士「ん、ああ……なんで一回戦であんな戦法を取ったか? だっけ」
女剣士「いいわよ、教えてあげる」
女剣士「聞かなきゃよかった、とかいわないでよね」
195 = 157 :
そういえばそんな伏線があったな
196 = 155 :
女剣士「……あの神聖剣士に、私は絶対勝てないと分かったからよ」
剣士「なんだって……!?」
女剣士「もし1パーセントでも勝てる望みがある相手なら」
女剣士「私だってあんな恥知らずなマネせず、正々堂々戦うわ」
女剣士「最初に剣をぶつけ合った瞬間、分かったわ」
女剣士「私の力じゃ、どうあがいても勝てない、殺されるって──」
女剣士「それと同時に剣を通じて、神聖とは名ばかりの邪悪な力も感じ取れたわ」
女剣士「もし本当に神に仕える剣士なら、色仕掛けなんか通じるわけないけど」
女剣士「そうでないのなら……通じるかも、と思ってやってみたら勝っちゃった」
女剣士「もっとも、あのまま戦ってたら私はまず負けてたわ」
女剣士「審判がいる“試合”だから勝てたのよ」
女剣士「私を負かしたあなたに“あなたより神聖剣士の方が強い”なんていえるワケない」
女剣士「だから……もしあなたが優勝したら話そう、と思ったの」
剣士「そういえば、無傷にもかかわらず姿が見えないが、彼はいったい──」
女剣士「もしかしたら、魔族のスパイだったのかもしれないわね……」
197 :
わろた
198 = 190 :
なんてこったい!
199 = 157 :
まさかのアイツがスパイかよ
200 = 171 :
真性さんが魔王か
みんなの評価 : ★
類似してるかもしれないスレッド
- 岡部「アキバにストリーキングだと?」 (657) - [48%] - 2011/10/23 7:15 ★
- 岡部「アキバにストリーキングだと?」 (229) - [48%] - 2011/10/21 19:30 ★
- 春香「お笑いバトル・ロワイアル……?」 (765) - [48%] - 2012/9/20 10:15 ★★
- 勇者「僕がサトラレだって……?」 (139) - [47%] - 2013/2/10 20:30 ☆
- 千早「プロデューサーにストーカーが……!?」 (215) - [47%] - 2012/12/3 5:15 ★★★×4
- 真姫「『ラブライブ!なぞなぞ』……?」 (176) - [46%] - 2014/2/16 13:30 ☆
- 夏海「兄ちゃん、ポケモンバトルしよう!」 (132) - [46%] - 2013/11/21 11:15 ☆
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について