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元スレ剣士「勇者を決めるトーナメントだと……?」
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<町>
友人「なあ」
剣士「なんだ?」
友人「ついこの間、大昔に勇者が倒したっていう魔王が復活しただろ」
剣士「ああ、今はまだ目立った活動をしていないが」
剣士「いつ本格的な侵攻に出るか分からない」
剣士「もちろん、俺も勇者を見習って魔王討伐に挑むつもりだ」
友人「さすがだな」
友人「──で、さっき向こうでお触れが出てたんだけどさ」
剣士「お触れ?」
友人「なんでも一週間後に、国中の剣の使い手を集めて」
友人「城下町で勇者を決めるトーナメント大会を開くらしい」
剣士「勇者を決めるトーナメントだと……?」
友人「なあ」
剣士「なんだ?」
友人「ついこの間、大昔に勇者が倒したっていう魔王が復活しただろ」
剣士「ああ、今はまだ目立った活動をしていないが」
剣士「いつ本格的な侵攻に出るか分からない」
剣士「もちろん、俺も勇者を見習って魔王討伐に挑むつもりだ」
友人「さすがだな」
友人「──で、さっき向こうでお触れが出てたんだけどさ」
剣士「お触れ?」
友人「なんでも一週間後に、国中の剣の使い手を集めて」
友人「城下町で勇者を決めるトーナメント大会を開くらしい」
剣士「勇者を決めるトーナメントだと……?」
友人「勇者になれるのは、もちろん優勝者ただ一人だ」
友人「もし勇者になれれば、莫大な報奨金が手に入るし、色んな特権もつく」
友人「んでもって、魔王討伐を国を挙げてバックアップしてもらえる」
友人「どうだ、お前もこの町じゃ敵無しだし、出場してみないか?」
剣士「そうだな……」
剣士(このまま一剣士として討伐の旅に出ても、予算も装備も厳しい……)
剣士(それに今の自分のレベルを知るいい機会だ)
剣士「──出てみるか!」
友人「おお、そうこなくっちゃ!」
友人「お前の腕なら、かなりいいとこまで……いや優勝だって狙えるぜ!」
友人「もし勇者になれれば、莫大な報奨金が手に入るし、色んな特権もつく」
友人「んでもって、魔王討伐を国を挙げてバックアップしてもらえる」
友人「どうだ、お前もこの町じゃ敵無しだし、出場してみないか?」
剣士「そうだな……」
剣士(このまま一剣士として討伐の旅に出ても、予算も装備も厳しい……)
剣士(それに今の自分のレベルを知るいい機会だ)
剣士「──出てみるか!」
友人「おお、そうこなくっちゃ!」
友人「お前の腕なら、かなりいいとこまで……いや優勝だって狙えるぜ!」
<魔王城>
側近「魔王様、斥候から捨て置けない情報が届きました」
魔王「どうしたというのだ」
側近「どうやら人間たちの国々のうち、もっとも剣術の栄えた王国で──」
側近「近々勇者を決める大会が開かれるとのことです」
魔王「勇者を決める大会?」
魔王「ほほう……人間にしてはなかなか面白いことを考えるではないか」
側近「本来であれば妨害したいところですが、まだ我らも復活したばかり」
側近「力が戻り切っておりません」
側近「大会が終わったら、優勝者の情報だけでも掴むことにしましょう」
魔王「ふむ……」
側近「魔王様、斥候から捨て置けない情報が届きました」
魔王「どうしたというのだ」
側近「どうやら人間たちの国々のうち、もっとも剣術の栄えた王国で──」
側近「近々勇者を決める大会が開かれるとのことです」
魔王「勇者を決める大会?」
魔王「ほほう……人間にしてはなかなか面白いことを考えるではないか」
側近「本来であれば妨害したいところですが、まだ我らも復活したばかり」
側近「力が戻り切っておりません」
側近「大会が終わったら、優勝者の情報だけでも掴むことにしましょう」
魔王「ふむ……」
一週間後──
<城下町>
友人「どれどれ……」
友人「まずは兵士の訓練場で予選会を行い、8名の出場者を決定するんだってよ」
友人「で、その8名が大会会場で雌雄を決するってワケだ」
剣士「8名か……」
友人「じゃあ、俺は先に大会会場に向かってるから」
友人「お前と一緒に大会を観戦することがないよう、祈ってるぜ」
友人「──頑張れよ!」
剣士「ああ、ありがとう」
<城下町>
友人「どれどれ……」
友人「まずは兵士の訓練場で予選会を行い、8名の出場者を決定するんだってよ」
友人「で、その8名が大会会場で雌雄を決するってワケだ」
剣士「8名か……」
友人「じゃあ、俺は先に大会会場に向かってるから」
友人「お前と一緒に大会を観戦することがないよう、祈ってるぜ」
友人「──頑張れよ!」
剣士「ああ、ありがとう」
<訓練場>
兵士長「参加者諸君!」
兵士長「このたびは大勢の剣士に集まっていただき、まことに頼もしく思う」
兵士長「本来ならば全員に勇者の称号を授けたいところだが、そうもいかん」
兵士長「勇者になれるのは、この中でたった一人のみ!」
兵士長「これまでに培った剣技を、存分に振るってもらいたい!」
剣士(参加者はざっと100人ってところか)
剣士(中には記念で参加したような人間も見受けられるが)
剣士(尋常ならない気配をまとう者もちらほらいる)
剣士(ハイレベルな大会になりそうだな……)
兵士長「参加者諸君!」
兵士長「このたびは大勢の剣士に集まっていただき、まことに頼もしく思う」
兵士長「本来ならば全員に勇者の称号を授けたいところだが、そうもいかん」
兵士長「勇者になれるのは、この中でたった一人のみ!」
兵士長「これまでに培った剣技を、存分に振るってもらいたい!」
剣士(参加者はざっと100人ってところか)
剣士(中には記念で参加したような人間も見受けられるが)
剣士(尋常ならない気配をまとう者もちらほらいる)
剣士(ハイレベルな大会になりそうだな……)
兵士長「では予選のルールを説明しよう」
兵士長「予選は参加者を8つのグループに分け、バトルロイヤルを行う」
兵士長「その中で勝ち残った一名のみが、本戦に出場することができる」
兵士長「なお、予選は公平を期すため」
兵士長「全員の装備を統一する」
兵士長「鎧は我が軍の鎧、剣は訓練用の木剣を使用してもらう」
剣士(この大会、本戦は持参した装備を使っていいとのことだったが)
剣士(ここで装備品頼りの輩はふるい落とされるというワケか)
剣士(それに装備が同じなら、手の内がバレることもない)
剣士(──といっても、俺にはあんまり関係ないか)
兵士長「予選は参加者を8つのグループに分け、バトルロイヤルを行う」
兵士長「その中で勝ち残った一名のみが、本戦に出場することができる」
兵士長「なお、予選は公平を期すため」
兵士長「全員の装備を統一する」
兵士長「鎧は我が軍の鎧、剣は訓練用の木剣を使用してもらう」
剣士(この大会、本戦は持参した装備を使っていいとのことだったが)
剣士(ここで装備品頼りの輩はふるい落とされるというワケか)
剣士(それに装備が同じなら、手の内がバレることもない)
剣士(──といっても、俺にはあんまり関係ないか)
くじ引きで、参加者は8つのグループに振り分けられた。
剣士(ここが俺のグループか……)チラッ
剣士(どうやら強いのはいないな)
ガッ!
バシィッ!
ドスッ!
ズガガッ!
ドゴッ!
審判「そこまで!」
審判「このグループの本戦出場者は、剣士!」
剣士(よし!)
剣士(ここが俺のグループか……)チラッ
剣士(どうやら強いのはいないな)
ガッ!
バシィッ!
ドスッ!
ズガガッ!
ドゴッ!
審判「そこまで!」
審判「このグループの本戦出場者は、剣士!」
剣士(よし!)
<大会会場>
ザワザワ…… ガヤガヤ……
友人(いよいよか……)
友人(どうやらアイツも本戦出場できたみたいだし、応援してやんなきゃな)
実況『大変長らくお待たせいたしました!』
実況『ただいまより、王国主催による勇者決定トーナメントを開始いたします!』
実況『ではまず、主催者である国王陛下からのお言葉です!』
ザワザワ…… ガヤガヤ……
友人(いよいよか……)
友人(どうやらアイツも本戦出場できたみたいだし、応援してやんなきゃな)
実況『大変長らくお待たせいたしました!』
実況『ただいまより、王国主催による勇者決定トーナメントを開始いたします!』
実況『ではまず、主催者である国王陛下からのお言葉です!』
国王「おっほん」
国王「この大会には単に剣技を競うものではない」
国王「国を代表する勇者を決定するものである」
国王「皆も知ってのとおり、魔王が復活して久しい」
国王「まだ本格的な活動は行っておらんが」
国王「いずれこの国を始め、世界中に害悪をもたらすであろう」
国王「ゆえに我が国は、今日誕生する勇者を盟主とした魔王討伐軍を編成する」
国王「勇者を中心に、国民が一丸となれば魔王といえども必ずや打倒できる!」
国王「ぜひとも皆には、勇者誕生の瞬間を目に焼きつけてもらいたい!」
パチパチパチパチ……
実況『ありがとうございました』
実況『では勇者決定トーナメントに参加する、8名の選手の入場です!』
国王「この大会には単に剣技を競うものではない」
国王「国を代表する勇者を決定するものである」
国王「皆も知ってのとおり、魔王が復活して久しい」
国王「まだ本格的な活動は行っておらんが」
国王「いずれこの国を始め、世界中に害悪をもたらすであろう」
国王「ゆえに我が国は、今日誕生する勇者を盟主とした魔王討伐軍を編成する」
国王「勇者を中心に、国民が一丸となれば魔王といえども必ずや打倒できる!」
国王「ぜひとも皆には、勇者誕生の瞬間を目に焼きつけてもらいたい!」
パチパチパチパチ……
実況『ありがとうございました』
実況『では勇者決定トーナメントに参加する、8名の選手の入場です!』
その頃──
<魔王城>
側近「魔王様っ!」
側近「魔王様ーっ!」
側近(城中探したが、どこにも見当たらない……)
側近(いったいどこに行ってしまわれたのか……困ったお方だ)
側近(そういえば、今日は人間どもの勇者を決める大会があったな)
側近「!」ハッ
側近(──ま、まさか!)
側近(人間に化けて、大会会場に……!?)
<魔王城>
側近「魔王様っ!」
側近「魔王様ーっ!」
側近(城中探したが、どこにも見当たらない……)
側近(いったいどこに行ってしまわれたのか……困ったお方だ)
側近(そういえば、今日は人間どもの勇者を決める大会があったな)
側近「!」ハッ
側近(──ま、まさか!)
側近(人間に化けて、大会会場に……!?)
>>11
あー
あー
まぁなんだ…>>11は見なかったことで
<大会会場>
実況『数字は嘘をつかない!』
実況『一刀に二刀が勝るのは当たり前!』
実況『左右の腕から繰り出される剣の疾風は、まさに死角なし!』
実況『二刀剣士だぁっ!』
実況『祈れば祈るほど強くなる!』
実況『聖なる剣技が、今日も神の敵を打ち砕く!』
実況『神の御加護がある限り、私は負けない!』
実況『神聖剣士!』
実況『数字は嘘をつかない!』
実況『一刀に二刀が勝るのは当たり前!』
実況『左右の腕から繰り出される剣の疾風は、まさに死角なし!』
実況『二刀剣士だぁっ!』
実況『祈れば祈るほど強くなる!』
実況『聖なる剣技が、今日も神の敵を打ち砕く!』
実況『神の御加護がある限り、私は負けない!』
実況『神聖剣士!』
実況『だれがどう見ても、剣を持たずとも十分強い!』
実況『ならば剣を持ったらいったいどうなる!?』
実況『王国きってのパワーファイター!』
実況『怪力剣士だ!』
実況『もしも剣士が魔法を唱えたら!?』
実況『もしも魔法使いが剣を振るったら!?』
実況『そんなロマンを叶えた男がここにいる!』
実況『魔法剣士だっ!』
実況『ならば剣を持ったらいったいどうなる!?』
実況『王国きってのパワーファイター!』
実況『怪力剣士だ!』
実況『もしも剣士が魔法を唱えたら!?』
実況『もしも魔法使いが剣を振るったら!?』
実況『そんなロマンを叶えた男がここにいる!』
実況『魔法剣士だっ!』
実況『いつだって剣とともに生きてきた!』
実況『いつだって剣で己を証明してきた!』
実況『こんな男が強くないワケがないだろう!』
実況『剣士だぁっ!』
実況『剣に年齢は関係ない!』
実況『技と経験さえあれば、どんな強敵も出し抜ける!』
実況『出場者中、ダントツの最年長!』
実況『老剣士!』
実況『いつだって剣で己を証明してきた!』
実況『こんな男が強くないワケがないだろう!』
実況『剣士だぁっ!』
実況『剣に年齢は関係ない!』
実況『技と経験さえあれば、どんな強敵も出し抜ける!』
実況『出場者中、ダントツの最年長!』
実況『老剣士!』
実況『美貌に加えて、強さも抜群! 神は二物を与えたのか!?』
実況『これぞ魅力の相乗効果!』
実況『8名の中で唯一の女性!』
実況『女剣士だ!』
実況『無敵の剣! 無敵の盾!』
実況『どっちも持ってりゃ矛盾は起きぬ!』
実況『攻守ともにハイレベルという反則!』
実況『盾剣士っ!』
実況『これぞ魅力の相乗効果!』
実況『8名の中で唯一の女性!』
実況『女剣士だ!』
実況『無敵の剣! 無敵の盾!』
実況『どっちも持ってりゃ矛盾は起きぬ!』
実況『攻守ともにハイレベルという反則!』
実況『盾剣士っ!』
┌─ 剣士
┌─┤
│ └─ 怪力剣士
┌─┤
│ │ ┌─ 女剣士
│ └─┤
│ └─ 神聖剣士
─┤
│ ┌─ 二刀剣士
│ ┌─┤
│ │ └─ 魔法剣士
└─┤
│ ┌─ 老剣士
└─┤
└─ 盾剣士
┌─┤
│ └─ 怪力剣士
┌─┤
│ │ ┌─ 女剣士
│ └─┤
│ └─ 神聖剣士
─┤
│ ┌─ 二刀剣士
│ ┌─┤
│ │ └─ 魔法剣士
└─┤
│ ┌─ 老剣士
└─┤
└─ 盾剣士
友人(ふえぇ~……)
友人(予選を勝ち抜いてきただけあって、どいつもこいつもやたら強そうだ)
友人(しかも本戦からは、持参した装備で戦うんだったよな)
友人(つまり、ホンモノの剣だ)
友人(一応審判はいるが、最悪死ぬ可能性もある……)
友人(しかも一回戦の相手は、あのマッスル野郎か……)
友人(剣士のヤツ……大丈夫かな)
友人(予選を勝ち抜いてきただけあって、どいつもこいつもやたら強そうだ)
友人(しかも本戦からは、持参した装備で戦うんだったよな)
友人(つまり、ホンモノの剣だ)
友人(一応審判はいるが、最悪死ぬ可能性もある……)
友人(しかも一回戦の相手は、あのマッスル野郎か……)
友人(剣士のヤツ……大丈夫かな)
<控え室>
怪力剣士「よう」
剣士「ん?」
怪力剣士「ぐははっ、いきなりテメェみたいな弱そうなのと当たれて嬉しいぜ」
剣士「…………」
怪力剣士「テメェは一撃でカタをつけるとして……」
怪力剣士「俺様の二回戦の相手は……女か、神頼みの軟弱ヤロウか」
怪力剣士「こりゃあ決勝までシードになったようなもんだな、ぐはははっ!」
女剣士「さっきからうるさいわね。もしかして、しゃべってないと落ち着かないの?」
女剣士「デカイ体のわりに、ずいぶん小心者みたいね」
怪力剣士「ンだとォ!?」
神聖剣士「神の御加護がある私に、筋肉など通用しませんよ」
怪力剣士「いうじゃねえか、なんならテメェらから先に片付けてやろうか……!?」
怪力剣士「よう」
剣士「ん?」
怪力剣士「ぐははっ、いきなりテメェみたいな弱そうなのと当たれて嬉しいぜ」
剣士「…………」
怪力剣士「テメェは一撃でカタをつけるとして……」
怪力剣士「俺様の二回戦の相手は……女か、神頼みの軟弱ヤロウか」
怪力剣士「こりゃあ決勝までシードになったようなもんだな、ぐはははっ!」
女剣士「さっきからうるさいわね。もしかして、しゃべってないと落ち着かないの?」
女剣士「デカイ体のわりに、ずいぶん小心者みたいね」
怪力剣士「ンだとォ!?」
神聖剣士「神の御加護がある私に、筋肉など通用しませんよ」
怪力剣士「いうじゃねえか、なんならテメェらから先に片付けてやろうか……!?」
魔法剣士「黙れ」
怪力剣士「テメェ、今なんつった? もういっぺんいってみやがれ!」
魔法剣士「黙れ」
怪力剣士「ヤロウ……!」
二刀剣士「やめとけって」
二刀剣士「こんなとこでやり合ったら、優勝しても勇者にしてもらえないかもよ?」
怪力剣士「ふん……命拾いしたな」
魔法剣士「ほざくな」
二刀剣士「……やれやれ、血の気が多いヤツばっかだな」
怪力剣士「テメェ、今なんつった? もういっぺんいってみやがれ!」
魔法剣士「黙れ」
怪力剣士「ヤロウ……!」
二刀剣士「やめとけって」
二刀剣士「こんなとこでやり合ったら、優勝しても勇者にしてもらえないかもよ?」
怪力剣士「ふん……命拾いしたな」
魔法剣士「ほざくな」
二刀剣士「……やれやれ、血の気が多いヤツばっかだな」
老剣士「ほっほっほ、みぃ~んな元気じゃのう」
老剣士「こりゃあ、ワシみたいな年寄りではとても優勝は無理じゃな」
盾剣士「それはどうかな」
盾剣士「吾輩の耳には、優勝する気満々に聞こえるが」
すると──
係員「剣士選手、怪力剣士選手、まもなく試合です!」
係員「試合場へお越し下さい!」
怪力剣士「いよいよだな、秒殺で終わらせてやるぜ」ニヤッ
剣士(基本の型を徹底的に鍛えた俺の剣……)
剣士(町ならば敵無しだったが、この大会でいったいどこまで通用するか……)
女剣士「ちょっとあなた」
剣士「ん?」
女剣士「あんなヤツに絶対負けないでよ、ますます調子に乗らせちゃうから」
剣士「……全力を尽くすよ」
老剣士「こりゃあ、ワシみたいな年寄りではとても優勝は無理じゃな」
盾剣士「それはどうかな」
盾剣士「吾輩の耳には、優勝する気満々に聞こえるが」
すると──
係員「剣士選手、怪力剣士選手、まもなく試合です!」
係員「試合場へお越し下さい!」
怪力剣士「いよいよだな、秒殺で終わらせてやるぜ」ニヤッ
剣士(基本の型を徹底的に鍛えた俺の剣……)
剣士(町ならば敵無しだったが、この大会でいったいどこまで通用するか……)
女剣士「ちょっとあなた」
剣士「ん?」
女剣士「あんなヤツに絶対負けないでよ、ますます調子に乗らせちゃうから」
剣士「……全力を尽くすよ」
<試合会場>
ワアァァァァァ……!
実況『まもなく一回戦第一試合、剣士対怪力剣士を始めます!』
友人「がんばれ剣士~っ!」
審判「両者、構えて!」
剣士「…………」チャキッ
怪力剣士「ぐへへ……」ズンッ
審判「──始めっ!」
怪力剣士「ぬおおおおっ!」
ブオンッ!
実況『怪力剣士、いきなり上段から力任せに剣を振り下ろすっ!』
ワアァァァァァ……!
実況『まもなく一回戦第一試合、剣士対怪力剣士を始めます!』
友人「がんばれ剣士~っ!」
審判「両者、構えて!」
剣士「…………」チャキッ
怪力剣士「ぐへへ……」ズンッ
審判「──始めっ!」
怪力剣士「ぬおおおおっ!」
ブオンッ!
実況『怪力剣士、いきなり上段から力任せに剣を振り下ろすっ!』
友人「あんな大振りが、剣士に通用するかよ!」
剣士(いや、これは──!)
ピタッ
怪力剣士は剣を途中で止めると──
シュッ!
──突きで剣士の腹部を狙ってきた。
剣士「くぅっ!」サッ
実況『おおっ、怪力剣士の突きを、剣士もかろうじてかわしたっ!』
実況『それにしても今の突き、恐ろしく鋭い一撃でした!』
ワアァァァァァ……!
怪力剣士「フン、さすがだな」
剣士(危なかった……!)ハァハァ
剣士(なるほど……控え室での粗野な態度はブラフだったってことか)
剣士(いや、これは──!)
ピタッ
怪力剣士は剣を途中で止めると──
シュッ!
──突きで剣士の腹部を狙ってきた。
剣士「くぅっ!」サッ
実況『おおっ、怪力剣士の突きを、剣士もかろうじてかわしたっ!』
実況『それにしても今の突き、恐ろしく鋭い一撃でした!』
ワアァァァァァ……!
怪力剣士「フン、さすがだな」
剣士(危なかった……!)ハァハァ
剣士(なるほど……控え室での粗野な態度はブラフだったってことか)
怪力剣士「あの8人の中に一人としてザコはいねぇ……」
怪力剣士「しかもこれはトーナメント、一回戦くらいはラクに勝ちたかったんだがな」
剣士「正直な話、ラクに勝たせてしまうところだったよ」
怪力剣士「さてと、仕切り直しといくかい」チャキッ
怪力剣士「安心しな、もうダマシは無しだ」
怪力剣士「こっからは真っ向勝負だ!」
剣士「来いっ!」
ギィンッ! ガギィンッ! キィンッ!
実況『これはスゴイ!』
実況『一撃打ち合うごとに、火花が散るようなすさまじい攻防です!』
ワアァァァァァ……!
怪力剣士「しかもこれはトーナメント、一回戦くらいはラクに勝ちたかったんだがな」
剣士「正直な話、ラクに勝たせてしまうところだったよ」
怪力剣士「さてと、仕切り直しといくかい」チャキッ
怪力剣士「安心しな、もうダマシは無しだ」
怪力剣士「こっからは真っ向勝負だ!」
剣士「来いっ!」
ギィンッ! ガギィンッ! キィンッ!
実況『これはスゴイ!』
実況『一撃打ち合うごとに、火花が散るようなすさまじい攻防です!』
ワアァァァァァ……!
間合いを外す二人。
剣士(っつうっ……手がシビれている……!)ビリビリ
怪力剣士(パワーはまちがいなく俺が上だ)
怪力剣士(だが、技量や速さはやっぱヤツの方がやや上だな)
怪力剣士(基本をみっちり押さえたってタイプだ)
怪力剣士(つまり総合力は互角……)
怪力剣士(こういう時は長所を出しきった方が勝つってもんだぜ!)
ガゴォンッ! ギゴォンッ! ズガァンッ!
実況『おおっと、怪力剣士の猛攻! これは勝負に出たか!?』
ギャウンッ! ガゥンッ! ドギャンッ!
友人(ヤツの一撃を受けるたび、剣士の剣がすげぇ弾かれっちまう!)
友人(あれじゃ防戦一方だ!)
剣士(っつうっ……手がシビれている……!)ビリビリ
怪力剣士(パワーはまちがいなく俺が上だ)
怪力剣士(だが、技量や速さはやっぱヤツの方がやや上だな)
怪力剣士(基本をみっちり押さえたってタイプだ)
怪力剣士(つまり総合力は互角……)
怪力剣士(こういう時は長所を出しきった方が勝つってもんだぜ!)
ガゴォンッ! ギゴォンッ! ズガァンッ!
実況『おおっと、怪力剣士の猛攻! これは勝負に出たか!?』
ギャウンッ! ガゥンッ! ドギャンッ!
友人(ヤツの一撃を受けるたび、剣士の剣がすげぇ弾かれっちまう!)
友人(あれじゃ防戦一方だ!)
怪力剣士「ぬうんっ!」
ブオンッ!
ガギィンッ!
怪力剣士の一撃でまたも剣士の剣が弾かれ──
怪力剣士(よし、もらっ──)
ギュルンッ!
弾かれた反動で、剣士は一回転すると──
怪力「な!?」
ザシュッ!
怪力剣士の腹へ一気に斬りつけた。
怪力剣士「ぐがっ……!」ガクッ
実況『な、なんとぉ! 剣士、怪力剣士のパワーを利用して会心の反撃ィ!』
ワアァァァァァ……!
ブオンッ!
ガギィンッ!
怪力剣士の一撃でまたも剣士の剣が弾かれ──
怪力剣士(よし、もらっ──)
ギュルンッ!
弾かれた反動で、剣士は一回転すると──
怪力「な!?」
ザシュッ!
怪力剣士の腹へ一気に斬りつけた。
怪力剣士「ぐがっ……!」ガクッ
実況『な、なんとぉ! 剣士、怪力剣士のパワーを利用して会心の反撃ィ!』
ワアァァァァァ……!
怪力剣士「ぐ、はは……さすが俺だ……!」
怪力剣士「テメェの細腕に……こんな一撃を出させるんだからな……」
怪力剣士「うぐぅ……」ドサッ
審判「それまでっ!」
審判「勝者、剣士!」
実況『勇者決定トーナメント、栄えある最初の勝者は剣士に決まったぁっ!』
ワアァァァァァ……!
友人「よっしゃあ!」
剣士(とっさの一撃だったが……うまくいったな)
剣士(──にしても、まだシビれてるよ、両手が……)ビリビリ
剣士は退場し、怪力剣士は治療班に運ばれ、一回戦第一試合が終了した。
怪力剣士「テメェの細腕に……こんな一撃を出させるんだからな……」
怪力剣士「うぐぅ……」ドサッ
審判「それまでっ!」
審判「勝者、剣士!」
実況『勇者決定トーナメント、栄えある最初の勝者は剣士に決まったぁっ!』
ワアァァァァァ……!
友人「よっしゃあ!」
剣士(とっさの一撃だったが……うまくいったな)
剣士(──にしても、まだシビれてるよ、両手が……)ビリビリ
剣士は退場し、怪力剣士は治療班に運ばれ、一回戦第一試合が終了した。
<控え室>
老剣士「い~い試合じゃったのう」
老剣士「二人とも、勇者となるに相応しい器をもっておった」
二刀剣士「どちらもいい使い手だったけど、発想の勝利というやつかな」
魔法剣士「ふん」
魔法剣士「どちらも雑魚だ。俺の敵ではない」
盾剣士(8名の中で吾輩の天敵は、盾を破壊できる可能性のある怪力剣士だった)
盾剣士(ここで消してくれた剣士に、感謝せねばな)
係員「女剣士選手と神聖剣士選手、まもなく試合です!」
女剣士(ふうん、あの剣士……なかなかやるじゃない)
女剣士「こりゃあ、負けられないわね」ザッ
神聖剣士「神よ、どうか我に勝利をお与え下さい……」スッ
老剣士「い~い試合じゃったのう」
老剣士「二人とも、勇者となるに相応しい器をもっておった」
二刀剣士「どちらもいい使い手だったけど、発想の勝利というやつかな」
魔法剣士「ふん」
魔法剣士「どちらも雑魚だ。俺の敵ではない」
盾剣士(8名の中で吾輩の天敵は、盾を破壊できる可能性のある怪力剣士だった)
盾剣士(ここで消してくれた剣士に、感謝せねばな)
係員「女剣士選手と神聖剣士選手、まもなく試合です!」
女剣士(ふうん、あの剣士……なかなかやるじゃない)
女剣士「こりゃあ、負けられないわね」ザッ
神聖剣士「神よ、どうか我に勝利をお与え下さい……」スッ
<試合会場>
ワアァァァァァ……!
実況『一回戦第二試合を開始いたします!』
実況『女剣士と神聖剣士、第一試合とはうってかわって異色の対決!』
実況『勝つのはどっちだ!』
審判「始めっ!」
女剣士「行くわよ!」
神聖剣士「神よ、我に力を……」
女剣士「でやぁっ!」
キィンッ!
女剣士と神聖剣士の剣がぶつかり合う。
女剣士(こ、こいつ……っ!)
ワアァァァァァ……!
実況『一回戦第二試合を開始いたします!』
実況『女剣士と神聖剣士、第一試合とはうってかわって異色の対決!』
実況『勝つのはどっちだ!』
審判「始めっ!」
女剣士「行くわよ!」
神聖剣士「神よ、我に力を……」
女剣士「でやぁっ!」
キィンッ!
女剣士と神聖剣士の剣がぶつかり合う。
女剣士(こ、こいつ……っ!)
実況『おおっと、両者動かなくなってしまった!』
実況『いったいどうしたんだ!?』
女剣士「くっ……!」
神聖剣士「恐れることはありません」
神聖剣士「神の御加護を受ける私に、勝つ術などありはしないのです」
女剣士「あら、それはどうかしら?」
神聖剣士「ほう?」
女剣士「よいしょっと」ガチャ…
実況『おおお~っ!?』
実況『女剣士、なんと鎧を外し始めた!?』
神聖剣士「…………?」
実況『いったいどうしたんだ!?』
女剣士「くっ……!」
神聖剣士「恐れることはありません」
神聖剣士「神の御加護を受ける私に、勝つ術などありはしないのです」
女剣士「あら、それはどうかしら?」
神聖剣士「ほう?」
女剣士「よいしょっと」ガチャ…
実況『おおお~っ!?』
実況『女剣士、なんと鎧を外し始めた!?』
神聖剣士「…………?」
神聖剣士「なにをしているのです?」
女剣士「緊張したり、剣を振ったりで、暑くなってきちゃって……」
女剣士「ねぇ、脱ぐの手伝ってくれない?」
実況『こ、これは……!』
ワアァァァァァ……!
実況『観客も心なしか、さっきの試合よりも盛り上がっている!』
友人「オイオイ、色仕掛けかよ……」
友人「俺だったら余裕で引っかかってるだろうが」
友人「相手は禁欲を旨としてるようなヤツだ、通用するワケが──」
神聖剣士「い、いいだろう……!」ゴクリ
友人(通用しやがった!)
女剣士「緊張したり、剣を振ったりで、暑くなってきちゃって……」
女剣士「ねぇ、脱ぐの手伝ってくれない?」
実況『こ、これは……!』
ワアァァァァァ……!
実況『観客も心なしか、さっきの試合よりも盛り上がっている!』
友人「オイオイ、色仕掛けかよ……」
友人「俺だったら余裕で引っかかってるだろうが」
友人「相手は禁欲を旨としてるようなヤツだ、通用するワケが──」
神聖剣士「い、いいだろう……!」ゴクリ
友人(通用しやがった!)
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