元スレ剣士「勇者を決めるトーナメントだと……?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
1 :
<町>
友人「なあ」
剣士「なんだ?」
友人「ついこの間、大昔に勇者が倒したっていう魔王が復活しただろ」
剣士「ああ、今はまだ目立った活動をしていないが」
剣士「いつ本格的な侵攻に出るか分からない」
剣士「もちろん、俺も勇者を見習って魔王討伐に挑むつもりだ」
友人「さすがだな」
友人「──で、さっき向こうでお触れが出てたんだけどさ」
剣士「お触れ?」
友人「なんでも一週間後に、国中の剣の使い手を集めて」
友人「城下町で勇者を決めるトーナメント大会を開くらしい」
剣士「勇者を決めるトーナメントだと……?」
2 :
勇士を募って討伐させればいいのにね
3 = 1 :
友人「勇者になれるのは、もちろん優勝者ただ一人だ」
友人「もし勇者になれれば、莫大な報奨金が手に入るし、色んな特権もつく」
友人「んでもって、魔王討伐を国を挙げてバックアップしてもらえる」
友人「どうだ、お前もこの町じゃ敵無しだし、出場してみないか?」
剣士「そうだな……」
剣士(このまま一剣士として討伐の旅に出ても、予算も装備も厳しい……)
剣士(それに今の自分のレベルを知るいい機会だ)
剣士「──出てみるか!」
友人「おお、そうこなくっちゃ!」
友人「お前の腕なら、かなりいいとこまで……いや優勝だって狙えるぜ!」
4 = 1 :
<魔王城>
側近「魔王様、斥候から捨て置けない情報が届きました」
魔王「どうしたというのだ」
側近「どうやら人間たちの国々のうち、もっとも剣術の栄えた王国で──」
側近「近々勇者を決める大会が開かれるとのことです」
魔王「勇者を決める大会?」
魔王「ほほう……人間にしてはなかなか面白いことを考えるではないか」
側近「本来であれば妨害したいところですが、まだ我らも復活したばかり」
側近「力が戻り切っておりません」
側近「大会が終わったら、優勝者の情報だけでも掴むことにしましょう」
魔王「ふむ……」
5 = 1 :
一週間後──
<城下町>
友人「どれどれ……」
友人「まずは兵士の訓練場で予選会を行い、8名の出場者を決定するんだってよ」
友人「で、その8名が大会会場で雌雄を決するってワケだ」
剣士「8名か……」
友人「じゃあ、俺は先に大会会場に向かってるから」
友人「お前と一緒に大会を観戦することがないよう、祈ってるぜ」
友人「──頑張れよ!」
剣士「ああ、ありがとう」
6 = 1 :
<訓練場>
兵士長「参加者諸君!」
兵士長「このたびは大勢の剣士に集まっていただき、まことに頼もしく思う」
兵士長「本来ならば全員に勇者の称号を授けたいところだが、そうもいかん」
兵士長「勇者になれるのは、この中でたった一人のみ!」
兵士長「これまでに培った剣技を、存分に振るってもらいたい!」
剣士(参加者はざっと100人ってところか)
剣士(中には記念で参加したような人間も見受けられるが)
剣士(尋常ならない気配をまとう者もちらほらいる)
剣士(ハイレベルな大会になりそうだな……)
7 = 1 :
兵士長「では予選のルールを説明しよう」
兵士長「予選は参加者を8つのグループに分け、バトルロイヤルを行う」
兵士長「その中で勝ち残った一名のみが、本戦に出場することができる」
兵士長「なお、予選は公平を期すため」
兵士長「全員の装備を統一する」
兵士長「鎧は我が軍の鎧、剣は訓練用の木剣を使用してもらう」
剣士(この大会、本戦は持参した装備を使っていいとのことだったが)
剣士(ここで装備品頼りの輩はふるい落とされるというワケか)
剣士(それに装備が同じなら、手の内がバレることもない)
剣士(──といっても、俺にはあんまり関係ないか)
8 :
スレタイから漂う中世編のかほり
9 = 1 :
くじ引きで、参加者は8つのグループに振り分けられた。
剣士(ここが俺のグループか……)チラッ
剣士(どうやら強いのはいないな)
ガッ!
バシィッ!
ドスッ!
ズガガッ!
ドゴッ!
審判「そこまで!」
審判「このグループの本戦出場者は、剣士!」
剣士(よし!)
10 = 1 :
<大会会場>
ザワザワ…… ガヤガヤ……
友人(いよいよか……)
友人(どうやらアイツも本戦出場できたみたいだし、応援してやんなきゃな)
実況『大変長らくお待たせいたしました!』
実況『ただいまより、王国主催による勇者決定トーナメントを開始いたします!』
実況『ではまず、主催者である国王陛下からのお言葉です!』
11 :
実は魔王も参加していて優勝してしまうとかではないよな
12 = 1 :
国王「おっほん」
国王「この大会には単に剣技を競うものではない」
国王「国を代表する勇者を決定するものである」
国王「皆も知ってのとおり、魔王が復活して久しい」
国王「まだ本格的な活動は行っておらんが」
国王「いずれこの国を始め、世界中に害悪をもたらすであろう」
国王「ゆえに我が国は、今日誕生する勇者を盟主とした魔王討伐軍を編成する」
国王「勇者を中心に、国民が一丸となれば魔王といえども必ずや打倒できる!」
国王「ぜひとも皆には、勇者誕生の瞬間を目に焼きつけてもらいたい!」
パチパチパチパチ……
実況『ありがとうございました』
実況『では勇者決定トーナメントに参加する、8名の選手の入場です!』
13 = 1 :
その頃──
<魔王城>
側近「魔王様っ!」
側近「魔王様ーっ!」
側近(城中探したが、どこにも見当たらない……)
側近(いったいどこに行ってしまわれたのか……困ったお方だ)
側近(そういえば、今日は人間どもの勇者を決める大会があったな)
側近「!」ハッ
側近(──ま、まさか!)
側近(人間に化けて、大会会場に……!?)
14 = 8 :
>>11
あー
15 = 11 :
まぁなんだ…>>11は見なかったことで
16 = 1 :
<大会会場>
実況『数字は嘘をつかない!』
実況『一刀に二刀が勝るのは当たり前!』
実況『左右の腕から繰り出される剣の疾風は、まさに死角なし!』
実況『二刀剣士だぁっ!』
実況『祈れば祈るほど強くなる!』
実況『聖なる剣技が、今日も神の敵を打ち砕く!』
実況『神の御加護がある限り、私は負けない!』
実況『神聖剣士!』
17 = 1 :
実況『だれがどう見ても、剣を持たずとも十分強い!』
実況『ならば剣を持ったらいったいどうなる!?』
実況『王国きってのパワーファイター!』
実況『怪力剣士だ!』
実況『もしも剣士が魔法を唱えたら!?』
実況『もしも魔法使いが剣を振るったら!?』
実況『そんなロマンを叶えた男がここにいる!』
実況『魔法剣士だっ!』
18 = 1 :
実況『いつだって剣とともに生きてきた!』
実況『いつだって剣で己を証明してきた!』
実況『こんな男が強くないワケがないだろう!』
実況『剣士だぁっ!』
実況『剣に年齢は関係ない!』
実況『技と経験さえあれば、どんな強敵も出し抜ける!』
実況『出場者中、ダントツの最年長!』
実況『老剣士!』
19 = 1 :
実況『美貌に加えて、強さも抜群! 神は二物を与えたのか!?』
実況『これぞ魅力の相乗効果!』
実況『8名の中で唯一の女性!』
実況『女剣士だ!』
実況『無敵の剣! 無敵の盾!』
実況『どっちも持ってりゃ矛盾は起きぬ!』
実況『攻守ともにハイレベルという反則!』
実況『盾剣士っ!』
21 :
女剣士が魔王ってパターンだけはやめてくれよ
22 :
いい口上だな支援
23 = 1 :
┌─ 剣士
┌─┤
│ └─ 怪力剣士
┌─┤
│ │ ┌─ 女剣士
│ └─┤
│ └─ 神聖剣士
─┤
│ ┌─ 二刀剣士
│ ┌─┤
│ │ └─ 魔法剣士
└─┤
│ ┌─ 老剣士
└─┤
└─ 盾剣士
24 = 1 :
友人(ふえぇ~……)
友人(予選を勝ち抜いてきただけあって、どいつもこいつもやたら強そうだ)
友人(しかも本戦からは、持参した装備で戦うんだったよな)
友人(つまり、ホンモノの剣だ)
友人(一応審判はいるが、最悪死ぬ可能性もある……)
友人(しかも一回戦の相手は、あのマッスル野郎か……)
友人(剣士のヤツ……大丈夫かな)
25 = 1 :
<控え室>
怪力剣士「よう」
剣士「ん?」
怪力剣士「ぐははっ、いきなりテメェみたいな弱そうなのと当たれて嬉しいぜ」
剣士「…………」
怪力剣士「テメェは一撃でカタをつけるとして……」
怪力剣士「俺様の二回戦の相手は……女か、神頼みの軟弱ヤロウか」
怪力剣士「こりゃあ決勝までシードになったようなもんだな、ぐはははっ!」
女剣士「さっきからうるさいわね。もしかして、しゃべってないと落ち着かないの?」
女剣士「デカイ体のわりに、ずいぶん小心者みたいね」
怪力剣士「ンだとォ!?」
神聖剣士「神の御加護がある私に、筋肉など通用しませんよ」
怪力剣士「いうじゃねえか、なんならテメェらから先に片付けてやろうか……!?」
27 = 1 :
魔法剣士「黙れ」
怪力剣士「テメェ、今なんつった? もういっぺんいってみやがれ!」
魔法剣士「黙れ」
怪力剣士「ヤロウ……!」
二刀剣士「やめとけって」
二刀剣士「こんなとこでやり合ったら、優勝しても勇者にしてもらえないかもよ?」
怪力剣士「ふん……命拾いしたな」
魔法剣士「ほざくな」
二刀剣士「……やれやれ、血の気が多いヤツばっかだな」
28 = 20 :
個人的に盾剣士と魔法剣士のバトルが見たいと思った
29 = 1 :
老剣士「ほっほっほ、みぃ~んな元気じゃのう」
老剣士「こりゃあ、ワシみたいな年寄りではとても優勝は無理じゃな」
盾剣士「それはどうかな」
盾剣士「吾輩の耳には、優勝する気満々に聞こえるが」
すると──
係員「剣士選手、怪力剣士選手、まもなく試合です!」
係員「試合場へお越し下さい!」
怪力剣士「いよいよだな、秒殺で終わらせてやるぜ」ニヤッ
剣士(基本の型を徹底的に鍛えた俺の剣……)
剣士(町ならば敵無しだったが、この大会でいったいどこまで通用するか……)
女剣士「ちょっとあなた」
剣士「ん?」
女剣士「あんなヤツに絶対負けないでよ、ますます調子に乗らせちゃうから」
剣士「……全力を尽くすよ」
30 :
剣は剣でもじゃんけん!
31 = 1 :
<試合会場>
ワアァァァァァ……!
実況『まもなく一回戦第一試合、剣士対怪力剣士を始めます!』
友人「がんばれ剣士~っ!」
審判「両者、構えて!」
剣士「…………」チャキッ
怪力剣士「ぐへへ……」ズンッ
審判「──始めっ!」
怪力剣士「ぬおおおおっ!」
ブオンッ!
実況『怪力剣士、いきなり上段から力任せに剣を振り下ろすっ!』
32 = 2 :
なんでマッチョキャラすぐ死んでしまうん………
33 :
デスピサロ
34 = 1 :
友人「あんな大振りが、剣士に通用するかよ!」
剣士(いや、これは──!)
ピタッ
怪力剣士は剣を途中で止めると──
シュッ!
──突きで剣士の腹部を狙ってきた。
剣士「くぅっ!」サッ
実況『おおっ、怪力剣士の突きを、剣士もかろうじてかわしたっ!』
実況『それにしても今の突き、恐ろしく鋭い一撃でした!』
ワアァァァァァ……!
怪力剣士「フン、さすがだな」
剣士(危なかった……!)ハァハァ
剣士(なるほど……控え室での粗野な態度はブラフだったってことか)
36 = 20 :
すこし賢い筋肉キャラか
37 = 1 :
怪力剣士「あの8人の中に一人としてザコはいねぇ……」
怪力剣士「しかもこれはトーナメント、一回戦くらいはラクに勝ちたかったんだがな」
剣士「正直な話、ラクに勝たせてしまうところだったよ」
怪力剣士「さてと、仕切り直しといくかい」チャキッ
怪力剣士「安心しな、もうダマシは無しだ」
怪力剣士「こっからは真っ向勝負だ!」
剣士「来いっ!」
ギィンッ! ガギィンッ! キィンッ!
実況『これはスゴイ!』
実況『一撃打ち合うごとに、火花が散るようなすさまじい攻防です!』
ワアァァァァァ……!
38 = 1 :
間合いを外す二人。
剣士(っつうっ……手がシビれている……!)ビリビリ
怪力剣士(パワーはまちがいなく俺が上だ)
怪力剣士(だが、技量や速さはやっぱヤツの方がやや上だな)
怪力剣士(基本をみっちり押さえたってタイプだ)
怪力剣士(つまり総合力は互角……)
怪力剣士(こういう時は長所を出しきった方が勝つってもんだぜ!)
ガゴォンッ! ギゴォンッ! ズガァンッ!
実況『おおっと、怪力剣士の猛攻! これは勝負に出たか!?』
ギャウンッ! ガゥンッ! ドギャンッ!
友人(ヤツの一撃を受けるたび、剣士の剣がすげぇ弾かれっちまう!)
友人(あれじゃ防戦一方だ!)
40 = 1 :
怪力剣士「ぬうんっ!」
ブオンッ!
ガギィンッ!
怪力剣士の一撃でまたも剣士の剣が弾かれ──
怪力剣士(よし、もらっ──)
ギュルンッ!
弾かれた反動で、剣士は一回転すると──
怪力「な!?」
ザシュッ!
怪力剣士の腹へ一気に斬りつけた。
怪力剣士「ぐがっ……!」ガクッ
実況『な、なんとぉ! 剣士、怪力剣士のパワーを利用して会心の反撃ィ!』
ワアァァァァァ……!
41 = 1 :
怪力剣士「ぐ、はは……さすが俺だ……!」
怪力剣士「テメェの細腕に……こんな一撃を出させるんだからな……」
怪力剣士「うぐぅ……」ドサッ
審判「それまでっ!」
審判「勝者、剣士!」
実況『勇者決定トーナメント、栄えある最初の勝者は剣士に決まったぁっ!』
ワアァァァァァ……!
友人「よっしゃあ!」
剣士(とっさの一撃だったが……うまくいったな)
剣士(──にしても、まだシビれてるよ、両手が……)ビリビリ
剣士は退場し、怪力剣士は治療班に運ばれ、一回戦第一試合が終了した。
42 = 1 :
<控え室>
老剣士「い~い試合じゃったのう」
老剣士「二人とも、勇者となるに相応しい器をもっておった」
二刀剣士「どちらもいい使い手だったけど、発想の勝利というやつかな」
魔法剣士「ふん」
魔法剣士「どちらも雑魚だ。俺の敵ではない」
盾剣士(8名の中で吾輩の天敵は、盾を破壊できる可能性のある怪力剣士だった)
盾剣士(ここで消してくれた剣士に、感謝せねばな)
係員「女剣士選手と神聖剣士選手、まもなく試合です!」
女剣士(ふうん、あの剣士……なかなかやるじゃない)
女剣士「こりゃあ、負けられないわね」ザッ
神聖剣士「神よ、どうか我に勝利をお与え下さい……」スッ
43 :
主人公だけ一次職みたいやん
44 :
つまりまだまだ成長過程の途中
45 = 1 :
<試合会場>
ワアァァァァァ……!
実況『一回戦第二試合を開始いたします!』
実況『女剣士と神聖剣士、第一試合とはうってかわって異色の対決!』
実況『勝つのはどっちだ!』
審判「始めっ!」
女剣士「行くわよ!」
神聖剣士「神よ、我に力を……」
女剣士「でやぁっ!」
キィンッ!
女剣士と神聖剣士の剣がぶつかり合う。
女剣士(こ、こいつ……っ!)
46 = 1 :
実況『おおっと、両者動かなくなってしまった!』
実況『いったいどうしたんだ!?』
女剣士「くっ……!」
神聖剣士「恐れることはありません」
神聖剣士「神の御加護を受ける私に、勝つ術などありはしないのです」
女剣士「あら、それはどうかしら?」
神聖剣士「ほう?」
女剣士「よいしょっと」ガチャ…
実況『おおお~っ!?』
実況『女剣士、なんと鎧を外し始めた!?』
神聖剣士「…………?」
47 = 1 :
神聖剣士「なにをしているのです?」
女剣士「緊張したり、剣を振ったりで、暑くなってきちゃって……」
女剣士「ねぇ、脱ぐの手伝ってくれない?」
実況『こ、これは……!』
ワアァァァァァ……!
実況『観客も心なしか、さっきの試合よりも盛り上がっている!』
友人「オイオイ、色仕掛けかよ……」
友人「俺だったら余裕で引っかかってるだろうが」
友人「相手は禁欲を旨としてるようなヤツだ、通用するワケが──」
神聖剣士「い、いいだろう……!」ゴクリ
友人(通用しやがった!)
48 = 26 :
神に仕えている奴はむっつり
49 = 20 :
禁欲を破ったら神のご加護があらんことができぬぞ
50 :
ランファンきました
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