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元スレ女騎士「ついに仕えるべき主を見つけました!」 魔王「はっ?」
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女騎士「私が誰かを助けたいと願うたび、皆が私を笑いました。でも貴方はそうしなかった」
魔王「……」
女騎士「貴方を選んだのは……もしかしたら、私の思い込み、だったかもしれないと……思います。でも、貴方が私の想いに向き合ってくれたのは本当です」
魔王(思い込みが激しい自覚はあるのか……)
女騎士「こんな願いは大それたものだとわかっています。ですが、これから赴くのは死地です。だから」
魔王「死ぬ覚悟を決めるために抱かれたいと? 冗談ではない」
女騎士「……やはり、私など……抱くに値する女では……」
魔王「お前は俺が見た中ではマシな女だ」
女騎士「本当、ですか?」
魔王「嘘を言ってどうなる。だがお前は死ぬつもりで行くのか? その程度の覚悟なのか?」
女騎士「死ぬつもりがなくとも、相手は魔物の王です! それを軽々しく倒せるなどと言えるほど、私は……強くありません……」
魔王「お前より強い人間がどこにいる?」
女騎士「……それは、私が負けてしまえばもう魔王に勝てる者はいないというだけです……」
魔王「……」
女騎士「貴方を選んだのは……もしかしたら、私の思い込み、だったかもしれないと……思います。でも、貴方が私の想いに向き合ってくれたのは本当です」
魔王(思い込みが激しい自覚はあるのか……)
女騎士「こんな願いは大それたものだとわかっています。ですが、これから赴くのは死地です。だから」
魔王「死ぬ覚悟を決めるために抱かれたいと? 冗談ではない」
女騎士「……やはり、私など……抱くに値する女では……」
魔王「お前は俺が見た中ではマシな女だ」
女騎士「本当、ですか?」
魔王「嘘を言ってどうなる。だがお前は死ぬつもりで行くのか? その程度の覚悟なのか?」
女騎士「死ぬつもりがなくとも、相手は魔物の王です! それを軽々しく倒せるなどと言えるほど、私は……強くありません……」
魔王「お前より強い人間がどこにいる?」
女騎士「……それは、私が負けてしまえばもう魔王に勝てる者はいないというだけです……」
魔王「お前はバカだな」
女騎士「何ですとっ!」
魔王「その程度で滅ぶものなら滅べばいいだろうが。誰がお前に人の命運を背負ってくれと頼んだ?」
女騎士「ですがっ! 今も苦しんでいる人達がいるんですっ!」
魔王「お前がそいつらを苦しめているわけじゃない。……それにだ。少なくとも今は、俺がお前の主だ。お前の苦しみも喜びもすべて俺のものだ」
女騎士「主様……」
魔王「俺はお前が悩む事を許可しない。お前は悩まないバカのままでいろ。いいな」
女騎士「……私はバカじゃないです、もう」
女騎士「何ですとっ!」
魔王「その程度で滅ぶものなら滅べばいいだろうが。誰がお前に人の命運を背負ってくれと頼んだ?」
女騎士「ですがっ! 今も苦しんでいる人達がいるんですっ!」
魔王「お前がそいつらを苦しめているわけじゃない。……それにだ。少なくとも今は、俺がお前の主だ。お前の苦しみも喜びもすべて俺のものだ」
女騎士「主様……」
魔王「俺はお前が悩む事を許可しない。お前は悩まないバカのままでいろ。いいな」
女騎士「……私はバカじゃないです、もう」
女騎士「こほんっ。……あらためて、主様。私を抱いてはくれませんか?」
魔王「お前は俺の話を聞いていたか?」
女騎士「戦いの覚悟、ではなく……私は今、主様に抱かれたいと思っています」
魔王「……」
女騎士「添い遂げたいなどとは思っていません。ただ今一時の事だけで構いません。私にはそれで十分です。……だから主様」
魔王「ダメだ。……この旅の終わりにお前が同じ気持ちだったなら、その時は考えよう」
女騎士「約束してくれますか?」
魔王「約束しよう」
女騎士「……その時には、貴方の名前を教えてくださいね。結ばれている間だけは、主様の騎士ではなく、貴方の女でいたいから」
魔王「ああ」
女騎士「それまでは今しばらく……主の騎士として仕えましょう」
魔王「頼りにしている」
女騎士「では。我が主も良い夢を」 ガチャ
魔王(……魔王より詐欺師にでもなった方が良かったのかもしれんな)
魔王「お前は俺の話を聞いていたか?」
女騎士「戦いの覚悟、ではなく……私は今、主様に抱かれたいと思っています」
魔王「……」
女騎士「添い遂げたいなどとは思っていません。ただ今一時の事だけで構いません。私にはそれで十分です。……だから主様」
魔王「ダメだ。……この旅の終わりにお前が同じ気持ちだったなら、その時は考えよう」
女騎士「約束してくれますか?」
魔王「約束しよう」
女騎士「……その時には、貴方の名前を教えてくださいね。結ばれている間だけは、主様の騎士ではなく、貴方の女でいたいから」
魔王「ああ」
女騎士「それまでは今しばらく……主の騎士として仕えましょう」
魔王「頼りにしている」
女騎士「では。我が主も良い夢を」 ガチャ
魔王(……魔王より詐欺師にでもなった方が良かったのかもしれんな)
女騎士「街を出たらできるだけ距離を稼ぎましょう。開戦前に事を終わらせなければ」
魔王「ふぅ。また一日中馬に乗るのか」
孤児「あ、おねえちゃんっ!」
女騎士「おお、昨日のきみか。後ろのきみは、弟くんかな?」
孤児「うん! ごはんたべたら元気になって、それで、おねえちゃんにおれいしたいって!」
弟「……」 ツイッ
女騎士「これは?」
孤児「おまもりのひも! いろんな色の糸であんで、いろんなねがいをこめるの!」
女騎士「ありがとう」 ナデナデ
孤児「ほんとはね、ままにつけてもらいたかったの。でも、もういないから。わたしがね、おとうとをまもるの」
女騎士「きみがいれば安心だね。……弟くんも、お姉さんと仲良くするんだよ?」
弟「……」 コクリ
魔王「ゆくぞ」
女騎士「はい。……またね」
孤児「またね、おねえちゃん!」 弟「……また……ね……」
魔王「ふぅ。また一日中馬に乗るのか」
孤児「あ、おねえちゃんっ!」
女騎士「おお、昨日のきみか。後ろのきみは、弟くんかな?」
孤児「うん! ごはんたべたら元気になって、それで、おねえちゃんにおれいしたいって!」
弟「……」 ツイッ
女騎士「これは?」
孤児「おまもりのひも! いろんな色の糸であんで、いろんなねがいをこめるの!」
女騎士「ありがとう」 ナデナデ
孤児「ほんとはね、ままにつけてもらいたかったの。でも、もういないから。わたしがね、おとうとをまもるの」
女騎士「きみがいれば安心だね。……弟くんも、お姉さんと仲良くするんだよ?」
弟「……」 コクリ
魔王「ゆくぞ」
女騎士「はい。……またね」
孤児「またね、おねえちゃん!」 弟「……また……ね……」
女騎士「……」
魔王「……」
女騎士「……なぜいつも弱者ばかりが泣くのでしょう。なぜ誰も手を差し伸べようとしないのでしょう」
魔王「俺に聞くな」
女騎士「主様にもわかりませんか?」
魔王「……力無い者は力ある者に服従する。それがルールだ」
女騎士「理不尽です」
魔王「理不尽だが現実だ。ルールから逃れられる者はいない」
女騎士「私は、嫌です。それでは誰も救われない」
魔王「そう思うならルールを変えるしかない」
女騎士「変えられるでしょうか?」
魔王「さあな」
女騎士「……今私達にできるのは、魔王を討つことだけですね」
魔王「ああ。だろうな」
魔王「……」
女騎士「……なぜいつも弱者ばかりが泣くのでしょう。なぜ誰も手を差し伸べようとしないのでしょう」
魔王「俺に聞くな」
女騎士「主様にもわかりませんか?」
魔王「……力無い者は力ある者に服従する。それがルールだ」
女騎士「理不尽です」
魔王「理不尽だが現実だ。ルールから逃れられる者はいない」
女騎士「私は、嫌です。それでは誰も救われない」
魔王「そう思うならルールを変えるしかない」
女騎士「変えられるでしょうか?」
魔王「さあな」
女騎士「……今私達にできるのは、魔王を討つことだけですね」
魔王「ああ。だろうな」
魔王「……街道の向こうに行列が見えるな」
女騎士「商隊? ……いえ、あれは……傭兵団……」
魔王「戦争を控えて傭兵が集まっていると聞いたな」
女騎士「……」
魔王「どうした?」
女騎士「いえ」
魔王「傭兵が嫌いなのか?」
女騎士「嫌い……と言っていいのかわかりませんが……」
魔王「また煮え切らない返事だな」
女騎士「彼等は確かに戦場で活躍する貴重な戦力です。報酬さえ与えられれば貴族よりも誠実に戦いを続けるでしょう。しかし……」
魔王「しかし?」
女騎士「……いえ……何でもありません……。道も他にありませんし、彼らの横を通り抜けましょう」
女騎士「商隊? ……いえ、あれは……傭兵団……」
魔王「戦争を控えて傭兵が集まっていると聞いたな」
女騎士「……」
魔王「どうした?」
女騎士「いえ」
魔王「傭兵が嫌いなのか?」
女騎士「嫌い……と言っていいのかわかりませんが……」
魔王「また煮え切らない返事だな」
女騎士「彼等は確かに戦場で活躍する貴重な戦力です。報酬さえ与えられれば貴族よりも誠実に戦いを続けるでしょう。しかし……」
魔王「しかし?」
女騎士「……いえ……何でもありません……。道も他にありませんし、彼らの横を通り抜けましょう」
傭兵A「よお姉ちゃん、ずいぶん立派な格好してるじゃねえか!」
傭兵B「おっ? 俺らの装備よかよっぽど上等じゃねえか」
女騎士「……」
傭兵A「ちっ。無視してんじゃねえよ、アバズレが」
傭兵B「ひははっ、だっせぇなぁ!」
魔王(これは確かに、ろくな人種ではなさそうだな)
傭兵A「……あのアマぁ、馬から引きずり降ろして犯してやるか」
傭兵B「オマエはそれしかねぇのかぁ? 昨日も散々奴隷の女ぁ犯ったばっかじゃねぇか」
女騎士「……っ」 ギリギリ
傭兵B「おっ? 俺らの装備よかよっぽど上等じゃねえか」
女騎士「……」
傭兵A「ちっ。無視してんじゃねえよ、アバズレが」
傭兵B「ひははっ、だっせぇなぁ!」
魔王(これは確かに、ろくな人種ではなさそうだな)
傭兵A「……あのアマぁ、馬から引きずり降ろして犯してやるか」
傭兵B「オマエはそれしかねぇのかぁ? 昨日も散々奴隷の女ぁ犯ったばっかじゃねぇか」
女騎士「……っ」 ギリギリ
魔王「奴隷?」
傭兵B「あんだ兄ちゃん、興味あんのかい? あんたぁ結構良い身なりしてるし若ぇし、奴隷の一人や二人は欲しいだろうなぁ」
傭兵A「金があんならここで売ってやらねえこともねぇぜ?」
女騎士「主。先を急ぎましょう」
傭兵A「まあ待ちな。俺としてもだ、あんたが高く買ってくれるってぇなら懐も温まるってもんだ。お互い良いこと尽くめじゃねえか」
傭兵B「オマエ、団長に話付けとかねぇと面倒になるぞ」
傭兵A「そこは俺の腕の見せ所よ。まあ見とけって」
魔王「……奴隷とは、たしか従者のことだったか?」
傭兵A「従者? 従者ねぇ……ひひっ、まぁ、そんなもんだぁなぁ」
女騎士「主! このような連中と関わっている暇など、我々には!」
傭兵A「俺ぁこの兄ちゃんと話してんだ、黙れってぇんだよ売女ぁ! ……悪いねぇ、兄ちゃん。まあここは実物見てくれりゃ、価値もわかるってもんだぁ」
傭兵B「俺は知らねぇぞ」
傭兵A「けっ、分け前はやらねぇぜ」
傭兵B「あんだ兄ちゃん、興味あんのかい? あんたぁ結構良い身なりしてるし若ぇし、奴隷の一人や二人は欲しいだろうなぁ」
傭兵A「金があんならここで売ってやらねえこともねぇぜ?」
女騎士「主。先を急ぎましょう」
傭兵A「まあ待ちな。俺としてもだ、あんたが高く買ってくれるってぇなら懐も温まるってもんだ。お互い良いこと尽くめじゃねえか」
傭兵B「オマエ、団長に話付けとかねぇと面倒になるぞ」
傭兵A「そこは俺の腕の見せ所よ。まあ見とけって」
魔王「……奴隷とは、たしか従者のことだったか?」
傭兵A「従者? 従者ねぇ……ひひっ、まぁ、そんなもんだぁなぁ」
女騎士「主! このような連中と関わっている暇など、我々には!」
傭兵A「俺ぁこの兄ちゃんと話してんだ、黙れってぇんだよ売女ぁ! ……悪いねぇ、兄ちゃん。まあここは実物見てくれりゃ、価値もわかるってもんだぁ」
傭兵B「俺は知らねぇぞ」
傭兵A「けっ、分け前はやらねぇぜ」
傭兵A「おら、とっとと歩け!」
エルフ「ひっ……」 ヨロヨロ
魔王「……」
女騎士「……」
傭兵A「どうだい兄ちゃん、驚いたろう。なんとこいつぁ、あの耳長よぉ。見た目は最高、具合も最高、大事に使やぁ奴隷としちゃあ長持ちだ。なかなかの高級品だぜ?」
魔王「なあ」
女騎士「はい」
魔王「これがこいつらの仕事なのか?」
女騎士「これ“も”彼らの生活を支えるもののひとつです」
魔王「……そうか」
エルフ「ひっ……」 ヨロヨロ
魔王「……」
女騎士「……」
傭兵A「どうだい兄ちゃん、驚いたろう。なんとこいつぁ、あの耳長よぉ。見た目は最高、具合も最高、大事に使やぁ奴隷としちゃあ長持ちだ。なかなかの高級品だぜ?」
魔王「なあ」
女騎士「はい」
魔王「これがこいつらの仕事なのか?」
女騎士「これ“も”彼らの生活を支えるもののひとつです」
魔王「……そうか」
傭兵A「で、どうだい兄ちゃん。この奴隷、欲しくなったろう?」
魔王「他にはいないのか」
傭兵A「耳長はこいつだけだが、人間なら男が4人、女が6人いるぜ」
女騎士「……っ」 ブルブル
魔王「そのすべてを寄越せ」
傭兵A「へぇ、あんた、そんな金あんのかい? こいつぁ、あんたみたいな若造ひとりで買うにゃ、少し高い買い物だぜ?」
魔王「聞こえなかったか? 寄越せと言ったんだ。売ってくれと誰が言った?」
女騎士「主っ!?」
魔王「これを見逃すのが正しいとお前は言うのか?」
女騎士「………………いいえっ! 主が望むのならば、その敵すべてを排除するのが私の役目ですっ!」
傭兵A「ひははははっ、面白ぇじゃねぇか! おい、部隊の連中を呼んで来なぁ! 身ぐるみ剥いでぶっ殺してやらぁ!」
魔王「他にはいないのか」
傭兵A「耳長はこいつだけだが、人間なら男が4人、女が6人いるぜ」
女騎士「……っ」 ブルブル
魔王「そのすべてを寄越せ」
傭兵A「へぇ、あんた、そんな金あんのかい? こいつぁ、あんたみたいな若造ひとりで買うにゃ、少し高い買い物だぜ?」
魔王「聞こえなかったか? 寄越せと言ったんだ。売ってくれと誰が言った?」
女騎士「主っ!?」
魔王「これを見逃すのが正しいとお前は言うのか?」
女騎士「………………いいえっ! 主が望むのならば、その敵すべてを排除するのが私の役目ですっ!」
傭兵A「ひははははっ、面白ぇじゃねぇか! おい、部隊の連中を呼んで来なぁ! 身ぐるみ剥いでぶっ殺してやらぁ!」
それは圧倒的な光景だった。
そう広くはない街道を埋め尽くすように倒れ伏す傭兵達。
剣を砕かれ、鎧を砕かれ、それでも誰一人として命を奪われることなく。
情けを受け、手加減されてなお、傭兵達の剣が彼女に届くことはなく。
彼らの放つ矢は宙で切り落とされ、そして、次の瞬間には吸い込まれるように一太刀を浴びて昏倒してゆく。
ひとつの傷も負わず、ひとりの犠牲者も出さず、その剣ひとつで敵を屈服せしめた彼女は紛れもなく、
この世界最強の勇者だった。
そう広くはない街道を埋め尽くすように倒れ伏す傭兵達。
剣を砕かれ、鎧を砕かれ、それでも誰一人として命を奪われることなく。
情けを受け、手加減されてなお、傭兵達の剣が彼女に届くことはなく。
彼らの放つ矢は宙で切り落とされ、そして、次の瞬間には吸い込まれるように一太刀を浴びて昏倒してゆく。
ひとつの傷も負わず、ひとりの犠牲者も出さず、その剣ひとつで敵を屈服せしめた彼女は紛れもなく、
この世界最強の勇者だった。
女騎士「終わりました、我が主」
魔王「……本当に強いのだな」
女騎士「私の力を疑っておられましたか?」
魔王「いいや」
魔王(だがこれで、どうやってもお前を見逃せなくなった)
魔王「……奴隷を解放する。俺はさきほどのエルフを見てくる。お前は人間の方を頼む」
魔王「……本当に強いのだな」
女騎士「私の力を疑っておられましたか?」
魔王「いいや」
魔王(だがこれで、どうやってもお前を見逃せなくなった)
魔王「……奴隷を解放する。俺はさきほどのエルフを見てくる。お前は人間の方を頼む」
魔王「この馬車に逃げ込んだはずだが……」
エルフ「ひっ……! いや、来ないでっ!」
魔王「お前を捕まえていた傭兵は倒した。これから元の村に帰してやる」
エルフ「嘘っ、嘘っ! また私を騙して馬鹿にするんでしょ……っ! 人間なんて信じないんだから!」
魔王「人間なんぞ信じるな、俺のことも信じなくていい。だが、お前は帰るんだ。いいな?」
エルフ「……本当に、帰れるの?」
魔王「ああ。森が懐かしいだろう、仲間のエルフが恋しいだろう。必ず帰してやる。約束する」
エルフ「……あなた、名前は?」
魔王「通りすがりの人間の名前なぞ、覚えなくてもいい」
エルフ「……まだ、信じたわけじゃないから」
魔王「だから、信じなくていい。……後で清潔な服を持って来させる。それから森に向けて出発だ」
エルフ「ひっ……! いや、来ないでっ!」
魔王「お前を捕まえていた傭兵は倒した。これから元の村に帰してやる」
エルフ「嘘っ、嘘っ! また私を騙して馬鹿にするんでしょ……っ! 人間なんて信じないんだから!」
魔王「人間なんぞ信じるな、俺のことも信じなくていい。だが、お前は帰るんだ。いいな?」
エルフ「……本当に、帰れるの?」
魔王「ああ。森が懐かしいだろう、仲間のエルフが恋しいだろう。必ず帰してやる。約束する」
エルフ「……あなた、名前は?」
魔王「通りすがりの人間の名前なぞ、覚えなくてもいい」
エルフ「……まだ、信じたわけじゃないから」
魔王「だから、信じなくていい。……後で清潔な服を持って来させる。それから森に向けて出発だ」
女騎士「……彼らも無事に帰り付けるといいのですが」
魔王「傭兵から奪った物資もある。十人も寄り集まっていればどうにかなるだろう」
女騎士「そうですね。……今夜はこの辺りで休みましょう。馬車の彼女も、ずいぶん弱っているようですから」
魔王「ああ」
女騎士「では、私は枯れ枝を拾ってきます。しばしお待ちを」 ザッ ザッ
魔王(……今の内に確認を取っておくか)
魔王「傭兵から奪った物資もある。十人も寄り集まっていればどうにかなるだろう」
女騎士「そうですね。……今夜はこの辺りで休みましょう。馬車の彼女も、ずいぶん弱っているようですから」
魔王「ああ」
女騎士「では、私は枯れ枝を拾ってきます。しばしお待ちを」 ザッ ザッ
魔王(……今の内に確認を取っておくか)
>>90
お前のせいでパンツほつれてきた
お前のせいでパンツほつれてきた
魔王「やはりそうか」
『ええ、略奪を受けたようです。独立自治を訴える種族ですから監視に留めていたのですが、死傷者も多く……』
魔王「今後について話し合う必要がある、か。……連れ去られた女を帰しに行くついでだ、俺が済ませておこう」
『私の方でも他の独立派の種族に防衛の必要性を訴えておきましょう』
魔王「頼んだぞ」
『ええ、頼まれますとも。魔王様の役に立つ事こそ私の存在意義ですので。……では』
魔王「ああ、また連絡する」
『ええ、略奪を受けたようです。独立自治を訴える種族ですから監視に留めていたのですが、死傷者も多く……』
魔王「今後について話し合う必要がある、か。……連れ去られた女を帰しに行くついでだ、俺が済ませておこう」
『私の方でも他の独立派の種族に防衛の必要性を訴えておきましょう』
魔王「頼んだぞ」
『ええ、頼まれますとも。魔王様の役に立つ事こそ私の存在意義ですので。……では』
魔王「ああ、また連絡する」
エルフ「……誰と話してたの?」
魔王「……独り言だ」
エルフ「嘘。今、魔王様って呼ばれてたわ」
魔王「……」
エルフ「お父様に取り計らってあげてもいいのよ?」
魔王「お父様?」
エルフ「私は首長の娘よ。……“穢れた魔物どもの王”でもお父様に会わせてあげられるんだから」
魔王「ああ、それはありがたいな」
エルフ「ふん、感謝してよね」
魔王(これが地か。……まあ、首長の娘は悪くない材料か。後は交渉の流れ次第だな)
魔王「……独り言だ」
エルフ「嘘。今、魔王様って呼ばれてたわ」
魔王「……」
エルフ「お父様に取り計らってあげてもいいのよ?」
魔王「お父様?」
エルフ「私は首長の娘よ。……“穢れた魔物どもの王”でもお父様に会わせてあげられるんだから」
魔王「ああ、それはありがたいな」
エルフ「ふん、感謝してよね」
魔王(これが地か。……まあ、首長の娘は悪くない材料か。後は交渉の流れ次第だな)
首長「お断りする」
魔王「ほう」
エルフ「パパっ!?」
首長「わざわざ娘を助け出して連れてくださった事は感謝するが、魔物に屈服するつもりはない」
魔王「俺はただ、この村を守護するために魔物を住まわせろと言っているだけだ。他に何の要求もしていない」
首長「信用できない、と言っているんだ。人間に襲われ、その上魔物など冗談ではない」
エルフ「どうして? この人は私を助けてくれたのよ!」
首長「人間を護衛に連れて歩く者を信用できるわけあるまい」
魔王「これでもお前達に配慮して村の入り口に待たせてあるのだが、それでも足りぬと?」
首長「当然だ。……本当に魔王かどうかも、いや、魔物かどうかすら怪しいものだ。あの人間どもの手先の可能性すらある」
魔王「ほう」
エルフ「パパっ!?」
首長「わざわざ娘を助け出して連れてくださった事は感謝するが、魔物に屈服するつもりはない」
魔王「俺はただ、この村を守護するために魔物を住まわせろと言っているだけだ。他に何の要求もしていない」
首長「信用できない、と言っているんだ。人間に襲われ、その上魔物など冗談ではない」
エルフ「どうして? この人は私を助けてくれたのよ!」
首長「人間を護衛に連れて歩く者を信用できるわけあるまい」
魔王「これでもお前達に配慮して村の入り口に待たせてあるのだが、それでも足りぬと?」
首長「当然だ。……本当に魔王かどうかも、いや、魔物かどうかすら怪しいものだ。あの人間どもの手先の可能性すらある」
エルフ「パパ、なんでそんなこと言うのっ! ……もういい、それなら私、この人に付いていくから!」
首長「せっかく戻ったというのにバカなことを言うな!」
エルフ「この人の方がパパなんかよりずっと好きだもん!」
首長「この……っ!」
魔王「……もういいだろうか?」
首長「家族の話をしているのだ、邪魔をしないでいただきたい!」
魔王「だから、俺が魔王である証拠を見せればいいのだろう」
首長「そんな物がどこにある?」
魔王「よく見ておけ。……ハァァア……アァアァ……ウァ、アァァアア……!」
首長「せっかく戻ったというのにバカなことを言うな!」
エルフ「この人の方がパパなんかよりずっと好きだもん!」
首長「この……っ!」
魔王「……もういいだろうか?」
首長「家族の話をしているのだ、邪魔をしないでいただきたい!」
魔王「だから、俺が魔王である証拠を見せればいいのだろう」
首長「そんな物がどこにある?」
魔王「よく見ておけ。……ハァァア……アァアァ……ウァ、アァァアア……!」
変容はまず瞳に現れ、血と膿を混ぜたような澱んだ色へ変化し、
やがて肌が濁った金属の光沢を帯びて、筋肉は数倍にも膨張し、
人の形を保っていた顔が醜悪な獣へと歪んでゆき、ソレは人を模して作られた空想の怪物となった。
元に倍する体躯は対面した者を威圧し、その狂気を模った瞳は見る者から正気を奪い、
ただでさえ歪な怪物に妄想のおぞましさを加える。
今や、豊かと言えないまでも感情を表現していた顔から面影は消え、
残されたのは人を恐怖せしめる無機質さだけだった。
全員が言葉を失っていた。
感情はまだ驚きにも怯えにもならず、ただ目の前の現実が信じられない故に、
皆、微動だにせず怪物を見つめていた。
その反応を確認すると怪物は大きく頷き、さきほどの変化を逆回しに、
しかし、見る者にはより不気味に――怪物が人の皮に潜り込むように――変容していった。
やがて、男が現れた。
何も変わらぬ元通りの姿で、さきほどの出来事が白昼夢であったと言うように、泰然として。
やがて肌が濁った金属の光沢を帯びて、筋肉は数倍にも膨張し、
人の形を保っていた顔が醜悪な獣へと歪んでゆき、ソレは人を模して作られた空想の怪物となった。
元に倍する体躯は対面した者を威圧し、その狂気を模った瞳は見る者から正気を奪い、
ただでさえ歪な怪物に妄想のおぞましさを加える。
今や、豊かと言えないまでも感情を表現していた顔から面影は消え、
残されたのは人を恐怖せしめる無機質さだけだった。
全員が言葉を失っていた。
感情はまだ驚きにも怯えにもならず、ただ目の前の現実が信じられない故に、
皆、微動だにせず怪物を見つめていた。
その反応を確認すると怪物は大きく頷き、さきほどの変化を逆回しに、
しかし、見る者にはより不気味に――怪物が人の皮に潜り込むように――変容していった。
やがて、男が現れた。
何も変わらぬ元通りの姿で、さきほどの出来事が白昼夢であったと言うように、泰然として。
>>98
一瞬真顔で笑ったよ
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