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元スレ雪歩「ライフ・イズ・ビューティフル」
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「ひょっとして……ナ、ナンパ屋さんですか!?」
今でも良く覚えています
これがプロデューサーと交わした、最初の言葉
そう言われたプロデューサーは、戸惑ったような表情でアタフタしてましたっけ
だけど仕方ないですよね?
街を歩いていたら、いきなり後ろから声をかけらたんですから
私、思わずお父さんに電話しちゃうとこだったんですよ?
そっか…
あれから5年も経つんですね
私、今でも覚えてますよ?
「俺、今日から765プロでプロデューサーをやらせて貰うことになりました」
プロデューサーからそう言われたときの、胸のドキドキを
今でも良く覚えています
これがプロデューサーと交わした、最初の言葉
そう言われたプロデューサーは、戸惑ったような表情でアタフタしてましたっけ
だけど仕方ないですよね?
街を歩いていたら、いきなり後ろから声をかけらたんですから
私、思わずお父さんに電話しちゃうとこだったんですよ?
そっか…
あれから5年も経つんですね
私、今でも覚えてますよ?
「俺、今日から765プロでプロデューサーをやらせて貰うことになりました」
プロデューサーからそう言われたときの、胸のドキドキを
あれは高校2年生の6月
梅雨入りして間もない、蒸し暑い日でした
プロデューサーと2人で事務所まで歩いている間、いろんなこと考えてたんですよ?
「優しい人だといいなぁ」とか、いろんなことを
もちろん、「大股で3歩」の距離は保ったままでしたけど
プロデューサーはそんな私を何度も振り返って
「歩くの早い?大丈夫?」
って聞いてくれました
「大丈夫ですぅ……」
自分でもやっと聞き取れるくらいの小さな返事にも、プロデューサーは優しく笑ってくれました
いまと同じように、優しく、優しく
梅雨入りして間もない、蒸し暑い日でした
プロデューサーと2人で事務所まで歩いている間、いろんなこと考えてたんですよ?
「優しい人だといいなぁ」とか、いろんなことを
もちろん、「大股で3歩」の距離は保ったままでしたけど
プロデューサーはそんな私を何度も振り返って
「歩くの早い?大丈夫?」
って聞いてくれました
「大丈夫ですぅ……」
自分でもやっと聞き取れるくらいの小さな返事にも、プロデューサーは優しく笑ってくれました
いまと同じように、優しく、優しく
「おかえり雪歩! プロデューサーさんもおかえりなさい!」
事務所に帰ると、春香ちゃんが元気に出迎えてくれました
その頃の765プロには、春香ちゃん、千早ちゃん、伊織ちゃん、美希ちゃん、あずささん、律子さん、それから私の7人しかいなかったんですよ?
その7人もまだまだ候補生で、厳しいレッスンを積みながら、デビューする日を心待ちにしていました
そんな時期に現れた待望のプロデューサー
みんなすっごくテンションが上がってました
もちろん私もですよ?
プロデューサーは気付いてなかったかもしれませんけど
いまと同じで鈍感でしたから!
事務所に帰ると、春香ちゃんが元気に出迎えてくれました
その頃の765プロには、春香ちゃん、千早ちゃん、伊織ちゃん、美希ちゃん、あずささん、律子さん、それから私の7人しかいなかったんですよ?
その7人もまだまだ候補生で、厳しいレッスンを積みながら、デビューする日を心待ちにしていました
そんな時期に現れた待望のプロデューサー
みんなすっごくテンションが上がってました
もちろん私もですよ?
プロデューサーは気付いてなかったかもしれませんけど
いまと同じで鈍感でしたから!
「おや、雪歩君も戻ったようだね。それではあらためて紹介しよう!」
社長に促されて照れくさそうに挨拶したプロデューサー
ああいうときはもっとビシッとしてなきゃダメなんですよ?
だけど、たどたどしく決意表明しているプロデューサーに、みんなが好感を持ったのは確かです
「あぁ、この人もまだまだ候補生なんだぁ」
って
1人のプロデューサー候補生と7人のアイドル候補生
上手くやっていけそうだって、そのときに確信しました
ウ、ウソじゃないですぅ!
社長に促されて照れくさそうに挨拶したプロデューサー
ああいうときはもっとビシッとしてなきゃダメなんですよ?
だけど、たどたどしく決意表明しているプロデューサーに、みんなが好感を持ったのは確かです
「あぁ、この人もまだまだ候補生なんだぁ」
って
1人のプロデューサー候補生と7人のアイドル候補生
上手くやっていけそうだって、そのときに確信しました
ウ、ウソじゃないですぅ!
次の日からは、プロデューサーもレッスンに同行してくれるようになりました
やっぱり、チェックしてくれる人がいると空気が引き締まります
美希ちゃんからはレッスン終了後に
「ちょっとそこの人? ミキ、ジュース飲みたい」
って言われてましたけど
ああいうときもビシッと言わなきゃダメなんですよ?
…律子さんみたいに
「ミ、ミキ、自分で買ってくる!」
頭を押さえた美希ちゃんが自動販売機の方に走って行くのを、みんなで苦笑いしながら見てたっけ
やっぱり、チェックしてくれる人がいると空気が引き締まります
美希ちゃんからはレッスン終了後に
「ちょっとそこの人? ミキ、ジュース飲みたい」
って言われてましたけど
ああいうときもビシッと言わなきゃダメなんですよ?
…律子さんみたいに
「ミ、ミキ、自分で買ってくる!」
頭を押さえた美希ちゃんが自動販売機の方に走って行くのを、みんなで苦笑いしながら見てたっけ
梅雨が明けて夏本番を迎えたころ、765プロに新しい仲間が増えました
「高槻やよいですぅ!」
夏のお日さまみたいなやよいちゃんの笑顔
最初に声をかけたのは伊織ちゃんでした
「み、水瀬伊織よ! 分からないことがあったら遠慮なく声をかけてちょうだい」
えへへ
伊織ちゃんがやよいちゃんに優しいのは、あの頃から同じだね
「高槻やよいですぅ!」
夏のお日さまみたいなやよいちゃんの笑顔
最初に声をかけたのは伊織ちゃんでした
「み、水瀬伊織よ! 分からないことがあったら遠慮なく声をかけてちょうだい」
えへへ
伊織ちゃんがやよいちゃんに優しいのは、あの頃から同じだね
「双海真美だよ!」
「同じく、双海亜美!」
私、本物の双子さんを見たのはこのときが初めてだったんですぅ!
感想は…
「ふわぁ…そ、そっくり…」
って…
うぅ…
情けない感想でごめんなさいぃ…
「左で髪を束ねてるのが真美だよ! ねっ、亜美?」
「そうそう! 『右亜美、左真美』って覚えてよねっ、おねーちゃんたち!」
…いまだに間違えちゃうのは内緒ですぅ
「同じく、双海亜美!」
私、本物の双子さんを見たのはこのときが初めてだったんですぅ!
感想は…
「ふわぁ…そ、そっくり…」
って…
うぅ…
情けない感想でごめんなさいぃ…
「左で髪を束ねてるのが真美だよ! ねっ、亜美?」
「そうそう! 『右亜美、左真美』って覚えてよねっ、おねーちゃんたち!」
…いまだに間違えちゃうのは内緒ですぅ
10人に増えた765プロ
レッスンは徐々にキツくなっていきましたけど、新しく加入した3人のおかげで張り合いも生まれました
亜美ちゃんと真美ちゃんは当時小学校6年生、やよいちゃんは中学1年生
「年少の3人には負けられない!」
って、私でも気合い入っちゃいましたから!
そうそう
亜美ちゃんと真美ちゃんから「とっても可愛い」ニックネームを付けられたのはこの頃でした
『ゆきぴょん』って…
レッスンは徐々にキツくなっていきましたけど、新しく加入した3人のおかげで張り合いも生まれました
亜美ちゃんと真美ちゃんは当時小学校6年生、やよいちゃんは中学1年生
「年少の3人には負けられない!」
って、私でも気合い入っちゃいましたから!
そうそう
亜美ちゃんと真美ちゃんから「とっても可愛い」ニックネームを付けられたのはこの頃でした
『ゆきぴょん』って…
高校2年生の8月
夏休みの課題を終わらせて事務所に向かいました
入り口のドアの前に立つと、中からは美希ちゃんがはしゃいでいる声
「ねぇねぇ! 真君って呼んでもいい?」
私にとっての、もう1人の「運命の人」
真ちゃんとの出会い
私、ちゃんと日付まで覚えてるんだよ?
あれは8月2日
その日はね…
私の人生が、また1つ豊かになった日なんだよ?
えへへ…
夏休みの課題を終わらせて事務所に向かいました
入り口のドアの前に立つと、中からは美希ちゃんがはしゃいでいる声
「ねぇねぇ! 真君って呼んでもいい?」
私にとっての、もう1人の「運命の人」
真ちゃんとの出会い
私、ちゃんと日付まで覚えてるんだよ?
あれは8月2日
その日はね…
私の人生が、また1つ豊かになった日なんだよ?
えへへ…
「はじめまして! 今日からお世話になる菊地真です!」
「は、萩原雪歩ですぅ…」
…正直に言うと、ちょっと見とれちゃいました
真ちゃんが高校の制服を着ていなかったら、男の子だと勘違いしちゃったかも
「えっと…ボク、いちおう女だからね? 制服着てるのは補講があったからで、そういう趣味なわけじゃないからね?」
「だ、大丈夫だよ!」
何が大丈夫なのか自分でも分からなかったけど、全力で取り繕った私
あのときの真ちゃんもカッコ良かったなぁ…
「は、萩原雪歩ですぅ…」
…正直に言うと、ちょっと見とれちゃいました
真ちゃんが高校の制服を着ていなかったら、男の子だと勘違いしちゃったかも
「えっと…ボク、いちおう女だからね? 制服着てるのは補講があったからで、そういう趣味なわけじゃないからね?」
「だ、大丈夫だよ!」
何が大丈夫なのか自分でも分からなかったけど、全力で取り繕った私
あのときの真ちゃんもカッコ良かったなぁ…
「えっと…」
真ちゃんに見とれてる私を見ながら、ちょっと困惑した様子のやよいちゃん
「どうしたのやよい?」
そんなやよいちゃんをいつものように気遣う伊織ちゃん
「えっと…雪歩さんて…」
「わ、私? どうしたのやよいちゃん?」
やよいちゃんの何を切り出すのか、みんなの注目が集まります
「雪歩さんて…雪歩さんて、『はぎわらさん』だったんですね!」
「えっ!?」
「私、いままで『おぎわらさん』だって思ってましたぁ!」
真ちゃんに見とれてる私を見ながら、ちょっと困惑した様子のやよいちゃん
「どうしたのやよい?」
そんなやよいちゃんをいつものように気遣う伊織ちゃん
「えっと…雪歩さんて…」
「わ、私? どうしたのやよいちゃん?」
やよいちゃんの何を切り出すのか、みんなの注目が集まります
「雪歩さんて…雪歩さんて、『はぎわらさん』だったんですね!」
「えっ!?」
「私、いままで『おぎわらさん』だって思ってましたぁ!」
うぅ…
私、出会ってから約1ヶ月の間、やよいちゃんの中で『おぎわらゆきほ』だったみたいですぅ…
「まったく、やよいらしいわね」
そう言いながら笑ってた伊織ちゃん
わ、笑い事じゃないよぅ!
『おぎわら』だったら出席番号が前の方になっちゃうんだから!
そしたら…入学式とか卒業式の席順も前の方になって…
名前呼ばれるのも前の方で…
うぅ…
やっぱり『はぎわら』が良いよぅ…
私、出会ってから約1ヶ月の間、やよいちゃんの中で『おぎわらゆきほ』だったみたいですぅ…
「まったく、やよいらしいわね」
そう言いながら笑ってた伊織ちゃん
わ、笑い事じゃないよぅ!
『おぎわら』だったら出席番号が前の方になっちゃうんだから!
そしたら…入学式とか卒業式の席順も前の方になって…
名前呼ばれるのも前の方で…
うぅ…
やっぱり『はぎわら』が良いよぅ…
その年の夏休みが終わって間もないころ
765プロに吉報がもたらされました
「いよいよ動き出した!」
と言うべきかもしれません
「みんな聞いてくれ!」
事務所に駆け込んできたプロデューサーが、荒い息使いのまま声を張り上げました
その声に吸い寄せられるように、プロデューサーの周りに集まった私たち
そんな私たちをゆっくりと見回したあと、プロデューサーが言いました
「あずささんと千早、そして美希のデビューが決まったぞ!」
765プロに吉報がもたらされました
「いよいよ動き出した!」
と言うべきかもしれません
「みんな聞いてくれ!」
事務所に駆け込んできたプロデューサーが、荒い息使いのまま声を張り上げました
その声に吸い寄せられるように、プロデューサーの周りに集まった私たち
そんな私たちをゆっくりと見回したあと、プロデューサーが言いました
「あずささんと千早、そして美希のデビューが決まったぞ!」
「デビュー…ですか…?」
呆然とした様子で小さく呟いたあずささん
千早ちゃんと美希ちゃんも、同じような表情でプロデューサーを見つめていました
ああいう顔を、「キツネにつままれたような顔」って言うんだと思います
「はい、デビューです! 小さな仕事かもしれませんけど、みんなにとって初めての、『アイドルとしてギャラを貰う』仕事です!」
「アイドルとしてギャラを貰う」
ひょっとしたら私たちは、あのときプロデューサーに言われて初めて気付いたのかもしれません
少なくとも、私はそうでした
アイドルは職業なんだ、ただのきれい事じゃなく、お給料をもらうものなんだ、って
呆然とした様子で小さく呟いたあずささん
千早ちゃんと美希ちゃんも、同じような表情でプロデューサーを見つめていました
ああいう顔を、「キツネにつままれたような顔」って言うんだと思います
「はい、デビューです! 小さな仕事かもしれませんけど、みんなにとって初めての、『アイドルとしてギャラを貰う』仕事です!」
「アイドルとしてギャラを貰う」
ひょっとしたら私たちは、あのときプロデューサーに言われて初めて気付いたのかもしれません
少なくとも、私はそうでした
アイドルは職業なんだ、ただのきれい事じゃなく、お給料をもらうものなんだ、って
私がアイドルを目指した理由
それは、「自分を変えたかったから」
ウジウジしている自分が嫌で…
情けない自分が嫌で…
ひんそーでちんちくりんな自分が嫌で…
アイドルとして頑張っていれば、少しは自分に自信が持てるかもしれない…
私のそんな甘い考えを、プロデューサーの言葉でひっぱたかれたような気がしました
私だけじゃなく、他のみんなもそうだったんじゃないかって思います
次の日のレッスンから、みんなの目の色が変わってましたから
それは、「自分を変えたかったから」
ウジウジしている自分が嫌で…
情けない自分が嫌で…
ひんそーでちんちくりんな自分が嫌で…
アイドルとして頑張っていれば、少しは自分に自信が持てるかもしれない…
私のそんな甘い考えを、プロデューサーの言葉でひっぱたかれたような気がしました
私だけじゃなく、他のみんなもそうだったんじゃないかって思います
次の日のレッスンから、みんなの目の色が変わってましたから
あずささんは通販雑誌のモデル、千早ちゃんは有名アイドルの前座、美希ちゃんは学園ドラマの生徒役
確かに小さなお仕事かもしれないけど、ステップアップには違いありません
「頑張っていれば私にも…」
そう思わせてくれるには十分でした
「では、行ってきますね」
そう言って初めてのお仕事に向かったあずささんの姿が、とっても眩しく映りました
確かに小さなお仕事かもしれないけど、ステップアップには違いありません
「頑張っていれば私にも…」
そう思わせてくれるには十分でした
「では、行ってきますね」
そう言って初めてのお仕事に向かったあずささんの姿が、とっても眩しく映りました
すっかり秋めいてきた11時
私にもついに、その時が訪れました
レッスンの休憩中にプロデューサーからかかってきた電話
『雪歩! 仕事決まったぞ!』
私、思わず飛び上がっちゃいました
「ほ、ホントですかぁ!? 私にですよね? 間違えてませんよねっ?」
『お前にだよ、萩原雪歩!!!』
このときが、私が『アイドル』になった瞬間だったのかもしれません
一緒に休憩していた真ちゃんとやよいちゃんも、まるで自分のことのみたいに喜んでくれました
私にもついに、その時が訪れました
レッスンの休憩中にプロデューサーからかかってきた電話
『雪歩! 仕事決まったぞ!』
私、思わず飛び上がっちゃいました
「ほ、ホントですかぁ!? 私にですよね? 間違えてませんよねっ?」
『お前にだよ、萩原雪歩!!!』
このときが、私が『アイドル』になった瞬間だったのかもしれません
一緒に休憩していた真ちゃんとやよいちゃんも、まるで自分のことのみたいに喜んでくれました
ただ、そのお仕事には…
深刻な…
極めて深刻な問題がありました…
『仕事内容はドッグフードのCMだ』
「…え?」
『雪歩は犬を散歩させてる女の子を演じてもらう。ちゃんと訓練されてる犬だから、犬の方が演技上手いかもな。あはは』
うぅ…
このときはまだ、誰にも言ってなかったんですぅ…
「あの…ですね、プロデューサー…」
『ん? どうした、暗い声出して?』
「私…私、犬はダメなんですぅ!」
『えっ!?』
横にいた真ちゃんとやよいちゃんも、プロデューサーと同じ反応してました…
深刻な…
極めて深刻な問題がありました…
『仕事内容はドッグフードのCMだ』
「…え?」
『雪歩は犬を散歩させてる女の子を演じてもらう。ちゃんと訓練されてる犬だから、犬の方が演技上手いかもな。あはは』
うぅ…
このときはまだ、誰にも言ってなかったんですぅ…
「あの…ですね、プロデューサー…」
『ん? どうした、暗い声出して?』
「私…私、犬はダメなんですぅ!」
『えっ!?』
横にいた真ちゃんとやよいちゃんも、プロデューサーと同じ反応してました…
レッスンを終えて事務所に帰ると、険しい顔のプロデューサーが待っていました
「ただいま戻りました…」
「お疲れさん」
「あの…私…」
「怒るつもりは無いんだが…ああいうことはもっと早く言ってくれなきゃ」
「はい…ごめんなさい…」
本気で穴掘って埋まりたくなったのは、このときが初めてだったかもしれません…
「ただいま戻りました…」
「お疲れさん」
「あの…私…」
「怒るつもりは無いんだが…ああいうことはもっと早く言ってくれなきゃ」
「はい…ごめんなさい…」
本気で穴掘って埋まりたくなったのは、このときが初めてだったかもしれません…
「まぁ…あれだ。気持ちは分かる」
「え? それはどういう…?」
私から目をそらしたプロデューサーは、窓の外を見ながら言いました
「俺も苦手なんだ、犬」
このときのプロデューサーの顔、いまでもハッキリと覚えてます
悪戯をして叱られた男の子みたいな、何となく恥ずかしそうな、そしてバツの悪そうな顔
いまでも同じ顔するときがあるんですよ?
もちろん、私に叱られたときにです。えへへ
「え? それはどういう…?」
私から目をそらしたプロデューサーは、窓の外を見ながら言いました
「俺も苦手なんだ、犬」
このときのプロデューサーの顔、いまでもハッキリと覚えてます
悪戯をして叱られた男の子みたいな、何となく恥ずかしそうな、そしてバツの悪そうな顔
いまでも同じ顔するときがあるんですよ?
もちろん、私に叱られたときにです。えへへ
「せっかくのオファーを断るわけにはいかない。それもこちらの勝手な理由で。分かるな?」
「はい…」
「撮影までにあと半月ほどある。それまでに犬嫌いを克服してもらう! 多少なりともな!」
「え、えぇ!? むむむ無理ですぅ!!!」
私、もう少しで逃げ出しちゃうところでした
だけどプロデューサーは、いつもみたいに優しく笑いながら言ってくれたんです
「俺も付き合うよ、雪歩に」
って
「はい…」
「撮影までにあと半月ほどある。それまでに犬嫌いを克服してもらう! 多少なりともな!」
「え、えぇ!? むむむ無理ですぅ!!!」
私、もう少しで逃げ出しちゃうところでした
だけどプロデューサーは、いつもみたいに優しく笑いながら言ってくれたんです
「俺も付き合うよ、雪歩に」
って
次の日の仕事終わり
私とプロデューサーは小さなペットショップを訪れました
もちろん、犬を飼い始めるためじゃありません
プロデューサーの
「最初は目を合わせるところから始めよう」
っていう提案を実行するためです
透明なアクリルで仕切られた向こう側は、10部屋ほどに区切られていました
その1部屋1部屋にはもちろん…
「い、犬ぅ!!!」
あのときのワンちゃんたち、ビックリさせてごめんなさいでした…
私とプロデューサーは小さなペットショップを訪れました
もちろん、犬を飼い始めるためじゃありません
プロデューサーの
「最初は目を合わせるところから始めよう」
っていう提案を実行するためです
透明なアクリルで仕切られた向こう側は、10部屋ほどに区切られていました
その1部屋1部屋にはもちろん…
「い、犬ぅ!!!」
あのときのワンちゃんたち、ビックリさせてごめんなさいでした…
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