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元スレほむら「ムジュラの仮面?」
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お面屋「……」
ほむら「……」
お面屋「まさか……あの仮面……」
ほむら「……」
お面屋「とり返していないとか……」
ほむら「……」
ガバッ
ほむら「!?」
お面屋は目を見開き、ほむらの襟首を掴んだ。
お面屋「なんてことをしてくれたんだ!」
ほむら「!!?」ビクッ
お面屋「あの仮面をそのままにしておけば、大変なことになる!!」
ほむら「ちょ、落ち着いて!」
ほむら「……」
お面屋「まさか……あの仮面……」
ほむら「……」
お面屋「とり返していないとか……」
ほむら「……」
ガバッ
ほむら「!?」
お面屋は目を見開き、ほむらの襟首を掴んだ。
お面屋「なんてことをしてくれたんだ!」
ほむら「!!?」ビクッ
お面屋「あの仮面をそのままにしておけば、大変なことになる!!」
ほむら「ちょ、落ち着いて!」
……
お面屋「……実はあの仮面」
しばらくしてお面屋は落ち着いたのか、ほむらから手を離し、表情も元に戻った。
お面屋「『ムジュラの仮面』といって、とある部族が呪いの儀式で使用していた仮面なのです……」
ほむら「……」
お面屋「恐ろしい力を持っています。場合によっては、このタルミナ世界が滅ぼされることにも……」
ほむら「……そうだったの」
お面屋「とにかく、一刻も早くあの仮面を取り戻してください。三日以内です」
ほむら「分かったわ」
ほむらはデクナッツの仮面を盾にしまうと、時計塔の外に出た。
お面屋「……実はあの仮面」
しばらくしてお面屋は落ち着いたのか、ほむらから手を離し、表情も元に戻った。
お面屋「『ムジュラの仮面』といって、とある部族が呪いの儀式で使用していた仮面なのです……」
ほむら「……」
お面屋「恐ろしい力を持っています。場合によっては、このタルミナ世界が滅ぼされることにも……」
ほむら「……そうだったの」
お面屋「とにかく、一刻も早くあの仮面を取り戻してください。三日以内です」
ほむら「分かったわ」
ほむらはデクナッツの仮面を盾にしまうと、時計塔の外に出た。
――クロックタウン――
ほむら「あー、怖かった……。あのお面屋、あまり怒らせない方がいいわね」
QB「しかし仮面を取り戻す、か……。魔法少女としての武器を取り戻したとはいえ、率直な意見を言うと、
今の君ではあのムジュラの仮面には勝てない」
ほむら「そんな気がするわ」
QB「君にしてはやけに素直だね」
ほむら「それに、どちらにせよ月が落ちてくるんじゃ……この世界は滅びてしまうわ」
QB「何か手段を考えないとね」
ほむら「ん? あれは……」
ほむら「あー、怖かった……。あのお面屋、あまり怒らせない方がいいわね」
QB「しかし仮面を取り戻す、か……。魔法少女としての武器を取り戻したとはいえ、率直な意見を言うと、
今の君ではあのムジュラの仮面には勝てない」
ほむら「そんな気がするわ」
QB「君にしてはやけに素直だね」
ほむら「それに、どちらにせよ月が落ちてくるんじゃ……この世界は滅びてしまうわ」
QB「何か手段を考えないとね」
ほむら「ん? あれは……」
ほむらがぼんやりポストの方を見ていると、小さな女の子がポストに近づいていった。
身長はほむらの肩より低く、黒く長い髪が腰までかかっている。顔は……狐のお面に隠されて見えなかった。
ほむら「何だか変わった風貌の子ね。狐のお面なんて……」
ほむら「……」
ほむら「狐のお面?」
ほむら「マドカが言っていた子かしら」
ほむら「確かに、あの後ろ姿はわたしに似てなくもないかも……」
ほむら「マドカ……」
ほむら「とりあえず、マドカマ亭にチェックインしましょう」
身長はほむらの肩より低く、黒く長い髪が腰までかかっている。顔は……狐のお面に隠されて見えなかった。
ほむら「何だか変わった風貌の子ね。狐のお面なんて……」
ほむら「……」
ほむら「狐のお面?」
ほむら「マドカが言っていた子かしら」
ほむら「確かに、あの後ろ姿はわたしに似てなくもないかも……」
ほむら「マドカ……」
ほむら「とりあえず、マドカマ亭にチェックインしましょう」
――マドカマ亭――
ほむら「どこか泊まれる部屋は?」
まどか「はい。2Fのこの部屋などは……」
ほむら「(こういうことには慣れたつもりでも)」
ほむら「(一度知り合った人と初対面からやり直すっていうのには虚しいものがあるわね)」
それからほむらたちは部屋に入り、一度目と同じやりとりを終えた。
ほむら「どこか泊まれる部屋は?」
まどか「はい。2Fのこの部屋などは……」
ほむら「(こういうことには慣れたつもりでも)」
ほむら「(一度知り合った人と初対面からやり直すっていうのには虚しいものがあるわね)」
それからほむらたちは部屋に入り、一度目と同じやりとりを終えた。
――マドカマ亭、ほむらの部屋――
ほむら「ねえマドカ」
マドカ「何、ほむらちゃん」
ほむら「もしあの月を止めろって言われたら、どうする?」
マドカ「え、ええっ!?」
ほむら「ごめんなさい、変な質問だったわよね」
マドカ「うーん、でも……四人の『巨人』ならなんとかできるかも!」
ほむら「『巨人』?」
マドカ「うん。おばあちゃんに読み聞かせてもらった昔話でね、タルミナの沼、山、海、谷の四か所に巨人がいて、この世界を守ってるんだって。
普段はばらばらなんだけど、世界の危機になったら、『誓いの号令』の鳴った場所に集まるとか。昔話だけどね」
ほむら「そう。ありがとう」
ほむら「ねえマドカ」
マドカ「何、ほむらちゃん」
ほむら「もしあの月を止めろって言われたら、どうする?」
マドカ「え、ええっ!?」
ほむら「ごめんなさい、変な質問だったわよね」
マドカ「うーん、でも……四人の『巨人』ならなんとかできるかも!」
ほむら「『巨人』?」
マドカ「うん。おばあちゃんに読み聞かせてもらった昔話でね、タルミナの沼、山、海、谷の四か所に巨人がいて、この世界を守ってるんだって。
普段はばらばらなんだけど、世界の危機になったら、『誓いの号令』の鳴った場所に集まるとか。昔話だけどね」
ほむら「そう。ありがとう」
>>107
ナベかま亭
ナベかま亭
ほむら「(巨人、ねえ……)」
ほむら「(そんなものがいたとしたら月が落ちてくる前に止めていたはずだけど……)」
ほむら「(最期の夜には巨人は来なかった)」
ほむら「(やっぱりただの昔話ってことなのかしら……)」
マドカ「あ、ごめんなさい。わたし夕ご飯の下ごしらえをしなきゃ……。また何かあったら呼んでね!」タタタッ
マドカは部屋を出ていった。
ほむら「キュゥべえ、今の話どう思う?」
QB「うーん、巨人と呼ばれる種族ならこの宇宙にいくらでもいるけど、それがこのタルミナという世界に存在するかどうかまでは分からないなあ」
ほむら「……でも、試してみる価値はありそうね?」
QB「そんな眉唾な話をアテにするって言うのかい?」
ほむら「たとえわずかでも可能性があればそこから潰していくのがループの基本よ。わたしは以前そうしていた」
QB「やれやれ。マドカは何と言っていたっけ……沼・山・海・谷だったかな。とりあえずそのあたりを探せばいいんだね」
ほむら「まずは、クロックタウンから出ましょう」
ほむら「(そんなものがいたとしたら月が落ちてくる前に止めていたはずだけど……)」
ほむら「(最期の夜には巨人は来なかった)」
ほむら「(やっぱりただの昔話ってことなのかしら……)」
マドカ「あ、ごめんなさい。わたし夕ご飯の下ごしらえをしなきゃ……。また何かあったら呼んでね!」タタタッ
マドカは部屋を出ていった。
ほむら「キュゥべえ、今の話どう思う?」
QB「うーん、巨人と呼ばれる種族ならこの宇宙にいくらでもいるけど、それがこのタルミナという世界に存在するかどうかまでは分からないなあ」
ほむら「……でも、試してみる価値はありそうね?」
QB「そんな眉唾な話をアテにするって言うのかい?」
ほむら「たとえわずかでも可能性があればそこから潰していくのがループの基本よ。わたしは以前そうしていた」
QB「やれやれ。マドカは何と言っていたっけ……沼・山・海・谷だったかな。とりあえずそのあたりを探せばいいんだね」
ほむら「まずは、クロックタウンから出ましょう」
――クロックタウン・門の前――
ほむら「通してもらえるかしら」
門番「おっとお嬢ちゃん、ここからは……」
ほむら「子どもは通れないのよね。ところで、沼というのはどこにあるか知ってる?」
門番「沼? ウッドフォールの沼地ならこの門を出て真っ直ぐだけど、そんなことを聞いて何を……」
カチッ
ほむら「それだけ聞ければ十分よ」
カチッ
門番「……あれ、今の子は?」
ほむら「通してもらえるかしら」
門番「おっとお嬢ちゃん、ここからは……」
ほむら「子どもは通れないのよね。ところで、沼というのはどこにあるか知ってる?」
門番「沼? ウッドフォールの沼地ならこの門を出て真っ直ぐだけど、そんなことを聞いて何を……」
カチッ
ほむら「それだけ聞ければ十分よ」
カチッ
門番「……あれ、今の子は?」
――タルミナ平原――
ほむら「とりあえず目指すのはウッドフォールの沼地ね」
キュゥべえ「……ほむら、そこの草むらから魔力を感じるよ」
ほむら「!?」
ほむらは反射的に草むらに向かって矢を射る。ほぼ同時に、悲鳴のようなものが聞こえた。
ほむら「……」
近寄ってみると、半透明のスライムのようなモンスターが倒れており、傍らには緑色の壺が転がっていた。
ほむら「何かしら、この壺……」
ほむらが壺に手を触れると、ほむらの手のソウルジェムが反応した。
ソウルジェムから穢れが離れ、壺に集まってゆく。やがて壺は砕け散った。
QB「……驚いたなぁ」
ほむら「これは一体……」
ほむら「とりあえず目指すのはウッドフォールの沼地ね」
キュゥべえ「……ほむら、そこの草むらから魔力を感じるよ」
ほむら「!?」
ほむらは反射的に草むらに向かって矢を射る。ほぼ同時に、悲鳴のようなものが聞こえた。
ほむら「……」
近寄ってみると、半透明のスライムのようなモンスターが倒れており、傍らには緑色の壺が転がっていた。
ほむら「何かしら、この壺……」
ほむらが壺に手を触れると、ほむらの手のソウルジェムが反応した。
ソウルジェムから穢れが離れ、壺に集まってゆく。やがて壺は砕け散った。
QB「……驚いたなぁ」
ほむら「これは一体……」
QB「どうやらこのモンスターが持つ魔法の壺は、グリーフシードと同様、ソウルジェムを浄化できるみたいだ。実のところ、このタルミナ世界には魔獣の気配が全くなかったからどうしようと思っていたけど……魔力に関しては心配なさそうだ」
ほむら「そうみたいね。……この草むら、火薬のにおいがする……?」
ほむらは試しに草のひとつを引っこ抜いた。すると爆弾や矢が土の中から出てきた。
ほむら「!?」
QB「それは爆弾、そっちは矢だね」
ほむら「それは分かるわよ。……全く、この世界はどうなっているのかしら」
QB「少し嬉しそうじゃないか、ほむら」
ほむら「爆弾で戦うのは得意なのよ」
ほむらは爆弾と矢を盾にしまった。
ほむら「とにかく、この世界は随分とわたしに優しく出来ているようね。さ、日が暮れないうちに行くわよ!」
ほむらたちは南へ走った。
ほむら「そうみたいね。……この草むら、火薬のにおいがする……?」
ほむらは試しに草のひとつを引っこ抜いた。すると爆弾や矢が土の中から出てきた。
ほむら「!?」
QB「それは爆弾、そっちは矢だね」
ほむら「それは分かるわよ。……全く、この世界はどうなっているのかしら」
QB「少し嬉しそうじゃないか、ほむら」
ほむら「爆弾で戦うのは得意なのよ」
ほむらは爆弾と矢を盾にしまった。
ほむら「とにかく、この世界は随分とわたしに優しく出来ているようね。さ、日が暮れないうちに行くわよ!」
ほむらたちは南へ走った。
ここから先しばらくの展開(ロックビルダンジョン攻略まで)は
「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」のシナリオにおいて、主人公「リンク」を「暁美ほむら」に置き換えただけに近いものになっていて、
まどマギとのクロスである必要性が薄れています。
よって「ムジュラの仮面」をプレイ済みの人は、すっ飛ばした方がいいかもしれません。
とりあえず各ダンジョンに進みます。
「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」のシナリオにおいて、主人公「リンク」を「暁美ほむら」に置き換えただけに近いものになっていて、
まどマギとのクロスである必要性が薄れています。
よって「ムジュラの仮面」をプレイ済みの人は、すっ飛ばした方がいいかもしれません。
とりあえず各ダンジョンに進みます。
しばらくすると、沼地に出た。
ほむら「う……沼ね。あまり気が進まないけれど、足を濡らして行くしかなさそうね」
QB「いや、気をつけて。どうやらこの沼の水は毒を持っているようだ」
ほむら「本当? なら渡れないじゃない」
QB「ほむら、お面屋に貰ったデクナッツの仮面をつけてみてくれないか」
ほむら「何で? 別にいいけど」
ほむらがデクナッツの仮面をつけるとほむらの姿がデクナッツに変わった。
QB「たしかその姿での君は非常に軽い。水面を跳ねて進むことが出来た筈だけど……それに、その軽さなら浮いている葉っぱの上にも乗ることができそうだ」
ほむら「なるほど。やってみるわ」
ほむらは水面を数回飛び跳ねて、浮いている葉っぱの上に移った。
QB「その繰り返しで進めそうじゃないか」
ほむら「そうね……。ところで、あなたはどうするの?」
QB「僕に毒は関係ないからね。泳いでついていくよ」
ほむら「あなた、泳げたのね……」
ほむら「う……沼ね。あまり気が進まないけれど、足を濡らして行くしかなさそうね」
QB「いや、気をつけて。どうやらこの沼の水は毒を持っているようだ」
ほむら「本当? なら渡れないじゃない」
QB「ほむら、お面屋に貰ったデクナッツの仮面をつけてみてくれないか」
ほむら「何で? 別にいいけど」
ほむらがデクナッツの仮面をつけるとほむらの姿がデクナッツに変わった。
QB「たしかその姿での君は非常に軽い。水面を跳ねて進むことが出来た筈だけど……それに、その軽さなら浮いている葉っぱの上にも乗ることができそうだ」
ほむら「なるほど。やってみるわ」
ほむらは水面を数回飛び跳ねて、浮いている葉っぱの上に移った。
QB「その繰り返しで進めそうじゃないか」
ほむら「そうね……。ところで、あなたはどうするの?」
QB「僕に毒は関係ないからね。泳いでついていくよ」
ほむら「あなた、泳げたのね……」
原作でもそこらから矢束や爆弾が出るのは毎回笑う
スカヲでその有り難みが分かったけど
④
スカヲでその有り難みが分かったけど
④
さらに進むと生き物が生活しているらしい建物が現れた。
――デクナッツ城――
QB「どうやらあれはデクナッツの城のようだね。どうだい、ここは一つ『巨人』について訊いてみるのもいいかもしれないよ」
ほむら「でも、怪しまれないかしら」
QB「大丈夫、今の君は彼らの仲間だし、僕の姿は基本的に見えない」
ほむらたちはデクナッツの城に入った。生物としては植物に近いデクナッツらしく、主に植物で出来た建物だった。見張りの兵士がいたが、特に何も言われなかった。
やがてほむらたちは広々とした部屋に出た。
ほむら「あの大きいのがデクナッツの王のようね」
QB「ん……あれは?」
QBの視線の先には木の棒に縛り付けられた一匹のサルがいた。
サル「放せよ~。姫をさらったのはオイラじゃないって言ってるだろ!」
デク王「許さん! この者を火あぶりにする!」
ほむら「……何だか揉めてるみたいだけど、丁度いいわ。あのサルに訊いてみましょう」
――デクナッツ城――
QB「どうやらあれはデクナッツの城のようだね。どうだい、ここは一つ『巨人』について訊いてみるのもいいかもしれないよ」
ほむら「でも、怪しまれないかしら」
QB「大丈夫、今の君は彼らの仲間だし、僕の姿は基本的に見えない」
ほむらたちはデクナッツの城に入った。生物としては植物に近いデクナッツらしく、主に植物で出来た建物だった。見張りの兵士がいたが、特に何も言われなかった。
やがてほむらたちは広々とした部屋に出た。
ほむら「あの大きいのがデクナッツの王のようね」
QB「ん……あれは?」
QBの視線の先には木の棒に縛り付けられた一匹のサルがいた。
サル「放せよ~。姫をさらったのはオイラじゃないって言ってるだろ!」
デク王「許さん! この者を火あぶりにする!」
ほむら「……何だか揉めてるみたいだけど、丁度いいわ。あのサルに訊いてみましょう」
爆弾を使い、バク転しながら天高く上ってゆくほむらちゃん
爆風を盾で防いだと思ったら、勢いよくスライドしていくほむらちゃん
爆風を盾で防いだと思ったら、勢いよくスライドしていくほむらちゃん
ほむらは目につかない物陰に隠れるとデクナッツの変身を解き、即座に時を止めてサルに接近した後、再び時間を動かした。
ほむら「いちいち人間に戻らないと時止めが使えないっていうのは面倒ね。まあここなら死角だから人間の姿でもバレないでしょう」
サル「! アンタ、いつのまにここに?」
ほむら「お困りのようね。お望みなら、あなたを解放してあげる。だけどその代わり、わたしの質問にいくつか答えてほしい」
サル「質問?」
ほむら「タルミナを守る『四巨人』が今どうしているか、知らないかしら」
サル「……『巨人』?」
ほむら「知らない? なら別にいいのだけど」
サル「い、いや! 知ってるよ。知らないわけないさ」
ほむら「本当?」
サル「ああ。オイラの願いを聞いてくれたら教えてやってもいい」
ほむら「いちいち人間に戻らないと時止めが使えないっていうのは面倒ね。まあここなら死角だから人間の姿でもバレないでしょう」
サル「! アンタ、いつのまにここに?」
ほむら「お困りのようね。お望みなら、あなたを解放してあげる。だけどその代わり、わたしの質問にいくつか答えてほしい」
サル「質問?」
ほむら「タルミナを守る『四巨人』が今どうしているか、知らないかしら」
サル「……『巨人』?」
ほむら「知らない? なら別にいいのだけど」
サル「い、いや! 知ってるよ。知らないわけないさ」
ほむら「本当?」
サル「ああ。オイラの願いを聞いてくれたら教えてやってもいい」
ほむら「願い? あなたをここから連れ出すだけじゃダメなの?」
サル「オイラは姫をさらった疑いでここに縛られてるんだ。オイラはやってない。でも姫が行方不明なのはホントのことさ。
オイラが火あぶりされるまでにはまだ時間がある。だからその前に姫を見つけてここまで連れてきてほしいんだ。そうすればオイラも解放される」
ほむら「見つけてって……どこにいるか見当もつかないのに」
サル「いや、検討はついてる。ウッドフォールの神殿のバケモンが犯人さ! ……たぶん」
ほむら「……いいわ。要するにウッドフォールの神殿に行って姫を連れ戻してくればいいのね?」
サル「ありがてえ! だけどそうだな……あと二日くらいが限界だな。その頃にはオイラも焼きサルにされてる」
ほむら「分かった。出来るだけ速やかに姫を連れ戻す」
サル「あ、待って。この歌を憶えていってほしい」
サルはデクナッツたちに聞こえぬよう、小さな声で歌った。
サル「これはデクナッツ王家に伝わる秘密の歌だ。『目覚めのソナタ』って言う。きっとウッドフォールに入るためのカギになる」
ほむら「そう、憶えておくわ」
ほむらたちはサルと約束をかわし、デクナッツ城を後にした。
サル「オイラは姫をさらった疑いでここに縛られてるんだ。オイラはやってない。でも姫が行方不明なのはホントのことさ。
オイラが火あぶりされるまでにはまだ時間がある。だからその前に姫を見つけてここまで連れてきてほしいんだ。そうすればオイラも解放される」
ほむら「見つけてって……どこにいるか見当もつかないのに」
サル「いや、検討はついてる。ウッドフォールの神殿のバケモンが犯人さ! ……たぶん」
ほむら「……いいわ。要するにウッドフォールの神殿に行って姫を連れ戻してくればいいのね?」
サル「ありがてえ! だけどそうだな……あと二日くらいが限界だな。その頃にはオイラも焼きサルにされてる」
ほむら「分かった。出来るだけ速やかに姫を連れ戻す」
サル「あ、待って。この歌を憶えていってほしい」
サルはデクナッツたちに聞こえぬよう、小さな声で歌った。
サル「これはデクナッツ王家に伝わる秘密の歌だ。『目覚めのソナタ』って言う。きっとウッドフォールに入るためのカギになる」
ほむら「そう、憶えておくわ」
ほむらたちはサルと約束をかわし、デクナッツ城を後にした。
QB「やれやれ、とんだ大仕事を引き受けたね。よかったのかい?」
ほむら「『巨人』に関する情報が手に入るなら安いものよ。それに、これから行くウッドフォールが例の『沼』なんでしょう? 散策途中に『巨人』の手がかりが見つかることも考えられる」
その後ほむらたちは、デクナッツの仮面なども利用しながら、ウッドフォールの奥地へと進んでいった。
やがてほむらたちは、祭壇のようなところで道が途切れていることに気がついた。
QB「行き止まりか」
ほむら「ここ、祭祀場のように見えるわね。あのサル……ウッドフォールの『神殿』と言っていた。
……例の『目覚めのソナタ』が神殿に入るカギになっているんじゃないかしら」
QB「そう思うなら歌ってみればいい」
ほむら「……歌うの?」
QB「それ以外に君は音楽を奏でる手段を持っていないじゃないか」
ほむら「そうだけど。……分かったわよ。……あ~あ~♪」
シーン
ほむら「……」
QB「何も起こらないね」
ほむら「……何やらせるのよ。恥ずかしいだけじゃない」
ほむら「『巨人』に関する情報が手に入るなら安いものよ。それに、これから行くウッドフォールが例の『沼』なんでしょう? 散策途中に『巨人』の手がかりが見つかることも考えられる」
その後ほむらたちは、デクナッツの仮面なども利用しながら、ウッドフォールの奥地へと進んでいった。
やがてほむらたちは、祭壇のようなところで道が途切れていることに気がついた。
QB「行き止まりか」
ほむら「ここ、祭祀場のように見えるわね。あのサル……ウッドフォールの『神殿』と言っていた。
……例の『目覚めのソナタ』が神殿に入るカギになっているんじゃないかしら」
QB「そう思うなら歌ってみればいい」
ほむら「……歌うの?」
QB「それ以外に君は音楽を奏でる手段を持っていないじゃないか」
ほむら「そうだけど。……分かったわよ。……あ~あ~♪」
シーン
ほむら「……」
QB「何も起こらないね」
ほむら「……何やらせるのよ。恥ずかしいだけじゃない」
QB「方向性としては間違ってないと思うんだけどなあ。うん、ここはデクナッツの土地だ。迷ったらとりあえず仮面をつけてみようよ」
ほむら「……そうね」
ほむらはデクナッツの姿に変身した。
ほむら「……」
QB「ねえ、ほむら。君はさっき、時止めは人間の姿じゃないと出来ないと言ったよね?
それは道具である盾がデクナッツの姿だと無くなってしまうからだと思うんだけど、魔力保存の法則的に考えて盾がなくなるってことはありえないんだよ」
ほむら「何が言いたいの?」
QB「今、君は無意識のうちに盾をしまっているだけで、強く願えば発現させられるはずなんだ。どんな状態においても」
ほむら「強く願う……ね」
瞬間、ほむらの傍らの空間が光り輝き始めた。ちょうど、魔法少女の盾を取り戻した時と同様に。やがて光は集まり、一つのラッパになった。
ほむら「……ラッパ!?」
ほむら「……そうね」
ほむらはデクナッツの姿に変身した。
ほむら「……」
QB「ねえ、ほむら。君はさっき、時止めは人間の姿じゃないと出来ないと言ったよね?
それは道具である盾がデクナッツの姿だと無くなってしまうからだと思うんだけど、魔力保存の法則的に考えて盾がなくなるってことはありえないんだよ」
ほむら「何が言いたいの?」
QB「今、君は無意識のうちに盾をしまっているだけで、強く願えば発現させられるはずなんだ。どんな状態においても」
ほむら「強く願う……ね」
瞬間、ほむらの傍らの空間が光り輝き始めた。ちょうど、魔法少女の盾を取り戻した時と同様に。やがて光は集まり、一つのラッパになった。
ほむら「……ラッパ!?」
QB「なるほど、その姿で盾を発現させるとラッパになるのか。まあ音楽もリズムによって時を動かすものだから、
魔法の方向性としては同じというわけだね」
ほむら「ここはデクナッツの地。この楽器なら、あるいは……」
ほむらはラッパを使い『目覚めのソナタ』を奏でた。吹き方は直感的に分かった。
ちょうど人間が歌を歌えるのと同じように。
メロディーの最後の響きがフェードアウトした瞬間、地響きのようなものが聞こえてきた。
ほむら「何!?」
沼の底から巨大な建造物がせり上がってきた。それは不思議な、神秘的な雰囲気を持ち、
まさに『神殿』と呼ぶのが相応しい建物だった。
ほむら「なるほど、あれがウッドフォールの神殿ね。行くわよ」
ほむらは人間の姿に戻ると、キュゥべえを肩に乗せて神殿の入口まで飛び移った。
魔法の方向性としては同じというわけだね」
ほむら「ここはデクナッツの地。この楽器なら、あるいは……」
ほむらはラッパを使い『目覚めのソナタ』を奏でた。吹き方は直感的に分かった。
ちょうど人間が歌を歌えるのと同じように。
メロディーの最後の響きがフェードアウトした瞬間、地響きのようなものが聞こえてきた。
ほむら「何!?」
沼の底から巨大な建造物がせり上がってきた。それは不思議な、神秘的な雰囲気を持ち、
まさに『神殿』と呼ぶのが相応しい建物だった。
ほむら「なるほど、あれがウッドフォールの神殿ね。行くわよ」
ほむらは人間の姿に戻ると、キュゥべえを肩に乗せて神殿の入口まで飛び移った。
神殿の中は薄暗く、ところどころ灯された明かりには蛾が群がっていた。
ほむら「う……」
QB「人間が虫に対して覚える嫌悪感というのは理解できないなあ」
ほむら「昔は部屋に蜘蛛が出ただけで泣き叫んだものよ」
QB「是非それは見てみたいね」
ほむら「黙りなさい」
ほむらたちが散策を続けると、やがて天井の高い、一際広い部屋に辿りついた。
ほむら「神殿というからには、ここにご本尊でもあるのかしら」
ヤー…… ヤー……
どこからか、人の声とも獣の咆哮ともつかないような音が近づいてきた。
ほむら「っ!?」
ほむらは反射的に身をかわした。つい今までほむらが立っていたところは、巨大な剣の斬撃を受け、床石が砕け散っていた。
ほむらが視線をもどすと、体中に入れ墨のような模様が入った、盾と剣を持った人型の怪物がいた。
ほむら「う……」
QB「人間が虫に対して覚える嫌悪感というのは理解できないなあ」
ほむら「昔は部屋に蜘蛛が出ただけで泣き叫んだものよ」
QB「是非それは見てみたいね」
ほむら「黙りなさい」
ほむらたちが散策を続けると、やがて天井の高い、一際広い部屋に辿りついた。
ほむら「神殿というからには、ここにご本尊でもあるのかしら」
ヤー…… ヤー……
どこからか、人の声とも獣の咆哮ともつかないような音が近づいてきた。
ほむら「っ!?」
ほむらは反射的に身をかわした。つい今までほむらが立っていたところは、巨大な剣の斬撃を受け、床石が砕け散っていた。
ほむらが視線をもどすと、体中に入れ墨のような模様が入った、盾と剣を持った人型の怪物がいた。
密林仮面戦士 オドルワ
ほむら「邪神も神……ってわけね。魔獣のようなものだと受け取らせてもらうわ」
ほむらは間髪いれずにオドルワに矢を打ち込んだ。オドルワは一瞬怯んだ様子を見せたが構わず剣で攻撃してきた。
ほむら「矢のダメージは少ないみたいね……」
次の瞬間、オドルワが今までとは違った高さの声を上げた。それは何かに合図しているようにも聞こえた。
ほむら「なっ!?」
蛾の大群がほむらを襲ってきた。オドルワが声で操っていたのは虫だった。
ほむら「いやっ! 近寄らないで!」
ほむらは手で蛾を払いのけたが、虫の勢いは衰えなかった。蛾といっても凄まじい勢いで突っ込んでくるので物理的なダメージも大きかった。
QB「僕は虫に怯える君を早くも見られて満足しているんだけど」
ほむら「殺されたいのっ!?」
QB「いや。その辺りに生えている爆弾は、虫を散らすのには効果的じゃないかなって」
ほむら「そういうことは……早く言いなさい!」
ほむら「邪神も神……ってわけね。魔獣のようなものだと受け取らせてもらうわ」
ほむらは間髪いれずにオドルワに矢を打ち込んだ。オドルワは一瞬怯んだ様子を見せたが構わず剣で攻撃してきた。
ほむら「矢のダメージは少ないみたいね……」
次の瞬間、オドルワが今までとは違った高さの声を上げた。それは何かに合図しているようにも聞こえた。
ほむら「なっ!?」
蛾の大群がほむらを襲ってきた。オドルワが声で操っていたのは虫だった。
ほむら「いやっ! 近寄らないで!」
ほむらは手で蛾を払いのけたが、虫の勢いは衰えなかった。蛾といっても凄まじい勢いで突っ込んでくるので物理的なダメージも大きかった。
QB「僕は虫に怯える君を早くも見られて満足しているんだけど」
ほむら「殺されたいのっ!?」
QB「いや。その辺りに生えている爆弾は、虫を散らすのには効果的じゃないかなって」
ほむら「そういうことは……早く言いなさい!」
ほむらが地面に埋まっている爆弾を引っこ抜き、投げると、虫は四方に散っていった。
ほむら「やっと落ち着けたわ。爆弾も補充して……時を止めるわよ」
ほむらの能力により、タルミナの時が止まった。
ほむら「矢でも少しは食らってくれるんだから、爆弾ならもっと効きそうね」
ほむらはオドルワの周囲に無数の爆弾を投げつけ、時を動かした。瞬間、オドルワの周りで連鎖的な爆発が起こった。
ほむら「……静かになったわね」
オドルワを包んでいた炎が消えたと思うと、虫は本能を思い出したかのように明かりに集まり、部屋を再び静寂が覆った。
ほむら「倒したのかしら」
ほむらがオドルワのいた場所に近づくと、仮面のようなものが落ちていた。それは先ほどまでほむらが見ていたオドルワの顔だった。
ほむら「仮面……。亡骸とも言えるかしら」
魔力はもはや感じられなかったので、ほむらはオドルワの亡骸を盾にしまい込んだ。
ほむら「やっと落ち着けたわ。爆弾も補充して……時を止めるわよ」
ほむらの能力により、タルミナの時が止まった。
ほむら「矢でも少しは食らってくれるんだから、爆弾ならもっと効きそうね」
ほむらはオドルワの周囲に無数の爆弾を投げつけ、時を動かした。瞬間、オドルワの周りで連鎖的な爆発が起こった。
ほむら「……静かになったわね」
オドルワを包んでいた炎が消えたと思うと、虫は本能を思い出したかのように明かりに集まり、部屋を再び静寂が覆った。
ほむら「倒したのかしら」
ほむらがオドルワのいた場所に近づくと、仮面のようなものが落ちていた。それは先ほどまでほむらが見ていたオドルワの顔だった。
ほむら「仮面……。亡骸とも言えるかしら」
魔力はもはや感じられなかったので、ほむらはオドルワの亡骸を盾にしまい込んだ。
ほむら「姫をさらった化け物というのはこいつのことよね。なら近くに姫はいるはず……ん?」
気がつくと、天井からほむらの立ち位置に向けて光が差していた。
ほむら「……?」
次の瞬間、ほむらは今までの神殿とは違う、幻想的な空間にいた。
ほむら「あれ、わたし……ウッドフォールの神殿にいた筈じゃ……」
QB「ほむら! あれは……」
ほむら「!」
霞の奥に、人影が見えた。大きい。ほむらやタルミナの人間とは比べ物にならない程大きい。しかし人の形をしているから、
それは『巨人』と呼ぶべきだろう。
ほむら「まさか、あれが神話の『巨人』……!? さっきの化け物の魔力によって閉じ込められていたのかしら」
QB「……何か言っているみたいだ」
「よ・ん・で」
QB「『呼んで』?」
気がつくと、天井からほむらの立ち位置に向けて光が差していた。
ほむら「……?」
次の瞬間、ほむらは今までの神殿とは違う、幻想的な空間にいた。
ほむら「あれ、わたし……ウッドフォールの神殿にいた筈じゃ……」
QB「ほむら! あれは……」
ほむら「!」
霞の奥に、人影が見えた。大きい。ほむらやタルミナの人間とは比べ物にならない程大きい。しかし人の形をしているから、
それは『巨人』と呼ぶべきだろう。
ほむら「まさか、あれが神話の『巨人』……!? さっきの化け物の魔力によって閉じ込められていたのかしら」
QB「……何か言っているみたいだ」
「よ・ん・で」
QB「『呼んで』?」
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