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元スレほむら「私は幸せ――」
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まどか「クッキーおいしいね、ほむらちゃん」
ほむら「ええ、とっても」
ほむらはまどかの部屋にいた。
だだだだだ、という足音に反応したまどかが口を開けて見たドアが勢いよく開き、
さやか「まどかーっ聞いてよう!」
さやかが飛び込んできた。
その後ろから続いた杏子が、よ、と手を挙げて挨拶する。
ほむら「相変わらずひとりで騒がしいわね美樹さやか」
さやか「おあっ、ほむらもいたのか! 聞いてよう、恭介のところに遊びにいったらこいつが居たの!」
言いながら杏子を指す。
杏子はめんどくさそうに喉を掻いた。
ほむら「ええ、とっても」
ほむらはまどかの部屋にいた。
だだだだだ、という足音に反応したまどかが口を開けて見たドアが勢いよく開き、
さやか「まどかーっ聞いてよう!」
さやかが飛び込んできた。
その後ろから続いた杏子が、よ、と手を挙げて挨拶する。
ほむら「相変わらずひとりで騒がしいわね美樹さやか」
さやか「おあっ、ほむらもいたのか! 聞いてよう、恭介のところに遊びにいったらこいつが居たの!」
言いながら杏子を指す。
杏子はめんどくさそうに喉を掻いた。
杏子「なんなんだよ。アタシがキョースケの部屋にいたらだめなのか」
さやか「だめでしょーっ! 年若い男女がふたりきりなんて、恋人でもないのにそんなの!」
まどか「さやかちゃん落ち着いて」
杏子「それを言ったら、アタシがいなけりゃさやかがそうなってたろうさ」
ほむら「実に的確な反論ね」
さやか「ほむら、あんたどっちの味方なの!」
ほむら「私は冷静なひとの味方で、美樹さやかという馬鹿の敵よ」
さやか「うわーんほむらが裏切ったー! まどかぁ、あたしの味方はあんただけだよー」
まどか「だいじょうぶ、わたしはいつでもさやかちゃんの味方だよ」
さやか「だめでしょーっ! 年若い男女がふたりきりなんて、恋人でもないのにそんなの!」
まどか「さやかちゃん落ち着いて」
杏子「それを言ったら、アタシがいなけりゃさやかがそうなってたろうさ」
ほむら「実に的確な反論ね」
さやか「ほむら、あんたどっちの味方なの!」
ほむら「私は冷静なひとの味方で、美樹さやかという馬鹿の敵よ」
さやか「うわーんほむらが裏切ったー! まどかぁ、あたしの味方はあんただけだよー」
まどか「だいじょうぶ、わたしはいつでもさやかちゃんの味方だよ」
ほむら「佐倉杏子。貴女ずいぶんと上條恭介と仲がいいのね」
杏子「はー? 家に遊びにいくくらいならほむらん家にだって行くだろ」
杏子はポケットからグミを取り出して口に放り入れた。
ほむら「いえ、私と上條恭介では大きな違いが……」
杏子「キョースケの部屋にはダーツがあるからな。ほむらん家はなんもねーからつまらん」
さやか「ダーツ? なにそれ、あたしもやりたい」
杏子「あー? だったらそう言やいいじゃんかよ。なんでまどかん家までこなきゃいけねーんだ」
さやか「だって! 恭介の部屋に入ったらあんたが居たからびっくりしたの! 靴もなかったのに!」
杏子「はー? 家に遊びにいくくらいならほむらん家にだって行くだろ」
杏子はポケットからグミを取り出して口に放り入れた。
ほむら「いえ、私と上條恭介では大きな違いが……」
杏子「キョースケの部屋にはダーツがあるからな。ほむらん家はなんもねーからつまらん」
さやか「ダーツ? なにそれ、あたしもやりたい」
杏子「あー? だったらそう言やいいじゃんかよ。なんでまどかん家までこなきゃいけねーんだ」
さやか「だって! 恭介の部屋に入ったらあんたが居たからびっくりしたの! 靴もなかったのに!」
杏子「なんか窓から入るのがフツーみてーになっちまってな」
ほむら「貴女なにやってるのよ……」
まどか「行儀悪いよ杏子ちゃん」
杏子「うっうっせーな、キョースケだって別にかまわねーっつってたからいいだろーが」
ほむら「どうみても不審者です本当にありがとうございました」
さやか「そんで杏―――子を引っ張ってきたの」
ほむらはばっとさやかのほうを向いた。
一瞬、さやかの言葉が途切れたように聞こえた。
しかし他の誰も違和感を覚えなかったようだった。
杏子「なーもういいだろ、キョースケもなんか心配してるし」
ケータイを見ながらそう言う杏子。
ほむら「貴女なにやってるのよ……」
まどか「行儀悪いよ杏子ちゃん」
杏子「うっうっせーな、キョースケだって別にかまわねーっつってたからいいだろーが」
ほむら「どうみても不審者です本当にありがとうございました」
さやか「そんで杏―――子を引っ張ってきたの」
ほむらはばっとさやかのほうを向いた。
一瞬、さやかの言葉が途切れたように聞こえた。
しかし他の誰も違和感を覚えなかったようだった。
杏子「なーもういいだろ、キョースケもなんか心配してるし」
ケータイを見ながらそう言う杏子。
さやかは愕然とした。
さやか「あんた恭介とメールしてんの……?」
杏子「そうだけど、なんなんだよさっきから。……ほむら?」
杏子が怪訝そうにこちらを向いている。
まどか「ほむらちゃん、どうかしたの?」
さやか「はっはーん、これはあれですな、見滝原一の美少女さやかちゃんに見とれちゃってるんですな!」
我に帰る。
ほむら「……ええ、貴女の愚かさに驚きを隠せなかったの」
さやか「クールビューティほむらが驚きを隠せないなんて、どれほどの美しさなのでしょうか! 美しいって罪なものね……」
ほむら「悪いのは耳かしら、頭かしら。それとも両方?」
さやか「ほむらは愛想が悪いと思う」
ほむら「私の話じゃないのよ! えっ愛想悪い?」
さやか「あんた恭介とメールしてんの……?」
杏子「そうだけど、なんなんだよさっきから。……ほむら?」
杏子が怪訝そうにこちらを向いている。
まどか「ほむらちゃん、どうかしたの?」
さやか「はっはーん、これはあれですな、見滝原一の美少女さやかちゃんに見とれちゃってるんですな!」
我に帰る。
ほむら「……ええ、貴女の愚かさに驚きを隠せなかったの」
さやか「クールビューティほむらが驚きを隠せないなんて、どれほどの美しさなのでしょうか! 美しいって罪なものね……」
ほむら「悪いのは耳かしら、頭かしら。それとも両方?」
さやか「ほむらは愛想が悪いと思う」
ほむら「私の話じゃないのよ! えっ愛想悪い?」
杏子「おらさっさと行くぞ阿呆」
さやか「ちょちょちょ杏子さんスカートひっぱるの辞めてもらっていいですか」
なんやかやと賑やかに二人が退室。
ほむらとまどかは顔を見合わせて笑った。
ほむら「それにしても杏子、ケータイなんて持っていたのね」
まどか「パパが持たせたんだよ。連絡が取れるようにするために」
杏子は一週間ほど前に鹿目家に正式に養子縁組され、法的にはまどかの姉になったのである。
ただし生活はあまり変わらず、寝るところが決まったというくらいだが。
きちんとした住所があることで杏子はバイトを始めることができた。
ほむら「根無し草のままじゃ今までの生き方から抜けられないものね」
まどか「わたしはお姉ちゃんができて嬉しいなあ」
まどかはふわふわと笑った。
それを見て幸せな気持ちになったほむらは、先ほどの妙な出来事をすっかり忘れた。
さやか「ちょちょちょ杏子さんスカートひっぱるの辞めてもらっていいですか」
なんやかやと賑やかに二人が退室。
ほむらとまどかは顔を見合わせて笑った。
ほむら「それにしても杏子、ケータイなんて持っていたのね」
まどか「パパが持たせたんだよ。連絡が取れるようにするために」
杏子は一週間ほど前に鹿目家に正式に養子縁組され、法的にはまどかの姉になったのである。
ただし生活はあまり変わらず、寝るところが決まったというくらいだが。
きちんとした住所があることで杏子はバイトを始めることができた。
ほむら「根無し草のままじゃ今までの生き方から抜けられないものね」
まどか「わたしはお姉ちゃんができて嬉しいなあ」
まどかはふわふわと笑った。
それを見て幸せな気持ちになったほむらは、先ほどの妙な出来事をすっかり忘れた。
翌日の昼。学校にて。
さやか「でさぁ、杏子が恭介に、さやかが恭介ん家に来たらだめだって言う、とか言うわけですよー」
まどか「杏子ちゃん、たぶんなんにもわかってないよ」
ほむら「貴女の気持ちは知っているのにね。自分を結び付けて考えないんでしょう」
さやか「それで恭介も、そっかー困ったね。なんでなんだろう? とかにこにこして言うのっ。あたしにどうしろと!」
ほむら「どうしろもなにも貴女の発言じゃない。好きにすればいいわ」
さやか「なんか杏子のやつ、恭介のおじさんおばさんとも仲良くなってるし……」
まどか「杏子ちゃんはひとと仲良くなるの得意なんだね」
ほむら「すこぶる意外なことにね。それにしても、そんなに嫉妬しているとソウルジェムが濁るわよ」
さやか「し、嫉妬!? そっそんなんじゃないってば」
さやか「でさぁ、杏子が恭介に、さやかが恭介ん家に来たらだめだって言う、とか言うわけですよー」
まどか「杏子ちゃん、たぶんなんにもわかってないよ」
ほむら「貴女の気持ちは知っているのにね。自分を結び付けて考えないんでしょう」
さやか「それで恭介も、そっかー困ったね。なんでなんだろう? とかにこにこして言うのっ。あたしにどうしろと!」
ほむら「どうしろもなにも貴女の発言じゃない。好きにすればいいわ」
さやか「なんか杏子のやつ、恭介のおじさんおばさんとも仲良くなってるし……」
まどか「杏子ちゃんはひとと仲良くなるの得意なんだね」
ほむら「すこぶる意外なことにね。それにしても、そんなに嫉妬しているとソウルジェムが濁るわよ」
さやか「し、嫉妬!? そっそんなんじゃないってば」
マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
こんな感じの旧QB蘇生キュゥマミ魔法少女全員生存ワルプルギス撃破誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
マミ「今日も紅茶が美味しいわ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1304834183/1
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
こんな感じの旧QB蘇生キュゥマミ魔法少女全員生存ワルプルギス撃破誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
マミ「今日も紅茶が美味しいわ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1304834183/1
まどか「羨ましいんだよね、さやかちゃん」
さやか「ち、ちがっ……や、そーゆーのもあるかもしんないけど……なんてゆうかね、あたしのときとは違う恭介がいる、みたいな……」
机にだらりんと上体を投げ出すさやかに、ふたりは同時にため息をついた。
さやか「な、なにさ」
まどか「きっと、仁美ちゃんも同じようなことを思ってたと思うよ」
ほむら「貴女は自分がどれだけ幸せなポジションにいるかわかっていないようね」
さやか「どゆこと?」
さやかが小首を傾げて停止した。
ほむら「さやか?」
いつのまにか教室のざわめきが消えている。
まどかも笑顔のまま動かない。
ほむら「なに……これは……」
さやか「ち、ちがっ……や、そーゆーのもあるかもしんないけど……なんてゆうかね、あたしのときとは違う恭介がいる、みたいな……」
机にだらりんと上体を投げ出すさやかに、ふたりは同時にため息をついた。
さやか「な、なにさ」
まどか「きっと、仁美ちゃんも同じようなことを思ってたと思うよ」
ほむら「貴女は自分がどれだけ幸せなポジションにいるかわかっていないようね」
さやか「どゆこと?」
さやかが小首を傾げて停止した。
ほむら「さやか?」
いつのまにか教室のざわめきが消えている。
まどかも笑顔のまま動かない。
ほむら「なに……これは……」
がたりと音をたてて立ち上がり、辺りを見回すほむら。
止まっている。すべてが。
ほむらは時間停止の魔法など使っていない。
目眩がする。
まどか「――さやかちゃんは幼なじみだからね。……? ほむらちゃんどうしたの?」
ざわめきが戻る。
世界は動いている。
さやか「なんで立ってんの? つかいつの間に立ったの」
ほむらは腰を下ろした。
ほむら「今……時間が止まっていたわ」
さやか「はい? なんで?」
ほむら「私が聞きたいわ」
止まっている。すべてが。
ほむらは時間停止の魔法など使っていない。
目眩がする。
まどか「――さやかちゃんは幼なじみだからね。……? ほむらちゃんどうしたの?」
ざわめきが戻る。
世界は動いている。
さやか「なんで立ってんの? つかいつの間に立ったの」
ほむらは腰を下ろした。
ほむら「今……時間が止まっていたわ」
さやか「はい? なんで?」
ほむら「私が聞きたいわ」
まどか「ほむらちゃんじゃないんだね。どれくらいの時間?」
ほむら「30秒ほど、かしら」
さやか「魔法が誤作動とか、ないか。あはは」
ほむら「あはは、じゃないわよ……。実は、昨日もあったの」
さやか「んーでも、あたしらにはわかんないし、すぐ戻るんでしょ? だいじょぶだいじょぶ」
ほむら「貴女ひとごとだと思って……!」
まどか「まぁまぁほむらちゃん。もうちょっと様子を見ようよ」
予鈴が鳴った。
ほむら「30秒ほど、かしら」
さやか「魔法が誤作動とか、ないか。あはは」
ほむら「あはは、じゃないわよ……。実は、昨日もあったの」
さやか「んーでも、あたしらにはわかんないし、すぐ戻るんでしょ? だいじょぶだいじょぶ」
ほむら「貴女ひとごとだと思って……!」
まどか「まぁまぁほむらちゃん。もうちょっと様子を見ようよ」
予鈴が鳴った。
放課後である。
5人は巴宅に集まっていた。
杏子「で、今日はなんなのさ」
ソファのうえであぐらをかいた杏子はポッキーをくわえながら言った。
さやか「魔獣退治の作戦会議っていったでしょーっ」
杏子の隣にさやかが座り、テーブルをはさんでほむらが立っている。
ほむらは白板を軽く叩いた。
ほむら「5人での戦い方を説明するわ。今までは手当たり次第に各々が魔獣にあたっていたけれど、まずこれを変えるわ」
まどかが紅茶を入れたカップを運んできた。
まどか「みんなの戦い方は違うから、ぶつかりあっちゃうこともあるけど、組み合わせればもっと強くなれるはずだよ」
マミ「協力すれば、ばらばらに戦うより強いのよね」
お茶受けを運んできたマミに、そうです、とまどかが応えた。
5人は巴宅に集まっていた。
杏子「で、今日はなんなのさ」
ソファのうえであぐらをかいた杏子はポッキーをくわえながら言った。
さやか「魔獣退治の作戦会議っていったでしょーっ」
杏子の隣にさやかが座り、テーブルをはさんでほむらが立っている。
ほむらは白板を軽く叩いた。
ほむら「5人での戦い方を説明するわ。今までは手当たり次第に各々が魔獣にあたっていたけれど、まずこれを変えるわ」
まどかが紅茶を入れたカップを運んできた。
まどか「みんなの戦い方は違うから、ぶつかりあっちゃうこともあるけど、組み合わせればもっと強くなれるはずだよ」
マミ「協力すれば、ばらばらに戦うより強いのよね」
お茶受けを運んできたマミに、そうです、とまどかが応えた。
ほむら「基本的な陣形は縦隊よ」
ほむらが白板に、丸を縦にいつつ並べた。
まどかはカップを手渡していく。
まどか「はい、杏子ちゃん」
ほむら「佐倉杏子は前衛。索敵、突破が主な任務よ」
杏子「先頭か、いいね」
まどか「はい、マミさん」
ほむら「巴マミは砲兵。前衛より広い視野で敵陣を打ち崩すのが役目」
マミ「佐倉さん、貴女の背中は私が守るわ!」
まどか「はい、さやかちゃん」
ほむら「美樹さやかは主隊扱いね。敵を打撃し、討ち滅ぼすのよ」
さやか「めっちゃメインっぽいの来た! さやかちゃん大勝利!」
まどか「はい、ほむらちゃん」
ほむら「私が後衛。後方の警戒、全体の補佐を担当するわ」
ほむらが白板に、丸を縦にいつつ並べた。
まどかはカップを手渡していく。
まどか「はい、杏子ちゃん」
ほむら「佐倉杏子は前衛。索敵、突破が主な任務よ」
杏子「先頭か、いいね」
まどか「はい、マミさん」
ほむら「巴マミは砲兵。前衛より広い視野で敵陣を打ち崩すのが役目」
マミ「佐倉さん、貴女の背中は私が守るわ!」
まどか「はい、さやかちゃん」
ほむら「美樹さやかは主隊扱いね。敵を打撃し、討ち滅ぼすのよ」
さやか「めっちゃメインっぽいの来た! さやかちゃん大勝利!」
まどか「はい、ほむらちゃん」
ほむら「私が後衛。後方の警戒、全体の補佐を担当するわ」
杏子「むぐむぐ……で?」
お菓子をほおばる杏子。
ほむら「魔獣はしばしば集団で現れる。でも組織化されておらず、頭となる個体がいるわけでもない。となると魔獣退治というのは、殲滅戦になる」
魔獣は群れるという点において、魔女とおおきく異なる。
群れる相手は同種が多いが、異種の場合もあり、規則性は不明である。
魔女相手ならば魔女さえ倒せば使い魔も結界とともに消え去っていた。
だが魔獣はそれぞれが独立している。全滅させる近道はないのだ。
ほむら「だから、戦闘教義は各個撃破よ。杏子が接敵し、マミが使い魔を排除し、さやかがとどめを刺す。この繰り返し」
杏子「二体以上がかかってきたら? 挟み撃ちされたらどーすんだよ」
ほむら「同じよ。一体に攻撃をしかけて、それを倒してから次に移る。要は倒したいところに美樹さやかを割り振るの。それで戦闘力の重点を調節する」
杏子「はーん、なるほどね。だからこいつが主隊ってわけか」
ほむら「そうよ。ローマのレギオンを魔法少女向けにアレンジしたの」
マミ「レギオン……いい響きね。さしずめ、プエラ・マギ・レギオン、といったところかしら。それともレギオン・マギカ?」
お菓子をほおばる杏子。
ほむら「魔獣はしばしば集団で現れる。でも組織化されておらず、頭となる個体がいるわけでもない。となると魔獣退治というのは、殲滅戦になる」
魔獣は群れるという点において、魔女とおおきく異なる。
群れる相手は同種が多いが、異種の場合もあり、規則性は不明である。
魔女相手ならば魔女さえ倒せば使い魔も結界とともに消え去っていた。
だが魔獣はそれぞれが独立している。全滅させる近道はないのだ。
ほむら「だから、戦闘教義は各個撃破よ。杏子が接敵し、マミが使い魔を排除し、さやかがとどめを刺す。この繰り返し」
杏子「二体以上がかかってきたら? 挟み撃ちされたらどーすんだよ」
ほむら「同じよ。一体に攻撃をしかけて、それを倒してから次に移る。要は倒したいところに美樹さやかを割り振るの。それで戦闘力の重点を調節する」
杏子「はーん、なるほどね。だからこいつが主隊ってわけか」
ほむら「そうよ。ローマのレギオンを魔法少女向けにアレンジしたの」
マミ「レギオン……いい響きね。さしずめ、プエラ・マギ・レギオン、といったところかしら。それともレギオン・マギカ?」
杏子「あのさー、この場合、指揮官は誰になるわけ? どこにさやかを動かすか、誰が判断すんの? まさかこいつじゃないよね」
さやかを指す杏子。
さやか「ちょっと、どういう意味よ杏子」
ほむら「安心して。それはないわ」
さやか「ほむらまで!」
ほむら「全体の指揮はまどかが務めるわ」
「え!」「ほー?」「そうなるかしらね」
まどか「えへへ。マミさんにお願いしようかとも思ったんですけど、負担が大きいかなと」
ほむら「私は指揮に向いていないし」
「そうだね」「そうだな」
ほむら「全肯定されると傷つくのだけれど」
さやかを指す杏子。
さやか「ちょっと、どういう意味よ杏子」
ほむら「安心して。それはないわ」
さやか「ほむらまで!」
ほむら「全体の指揮はまどかが務めるわ」
「え!」「ほー?」「そうなるかしらね」
まどか「えへへ。マミさんにお願いしようかとも思ったんですけど、負担が大きいかなと」
ほむら「私は指揮に向いていないし」
「そうだね」「そうだな」
ほむら「全肯定されると傷つくのだけれど」
さやか「そんでさ、まどかはもう魔法少女じゃないけど、だいじょうぶなの?」
まどか「うーん、たしかにわたしは願いを叶えるだけで魔力を使いきっちゃったからね」
ほむら「まどかは私が護る。護ってみせる!」
さやか「お、おう……」
マミ「暁美さんが護ってくれるなら安心ね。まるで騎士とお姫様みたい、ふふっ」
まどか「そういうわけで、次はこんな感じで戦ってみよう! なにかあったら言ってね」
マミ「さて! それじゃあチーム名と作戦名を決めましょう!」
さやか「マミさんいきなりテンションあがりましたね」
張り切りだしたマミのうしろで、杏子はまどかに近寄った。
杏子「おいまどか。さっきの、まどかが考えたのか? うちにいるときは全然そんな様子見せなかったじゃねーかよ」
まどか「ほむらちゃんと相談しながら決めたんだ。ほむらちゃん家にはそういうことに関する本がたくさんあるんだよ」
杏子「へェー。そんじゃ、まどかに任せるからな。頼んだ」
まどか「うん、頼まれた!」
まどか「うーん、たしかにわたしは願いを叶えるだけで魔力を使いきっちゃったからね」
ほむら「まどかは私が護る。護ってみせる!」
さやか「お、おう……」
マミ「暁美さんが護ってくれるなら安心ね。まるで騎士とお姫様みたい、ふふっ」
まどか「そういうわけで、次はこんな感じで戦ってみよう! なにかあったら言ってね」
マミ「さて! それじゃあチーム名と作戦名を決めましょう!」
さやか「マミさんいきなりテンションあがりましたね」
張り切りだしたマミのうしろで、杏子はまどかに近寄った。
杏子「おいまどか。さっきの、まどかが考えたのか? うちにいるときは全然そんな様子見せなかったじゃねーかよ」
まどか「ほむらちゃんと相談しながら決めたんだ。ほむらちゃん家にはそういうことに関する本がたくさんあるんだよ」
杏子「へェー。そんじゃ、まどかに任せるからな。頼んだ」
まどか「うん、頼まれた!」
夢を見た。
ワルプルギスの夜に破壊され、瓦礫の山となった見滝原。
私は倒れたまどかの隣に座り込んでいる。
ほむら「どうして……鹿目さん……、死んじゃうって、わかってたのに……」
ぽろぽろと零れる涙が眼鏡を濡らす。
そのとき。
まどか「ほむらちゃんのせいだよ……」
死んでいるはずのまどかが口を開いた。
どす黒く濁った瞳は硬直した私を見つめている。
まどか「ほむらちゃんさえいなければわたしは逃げられたのに……、戦わなくてよかったのに」
ほむら「か、かな――」
ワルプルギスの夜に破壊され、瓦礫の山となった見滝原。
私は倒れたまどかの隣に座り込んでいる。
ほむら「どうして……鹿目さん……、死んじゃうって、わかってたのに……」
ぽろぽろと零れる涙が眼鏡を濡らす。
そのとき。
まどか「ほむらちゃんのせいだよ……」
死んでいるはずのまどかが口を開いた。
どす黒く濁った瞳は硬直した私を見つめている。
まどか「ほむらちゃんさえいなければわたしは逃げられたのに……、戦わなくてよかったのに」
ほむら「か、かな――」
まどか「ほむらちゃんのせいで死んじゃった、……憎い、憎いよう……」
ほむら「ご、ごめんなさい……」
ゆっくりと、まどかの手が伸びる。
私の膝から這い上がるように、その手が私の首にかかる。
ほむら「ま、まど、か……」
死人はいつのまにか私を正面から見つめている。
虚ろな双眸からは死の香りがした。
まどか「ほむらちゃんが憎い――死んでしまえば――死んでしまえばいいのに……!」
恐ろしい力で私の首が絞められる。
痛い。
苦しい。
視界が暗くなっていく。
ほむら「や、め……て……」
意識が途切れる寸前、まどかがにっこりと笑んだのが見えた。
ほむら「ご、ごめんなさい……」
ゆっくりと、まどかの手が伸びる。
私の膝から這い上がるように、その手が私の首にかかる。
ほむら「ま、まど、か……」
死人はいつのまにか私を正面から見つめている。
虚ろな双眸からは死の香りがした。
まどか「ほむらちゃんが憎い――死んでしまえば――死んでしまえばいいのに……!」
恐ろしい力で私の首が絞められる。
痛い。
苦しい。
視界が暗くなっていく。
ほむら「や、め……て……」
意識が途切れる寸前、まどかがにっこりと笑んだのが見えた。
ほむら「……! はぁっ、はぁ……!」
ほむらは目を覚ました。
思わず首元を押さえるが、なにもあるはずがない。
じっとりと、パジャマが肌に張り付いている。
いまだ心臓は高鳴りを止めない。
ほむら「なんて、ひどい夢……」
呟くうちにも急速に夢の記憶は薄れていき、悪夢という輪郭しか残らなかった。
ようやく動悸がおさまり、ほむらはゆっくりと息を吐いて時計を見た。
ほむら「……遅刻!」
ほむらは目を覚ました。
思わず首元を押さえるが、なにもあるはずがない。
じっとりと、パジャマが肌に張り付いている。
いまだ心臓は高鳴りを止めない。
ほむら「なんて、ひどい夢……」
呟くうちにも急速に夢の記憶は薄れていき、悪夢という輪郭しか残らなかった。
ようやく動悸がおさまり、ほむらはゆっくりと息を吐いて時計を見た。
ほむら「……遅刻!」
ほむらがゲーセンに着くと、杏子はクレーンゲームに興じていた。
杏子「呼び出しといて遅れるなんて、いい度胸してんじゃねーの」
振り返らずに放られた言葉には笑いが含まれている。
ほむら「悪いと思ってはいるわ」
杏子「時間を止められるやつが遅刻なんて、どんなジョーダンだ、っしゃ!」
手に入れたぬいぐるみを、杏子は振り返り様に放った。
ほむら「?」
杏子「やるよ。それを戒めにすんだな。で、何の用だ?」
ほむら「話があるの」
杏子「呼び出しといて遅れるなんて、いい度胸してんじゃねーの」
振り返らずに放られた言葉には笑いが含まれている。
ほむら「悪いと思ってはいるわ」
杏子「時間を止められるやつが遅刻なんて、どんなジョーダンだ、っしゃ!」
手に入れたぬいぐるみを、杏子は振り返り様に放った。
ほむら「?」
杏子「やるよ。それを戒めにすんだな。で、何の用だ?」
ほむら「話があるの」
ファミレスで注文を終え、ほむらが口火を切った。
ほむら「これから話すことは秘密にしてほしい。特に、まどかには」
杏子「………。まぁ、いいだろ」
杏子(まどかに隠し通せるかどうかは別問題だけどな)
杏子「で、なんなんだそんな前置きするほど大事な話っつのは」
サラダを平らげながら杏子が促すと、ほむらは目を伏せた。
ほむら「私は時間遡航者だったの――」
そうしてほむらは自身の願いとその顛末を杏子に明かした。
杏子「……まどかの願いの前にそんなことがあったなんてな。なるほど……」
杏子は箸を噛んで考え込んだ。
その前には多くの皿が空にされて置かれている。
杏子「因果……魔女システム……ふむ……あっと、で、ほむらの話ってのはそのことか?」
ほむら「いいえ。……その、ループのなかで、私は何度もまどかやみんなが絶望していくのを見てきたわ。
私は願いのためにまどか以外のすべてを犠牲にしてきたの」
杏子「……へえ」
ほむら「これから話すことは秘密にしてほしい。特に、まどかには」
杏子「………。まぁ、いいだろ」
杏子(まどかに隠し通せるかどうかは別問題だけどな)
杏子「で、なんなんだそんな前置きするほど大事な話っつのは」
サラダを平らげながら杏子が促すと、ほむらは目を伏せた。
ほむら「私は時間遡航者だったの――」
そうしてほむらは自身の願いとその顛末を杏子に明かした。
杏子「……まどかの願いの前にそんなことがあったなんてな。なるほど……」
杏子は箸を噛んで考え込んだ。
その前には多くの皿が空にされて置かれている。
杏子「因果……魔女システム……ふむ……あっと、で、ほむらの話ってのはそのことか?」
ほむら「いいえ。……その、ループのなかで、私は何度もまどかやみんなが絶望していくのを見てきたわ。
私は願いのためにまどか以外のすべてを犠牲にしてきたの」
杏子「……へえ」
ほむら「それで……、その。なんていったらいいかわからないのだけれど……」
杏子「後悔してる、なんていうんじゃねーだろうな。てめえの願いのためにしたことを後悔しちゃ、叶った願いも幻になっちまうぞ」
ほむら「後悔は、していないわ。ただ……、私はここにいる資格があるのかって、そう思ってしまうのよ」
杏子「資格? ……あぁなるほど。で、あんたはどうしたいんだ?」
ほむら「どう、したい?」
ほむら「罪とか資格とか抜きにしてさ、あんた自身はいったいどうしたいんだって話だよ」
ほむら「………。わからないわ」
杏子「はぁ?」
ほむら「わからないのよ、自分がどうしたいのかなんて。だってもう長いこと、まどかを救わなければ"ならない"と思って戦ってきたんだもの」
杏子「………」
ほむら「諦めることと絶望は同義だった。だからほかに選択肢なんてなかったのよ」
杏子「後悔してる、なんていうんじゃねーだろうな。てめえの願いのためにしたことを後悔しちゃ、叶った願いも幻になっちまうぞ」
ほむら「後悔は、していないわ。ただ……、私はここにいる資格があるのかって、そう思ってしまうのよ」
杏子「資格? ……あぁなるほど。で、あんたはどうしたいんだ?」
ほむら「どう、したい?」
ほむら「罪とか資格とか抜きにしてさ、あんた自身はいったいどうしたいんだって話だよ」
ほむら「………。わからないわ」
杏子「はぁ?」
ほむら「わからないのよ、自分がどうしたいのかなんて。だってもう長いこと、まどかを救わなければ"ならない"と思って戦ってきたんだもの」
杏子「………」
ほむら「諦めることと絶望は同義だった。だからほかに選択肢なんてなかったのよ」
ほむらはコーヒーを掻き混ぜる手を止めて首を傾げた。
杏子「悪いけど、アタシにできることはねーな。あんたが自分で自分の気持ちに気付かないと」
ほむら「私の、気持ち――」
ほむらはべったりと暗いコーヒーを見つめた。
……違和感。
コーヒーが動かない。
はっと顔をあげて杏子を見る。
止まっている。
ほかの客も店員も、すべて止まっている。
ほむら「また、なの……!?」
なんなのだこれは。
目眩と吐き気。
空気が急速に乾き、冷えていくような感覚。
これに似た感覚を以前にもどこかで経験している。一体どこでだ。
杏子「悪いけど、アタシにできることはねーな。あんたが自分で自分の気持ちに気付かないと」
ほむら「私の、気持ち――」
ほむらはべったりと暗いコーヒーを見つめた。
……違和感。
コーヒーが動かない。
はっと顔をあげて杏子を見る。
止まっている。
ほかの客も店員も、すべて止まっている。
ほむら「また、なの……!?」
なんなのだこれは。
目眩と吐き気。
空気が急速に乾き、冷えていくような感覚。
これに似た感覚を以前にもどこかで経験している。一体どこでだ。
心臓が煩い。
いつ戻る。
もうどれだけ経った?
ほむら「い、いや……」
意味もなく立ち上がるほむら。
どくんどくんどくん。
ようやく気付いた。
うしろになにかいる。
なんだ。
振り向けない。
???《――ケャ、サ、ハ、筅ホ、マ、ケ、ル、ニシ・・ニ、キ、゙、ィ――》
脳内に響く声。
なにを言っている?
汗が頬を伝う。
いつ戻る。
もうどれだけ経った?
ほむら「い、いや……」
意味もなく立ち上がるほむら。
どくんどくんどくん。
ようやく気付いた。
うしろになにかいる。
なんだ。
振り向けない。
???《――ケャ、サ、ハ、筅ホ、マ、ケ、ル、ニシ・・ニ、キ、゙、ィ――》
脳内に響く声。
なにを言っている?
汗が頬を伝う。
涙がにじんだ。
だれか、
ほむら「たすけて……」
ごう、
と風が吹き抜けた。
そんな気がした。
勢いよくほむらは振り返る。
なにもいない。
杏子「……なにやってんだ?」
杏子がぽかんとしている。
動いている。
いつの間にか時間は動き出していた。
ほむらは力無く座り直した。
ほむら「なんなの……!」
杏子「そりゃこっちの台詞だ。どうしたんだよ」
ほむらはさきほどの現象とそれが三度目だということを説明した。
だれか、
ほむら「たすけて……」
ごう、
と風が吹き抜けた。
そんな気がした。
勢いよくほむらは振り返る。
なにもいない。
杏子「……なにやってんだ?」
杏子がぽかんとしている。
動いている。
いつの間にか時間は動き出していた。
ほむらは力無く座り直した。
ほむら「なんなの……!」
杏子「そりゃこっちの台詞だ。どうしたんだよ」
ほむらはさきほどの現象とそれが三度目だということを説明した。
杏子「時間が止まる、だぁ? そんなことできんのほむらくらいしかいねーだろうが、……ちょっと待てよ」
杏子は猛烈な勢いで考え出した。
かんかんとスプーンで皿を叩く。
ほむら「ちょっと。やめなさい佐倉杏子」
杏子「おいほむら、ソウルジェム見せてみろ」
ほむら「え? なによ……」
杏子「いいから!」
す、とほむらが差し出したジェムは輝きを失い、仄かに陰っている。
杏子「やっぱり濁ってんな……。そういうことなのかオイ……」
ほむら「これくらい大したことじゃないでしょう。佐倉杏子、貴女まで魔法の暴発なんて言わないでしょうね」
杏子「違う」
杏子は犬歯を剥き出しにして苦った。
杏子は猛烈な勢いで考え出した。
かんかんとスプーンで皿を叩く。
ほむら「ちょっと。やめなさい佐倉杏子」
杏子「おいほむら、ソウルジェム見せてみろ」
ほむら「え? なによ……」
杏子「いいから!」
す、とほむらが差し出したジェムは輝きを失い、仄かに陰っている。
杏子「やっぱり濁ってんな……。そういうことなのかオイ……」
ほむら「これくらい大したことじゃないでしょう。佐倉杏子、貴女まで魔法の暴発なんて言わないでしょうね」
杏子「違う」
杏子は犬歯を剥き出しにして苦った。
杏子「でも、アタシにゃなんていったらいいのかわかんねー。まどかのところに行け」
ほむら「どうして」
杏子「いいから早くいうとおりにしろ!」
杏子の気迫に圧されて、ほむらは席を立った。
…
まどかの家まで来て、ほむらはなんだか呆然としてしまった。
どろりと低く垂れこめている雲の下で、ほむらは立ちつくした。
ほむら(なにやってるのかしら私。佐倉杏子に言われるまま来てしまったけれど、まどかに相談なんて、というかまどかは知っているのだけれど。忘れていたわ)
無意識に髪を払う。
ほむらは目をつむった。
ほむら(どうかしてるわ、私。ちょっと落ち着きましょう)
ほむら「どうして」
杏子「いいから早くいうとおりにしろ!」
杏子の気迫に圧されて、ほむらは席を立った。
…
まどかの家まで来て、ほむらはなんだか呆然としてしまった。
どろりと低く垂れこめている雲の下で、ほむらは立ちつくした。
ほむら(なにやってるのかしら私。佐倉杏子に言われるまま来てしまったけれど、まどかに相談なんて、というかまどかは知っているのだけれど。忘れていたわ)
無意識に髪を払う。
ほむらは目をつむった。
ほむら(どうかしてるわ、私。ちょっと落ち着きましょう)
まどか「あの、ほむらちゃん。なにをしてるのかな?」
ほむら「精神統一よ」
まどか「なんでこんなところで?」
ほむら「まどかに会う前にきちんと落ち着かないとね」
まどか「そ、そうなんだ」
ほむら「ええ。……って、まどか!?」
目を見開くほむら。
まどかが申し訳なさそうに笑った。
まどか「杏子ちゃんからメールがあってね。ほむらちゃん、上がって?」
ほむら「えッ、い、いいのかしらッ」
まどか「ぜんぜん精神統一できてないねほむらちゃん」
ほむら「精神統一よ」
まどか「なんでこんなところで?」
ほむら「まどかに会う前にきちんと落ち着かないとね」
まどか「そ、そうなんだ」
ほむら「ええ。……って、まどか!?」
目を見開くほむら。
まどかが申し訳なさそうに笑った。
まどか「杏子ちゃんからメールがあってね。ほむらちゃん、上がって?」
ほむら「えッ、い、いいのかしらッ」
まどか「ぜんぜん精神統一できてないねほむらちゃん」
…
まどか「それはなにか、魔獣のしわざかもしれないね。ほむらちゃん」
ココアのはいったカップを両手で包みながら、まどかは言った。
ほむら「魔獣? でも魔獣の気配とは違うような……。それに魔獣が時間を止めるなんてことできるかしら」
まどか「できると思うしかないよ。でも……、それに対抗できるのは、ほむらちゃんしかいないね」
ほむら「そうね……。みんな止まってしまうものね。私が対抗できているのは、時間操作の魔法を使えるからかもしれないわね」
まどかは頷いてココアを一口飲んだ。
ほむら「それで、どうすればいいのかしら」
まどか「そうだね。とりあえずソウルジェムを万全の状態にして、濁らせないようにしよう」
ほむら「わかったわ」
まどか「わたしの願いが魔女システムを改編したのは前に話したよね。すべての魔女は消し去られ、魔法少女は魔力を使い切るとふつうのひとに戻る」
ほむら「ええ。まどかはその願いだけで魔力を使い切り、一般人に戻ったのよね」
まどか「うん。それで、祈りが魔力の源となり、魔法少女の希望がエネルギーになるようになったから、魔法を使ってもソウルジェムは濁らなくなった。
そのかわり感情による変化の割合が増えて、絶望で一気に魔力を失うようになったんだ」
ほむら「どうもそのようね」
まどか「今度の魔獣はそういう精神面を攻撃してきてるみたいに見えるの。だからほむらちゃんはそれに負けないように、心を強く持って」
まどかはまっすぐにほむらを見つめた。
ほむらの脳裏に、死してなお哂うまどかの姿がフラッシュバックする。
あれは夢だ。ほむらは思い出す。
まどか「ほむらちゃん?」
――死んでしまえばよかったのに……!
ほむら「だ、大丈夫よ。ちょっと目眩が」
まどか「そう。……あとは、姿を表すのを待つしかないかな」
息を吐いて力を抜くまどか。
そのかわり感情による変化の割合が増えて、絶望で一気に魔力を失うようになったんだ」
ほむら「どうもそのようね」
まどか「今度の魔獣はそういう精神面を攻撃してきてるみたいに見えるの。だからほむらちゃんはそれに負けないように、心を強く持って」
まどかはまっすぐにほむらを見つめた。
ほむらの脳裏に、死してなお哂うまどかの姿がフラッシュバックする。
あれは夢だ。ほむらは思い出す。
まどか「ほむらちゃん?」
――死んでしまえばよかったのに……!
ほむら「だ、大丈夫よ。ちょっと目眩が」
まどか「そう。……あとは、姿を表すのを待つしかないかな」
息を吐いて力を抜くまどか。
ほむら「探し出す方法はないものかしら」
まどか「そうだね……ちょっと思いつかないな。とにかく備えるしかないね」
まどかとほむらは黙り込んだ。
しんしんと夜が近付いてきていた。
ほむら「それじゃあ私は失礼するわ。またなにかわかれば連絡する」
まどかの見送りを遠慮して、ほむらはまどかの部屋を出た。
玄関でちょうど帰ってきた杏子に会った。
杏子「よう。ひどい雨だ、傘貸してやるよ」
ほむらはびしょ濡れの傘を受け取る。
杏子「どうなったのか知らねーけど、またなんかあったら言えよな」
ほむら「ありがとう。佐倉杏子」
杏子「なんだァ? いやに素直だな」
ほむら「……私だって濡れたくはないもの」
杏子「傘のことかよ!」
まどか「そうだね……ちょっと思いつかないな。とにかく備えるしかないね」
まどかとほむらは黙り込んだ。
しんしんと夜が近付いてきていた。
ほむら「それじゃあ私は失礼するわ。またなにかわかれば連絡する」
まどかの見送りを遠慮して、ほむらはまどかの部屋を出た。
玄関でちょうど帰ってきた杏子に会った。
杏子「よう。ひどい雨だ、傘貸してやるよ」
ほむらはびしょ濡れの傘を受け取る。
杏子「どうなったのか知らねーけど、またなんかあったら言えよな」
ほむら「ありがとう。佐倉杏子」
杏子「なんだァ? いやに素直だな」
ほむら「……私だって濡れたくはないもの」
杏子「傘のことかよ!」
QB「うううっ……マミ、どうして、死んじゃったんだよ、マミを蘇らせて欲しい」
まどか「私の願い事はマミさんの蘇生。叶えてよインキュベーター!」
こんな感じのキュゥマミ誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
マミさん×キュゥべえスレ
http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1321278274/201-300
まどか「私の願い事はマミさんの蘇生。叶えてよインキュベーター!」
こんな感じのキュゥマミ誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
マミさん×キュゥべえスレ
http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1321278274/201-300
土砂降りのなかをほむらは歩いていく。
傘を叩く雨音を聞きながらぼうんやりと考えを巡らす。
ほむら(魔獣が時間停止できたり、本当にするのかしら……それにしてもあの停止中の感覚はいったいどこで……)
大通りから路地に入る。
光源が等間隔にたっている街灯しかなく、まるでそれに照らされているところだけ雨が降っているように見えた。
ほむら(チームでの戦略はあれでよかったのかしら……やはり美樹さやかの実力不足は否めない、彼女が経験を積むまでは……
複数性、やはりやっかいね……魔女とはまた違う……、)
そこでほむらは顔を上げた。
ほむら「そうだ……魔女の結界……!」
ほむら(時間停止中のあの感覚、魔女の結界のものにそっくりじゃない……! どうして気付かなかったのかしら……ということは、)
思考をやめて意識を外に向ける。
静かだ。
誰もいないからだ。
しかしそれだけではない。
ほむら「雨が――止まってる……!」
止んだのではない。
空中で雨の滴がすべて静止していた。
傘を叩く雨音を聞きながらぼうんやりと考えを巡らす。
ほむら(魔獣が時間停止できたり、本当にするのかしら……それにしてもあの停止中の感覚はいったいどこで……)
大通りから路地に入る。
光源が等間隔にたっている街灯しかなく、まるでそれに照らされているところだけ雨が降っているように見えた。
ほむら(チームでの戦略はあれでよかったのかしら……やはり美樹さやかの実力不足は否めない、彼女が経験を積むまでは……
複数性、やはりやっかいね……魔女とはまた違う……、)
そこでほむらは顔を上げた。
ほむら「そうだ……魔女の結界……!」
ほむら(時間停止中のあの感覚、魔女の結界のものにそっくりじゃない……! どうして気付かなかったのかしら……ということは、)
思考をやめて意識を外に向ける。
静かだ。
誰もいないからだ。
しかしそれだけではない。
ほむら「雨が――止まってる……!」
止んだのではない。
空中で雨の滴がすべて静止していた。
街灯のしたで傘を閉じる。
ほむら「どこにいる……?」
空気が変わり、吐き気を催しながらほむらは前後を警戒する。
静かに変身し、銃を取り出す。
ほむら(この感覚……間違いない)
???《――、・ソ、キ、ネ。「ツ螟・テ、ニ、 ――》
ほむら「なにを言っているの……!」
???《――サ荀ネ。「ツ螟って、 ――》
脳内に響く声が輪郭を取り出す。
聞いたことのあるような、ないような妙な声。
この言葉を聞いてはいけない――ほむらは直感的にそう思った。
ほむら「どこにいる……?」
空気が変わり、吐き気を催しながらほむらは前後を警戒する。
静かに変身し、銃を取り出す。
ほむら(この感覚……間違いない)
???《――、・ソ、キ、ネ。「ツ螟・テ、ニ、 ――》
ほむら「なにを言っているの……!」
???《――サ荀ネ。「ツ螟って、 ――》
脳内に響く声が輪郭を取り出す。
聞いたことのあるような、ないような妙な声。
この言葉を聞いてはいけない――ほむらは直感的にそう思った。
???《――、・ソしとツ螟って、――》
腹の底に石を積み上げられたような重圧。
前や後ろではない。
上にいる。
上からじいっとこちらを見ている。
見上げられない。
???《――、・ソしと。「ツ螟・テ、ニ、 ――》
ほむら「なんなの……いったいなんなのよ……!」
手が震え、銃を取り落とすほむら。
拾おうとして屈み込み、伸ばした手を、
ほむら「――っ!」
掴まれた。
ほむらの影から突き出した腕は肩へと続き、体と頭を引きずり出す。
ほむら「魔獣――!」
腹の底に石を積み上げられたような重圧。
前や後ろではない。
上にいる。
上からじいっとこちらを見ている。
見上げられない。
???《――、・ソしと。「ツ螟・テ、ニ、 ――》
ほむら「なんなの……いったいなんなのよ……!」
手が震え、銃を取り落とすほむら。
拾おうとして屈み込み、伸ばした手を、
ほむら「――っ!」
掴まれた。
ほむらの影から突き出した腕は肩へと続き、体と頭を引きずり出す。
ほむら「魔獣――!」
黒衣をまとい仮面をつけた少女の形をした魔獣は、ほむらの手を握ったまま屹立した。
ほむら(こんなときに……!)
右手に黒塗りの刀を提げた魔獣は頭上を振り仰ぐ。
ざあ―――
雨が降り注いだ。
時間停止が終わったのだ。
いつの間にか不快な感覚は消えている。
逃げられた。
ほむら(けど……まだこいつがいる!)
魔獣の手を振り解いてほむらは距離をとる。
ほむら(こんなときに……!)
右手に黒塗りの刀を提げた魔獣は頭上を振り仰ぐ。
ざあ―――
雨が降り注いだ。
時間停止が終わったのだ。
いつの間にか不快な感覚は消えている。
逃げられた。
ほむら(けど……まだこいつがいる!)
魔獣の手を振り解いてほむらは距離をとる。
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