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    元スレ男「そして誰もいなくなった」

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    1 :

    ツインテ「──……いやあああぁぁッッ! 先生ッ! 先生ッッ!?」

    「ッッ!?」

    「先生ッ!? クソ! おい先生を降ろすぞ! ボサッとすんな手伝え!!」

    メガネ「わかってる! 僕が下から支えてるから男は早く縄を切れ! 茶髪は他のみんなを外に出せ!!」

    茶髪「……ぁ,ああ……み,みんな外にでろ……こっちだ……」

    チビ子「……な,んでッ……こんな…………ぅぷっ……」

    幼馴染「……せん……せ,………い,ぃやぁあああ……」

    「……ッダメだ! 縄が切れない! 切るもの! メガネ! 何か切るもの持って来い!」

    ツインテ「やだ……せんせい……こんなのやだぁ……」



    ──── 島での惨劇は先生の自殺から始まった
         そもそもの話は2週間ほど前に遡る ────

    3 = 1 :

    ──2週間前/部室

    ツインテ「夏合宿ぅ?」

    「ああ.ほらチビ子ってセレブだから別荘持ってんだってさ.そこ使わせてくれるって」

    ツインテ「別荘って……漫画の世界のお嬢じゃんかチビ子」

    チビ子「いやいや! 別荘ってもそんな大したもんじゃないですから.えへへ」

    幼馴染「でも……迷惑じゃないの?」

    チビ子「一応パパに話通さないといけませんけど,多分大丈夫だと思います」

    「まぁチビ子もこう言ってるし遠慮することないだろ.南方の島らしいしバカンスにもってこいじゃないか」

    「兄さんは遠慮しなさすぎです」

    チビ子「南といっても日本から少し南に行っただけの離島ですよぉ」

    4 = 1 :

    メガネ「合宿は構わないが名目はどうするんだ.部長として上に許可届けを出さないといけなないんだが」

    茶髪「んなの何でもいーじゃんか.文芸部だから……『ドキッ!? 南の島で朗読対決! ポロリもあるよ』とか?」

    「お前は黙ってろ」

    ツインテ「あんたは黙ってなさい」

    「茶髪さんは黙ってて」

    幼馴染「……あの,こんなメンバーだけど本当に迷惑じゃない?」

    チビ子「あはは……ちょっと不安になってきました」

    「まぁとりあえずここにいる7人が全員参加ってことでいいんだな」

    メガネ「それに,引率として顧問の先生が1人だ」

    5 = 1 :

    ──男 Side

    我が文芸部のメンツは男子3名,女子4名の,計7名

    ふだんから真面目に読書をしてるのは部長のメガネと,俺の幼馴染くらい

    他の奴らはだいたい部室で茶でも飲みながらだらだらとダベっているだけだ

    新入部員である俺の妹やチビ子(二人は同じクラスの友人らしい)はまだたまに読書してるが……

    ツインテと茶髪にいたっては入部からこのかた読書をしている所なんぞ一度も見たことがない

    何しにこの部活に入ったんだお前らは……

    6 = 1 :

    そんな奴らだが,どいつもこいつも案外付き合いやすいヤツばかりというか……

    気が置けない仲というやつだろうか,部員間の関係は悪くはないと思う

    今回の合宿の提案もなんだかんだでみんな乗り気らしい

    仲のよい面々との四泊五日の合宿だ

    それぞれ楽しみだったり若干不安だったりするのかもしれないが……

    まぁ色々な意味で,いい思い出になればと思う



    ──男 Side:了

    7 = 1 :

    ── 出発当日/港

    先生「はいみんな注目ぅ~.ちゃんと揃ってる~?」

    ツインテ「はーい」

    チビ子「みんないまーす」

    幼馴染「ちゃんとそろっています」

    茶髪「ちょっと男子ぃ~.あんたたちも返事しなさいよね!? もぉー,ぷんぷんだぞ!」

    「お前も男だろ」

    「この人置いていきませんか?」

    先生「はいはい元気があっていいわねぇ」

    先生「若さあふれるパワーではしゃぎたい気持ちも分かるけど~,ハメ外しすぎちゃって合宿中に『ハメ』ちゃったりしたらダメよぅ?」

    先生「さて,一応引率としての責任があるからね.確認のための点呼を取るわよ」

    8 :

    男メガネ茶髪
    幼馴染妹ツインテチビ子

    9 = 1 :

    先生(♀,28才)「番号~! いち!」

    メガネ(♂,18才)「に!」

    (♂,18才)「……さん」

    茶髪(♂,18才)「ガキじゃねーんだからハズカシーよせんせー…………はいはい,……よーん」

    ツインテール娘(♀,18才)「ご!」

    幼馴染(♀,18才)「ろ,ろく!」

    (♀,16才)「なな」

    チビ子(♀,16才)「はちです!」

    先生「よろしい,みんな揃ってるわね.それじゃ行きましょうか! 島へは船で行くのよね」

    チビ子「はい! 5日間よろしくおねがいしますね先生.えへへ」

    10 = 8 :

    先生がそれなりに可愛いっぽいのに>>1で既に死んでいるという事実
    というかスレタイ的にみんな死ぬっぽいっていう

    11 = 1 :

    ──初日昼/島内・別荘前

    茶髪「へー.いい感じじゃん別荘! チビ子ってマジで金持ちだったんだなぁ! ……あんまそんな風に見えないのに」

    チビ子「だからお金を持ってるのはパパですってばぁ.私はお茶代のためにお昼を節約したりとか,……いろいろ大変なんですよ?」

    「それにしたって予想以上だよ.うちの家の10倍……いえ15倍くらいあるかな」

    幼馴染「うん正直びっくり.8人が泊まるには広すぎるくらいだよね.場所の提供ありがとうチビ子ちゃん」

    チビ子「えへへ,どういたしまして.一応皆さん一人ずつの個室はご用意できますので,そこは安心してくださいね」

    「……おい.無駄話はいいから早く部屋に案内してくれ.荷物が重い」

    ツインテ「あんたがジャンケンで負けたのが悪いんでしょー」

    「男のくせにグチグチとうるさいですよ兄さん.文句言わずに運んで下さい」

    12 = 1 :

    チビ子「あっ,それから皆さんにお願いなんですが……」

    チビ子「別荘の裏手は少し進むと崖になっているので気をつけて下さい.落っこちちゃうと危ないですから」

    メガネ「ふむ.崖の淵に建っているというのは少々怖いが,景観は良さそうだな」

    ツインテ「そんなこといいからお昼食べて早く泳ごうよ~!」

    幼馴染「ふふ.じゃあ部屋に荷物を置いてきたら簡単なもの作っちゃうね」

    「私も手伝います」

    チビ子「私も手伝いますよ! 台所のどこに何があるか説明しないといけないし」

    ツインテ「チビ子はお嬢のくせに料理できんの!? くそぅ……料理できない仲間だと思ったのに」

    先生「人数が多すぎても邪魔だろうし私はパスするわ~.部屋にいるからできたら呼んでちょ~だい」

    13 = 1 :

    茶髪「なんだツインテは料理できねーのか.前から思ってたけどお前って女子力低いよな~」

    ツインテ「うわっ.その『女だから料理ができて当然』って考え方,場所が場所ならセクハラで訴えられるよ」

    茶髪「言ってろバーカ.メガネや男だって料理ができる方がポイント高いって思うだろ?」

    メガネ「僕は別に気にしないな」

    「まぁ別に男とか女に限ったことじゃなくて,料理できる方が印象はいいな」

    茶髪「ほーら見ろ! 女は料理できた方がいいんだよ!」

    ツインテ「うっさいバカ! 二人とも別にあんたの意見に全面的に賛成ってわけじゃないじゃない!」

    ツインテ「………」

    ツインテ「………………でも……そっか」

    ツインテ「……男は,料理できる娘のほうがいいのか」ボソッ

    14 = 1 :

    ──初日昼/海・浜辺

    ──チビ子 side

    女子の共同作である昼食をみんなでとった後,私たちは水着に着替えて浜辺に出た

    実はこの離島は私のうちの所有物なのでこの島には私達以外に人がいない

    島への出発前にそんなことを説明したら先生が,『プライベートビーチは初体験だわぁ~』とテンションを上げていた

    素直に喜んでもらえてほっとしている

    ………

    ………私の家は,お金持ちだ

    正確に言えばお金をもっているのは父だけれども

    お家は住み込みの家政婦さんがいるほど大きいし,別荘どころか島まで持っている

    当然,それを快く思わない人も少なくない

    父が本邸でパーティーを開くときに父の知人達が撒き散らす粘ついた視線

    ────……嫉妬と,それを覆い隠す巧言

    16 = 1 :

    ……だから,正直今回のことも少し心配だった

    私の家が資産家であることは部員の間では周知されていたけど

    さすがに,島をもっているとまでは思わなかったはずだ

    今回の合宿のキッカケは,私が妹ちゃんにふとしたキッカケで別荘のことを話してしまい……

    それを又聞きした男さんが夏合宿の話を持ちだしたことにある

    でも……結局,私の心配事は杞憂に終わった

    みんな,ただただ別荘での合宿を楽しみにしていて,嫉妬など微塵もない笑顔ばかり

    そうだ

    こんなに優しくて気持ちのいい人たちばかりだもんね

    本当に素敵な親友と,素敵な先輩達ばかりで…………

    ……………──────なんだか,ふと,笑っちゃいそうになる

    17 = 1 :

    ツインテさんと幼馴染さんが笑顔で手をふっている

    …………笑顔で,くすくすと

    先生と幼馴染さんは胸おっきぃなぁ

    …………くすくす,クスクス

    妹ちゃんとツインテさんは……いや,本人の名誉のために感想は控えておこう

    …………くすくすくすくすくす

    そんなことをぽややんと考えていると,妹ちゃんが私の手を引っ張ってみんなの輪の中に連れていってくれた

    みんな,みんな楽しそうで……笑顔で……

    …………私も,楽しくて,クスクス,クスクスと笑う

    そうだ,みんなあんなにも楽しんでるんだ

    私も,…………─────楽しめるうちに思いっきり楽しまないと!



    ──チビ子 side:了

    19 = 1 :

    茶髪「おい……見ろよぉアレ」

    メガネ「なにをだ」

    茶髪「なにって,あのおっぱいに決まってんだろうが!」

    茶髪「先生のおっぱい! Fか……いや,Gカップくらいはあるんじゃねーか!?」

    メガネ「……」

    茶髪「いやー普段着の上からでも巨乳だ巨乳だとは思ってたが,水着になると迫力が違うよなマジで」

    茶髪「それに,幼馴染もなかなかのモノをもってんぞ…………攻撃力1500……いや,2000は堅いな」

    メガネ「単位がわからん」

    「……胸とか飾りだろ.むしろ尻だ尻」

    茶髪「はぁ!? バカじゃねーの!? おっぱいに決まってんじゃん!! むしろケツとかひくわー」

    「あ? やんのかお前.尻のよさが分からねーとか人生の90%は損してるわ」

    メガネ「……ふぅ.やれやれ」

    20 = 8 :

    句読点がちょっと気になる

    21 = 1 :

    先生「あの子たちなに話してるのかしら~」

    ツインテ「どーせエッチなことでしょ.男三人でこそこそナイショ話とか,いやらしい」

    幼馴染「そう,……なのかな」

    「まぁ,メガネさんはともかく兄さんと茶髪さんはバカですから」

    チビ子「で,でもしょうがないよ! うん! 男の子ってそういうものらしいし! えへへ」

    先生「あらあらぁ.『男の子ってそういうもの』なんて,いかにも耳年増な女の子の発言ね~」

    チビ子「えっ!? ぁあ,いやっ,妹ちゃんがいつも男さんのことそんな風に言ってるから,そ,そうなのかなぁって」

    先生「ふふ.真っ赤になっちゃって~.かわいい」

    「みみどしま~」

    ツインテ「みみどしまちゃーん」

    幼馴染「うふふ」

    チビ子「もうッ!? 妹ちゃんやツインテさんまでからかわないでよぉ~! 幼馴染さんも笑わないでー!」

    22 = 1 :

    ──初日夜/別荘内

    先生「おいしかったわ~.ごちそうさま」

    幼馴染「ふふ.お粗末さまでした」

    メガネ「いや,本当に素晴らしかった.幼馴染さんは料理が得意なんだな」

    ツインテ「ちょっとー! 私や妹ちゃんやチビ子ちゃんも手伝ったっての!」

    「ツインテさんはお皿を運んだだけですけどね」

    ツインテ「なっ!? それはナイショって言ったじゃんかぁ~!?」

    茶髪「いやでもマジでうまかったよ! 俺は料理できないから明日以降も頼むわー」

    メガネ「む.すまないが僕も料理の心得はないんだ.洗い物くらいしか手伝えないと思う」

    幼馴染「ううん.私は料理するの好きだから大丈夫だよ.ツインテちゃんや妹ちゃんやチビ子ちゃんも手伝ってくれるし」

    チビ子「喜んでもらえて良かったですよぉ.私も微力ながら明日もお手伝いします! えへへ」

    23 = 1 :

    先生「今日は遊び疲れたからもう眠たいわ~.年なのかしらねぇ?」

    「まだ20代でしょ先生」

    「私も眠たいので部屋に行きますね」

    茶髪「俺たち男集団はもう少し起きてるだろ?」

    メガネ「ああ」

    「そうだな.もう少しダベってくか」

    ツインテ「私は幼馴染とおしゃべりしたいから……幼馴染の部屋に行ってもいい?」

    幼馴染「うんいいよ.それじゃ行こっか」

    先生「じゃ,みんなおやすみ~.夜更ししすぎないようにねー」

    「それじゃ私も行きます.おやすみなさい」

    茶髪「ツインテ! 寝小便しないようにトイレ行って寝ろよ!」

    ツインテ「死ね変態!」

    幼馴染「あはは…….そ,それじゃ,また明日ね」

    ツインテ「崖から落ちろバカ!」

    24 = 8 :

    ,.で句読点を表すのはなんなんすかね

    25 = 1 :

    ──2日目昼/別荘内

    「……ぃさん、兄さん、起きて下さい!」ユサユサ

    「ん、ぁ……まだ……眠い…………寝るの、遅かったから…………」

    「兄さん! そんなこと言ってる場合じゃないんです! いいから起きて!」

    「……ッ!? 朝っぱらからなんなんだよ……妹……」

    「もう昼すぎ……って! そんなことはいいんです! チビ子が……チビ子がッ!?」

    「はぁ? なんだ、チビ子がどうした」

    「いいから来て! 早く! お願いですから!」

    26 = 8 :

    読みにくいわけではないけど一般的じゃないと思うよ
    違和感が凄い

    27 = 1 :

    >>25は投稿ミス
    >>23の続きから貼り直す

    28 = 1 :

    ──初日夜/先生の部屋

    ──先生 Side

    ……唐突だが、私は、教師という職業に誇りをもっている

    教師とは生徒を一方的に教え、諭し、従える存在ではない

    教師も一人の人間であり、生徒たちと共に学び、成長すべき存在のはずだ

    この合宿では立場上は監督役だが、私は「大人の視線」ではなく「彼らの視線」を忘れないようにしたい

    勉強や恋愛や将来のことで悩んでいる彼らの力になりたい

    そして、上から道を示すのではなく、彼らが自分で道を見つけ出すための僅かな助力が下からできるならば、それでいいのだ

    29 :

    数え歌なんて殆ど忘れちまったな…

    30 = 1 :

    実際のところ、この文芸部の面々もそれぞれ思春期にありがちな悩みを抱えているようだ

    ツインテちゃんや幼馴染ちゃんは恋愛関係の悩みだろうか

    チビ子ちゃんは……身体の悩みかなぁ? ふふ

    メガネくんは勉強や将来の悩みがありそうだ

    茶髪くんは……あの子は性欲が旺盛すぎるわね……がっつき過ぎて女の子を傷つけないといいんだけど……

    男くんと妹ちゃんは兄妹で似たもの同士と言うべきか、二人ともクールで分かりにくいけど……

    あの2人の家庭事情は少し特殊だから、きっとそれなりに悩みをかかえているはずだ

    ついでに言うと私の悩みは…………

    なぜか、あまり生徒たちが相談事を持ちかけてくれないことかしら?

    もぅ……そんなに頼りなく見えるのかな

    間延びした口調が悪いのかしらぁ?

    31 = 1 :

    ……さて、まだ合宿は1日目だし、鋭気を養うためにそろそろ寝てしまおう

    そう考えてベッドに入ろうとしたとき

    ビー! ビー!

    ────…………ブザーが、なった

    この別荘の個室には呼び出し用のブザーがついている

    ノックや外からの呼びかけが他の部屋の住人の迷惑になることを懸念しての措置らしい

    ……こんな夜遅くに誰かしらぁ

    ドアを開けた先にいた人物は、なんとも形容しがたい表情をしていた

    どうしたの?

    呼びかけても返答はない

    相談かしらん?

    私は深く考えずに、……「廊下は寒いわよぉ。何か温かいものでも飲む~?」

    できる限り優しい声で話しかけて、その子を部屋に招き入れた



    ──先生 Side:了

    32 = 1 :

    ──2日目昼/別荘内

    「……ぃさん、兄さん、起きて下さい!」ユサユサ

    「ん、ぁ……まだ……眠い…………寝るの、遅かったから…………」

    「兄さん! そんなこと言ってる場合じゃないんです! いいから起きて!」

    「……ッ!? 朝っぱらからなんなんだよ……妹……」

    「もう昼すぎ……って! そんなことはいいんです! チビ子が……チビ子がッ!?」

    「はぁ? なんだ、チビ子がどうした」

    「いいから来て! 早く! お願いですから!」

    33 = 1 :

    ドタドタッ!!!

    「ッ!? おい! どうしたチビ子!?」

    チビ子「……ぅッ……ッ……げぇぇッッ…………」ポロポロ

    ツインテ「あ、男ッ!! それが、先生の部屋からチビ子が出てきて、そのッ……」

    「先生? ……ってここ先生の部屋の前だっけ」

    「先生の部屋で何かあったのかチビ子?」

    チビ子「……ヒック…………ッグ……」

    「……」

    「……仕方ない、先生に直接聞くか」

    チビ子「……だ、め」

    「なんだ?」

    チビ子「見、ちゃ……ダ……メッッ!!!」ポロポロ

    34 = 1 :

    スタスタ……

    メガネ「……どうしたんだ大声出して。部屋の中にいても騒ぎが聞こえてきたぞ」

    茶髪「ふわぁああ……。なんだようるせーなー。何かあったのかよ」

    「いや。……俺が来た時にはもうチビ子が泣いていたから、俺も事情がよく分かってない」

    チビ子「……ヒック……ヒック……」ポロポロ

    「お前らは何か知らないのか?」

    「すみません、私たちにも分からないんです」

    「兄さんたちと先生がお昼になっても起きてこなかったので、みんなで手分けして起こそうってことになったんですが」

    幼馴染「チビ子ちゃんは先生を起こそうとして部屋に入ったんだけど、すぐに出てきてドアを閉めて、それからはずっとこの状態で……」

    ツインテ「ただ、さっきからずっと、チビ子が『部屋に入っちゃダメだ!』って言ってるの」

    35 = 1 :

    茶髪「『部屋に入っちゃダメ』って、先生に何かされたのかよ」

    チビ子「……ヒック………」ポロポロ

    茶髪「……」

    茶髪「あーもう、埒があかねぇ! もう開けるぞ! いいな!」

    チビ子「ダメ……それ、は………」ポロポロ

    メガネ「……いや、何か変だ」

    「え……?」

    メガネ「これだけ騒がしくしてるのに、どうして先生が部屋から出てこないんだ。外出中ってわけじゃないんだろう?」

    「……そう言えば、そうだな」

    36 :

    しえん

    37 :

    面白ス

    38 = 1 :

    メガネ「女子たちは下がっていた方がいい。僕たちが開ける」

    幼馴染「う……うん」

    メガネ「それじゃあ、……開けるぞ」

    ガチャ

    ギィィ……

    メガネ「…………………………、な」

    「せ、…………せんせぇッ!?」

    茶髪「…………はぁ?」

    茶髪「……おいおいおい、冗談だろ……なんだよこれ、笑えねーよ、なんだよこれ……」

    「先生ッ!」ダダッ

    39 = 1 :

    「兄さん……どうしたんで………」

    「……えッ!?」

    ツインテ「えっ、なに、……なにがあったの?」

    幼馴染「ど、どうしたのかな……」

    ダダッ

    「先生! メガネ手伝え! 早く!」

    メガネ「あ、……ああ!」

    ツインテ「……え? なにアレ…………え、え? なに?……なに……」

    幼馴染「せ、せん……せい……ッ!?」

    40 = 36 :

    クローズドサークルか

    41 = 1 :

    ツインテ「──……いやあああぁぁッッ! 先生ッ! 先生ッッ!?」

    「ッッ!?」

    「先生ッ!? クソ! おい先生を降ろすぞ! ボサッとすんな手伝え!!」

    メガネ「わかってる! 僕が下から支えてるから男は早く縄を切れ! 茶髪は他のみんなを外に出せ!!」

    茶髪「……ぁ、ああ……み、みんな外にでろ……こっちだ……」

    チビ子「……な、んでッ……こんな…………ぅぷっ……」

    幼馴染「……せん……せ、………い、ぃやぁあああ……」

    「……ッダメだ! 縄が切れない! 切るもの! メガネ! 何か切るもの持って来い!」

    ツインテ「やだ……せんせい……こんなのやだぁ……」

    42 = 1 :

    ──メガネ Side

    あれから茶髪が女子たちを部屋の外に出し、僕が台所から持ってきた包丁を使って男が縄を切った

    先生は、カーテンレールに縄をくくって首吊り自殺をしていた

    いや…………首吊り自殺をしていたかのように『見せかけられていた』

    なぜ『見せかけられていた』と言えるのか

    答えは簡単だ。首吊りの縄の跡とは違う、絞殺されたような縄の跡が首に残っていたからだった

    それを無視したとしても、首吊り自殺としては不自然すぎる

    カーテンレールはそこまで高い位置になく、先生のだらんと力の抜けた脚は床についていた

    そう位置が低すぎるのだ

    その気になればいつでも自分の脚で立って自殺を中止できるほどに

    まるで、ここにいた先生以外の誰かが……

    ……『人ひとりを天井から吊るすのは大変なので、とりあえず吊しやすい所に吊るしました』という感じだった

    これが自殺に見せかけた他殺ならばずいぶんと手抜かりの多いお粗末な犯行だ……そんな印象を受けた

    44 = 1 :

    他のみんなが気づいてるは分からないが、僕はこれらの推測を誰にも話さなかった

    混乱し、泣きわめいている女子たちに『自殺ではなく殺人だ』と話してパニックを助長するのは気が引けたし……

    茶髪や男は……

    いや、あんなバカ共でも友人だ

    無闇に疑ったりするべきじゃない

    ……疑うべきじゃないと、分かってはいるんだけれど

    『この島には僕達以外に人がいない』というチビ子の発言を信じるならば、僕らのうちの誰かが犯人だと考えるのが自然だ

    ……ダメだ。疑心暗鬼に因われるな

    先入観でモノを見る目を捨てて、冷静に判断しないと……



    ──メガネ Side:了

    45 :

    面白い

    46 = 1 :

    ──2日目夕方/別荘内

    「ほら、ホットチョコレート。少し、落ち着いたか?」

    「……うん、……ありがとうお兄ちゃん」

    「はは。久しぶりだな、『お兄ちゃん』なんて呼び方」

    「なによ……悪い?」

    「いや、べつに悪くないさ」ナデナデ

    「ん……」

    メガネ「みんなほら。これでも飲んで温まろう」

    幼馴染「…………あり……がと」

    ツインテ「…………はぁ」

    茶髪「チビ子ぉ……気にすんなってのも無理かもだけど、あんま落ち込みすぎんなよ」

    チビ子「…………」

    47 = 1 :

    幼馴染「先生……どうして、自殺なんて」

    ツインテ「なにか、悩みでもあったのかな……」

    幼馴染「うん、でもそれにしたって変、……だよね」

    幼馴染「自殺するほど悩んでたなら、合宿の引率なんて引き受けてくれるとは思えないし……」

    ツインテ「そう……だね……」

    チビ子「…………」

    チビ子「…………みんな、ごめんなさい」

    「ん? なんで謝るんだ」

    チビ子「私が……別荘を合宿場として提供するなんて言わなければ、きっとこんなことには……」

    「そんなッ! チビ子のせいじゃないよ!? チビ子に感謝することはあっても責める人なんていないんだから!!」

    49 = 1 :

    茶髪「あぁそうだぞチビ子」

    茶髪「先生にどんな事情があったのかは知らねーけど、今回の件はお前のせいじゃねーだろ」

    メガネ「…………」

    茶髪「だからあんま気に病むなよ。な?」

    「……誰もお前のことを悪く思ってるヤツなんていないから安心しろ」

    チビ子「……はい。ありがとうございます」

    「それよりも、だ」

    「目下の大問題は電話がつながらないってことだ。これじゃ警察どころか、本島に帰るための船さえ呼べない」

    茶髪「ああ、一体どうなってんだ? 携帯は元々通じねーからしょうがないとしても、なんで別荘内の電話が全部繋がらないんだよ」

    50 = 1 :

    幼馴染「あの……みんなの部屋の中にある電話は?」

    メガネ「あれは内線しか通じないようなんだ」

    「チビ子によれば外部に通じる電話はこの別荘内に8つあるらしいが、その全部がなぜか通じない」

    メガネ「パッと見で電話線が切れてたわけでもないんだが……」

    メガネ(いずれにせよ、人為的なものであることは間違いない)

    メガネ(間違いなく先生を殺した犯人が、電話本体か、電話線に細工をしたんだ)

    ツインテ「この島には他に電話はないの?」

    チビ子「……はい。そもそもこの島にはこの別荘以外の建物はないので」


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