元スレ女神「よし、君が勇者だ!」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
51 = 1 :
女神「まぁ用は、その雨が全部!同時に!染み込んでいくんだよ」
女神「そしてそれが地下水脈に流れ込んで・・・」
勇者「流れ込んで?」
女神「地下で洪水はっせい!エマージェンシー!エマージェンシー!」
女神「そしてそれが地上に染み出してきた!」
女神「はい、恐怖の鉄砲水のかんせー!」
勇者「あー、イマイチ怖いのかわかんね」
女神「砂漠の一番の死亡原因は、この鉄砲水による水死でーす!」
勇者「まじかよ・・・」
53 = 1 :
勇者「なんか居るのが怖くなってきたよ」
女神「まぁそうそう起こることじゃないって!」
女神「それにこのオアシスを直撃する確率なんて茶柱が30本立つようなもんだよー」
勇者「それならいいけど・・・ん?足元がゆるい?」
女神「・・・・・・ぐっどらっく」
勇者「は?」
ドシャァア・・・・・・!
54 :
マジレスすると水無しで馬で砂漠越えは無理
55 :
赤馬か……呂布だー呂布だー呂布だー呂布さんやー
57 = 1 :
魔神「おい魔王!朗報だぜ!」
魔王「なんだ?」
魔神「勇者がオアシスの国で鉄砲水に巻き込まれた!」
魔王「!」
魔神「全くどうしてこう勇者ってやつは運がないんだろうなぁ?」
魔王「・・・・・・」
魔神「よかったじゃねえの、これで直接手を下さなくて済むかも知れんぜ?」
魔神「はっはっは!ま、そんだけだよ、じゃあな!」
魔王「・・・どうせ助かるさ」
58 = 1 :
勇者「・・・うっ」
兵士「おぉ、意識が戻られたか」
勇者「ん・・・俺は・・・」
兵士「まだ無理はなされぬよう、あれだけの規模の鉄砲水に呑まれて、生きてるだけでも奇跡なのです」
勇者「そうか・・・」
女神「あ、勇者起きてる!」
兵士「勇者様のお仲間ですか?」
勇者「ああ、連れだ」
兵士「そうでしたか、では私は王を呼んで来ます」
女神「いってらっしゃーい」フリフリ
59 = 1 :
女神「いやはやビックリですなぁ」
女神「まさかちょうど話してる時とは」
勇者「本当だよ、誰かさんがちゃんと教えてくれればそれなりには動けたものを」
女神「ちゃんと言ったじゃん!」
女神「ぐっどらっくって!」
勇者「それだけじゃあ何もわからんだろ・・・」
60 = 1 :
国王「ほう、起きたか」
勇者「あ、えと・・・」
国王「そのままでよい、まだ寝ていろ」
勇者(誰?この綺麗な人)
女神(ん、ここの国王様)
勇者(へぇー・・・)
女神(ちなみに、男性だよ)
勇者「男っ!?」
61 = 1 :
国王「おぉ、よく分かったな」
国王「これはわざわざこんな話し方をするようにした甲斐があったかな?」
勇者「はは、いやども」
国王「まあ体力が戻るまではゆっくりしていってくれて構わん」
国王「ただし、それ以降はお前の飲み食いした分たっぷり働いてもらうぞ」
勇者「うっ・・・まぁ仕方ないか」
国王「それでは失礼する」
63 = 1 :
女神「御夕飯もらってきたよー!」
勇者「悪いな」
女神「えへへ、勇者のためにいいお肉焼いてくれたんだってさ」
勇者「・・・・・・あの国王、したたかだな」
女神「だったら負けてられないじゃん?」
女神「私、頼み込んで高級ワインも開けてもらったんだー!」
勇者「おまっ!」
勇者「それはめぐりめぐって俺が体で払う事になんだよ!」
勇者「ダメ!そんな泣きそうな目しても許さない!」
勇者「くうぅ、そんな切なげな目でこっちを・・・見るなぁ・・・」
64 = 1 :
女神「勇者もうすっかり元気だね!」
勇者「おかげさまでなー・・・」
国王「という訳で早速労働だ」
国王「ほれ、これを持て」
勇者「・・・スコップ?」
国王「お前には鉄砲水の時に流れ込んできた土砂の掻き出しをやってもらう」
勇者「それはまた骨の折れる・・・」
65 :
魔神「残念だったな、魔王」
魔神「勇者、生き延びたぜ?」
魔王「どうせそんな事だろうと思っとったわ」
魔神「ふーん、つまんねぇ反応だなぁ」
魔王「お前を楽しませる義理などない」
魔神「おいおい、何年の付き合いだと思ってんだよ」
魔王「時の長さじゃない、質が大切なんだ」
魔神「・・・へぇへぇそーですね」
魔神「ったく、興が削がれた、帰る」
魔王「・・・勇者、ここまで来るのか?」
66 = 65 :
勇者「よっ、ほっ」ザクッザクッ
国王「悪いな、勇者」ザックザック
勇者「ん?」
国王「ここら辺はもともと工業が盛んな地域でな」
国王「若い男の多くが住んでた」
国王「でも今回の鉄砲水で、結構な人数が死んじまってな」
国王「人手不足が深刻なんだ」
67 = 65 :
国王「本来ならこんなこと、勇者にさせるわけにはいかないけど、非常時だから堪忍な」
勇者「あー、俺は構わんよ」
国王「お?」
勇者「そんな話聞かされたら、むしろ進んで手伝うさ」
勇者「さすがに目の前でこんなんなってんのは、見過ごせな・・・」
国王「・・・・・・」ニヤニヤ
勇者(しまったああああ!)
勇者(この男?のしたたかさを忘れていたあああああ!)
68 = 65 :
女神「うわ、泥だらけ」
勇者「どこ行ってたんだ・・・?」
女神「噴水広場でやってた地固め祭見てきた」
勇者「祭ぃ?」
女神「そそっ、みんなが地面を力強く踏んで固めるんだよ!」
女神「なんでも鉄砲水の被害があるたびにやってるとか」
女神「歌を歌いながらやるんだよ!一週間くらい続くらしいから、終わったら勇者も見てみなよ!」
勇者「わかったから、とりあえず寝かせて」
女神「はいはい、おやすみなさーい」
70 = 65 :
勇者「はー!やっと終わった!」
国王「ご苦労さん、おかげで助かったよ」
勇者「ふん、まあそれが勇者としての使命であり、勇者が勇者たる由縁よ・・・」
国王「実はね、よく働いてくれたことだし、御礼の品を用意しといた」
勇者「なんだと!?」
国王「試作品として作った気球をやろう」
国王「さすがに完成品はまだふたつしかないから無理だけどな」
勇者「いやいや、助かるよ!」
国王「それと、今日明日と宿代から食費までなんでもタダにしてやろうじゃないか」
国王「祭もやってるし、楽しんでいってくれよ」
71 = 65 :
勇者「おー、結構迫力あるんだな」
女神「でしょでしょ?すっごいよねー」
勇者「・・・歌、歌詞が聞き取れんのだが」
女神「仕方ないよ、今は使われてない言語だもん」
女神「多分歌ってる人も意味理解してないんじゃないかなー?」
勇者「お前はわかるのか?」
女神「まがりなりにも神様ですから!」
勇者「訳してもらってもいいか?」
女神「褒めてくれたらいーよ!」
勇者「・・・・・・さすが女神だ、偉いぞ」
女神「よかろう!」
72 = 65 :
女神『我々が何をしたのか、我々は何をしたのか』
女神『考えてもわからぬ、わからぬから考えぬ』
女神『できる事をただやるだけだ』
女神『男よ、地を踏み仕打ちに耐えよ』
女神『女よ、歌って気を紛らせよ』
女神『いずれか来たる方舟が、我々を救う時までは』
女神「ってところかな?」
73 = 65 :
勇者「それって・・・」
女神「うん、本来はこんなに楽しんでやるものじゃなかったんだよ」
女神「地面踏むのは男だけ、歌うのは女だけ」
女神「言葉の風化とともに、いろんな物も忘れられたんだよ」
勇者「それをこの人達は?」
女神「知らないでしょ」
女神「知ってたら、笑顔なんかで歌える歌じゃないよ」
勇者「・・・うん」
74 :
面白し
続けたまえいやください
75 = 65 :
女神「他に気になる事は?」
勇者「最後の方舟って、神の塔のことか?」
女神「おー!よく覚えてたね」
女神「多分そうだと思うよー」
女神「この歌は創世期の歌だしね、神の塔が伝説として伝わっててもおかしくはないね」
勇者「・・・我々を救う、か」
女神「方舟に乗れば、その先にあるのは新たな世界」
女神「鉄砲水の恐怖からも逃げられる、かもねー」
勇者「ってことなのか?」
女神「たぶん」
76 = 65 :
国王「いいのかい?こんないい馬もらっちゃって」
勇者「どうせ気球には乗せられないんだろ?」
勇者「だったら連れてけないからな」
国王「そうか、ならありがたく受け取る」
女神「いやー、ちゃっかりこんな気球手に入れるなんて、さっすが勇者だね!」
勇者「別にちゃっかりってわけじゃ」
女神「照れなくていーよ!それじゃいこっか!」
77 = 65 :
勇者「操縦も慣れれば簡単だな」
女神「西の大陸に行くの?」
勇者「いきなり北の大陸だと、魔物が強いからな」
女神「へぇ、結構考えてんね」
勇者「・・・考えれば、わかる事だからな」
女神(あの歌を引っ張ってんのかな?)
女神「ちゃんと考えるのは偉いよー!」
79 :
見てます
80 = 69 :
さらば赤兎
81 = 65 :
女神「おー!海!海!」
勇者「そーいや海初めてだな」
女神「じゃあいいこと教えたげる!」
勇者「いいこと?」
女神「あの鳥に、にゃー!って言ってごらん?」
勇者「に、にゃー?」
女神「そーそー、そんな風に」
82 = 65 :
女神「恥なんか捨てちまえー!どうせ私しか見てないぞー!」
勇者「・・・・・・にゃー」
女神「ちっちゃい!もっかーい!」
勇者「・・・にゃー!!」
勇者「言ったぞ・・・」
女神「うーん、勇者才能ないね」
勇者「んなっ!」
女神「にゃー!」
トリ「にゃー!にゃー!」
女神「・・・ね?」
83 = 65 :
勇者「と、鳥がにゃーって・・・」
女神「あれは海猫っていってね、猫みたいに鳴くんだ」
女神「うまく真似すると返事してくれるんだよ!」
勇者「はー、なんかすげぇな」
女神「世界はまだまだ君の知らない事で溢れているのだよ、勇者くん」
勇者「さすがです、女神教授」
84 = 65 :
女神「おっ、海を越えたねー」
勇者「ほんとだ、陸が見える」
勇者「・・・ん?あのでかい木、まさか世界樹か?」
女神「ほうほう、世界樹は知ってるんだ」
勇者「まぁ本で読んだくらいだが」
女神「じゃあ解説はいらないね」
勇者「いや、できればお願いしたい」
女神「しょーがないな、頭撫でてくれたらいーよ!」
勇者「・・・・・・」
女神「えへへ・・・」
85 = 65 :
女神「あれは世界樹だよ、世界最大の木」
女神「最大だけあって一番長生きしてる生き物でもあるんだよ!」
勇者「いや、それは知ってるからさ、女神くらいしか知らないような事を教えてよ」
女神「うーん、じゃあ」
女神「実はあの世界樹、私が植えたんだー」
女神「最初の世界作ると同時に植えたから、樹齢は世界の年齢なんだよ」
勇者「え、じゃあ樹齢は・・・」
女神「三万年だよ」
勇者「おぉー」
86 = 65 :
女神「あとは、根本にはエルフが住んでるとか、葉っぱには死者を生き返らせる力があるとかそんな感じ」
勇者「なるほど、ありがとうな」
女神「いやいやどーも」
女神「どうする?よってみ・・・・・・」
勇者「いや、とりあえずは先に・・・って女神?」
女神「・・・・・・」チョイチョイ
勇者「ん?」
勇者「・・・・・・ドラゴン?」
ドガアァァアン・・・・・・
88 = 65 :
勇者「・・・・・・ん、ここは?」
魔神「おはよう、勇者」
勇者「お前は・・・?」
魔神「俺か?俺は魔神」
魔神「女神が勇者の後見人だとしたら、俺は魔王の後見人といったところだな」
勇者「魔王の・・・!」
魔神「まぁ落ち着け、ひのきのぼうを納めろ」
魔神「それにどうあがいたってお前は俺に勝てねぇ」
魔神「神様はよーく知ってんだろ?」
89 :
ふむ
90 = 65 :
勇者「・・・・・・ここはどこだ?」
魔神「お前の夢の中、だ」
魔神「神様だしよ、夢枕に立つことぐれぇ簡単なもんさ」
勇者「俺に何の用だ」
魔神「ちょいと様子を見に来ただけさ」
魔神「なかなかいいツラしてやがる」
勇者「用がすんだなら、帰れ」
魔神「おーこわい」
91 = 65 :
魔神「んじゃ最後にヒントをくれてやる」
勇者「ヒント?」
魔神「世界の真実に関係するヒントさ」
魔神「神は雌雄同体であり、両性具有ってのは聞いたな?」
魔神「雄と・・・雌」
魔神「男と・・・女」
魔神「他にもまだある、例えば俺は両利き、左右も持っている」
勇者「・・・意味がわからないな」
魔神「いずれわかるさ、じゃあな」
92 = 65 :
勇者「・・・!」ガバッ
エルフ「あら、目が覚めました?」
勇者「こ、ここは?」
エルフ「世界樹の根本、エルフの村ですわ、勇者様」
勇者「エルフの・・・」
エルフ「隣で寝ている女性、つきっきりで看病してくれてましたから、少し寝かせて差し上げて」
勇者「あ、はい」
エルフ「二日も目を覚まさないんですもの、心配しましたわ」
勇者「二日!?」
93 = 65 :
勇者「そういや、女神が寝るの初めてみるな」
女神「・・・・・・」
勇者「・・・ホントに寝てんのか?死んでるんじゃないだろうな」
女神「・・・・・・!」ガバッ
勇者「うわ!」
女神「あ、勇者起きたんだ」
勇者「ああ、まぁな」
女神「ふむふむ、特に異常なさそうでよかった!」
94 :
女神=魔神ってことかな
95 = 65 :
女神「へー、こんなふうに村が発展してるのか」
勇者「来たことなかったのか?」
女神「うーん、じっくり見るのは初めてかな」
女神「これは勇者のおかげかな!」
勇者「あー、あそこでドラゴンに気球をおじゃんにされたおかげだな」
女神「じゃあドラゴンのおかげだね!」
勇者「そう、なのかな?」
96 :
うむ、面白い
97 = 65 :
勇者「お?」フラッ
女神「だいじょぶ?やっぱりまだ本調子じゃないみたいだね」
勇者「スマン、宿で休んでるから自由にしててくれ」
女神「りょーかい!」
女神「・・・・・・」
女神「さぁーって、なにしよっかな?」
98 = 65 :
魔神「魔王さんに、久しぶりの連絡ですよ」
魔神「勇者は世界樹に引っ掛かって一命を取り留めたぜ」
魔王「!」
魔神「残念だったな、わざわざドラゴンまで送ったってのに」
魔王「・・・ふん」
魔神「もう無駄な足掻きはやめろ、見苦しい」
魔神「自分の運命を受け入れろ、俺が言いたいのはこれだけだ」
魔神「じゃあな」
魔王「運命・・・か・・・」
99 = 65 :
勇者「さて、もうしばらく寝――」
ドォン!
勇者「んなっ!」
エルフ「あら、勇者様、戻られてましたか」
勇者「な、何があったんです?」
エルフ「えっと・・・私達種族と、世界樹を狙う人間の襲撃です」
勇者「人間の、襲撃・・・?」
エルフ「はい・・・あ、でもおいかえしましたから安心してくださいね」
100 = 65 :
勇者「詳しく聞かせてくれませんか」
勇者「何故人間が、エルフを狙うのか」
エルフ「・・・お気を悪くされます」
勇者「構いません、同族として知りたいんです」
エルフ「・・・・・・」
エルフ「私達エルフは、人間よりも賢く、長生きです」
エルフ「しかもエルフは男女ともに人間の美的感覚の上部に位置する顔立ちをしております」
エルフ「中には私達の知識を求めて来られる方もいますが・・・」
エルフ「ほとんどは、人間とエルフでは子孫をもうけられないという特徴を活かすために来られる方です」
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