元スレ魔王「お前の泣き顔が見てみたい」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
201 = 1 :
・・・父の死を聞いたのはそれから五日後の事だった。
父が王国へ一人で攻め入り、返り討ちにあったとの事だ。
・・・・おそらく僕を取り戻す為に。
勇者「暫しの間、城を空ける事をお許しください、陛下」
王「良い。勇者の父への手向け、存分にしてくるがいい」
勇者「有難きお言葉、失礼します」スッ
勇者の後ろを見送り、王は一人、笑う。
王「さて、どう動く?勇者よ」
202 = 1 :
ーーーーーーーーーー王国のはずれの村
村人「・・・・おめぇか」
勇者「・・・・ご無沙汰してます」
村人「はっ、えらくなったようだがな、ここじゃ誰もお前の事を勇者と
呼ぶ奴はいねぇぞ」
勇者「それは、わかってますよ。僕の父の墓は、どこにありますかね」
村人「・・・・お前らの家の傍だ。作ってやっただけ有難く思えよ」
勇者は唇をかみ締める。
勇者「有難う・・・・ございます」
勇者は自分の家へと向かった。父の墓を目の前にして、勇者は笑う。
勇者「・・・・小さいお墓だね」
墓にぽろぽろと滴が落ちる。
勇者「ごめんなさい、父さん」
203 = 1 :
勇者「この家にいるのは、・・・・もう僕一人だけなんだ」
数日離れていただけなのにひどく懐かしく感じる家
の中を見渡す。
勇者「・・・・これは?」
勇者はテーブルの上に一冊の本を見つけた。
勇者は椅子に座り、本を開く。するとそこに父の字があった。
勇者「父さん・・・・?」
204 = 1 :
息子へ
お前がこれを開いているなら、俺は死んだんだろうな。
俺が死んだのはお前のせいじゃない。俺がお前をもっとちゃんと
見てやれなかったからだ。・・・・本当にすまん。
・・・この本には俺の全てが書いてある。もちろんお前に初めて会った
時のこともな。
もっと前にこの事を話していれば良かったのに、と今は思う。
だがこれは決してお前の為を思って話さないでいたんだ。
だからこれから書いてある、まぁ話すことは楽しいことじゃない。
でもお前にはもう伝えると決めた。・・・・さぁ紙をめくるんだ。
お前にはここから話そうと思う。
・・・・俺が《王国の英雄》と呼ばれていた頃について
お前の父より
勇者「・・・・父さん」ペラッ
勇者は本のページをめくると魔法が発動した。
父『よう、開いちまったんだな、息子よ』
205 = 1 :
勇者「・・・・・本当に父さんなの・・・・?」
父『それ以外だったらなんだってんだよ?』
勇者の頬から涙が伝う。
勇者「・・・・・どうして死んだんだよぉ」ポロポロ
父『・・・・男にはやらなきゃなんねぇ時があるってことだよ』
父『あ、一言いっとくがこの喋っている俺は正真正銘の俺じゃねぇからな。
簡単に言えばこの本に俺の記憶と意識を複製したんだ。まぁそんな
の簡単にできるわけねぇから完璧じゃないって意味でな』
206 = 1 :
勇者「父さん、そんな魔法が使えたんだ・・・・・」
父『おうよ!崇めていいんだぜ!?なんたって俺は《勇者》だったん
だからな!!お前の先輩だ!』
勇者「・・・・・嘘、でしょ?」
父『だから全部話すって言っただろ?俺は300年前に魔王を打ち倒した
《王国の英雄》って呼ばれた勇者だ』
父『まぁ、本当に伝えたいことはそんな事じゃねぇんだけどな』
207 = 1 :
父『俺は王国で生まれ育ったんだ。お前は村で育ったからわかんなかった
だろうが、王国では憎むべき敵は魔物、魔物を殺す事は名誉って
なんとも馬鹿らしい洗脳教育が流行っててな』
父『・・・・俺もその洗脳された馬鹿の一人だった。俺は10歳の時に
《神の加護》を受けているって発覚してな。勇者の素養があったんだ』
勇者「そうなんだ・・・・」
父『俺は浮かれてたよ。周りから勇者様、勇者様って言われてな。魔法だ
ってその辺の魔法使いなんか俺の足元にも及ばなかった』
父『だから勘違いしてたんだ。勇者になるってことがどういう事かをな』
208 = 1 :
父は静かに言葉を続ける。
父『俺が24歳ぐらいになってよ。とうとう魔王討伐の命が下されたんだ』
父『でもそのころには俺も流石に異変に気づいてな。どう考えても
4人だけで魔王討伐って無茶だろってな』
父『4人の他にも魔王と戦える奴はごろごろいるのになんで4人で行かな
きゃいけないんだって俺は何度も王に問い詰めたさ。でも王は
そういう決まりなのだ、の一点張りだった』
父『だから俺達は行ったよ、4人だけでな。まるで死刑台に送られる
囚人みたいだったぜ?ははは』
勇者「・・・・・」
209 = 1 :
父『最初は良かったよ。人間界だと殺すのに罪悪感も感じねぇ姿、知能
を持った奴しかいなかったからな。だが魔界では違った。
どう考えても俺たちと同じ知能と、感情を持った奴らがいたのさ。
いや、俺たち人間なんかよりずっと頭の良い奴もいたぜ?』
父『そんな奴らを殺して心は痛まないのかって?そりゃ痛むさ、だがよ。
そんなもんは麻痺しちまうのさ。あの時は何でも恨んだ。4人だけで
この痛みを背負わされなきゃいけなかったことを、仲間が俺以外
皆死んじまった事をな』
父『死んでった仲間は俺になんて言ったと思う?勇者、お前ならできる、
だからお前だけでも生きろ、そう言ったんだ。そんな俺はどう
すりゃいい?』
父『俺にできるのはその責任から逃げることだけさ。痛みから逃げないと俺が
壊れちまう。逃げる為に殺して殺して殺して・・・・・結果的に俺に
残されたのは魔王の抹殺の命と魔物に対する憎悪だけ』
父『魔物達に俺の姿はどう映ったんだろうな・・・・、よっぽどの化け物
に映ったに違いねぇ。お前よりもよっぽどな。・・・・話し合えば
分かり合えたかもしれねぇのになぁ・・・・』
勇者「・・・・父さん」
210 = 1 :
父『最終的に俺は魔王を殺しちまった。どうやったかなんて覚えてねぇよ。
命からがら城に逃げ戻った俺は英雄扱いだ。・・・・だが俺にはもう
何も残っちゃいなかった。そんな俺が《王国の英雄》だと?
ふざけんじゃねぇよ』
父『だが俺には人並みの王国へ対する憎しみだけは残ってたらしくてな。
俺はどんな事でも《王国の英雄》の伝を使って王国の事を
調べて調べて調べまくってやった』
父『・・・・そして俺は人間として知っちゃぁならねぇ事を知った。
それがばれて王国から追放さ、まぁ命あっただけマシだけどな』
父『そっからの俺は魂が抜けたみたいになっちまってな。全てがもう
どうでも良くなっちまったが、3人の事が頭から離れなくってよ、
・・・・・死ねなかった。それがあいつ等との最後の約束だからよ』
211 = 1 :
父『それで俺は王国のはずれの村に住むことに決めたんだ。近かったし、
それに村に入ってくる魔物を人から守ることで俺の心を慰めたかった
んだよな。俺は良い事してる、ってな大した偽善だろ?』
勇者「そんな事・・・・ないよ」
父『・・・・そんな生活が300年続いたよ。いつものように俺は森で飯の為に
適当な獲物を探してたらよ。森の奥である赤子を見つけたんだ』
勇者「・・・・・それが・・・」
父『そう、お前だよ』
212 = 1 :
父『俺は急いでその赤子に駆け寄ったよ。餓死してるだろうとは
思ったけどな』
勇者「でも僕は死んでなかった」
父『・・・・そうだ。俺はお前をその時見た瞬間にわかった、ああ、この子は
特別な存在なんだ、とな。そして同時に思ったんだ、この子がこの
先どのように生きていくのかをな』
父『皆から化け物と呼ばれる事は容易に想像できた。それだけじゃない、
皆がこの子を災厄の子として殺そうとするだろう、と』
213 = 1 :
父『なんて悲しい運命を背負った子だ、と思った。だからこそ俺は
お前を自分で育てようと思ったんだ。自分で運命を選択できる日まで
俺がお前を守り通そうと思った。まあ、そうする事で俺がしたことの
罪を償いたかったのかもしれないがな』
勇者「・・・・・そして今が選択の時なんだね」
父『ああ、できればお前がもっと成長してから選択させてやりたかった
んだがな。さて、これから俺がお前に話すことは全て最も重要かつ
本当の事だ。覚悟はいいな?その上でお前が自分の運命を決めるんだ』
勇者「うん、受けてたつよ」
214 = 1 :
勇者「・・・・・全てわかったよ、父さん。この王国のことも、魔界のことも
・・・全部」
その声は落ち着いている。
父『・・・・・ならお前の選択を聞かせてもらおうか』
勇者「今の話が本当でも僕の選択は変わらない、僕は・・・・」
勇者「・・・・人間と魔物が共存できる世界を作るよ」
父『ああ・・・・、それがお前の選択ならもう言うべき事はねぇ・・・。お前なら 、できる』
父『最後に一言言ってもいいか・・・・、もう、この魔具の魔力が切れそうだ』
勇者「なんでも言ってよ、父さん」
父『お前と、・・・・過ご・・・せた、10年間は・・・・何よりも幸せだった』
215 = 1 :
勇者「・・・・じゃあ、僕も一言」
勇者はもう泣いてはいない。
勇者「僕、本当に父さんの息子で良かったよ」ニコ
父『は、・・・・・は、最後の、最後に、嬉しい、事言いやが・・・・』
・・・・もう父の声は聞こえない。
勇者「おやすみ」
勇者は穏やかな顔で、そう告げた。
216 = 1 :
ーーーーーーーーーーーー30年後
勇者「確かに勇者になってから辛いことも悲しいこともあったけど、
・・・・・楽しい事もたくさんあったよ?」
勇者は父の墓に話しかける。
勇者「やっぱり父さんの言った通り、ちゃんと魔物さん達だって話せば
僕の事をわかってもらえた」ニコ
勇者「初めてだったよ。・・・・僕の事を化け物ってわかってても純粋に僕の事
を見てもらえたのは」
勇者「皆僕に普通に接してくれて、あれほど嬉しい事はなかった。
やっぱり30年前の選択は間違ってなかったんだって、今は
はっきりとそう思えるんだ・・・。父さんのお陰だよ」
勇者「・・・僕がこれからやろうとする事は、もしかしたら人も魔物も
全ての生き物達が喜ぶ事ではないかもしれない」
勇者「でも皆は僕の事を信じてくれたんだ。・・・・だから僕も自分の事を最後
まで信じてみるよ。じゃあ父さん」
穏やかな笑みを浮かべて、
勇者「いってきます」
勇者は歩き出す。
217 = 53 :
よ
218 = 1 :
キリがいいので、そろそろこの辺でやめた方がいいような気がするのですが・・・・?
219 = 143 :
私怨
221 = 181 :
先が気になって仕方がない
頼むから続けてくれ
222 = 220 :
いつまで保守すれば続きが読める?
223 = 1 :
>>221 ではあと30分頑張ります
永かった。
私のしてきた事の全てが、今日報われる。
やっと、やっと私は世界の運命を掌握する事ができる。
・・・・世界の王になるのだ。
王「・・・・久しいな」
王はその者を見据える。
王「勇者よ」
勇者「ええ、お久しぶりです。陛下」
224 = 157 :
あとドンくらいあるの
225 :
>>224
このスレが滅びるまでだな
226 = 1 :
>>222 恐らく今日中は無理だと思います・・・申し訳ありません;
王「話は聞いている。・・・随分なやられ様だな」
勇者「・・・申し訳ありません。私の力が至らなかったばかりに王様のご期待
に副うことがかなわず」
王「良い。20年間、よく《勇者》をやってくれた」
王にどす黒い笑みに口を歪めた。
王「・・・・もう休め」
その瞬間、巨大な魔方陣が勇者を中心に展開される。
勇者「これは・・・・・ッ!!」
王「・・・お前にこの魔法を破壊する魔力がもう残っていないことなどもう
わかっている」
勇者「・・・・ッ!!ぐっあっ・・・・がっ!?」ビキビキ
勇者はこの激痛を知っている。何故かはわからないが体が覚えている。
王「くはは、どうだね。30年振りの激痛の味は」
227 = 1 :
>>224 あと4,5割ぐらいでしょうか・・・
勇者「それは・・・どういう、事だ・・・・ッ」
王「ああ、そうだった。お前は覚えていないのだったなぁ、30年前の
あの事を」
王「しかしこの20年間のお前の《勇者》としての働きは素晴らしいもの
だったよ」
心底愉快ような笑みを浮かべて王は言葉を続ける。
王「・・・お陰で今度こそ魔族を一匹残らず殲滅できる」
228 = 1 :
勇者「・・・・王、貴方は・・・・ッ!!」
王「何も私が知らなかったとでも?お前がこの20年間何をしていたかを、
私がそこまで無能だとでも思ったか」ドカッ
勇者「ぐっ・・・・」
王「いやはや、この20年間お前がずっと魔族に媚を売ってくれたお陰で
随分と奴らの守りが薄くなった。その点については感謝している」
王は勇者の血に濡れた金色の髪を掴みあげる。
王「だがそんな事はどうでも良いのだよ」
王の笑みが一層深まる。
王「私にとって重要な事はお前に《勇者》として奴らとの壁を薄くする
ことではない。その20年という期間こそが必要だったのだ!!」ガスッ
王「そうだ。・・・・全てはお前を殺す為だ、勇者」
229 = 1 :
勇者「ごほっ・・・・殺すなら30年前に殺せば良かっただろう」
王「ああ、ああそうだな。できるならそうしていた。」
王の表情が狂喜から憤怒に切り替わる。
王「だが殺せなかったのだよ!!お前は!その力を半減させたとしても
この私でさえ!殺す事ができなかったのだ!・・・ああ、なんという化け物だろうな」
王「逆に殺そうとすれば、その力が暴走しこちらが皆殺しにされる可能性
があったのだよ。・・・だから私はお前に楔を打ち込んでおいたのだ」
勇者は激痛に脂汗を滲ませながらかすれた声を漏らす。
勇者「・・・・それがこの首輪、か」
王「ああ、そうだ。その首輪はただの魔具ではない。呪われた魔具なのだよ。
なにせお前ほどの存在にその力が届くのだからな。それを創り出した
存在はある意味お前と同様の存在と言えるだろう」
王「・・・・その魔具は《元始の魔王》が創り出したものなのだよ」
230 = 169 :
1は親が寝てから戻ってくることは出来ないかね?
231 :
、
232 = 1 :
痛みを驚愕が上回る。
勇者「《元始の魔王》と僕が・・・・同じ・・・だと?」
王「・・・そうだ。お前がただの化け物だとでも?笑わせるな。・・・
私はお前以上にお前の事を知っている」
王「そうだな、冥土の土産に教えてやろう。大昔の伝承だ、もっとも
この事を事細かに知っているのは今では私ぐらいしかいないだろうがな」
王「・・・この伝承ではお前という存在は《神の子》と呼ばれている」
勇者「《神の子》・・・・?」
王「そうだ。真に《神の祝福》と《神の加護》を受けた者のことと記さ
れている。私から見ればただの呪いにしか見えんがね、・・・簡潔
に言い直してやろうか」
王「生まれでたその時から世界を改変するほどの魔力を有している存在、
それを《神の子》というのだ」
233 = 1 :
>>230 できないです、ごめんなさい;
王「魔法を行使するという事はその一定空間における事象改変を行う事
と同義だという事はお前も知っている筈だ。そしてその規模はその
対価として消費される魔力量によって左右される」
勇者「・・・・」
王「・・・初めて《神の子》がこの世に生まれ出たのは遥か昔の事だ。
そのときの世界には・・・・・魔族などというおぞましい存在はいなかった。
もちろん魔界もな」
勇者「・・・・そん、な」
王「・・・もうわかる筈だ。元々魔族など存在しなかったのだ、本来
この世を支配するべきは人間なのに!!それを《神の子》は邪魔をした!!
魔物を、魔界を作り出したのはその《神の子》なのだ!!!!!そしてその
《神の子》は自身の存在を創りかえ、・・・・《元始の魔王》となった」
234 = 1 :
王「当時我ら人間が有していた技術は奴らが生み出した魔法の前に
完膚なきまでに叩きのめされた。そのせいで我らは世界の半分に
追いやられたのだ。その世界の半分を人間界、その片割れを魔界
と今では呼ばれるようになったがな」
王「奴らが人間界に攻めてくる事はなかった。脆弱な魔物を除いてな。
それは強い魔力を持つ者は魔界の赤い空の下でないとその力を
充分に発揮できないからだ、と今ではわかっているが。だがたとえ
脆弱な魔物であっても、ごく僅かな魔力しか持たない我ら人間に
とっては恐怖の対象である事に変わりはない・・・・!!我らは常に
恐怖にさらされて生きていたのだ」
王「だがそこで我らの救世主になったのも新しく生まれた《神の子》
だったのだ。人間共はほんの一部を除いてその《神の子》を
救世主だと信仰した、私は違うがな」
王「そして《元始の魔王》に一人で立ち向かう《神の子》の勇気溢れる
その様を見て人間は奴を《勇者》と呼ぶようになった」
235 = 154 :
つまり明日まで保守すればいいのか
236 = 1 :
王「《元始の魔王》と《勇者》元々同じ存在だ。結果はおのずとわかるだろう?」
勇者「・・・・相討ち」
王「・・・・そうだ。そこから魔族と人間の力は徐々に均衡を保つようになり今に至る」
勇者「・・・今では人の方が勝る、か」
王は狂喜に顔を歪める。
王「・・・そうだ。今では我らの方が強く、賢い」
バリンッ と何かが壊れた音がした。
王「・・・ほう、その残り少ない魔力でこの巨大な魔法陣を壊すとはな。力
だけではないようだ」
勇者「・・・でもそれは幾万もの魂を縛ってまでやる事じゃない」
勇者は立ち上がる。
王「・・・・やはり知っていたか」
王がその笑みを変える事はない。
237 = 1 :
>>235 皆さんに負担をかけてしまうと自分が心苦しいです・・・・
ーーーーーーーーーーーー11時間前
勇者「側近さん、すこしお時間よろしいですか?」
側近「・・・別にかまいませんが」
魔王が話に割り込む。
魔王「なんだ、何を話すのだ?」
勇者「本当に、くだらない事なんです」ニコ
魔王は口をへの字に変えた。
魔王「むむ、くだらない事ならここで話せるだろう?」
勇者「・・・魔王様は僕を信じてくれないんですか?」
魔王「うぐ・・・なんだかお前はずるいぞ!」
もういい!と言って魔王は歩いていってしまった。
238 = 1 :
側近「・・・・これは」
側近は防音魔法が張られていることに気づく。
勇者「ええ、これから話す事は本当に聞かれたら困る事なので・・・」
一息入れて、勇者は口を開く。
勇者「側近さん、貴方には全てをお話します」
239 = 220 :
❹
240 = 1 :
勇者はいつもの笑みを浮かべてはいない。
勇者「まず貴方には今の人間の実態をお話したいと思います」
側近「・・・・はい」
勇者「側近さんは疑問に思ったことはありませんか?勇者一行はなぜ
30年周期で攻めてくるのか、・・・なぜたった4人だけなのか」
側近「・・・そういえば勇者は一人でしたね」
勇者「この役目は僕一人で充分ですからね」
側近「確かにそれについて考えた事はあります。ですがいくら考えても
それを知る方法がないので。・・・あと一つ質問してもいいですかね」
勇者「どうぞ」
側近「どうして貴方はここに来るのが他の勇者よりも20年遅かったの
ですか?」
勇者「・・・どう言えば良いでしょうか、そうですね。魔王討伐の任務期間
は本当は20年なんですけど僕以外の勇者は皆2年もかからないで
魔王城に到達してるんです、だからでしょうか」
側近「なっ!?・・・で、ではなぜ30年周期なのですか」
241 = 1 :
側近は言葉を続ける。
側近「だっておかしいじゃないですか。《神の祝福》と《神の加護》を
受けた人間が30年に一人ずつ都合良く生まれるなんて」
勇者「・・・その認識自体が間違ってるんですよ」
側近「それは、どういう・・・・?」
勇者「本当の勇者なんて、この世にはいないんですよ。これまでの勇者は
全員・・・・人工的に作られたんですから」
側近「・・・嘘」
勇者「残念ながらこれは真実ですよ、これはその《勇者》本人から聞いた事なんですから」
側近「・・・それは」
勇者「ええ、僕の父です」
242 = 1 :
勇者「人は強欲ですから、今までずっと魔法と強い魔力を手に入れる研究を
続けてきたんでしょうね。・・・・どんな手段を使っても」
勇者「まず最初に始めたのは魔族の肉体の移植です。これも長年の間
人体実験を繰り返してきたみたいですが、結局拒否反応が強すぎて断念したらしいです」
側近「なんてひどい事を・・・・」
勇者は表情を変えずに言葉を続ける。
勇者「次に人は魔具を集め始めたんです。その魔具を元にして研究設備も
一気に段階が進んだらしいですよ?その成果もあって遂に肉体的な実験
から魔力への実験へと移行できるようになりました」
勇者「そして人は弱い魔物ぐらいなら魔具を使って殺せるようになった
んですよ。そのお陰で人は恐ろしい事を発見しました」
側近「何が・・・わかったんですか」
勇者「魔物の肉体が死んでも魔力の反応が少しの間残ってたんですよ。
そこから人はこう結論づけました」
勇者「魔物には肉体と魔力を繋ぎとめる何かの源が存在しているのでは
ないか、と。・・・・それを人は《魂》と呼びました」
243 :
時々こういうスレに出会えるからVIPはやめられん
途中で終わるには惜しすぎるな
244 = 1 :
勇者「人はすぐに《魂》を抽出する研究を進めました。そして長年の
研究の結果、ついに《魂》を抽出し結晶化する事に成功したんです」
側近「・・・その結晶が体内に入っている者が《勇者》なのですか?」
勇者「・・・その結晶を人は《魂のオーブ》と呼びましたが、《魂のオーブ》
が体に入っている人間全てを《勇者》と呼ぶわけではありません。
当然拒絶反応は存在しますからね、肉体の移植と比べると危険度は
下がりますが」
勇者「適正があるんですよ」
側近「適正・・・・?」
勇者「はい、ずっと研究をしてきた人々、《教会》は新しく生まれる
子供に《神の祝福》という名の実験を始めました。《魂のオーブ》
のほんの一欠けらをその赤子の体内に入れるんですよ。ほんの
一欠けらなら拒絶反応はほとんどないので」
側近「・・・・」
245 = 220 :
取り敢えず明日まで保守する流れでいいの?
246 = 1 :
勇者「その欠片が体内に入った赤子達は欠片の中の何百もの魔物の魂
と適応しながら育っていきます。ある子は肉体の強い魔物の
魂と反応して戦士の素質を、また魔法に長けた魔物の魂に
反応して魔法使いとしての素質を、という風に」
勇者「それを適正といいます。そしてごくまれに複数の魔物との適正が
ある子がいるんです」
側近「・・・それを調べるのが《神の加護》なのですか」
勇者はにこりと笑う。
勇者「・・・流石側近さんです。そしてその審査に受かった子は
《魂のオーブ》の珠を新たに体に埋め込まれます」
側近「・・・・それが」
側近の声は震えている。
勇者「はい、その子供は《勇者》と呼ばれます」
247 :
それでいいんじゃね先読みたいし
248 = 1 :
>>245 えっ、そんな迷惑をかけるわけにはいかないです
側近「本当に勇者の言うとおりなら・・・・・」
勇者「そうです。今生きているほとんどの人間の体内には欠片が入って
いるんですよ。考えれば当たり前の事ですよね、勇者一行の勇者
だけが特別だったとしたら他の3人はとてもついてこれるわけ
ありませんから」
側近「・・・なら私達魔族を簡単に滅ぼせるのでは?人間全体が手を組めば
私達を上回る戦力になる筈です」
勇者「・・・人間だからこそできないんですよ。力を持った人間は人間界の
弱い魔物にもはや恐れる事はありません、言い換えれば協力
する必要がないんですよ」
勇者「初めは手を取り合っていた国々も、個々に力を持つにつれて
他の国を押しのけて我が我がと国の頂点に立とうとしました」
勇者「そしていつしか人間界には十つの巨大な王国が君臨していました。
でも人間同士の殺し合いを嫌った国々はある提案をしたんです」
勇者「30年に一度、順番に王国から勇者を含めた4人を魔王城に送り出す。
そしてその王国の勇者が魔王を討ち取ったならば次に魔王が
倒されるまでその王国が全ての主導権を得ることにしよう
じゃないか、と」
249 = 247 :
いや俺らが読みたいだけだから迷惑とかじゃない
250 = 1 :
・・・・勇者は何を言っているの?
嘘よ、嘘に決まってるじゃない、そんな事。
人間の内輪もめの為に、私達魔族は苦しめられてきたというの?
側近「・・・・・ふざけないで」
勇者「・・・え?」
側近は勇者の首を掴み、床に思い切り押し倒す。
側近「ふざけないでよ!!!貴方どうしてそんな事が言えるのよ!?
私達がどんな思いで日々を暮らしていたか知ってるくせに!!」
勇者は側近の手を掴み、その目を静かに見据える。
勇者「・・・幸い王国単体では魔族を全て滅ぼす事はできません。だから
魔族は今もこうして存在していられる」
側近「・・・・貴方は何が言いたいのよ、私に絶望を与えたいの?」
勇者「・・・・僕がこの状況を壊してみせますよ」
静かに勇者はそう言った。
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