元スレ花村「なぁ…里中」里中「…あによ?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
1 :
落ちたね
2 :
いわき「なぁ…里中」里中「…あによ?」
3 :
この時間舐めてたわ
4 :
落ちたんか…
5 = 1 :
一応最初から貼っていくは
―ジュネス八十稲羽店―
フードコート。
難航した連続殺人事件も、勇気ある少年達の活躍により、ついにその幕を閉じた、12月某日。
小さな町に、祝福の雪が降り積もる中、彼らはいつもの“特別捜査本部”に集合していた。
――――――
花村「…しっかしさ。事件が終わって、まだこんなトコに集まってくるのも、なんか、不思議な感じっつーか」
天城「そうだね。でも、やっぱり変に落ち着くよね、此処」
6 = 1 :
直斗「推理を重ね合わせた場所……周りの方にはどうか解りませんが、僕らには間違いなく…」
完二「…ああ、“特別な場所”だぜ」
言葉少なに、椅子にもたれたままで、少年達は空を仰いだ。
事件解決の安心感と、使命を果たした達成感が齎した平和に包まれていても、何か、ポッカリと開いた心の隙間。
何処かに何かを置き忘れた様な、そんな、感覚。
7 :
いわき「やぁーまだ!」
8 = 1 :
久慈川「…すごい不謹慎だけど、さ。…あの事件があって、みんなに出会えた。それはやっぱ、嬉しいなって思うの」
鳴上「……」
花村「まぁな。数奇な…っつーか、奇妙な巡り合わせだよな」
里中「よく考えたら、あたしら学年もクラスもバラバラだから、あの事件が無かったら知り合いにもならなかったかも!」
直斗「僕が警察から派遣されてくる事も、無かったでしょうね」
9 :
落ちたものは諦めろよ
10 = 3 :
そんなに速くて大丈夫か?(猿が)
11 = 1 :
クマ「カンジの“アブない男色説”も無かったクマ~」
完二「!?おまっ!ちげぇっつってんだろボケ!!このクマ公が!」
クマ「クマッ!?カンジの顔が赤いクマ!?」
完二「てててててテメー!!へっ、変な事言い出すんじゃねぇー!!!」
何処かしんみりとした空気を、クマの一言があっさり破壊すると、続いて始まった完二とクマのやりとりが、仲間達に笑いを生んだ。
12 = 1 :
鳴上「(…皆が素顔で、笑顔で、)」
天城「…いいね、楽しいね、鳴上君」
ニコッ
鳴上「ああ…そうだな」
ニッコリ
花村「(…………)」
花村「…よっしゃぁ!」
ガタッ
里中「わっ…!ちょっと花村!急に何よ!?」
13 = 1 :
花村「なぁ、クリスマスイブって皆何してんだ?どっか行っとかね?思い出作ろうぜ!ね、ね?」
こんな素晴らしい仲間達と、冬を過ごせたらどんだけ楽しーんだろう。
単純に、花村陽介はそんな思いから一同に提案した。
その裏に暗いムードを完全に断ち切ろうとする意図を含ませて。
もちろん皆も、花村の意図する辺りは理解していたのだが…
14 = 1 :
鳴上「……」
天城「う…」
完二「あー…」
久慈川「うーん…」
直斗「……」
直斗「……」
里中「…」
クマ「クマー…」
花村「…あ…アレ?」
その提案に賛同の声は上がらなかった。
15 = 1 :
花村「…もしかしてお前ら、予定あんの…?」
何かを考え込む様に、皆は視線を下に向け始めた。
花村「な、鳴上は!?」
鳴上「実は、長瀬と一条に呼ばれて」
花村「そっ…そっか。なら仕方ねぇな…ははっ。か、完二は!?」
完二「すんません。俺ぁ先に尚紀に先約があっちまって」
16 = 1 :
花村「天城は!?」
天城「あー…行きたいのは山々なんだけど…クリスマスに旅館に来る家族連れのお客さんって結構多くて…」
花村「ああ…り、りせは?」
久慈川「あたしとクマは、直斗くんの実家に行くの」
直斗「すいません、花村先輩。毎年クリスマスはおじいちゃんと過ごす事になっていて、それをお二人に話したら…どうしてもと煩いので…」
クマ「楽しみクマー」
花村「そ…そっかー…」」
17 = 1 :
直斗「……あ、良かったら先輩も」
花村「あー…いや、俺も遊ぶとしても、直斗の実家って超遠いらしいじゃん?バイトもあるし、俺もそこまで遠くへは行けねぇんだよな…ワリぃ」
直斗「そうですか、残念ですね…」
花村にとって、それはまさかの展開だった。
何だかんだで、集まる時はパッと集まっていた面子に、まさかこんな事態が起こるとは…
20 = 1 :
だがしかし、例の、忌ま忌ましい事件は、もう終わったのだ。
今までに比べ、個々のプライベートも、多少は集まりに影響してくる事を、そろそろ理解しなくてはならない。
少し寂しい気がすんなぁ。
たった一日一緒に過ごせなくなる事で、そんな風に考えてしまう程、花村にとって、いや、ここで俯く全員にとって、目の前の仲間達は大切で…大事な存在であった。
21 = 1 :
花村「ハァ…まさかの全員予定アリかよ…ま、いっか。んじゃ遊べる時は遊ぶぞ。絶対だかんな」
鳴上「ああ、もちろんだ」
皆が一様に頷いた、その時だった。
♪~♪~
天城「あ…ごめん、メール」
天城雪子の携帯に一通のメールが届いた。
旅館の従業員からの様だ。
天城「ごめん…旅館、大変みたいで…私、帰らないと…」
22 = 1 :
花村「相変わらず、大変だなぁ天城…気ぃつけてな」
完二「あー…俺もそろそろ帰らねぇとお袋が煩いんで…」
鳴上「俺もそろそろ家庭教師の時間だな…」
クマ「クマ眠い…」
久慈川「あっ!私もおばあちゃんに頼まれてたものあったんだ!」
直斗「僕もそろそろ…」
23 = 1 :
花村「なんだなんだ、みんな帰宅かよ…気ぃつけて帰ろよー」
鳴上「ああ、花村、また明日な」
天城「それじゃあ、ね」
久慈川「バイバイ先輩!またあそぼっ」
完二「ウィース」
クマ「ヨースケ!先にひとっ風呂浴びて待ってるクマー!」
花村「おう。じゃあなお前ら!にしても…ったくあのクマ遠慮がねぇな…マジで」
25 = 1 :
少し名残惜しげな顔で、陽介は帰宅する面々に別れを告げた。
皆も同じ気持ちなのだろう。離れても、見える限りは度々振り向いて手を振ってくれる。
その背を見送りながら、陽介が孤独感を感じだした頃。
「ちょっと、花村」
花村「うわ!里中!…お前まだ居たのかよ!?」
背後から声が掛かる。
里中だった。
26 = 1 :
里中「アンタが途中からあたしをスルーし続けてたんだろーが!な ん で あたしにはクリスマスの予定聴かないのよ!」
花村「あ、あっははは。忘れてた、スマンwwww…!?えぶふぅッ」
里中の繰り出した急所蹴りは、見事にクリティカルをたたき出した。
花村「さ…流石は足技オンリーでシャドウを撃退せしめるだけの…女じゃぁ…ぐふぅ…」
27 :
落ちちまったな
28 = 1 :
里中「本当、花村はバカなんだから!」
プンプンと頬を膨らませて怒る里中を前に、花村はダンゴ虫の様に丸まってうずくまった。
花村がしばらく、そのまま苦悶に堪え続けていると、里中は吃り調子で口を開いた。
里中「……わよ…」
花村「…は?」
里中「だから!私は……その」
花村「その?」
31 :
今度は落とさないら
32 :
里中「…//」
花村「お前、顔赤いぞ…なんか、悪ィもん食ったか??」
里中「」
ズドンッ!
花村「はおッ!?」
再びその急所に鋭い蹴りが命中する。まさに1more…
33 = 32 :
花村「お、おおお、おお、お…」
里中「私…あ、空いてるからッ!」
花村「へ」
里中「く、クリスマス!!空いてるからね、私!暇なら…なんかおごってくれても…その…//」
花村「え、里中…そそ、それって…デー」
里中「!//」
ドスンッ
花村「嫌あああああッッ」
34 = 32 :
三度、クリティカルが発生した。
むろん、急所である。
里中「いいい、良いから!暇なら、ちゃんと誘ってよね!ばいばい!!」
ダッ…
とうとう口から泡を吹き出した花村を置き去り、里中千枝はその場を走り去ってしまった。
花村「ぐぐ……さ、さと…なか…サン…?」
35 = 32 :
そして日は過ぎ…
ークリスマスイブ 前日ー
花村は自室で、携帯を握りしめたまま、部屋の中をぐるぐると周り続けていた。
花村「やべぇよ……おいおい、マジやべぇよ…!」
花村「まだ心臓バックバクだよ!なんだよ里中!なんなんだよ、里中サン!」
花村は先日の里中の台詞を回想し続けては、高鳴る胸の鼓動を必死に抑えつけていた。
36 = 32 :
花村「クリスマスイブよ!?しかもなんたってその……二人っきりってやつだし…!え!?なにそれ?」
花村は思わず、駆け出したくなる様な衝動に駆られるも抑え、変わりに窓を開け放った。
大きく息を吸い込むと、叫ぶ。
「それってデートじゃないっすかあああああああああああああああああああああ」
37 = 32 :
一方その頃…
ー里中千枝の自室ー
里中「うわ…うわ……うーわああああああああああああ」
こちらも叫んでいた。
里中「ぁあああ、あたし、なに誘ってんだろ!?いや、誘ってきたのはアイツ…アイツよね!?あたしじゃないよね!?」
錯乱に似た現実逃避行の真っ最中であった。
38 = 32 :
里中「お、落ち着かなきゃ、その…は、花村だし!いつも遊んでるし!たまに二人っきりで帰るし!」
里中「そうそう、二人っきり、で……」
里中「………」
里中「わああああああああん」
里中「無理だよぉぉ!!雪子ヘーーールプ!!!!」
39 = 32 :
里中「ど、どうしよう……花村、嫌がらないかな…」
里中「で、電話してみよう!」
千枝が携帯に手を伸ばしたその時、ふと考えが頭を過ぎる。
里中「でもでも、このタイミングで電話って……確実に明日の話になるよね?あたし、ちゃんと話す自信とかないんですけど…」
里中「はぁ…どうしよう」
里中「何、着て行こう…」
41 = 32 :
………………………
…………………
……………
ー再び、花村陽介の自室ー
花村は一人座禅を組み、テーブルに置いた携帯電話を見つめていた。
花村「……やっぱ、まだわかんねぇよな…だって、里中だもん」
花村「アイツの事だから、忘れちゃったー、とか言いだし兼ねないし…」
花村「………」
42 = 32 :
花村「…おっし…電話しよう!まずは、確認しなきゃな」
指先の震える手で、すっと手を伸ばして携帯電話を掴む。
花村「……そういえば」
アドレス帳を開いた時、ふと花村の脳内に、懐かしい記憶が蘇った。
43 = 32 :
……………………………
……………………
……………
それは、鳴上が転校してくる、その半年前。
一足先に、花村が都会から転校してきた、その日の事である。
花村(なんもねー…町)
華やかな大都会から引っ越してきた花村にとって、それは余りにも窮屈な、八十稲羽の町であった。
引っ越してすぐの翌日には、すぐに八十神高校に入学。
途端に忙しくなるというのに、花村のやる気や期待は、此処へ至るまでの道のりに置き忘れてきたらしい。
44 = 32 :
とにかく、彼にとって退屈の絶望感の方が大きかったのだ。
その日、担任教師の紹介の中で、教室に向けて語った花村の自己紹介は、その面を隠すような明るさを全面に押し出しての挨拶になった。
「ってなワケで!青春しようぜ!みたいな!なんつって!」
なんとか悪い印象を与える事だけは避けられたらしい。
クラスの人間はみな笑顔で出迎えてくれた。
なんだ。ちょろいな。
45 = 32 :
作り笑顔で、与えられた席に腰かける。
その後はボヤけた眼でダラダラと授業を受けて、あっという間に放課後を迎えた。
花村「(…つまんねぇ)」
校門を出るまで作り笑顔を保ち、トボトボと歩きだす。
花村「(こんなのが、あと二年か…俺、生きていけんのか…)」
47 :
そういや小説あったよな小西先輩の話の
48 = 32 :
ある意味期待通りの退屈さを全身に感じながら、帰路をただ歩き続けていると、不意に背後から肩を叩かれた。
花村「!?」
振り返ると、そこにはセーラー服の代わりに緑のジャージを着込んだ、単発の少女が立っていた。
里中であった。
49 = 32 :
花村「あー、えっと…里…中さんだっけ?」
里中「おっ?すっげー。もう覚えてくれてたんだ?」
花村「あぁ…だってホラ、目立つじゃん?そのジャージ」
里中「かっこ良いだろう!!」
花村「いや褒めてねー」
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