のくす牧場
コンテンツ
牧場内検索
カウンタ
総計:127,597,877人
昨日:no data人
今日:
最近の注目
人気の最安値情報
VIP以外のSS書庫はSS+をご利用ください。

元スレ女「私すごく不器用ですしっ、つ、つつつ付き合うとかそんにゃっ」

SS覧 / PC版 /
スレッド評価: スレッド評価について
みんなの評価 :
タグ : - + - 後輩 + - + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
←前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitter

301 :

>>300
だからいいんじゃないか

302 = 295 :

>>300
素質あるくらいが最高なんだろ

303 = 278 :

>>300
だからこそロマンチックなんだよ

304 = 186 :

>>300
と言いつつも読むんだろ?

305 = 31 :

「男くんに『さびしくないの?』って聞かれて、すごく見透かされた気分になった」

「でも『さびしい』なんて言って、男くんが埋めてくれるの?」

「私の寂しさ、埋められるの?」

「ちがうよね……違うんだよ……分かってるよ、求めたって無駄だって」

「言ったって、無駄だって」

「でもさぁ……やっぱり、私男くんの前で素直になりたいから……でも、言ったって無駄だから」

「そういうの、もうごちゃまぜになって、ぐるぐるぐるぐる回っちゃって、苦しくって……っ!」

「やっぱり私不器用だから……そういうの上手く処理できないんだよ。ヒートアップしちゃうんだよ」

「耐えられないんだよぉ……!」

「俺に、女さんの寂しさ。埋められないの?」

「そうだよ……! 私が欲しい寂しさは……っ、もう、もうっ……」

「どこにも――――」フラッ

「……っ!? 女さんっ!!」

306 = 31 :

「……」クテッ

「急に倒れて……、っ!? 熱が……?」

「……かえ、って……いいから……」

「送る。送ってくから。あ、……病院っ!」

「いい……びょういん、きら、ぃ」

「おか、……さん、…………こゎ、ぃ……」

「え……?」

「いえ……かえ、……る……」

「なら、おぶってくから。帰ろ。女さんの家に」

「や、……だ。きちゃ、や、だ……こなぃ、で」

「こっちの道でいいんだよね?……んっしょ」

「……ぁ」

「ちょっと、どばすから。揺れて気分悪くなったら言ってよ」

307 :

親共働きひとりっ子の寂しがり方は屈折してるからなあ。付き合うとなるとハードルが高いぞ。
この>>1はその辺よくわかってるな

308 = 31 :

「(女さん、すごく軽い……)」

「(こんなに細くて、華奢で。でも、すごく暖かくて)」

「(こんな時に不謹慎だけど。背中の温度が…………幸せだ)」

「…………ん」ギュッ

「女……さん?」

「……と……ん」

「おと……さん」

「……ぅぅ」

「ゃだぁ……」

309 = 31 :

「このマンション?」

「……ん」

「鍵、ポスト、に……」

「う、うん」

「男くん」

「ん?」

「なにがあって、も、せめて、友達で……いて、ね」

「……」

「おねがいだよ」

「うん」

「おじゃまします」

311 = 307 :

オニのように支援する

312 :

イブになんてもの見せるんだ

313 = 31 :

 マンションの中に入って、女さんをベットに寝かせた。
 さんの(であろう)部屋は、飾りっ気のない質素な雰囲気。
 ただ、大きなペンギンのぬいぐるみが1つ、ベットの脇に転がっていた。
 抱きしめながら寝てるのかな、とか想像したら、思わずにやけてしまう。

 タオルを見つけて、濡らしてから女さんの額に当ててあげる。
 お約束の、身体を拭いてあげる云々をやる勇気は俺にはない。

 でも、女さんは、くるしそうに息を吸ったり吐いたりして、時折「寒い」とか「苦しい」と声をもらしていた。
 そんな女さんを助けたくて、僕は居間にあった電話帳を手に取り、電話をかけた。


 『はい、市立VIP病院コールセンターです」

「看護士の母さんをお願いします」

「娘さんの事で、急ぎお伝えしたい事があるんです」

315 = 199 :

しえん

316 = 31 :

「女っ!!!」

「……あ」

「女は?」

「ベットで」

「……っ、ごめん悪いんだけど、水汲んできて」

「あ、は、はいっ」

「熱っ。……あーっ、もう! これ、40度近くあるよ……」

「水ですっ」

「ん。……いい子だから飲んでね……飲まないと、熱下がらないよ」

「ん、っ……う……」ゴクゴク

「うん。いい子だ。……ほんと、女は昔から素直でいい子だ」

「……」

317 = 31 :

「薬飲ませたから、多分だいじょうぶだと思う」

「これで下がらなかったら、明日無理やりにでも病院連れて行くから」

「そうですか……」ホッ

「……あ、ごめん。まぁ、分かってると思うけど、女の母です。電話の……男くんだよね?」

「あ、はい」ペコリ

「いきなりで失礼だけど、女とは……」

「友達です」

「友達?」

「え、えぇ」

「嘘じゃないよね? ただのクラスメイトとかじゃなくて?」

「クラスメイトでもありますけど、今日一緒に買いものにいったりもしましたし」

「あ!」ピーン

「キミかぁ!!」

「え?」

319 = 31 :

「いやあ、なんでもないのさ。なんでもねーっ」

「はぁ」

「でもさーでもでもっ、実際のところどうなのさ?」

「え? といいますと?」

「どこまですすんでんの?」

「?」

「かーーーっ、分かってる癖に分かってないフリたぁあんた分かってるねーーっ!」

「エロゲの主人公かってーの!」

「えっとその……決してそういうつもりは」

「好きなんでしょ?」

「え」

「女の事が」

321 = 31 :

「あの……そういう質問に上手く答えられないんですけど……」

「そうなの? 好きじゃないんだ?」

「あ、その、決して嫌いじゃないですけど」

「まだ、しっかり話すようになってからひと月位しかたってないですし」

「気持ちを定めるには、早いというか、ちょっと失礼っていうか……」

「ふーん」

「えー、その……」

「なんかすいません」

「私があの人と出会ったときはね、それこそ一瞬だった」

「……と、いいますと?」

「話の流れから察しなさいって。女の父親のことに決まってるでしょうがっ!」

322 :

母テンション高いの

323 = 31 :

「女は、父親のこと……なんか言ってた?」

「えっと……なんとか証券に勤めてるとか」

「家に殆ど帰って来ないだとか」

「そう」

「……違うんですか?」

「違う」

「でも、どう違うかは、私の口からいえない」

「そう、ですか」

「ごめんね。私は嘘つきなんだ」

「素直で、正直なことも大切だけど。大人は……親は、嘘をつかなきゃいけない生き物なんだよ」

「今、私は男くんに、嘘は言えない」

「だから、黙っておくことにする」

326 = 31 :

 私はお父さんと一緒に公園で遊んでいた。
 私は、今よりもうんとうんと、背が小さかった。
 お父さんは、私の何倍も大きい体をしていた。

 ブランコを押してくれて、私の作った泥だんごをたべてくれて、滑り台で私を乗せてすべってくれた。
 ひとしきり遊んで、日が暮れきったころに、怒ったお母さんがやってきた。

 だめだよ、お母さん。
 お父さんは私と遊んでくれたんだから。
 怒るなら、私を怒って。

 お願い、お母さん。
 お父さんを怒らないで……


「…………男くん」

「あ……起きた?」

「わたし……あれ……?」

「大丈夫。寝てていいから。のど乾いたよね。水もってくるから」

328 = 254 :

なんか重くなってきたぞ・・・

329 = 31 :

「……ん」コクコク

「お母さんは、今夕飯の買い物に行ってる」

「女さんの好きな桃買ってきてくれるって言ってたよ」

「こんな季節に桃なんか……」

「桃缶よりも喜んでくれるから探す、って言ってた」

「……そう」

「いいお母さんだね」

「ちょっと怒りっぽくて、だらしないけどね」

「でも、女さんの事をすごく大切にしてくれてる」

「……うん、それは、…………そうかも」

330 = 31 :

「調子はどう?」

「まだちょっと、ボーッとするけど……」

「布団、かぶってたほうがいいよ」

「うん……」

「ほら。タオル、さっきぬらした奴」

「ありがと」

「……ん。きもちー」

「そっか」

「えへへ」

「男くん、やさしーんだ?」

「病人に優しくしない奴がどこにいる」

「ふーん……」

331 = 31 :

「ねぇ……いつまで、いるの?」

「さぁ」

「今日、このまま泊まっちゃったら?」

「さすがにそれは……、明日も学校あるし」

「そっか」

「でも、女さんがどうしてもって言うなら」

「ううん、ちょっと言ってみただけ。そしたら少し面白いかなって」

「もし男くんが泊まっちゃったら、わくわくしすぎて、身体治すどころじゃなくなっちゃうし」

「そっか」

「そうだよ」

「じゃあ、お母さんが帰ってきたら帰ろうかな」

「……うん」

332 = 31 :

「でも……でも、帰っちゃう前に」

「ひとつ、男くんに言わなきゃ。」

「嘘、もう一個ついてたから」

「今ならきっとね、静かに言える」

「なにかな」

「……言っても、嫌わないでね」

「友達で居てね」

「絶対だ」

「私、お父さん居ないの」

「私が小さい頃に事故で死んじゃったらしくて」

「ほんとは、共働きじゃなくって、片親ってだけなんだ」

「どうでもいいことだけどね……でも、みんなにこの嘘、ついちゃうんだ……」

333 = 307 :

ふむふむ。引き続き支援中

334 = 31 :

「理由はね、わかってるの」

「クラスメイトの子が……小学校の頃の話だけど、私と同じ片親の娘を馬鹿にしてた」

「それだけなんだ」

「ほんと、理由なんてそれだけ。それだけで、怖くて……」

「バレるの怖くて」

「だれにも、家に呼べなくなっちゃって」

「ふふ」

「あー、すっきりした」

「俺は女さんの事を、そんなことで絶対に馬鹿にしないよ」

「絶対。絶対だから。信じて」

「……男くんはいちいち優しいなぁ、もう。……ふふ」

336 = 31 :

「……俺さ、思ったんだ」

「今までの人生で、……起伏のない、それこそなんとなく過ごしてた人生だったけど」

「俺の貧弱なこれまでの十数年間で、一番、……一番だよ?」

「強く思ったんだ。願ったんだ」

「女さんの、寂しさを埋めたいって」

「……私の……寂しさ……」

「女さんを抱きしめて、背負って、感じたんだ。確信したんだ」

「ほんとは、俺……ちゃんと話すようになってからひと月足らずでこんな事言うの、無責任だってずっと思ってたけど」

「つまり、その……」

「……えっと」

「ねえ男くん」

「私は時々、分からなくなるの」

「私が、男くんに、何を求めてるのか」

337 = 297 :

男はまじで不器用なのか??だが支援

339 = 31 :

「私はすごく勝手なんだよ」

「自分に足りないものがなんなのか、すごく明確に分かってるのに」

「それを男くんで、埋めようとしてる」

「でもそれは、絶対にはまらない……そう、パズルのピースみたいなものなの」

「もうね、これは、私に決定的にかかってる、呪いなの」

「たぶん、一生、この呪いを解くことはできないの」

「不器用だから」

「俺に、女さんの父親の代わりはできないかもしれないし」

「―――っ」

「女さんが俺の事を、男としてみてくれてるかも分からない」

「でも、これだけははっきりと言えるんだ」

「いっちゃ、だめっ」

「女さんが、誰よりも」

「やだ!」

「好きだって」

342 = 31 :

「呪いなんて、知らない。パズルなんて、無理に完成させる必要ない」

「そんなの分かってるよ! でもこればっかりはどうしようもないんだよ……」

「なのに、なんでそんな『好き』だとか言うの?」

「男くんは両親がしっかりいて、姉妹もいて、円満に暮らしてるから分からないんだよ」

「私の気持ちが……」

「……うん、ごめん。分かってあげれてないかもしれない」

「でも、寄り添うことはできると思う」

「女さんに」

「…………え、へへ」

「あのね、男さんにおんぶしてもらった時、お父さんを思い出したんだ」

「おんぶしてもらった記憶なんて、ちっとも無いのにね」

「これって、おかしいよね。……おかしいんだよ。私は、おかしいんだ」

「おかしくなんかないよ。これから、少しずつ……」

「ごめん」

「今日は、帰って欲しいな」

343 :

支援

偶然だが踊るのオルゴール音がBGMになって何とも言えずいい雰囲気になってしもた

345 = 31 :

「わかった」

「……ごめんね、悪いのは、私だから」

「でも、友達で居て欲しいのは本当なの……」

「男くんといると、すごく、幸せだから」

「……ペンギンってさ、鳥なんだよね」

「……え?」

「鳥が好きかって、昨日、聞いたよね?」

「……」

「そのペンギンのぬいぐるみ、どうしたの?」

「わからない……。ものごころつく前からあったから」

「よく抱いて寝てるけど」

「そのぬいぐるみをプレゼントしてくれた人は、きっと女さんの事をすごく大切に思ってくれてるはずだよ」

「きっと」

346 = 31 :

「ただいま」

「お帰りなさい」

「悪いね、待たせちゃって。桃はちゃんと見つかったよ」

「きっと、女さん喜びます」

「……帰る? 夕飯食べてってもいいけど」

「遠慮しておきます。その……女さんに追い出されちゃいましたし」

「……まさか、手ェ出したんじゃないだろうね?」

「そんな。俺にそんな甲斐性ないですよ」

「また心にもないこと言って」

「信じて下さいってば!」

348 = 31 :

「ひとつだけ、聞いてもいいですか?」

「あのペンギンの人形、お父さんからじゃ……?」

「ん? あー、まぁ、そうだわな。あいつの置き土産……みたいなもんかな」

「だとしたら、お父さんは立派な人です」

「ぷっ」

「え?」

「いやいや。なんでもない。どうしてそう思った?」

「あのペンギン……コウテイペンギンです」

「世界で最も過酷な子育てをする、っていう」

「そういう話もあるねぇ」

「コウテイペンギンは、卵がヒナになるまで、オスが極寒の中じっと卵を温め続けてるんです」

「だから……きっと、お父さんはコウテイペンギンのオスと自分を重ねて……」

349 = 31 :

「おしい。……けどね、考え方がアマちゃんだよ」

「え……?」

「現実は、そんな夢物語みたいにして動かないんだ」

「飛び越えたくても飛び越えられない、持ち上げたくても持ち上がらない」

「どうしようもなく理不尽にできてるんだ」

「……」

「だから」

「あんたがどんなにこれから努力しても」

「……オリンピックで金メダルとろうが、ノーベル賞を総舐めにしようが」

「あの子に……女に、父親が居ないっていう事実はどうしようもないんだよ」

「……そう……です、けど……」

「お願いだから、あの子に夢を見せないでやってほしい」

「ピースの足りないパズルである自分を、どうか女に受け入れさせて欲しい」

「勝手なお願いだって分かってるけどね。こんなこと頼めるの、あんたくらいしか居なくて」


←前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitterで / SS一覧へ
スレッド評価: スレッド評価について
みんなの評価 :
タグ : - + - 後輩 + - + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。

類似してるかもしれないスレッド


トップメニューへ / →のくす牧場書庫について