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元スレ結衣「転校することになった」
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結衣「今日ウチに泊まりに来ない?」
京子「お、なになに? 結衣から誘うなんて珍しいね」
結衣「京子はいつも私の意思まるっきり無視だもんな」
京子「私には寂しがりや結衣ちゃんの心の声が聞こえるのだよ」
結衣「はいはい」
京子「なんてったって、一番の親友ですから!」
結衣宅
京子「明日は休みだし、めいっぱい遊べるな」
結衣「ああ。その前にごはん作っちゃおう」
京子「私、阿蘇牛のステーキがいい!」
結衣「……わかった、阿蘇牛のステーキね」
京子「!?」
結衣「なに? 別のにする?」
京子「いやいやいやいや待って待って。阿蘇牛ってなんだか知ってる?」
結衣「高級和牛」
京子「そうだよ、100gで1000円とかだよ!? 中学生が食べていいもんじゃないよ!!」
結衣「いらんの?」
京子「いや……いただきます……」
結衣「私つくっとくから、京子はお風呂いれといて」
京子「あ、待って! 私やっぱり別のでもいいよ!」
結衣「……じゃあ、オムライス」ボソッ
京子「えっ?」
結衣「オムライスとかどう?」
京子「いい! いいねオムライス! 私いますっごいオムライスが食べたいなあ!」
結衣「じゃあ、その二つね」
京子「そんな食べ切れ……」
結衣「文句があるなら食べなくていいぞ」
京子「滅相もございません」
結衣「よろしい」
ジャーッ
京子(何かがおかしい……)
ゴシゴシ
京子(一体何を企んでるんだ、結衣のやつ)
ゴシゴシ
京子(ベタなところで、私をとって食おうとしてるとかか?)
キュッ
京子(ちょっと熱めに設定しておこう)
ピッ ピッ ピッ …ジャーッ
京子「よし」
京子(……はっ! まさか結衣のやつ、デブ専なんじゃ……?)
京子(そう考えるとすべてのことに合点がいく……!)
京子(結衣がしょっちゅうラムレーズンをおごってくれるのもそれだったのか!)
京子「って考えたんだけど、正解?」
結衣「ちげぇよ」
京子「思い出した! そういえば私たちが夫婦になって今日で五周年だったね。忘れてた」
結衣「いつから夫婦になったんだよ。っていうかどっちが夫だよ」
京子「え、結衣に決まってんじゃん」
結衣「まあ……それはそうか」
京子「うん……」
結衣「…………」
京子「…………」
結衣「なんか恥ずかしいから、黙らないでくれないか」
京子「でも、結衣さ、ちょうど五年くらい前だったと思うけど」
結衣「うん」
京子「私が犬に吠えられて泣いてる時に『一生私が守ってやるから大丈夫』って言ったよね」
結衣「ああ……まあ、あれはな。まだこどもだったし」
京子「そんなひどい! あの言葉は嘘だったっていうの?」
結衣「……嘘じゃないよ」
結衣「嘘じゃ……ないよ……」ギュッ
京子「……結衣?」
結衣「ううん、なんでもない」
京子「どうしたの、結衣? なにかあった?」
結衣「そんなことより、ほら、出来たぞ。おいしそうだ」
京子「…………?」
京子「いっただっきまーす」
結衣「どうぞ」
京子「ステーキうんめー!」モグモグ
結衣「そっか。よかった」
京子「ぴょーいぺばぷぱぴぽむぱいぷぷぷっぺぷぺぱぽぺ」モグモグ
結衣「行儀悪いし、何言ってるのかまったくわからんぞ」
京子「そういえば、私が最初に食べた結衣の手料理はオムライスだったなーって」
結衣「そうだったっけ?」
京子「昔はケチャップライスはべちゃべちゃで、卵はすこし焦げてたし、形も良くなかった」
結衣「ほんと文句ばっかだな」
京子「でも、なぜだか、このおいしさだけは変わらんな」パクリ
結衣「はいはい。どーもありがとうございます」
京子「うっぷ……もう食べられない……」
結衣「まさか本当にぜんぶ食べきるとは思ってなかったよ」
京子「ゆ、結衣の、うっぷ、愛を……うっ」
結衣「はいはい」サスサス
京子「膝枕して~」
結衣「なんでだよ」
京子「寝ゲロしても床が汚れないという画期的な方法ですよ」
結衣「私は汚れてもいいと?」
京子「パクっちゃだめだよ」
結衣「誰もパクらないと思うけどな」
京子「……んう?」
結衣「おはよう」
京子「んあ……おはよ……何時間くらい寝てた?」
結衣「そんな寝てないよ。30分くらい」
京子「膝、ありがとね」
結衣「はいよ。楽になった?」
京子「おかげ様でだいぶ」
結衣「ゲームやろう」
京子「またあのレベルを上げるだけのRPG?」
結衣「別にいいだろ。私はレベルを上げるのが好きなんだよ」カチッ
テケテケテレレテレレテレレテレレテレレレテレレテレレテン ドン!
京子「え、まだそこなの? この前やった時から全然進んでないじゃん」
結衣「でももっとレベル上げないと。あのボスには勝てない」
京子「待って結衣! あれ負けイベントだから!」
京子「…………」
テレレレッテレー
京子「…………」
テレレレッテレー
京子「…………」
テレレレッテレー
京子「…………」
テレレレッテレー
京子「……ねえ、結衣」
結衣「なに?」
京子「今日、どうしたの?」
結衣「ん? 何が?」
京子「なんかおかしいよ」
テレレレッテレー
結衣「……うん」
結衣「私、実はさ……」
結衣「……転校することになったんだ」
結衣「実は、親の都合で引っ越すことになったんだ」
京子「……引っ越すってどこに?」
結衣「まあ、そこまで遠いところじゃないよ。会おうと思えばいつでも会える」
京子「そう……なんだ……」
結衣「うん……」
京子「で、でも、今も一人暮らししてるんだから、別にこのままここにいればいいじゃん?」
結衣「親もそう言ってるんだけど……」
結衣「でも、こうやって、たかが数百メートル離れてるのとは訳が違うし、」
結衣「親も私の意思を尊重するとか言いながら、言外にはやめろって仄めかすんだ」
結衣「やっぱあまりに離れすぎるのは心配みたい」
京子「ちなつちゃんが悲しむよ」
結衣「うん……」
京子「あかりだって悲しむ」
結衣「…………」
京子「生徒会のみんなもクラスのみんなも」
結衣「うん、ごめん」
京子「私に謝ったって仕方ないって」
結衣「ううん、ごめん、京子」
京子「…………」
京子「いつ頃いくの?」
結衣「明日の夜にはもう……ごめん、なかなか言い出せなかった」
京子「そっか、すぐだね」
京子「まったく、いきなりそんなこと言うからびっくりしちゃったよ」
京子「私なら大丈夫だから。そんなことより、寂しがりやの結衣ちゃんの方が心配だな~」
結衣「大丈夫だよ」
京子「えーそんなこと言わないで、ちょっとは寂しがってよー」
結衣「まあ、会えなくなるわけじゃないからな」
京子「そうだよ、たまには親友の顔も見に来てよ?」
私と結衣は親友だから。
だから、結衣が自分で考えて決めたことは尊重してあげなきゃいけない。
私の勝手なわがままで引き止めたりしちゃいけない。
結衣「ああ。親友なんだから、会いたくないわけないだろ。休みには必ずくる」
そう、私たちは親友だ。唯一無二の親友なんだ。
けれど、結衣に「親友」と改めて言われると、
なぜだかわからないけど胸がしくしくと痛んだ。
結衣「ふ~いい湯だった」
結衣「京子。つぎ、風呂いいぞ」
京子「…………」
結衣「なんだ、また寝てるのか」
京子(本当はここから逃げ出したいけど)
京子(泊まりに来た手前、帰るとは言い出せない……)
結衣「おーい、京子。風呂にも入らないで寝るなー」
京子「…………」
やっぱり行くのやめたって反抗するss一度もないからたまには...
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