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    元スレ暦「妹の日記勝手に読むのはやっぱりまずいよな~」

    SS覧 / PC版 /
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    みんなの評価 : ★★
    タグ : - ジュード + - 化物語 + - + - 月火 + - 未完 + - 火憐 + - 阿良々木暦 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    251 = 193 :

    お兄ちゃんがエンジンをかけるとオーディオが作動した。
    エスパー魔美の主題歌……。

    「家もやっぱり揃えようか、藤子全集。場所取るけどさ」

    とお兄ちゃんが言う。
    自分の部屋の物は片づけてしまったのに、藤子全集ですか。
    それにしても、あれだな、友達とか絶対にこのクルマに乗せたくないな。
    アニメの音楽しか流れないニュービートルには。
    このままお兄ちゃんには我が家のアッシーくんとして働いてもらおう。
    後部座席に私は乗り、忍ちゃんは助手席だった。
    これ、普通は逆じゃないだろうか。

    「月火ちゃんを先に家に下ろして、それから僕は忍を送ってくるから」

    ああ、そういうこと。

    「お兄ちゃん、今日は帰ってくるの?」

    「たぶん」

    たぶん、なんだ。
    忍ちゃんを送ってそれからどうするのだろう?

    252 = 193 :

    >>250
    マスかいてた

    253 = 239 :

    >>250
    あなたのことが嫌いです

    254 = 194 :

    マスかいててもいいから早くしてくれさい

    255 = 193 :

    私達はしばらく何も話さなかった。
    とはいってもオーディオが相変わらずパーマンとかキテレツ大百科の歌が流れていたから静かではなかった。
    忍ちゃんも歌ってたし。
    マジになって。

    「はじめてえええのちゅうう、きみとちゅううう、あいるぎびゅおおぉるまいはぁああっ」

    「…………」

    ぶっちゃけうまかった。
    英語の発音もよかった。
    歌手なのかもしれない。
    アーティストとかマルチタレントなのかも。
    忍ちゃんリサイタルがドラえもんの歌になった頃、クルマは我が家に到着した。
    ドアを開けると車内ランプが点いて、もう辺りがすっかり暗くなっていることに気付いた。

    「んじゃ、僕はこのまま行ってくるから」

    「はいはい」

    「つきちゃん、さようならっ!」

    私もさようならを言い、発進したクルマが見えなくなるまで手を振った。

    258 :

    んでんでんで♪

    259 = 243 :

    早く

    260 = 193 :

    なんだろうな。
    戦場ヶ原さんと並んでいるお兄ちゃんを見ると、「ああ、カップルだな」と思う。
    羽川さんと並んでいるお兄ちゃんを見ると、「何かあったんだな」と感じる。
    (どうでもいいけどああいう関係は最終的に結婚しちゃうタイプだと思う)
    忍ちゃんと並んでいるお兄ちゃんは……。
    友達だと言ったが、あれはそういう関係じゃないだろう。
    かといって友達以下の付き合いでもない。
    何か特別な結びつきがあるんだ。
    決して解けない、結び目のような。

    「ただいま……」

    あれ、なんで元気ない声になっちゃってるんだろ。
    嫌だなあ。

    「月火ちゃん?」

    火憐ちゃんが駆け寄ってきた。
    ああ、なんか今日は疲れちゃったよ。
    妹の靴をお姉ちゃん脱がしてくれないかなー、なんて――

    「――さっき、帰ってこなかったっけ?」

    「……は?」

    261 = 243 :

    フヒヒヒヒ

    262 :

    ほむほむ

    263 = 193 :

    「夕方のジョギングから帰ってシャワー浴びてたら、洗面所の方から月火ちゃんが『ただいまー』っつってさ」

    あたしもおかえりーって言ったんだよ。

    「で、風呂から出て居間にずっといたんだけどさ。また出かけてたん?」

    「……私、今帰ってきたところなんだけど」

    「うっそだぁー! あたし、間違いなく聴いたんだぜ」

    「…………」

    「この火憐ちゃんをはめようとしたみたいだが、まだ詰めが甘いな月火ちゃんよ。ふっふっふ」

    精進せいよー、と言い残して火憐ちゃんは部屋に引っ込んだ。
    なんだって?
    私が帰ってきた?
    私より先に私が?

    「…………」

    家は元々節電しているが、玄関から続く廊下は真っ暗だった。
    火憐ちゃんがさっきまでいた浴室。その隣の洗面所。
    ここからは何がどうなっているのかまるで見えなかった。

    264 = 167 :

    薄々ドッペルっぽいとは
    き、気づいてたんだからね!

    265 = 243 :

    ふひひ

    266 :

    この小春日和にお化けとは随分季節外れだな
    まるで夏みたい

    267 = 193 :

    夕食の時間になってもお兄ちゃんは帰ってこなかった。
    1名を除いた家族でコロッケを食べた。
    ああ、そういえばキテレツの歌にもあったっけ。
    忍ちゃんが最後の「キャベツはどうした」の部分を人間離れした声でやっていた。
    アーティストとかマルチタレントなのかもしれない。
    もしかしたら人間じゃないのかもしれない。
    自称小悪魔だし。

    「人間……」

    「月火ちゃん、インゲンも食べなきゃあダメだぜ」

    隣でのほほんと火憐ちゃんが言った。
    私はそのインゲンもコロッケも残して、居間を後にした。
    お腹がいっぱいなのは、ミスタードーナツのせいではない。
    それに頭もいっぱいな感じだった。

    268 = 167 :

    仕方ないんだから

    269 :

    火憐ちゃんがお姉ちゃんお姉ちゃんしててマジかわ

    270 = 193 :

    シャワーを浴びながら思考に努める。
    今日は『悪魔様』について何を聞いたんだっけ。

    「願いを叶えてくれるんだって」

    これは昨日聞いた話。
    大体、本当は悩みや困っていることを解決してくれる、だ。

    「人が変わっちゃうんだって」

    人は変わるだろう。
    いくらでも。いついつでも。

    「『悪魔様』にお願いすると新しい自分にしてくれるんだってー。
    「めんどくさいこと全部やってくれるらしいよ。
    「一番くじ並ぶのが嫌だなー、って思ってるともう一人自分を用意して代わりに並んでくれるらしいよ」

    これが今日聞いた話だ。
    でもどこかおかしい。
    元々の『悪魔様』の噂からは解離していっているような……。

    「…………」

    271 = 193 :

    ハートキャッチはじまる

    272 = 167 :

    月火ちゃんの目撃情報がブレてるのはわかってたけど

    なるほど
    そういうことであったか。

    273 = 167 :

    >>271
    おい、いいとこだろ!
    ふざけんな!

    どうせHDDにとってあるんでしょ!

    274 = 193 :

    ここにある共通点は。

    「『悪魔様』にお願いすると<新しい自分>にしてくれるんだってー。
    「めんどくさいこと全部<やってくれる>らしいよ。
    「一番くじ並ぶのが嫌だなー、って思ってると<もう一人自分を用意して代わりに>並んでくれるらしいよ」

    新しい自分。
    やってくれる。
    もう一人自分を用意して代わりに。

    この抜き出したフレーズを並び替える。

    「もう一人自分を用意して代わりに、新しい自分、やってくれる」

    つまり。
    『悪魔様』にお願いしてコンプレックスが解消されて――その展開として人が変わるとかではなく。
    もう一人の自分を作り、面倒の代役をやらせる、ということか。
    ばかばかしい。
    ドラえもんでのび太くんが自分のコピーを作ったら、自分と同じぐうたらだったという話があるけど。
    それと同じくらい荒唐無稽だし、笑い話だ。

    275 = 223 :

    ちっとお出掛けするんで保守ヨロ

    276 = 167 :

    クレヨンしんちゃんで、本人と真逆のコピーを作る鏡を発明したっていう話もあったね

    277 = 193 :

    仮にさっきの火憐ちゃんの件がそのもう一人の私だったとして。
    一体何が目的で火憐ちゃんに話しかけたのだ?
    私が今一連の事象への疑惑を募らせるという以外、何の被害も出ていない。

    「…………」

    そういえば。
    昨日、今日クラスメイト、先生が私を訝しそうにしていた。
    例えば盗まれたジャージ。
    結局誰が盗んだのかもわからず、いつのまにかそれは元の場所にあった。
    その後の「忘れ物した?」という質問。
    あれはてっきり私がジャージが盗まれたと勘違いしたことへの皮肉だと思っていた。
    そのまま気にしていなかったけど、よく考えれば不自然だろう。
    ああいう質問をするということは、『直前に同一人物を目撃していた』と考えられる。
    「あれ、君、さっきも見たね。何か忘れ物を取りに来たの?」
    こんな物語が見えてくる。
    『悪魔様』にお願い?
    むしろこれでは私が困っていることになる。

    278 = 193 :

    浴室には鏡がある。
    姿形はこの私とは正反対だけれど、これももう一人の自分か。
    湯気で曇っていたので、手のひらでごしごしと拭いた。
    そして、もう一人の私の顔を見つめる。
    観る。
    視る。

    「…………」

    笑った。

    「きゃあああああああああああああ!」

    279 = 193 :

    「どうした月火ちゃん!? 賊か!?」

    私の悲鳴を聴きつけて、火憐ちゃんが浴室に駆け込んできた。

    「どうした!? 何があった!?」

    「な、なんでもないの……、たただちょっと見間違い、見間違い」

    「見間違いって、震えてるじゃんか」

    あれ? おかしいな?
    立ちあがることもできないぞ。
    腰が抜けたってやつ?
    漫画でしか見たことなかったのに、まさか今日体験しちゃうとは。

    「とりあえず、上がれって」

    火憐ちゃんは自分のジャージがずぶ濡れになるのも構わず、私を抱き上げ脱衣所に引っぱり上げた。

    「なあおい、どうしたんだよー」

    バスタオルで私の頭を拭く火憐ちゃん。
    ちょっと乱暴だけど。
    でもおかげでちょっと体の感覚が戻ってきた。

    280 = 167 :

    >>176

    281 = 224 :

    捕手

    282 = 205 :

    しえん

    283 :

    284 = 257 :

    面白くなってきた

    287 = 171 :

    なんというホラー

    288 = 193 :

    火憐ちゃんに肩を抱かれながら、浴室を後にした。
    私の悲鳴は当然両親にも聴こえていた。

    「なんでもない、本当になんでもないから……」

    ママは何か言いたげだったけれど、そのまま私は火憐ちゃんに付き添われて部屋に戻った。
    言ってもどうなるものでもないだろう。
    鏡の中の自分が笑いかけた、なんて。

    「浴衣でいいよな?」

    火憐ちゃんは私を二段ベッドの下――彼女のベッドに腰掛けるように促した。

    「うん」

    タンスから私の寝巻として使っている浴衣を取り出す火憐ちゃん。
    さっきから私に何も訊かない。
    気を遣われている。

    「はい。あ、自分で着替えられるか?」

    「あ、大丈夫……」

    「……まだ無理みてえだなあ」

    体は動く。
    でもまだ震えが止まらなかった。
    火憐ちゃんは私に浴衣を着せ、帯を腰にぐるぐる巻いて縦結びで留めた。

    「ありがと……」

    290 = 193 :

    「ほらー、こういう変わり目の季節って疲れるっていうじゃん? 月火ちゃんきっとそれだぜ」

    「かもね。うん」

    「こないだも言ったけど、人間ゆとりが必要さ。あたし達せっかくのゆとり世代だし」

    「私達ってそういう世代なのかな? 今って西暦何年なんだろう」

    「はっはっは。そんなの何年だっていーんだよ。もっとゆとろうぜえ」

    火憐ちゃんっていい子だなあ。
    お姉ちゃんだけど。

    「今日は一緒に寝てやろう」

    「い、いいよう」

    「遠慮しなさんな。よし、もう寝ちまおうぜ。明日に備えて」

    「まだ9時だよ!?」

    「いいの、いいの。やなことあったんだろ? はやく寝てリセットしちまえ」

    そう言う火憐ちゃんによって、今夜は強制的に同衾することになったのだった。

    291 = 257 :

    ほす

    293 = 193 :

    ×月××日

    今日は体調不良のため、昼から登校することにした。
    建前は。
    火憐ちゃんはすっかりサボり・遅刻魔になっているようで、お昼前になっても一緒に家でのんびりしていた。
    いや、もちろん私を心配してくれているんだと思う。
    お兄ちゃんはまだ帰っていない。
    このままでは午後様になる。
    笑っていいともが始まる前には家を出て、二人で歩いて登校した。
    火憐ちゃんと途中で別れて、彼女は高校。
    私は中学の校舎へ向かった。
    到着するとちょうどお昼休み。
    校庭で遊んでいる男子や廊下でお喋りしている女子ばかり。

    「おはよう」

    教室に入り、お弁当を囲んでいる友達に挨拶をした。

    294 = 193 :


    「…………」

    その目が語るところ。
    怪訝。
    懐疑。
    不審。

    ――不信?

    「お、おはよう」

    と、友達が返す。
    恐る恐る。

    「……ねえ、私、今日何限目から来たっけ」

    「……月火ちゃんが来たのは2限目からだよ」

    「ありがとう」

    私は教室を飛び出した。

    295 = 167 :

    真似してんじゃないわよ!
    鏡が淵

    296 :

    さーてどうなる

    297 :

    PCちぇんじはーときゃっち

    298 = 297 :

    気づけば校門の前だった。
    途中クラスメイトや担任の先生とすれ違った。
    みんな私を見て訝しそうに……。

    「…………」

    私だ。
    もう一人の私がいたんだ。あの教室に。
    そして私の代わりに平然とあの場に紛れ込んでいた。
    擬態していたのだ。

    「何よ、これ……、どうなってるの」

    どうなるの?
    どうなるの?
    どうなってしまうの?
    私の代わりにもう一人の私が出てきてしまったら。
    私はどうすればいい?

    299 = 205 :

    300 = 297 :

    「こういうとき、誰に頼れば……」

    頼る相手は信頼できる奴がええで。
    ふと、影縫さんが言っていたことを思い出した。

    「……お兄ちゃん」

    そうだ。お兄ちゃんだ。
    何で気づかなかったんだろう。
    こんな時頼りになるのはお兄ちゃんじゃないか。
    お兄ちゃんならきっとなんとかしてくれる。
    お兄ちゃんならきっと助けてくれる。

    「……よし」

    私は新規メールを作り、送信した。

    「今すぐ聞いてほしいことがある」


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