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    元スレ暦「妹の日記勝手に読むのはやっぱりまずいよな~」

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    みんなの評価 : ★★
    タグ : - ジュード + - 化物語 + - + - 月火 + - 未完 + - 火憐 + - 阿良々木暦 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    51 :

    実に興味深いですね

    52 = 1 :

    ファイヤーシスターズでゆるゆりとじゃれていたら、ハートキャッチプリキュアの再放送が始まった。
    去年も見ていたけど、今年も見れるとは眼福。

    「火憐ちゃんさー」

    「んー? なんか今年はシプレとコフレが悪い奴なんじゃないかと疑っちゃうぜ」

    「まあ、白いしね」

    「ちくしょう、こんなかわいい奴らを疑っちまうなんて、あたしって、ほんとバカ……」

    「それは置いといて」

    「んにゃ?」

    「火憐ちゃん、『悪魔様』って知ってる?」

    53 = 1 :

    一通り中学での噂を説明した。

    「ふーん。そんなことになってるんだ。あたしまだ一日しか学校行ってないからなー」

    「栂の木二中で噂になってるってことは、高校にも伝わってると思う」

    「なんで?」

    「私達の学校は中高一貫校でしょ。当然兄弟もいるし、そこから話が流れてきてもおかしくないよ。今私話しちゃってるしね」

    「ああ、そっか」

    「去年のおまじないのこともあるし、変なことにならないといいんだけど。でも、誰かが困ってるようにではないんだよね」

    「だって悩み聞いて、それに解決してくれるんだろ。まるで親友だな」

    親友?

    「案外、誰かの友達がそいつの悩みを解決したのが広まっちゃったのかもな。『あの子デビルかっけーんすよ』みたいな感じに」

    なるほど。事実が歪曲して広まったのか。
    まあ、噂話の正体は得てしてそういうものだ。
    これは当たってるかも。
    それにしても、火憐ちゃん、急に冴えたこと言うよねえ。

    55 = 1 :

    そういえば。
    昼間のあの人――影縫さんは『悪魔様』を調べているんだろうか。
    確かあの時自分とは専門が違うとかどうとか……。

    「火憐ちゃん、お化け見たことある?」

    「はあ?」

    「おーばーけ」

    「兄ちゃんという名の怪物なら毎日のように目撃しているぜ」

    「そうじゃなくてさ、ほら、ひゅーどろどろーの奴だよ」

    「ん……」

    困ったような表情をする火憐ちゃん。
    もしかして何か心当たりがあるんだろうか。

    「月火ちゃんよ、お化けなんてこの世にはいねーんだぜ。歌にもあるだろ、寝ぼけた人が見間違えたって」

    「…………」

    まさかそんな答えが返ってくるとは……。
    キャラ的に「お化けが恐い」とかだったら萌えるのに(お姉ちゃんだけど)。

    56 = 1 :

    「とにかく調べてみないことにはね。私はもう少し友達に訊いてみるよ」

    「うん」

    たぶん……前ならここで「おう、そっちは任せたぜ!」って返ってきたんだろうな。
    とか考えて、火憐ちゃんのリアクションに物足りなくなってしまったのか、

    「ムーンファイヤー出動するであります!」

    とか言ってしまった。ネオ・ジオン式敬礼しながら。

    「勝利の栄光を君に!」

    お、返ってきた。
    なんか嬉しい……、でもちょっと自分が情けない……。

    「ところでムーンファイヤーってなに?」

    「いや、これからはソロ活動だからさ。名前を改めた方がいいと思って」

    「へえー、かっけー」

    「でしょー?」

    ここで電話が鳴った。

    58 = 1 :

    火憐ちゃんの携帯だった。着メロはUZI(PINKY RING)。なんか蜂が飛んでるビデオの奴。

    「もしもし。駿河さーん?」

    どうやら神原さんから電話らしい。
    火憐ちゃんはお兄ちゃんと同じくらい神原先輩リスペクトだから長くなるかも。
    退散しよう。
    さっきの砂糖だとかカスタネットだとかを片づけ、ハートキャッチプリキュアも終わっていたのでテレビを消した。
    おしゃべりで見れなかったのは残念だけど、HDDに録画してあるしね。
    考えたらまだ制服を着ていたので部屋で着替えることにした。
    ま、浴衣でいっか。
    帯も適当に、何か暇潰しになるものはないかとお兄ちゃんの部屋をガサ入れした。
    ここ半年くらいの間にお兄ちゃんはほとんどの物を片づけてしまった。
    小説は最後まで残してあったけど、今はもうない。
    その棚で生き残った栄えある本はブラム・ストーカーだった気がする。
    一時は『眼球譚』とか『瓶詰地獄』とか並んでいたけれど、とてもわかりやすい趣味だった。
    まあ、それはともかく。
    小説はなくともエロ本はまだ捨てられないのが私の兄である。

    60 = 1 :

    「うーん、隠し場所を変えないのは、むしろ『見ろ』ということ?」

    相変わらず机の一番下の引き出しにはエロ本コーナーが。
    最近は高校を卒業していい気になっているのか、コンビニ本もある。

    「……ここ数ヶ月でLOが増えているのはなぜ?」

    確かに邦洋問わずロリものは前からあった。
    しかし、今さらたかみち絵に目覚めたのもあざとすぎる。
    なんだろう、戦場ヶ原さんとかには答えられない欲望の矛先がここにあるんだろうか。

    「どれ」

    最新号を開いた。
    しかし表紙スク水かー。もうそんな季節なんだなー。
    アレ? 私は確か春を迎えたばかりのような気がするけど??

    「うわ」

    クジラックス、ロリレイプものかー。これはちょっと怖いなー。
    なんかここのページにくせがついてるのも怖いなー。
    もしかしてここにお兄ちゃんの真の願いが?

    「お、ろーるちゃんじゃん」

    へー、兄妹ものかー。
    あー、やるやる、こうやってキスおねだりしたりするんだよねー。
    これは普通に面白いじゃん。女子的に見ても(?)。
    所々女性漫画誌っぽいし。

    62 = 1 :

    「お前何してんの?」

    ドアから声がした。

    「おかえりー」

    兄、帰宅す。
    おやおや、どうしたの青ざめちゃって。
    もしかして今さら妹にエロ本見つかってことがショックなわけではないでしょう。

    「いい趣味してますねえ」

    「黙れよ馬鹿! はやくしまえって!」

    掴みかかるお兄ちゃん。
    怒っている、というよりは焦っているようだ。
    こうなると逆らいたくなるのが人の、いや生き物自体の性である。

    「お前マジふざけんなって」

    「ほら、この千秋ちゃんがやられてるページなんか折れ目までついちゃって――」

    「楽しそうね」

    またドアから声。
    けど、今度はグリーンランドみたいに冷たい声だった。
    お兄ちゃんの彼女――戦場ヶ原さんだった。

    63 :

    ららら木君死んだな

    64 = 1 :

    所変わって舞台は居間に。
    お客さん用のソファーに戦場ヶ原さんが座り、その向かいにお兄ちゃん、左右それぞれに私と火憐ちゃんが座っていた。

    「あの、粗茶です」

    お兄ちゃんが差し出す手は震えていた。

    「もう帰りたい」

    「あ、じゃあ僕のクルマで送って――」

    「けっこう」

    「…………」

    沈黙。
    沈黙。
    咳。
    沈黙。

    「ね、ねえ、ガハラさん」

    「阿良々木くんの運転するクルマに乗るくらいだったら、四つん這いの阿良々木くんに乗ったほうがマシよ」

    「わ、わあ、ガハラさんってば妹の前で四つん這いなんて」

    「は?」

    「…………」

    65 :

    67 = 1 :

    沈黙が続く。
    息もできないほど苦しい。
    宇宙にいるときってこんな感じなのかな。
    空気も重いし。ブラックホールが発生しているのかもしれない。

    「阿良々木くん、こういう雑誌を喜んで読んでいる彼氏ってどうなのかしらね」

    「ざ、斬新だと思います」

    「そう。確かにあまりいないかもね。でも、こんなことをしてあなたは一体何と戦っているの?」

    編集部? アニメ関係者? 既成概念?

    「あ、あえて言うなら世間の大人でしょうか」

    「そう。ならあなたは子供なのね。あ、子供が大好きなんだっけ」

    「か、かわいいですから!」

    「ふーん」

    68 = 1 :

    ごはん

    69 = 65 :

    >>68
    早く食うんだ

    70 = 13 :

    仕方ないな、10時間までなら待ってやる

    71 :

    いってら

    72 = 29 :

    14時間しか待たないからな

    74 :

    ペロペロ

    76 :

    明日までなら待ちましょう

    77 = 65 :

    80 :

    85 = 29 :

    87 = 1 :

    それからどれくらい時間が経ったんだろう。
    この気まずい雰囲気にもそろそろ限界だ。
    誰か喋れよ。
    ガリガリ君の梨味食べたい。
    だいたいお兄ちゃんがエロ本持ってるのがいけないんだ。
    ハートキャッチのラーメン屋の会が泣ける。
    火憐ちゃん寝てるじゃねえか。
    そろそろパパとママが帰ってくるんじゃないだろうか。

    電話が鳴った。

    「…………」

    電源切っとけよ!
    いや、待て待て。考えようによってはこの場を切り抜ける光明になるかもしれない。

    「あの、僕なんだけど、出てもいい?」

    お前か。
    しかも着メロ初代プリキュアかよ。
    ぶっちゃけありえない。

    「……どうぞ」

    戦場ヶ原さんが言う。この場を仕切るのは彼女らしい。

    88 = 79 :

    うわww

    89 :

    あららーさん ぷりきゅあwwwって
    しかも初代とは

    90 = 1 :

    「も、もしもし? 羽川?」

    電話を片手に、安堵の表情のお兄ちゃん。
    それを見て戦場ヶ原さんは舌打ちした。

    「う、うん。僕? 元気元気ー。え、戦場ヶ原とケンカっていやいやまさかそんな」

    電話の相手に筒抜けだった。

    「いやいやいや、エロ本見つかって怒られるなんて、あいつは僕の親じゃなくて恋人なんだぜ」

    電話の相手にはお見通しだった。

    「ん? 火憐ちゃん、月火ちゃんと一緒にお説教されてる気がする? ははは、するなら説教じゃなくて折檻だな」

    ……どこかで見ているんじゃないだろうか。

    「今? 家だよ。え、火憐ちゃん? わ、わかったー」

    お兄ちゃんは寝ている火憐ちゃんを起こした。涎まで垂らしているなんて……。

    「は、羽川が火憐ちゃんとお話したいってさ」

    91 = 78 :

    おかえり

    92 = 65 :

    94 = 1 :

    「翼さん? ひっさしぶりー! あはははははは! なんか2年くれー声聴いてなかった気がするぜ! あたし? もちろん元気さー!」

    戦場ヶ原さんはこれ見よがしに溜息をついた。
    肩をびくっとさせるお兄ちゃん。
    お姉ちゃんの名誉を守るために言うけど、火憐ちゃんはKYではない。
    火憐ちゃんはAKYなのだ。
    あえて・空気・読みませ~ん。©RUMI。

    「月火ちゃん、月火ちゃん」

    「な、なに?」

    「翼さんが代わってって」

    私もか。いや、嬉しいけれども。
    戦場ヶ原さんは腕を組んで、指をトントンとやっていた。
    バビディの力を手に入れる前のべジータみたいな。
    露骨に苛立ちを示していた。

    「も、もしもし? 羽川さん?」

    「あっはー、月火ちゃんだ、月火ちゃんだ」

    95 :

    がんばれよ

    96 = 1 :

    「ど、どうも」

    「元気してたー? 月火ちゃんもう3年生でしょう?」

    「そ、そっすね。羽川さんも元気そうっすね」

    「あははー、何それ? 元気そうっすかー? うふふー」

    テンション合わせづらい……。
    その後ちょっと羽川さんの近況聞いたり(クルマの運転ばっかりしてるとか)。
    そして、口調はそのままにこう訊いてきた。

    「今そこに戦場ヶ原さんいるでしょう? 代わってもらえないかな」

    「え、な、なんでわかって……?」

    「阿良々木くんの狼狽っぷりが受話器越にもわかったからね。あのお兄ちゃんが慌てるのってそんなにパターンないから」

    全部わかってたわけだ……。

    「大丈夫、大丈夫。月火ちゃん達が怒られるようにはしないから」

    97 = 65 :

    98 = 1 :

    「羽川さんが、戦場ヶ原さんにって」

    恐る恐る携帯を渡す私。
    別にこの人が恐いと常々思ってるわけではないけれど、お兄ちゃんにつられてビビってしまう。
    ていうか、誰だって兄の彼女が怒ってる場面なんか絶対出くわしたくないものだ。
    思いのほか彼女は優しく携帯を受け取り(無表情が恐いけど)、電話に出た。

    「もしもし、戦場ヶ原ひたぎです」

    しばらくね、と続き、彼女はええ、とか、そう、とか相槌をした。
    お兄ちゃん下向いてないでよ……。

    「わかったわ。あなたに免じてこの場はそういうことにしてあげる」

    また相槌を打って、

    「あなたも元気にやってちょうだい。体には気をつけてね。え? 阿良々木くんの声は聴きたくないから代わらなくていい? わかったわ」

    下を向いていたお兄ちゃんはがばっと顔を上げ、見たこともないくらい悲しそうだった。
    電話を切って戦場ヶ原さんは携帯をお兄ちゃんに返した。

    「はい、阿良々木くん」

    「ああ……」

    99 :

    よろしい

    100 = 1 :

    「よかったわね。羽川さんのおかげでこの場は切り抜けられたわよ」

    「切り抜けたって……」

    「もうどうしてやろうか考えたらきりがなくって、阿良々木くんをポロっと殺しちゃおうかと思ったくらいよ」

    「そんな気さくさで僕の命が危なくなるなんて!」

    「私も正直そんな展開安直過ぎて嫌だから、なんかこう寛大なヒロインっぽく物語を運べないかと悩んでイライラしていたわ」

    「さっきまでの態度はそういうこと!?」

    「まあとにかく」

    仕切り直し。

    「おほん。妹にエロ本を見つかってしまうといううかつさも、彼女にその場を見られてしまうというヘタレさも、受け入れ難いし」

    次からは気をつけてね、と戦場ヶ原さん。


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