元スレ暦「妹の日記勝手に読むのはやっぱりまずいよな~」

みんなの評価 : ★★
1 :
『呼び方案』
お兄ちゃん。
兄ちゃん。
兄さん。
兄。
兄貴。
にぃに。
暦。暦さん。暦くん。
暦っち。子読(二代目ザ・ペーパー的な)。ヨミー。
おっぱい触らせてやったのにヤツの屁でもないみたいな素振りについて。
↓
由々しき事態!
近い将来蝋燭沢くんとエッチしたときお兄ちゃんに見立てるのはアリなんだろうか……。
あー、彼女と別れねえかなー。
2 = 1 :
×月××日
今日から新学期。新学年。
中学3年生。
感慨はないけれど、高校生になった火憐ちゃんと別校舎になったのでそれは残念だ。
それに、前は一番最初におはようを言う相手は同室の火憐ちゃんだったのに、
最近朝夕とジョギングに出かけるようになったから目が覚めると私一人になってしまった。
これも残念。
仕度をして、お兄ちゃんを起こしにいく。
しかし、部屋におらず。
どうやらこっちも『早朝練習』らしい。
パパとママは先に出かけた。
火憐ちゃんはジョギングからまだ帰ってこない。
壮大な寄り道をしているのかもしれない。
このままでは登校初日から遅刻になってしまうのだが……。
学校で『悪魔様』の噂を聞く。
3 :
ふむ
5 :
あ
6 :
最後まで書けよ
7 :
ダカーポかと思ったら違うのか
8 :
あずまんがかと
9 :
いい感じだ
10 = 1 :
×月××日
結局、昨日火憐ちゃんは遅刻したらしい。
学校で注意を受けたを笑いながら言っていた。
お兄ちゃんの二の舞にならないといいんだけど。
今朝もお兄ちゃんは『早朝練習』に出かけていた。
こないだまで毎日私達姉妹が起こしてあげていたのだから、
自分で起きるようになったのはいいことなのかもしれない。
朝シャンをして脱衣所で髪を乾かしていると、そこに当人が帰宅。
手洗い・うがいをした(イイ子)。
「おかえりー」
「ただいまった」
「昼間すればいいのに。朝なんて人通り少ないんだからさ、練習にならないじゃん」
「お前には分かんねえだろうな、交差点の怖さとか」
「いや、だから早く慣れるために練習してちょうだいよ」
「いいんだよー、僕一人で乗るんだから。悪いな月火ちゃん、このクルマ一人乗りなんだ」
「寂しいやつだな……」
「子供は早く学校へ行け」
11 = 1 :
「子供じゃねえし」
「19歳の僕からすればお前なんかまるでガキだし」
「ガキじゃねえし。新しいヘアスタイルが『月火ちゃん、大人っぽーい』と評判だし」
ワンレンです。肩までの長さの。
「見た目の話じゃない。僕は内面の話をしているんだ。ルックスとかはどうでもいいんだよ」
「外面より内面重視してる人って逆に説得力ないよね。見た目なんて関係ないですよー、とか」
「まあ、な」
「お兄ちゃんだって、羽川さんのおっぱいに目がいって友達になったんでしょ?」
「そんなわけあるか!」
何回か家に来てくれたことあるけど、お兄ちゃんの目線が羽川さんの顔から20度ほど下向いてるんだよね。
どこに話しかけてるんだよ、まったく。
「僕は羽川のパンツに引き寄せられたんだ!」
「…………」
12 = 1 :
「ちなみに、お前が讃えるところの白ではなかったと言っておこう」
「兄の口からそんな情報聞きたくないよ」
まあ羽川さんとは一緒にお風呂にも入ったころあるけど、あの時の下着は持ち物じゃあなかったみたいだし。
WXYがどうなっているかは把握してる。
確認しましたから。
「なんで朝からこんな話してるんだろう。お兄ちゃんが変なこと言うからだよ」
「何の話をしていたんだろうな」
「ロン毛もうざいし」
「うざいとか言うな」
今、すっごく長いんですよ、この人。
「ジョニー・デップみたいでかっこいいだろう」
「ジョニー・デップだと思っていたんだ……」
13 :
ふむ、続けたまえ
14 = 1 :
「美容院行きなよ」
「美容院? 友達でもないくせにへらへらと個人情報を根掘り葉掘り訊こうとする美容師がいるあの美容院か」
「訊かれたんだ?」
「『学生さんですかー』『あ、はい』『今日お休みですかー』『あ、違います』『へえ』」
当時を一人芝居で再現するお兄ちゃん。学校サボって行ったのだろうか。
「あの空気は殺人的気まずさだよな」
「別にそれくらいいいじゃない」
「『もうすぐ夏休みじゃないですかー、海今年行きますー?』、どんな無茶振りだよ!」
いきなりキレるお兄ちゃん。すごく迷惑だ。
「なんなんだろうなあ、あの『当然友達と行くんです』みたいなニュアンス!」
「それはもう美容師さんがどうとかっていうより、お兄ちゃんの卑屈さが問題になっている」
「卑屈だと。いいや、いいや! この僕にそんなこと訊く美容師のほうに非があって然り!」
「それが卑屈だっつーの。じゃあさ、もう火憐ちゃんに切ってもらえば?」
「あ?」
15 :
ふむ
16 = 1 :
一度髪切ってもらったんだけど、すっごくうまかったりする。
「火憐ちゃんの隠れた才能っていうかさ。案外、その道に進んじゃうかもよ」
「うーん、僕には相変わらず熱血バカにしか見えないけど」
「こうして、知らず知らず、少女は大人になっていくんですよ」
はた、と。
思考が止まる。
大人。
大人ねえ。
「まあ、そうだな。こないだピンセットで爪楊枝を歯ぐきに当てさせたら、なかなかうまかったもんな」
「は?」
「よーし、火憐ちゃんにやってもらおうっと」
不気味な台詞を残し、脱衣所を去ろうとするお兄ちゃん。
鳥みたいな頭のくせに、あとを濁していくやつだ。
あ、そうだ、『悪魔様』について何か知らないかな。
17 :
なかなか雰囲気がある
18 = 1 :
「お兄ちゃん」
「なに?」
「あ」
……ここで訊くのは正解なんだろうか。
情報が欲しいのは確かだけど、すぐお兄ちゃんに頼るっていうのは……。
「あー……」
「ックマン?」
「惜しい! けど違う!」
「ただいまー」
と、火憐ちゃんがジョギングから帰ってきた。
「ああ、火憐ちゃんおかえ――」
「いやあ、ちょっと今日は走り過ぎちゃったかなー」
19 = 1 :
即身仏、ミイラが脱衣所に入ってきた。
「なんかさ、今日あたし調子よくってさー。いつもよりたっくさん走っちゃったぜ」
「…………」
「けど、さっきから水飲んでも飲んでも足りなくてさー。飲んでるそばから抜けていくような……」
そう言う火憐ちゃんは文字通り骨と皮だけの容貌になっており、無人島でサバイバル生活でもしてきたみたいだった。
そして、水、水……と呟いている。
ちらと見ると、お兄ちゃんも青ざめていた
「お前……」
「ああ、兄ちゃん、帰ってたかー。なあんか今日は喉が渇いてしょうがねえ」
21 = 1 :
「火憐ちゃん、今日はどこまでお散歩してきたんだい?」
「お散歩じゃねえ、ジョギングだジョギングー。えーと、海まで行ったからせっかくだし、泳ごうと思ってな」
全力で泳いでたら陸地にたどり着いて、昔のオリンピック会場に似たところに寄ってきた、みんな外国人だったぜ。
と、レポートする火憐ちゃん。
たぶんオーストラリアだ。
「でも、さすがに遅刻しちゃうからさー、また全速力で泳いで帰ってきたさ。でもさすがに疲れたわー」
「わかった。もういい、もういいんだ火憐ちゃん。お前の化物っぷりはもうわかった。だから休め」
「休めってあたし今日ガッコだよう。昨日遅刻しちまったし。ああそうそう、帰りにきりたんぽ買ってきたぜ」
「もうよせ!」
22 = 1 :
火憐ちゃんはお兄ちゃんにお風呂に突っ込まれ、今日は学校を休むよう命令された。
命令されては仕方ないと素直に火憐ちゃんは従った。
「昔さ、隕石落ちてこないかなーとか想像してたけどさ、あいつがいれば地球は安泰だわ」
正義の味方の触れ込みもシャレにならないぞ、とお兄ちゃん。
「あのバカは僕が見てやるから、月火ちゃんは学校行けー」
「私も休もうかな」
「アホ」
頭を叩かれた。
お兄ちゃんに叩かれると気持ちいい!
いやいや、どんな変態だよ。
「学校はな、行っておいたほうがいいんだよ」
「何その元ヤン教師みたいな台詞。まあ、元ヤンみたいなお兄ちゃんだけどさ」
「元ヤン? なんだそのかわいい名前は。誰のあだ名だよ。いやとにかく」
お前が学校に行くのが命令、とお兄ちゃん。
命令なら仕方ない、と私
25 = 1 :
というわけで。
私は一人寂しく栂の木二中へ向かう。火憐ちゃん抜きで。
「…………」
ついこないだまで私達姉妹はファイヤーシスターズと呼ばれるコンビだった。
そのコンビは先月、火憐ちゃんの高校進学を期に解散。
正式名称が『栂の木二中のファイヤーシスターズ』である以上、已む無しである。
まあ、けっこう前から火憐ちゃんとは別行動が増えてたし、いいタイミングだったんだね。
正義の味方として活動してたけど、やっぱりそれは火憐ちゃんのお仕事だし。
火憐ちゃんが正義の味方なら。
私は正義そのものなのだから。
だからこれからは火憐ちゃんが「ファイヤーシスター」と呼ばれるようになるのかもしれない。
私は……どうなるんだろう。
何にしてもソロ活動か。
「……ムーンファイヤー、ってところかな」
と、一人笑う。
26 = 1 :
ムーンファイヤーか。
うん、なかなかいい名前じゃない。セーラームーンみたいだし。
おっと、セーラー戦士も中学生だったっけ。これはもはや神の意志としか言いようがない。
これから私は美少女戦士ムーンファイヤーだ。
月に代わっておしおきよ!
幾原監督がアニメ化してくれないかなー、なんて考えていたら。
「そこなホトトギスの妹ちゃん――ちぃと訊きたいことがあるんやけど」
声をかけられた。
「かめへんかな?」
人に道をよく訊かれる人種がいるという話がある。
お兄ちゃんもそういうタイプだし、私や火憐ちゃんもそう(火憐ちゃんは訊かれても教えてあげることができないんだけれど)。
そういう人は何かしら引き寄せる力みたいなものがあるそうだ。
ただ、今の私は掃除機でゴキブリを吸い取っちゃったときみたいな、嫌な感じがしていた。
27 :
あずまんがスレじゃないのかよksg
28 = 1 :
その人はアウトドア用の折りたたみ椅子に座っていた。
どういうわけなのか足を地面に着けず、椅子のアルミフレームに足を掛けている。
地に足を着けたくないという意志表示みたいだ。
「何ですか?」
声が強張ってしまった。
「そない恐い声出さなくてもええやん。な、うち、怪しい者とちゃうから」
路上でキャンピングチェアに座って京都弁で話しかけて来る女の人なんて、怪しすぎだっつーの。
「道、訊きたいんや」
「旅行ですか」
たぶん違うだろうけど。
この人椅子は持ってるけどバックパックとかは持っていない。
「ちゃうねん、ちゃうねん。まあ、普通はここまでの距離考えたら小旅行みたいなもんかな?」
うちには旅路ってほどのものやないんやけど、女の人が言う。
「お仕事で来たの。ホトトギスちゃん、お化けとか見たことある?」
29 :
>>27
よみは妹いねーだろーよ
30 = 1 :
「お化け?」
「見たとかじゃなくても、音聞いたーとかないん? 夜中の2時変な音聞いたーとか」
「ごめんなさい、話がまったく見えないんですけど」
いきなり何を訊いてくるのだろう。
すごくむかむかしてきて、もう行ってしまおうと思った。
「すいません、他をあたって――」
「まあまあ、待ちいや」
腕を掴まれた。それだけで体まで動かなくなった。息もできない。
拘束される。
梗塞される。
「逃げなくてもええやろ。知ってる、知らないの二択でええから」
「は……離してよ!」
「怒鳴らんでて。ああ、こういうときに言うんかな? 『元気いいね、何かええことでもあったのかい?』」
いいこと?
いいこともなにも最悪だ。
いきなり知らないババアに話しかけれて体触られてるんだ。
最悪も災厄だ。
31 = 1 :
「お、何か今うち失礼なこと思われた気配が」
「離せよ……」
「あ? せやからお化け見たことないって」
もう一方の――掴まれていない方の――の腕を振るった。
そっちの手には通学鞄が握られている。
私は中身は軽くしておくタイプだけど、学校が始まったばかりなので教科書がたくさん入っている。
そのまま、相手の頭を狙って。
32 = 1 :
――がん!
と、弾かれた。
「……は?」
弾かれた? いや、今私は何を叩いたんだ?
人間の頭部を狙ったはずなのに『壁を殴ったみたい』だったぞ。
「ホトトギスちゃん、知らないおっちゃんとかに話しかけられたらいつもそうするん?」
女は痛くもかゆくもなさそうで、
「『本当に元気いいね』」
と、誰かの口調を真似する素振りで言った。
33 = 1 :
『悪魔様』。
最近、この町の学生間で流行っている噂話。
手紙、電話、もしくは直接面と向かって『悩み』を話すと、『悪魔様』が解決してくれるというもの。
まだ数人にしか話を聞いていないが、実際に悪魔様に『相談』をした生徒もいるらしい。
ただ、やはり『悪魔様』というべきか相手は気まぐれで、話に応じてくれないこともあるそうだ。
登校日には私のクラスでは既に噂になっていた。
「月火ちゃん、『悪魔様』に何頼むー? うーんと、わたしねー」
こう言う友達もいたが、これはもはや原典から離れている。
「何頼む」って出前じゃないんだから。
「――私が知っているお化けの話なんてこれくらいですけど」
「『悪魔様』ねえ」
うちの専門とはちゃうかもな、と影縫さんは言った。
35 = 1 :
「でもまあ不死身の奴もおるからなー。それに悩みを解決してくれるって、要は願いを叶えてくれるっちゅーことやろ」
確かにその通り。
願いとは往々にしてコンプレックスの解消だ。
「背を大きくしてください!」とか、「女の子のおっぱい触りたい!」とか。
「でも、見返りがないんやな」
「見返り」
「タダでお願い聞いてくらはるほど悪魔さんも親切やないやろ?」
「そういうことはわからないですね」
「代償がのうなってるのは気になるなー。悪魔さんにお願いするゆうはつまり契約やからな。取引や」
願いを叶える代わりに、何か必ず持って行かれる、と影縫さん。
「ほれ、最近の漫画であったやろ、等価交換って」
「じゃあ、『悪魔様』に相談した子達は何かを失ってるってこと?」
「さあ。だいたいせこいっちゅーねん。人以外に頼って何かを得るゆうんは」
36 = 1 :
「ホトトギスちゃんもな、頼る相手は間違えんようにな。頼る相手は信頼できる奴がええで」
「信頼……、ところでそのホトトギスちゃんって何ですか?」
「あー? アララギにはホトトギスやろ。国語の授業で夏目漱石と習ってへんの?」
「そういえば『三四郎』が……、いや、ていうかアララギって何で私の名前知ってる」
もしかして私のこと知ってて話しかけたの?
めちゃくちゃ恐いんですけど。
「うちに知らないことはないんや。うちは何でも知ってるんやー、ってこれ先輩の真似やな」
ああ、しくじった、と影縫さんは頭を掻いた。
37 = 1 :
この小学校の先生みたいな謎のオバンは影縫余弦と名乗った。
髪はショートカット。インナーストライプのシャツに、ダークカラーのパンツとなんだか整い過ぎている格好だった。
つまり見た目からして怪しい。
こんな格好の人がこの田舎町にいるわけないし、そういう格好の人が来る理由もない。
つまり考えてみても怪しい。
私が通学鞄で殴ると、影縫さんはこう言った。
「うちはちょっと訊きたいことあるだけやねん。別に殺すとか始末するとかじゃあないんや」
「答えればもう一回見逃すさかい。な、ホトトギスちゃん、うちの質問に答えてえな」
「最近、お化けとか見た?」
38 = 15 :
ふんふぬ
39 = 1 :
はっきりとわかった。私が感じていたのは恐怖だったと。
天敵に遭遇したようなものだったのだ。
鳥がハンターのスコープで捕えられたようなものだった。
「こ、答えたら、いいんですか」
「せや」
知らない人にからまれたいうプレッシャーの中、鞄で殴ってもびくともしない非人間性に慄き。
お兄ちゃんが助けにこないかなとか。
緊張で喉も乾いて、朝シャワーを浴びたのにもう汗だくになっていて。
「最近、『悪魔様』っていう話があって」
私はこうして影縫さんから解放された。
40 = 1 :
「ほなな、ホトトギスちゃん。ガッコやったっけ? はよ行きぃや」
影縫さんは手のひらを「しっ、しっ」とやった(本人は普通に手を振るニュアンスのつもりのようだ)。
「はあ」
「なんや? 遅刻してまうんやないの? まあ、引きとめたのうちやけど」
「あれだけすごんで引きとめたくせに、今さら気遣ってんじゃねえ」
「口悪いなあ。なんぞええことでもあったんけ?」
「皮肉で言ってるなら素敵なセンスですね……」
ていうか、なんなそそれ? 口癖? キャラなの?
「それじゃ、さようなら」
もう二度と会うこともないだろう。
「ああ、ほなな。またなんかあったら訊きにいくわー」
「……っ!」
くるなよ!
41 = 1 :
京女と別れたあと、登校。
絶対にぎりぎり、最悪1限目が始まっているだろうと思っていた。
しかし、いざ学校に着くと始業まで余裕であった。
まるであの京女と話していた時間をくり抜いたみたいに。
クラスでは相変わらず『悪魔様』の噂でもちきり。
ほぼ女生徒が話しているところを見ると、まるでブギーポップだ。
そんなことを言えば、昔のお兄ちゃんこそ女子の間ではブギーポップみたいな扱いだったんだけど。
もしくは昔の少女漫画に出てくる硬派な男の子。
ほとんど周りと口をきかなかったし、ケンカもするしで割とそういうキャラと勘違いされていた。
そして密かに憧れの的だった。
実際は家で私や火憐ちゃんとだけぺらぺら喋っていた。
友達がたまに「月火ちゃんのお兄ちゃん、どんな人?」と頬を赤らめて訊いてくるのには返答に困ったものだ
妹のパンツを見て大喜びしているという残酷な真実を教えるわけにもいかない。
そういう場合、私はこう答えていた。
「かっこいいよ!」
42 = 1 :
まあ。
妹目線というか、身内びいきというか。
私から見てお兄ちゃんはかっこいい。
顔はまあまあだし(私と火憐ちゃんと同じ顔だけど)。
頭もいいし(中学生までは)。
優しいし(イヤらしいけど)。
お兄ちゃんだし(そう、お兄ちゃんだけど)。
とまあ、いくつか悪い点も見受けられるが、素敵な兄である。
むしろ清濁併せて依然素敵!
人差し指しゃぶりたい!
「…………」
いやいや、どんな変態だよ。
これはちょっとオーバーだったね。
みなさんに色々想像していただくためにあえて言っているんですよー。
43 :
しえー
44 :
長所 お兄ちゃんの妹
短所 お兄ちゃんの妹
月火ちゃん可愛い
45 = 1 :
家に帰ると居間で火憐ちゃんがゲームをやっていた。
「お、おかえりー」
今朝の湯殿山麓呪い村は嘘だったかのように。
色艶は元通り、唇はぷりっ、髪もさらっさらだった。
「ただいまー。火憐ちゃん、もういいんだ?」
「兄ちゃんが大げさなんだよなー。隔離するとか言って。昼飯たっくさん食ったら元気になったぜ」
ラーメン、チャーハン、ビビンバ、オムライス、カレーその他たんぱく質をたくさん摂取したそうです。
人間じゃないな。
怪異かもしれない。
「ずいぶん古いゲームやってるね。ポリゴンって言葉を久しぶりに思い出すなあ」
「うん、格ゲー」
「首飛んだりしてるけど、ブシドーブレードとかそういうの?」
「ウータン・クランの格ゲー」
「なんでそんなのがあるのよ!」
そして誰に伝わるのよ!
46 = 1 :
「オール・ダーティ・バスタードにこんな俊敏な動きしてほしくねえな」
「これがRZAって言われても難しいものがあるね」
「もういーや」
そう言うと火憐ちゃんはゲーム機の電源を落とした。
「けど、なんでウータン?」
「暇だからカンフー映画見てたらさ、なんかふと思い出して。そういやあたしウータン・クランに入りたかったんだよなーって」
「この世界じゃニッチにもほどがあるよ……」
ちなみにウータン・クランはカンフーネタを取り入れた人気ラップ・グループのことです。
「ウータン・キラー・ビーズ! あたしはこれから『かれんビー』と名乗るぜ」
「いつのまにかメンバーが増えてるしねえ」
47 = 44 :
>怪異かもしれない
月火ちゃんがこの言葉使うのはちょっと不自然か?
48 = 1 :
「ゴーストフェイス・キラーが好きだ。月火ちゃんは?」
「うーん、RZAとマスター・キラーかな」
「へえ、意外なチョイスだなあ」
まあ、本人がっていうより、総帥がマスターにラップを教えていたっていうエピソードが好きで。
デビュー当時マスターはほとんどラップ未経験で、RZAがアドバイスすることも多かったとか。
ほら、もしかしたらさ、
「YOマスター! 今からお前をサランラップみたいにラッピングしたやるからなLIKEメス!」
「OH! OH! You MOTHERFUCKER!!」
みたいなことがあったかもしれないし。
RZAって股間触られても「デュクシwwwww」で済ませちゃう人だからさあ。
なんかこう男子校的なことがあってもおかしくないんじゃないかなあ。
「もうあたしも未だに身長伸びるしさ。この際だからメスくらいでかくなりてーな」
言いながら火憐ちゃんはキッチンから砂糖を取ってきて、机の上に一文字にラインを引いて、
「ずうううっ、ずううううううっ」
と、鼻から吸った。
49 = 1 :
「…………」
「うーん、全然気持ちよくならねえなー」
「一応訊くけど、それ何してるの?」
「映画でやってたんだよ。白い粉をこうやって鼻から吸ってさあ。なんかキクらしいよ」
……まあ、砂糖だからいいけど、本当はやっちゃいけません。ダメ、ゼッタイ。
「あ、あとねー」
再びキッチンに行き、今度は雑草とカスタネットを持ってきた。
「ずうううううっ! ずううううううっ!」
と、やっぱり右手で持った雑草を鼻から一生懸命吸い、左手でカスタネットを「かちかちかちかち」と鳴らした。
50 = 1 :
「訊かずにはいられないけれど、それ何やってるの?」
「葉っぱ吸うと気持ちよくなるんだってさ。ほら、よくラップでカチカチ言ってるのは葉っぱ吸ってる音らしいぜ」
火憐ちゃんがボングとか知らない子でよかった。
やっぱりこれも、ダメ、ゼッタイ。
それにしても正義の味方であるところの火憐ちゃんがこんなこと覚えてくるとは。
彼女の人間関係を一度洗わなくては……。
「そういえばお兄ちゃんは?」
「れんしゅー」
ふむ。私に言われたのを気にしてるのかな。
「さあさあ、月火ちゃんもあたしと一緒にハイになろうぜ」
「い、いいよ、私は」
「一回だけ! 一回だけなら大丈夫だから! ダイエットにもなるんだよー」
「怪しすぎるっ!」
「いい子だからよー」
「ちょっ……いやああああ!」
鼻を砂糖まみれにされた。甘くもないし、ハイにもなれない。
鼻が痛い。
みんなの評価 : ★★
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