元スレ佐々木「憂鬱だ」キョン「佐々木でも憂鬱になることがあるんだな」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
151 :
>>144
不覚にもフイタ
152 = 73 :
「やっと、と言うべきか、もう、と言うべきか。いや、英語で言えばどちらも『yet』なんだけれどね」
佐々木は微笑む。俺のよく知っている佐々木だった。
「しかし、ここで最もふさわしい副詞はなんと言ってもはこれだろう」
佐々木は楽しそうにセピア色の空を仰ぐ。
「『finally』」
それから、佐々木はちょいちょいと俺を手招いた。
「ついてきてくれ。僕の全てをキミに教えよう」
佐々木は校舎のほうに歩き出した。
153 = 73 :
セピア色の世界は、その色と、外界と隔絶されているらしいことを除けば、普通の世界となんら変わりなかった。
俺たちは昇降口から校舎に入って、部室棟へ向かった。
「キョン、キミは、世界を思う通りに変えられる能力を持ったら、どうする?」
「唐突だな。わからん。案外、何もしないのかもしれん」
「そうだね。キミはそういうやつだろう。そして、僕も、僕自身をそういうやつだと思っていた。しかし、それは間違いだった」
「どういうことだ?」
「僕は世界を変えてしまったんだよ。僕にとって都合がいいように、ね」
「それが事実なら大変なことだが……」
「ああ、大変さ。その上、僕は世界を何度となくリセットしている」
「リセット……?」
それはぞっとしない響きだった。
154 = 73 :
「まるでゲームのようにね。
自分に都合のいいように世界を改変し、うまくいかなかったら最初からやり直す。
もちろん僕以外にそれに気付いている人間はいない。
特にキミについては念入りに記憶を改ざんさせてもらったよ。
けど……やはり何事にも誤差は出るものだな。この世に完全はあっても完璧などありえない。
恐らくもうこれ以上はリセットしてもうまくいかないだろう。
今回が限度だ。次からの彼らは、きっともっと早く真実に辿り着いてしまう。
まったく、やれやれとしか言いようがないね」
155 :
驚愕読んだんなら
「オカン」
が公式になったぞ、ここだけ関西w
156 = 88 :
なんかこんなエロゲーなかったっけ
157 = 73 :
「その、変える前の世界ってのは、どんなだったんだ?」
「いい質問だね。キミは実に会話に適した相手だ」
「佐々木」
「そう顔を強張らせないでくれ。そう、変える前の世界、ね。どこから説明すればいいものか……。
そこでは、キミはあのキミをジョンと呼んでいた彼女と同じ高校に通っていて、僕はこの高校に通っていた。
僕たちが中学を卒業して再会したのは、高校一年の、春休みのことだったよ」
「俺たちは時間を遡ったのか?」
「そういうことになるね。ちょうど僕が世界を変えたとき、旧世界の時間は、今の僕たちから見て来年の一月頃だったと記憶しているよ。
そして、そのときに世界を変える力が彼女から僕に移ったのさ」
159 :
明日学校あるのに寝れねえじゃねえか
160 = 73 :
「え? 元は佐々木のものじゃなかったのか、その……」
「願望実現能力、とみんなは呼んでいたね」
「その力はあのイカれ女のものだったのか?」
「イカれ女、なんて言ってはいけないよ。
彼女はとても聡明で、思慮深く、それでいて自分の心に真っ直ぐな愛すべき人物だ。
キミだって、彼女のそういうところが気に入っていたんだろう?」
「よくわからんが……それは本当に俺の話なのか?」
「正真正銘、キミの話だよ。キミと彼女――涼宮さんは、客観的に見て非常にいい仲だったと思う」
「わかった。お前が嘘を言うとは思えないからな、そうだったということにしておく」
「理解が早くて助かる。次は? 何が聞きたい?」
「……お前はどうしてこんなことをしたんだ?」
161 :
寝なければいい
162 = 73 :
「そうだな。抽象的に言うとね、僕にはどうしても欲しいものがあったんだよ。僕はそれを手に入れるために世界を変えた。
いや、たぶん、本当に変わったのは世界ではなく僕なんだと思う。
まさにコペルニクス的転回、だ。こんな能力が備わって僕は変わってしまった。前にも増して弱く、独善的な人間にね」
「世界を変えて、お前は欲しいものを手に入れることができたのか?」
「いいや。さっぱりだ。何度繰り返してもうまくいかない。もうどれだけの時間が経ったのかも忘れてしまった。
今は何回目のループで、今はどの体験が未体験という設定になっていて、今はどの分岐ルートに入っているのか、どんどん曖昧になっていった。
僕自身はね、能力以外は普通の人間なんだ。記憶力にだって精神力にだって、限界はある」
163 :
やばいっす 佐々木さんマジパネェっす バンバンっす
SS書いてる人も非常に佐々木の特徴を捉えていてよろしい
驚愕以降もまた登場して欲しいなぁ
164 = 73 :
「それは、そうまでして欲しいものなのか?」
「欲しいよ。でなければこんなことはしないさ」
「諦められないのか? 別の方法はないのか?」
「諦められたらどんなに楽だろう。まだやり残している方法があったならどんなに喜ばしいだろう」
「どうしてそこまで……?」
「どうしてだろうね。でも、考えてみてくれ、キョン。
自分が欲しくて欲しくてたまらないものが、やっと掴んだと思った瞬間に手をすり抜けたるんだよ。
掴めないんじゃないんだ。確かに掴むんだよ。一瞬だけ。そして、それは掴んだ感覚だけを残して、いつも僕の手から零れ落ちる。
本当、こんなに憂鬱なことはないよ。
何が願望実現能力だ。たった一つの願いも叶えられないくせに、だったら初めから、こんなもの、僕は要らなかった……」
165 :
月曜の朝からなんでこんなに悲しいんだよ・・・
166 :
やっと追いついた支援
>>1のおかげで驚愕買わざるを得なくなったじゃないか…
167 = 120 :
キョン…
お前はなんて罪な男なんだ
168 = 73 :
「お前はそうまでして……何が……?」
前を歩いていた佐々木は立ち止まって、俺を振り返った。
その佐々木は、やはりいつものように微笑んでいた。
それがどれほどすごいことなのか俺には想像もつかない。
佐々木は、いつだって、佐々木であって、佐々木でしかない。
どんなに悲しくてもどんなに辛くても、微笑でそれらを隠してしまえる。
「キミというやつは、それを僕に聞いてしまうのかい?」
俺はそんな佐々木にかけるべき言葉が何一つ見つからない。
「さて、僕たちの部室に着いたね。入ろうか」
佐々木は文芸部室の扉を開け放った。
169 = 80 :
キョン…
170 = 88 :
キョンのクソ野郎がああああああああああああああああ
171 = 73 :
佐々木は真っ直ぐに窓際に歩いていく。俺もそれについていく。佐々木が窓を開けて、俺たちは窓の縁に並んで寄りかかった。
「キョン、見えるかな? セピアに塗れた遠くの山や街が。あれらはね、僕がちょっと願うだけで生まれたり消えたり変わったりするんだよ」
「その気もないことを言うなよ。俺にはわかるぞ。佐々木は間違ってもそんなことをするやつじゃない」
「そうだね、僕はそんな無意味なことをするやつではないよ。加えて、僕が間違っていることも明白だ」
「世界は……もうどうにもならないのか?」
「そんなことがあるはずないだろう。僕を誰だと思っている。そんな八方塞の袋小路にみすみす飛び込むような真似はしないよ。
僕なら知らない道にはパン屑を落としていくし、でなければ、蜘蛛の糸でも握り締めておくさ」
172 = 73 :
「どうするんだ?」
「全て――何もかも振り出しに戻す。
僕がこんな力を手に入れる前。僕がキミに再会する前。原始状態とでも言えばいいのかな。
ただ、完全なる原始状態ではまた同じことが起きてしまうだろう。
だから、僕が再びこの力を得ることのないように、ちょっとだけ手を加えるつもりだけどね。構わないかな?」
「それくらいは許されるだろうよ、たぶん」
「そうだね。そうであってほしいよ」
173 = 80 :
佐々木…
切ないな
174 :
同人活動は法律で禁止にするべき。
175 :
これは佐々木の存在が無かったことになるんじゃないか?
176 = 73 :
「やれやれ。やっぱり佐々木は佐々木じゃないか。俺が心配するだけ無駄だったみたいだな。
その世界を元に戻す作業とやらで何か俺にできることはあるか? 言ってくれれば手伝うぜ」
「キョン、世界が元に戻ると聞いた途端、そうほっとしたような顔をしないでくれないか? 僕の気が変わってしまう」
「そりゃ、お前がお前であったことに安堵しているんだから、ほっとくらいするだろ」
「違うね。キミが僕に対して抱く感情では、キミはそんな顔をしない。僕が累計でどれだけの時間をキミと過ごしてきたと思う?
僕が世界を変えてから、キミがそういう顔をするのは一つのシークエンスにつき一回だけなんだよ。ま、今回は二回目だけれども。
実際、それは僕の中で世界をリセットする合図みたいなものになっているしね」
177 = 163 :
原作でも佐々木ってキョンに恋心あるのかな?
俺的にはキョンも佐々木も完全な親友と思ってると思ってるんだけど
178 = 88 :
>>177ハルヒと対になってる設定あるしな、そこから考えれば順当だろ
179 = 73 :
「おいおい。人の顔をそんなヤバいことの判断材料にするのはやめてくれ」
「自覚がないなら後学のため――と言っても最後には忘れてしまうだろうけどね――に教えてやるが、
キミは考えていることがものすごく顔に出るタイプだからな。気をつけたまえ」
「有難く聞いておく。ところで、今回は二回目って、一回目はいつだったんだ?」
「知らないね。というか知ってても教えてやらないね。あと、直接見たわけではないから実際のところはどうかわからないんだよ。
あ、きっとあの顔をする、と感じて僕は逃げたから」
「逃げるほど嫌なのか、俺の顔が?」
「嫌だよ。だって悔しいじゃないか」
「なんでだよ」
「だから、どうしてキミはそれを僕に聞いてしまうかな」
180 = 165 :
好き、じゃなくて親友としてしか見てない 顔
ってかんじなのかな・・
181 :
今日は朝からハロワに行く予定なのに眠れないじゃないか
182 :
佐々木を食べたい。
太ももの肉を切り取って、ステーキにして食べたい。
二の腕を薄くスライスして、しゃぶしゃぶにして食べたい。
頬の肉を刺身にして食べたい。
舌を塩焼きにして食べたい。
183 = 163 :
次会うときは同窓会でだって言ってたしもう出ないのかな佐々木・・・
その同窓会で男でも連れてきたらどうしようどうしよう
184 = 73 :
「さて、お喋りはここまでだ」
「やるのか?」
「うん。『finally』と言ったろ。僕は自力で回避不能な無限ループに陥るほど間抜けじゃない。初めから時が来たらケリは自分でつけるつもりだったさ」
「それで元に――原始状態に戻るんだよな?」
「そうだよ。今のキミの主観時間としては進むけれどね。僕たちが高校二年になろうとしていた、あの春休みに」
「記憶はどうなるんだ?」
「さっきちらりと言ったように、完璧に抹消する」
「世の中に完璧はないんじゃなかったのか?」
「その辺りはご愛嬌さ」
「珍しく悪い面が出ているな、佐々木」
「まあね。では、最後の大仕事といこう」
佐々木は気合を入れるように窓から身を乗り出して、天を見上げ、大きく息を吸い込む。
「あ」
佐々木は何かに気付いたように声を上げた。
185 = 73 :
俺は佐々木の顔を見て驚いた。
佐々木は、上を向いて、いつもの微笑を浮かべて、涙を流していた。
上を向いていても、溢れてしまうほど、佐々木は泣いていた。
「恥ずかしいな。泣かないって、決めていたのに」
佐々木はゆっくりと俺に振り返る。
「キョン……。今の僕はどんな風に見える?」
俺は思ったことをそのまま口に出した。
「呼吸が止まるくらいに、綺麗に見える」
「……本当に……キミというやつは……」
佐々木は倒れるように俺にもたれてきた。俺は佐々木を受け止める。軽い。そして、薄い。強く抱きしめていないと消えてしまいそうだ。
「どうしてうまくいかないんだ……嫌だよ……終わりになんかしたくない……」
きっと最初で最後となるだろう佐々木の本音の告白は、涙とともに、俺の胸に沁みた。
186 = 163 :
佐々木泣かすとかww許せんw
本編でもいつか泣く展開来るのかなぁ・・・・
187 = 88 :
うわ何これせつねぇぞ
188 = 73 :
腕の中で、徐々に、強張っていた佐々木の身体が弛緩していくのがわかる。
涙は一向に止まりそうになかったが、どうやら少しは落ち着いてきたみたいだ。
「すまないな……こんなことをして。キミも困るだろう……?」
「そんなことはない」
「わかっている。ありがとう。僕は、うん、もう大丈夫だと思うよ」
「それは何よりだ」
「これから世界を元に戻そうと思う。けど、さしあたってはキョン、一つお願いがある」
「いいぜ。なんでも言ってくれ」
「このまま抱いていてくれないか?」
返事をするまでもない。俺は佐々木を折れそうなくらいに抱き締めた。
「さて、キョン。ちょっと眩暈がするかもしれないが、我慢してくれよ」
189 = 166 :
そろそろ寝たいのだがこれは…
みんな朝まで保守頼むよ
てことであげ
191 = 73 :
世界の改変の中で俺の意識や感覚は引っ掻き回され放題だった。
唯一頼りになるのは佐々木を抱いている感触だけ。
そんな俺の頭の中に過去の断片のようなものが流れ込んできた。
セピア色の思い出。
俺と佐々木だけが登場する、とある高校での何気ない日常。
何千回も、何万回も、繰り返されてきた。
そこでは佐々木はいつも微笑していて、いつまでも変わらない俺の親友を演じていた。
俺はやっと理解する。
先に親友と言ったのは俺のほうだった。
だから佐々木は俺の親友になるしかなかった。
俺は佐々木自身が決めなくていけなかった選択を奪ってしまったんだ。そうやって俺は佐々木を感情の迷路に閉じ込めてしまったんだ。
わかってみれば、なんだそれだけのこと。
つまり、佐々木は、ただ、俺のことを――。
192 = 73 :
現在の記憶が世界の改変とともに失われてしまうのなら、俺は今この瞬間、今の佐々木に、それを言ってやらなければいけなかった。
「佐々木……」
俺は佐々木の顔を見ながら囁く。ぐるぐる掻き回されているマーブル模様の世界で、佐々木はまるで眠っているみたいに瞳を閉じていた。もう涙は止まっている。
「佐々木、おい、返事をしろ」
何も言わない佐々木に動揺した俺は、佐々木の肩を掴んで揺する。佐々木はゆっくりと瞼を持ち上げた。まだ少し赤い目が俺を捉える。
「血相を変えてどうしたんだ? 心配しなくても、今のところ万事順調に進んでいるよ」
佐々木は、俺を落ち着かせるように、柔らかく微笑んだ。
196 = 73 :
こんなときでも佐々木はいつもの佐々木のままで、それが俺を安心させた。
佐々木はいつまでも佐々木のままだ。俺が親友と認めたやつのままだ。
だから、お互いもう隠すのはやめにしよう。
ループの記憶をまとめて思い出した今なら、さすがの俺だってお前が何を考えていたのかくらいわかる。
でも、その上で俺はやっぱり違うと思うんだ。俺たちの関係にぴったりなのは親友だと思うんだ。そうじゃなかったらそれは俺たちじゃないような気がするんだ。
それに、本当はお前だってそう思っているんだろう?
だってそうでなきゃとっくの昔に世界なんて滅んでいたはずだろ?
なあ、佐々木、お前だって本当はわかっているんだろう?
だから、頼む――。
次に会ったときは、お前から先に、俺に親友って言ってくれ。
197 :
なんだよ!もうっ!
198 = 88 :
このクソキョン野郎がああああああああああああああああああああ
199 = 163 :
>次に会ったときは、お前から先に、俺に親友って言ってくれ
あまりのおに畜っぷりにガチ泣きした
まあでもしょうがないかもね(´・ω・`)
200 :
うん・・・キョン・・・おめぇはよ・・・
でも、そんなところに惹かれるのかね・・・
みんなの評価 : ★★
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