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    元スレ佐々木「憂鬱だ」キョン「佐々木でも憂鬱になることがあるんだな」

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    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★
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    51 = 8 :

    イチャ・・・イチャ・・・

    52 = 5 :

    「失敬、ちょっとお手洗いを借りるよ」

    「トイレは階段を降りて、玄関近くの扉。風呂場の隣だからな」

    「知っているよ」

     佐々木は恥ずかしそうに微笑して、部屋を出て行った。
     佐々木が出て行ったせいか、やけに部屋が広く感じられた。

     いつだったか文芸部の部室に入ったときと同じ、もっと、誰かがここにいてもいいような気がした。

     ところで、佐々木はどうしてうちのトイレの場所を知っていたんだろう。
     うちに来るのもトイレに行くのもこれが初めてのはずなのに。

     ま、どうせ佐々木のことだ。玄関を入ってから俺の部屋に来るまで、さりげなく間取りを観察していたとか、そんなところだろう。

    53 :

    驚愕は佐々木のかわいさと古泉の凄さとみくるとキョンの
    役立たずさを認識させるお話です

    54 :

    さるよけ

    55 :

    驚愕はハルヒを猛プッシュしたおかげで長門と佐々木が空気化したからな
    佐々木なんてかませどころか完全に蚊帳の外状態

    56 = 5 :

     あっという間に日が暮れて、もういい時間になり、佐々木は帰り支度を始めた。

    「じゃあ、僕はそろそろ失礼するよ。長々とすまなかったね」

     俺はしばし迷ったが、結局それを言うことにした。

    「あのな、佐々木」

    「どうした?」

    「実は、今日佐々木が来るってことだったから、昨日オフクロが出かける前に大量に晩飯を用意してな、
     それがまた多くて、とても俺一人で食べきれる量じゃない。そこでだ……」

     俺がもごもごと言葉を濁していると、佐々木は髪の毛を先に指を絡めて、ふっと俺から目を逸らして、小声で言った。

    「それは……僕にここでご飯を食べていけ、と誘っているのかい?」

    57 = 54 :

    さるったかえ

    58 = 5 :

     俺は慌てて付け加えた。

    「嫌ならいいんだ。全然」

     すると、佐々木も慌てて言い返してきた。

    「嫌なんかじゃないよ。全然」

     佐々木はなぜかムキになっていた。こんなのオフクロのおせっかいだってのに律儀なやつだ。
     俺はつい笑ってしまう。

    「……僕、何か可笑しいことを言ったかな?」

    「いや、そういうんじゃない。そういうんじゃないんだが」

     佐々木は、じゃあなんなんだ、と頬を膨らませた。

    「なんでもないって。いいから、そうと決まれば早速食べようぜ。俺、ハラペコなんだ」

     俺がそう言うと、不満げな表情から一転、佐々木はいつもの微笑み顔に戻って、小さく頷いた。

    「僕もだよ」

     佐々木は後ろ手に手を組んで、軽い足取りで俺の後ろをついてきた。

    59 :

    驚愕発売されてから佐々木スレ立ちまくってるな

    60 :

    がんがれ

    61 = 5 :

     その、食後のことである。

    「あ、いいよ。茶碗は僕が洗おう。任せてくれ」

     そう言って佐々木はシンクに立ち、食器を洗い始めた。

     じろじろ見ているのもなんだか子供扱いしているみたいで佐々木に文句を言われそうだったから、俺はテレビのほうを向いた。
     そのとき、

    「きゃっ!?」

     佐々木の鋭い悲鳴――それは別人かと思うほど高い声だった――が聞こえてきた。

    「どうした!?」

     俺が振り返ると、

    「あー……僕としたことが……」

     胸から上に水を被った状態の佐々木が、困ったような顔で、小さく舌を出していた。

    62 = 54 :

    ふむ

    63 :

    佐々キョンハッピーエンドにしてくれよ?

    支援

    65 = 63 :

    シャワー借りるフラグktkr

    66 = 5 :

    「ほら、キミの家の水道はレバーを上げると水が出てくるだろう? 僕の家とは真逆でね。
     すると、水を止めようとしたときに、僕はつい反射的にレバーを上げてしまうわけで、となれば当然――というわけさ。人の家に行くとありがちなことだね」

     佐々木は俺の持ってきたタオルで顔を拭いていたが、服に沁みこんだ水はどうしようもなかった。

    「そのままじゃ帰れないよな」

    「うん。できれば服を乾かしたいのだけれど、そのためには僕がこれを脱がなきゃいけないんだよ。全部、ね」

     俺は佐々木の半裸姿をフラッシュバックしそうになった脳みそに天誅殺をくれてやりたくなった。

    「そこで……折り入って相談なんだが、キョン」

    「なんだ?」

    「服と、お風呂を貸してくれないか?」

     佐々木はさり気なくタオルで胸元を隠しつつ、そんなことを言った。

    67 :

    佐々木がメインヒロインだったらいいのに

    68 :

    こいつ………できる

    70 = 5 :

     佐々木はそれから風呂に入り、濡れた服は自然乾燥させ、それが乾くまでは俺のパジャマを貸すことになった。

    「シャンプーとかは適当に使っていいからな」

    「何から何まですまないね」

    「気にすんなって。俺はリビングにいるから、何かあったら叫んでくれ」

    「承知した。そうだ、ところで、キョン」

    「なんだ?」

     佐々木は忍者のようにすっと俺の懐に入ってきて、拳でコツンと俺の鎖骨を叩く。

    「覗くなよ?」

     俺を見上げて微笑む佐々木。その前髪はまだ湿っていて、何本か額に張り付いている。

     そのせいか、俺は今まさに佐々木の入浴シーンでも見ているみたいな錯覚に襲われた。

     俺はぶんぶんと首を振って、溜息をつく。

    「これもお約束ってやつか?」

    「フラグを立てるとも言う」

    「やれやれ。なんのフラグだよ」

    71 = 5 :

     結論から言うと、そのフラグは佐々木が俺の家に泊まっていくというフラグだった。

     夕飯を一緒に食べ始めた辺りから半ば覚悟をしていたから、いざそうなってもあまり取り乱すこともなかった。

     ま、佐々木が俺の部屋で寝ると言い出したときはさすがに焦ったが。
     最終的に、やけに押しの強い佐々木に負けて、俺は床、佐々木はベッドで寝ることになった。

    「電気、消すぞ」

    「うん」

     部屋が真っ暗になると、ベッドの中で身じろぎしながら、佐々木が声を落として言った。

    「こういうのって修学旅行みたいでわくわくしないか?」

    「そうかもな」

    「キョンって好きな子はいるのか?」

    「いきなり何を言い出すんだ、お前は」

    「なーんて話をしたものだよね、ってことさ」

     佐々木はそれからしばらく黙って、二、三度寝返りを打った。

    73 :

    「キョン、まだ起きているかい?」

    「起きてるぞ」

    「恥ずかしい話なんだが、実は僕はこの年になってもまだ人形を枕元に置いていたりするんだね」

    「いいじゃないか、人形くらい」

    「ありがとう。でも、問題は、その、僕は……人形を抱いていないと眠れないんだ」

    「人形なら妹の部屋にたくさんあるぞ。持ってくるか?」

    「キミのそういう発想は賞賛に値すると思うよ」

    「どういう意味だ?」

    「いいから、キョン、手を出して」

    「ん?」

     俺はベッドに向かって手を伸ばした。すると、ベッドからも手が伸びてきて、俺の人差し指と中指をぎゅっと握った。

    「しばらくこうしていても、いいだろうか?」

    「……いいぞ」

     佐々木が俺の指を握っている間、俺はずっと、妙に大きく聞こえる目覚まし時計の秒針の音に耳を傾けていた。

    76 :

    何故!何故!何故佐々木がメインヒロインではないのか!

    77 :

    まーでもさ、仮に佐々木がメインだとすると「ハルヒは?ハルヒは?」とか言うやつ居るしな。一緒だよ

    てなわけでしえん。早慶戦あってくれ頼む

    78 :

    なんという正ヒロイン・・・

    79 = 73 :

     ゴールデンウィークが終わるといよいよ中間テストが迫ってきた。

     しかし、毎日のように文芸部室で佐々木のスパルタ教育を受けている俺に、死角はさほどなかった。
     そもそも高一の中間なんて半分は中学の復習だから、そんなに構えるほどでもなかったのだ。

    「キョン、こんなものを見つけたんだが」

     そんな勉学にも余裕があったある日、佐々木が文芸部室の棚から、埃を被って日に焼けた一冊の小冊子を俺に見せてきた。

    「いわゆる機関紙というやつだ。どうやら文芸部とはこういった形で活動をしていたんだね。
     キミも読んでみるかい? ここで部活動をしていた先輩方が何を考え、何を表現してきたのか。
     歴史が積み重なっているだけに、冊子を開くと、少しかび臭い匂いすらもどこか心地よいノスタルジィを感じさせてくれるよ」

    81 = 73 :

    「どうした、佐々木? 言い回しがやけに文学的だな。それに楽しそうだ」

     佐々木はくつくつと笑う。

    「気付かれてしまったか。そう。僕はね、せっかくだからこういうものを作ってみてもいいかな、と思っている。
     一応僕たちは文芸部員として入部届を正式に学校に提出して、予算もいくらかもらっているわけだから、
     たまには文芸部的活動をしなければちょっと体面が悪いだろうと思ってね」

     そう言われてみればそうだった。

     確かに、ここいらで機関紙の一つでも発行しなければ、あいつらは何をやっているんだって教師や生徒会から睨まれるかもしれない。
     そんな要らぬ騒動に巻き込まれるのは避けたい。
     となると……、

    「そうだな。作るか、機関紙」

    82 :

    負けが決まっているサブヒロインこそ輝くよね
    ハルヒはサブヒロインだったとしても嫌いだけど

    83 = 73 :

    「お。てっきり渋るかと思ったのに、なかなか乗り気じゃないか」

    「中間テストの対策もけっこう頑張ったしな。こういう息抜きみたいなイベントもあっていいだろ」

    「大いに結構。では、早速だが機関紙の内容について議論しようじゃないか。キミは何か、意見はあるかな?」

     聞かれて、自分でも驚くほど、すらすらと言葉が出てきた。

    「二人しかいないからな。知り合いに寄稿を願うってのはどうだ?
     文芸部の機関紙っつっても文字だけじゃつまらんし、例えば美術部のやつに挿絵を頼むとか、
     写真部と一緒に街を回ってその様子を写真つきの記事にするなんてのもいいと思うんだが」

     佐々木はわざとらしく大きく口を開けて、それを片手で隠した。

    「すばらしいアイデアだよ、キョン。まるで作ったことでもあるみたいだ」

    84 :

    >>82
    お前佐々木が好きなだけだろ

    85 = 73 :

     俺の口は佐々木のおだてに乗ってさらに滑らかになった。

    「あとは、小説的なものを書くにしてもジャンルを散らしたいよな。
     童話なんてのはさすがに対象年齢外か?
     だとすると高校生が好みそうなものは恋愛か、ミステリか……。
     案外ホラーなんてのも受けるかもしれない。
     といっても、別に小説にこだわる理由もないんだよな。
     そうだ、佐々木、お前は勉強ができるんだから、そういうのをコラムに書いたらどうだ?
     ああ、それがいい。俺も読みたいくらいだ」

     それを自分たちが作らなければいけない、ということを棚に上げて、俺はアイデアを出すのに夢中になった。

     佐々木は、機関紙の構想を入道雲のように膨らませる俺を、何も言わずに微笑ましく見守っていた。

    86 = 80 :

    高校生で小説を載せるとかキツいだろ

    87 = 73 :

     が、やっぱり二人ではできることに限界があったので、
     俺たちは構想していたものよりもずっとささやかな機関紙を発行するにとどまった。

     そこには、二編の短い小説もどきが載っているだけだった。佐々木の書いたものと、俺の書いたもの。

     佐々木がミステリで、俺が恋愛物を書いた。

     そこに至るには紆余曲折あったが、決定的だったのは佐々木の一言だった。

    「僕は、キミの恋愛観みたいなもの、非常に興味があるよ」

    「でも、俺は恋愛なんてしたことないしな。女と連れ立って街を歩くとか、そういうこともしてないし」

    「わかった。じゃあ、僕が書くものを指定してあげよう」

    「お、なんだ? 何か俺に書けそうなものがあるのか?」

    「うん」

     佐々木は急にぱちぱちと瞬きをしたかと思うと、くるりと俺に背を向けた。

    88 :

    >>82
    屋上

    89 = 73 :

    「キミは忘れているかもしれないが、一応、僕は生物学的には純正の女性なんだよ」

    「別に忘れちゃいないよ。で、それがどうかしたのか?」

    「キミの思考回路は本当にオッペケペーだな」

    「意味がわからんぞ、佐々木」

    「つまり、こういうことだ」

     言って、佐々木はまた半回転して振り返る。片手を腰に、もう片方の手を胸に当てていた。

    「僕のことを、書けばいいだろう?」

    90 :

    明日まで残っていることを祈って支援

    91 :

    佐々木可愛い

    92 = 73 :

     というわけで俺たちは擬似デートなるものを決行した。
     擬似デート、というのはあくまで佐々木の言い回しだ。俺は断固として取材だと言い張った。

    「さて、キョン。まずは腕を組むところから始めようか」

     休日。俺たちは駅前で待ち合わせをして、街を歩くことにした。

    「そうそう、キョン。僕、観たい映画があるんだよ」

     佐々木に引っ張られて俺は映画館に行った。
     チケットを買うとき、高校生二枚と言おうとした俺の言葉を、佐々木が遮った。

    「恋人割引で。二枚お願いします」

     佐々木は俺の腕をぐいと自分のほうに寄せた。俺は売り子のお姉さんに聞こえないように、佐々木に耳打ちした。

    「お前、最初からこれが目的だったな?」

    「はて。なんのことやら」

    「やれやれだ」

     ま、たとえ数百円でも、安小遣いの俺の財布には有難いけどな。

    93 = 73 :

     映画を観たあとは、また駅に戻ってきた。
     浮いた分のお金でお茶でも飲もうということになったのだ。

     例の贖罪の喫茶店にやってきた。
     前回と違うことは、佐々木が、ボックス席の向かい側ではなく、俺のすぐ横に座ったことだった。

    「キョン、キミは恋人と食事をするとき、テーブルで正面から向かい合いたいタイプかな?
     それとも、カウンター席のように隣り合う感じがお好みかな?」

    「そんなものは知らん」

     俺のそっけない返答が気に入らなかったのか、佐々木は俺の脇腹に肘を入れてきた。

    95 = 73 :

    「こら、佐々木、くすぐったいぞ」

    「今のはキミが悪いね」

    「わけがわからん」

     この返答も佐々木はお気に召さなかったのか、今度は俺の腿を思いっきり揉みしだいてきた。
     俺は不意打ちのくすぐったさに飛び上がった。
     それを見た佐々木は一人大爆笑である。
     俺は顔が熱くなるのを感じる。

    「佐々木、ちょっと悪ふざけが過ぎるぞ」

    「ごめんごめん。でも……くくく」

     そのとき、コーヒーを運んできた半笑いの表情のウェイトレスさんと俺たちは目が合って、二人して顔を真っ赤にして俯いた。

    96 :

    こういうの好き

    97 = 73 :

     衣替えと称する人類の脱皮が生徒達の間で行われたのは中間テストの後だった。

    「今日はテストの見直しをしようか」

     ジャケットの殻を脱ぎ捨ててブラウス一枚になった佐々木は、より線の細さが際立っていた。
     風に吹かれたら、重なったテスト用紙みたいにぱらぱらと飛ばされてしまいそうだった。
     無論、佐々木が軽そうに見える理由はそれだけじゃない。

    「ところで佐々木、お前、髪切ったか?」

    「いくらキミでも気付いてくれるだろうと思っていたが、指摘してくれるとは予想外だった。その通り。テストを終えた週末に切ったよ」

    「伸ばしたりはしないのか?」

    「伸ばしていたほうが好みだったかな?」

    「いや……」

     俺が口ごもると、佐々木は口元を吊り上げて、目を細めた。

    98 :

    お前ら付き合っちゃえよ

    100 = 73 :

    「ほほう。そう言えばキミの容姿に関する趣味嗜好は聞いたことがないな。いわゆるフェチというか、萌える属性なんてものがあるなら、参考までに教えてほしいね」

     佐々木は今や定位置となった窓際に立っていた。俺は鞄からテストの問題用紙とノートを取り出して勉強の用意をしつつ、答える。

    「あったとしても、絶対に言わん」

    「くくっ、残念だ」

     佐々木は、見直しをしようと言ったくせに、窓の傍から動こうとしなかった。

     そのせいで微妙な間が生まれてしまったから、それを埋めようとして俺の口は余計なことを言うのだった。

    「ま、でも、短いほうが佐々木らしくて、俺はいいと思うぞ」


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