元スレまどか「ほむらちゃんが泣いてる……」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×6
1 :
代理スレ立て
ID:TkA9iyS70
2 :
>>1ありがとう
3 = 2 :
ガタッ
ほむら「!」ホムッ
まどか「……あ」
ほむら「……まど」
まどか「ご、ごめん、ごめんね!」
バッ
タタタッ......
―――――
―――――
4 = 2 :
まどか「(……ほむらちゃん、どうして)」
たまたま、教室に忘れ物を取りに帰ったときだった。
まどかの机の前に立ち、ほむらはぽとぽとと。涙を落としていた。
静かに静かに、声を押し殺して。
驚いて、思わず声に出て、結局何も取りに帰らずに逃げるようにして出てきてしまった。
まどかは下駄箱で立ち止まると、小さく息を吐いた。
荒かった息が徐々に元に戻っていく。
まどか「(……あの時、なんて言えばよかったんだろう。せめて大丈夫?くらいは声かけるべきだったよね)」
6 :
角オナかな
7 = 2 :
まどか「……」
どうして逃げてしまったのか、まどか自身も正直よくわからなかった。
ただ、ほむらの泣き顔が妙に苦しくて堪らなかった。
自分の胸も、締め付けられるようで。
元々人の涙を見るのは苦手な性質なのだ。
誰かが泣くなら自分が代わりに泣く方がいい、なんて思ってしまう。
それに、いつもあのクールなほむらが泣いていたのだから。
それできっと、取り乱してしまったのだ。
ほむらも酷く怪訝に思ったに違いない。いや、嫌な気分になっている可能性だって。
まどか「……教室、戻らなきゃ」
戻って、きちんと謝ろう。
それからどうしたのと訊ねて――
8 = 2 :
ほむら「……」
まどか「ほ、ほむらちゃ……」
振り向く。
さっきまで泣いていたはずの、ほむらがいた。
硬直する。いつもの冷たい視線がまどかを射抜く。
まどか「……あの、」
ほむら「さっきのこと」
まどか「え?」
ほむら「気にしないで」
視線と同じ冷たい声で。ほむらは言った。
「でも」
そう言い掛けて止める。聞かれたら嫌なことなのかも知れない。それに――
ほむらの視線が、何も聞くなと、そう言っていたから。
9 = 2 :
まどか「……わかった」
ほむら「あと……」
まどか「うん?」
ほむら「……何でもないわ」
さらっ。
髪を後ろに流すと、ほむらはいつもどおり、悠然とした足取りでまどかの横を
通り過ぎていく。
けれど、その背中が少し、いつもよりも小さく感じたのは気のせいなのだろうか。
まどかは何も言えなかった自分を心の中で叱ると、もう一度、小さく息を吐いた。
◆
10 :
良い感じだ
支援
11 :
素晴ら支援
12 = 2 :
まどか「ねえ、キュゥべえ?」
ぴょこん。
ベッドの脇から、白い毛をした不思議な生物が顔を出す。
真っ赤な瞳が、まどかを見詰める。
QB「どうしたんだい、まどか?」
まどか「……キュゥべえ、言ってたよね」
QB「何をかな?」
まどか「ほむらちゃんのこと……まったくのイレギュラーだって」
QB「あぁ、彼女のことか。そうだね、僕にも彼女のことはよくわからないよ」
まどか「……ほむらちゃんって、強いんだよね」
QB「それはどうかな。魔法少女としてはかなり高い能力を持っているとは思うけれど、
君の言ってる強さがどの強さかわからないからなんとも言えないね」
まどか「……そっか」
QB「突然だね。気になるのかい?暁美ほむらのことが」
13 = 2 :
まどか「……うん」
気になる、と言ったらきっと気になるんだろう。
たぶん、これまでだって何となく、ほむらのことが気になっていた。
それは別におかしな意味じゃなく。
まどか「……仲良く、なれないのかなあ」
今日、初めて本当にそう思った。
元々ほむらにあまり好かれていないような気がしていたから、あまりまどかは
ほむらに近付かないようにしていた。もちろん、それは不自然な距離ではなくって。
まどかは、それはそれでいいと思っていた。
普通に話して、普通にクラスメートとして過ごす……。
けれど。
ほむらの泣いている姿が、どうしても頭から離れない。
14 = 2 :
それで仲良くなりたいなんて思うのは、変だとわかっている。
いや、きっと仲良くなりたいわけじゃない。
まどか「(……守りたい、のかな。ほむらちゃんを)」
自分じゃ守るだなんて言えない。
けれど、せめて抱き締めたい……そう思った。
ほむらの細くて今にも崩れそうな身体を包み込んであげたい、と。
まどか「……私、おかしいのかなあ」
QB「さあ、それはどうだろうね。ただ、まどか。ほむらと仲良くなりたいなんて、
ハードルが高すぎるように思うな。なんなら僕と契約して」
まどか「それは遠慮しとくよ」
15 = 11 :
男らしい思考だ
16 = 2 :
QB「それは残念だね」
まどか「……おやすみ」
がばっと頭から布団を被る。
キュゥべえの声から逃れるように、はたまた自分のおかしな思考を遮断するように。
「僕はいつでも待ってるからね」
遠くの方で、そんな声が聞こえた。
けれど目の前には放課後のほむらの姿。
まどか「(……ほんと、どうかしてるのかな、私)」
◆
18 = 2 :
次の日。
洗面所の前、きちんと髪を結っていると、絢子が眠そうに入ってきた。
まどか「ママ、おはよう」
絢子「あぁ、おはよう」
まどか「今日は遅いんだ……って、どうしたの?」
食い入るように我が娘を見詰める絢子に、時折おかしな行動をとる母親に慣れているまどかも
流石に少したじろいだ。
絢子「いや……あんた、今日はやけに気合入ってるなって思ってさ」
まどか「え?これのこと?」
絢子「そう。まどか、いつもそんなに綺麗に結んで無いじゃないか」
まどか「そ、そんなことないよ」
絢子「でも、今日はかなり気を遣ってただろ?」
まどか「それは……まあ」
19 = 2 :
何となく気恥ずかしくなり、まどかはさりげなく視線を逸らすと頷いた。
絢子が隣に立ちながらしきりに「そうかそうか」と頷いている。
まどか「何が?」
絢子「仁美ちゃんやさやかちゃんだけじゃなくって、あんたにも春が来たのかってさ」
まどか「えぇ!?どうしてそうなるの!?」
絢子「違うの?」
まどか「ち、違うよ!」
別にそんなつもりだったわけじゃない。
ただ、そう……何となく。いつもよりも身嗜みに気を遣ってみただけだ。
不意にほむらの横顔が浮かび、よけいに恥ずかしくなる。
まどか「(何も変わらないだろうけど……こうしたらほむらちゃんと少しでも話せるかなって)」
まどか「(そう、思っただけで……)」
20 = 1 :
すげー気合入ってんだな
21 = 2 :
絢子「じゃあなんだ?」
まどか「お呪い、みたいなもの、かな……」
絢子「ほう。あんたら好きだねえ、そういうの」
まどか「女の子だったら誰でもそういうの好きなの!」
絢子「あたしは女じゃないみたいな言い方だな!」
まどか「ま、ママは……今日もお化粧素敵だね!」
絢子「化粧だけか」
バタン
―――――
―――――
まどか「行ってきまーす」
今朝は、昨日よりもだいぶ気分が良かった。
絢子にリボンを褒められたこともそうだし、自分でも上手く出来たと満足して。
けれど、学校が近付くにつれて徐々に心に雲がかかっていくようだった。
まどか「(はあ……昨日謝りそびれたこと今更謝るのってどうなんだろう。それに、
ほむらちゃんは気にしないでって。……でも他に会話の糸口ってあるのかな)」
23 = 2 :
さやか「お、まどかきたきた」
まどか「あ、さやかちゃん、仁美ちゃん」
仁美「まどかさん、少し走らないと遅れるんじゃありませんこと?」
まどか「えっ」
いつのまにかとぼとぼと歩いてしまっていたらしい。
時計を見るといつもよりも数分遅い。待ち合わせ場所には、さやかと仁美の待ちくたびれたような姿。
まどかは「ごめん!」と慌てて走り出した。
「もう」と笑いながら先にさやかたちが歩き出す。
あと数歩で追いつきそうになったとき――
まどか「わっ」
さやか「え、まどか!?」
少し先に、ほむらの後ろ姿が見えて。
足が、縺れた。
仁美「危ないっ」
咄嗟に差し出された仁美の手を掴もうとした。
しかし、その手も外れ、まどかは派手に転んでしまった。
24 :
SSに地の文があると鬱陶しく感じるのはなんでだ
25 = 11 :
俺に聞くなよ
26 = 2 :
まどか「ったたた……」
さやか「うわあ、派手に転んじゃったねえ、あんた」
仁美「大丈夫ですか?まどかさん」
まどか「う、うん……」
段々とさやかたちの背後に見えるほむらの背中が見えなくなっていく。
もうその背中は、昨日のように頼りなげではなく。
何となくほっとするような、残念なような。
仁美「膝を擦り剥いちゃいましたのね、血が出てますわ」
まどか「うん、けどこれくらい平気だよ」
よっ、と声に出して立ち上がる。
平気とは言ったものの、びりっときた痛さに思わず顔を顰めてしまった。
さやか「あんま平気じゃなさそうだけど?保健室、行く?」
まどか「うん……」
27 :
仁美は完璧超人な上に反射神経まで常人離れしているらしい
28 = 2 :
気分がいい、なんて本当に束の間。
まるで地獄のどん底にいるような気分になる。
さやかに肩を貸してもらいながら、人の気持ちはつくづく不思議だな、
なんておかしな考えが頭の隅に浮かぶ。
まどか「(……ほむらちゃんだって、人間だもんね。たまには泣きたい時とか、あるのかも)」
ぽたぽたと落ちる血が、昨日見たほむらの涙へと変わっていく。
やっぱり、どうかしてるのかもしれない。
そんなことを思いながら、まどかはずるずると足を動かし始めた。
――――― ――
保健室には誰もいなかった。
さやか「うわあ、鍵開いてたのに誰もいないって、かなり物騒だよね」
仁美「でも、今は助かりましたわ」
29 = 2 :
さやか「まあ、そうだね。まどか、座れる?」
まどか「そこまで大袈裟じゃないって」
仁美「そんなことないですわ。血が溢れて……」
仁美が言いかけたとき、その声と被るようにチャイムが鳴り響いた。
始業のチャイムだ。
さやか「やばっ、鳴っちゃった……」
仁美「早く治療して」
まどか「う、ううん、いいよ二人とも!先に教室行っておいて。私、自分でしてすぐに行くから」
さやか「大丈夫なの?」
まどか「たぶん、平気だと思う」
仁美「でも……いいんですの?」
まどか「先生に何も行って来て無いし三人とも遅刻にされちゃうでしょ?」
仁美「……わかりましたわ」
ガラガラッ
バタン、
30 = 1 :
さるよけもしないとな
32 = 2 :
まどか「……はあ」
二人が出て行った後、思わず零れ出た溜息。
どうして朝からこんなふうになってしまうのか、と自問する。
もちろん、答えなんて見付からない。
まどか「とりあえず血、止めなきゃ……」
よいしょと立ち上がり、勝手に保健室の備品を漁り始める。
箱型のティッシュを数枚抜き取って膝に当てるが、早く教室に戻らなきゃ、と焦るほど
血は止まってくれない。
まどか「どうしよう……」
呟いたときだった。
がらっと音がして、誰かが保健室へ入ってくる。
まどか「せんせ……ほむらちゃん」
36 = 2 :
ほむら「……」
少し顔色の悪いほむらは一度、まどかに目をやるとすぐに逸らした。
何となく居た堪れない気持ちになる。
まどか「……ほむらちゃ」
ほむら「どうしたの?」
まどか「え……あ、私?私、ちょっと転んじゃって……ほむらちゃんこそ授業は?
そろそろ始まってるんじゃないのかな」
ほむら「えぇ。けど、少し気分が悪かったから」
まどか「……そう、なんだ」
沈黙がおりる。
まどかはどこを見ればいいのかわからず、視線をあちらこちらに動かす。
不意に、ほむらの手に視線が止まる。右手に、傷跡。
魔法少女という単語が、まどかの気分をますます重くさせる。
ほむら「……血、止まらないの?」
まどか「えっ、あ、うん……」
38 :
え
40 = 2 :
まどかの視線に気付いたのか、ほむらはさりげなく傷跡を隠すように手を後ろにした。
そのまま、まどかの側に近付いてくる。
ほむら「そんなので止血してたら黴菌が入るわ」
まどか「えっ、でも……」
ほむら「ここにこれが、あるから」
保健室のことは、なんでも知っているようだった。
まだ転校してきてあまり経っていないというのに。
手際よくまどかの膝を治療して行くほむら。
ほむら「消毒、しみると思うけど」
まどか「だ、大丈夫」
いつのまにか、さっきまではまったく止まらなかった血が止まっていて。
その代わりに、心臓はさっき以上にばくばくとしたままだった。
41 :
ひざペロペロは?
42 :
SS速報で見たかった
さるよけ
43 = 2 :
ほむら「これで大丈夫だと思う」
まどか「……ありがと、ほむらちゃん」
ほむらの手が離れる。
まどかはほっと息を吐いて言った。
まどか「(ほむらちゃんが、話しかけてくれた。それに手伝ってくれたし……)」
まどか「(このまま、教室に戻りたくないな、なんて……)」
ほむら「保健の先生は」
まどか「あ、いないみたい……。私、勝手に入っちゃって」
ほむら「……そう」
まどか「……うん」
44 = 2 :
ほむら「……教室、戻らなくていいの?」
まどか「え?」
ほむら「――美樹さやかや、志筑仁美、待ってるわよ」
まどか「……あ、うん。そう、だよね」
まどか「(二人に待たせちゃ悪いし、もう授業始まってるし……ほむらちゃんも、ずっとここに
私がいたら迷惑、だよね)」
苦笑する。
少しだけ思いあがってしまった自分が、恥ずかしくなる。
もしかしたら、今のは昨日のことでほむらが自分に何か負い目を感じているからだけなのかも知れない。
だとしたら、よけいにここにはいないほうがいいだろう。
まどか「……私、戻るね」
46 :
>>6で笑っちまった悔しい
47 :
ほむらちゃまどまど
48 = 2 :
ほむら「……」
ほむらはもう何も言わなかった。
立ち上がる。ガーゼの貼られた膝に、また小さく痛みを感じた。
―――――
―――――
さやか「まどか、大丈夫だった?」
まどか「うん、ありがと」
仁美「良かったですわ」
一時間目の授業が終わると、まどかは早速飛んできたさやかたちに囲まれた。
二人の友人の側にいても、けれどまだ痛みは消えない。
仁美「授業が始まった直後、突然暁美さんが保健室へ行くって」
まどか「え?」
さやか「転校生、結構あんたのこと気にしてるぽかったからまた何かちょっかい出されてんじゃないかって心配でさ」
49 :
ほむ
みんなの評価 : ★★★×6
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