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元スレ朋也「軽音部? うんたん?」2
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ボグッ
春原「があああっ!」
メキメキィ
骨のきしむ音。
紬「おおお!!」
肘打ち、両手突き、手刀、貫手、肘振り上げ、手刀、鉄槌…
琴吹の連打は続く。
律「…煉獄」
中段膝蹴り、背足蹴り上げ、下段回し蹴り、中段廻し蹴り…
朋也(すげぇ…倒れることさえできない…)
そこにいた全員が、その連打に目が釘付けになっていた。
紬「おおお!!」
紬「あ゛あ!!」
バフゥ
拳が空を切る。
春原が事切れて、すとん、と床に倒れこんだからだ。
春原「があああっ!」
メキメキィ
骨のきしむ音。
紬「おおお!!」
肘打ち、両手突き、手刀、貫手、肘振り上げ、手刀、鉄槌…
琴吹の連打は続く。
律「…煉獄」
中段膝蹴り、背足蹴り上げ、下段回し蹴り、中段廻し蹴り…
朋也(すげぇ…倒れることさえできない…)
そこにいた全員が、その連打に目が釘付けになっていた。
紬「おおお!!」
紬「あ゛あ!!」
バフゥ
拳が空を切る。
春原が事切れて、すとん、と床に倒れこんだからだ。
紬「はぁー…はぁー…」
どれだけの時間打ち込んでいたのだろう。
時間にして、それほどでもないのかもしれないが…
ずいぶんと長く感じられた。
それは、連打を受けた春原自信が一番感じていることだろう。
紬「あ、ご、ごめんなさい、春原くん、つい…」
春原を抱き起こし、安否を気遣っていた。
春原「あ…う…ムギちゃん…素敵な連打だったよ…」
春原「僕…幸せ…」
どうやら、かろうじて生きていたようだ。
にしても…
朋也「部長…狙ったのか?」
律「ふ…まぁな。番号を指定した時、必ず表情に出るからな」
唯「りっちゃん、すごぉいっ! 遊びの達人だねっ」
律「おほほほ! まぁなぁ~」
澪「変なとこで突出してるからなぁ、律は…」
梓「律先輩、私にその技、伝授してくださいっ!」
どれだけの時間打ち込んでいたのだろう。
時間にして、それほどでもないのかもしれないが…
ずいぶんと長く感じられた。
それは、連打を受けた春原自信が一番感じていることだろう。
紬「あ、ご、ごめんなさい、春原くん、つい…」
春原を抱き起こし、安否を気遣っていた。
春原「あ…う…ムギちゃん…素敵な連打だったよ…」
春原「僕…幸せ…」
どうやら、かろうじて生きていたようだ。
にしても…
朋也「部長…狙ったのか?」
律「ふ…まぁな。番号を指定した時、必ず表情に出るからな」
唯「りっちゃん、すごぉいっ! 遊びの達人だねっ」
律「おほほほ! まぁなぁ~」
澪「変なとこで突出してるからなぁ、律は…」
梓「律先輩、私にその技、伝授してくださいっ!」
律「ばか者! 一朝一夕で身につくものではないっ!」
律「これは、私が踏み越えてきた数々の死線の中で、自然に身につけたものなのだ!」
律「おまえのような小娘には、まだ早いわっ!」
梓「う、うう…」
澪「大げさに言うな…遊んでただけだろ…」
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
6だった。
唯「あ、私だぁ」
律「唯か…正直、なにが来るか想像がつかん」
唯「えへへ、えっとね…」
唯「6番の人が、私を好きな人だと思って、愛の告白をしてください」
朋也(マジかよ…)
律「おお、なんか、おもしろそうだな、それ」
唯「んん? その他人事な口ぶり…りっちゃん、6番じゃないんだ?」
律「これは、私が踏み越えてきた数々の死線の中で、自然に身につけたものなのだ!」
律「おまえのような小娘には、まだ早いわっ!」
梓「う、うう…」
澪「大げさに言うな…遊んでただけだろ…」
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
6だった。
唯「あ、私だぁ」
律「唯か…正直、なにが来るか想像がつかん」
唯「えへへ、えっとね…」
唯「6番の人が、私を好きな人だと思って、愛の告白をしてください」
朋也(マジかよ…)
律「おお、なんか、おもしろそうだな、それ」
唯「んん? その他人事な口ぶり…りっちゃん、6番じゃないんだ?」
律「まぁな~。で、誰だ、6番は」
朋也「…俺だ」
唯「へ!?」
澪「え…」
紬「まぁ…」
律「うおぉっ、これは…まさかの二回目で、こんな内容」
律「しかも、相手は唯…かぁ~、持ってんなぁ、岡崎」
春原「これ、もうゲームじゃなくていいんじゃない?」
梓「ただのゲームですっ! 岡崎先輩も、その辺忘れないでくださいよっ!」
朋也「わかってるよ…」
朋也「あー…座ったままでいいか」
唯「う、うん…」
朋也「じゃあ…」
こほん、とひとつ咳払い。
朋也「明日朝起きたらさ…」
朋也「…俺だ」
唯「へ!?」
澪「え…」
紬「まぁ…」
律「うおぉっ、これは…まさかの二回目で、こんな内容」
律「しかも、相手は唯…かぁ~、持ってんなぁ、岡崎」
春原「これ、もうゲームじゃなくていいんじゃない?」
梓「ただのゲームですっ! 岡崎先輩も、その辺忘れないでくださいよっ!」
朋也「わかってるよ…」
朋也「あー…座ったままでいいか」
唯「う、うん…」
朋也「じゃあ…」
こほん、とひとつ咳払い。
朋也「明日朝起きたらさ…」
朋也「俺たちが恋人同士になっていたら面白いと思わないか」
朋也「俺がおまえの彼氏で、おまえが俺の彼女だ」
朋也「きっと、楽しい学校生活になる」
朋也「そう思わないか」
唯「思わないよ。きっと、こんなぐだぐだな私に、腹が立つよ、岡崎くん」
朋也「そんなことない」
唯「どうして」
朋也「…俺は平沢が好きだから」
朋也「だから、絶対にそんなことはない」
唯「本当かな…自信ないよ…」
朋也「きっと楽しい。いや、俺が楽しくする」
唯「そんな…」
唯「岡崎くんだけが…頑張らないでよ」
唯「私にも…頑張らせてよ」
朋也「そっか…」
朋也「俺がおまえの彼氏で、おまえが俺の彼女だ」
朋也「きっと、楽しい学校生活になる」
朋也「そう思わないか」
唯「思わないよ。きっと、こんなぐだぐだな私に、腹が立つよ、岡崎くん」
朋也「そんなことない」
唯「どうして」
朋也「…俺は平沢が好きだから」
朋也「だから、絶対にそんなことはない」
唯「本当かな…自信ないよ…」
朋也「きっと楽しい。いや、俺が楽しくする」
唯「そんな…」
唯「岡崎くんだけが…頑張らないでよ」
唯「私にも…頑張らせてよ」
朋也「そっか…」
唯「うん…」
顔を伏せる平沢。
朋也「じゃあ、平沢…頷いてくれ、俺の問いかけに」
俺は、彼女をまっすぐ見据えてそう求めた。
唯「………」
朋也「平沢、俺の彼女になってくれ」
唯「………」
少しの間。
顔を上げることもなく、頷くこともなく…
ただ小さな声が聞えてきた。
よろしくお願いします…と。
律「…わお」
春原「成立しちゃってるね」
梓「はい、そこまでそこまでっ!」
中野が俺と平沢の間に体を割りこませてくる。
そして、平沢と対面し、その肩をがしっと掴んだ。
梓「唯先輩、これ、演技ですよ!? わかってますか?」
顔を伏せる平沢。
朋也「じゃあ、平沢…頷いてくれ、俺の問いかけに」
俺は、彼女をまっすぐ見据えてそう求めた。
唯「………」
朋也「平沢、俺の彼女になってくれ」
唯「………」
少しの間。
顔を上げることもなく、頷くこともなく…
ただ小さな声が聞えてきた。
よろしくお願いします…と。
律「…わお」
春原「成立しちゃってるね」
梓「はい、そこまでそこまでっ!」
中野が俺と平沢の間に体を割りこませてくる。
そして、平沢と対面し、その肩をがしっと掴んだ。
梓「唯先輩、これ、演技ですよ!? わかってますか?」
唯「う、うん…」
梓「それと…」
俺に向き直る中野。
梓「岡崎先輩、なんで唯先輩の名前使ってるんですか!」
朋也「いや、だって、平沢を好きな奴と想定するって話だったろ…」
梓「仮想好きな人なんだから、偽名使ってくださいよっ!」
梓「これじゃ、ほんとに唯輩に告白してるみたいじゃないですか!」
朋也「いや、そんなつもりは…」
梓「ふん、どうだか。あわよくばって考えてたんじゃないですか」
朋也「いや…」
梓「あと、唯先輩がOKしたのも、仮想空間での話ですからね!」
梓「現実だったら振られてますからっ」
梓「ふんっ」
ぷい、とそっぽを向いて、自分の席に戻っていった。
朋也(なんなんだよ…)
梓「それと…」
俺に向き直る中野。
梓「岡崎先輩、なんで唯先輩の名前使ってるんですか!」
朋也「いや、だって、平沢を好きな奴と想定するって話だったろ…」
梓「仮想好きな人なんだから、偽名使ってくださいよっ!」
梓「これじゃ、ほんとに唯輩に告白してるみたいじゃないですか!」
朋也「いや、そんなつもりは…」
梓「ふん、どうだか。あわよくばって考えてたんじゃないですか」
朋也「いや…」
梓「あと、唯先輩がOKしたのも、仮想空間での話ですからね!」
梓「現実だったら振られてますからっ」
梓「ふんっ」
ぷい、とそっぽを向いて、自分の席に戻っていった。
朋也(なんなんだよ…)
律「ははは、唯と付き合うには、まず梓に認められなきゃな」
朋也「…知るか」
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
2を引いた。俺じゃない。
梓「…来ました。私です」
律「お、梓か」
唯「あずにゃん、おてやわらかにね」
梓「………」
睨まれる。やはり、俺に狙いを定めてくるのか…。
梓「決めました。皆で岡崎先輩をタコりましょう」
朋也「って、それじゃ番号クジでやる意味ないだろっ」
律「そうだぞ。私だってちゃんと実力で春原を地獄に叩き落したんだからな」
春原「ちっ…でも、ある意味天国だったけど」
律「攻撃するなら、ルールに則った上でやれよ」
朋也「…知るか」
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
2を引いた。俺じゃない。
梓「…来ました。私です」
律「お、梓か」
唯「あずにゃん、おてやわらかにね」
梓「………」
睨まれる。やはり、俺に狙いを定めてくるのか…。
梓「決めました。皆で岡崎先輩をタコりましょう」
朋也「って、それじゃ番号クジでやる意味ないだろっ」
律「そうだぞ。私だってちゃんと実力で春原を地獄に叩き落したんだからな」
春原「ちっ…でも、ある意味天国だったけど」
律「攻撃するなら、ルールに則った上でやれよ」
それも嫌だが。
梓「…わかりました。じゃあ…」
梓「1番と…」
そわそわと全員の表情を窺っている。
部長の真似事なのだろう。
梓「う…やっぱり、2番…」
梓「あう…4…いや5…6?」
混乱し始めていた。
梓「う…もう、7番と1番が、恋人つなぎしながら愛を囁いてくださいっ!」
大方、俺と春原を引き合わせて、屈辱を与えようとでも思ったんだろう。
もし外れても、部員同士なら罰ゲームにもならない。
だから、一発ギャグや、尻文字で自分の名前を書く、なんて露骨なものを避けたんだろう。
梓「だ、誰ですか…?」
律「1…」
春原「…7」
春原と部長のどちらもが真っ青な顔をして、震える声でそう告げていた。
唯「あはは、おもしろい組み合わせだね」
梓「…わかりました。じゃあ…」
梓「1番と…」
そわそわと全員の表情を窺っている。
部長の真似事なのだろう。
梓「う…やっぱり、2番…」
梓「あう…4…いや5…6?」
混乱し始めていた。
梓「う…もう、7番と1番が、恋人つなぎしながら愛を囁いてくださいっ!」
大方、俺と春原を引き合わせて、屈辱を与えようとでも思ったんだろう。
もし外れても、部員同士なら罰ゲームにもならない。
だから、一発ギャグや、尻文字で自分の名前を書く、なんて露骨なものを避けたんだろう。
梓「だ、誰ですか…?」
律「1…」
春原「…7」
春原と部長のどちらもが真っ青な顔をして、震える声でそう告げていた。
唯「あはは、おもしろい組み合わせだね」
律「ぜんっぜんおもしろくねぇよっ」
春原「ムギちゃん、これ、罰ゲームの類だから。僕の本心じゃないからね」
律「そりゃこっちのセリフだっ」
唯「いいから、ふたりとも、そろそろやんなきゃだよ」
律「くそ…」
春原「ちっ…」
立ち上がり、近づいていく。
そして、その手がぎゅっと握られた。
律「…アンタ、カコイイヨ」
春原「…オマエモ、カワイイヨ」
律「アハハ」
春原「アハハ」
唯「カタコトじゃだめだよ。ちゃんとやらなきゃ」
唯「ルールは厳守しなきゃいけないんでしょ?」
律「うぐ…」
自分で課した掟が自分の首を絞めていた。
春原「ムギちゃん、これ、罰ゲームの類だから。僕の本心じゃないからね」
律「そりゃこっちのセリフだっ」
唯「いいから、ふたりとも、そろそろやんなきゃだよ」
律「くそ…」
春原「ちっ…」
立ち上がり、近づいていく。
そして、その手がぎゅっと握られた。
律「…アンタ、カコイイヨ」
春原「…オマエモ、カワイイヨ」
律「アハハ」
春原「アハハ」
唯「カタコトじゃだめだよ。ちゃんとやらなきゃ」
唯「ルールは厳守しなきゃいけないんでしょ?」
律「うぐ…」
自分で課した掟が自分の首を絞めていた。
律「あ、あんた、あれだよ、あの…」
律「そう、身長低くてさ、ヘタレで…ダサカッコイイよ」
春原「はは、おまえは、額とか残念だけど…デコカワイイよ」
律「あははは」
春原「ははは」
唯「…はぁ、りっちゃん、遊びの帝王だと思ってたのに…」
唯「あずにゃんにも、あんなにびしっと言ってたし…」
唯「それなのに、ルールのひとつさえ守れないんだね…」
律「う…わ、わかったよ…」
律「はぁ…」
律「あんたは、普段アホだけど…いざという時は頼りがいがあって…」
律「…かっこいいよ。漢だよ」
春原「お、おう。おまえも…よくみりゃ、顔も悪くないし…」
春原「か、かわいいと思うよ…」
春原「………」
律「………」
律「そう、身長低くてさ、ヘタレで…ダサカッコイイよ」
春原「はは、おまえは、額とか残念だけど…デコカワイイよ」
律「あははは」
春原「ははは」
唯「…はぁ、りっちゃん、遊びの帝王だと思ってたのに…」
唯「あずにゃんにも、あんなにびしっと言ってたし…」
唯「それなのに、ルールのひとつさえ守れないんだね…」
律「う…わ、わかったよ…」
律「はぁ…」
律「あんたは、普段アホだけど…いざという時は頼りがいがあって…」
律「…かっこいいよ。漢だよ」
春原「お、おう。おまえも…よくみりゃ、顔も悪くないし…」
春原「か、かわいいと思うよ…」
春原「………」
律「………」
春原「ぐわぁああああっ!!」
律「のぉおおおおおおっ!!」
同時に手を離し、体をかきむしる。
春原「はぁ、はぁ、かゆい、かゆすぎるよっ!」
律「アレルギー反応だ! ヘタレアレルギー!」
床を転げ周り、ぎゃあぎゃあわめいていた。
紬「ふふ、行動がそっくり」
澪「だな。やっぱり、気が合うんじゃないか?」
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
朋也「おっ…俺だ」
春原「岡崎、僕とムギちゃんに、なんかエッチなの頼むよっ」
律「アホか、おまえはっ! 岡崎、こいつに罰ゲームくれてやれ!」
朋也(どうするかな…)
そもそも、俺は王様ゲーム自体に興味はない。
律「のぉおおおおおおっ!!」
同時に手を離し、体をかきむしる。
春原「はぁ、はぁ、かゆい、かゆすぎるよっ!」
律「アレルギー反応だ! ヘタレアレルギー!」
床を転げ周り、ぎゃあぎゃあわめいていた。
紬「ふふ、行動がそっくり」
澪「だな。やっぱり、気が合うんじゃないか?」
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
朋也「おっ…俺だ」
春原「岡崎、僕とムギちゃんに、なんかエッチなの頼むよっ」
律「アホか、おまえはっ! 岡崎、こいつに罰ゲームくれてやれ!」
朋也(どうするかな…)
そもそも、俺は王様ゲーム自体に興味はない。
朋也(そういえば…)
秋山がしきりに練習しようと訴えていたな…。
なら、ここで俺が切り上げてやるのも、悪くないかもしれない。
朋也「…よし、決めた。おまえら、練習しろ」
澪「え…岡崎くん…」
律「なぁんであんたがそれ言うんだよぉ」
唯「もうやめちゃうの?」
朋也「なんか、やらなきゃならないんだろ。よく知らねぇけど」
朋也「だろ? 秋山」
澪「え?…うんっ」
朋也「だったら、王様命令だ。練習、始めろよ」
律「うえぇ…つまんねー奴ぅ…」
唯「まだやりたいよぉ…」
朋也「中野、おまえも練習派だろ。何か言ってやれよ」
梓「え…あ…お、岡崎先輩に言われなくても、今言おうと思ってましたっ」
梓「こほん…律先輩、唯先輩、練習するべきですよ」
秋山がしきりに練習しようと訴えていたな…。
なら、ここで俺が切り上げてやるのも、悪くないかもしれない。
朋也「…よし、決めた。おまえら、練習しろ」
澪「え…岡崎くん…」
律「なぁんであんたがそれ言うんだよぉ」
唯「もうやめちゃうの?」
朋也「なんか、やらなきゃならないんだろ。よく知らねぇけど」
朋也「だろ? 秋山」
澪「え?…うんっ」
朋也「だったら、王様命令だ。練習、始めろよ」
律「うえぇ…つまんねー奴ぅ…」
唯「まだやりたいよぉ…」
朋也「中野、おまえも練習派だろ。何か言ってやれよ」
梓「え…あ…お、岡崎先輩に言われなくても、今言おうと思ってましたっ」
梓「こほん…律先輩、唯先輩、練習するべきですよ」
澪「うん。ちょうど一週できたしな」
律「まだおまえに回ってないじゃん」
澪「私に回っても、どうせ終わるんだから、同じことだろ」
律「ぶぅ~」
紬「それじゃ、今日はティータイムはお開きね」
唯「ムギちゃんが言うなら、しょうがないかぁ」
律「部長はあたしだぞっ」
澪「おまえは威厳がないからな」
律「なんだとっ」
春原「岡崎、まだ間に合う、最後に僕とムギちゃんを引き合わせてくれぇっ」
朋也「そんなに王様ゲームしたいなら、あのカメとサシでやれ」
朋也「あ、これは俺の個人的な命令だからな」
春原「プライベートでも主従関係なのかよっ!?」
律「わははは!」
澪「あの…岡崎くん」
律「まだおまえに回ってないじゃん」
澪「私に回っても、どうせ終わるんだから、同じことだろ」
律「ぶぅ~」
紬「それじゃ、今日はティータイムはお開きね」
唯「ムギちゃんが言うなら、しょうがないかぁ」
律「部長はあたしだぞっ」
澪「おまえは威厳がないからな」
律「なんだとっ」
春原「岡崎、まだ間に合う、最後に僕とムギちゃんを引き合わせてくれぇっ」
朋也「そんなに王様ゲームしたいなら、あのカメとサシでやれ」
朋也「あ、これは俺の個人的な命令だからな」
春原「プライベートでも主従関係なのかよっ!?」
律「わははは!」
澪「あの…岡崎くん」
朋也「あん?」
澪「ありがとね。練習、するように言ってくれて」
朋也「いや、別に礼を言われることでもないだろ」
朋也「もとはといえば、俺たちがいたせいで始まったようなゲームだし」
澪「それでも、やっぱり、ありがとうだよ。私も、ちょっと楽しんじゃってたし」
朋也「そっか」
澪「うん」
朋也「まぁ、練習頑張れよ。俺が言えた義理じゃないけどさ」
澪「うん、ありがとう。頑張るよ」
言って、微笑んだ。
そして、俺に背を向け、準備に向かう。
春原「くそぅ…ムギちゃんお持ち帰りする計画がパァだよ…」
朋也(まだ言ってんのか、こいつは…)
最後まで合コン気分の抜けない奴だった。
―――――――――――――――――――――
澪「ありがとね。練習、するように言ってくれて」
朋也「いや、別に礼を言われることでもないだろ」
朋也「もとはといえば、俺たちがいたせいで始まったようなゲームだし」
澪「それでも、やっぱり、ありがとうだよ。私も、ちょっと楽しんじゃってたし」
朋也「そっか」
澪「うん」
朋也「まぁ、練習頑張れよ。俺が言えた義理じゃないけどさ」
澪「うん、ありがとう。頑張るよ」
言って、微笑んだ。
そして、俺に背を向け、準備に向かう。
春原「くそぅ…ムギちゃんお持ち帰りする計画がパァだよ…」
朋也(まだ言ってんのか、こいつは…)
最後まで合コン気分の抜けない奴だった。
―――――――――――――――――――――
4/29 木 祝日
4月の祝日。
週末からはゴールデンウィークに突入するので、今日はその前座といった感じだ。
俺のような、何も予定がない暇人は、ただ怠惰に過ごして終わるだけなのだが。
今だって、町の中を意味もなくぶらついたりなんかしているわけで…
強いて言うなら、朝食の後の散歩といったところだ。
気が済めば、いつものように春原の部屋に向かうつもりなのだが。
朋也(ん…?)
歩いていると、ひとりの女の子を見つけた。
梓「………」
中野だった。
身をかがめ、停めてある車の下を覗き込んでいた。
その姿に、通行人がじろじろと目をくれていく。
それもそうだろう。スカートがはだけて少し下着が見えてしまっているんだから。
朋也(はぁ…ったく…)
顔を合わせる前に、無視して過ぎ去ろうと思ったのだが…
一応、忠告しておくことにした。
朋也「おい、中野」
声をかける。
梓「え…」
4月の祝日。
週末からはゴールデンウィークに突入するので、今日はその前座といった感じだ。
俺のような、何も予定がない暇人は、ただ怠惰に過ごして終わるだけなのだが。
今だって、町の中を意味もなくぶらついたりなんかしているわけで…
強いて言うなら、朝食の後の散歩といったところだ。
気が済めば、いつものように春原の部屋に向かうつもりなのだが。
朋也(ん…?)
歩いていると、ひとりの女の子を見つけた。
梓「………」
中野だった。
身をかがめ、停めてある車の下を覗き込んでいた。
その姿に、通行人がじろじろと目をくれていく。
それもそうだろう。スカートがはだけて少し下着が見えてしまっているんだから。
朋也(はぁ…ったく…)
顔を合わせる前に、無視して過ぎ去ろうと思ったのだが…
一応、忠告しておくことにした。
朋也「おい、中野」
声をかける。
梓「え…」
振り返る。
梓「ああ…」
なんだ、こいつか…とでも言いたげな顔。
梓「はぁ…」
大きくため息をつき、また頭を下げて、車の下を覗き込む。
…せめて、なにか言え。
朋也「おい、見えてるぞ…おまえのパンツ」
梓「っ!」
ばっと身を起こし、手でスカートを抑えながら俺に向き直る。
頬を赤く染め、目を潤ませていた。
梓「へ、変態っ!」
朋也「いや、おまえ自ら見せてたんだろ。そんなに自信あったのか、下着に」
梓「ち、違いますよっ! 私はただ…」
車を見る。
朋也「車上荒らしか? やめとけよ、ここは人の目が多い」
梓「それも違いますっ!」
梓「ああ…」
なんだ、こいつか…とでも言いたげな顔。
梓「はぁ…」
大きくため息をつき、また頭を下げて、車の下を覗き込む。
…せめて、なにか言え。
朋也「おい、見えてるぞ…おまえのパンツ」
梓「っ!」
ばっと身を起こし、手でスカートを抑えながら俺に向き直る。
頬を赤く染め、目を潤ませていた。
梓「へ、変態っ!」
朋也「いや、おまえ自ら見せてたんだろ。そんなに自信あったのか、下着に」
梓「ち、違いますよっ! 私はただ…」
車を見る。
朋也「車上荒らしか? やめとけよ、ここは人の目が多い」
梓「それも違いますっ!」
梓「この下に猫がいるから、危ないと思って、助けようとしてたんですっ!」
朋也「猫?」
俺もしゃがんで覗き込んでみる。
朋也(あ…ほんとだ)
身を丸め、じっとしたまま動かない猫が一匹いた。
朋也「あの猫、あそこからどかせればいいんだな?」
低姿勢のまま言う。
梓「え?」
朋也「ちょっと待っとけ」
俺は匍匐前進で車の下に入り込んでいった。
朋也(ん、動かないな、あいつ…)
近づけば逃げていくかと思ったのだが…
朋也(よ…)
ひょい、と掴めてしまった。
そのまま這い出る。
朋也「ほら、いけ」
朋也「猫?」
俺もしゃがんで覗き込んでみる。
朋也(あ…ほんとだ)
身を丸め、じっとしたまま動かない猫が一匹いた。
朋也「あの猫、あそこからどかせればいいんだな?」
低姿勢のまま言う。
梓「え?」
朋也「ちょっと待っとけ」
俺は匍匐前進で車の下に入り込んでいった。
朋也(ん、動かないな、あいつ…)
近づけば逃げていくかと思ったのだが…
朋也(よ…)
ひょい、と掴めてしまった。
そのまま這い出る。
朋也「ほら、いけ」
そっと手を離す。
だが、それでも動かない。
座り込んで、前足を舐めていた。
梓「あ…この子、怪我してる…」
見れば、舐めている箇所の毛が抜けていて、そこから血が滲みだしていた。
梓「ど…どうしよう…助けてあげなきゃ…」
おろおろと狼狽する中野。
朋也「動物病院、行ってみるか」
梓「あ…は、はいっ…」
朋也「よし」
中野の返事を聞き、俺は猫を抱えた。
そして気づく。病院の場所なんて、まったく心当たりがないことに。
朋也「あのさ…この辺って、動物病院、あったっけ」
梓「ちょっと待ってください…」
携帯を取り出し、なにか操作していた。
梓「あ、ありました。こっちですっ」
液晶画面を見ながら言う。
だが、それでも動かない。
座り込んで、前足を舐めていた。
梓「あ…この子、怪我してる…」
見れば、舐めている箇所の毛が抜けていて、そこから血が滲みだしていた。
梓「ど…どうしよう…助けてあげなきゃ…」
おろおろと狼狽する中野。
朋也「動物病院、行ってみるか」
梓「あ…は、はいっ…」
朋也「よし」
中野の返事を聞き、俺は猫を抱えた。
そして気づく。病院の場所なんて、まったく心当たりがないことに。
朋也「あのさ…この辺って、動物病院、あったっけ」
梓「ちょっと待ってください…」
携帯を取り出し、なにか操作していた。
梓「あ、ありました。こっちですっ」
液晶画面を見ながら言う。
そして、先導するように小走りで道を進んでいった。
俺もその後についていく。
―――――――――――――――――――――
行き着いた先には、こじんまりとした、寂れた建物があった。
看板には、しっかりと、動物病院と記されていたのだが…
ペンキが落ちたのか、文字がただれていて、ホラーチックだった。
ここで本当に大丈夫かと、内心、心配だったのだが、それも杞憂に終わった。
診察と治療は至極まともだったのだ。
担当の獣医は、好々爺然とした風貌で、事情を話すと、おもしろそうに笑っていた。
なにが気に入られたのか知らないが、診察代も、治療代も格安にしてくれていた。
―――――――――――――――――――――
梓「…かわいそうです」
今は中野が猫を抱いていた。
通りに据えられたベンチに腰掛け、膝の上でくつろぐその猫を撫でている。
朋也「まぁ…野良だろうからな。首輪もしてないし」
獣医が言うには、どうも、傷は、人の手によってつけられた可能性が高いということだった。
梓「じゃあ…飼い猫だったら、こんな目に合わないって言うんですか」
朋也「まぁ、少なくとも、野良よりはマシなんじゃないのか」
朋也「そもそも、野良なんて、保健所に収容されれば、それだけでアウトだからな」
俺もその後についていく。
―――――――――――――――――――――
行き着いた先には、こじんまりとした、寂れた建物があった。
看板には、しっかりと、動物病院と記されていたのだが…
ペンキが落ちたのか、文字がただれていて、ホラーチックだった。
ここで本当に大丈夫かと、内心、心配だったのだが、それも杞憂に終わった。
診察と治療は至極まともだったのだ。
担当の獣医は、好々爺然とした風貌で、事情を話すと、おもしろそうに笑っていた。
なにが気に入られたのか知らないが、診察代も、治療代も格安にしてくれていた。
―――――――――――――――――――――
梓「…かわいそうです」
今は中野が猫を抱いていた。
通りに据えられたベンチに腰掛け、膝の上でくつろぐその猫を撫でている。
朋也「まぁ…野良だろうからな。首輪もしてないし」
獣医が言うには、どうも、傷は、人の手によってつけられた可能性が高いということだった。
梓「じゃあ…飼い猫だったら、こんな目に合わないって言うんですか」
朋也「まぁ、少なくとも、野良よりはマシなんじゃないのか」
朋也「そもそも、野良なんて、保健所に収容されれば、それだけでアウトだからな」
朋也「それに、餌の確保ができなけりゃ、餓死するし…他にも、危険なんてたくさんある」
梓「…そう…ですよね、やっぱり」
梓「………」
しばらくの間視線を落として黙っていると、猫を抱きかかえ、無言で立ち上がった。
どこか思いつめたような顔をしている。
朋也「どうしたんだよ」
梓「私、この子を飼ってくれる人を探します」
朋也「どうやって」
梓「それは…道行く人に、声をかけて、とか…」
朋也「そら、大変だな」
梓「それでも、やるんですっ」
声を張って答えていた。
朋也(はぁ…俺、こういうのに弱いのかな…)
なぜか放っておけない。
朋也「俺も手伝うよ。おまえがよければだけど」
梓「ほんとですか? ちょっと、不本意ですけど…」
梓「…そう…ですよね、やっぱり」
梓「………」
しばらくの間視線を落として黙っていると、猫を抱きかかえ、無言で立ち上がった。
どこか思いつめたような顔をしている。
朋也「どうしたんだよ」
梓「私、この子を飼ってくれる人を探します」
朋也「どうやって」
梓「それは…道行く人に、声をかけて、とか…」
朋也「そら、大変だな」
梓「それでも、やるんですっ」
声を張って答えていた。
朋也(はぁ…俺、こういうのに弱いのかな…)
なぜか放っておけない。
朋也「俺も手伝うよ。おまえがよければだけど」
梓「ほんとですか? ちょっと、不本意ですけど…」
梓「この際、なんでもいいです。よろしくお願いしますっ」
朋也「ああ」
梓「それじゃ、人通りの多いところに…」
朋也「いや…そうだな、まず、軽音部の連中に当たってみろよ」
朋也「知り合いだから訊きやすいだろ? それに、もしOKならそこで終わりだ」
梓「あ、そうですね、すっかり忘れてました」
携帯を取り出す。
そして、猫の写真を撮ると、また画面と向き合っていた。
多分、今の画像を添えてメールでも送っているんだろう。
俺は黙って結果を待つことにする。
―――――――――――――――――――――
梓「あ、きた」
中野の携帯から着信音が鳴り響く。
慌てたように開いて、返信を確認する。
梓「…ムギ先輩もダメでした」
朋也「そうか…」
他の部員からも、断りの返事が届いていた。
家庭の事情や、経済的負担などが理由だった。
朋也「ああ」
梓「それじゃ、人通りの多いところに…」
朋也「いや…そうだな、まず、軽音部の連中に当たってみろよ」
朋也「知り合いだから訊きやすいだろ? それに、もしOKならそこで終わりだ」
梓「あ、そうですね、すっかり忘れてました」
携帯を取り出す。
そして、猫の写真を撮ると、また画面と向き合っていた。
多分、今の画像を添えてメールでも送っているんだろう。
俺は黙って結果を待つことにする。
―――――――――――――――――――――
梓「あ、きた」
中野の携帯から着信音が鳴り響く。
慌てたように開いて、返信を確認する。
梓「…ムギ先輩もダメでした」
朋也「そうか…」
他の部員からも、断りの返事が届いていた。
家庭の事情や、経済的負担などが理由だった。
琴吹なら、猫の一匹くらい、なんでもないだろうと期待していたのだが…
その想いも、打ち砕かれてしまった。
朋也「で、琴吹はなんだって?」
梓「なんか…ポチに捕食されるかもしれないから、責任が持てない…らしいです」
朋也「……捕食?」
梓「……はい」
朋也「………」
梓「………」
朋也「…なにを飼ってるんだろうな、琴吹は」
梓「…多分、知らないほうがいいです」
だろうな…。
―――――――――――――――――――――
朋也「あ、すいません、ちょっとい…」
朋也「あ…くそっ」
人の往来が激しい大通りで飼い主探しを始めたのだが…
何かのキャッチと思われているのか、見向きもされなかった。
その想いも、打ち砕かれてしまった。
朋也「で、琴吹はなんだって?」
梓「なんか…ポチに捕食されるかもしれないから、責任が持てない…らしいです」
朋也「……捕食?」
梓「……はい」
朋也「………」
梓「………」
朋也「…なにを飼ってるんだろうな、琴吹は」
梓「…多分、知らないほうがいいです」
だろうな…。
―――――――――――――――――――――
朋也「あ、すいません、ちょっとい…」
朋也「あ…くそっ」
人の往来が激しい大通りで飼い主探しを始めたのだが…
何かのキャッチと思われているのか、見向きもされなかった。
朋也「俺じゃだめだ。次、おまえいってくれ」
梓「わかりました」
梓「…不甲斐ない人」
朋也「聞えたからな…」
―――――――――――――――――――――
朋也(あいつはなんか、上手くやりそうだよな…)
中野から預かった猫とじゃれあいながら、思う。
梓「あの、すみません」
男「ん?」
一発目から捕まえることに成功していた。
梓「えっと、私、今…」
男「3万…いや、君なら4万出すよ」
梓「へ? どういう…」
男「この近くに、いいとこあるからさ、今からいく?」
これは、まさか…
梓「わかりました」
梓「…不甲斐ない人」
朋也「聞えたからな…」
―――――――――――――――――――――
朋也(あいつはなんか、上手くやりそうだよな…)
中野から預かった猫とじゃれあいながら、思う。
梓「あの、すみません」
男「ん?」
一発目から捕まえることに成功していた。
梓「えっと、私、今…」
男「3万…いや、君なら4万出すよ」
梓「へ? どういう…」
男「この近くに、いいとこあるからさ、今からいく?」
これは、まさか…
梓「え…いいとこ…ですか?」
朋也「おい、おっさん、なにやってんだよ」
猫を抱いたまま、睨みを利かせて近づいていく。
プリチーな生き物を伴って絡んでくる仏頂面の男…さぞ不気味なことだろう。
男「ひぃっ、い、いや、私はまだなにも…」
朋也「まだ?」
男「い、いや…はは、なんでも」
背を向けて、足早に去っていった。
梓「なんで邪魔するんですか!」
朋也「おまえ…わかんなかったのか、今の」
梓「岡崎先輩の行動の方がわかりませんよ!」
朋也「いや…だから…」
梓「足を引っ張るなら帰ってください!」
本当に、ただ俺が妨害しただけだと思っているようだ。
誤解を解いておいたほうが、今後の信頼関係のためにもいいんだろうが…
詳しく説明するのも、なんだか気が引けた。
朋也「…ああ、悪かったよ。もう邪魔しない」
朋也「おい、おっさん、なにやってんだよ」
猫を抱いたまま、睨みを利かせて近づいていく。
プリチーな生き物を伴って絡んでくる仏頂面の男…さぞ不気味なことだろう。
男「ひぃっ、い、いや、私はまだなにも…」
朋也「まだ?」
男「い、いや…はは、なんでも」
背を向けて、足早に去っていった。
梓「なんで邪魔するんですか!」
朋也「おまえ…わかんなかったのか、今の」
梓「岡崎先輩の行動の方がわかりませんよ!」
朋也「いや…だから…」
梓「足を引っ張るなら帰ってください!」
本当に、ただ俺が妨害しただけだと思っているようだ。
誤解を解いておいたほうが、今後の信頼関係のためにもいいんだろうが…
詳しく説明するのも、なんだか気が引けた。
朋也「…ああ、悪かったよ。もう邪魔しない」
だから、俺に非があったと、黙って認めておくことにした。
梓「勘弁してくださいよ、ほんとにもう…」
朋也「でも、ああいうおっさんは避けろよ、一応」
梓「おっさん差別ですか? 最低ですね、自分の近い将来の姿なのに」
朋也「まだ遠いっての…」
今年で18だ、俺は。
―――――――――――――――――――――
梓「そうですか…話を聞いてくれて、ありがとうございました」
女性「いえ…」
朋也(だめだったか…)
今ので4人目だった。
梓「はぁ…」
中野も落胆を隠しきれないようだった。
男>1「ねぇ、君さ、さっきから声かけてるよね」
男>2「逆ナン?」
梓「勘弁してくださいよ、ほんとにもう…」
朋也「でも、ああいうおっさんは避けろよ、一応」
梓「おっさん差別ですか? 最低ですね、自分の近い将来の姿なのに」
朋也「まだ遠いっての…」
今年で18だ、俺は。
―――――――――――――――――――――
梓「そうですか…話を聞いてくれて、ありがとうございました」
女性「いえ…」
朋也(だめだったか…)
今ので4人目だった。
梓「はぁ…」
中野も落胆を隠しきれないようだった。
男>1「ねぇ、君さ、さっきから声かけてるよね」
男>2「逆ナン?」
梓「え? いえ…違います…」
ちゃらちゃらとした男の二人組に絡まれていた。
男>1「じゃ、俺らが君ナンパしていい?」
男>2「かわいいよね、君。遊びいこうよ」
梓「あの…それは、ちょっと…」
男>1「いいじゃん、いこうよ」
男>2「そこのカフェでなんか食べようよ。おごりだよ?」
梓「う…あう…」
困惑した表情で、すがるように目を向けてくる。
SOS信号だろう。
朋也(いくか…)
立ち上がる。
朋也「こらぁ、なんだ、おまえらは」
男>1「はぁ?」
男>2「なにおまえ」
朋也「みりゃわかるだろうが。猫を持ったキレ気味な人だ」
ちゃらちゃらとした男の二人組に絡まれていた。
男>1「じゃ、俺らが君ナンパしていい?」
男>2「かわいいよね、君。遊びいこうよ」
梓「あの…それは、ちょっと…」
男>1「いいじゃん、いこうよ」
男>2「そこのカフェでなんか食べようよ。おごりだよ?」
梓「う…あう…」
困惑した表情で、すがるように目を向けてくる。
SOS信号だろう。
朋也(いくか…)
立ち上がる。
朋也「こらぁ、なんだ、おまえらは」
男>1「はぁ?」
男>2「なにおまえ」
朋也「みりゃわかるだろうが。猫を持ったキレ気味な人だ」
猫「にゃあ」
男>1「意味が…」
男>2「君、もういこうよ。変なの来たし」
中野の手を取ろうと、腕を伸ばす。
俺はその腕を掴んで止めていた。
朋也「やめとけ。こいつは俺が先に目をつけてたんだよ」
少しキャラを作ってみた。設定は、鬼畜王だ。
朋也「失せろ、カスども」
猫「にゃあ」
男>2「…っ離せよっ」
ばっと俺の手を振り払う。
そして、その瞬間から睨み合いが始まった。
朋也「………」
男>1「………」
男>2「………」
猫「にゃあ」
男>1「意味が…」
男>2「君、もういこうよ。変なの来たし」
中野の手を取ろうと、腕を伸ばす。
俺はその腕を掴んで止めていた。
朋也「やめとけ。こいつは俺が先に目をつけてたんだよ」
少しキャラを作ってみた。設定は、鬼畜王だ。
朋也「失せろ、カスども」
猫「にゃあ」
男>2「…っ離せよっ」
ばっと俺の手を振り払う。
そして、その瞬間から睨み合いが始まった。
朋也「………」
男>1「………」
男>2「………」
猫「にゃあ」
>>231
だーまえが書いてるんだろ
だーまえが書いてるんだろ
男>1「…ちっ」
男>2「ばぁか」
間の抜けた猫の鳴き声を以って、ガンつけ勝負は終わった。
ふたりの男は捨て台詞を吐くと、雑踏の中へと消えていった。
朋也(ふぅ…)
朋也「おい、中野…」
朋也「あん?」
振り返ると、俺から距離を取って身構えていた。
梓「…このけだもの。ずっと私を狙ってたんですねっ」
朋也「おまえが信じるなっ! ありゃ方便だっ」
梓「………」
疑惑に満ちた目を向けてくる。
朋也(どこまで信用ないんだ、俺は…)
もともとなかったところを、先の一件でさらに信用を失ってしまったのか…。
なら、捨て身でこちらから歩み寄っていくしかない。
まずは安心感を与えて、警戒を解かなくては…。
朋也(はぁ…ちくしょう)
男>2「ばぁか」
間の抜けた猫の鳴き声を以って、ガンつけ勝負は終わった。
ふたりの男は捨て台詞を吐くと、雑踏の中へと消えていった。
朋也(ふぅ…)
朋也「おい、中野…」
朋也「あん?」
振り返ると、俺から距離を取って身構えていた。
梓「…このけだもの。ずっと私を狙ってたんですねっ」
朋也「おまえが信じるなっ! ありゃ方便だっ」
梓「………」
疑惑に満ちた目を向けてくる。
朋也(どこまで信用ないんだ、俺は…)
もともとなかったところを、先の一件でさらに信用を失ってしまったのか…。
なら、捨て身でこちらから歩み寄っていくしかない。
まずは安心感を与えて、警戒を解かなくては…。
朋也(はぁ…ちくしょう)
朋也「こほん…あー…」
朋也「ほら、おいで梓ちゃん、怖くないよ~」
ぎこちない笑顔で、猫なで声を出す。
梓「…キモ」
…ものすごく冷めた顔で暴言を返されていた。
朋也(ま、そりゃそうか…)
わかってはいたが、実際言われると、ショックと恥ずかしさが同時に襲ってきた。
梓「冗談です。助けてくれて、ありがとうございました」
朋也「ああ、別に…」
恥をかく前に言って欲しかったが。
梓「キモかったのは本当ですけど」
朋也「あ、そ…」
徒労に終わった上に、追い討ちまでかけられていた。
朋也「まぁ、いいけど、何か対策考えないとな」
朋也「おまえ、見た目可愛いから、変な奴よってくるし」
朋也「ほら、おいで梓ちゃん、怖くないよ~」
ぎこちない笑顔で、猫なで声を出す。
梓「…キモ」
…ものすごく冷めた顔で暴言を返されていた。
朋也(ま、そりゃそうか…)
わかってはいたが、実際言われると、ショックと恥ずかしさが同時に襲ってきた。
梓「冗談です。助けてくれて、ありがとうございました」
朋也「ああ、別に…」
恥をかく前に言って欲しかったが。
梓「キモかったのは本当ですけど」
朋也「あ、そ…」
徒労に終わった上に、追い討ちまでかけられていた。
朋也「まぁ、いいけど、何か対策考えないとな」
朋也「おまえ、見た目可愛いから、変な奴よってくるし」
梓「な、か、可愛いって…お、おだててどうするつもりですかっ!」
梓「気をよくしたところを、一気につけこんでくるつもりですかっ!」
梓「このけだものっ!」
朋也「想像が飛躍しすぎだ。思ったことを言ったまでだよ」
梓「な、なな…わ、私は騙されませんからっ」
朋也「だから、そんな気はないっての」
朋也「それよか、もう昼だし、飯にしようぜ」
梓「う、うう…」
朋也「ほら、いくぞ」
俺が歩き出すと、後ろからうーうー言いながらもついてきた。
梓「気をよくしたところを、一気につけこんでくるつもりですかっ!」
梓「このけだものっ!」
朋也「想像が飛躍しすぎだ。思ったことを言ったまでだよ」
梓「な、なな…わ、私は騙されませんからっ」
朋也「だから、そんな気はないっての」
朋也「それよか、もう昼だし、飯にしようぜ」
梓「う、うう…」
朋也「ほら、いくぞ」
俺が歩き出すと、後ろからうーうー言いながらもついてきた。
―――――――――――――――――――――
朋也「ほらよ」
コンビニで買ってきたパンとジュースを差し出す。
梓「ありがとうございます」
受け渡すと、俺も中野が座っているベンチに腰掛けた。
梓「よかったんですか? おごってもらっちゃって」
朋也「いいよ。いつか、おまえにおごってもらった事あっただろ」
朋也「これであいこだ」
梓「でも、あれはお詫びのつもりだったから…」
朋也「まぁ、細かいことは気にするなよ」
梓「はぁ…」
朋也「よし、おまえにもやろう」
俺は自分のパンをちぎって猫に与えた。
くんくんと匂った後、ぺろりと口にしていた。
その姿を見て思う。
朋也「こいつって、あの時おまえがねこじゃらしで遊んでた奴か?」
朋也「ほらよ」
コンビニで買ってきたパンとジュースを差し出す。
梓「ありがとうございます」
受け渡すと、俺も中野が座っているベンチに腰掛けた。
梓「よかったんですか? おごってもらっちゃって」
朋也「いいよ。いつか、おまえにおごってもらった事あっただろ」
朋也「これであいこだ」
梓「でも、あれはお詫びのつもりだったから…」
朋也「まぁ、細かいことは気にするなよ」
梓「はぁ…」
朋也「よし、おまえにもやろう」
俺は自分のパンをちぎって猫に与えた。
くんくんと匂った後、ぺろりと口にしていた。
その姿を見て思う。
朋也「こいつって、あの時おまえがねこじゃらしで遊んでた奴か?」
梓「そうですよ。気づかなかったんですか?」
朋也「ああ、まぁな。今ようやく思い出したよ」
梓「こんな可愛い子、普通は一度みたら忘れないのに」
言って、中野も自分のパンをちぎって猫の前にそっと据えた。
すると、それも遠慮なく食べ始めていた。
梓「かわいいなぁ…」
その様子を温かい目で見守る中野。
朋也「おまえ、猫好きなのか」
梓「はい、大好きですっ!」
朋也「そっか。なんか、らしいよな。おまえ、猫っぽいし」
梓「あ、ありがとうございます…」
こいつにとっては称賛と同義だったようだ。
素直に礼なんか返してきた。
朋也「でもさ、それなら、おまえの家で飼ってやれないのか」
梓「それができたら、最初から飼い主探しなんてしてませんよ」
朋也「それもそうだな」
朋也「ああ、まぁな。今ようやく思い出したよ」
梓「こんな可愛い子、普通は一度みたら忘れないのに」
言って、中野も自分のパンをちぎって猫の前にそっと据えた。
すると、それも遠慮なく食べ始めていた。
梓「かわいいなぁ…」
その様子を温かい目で見守る中野。
朋也「おまえ、猫好きなのか」
梓「はい、大好きですっ!」
朋也「そっか。なんか、らしいよな。おまえ、猫っぽいし」
梓「あ、ありがとうございます…」
こいつにとっては称賛と同義だったようだ。
素直に礼なんか返してきた。
朋也「でもさ、それなら、おまえの家で飼ってやれないのか」
梓「それができたら、最初から飼い主探しなんてしてませんよ」
朋也「それもそうだな」
梓「岡崎先輩こそ…いや、いいです、やっぱり」
俺に飼えるかどうか打診するつもりだったんだろう。
だが、回答はどうあれ、俺に飼われるのは嫌だったようだ。
だから、途中で切ったんだろう。
まぁ、うちで飼えるわけじゃないので、別によかったが。
朋也「飯、食い終わったら、また頑張って探さなきゃな」
梓「そうですね。頑張りましょうっ」
―――――――――――――――――――――
梓「あの…ほんとにこれ、効果あるんでしょうか」
朋也「ああ、ばっちりだ」
中野が手に持つのは、可愛らしく装飾されたプラカード。
頭には、ネコミミカチューシャをつけていた。
その2つのアイテムは、憂ちゃんと行った、あのファンシーショップで調達してきていた。
朋也「今までは、こっちから攻めていってたけど、それは間違いだった」
朋也「興味のない人にまで当たっちまうから、効率が悪かったんだ」
朋也「だから、今度は待ちに入るんだ」
梓「いえ…そうじゃなくて、なんでネコミミなんですか…」
梓「このプラカードは、わかりますけど…」
俺に飼えるかどうか打診するつもりだったんだろう。
だが、回答はどうあれ、俺に飼われるのは嫌だったようだ。
だから、途中で切ったんだろう。
まぁ、うちで飼えるわけじゃないので、別によかったが。
朋也「飯、食い終わったら、また頑張って探さなきゃな」
梓「そうですね。頑張りましょうっ」
―――――――――――――――――――――
梓「あの…ほんとにこれ、効果あるんでしょうか」
朋也「ああ、ばっちりだ」
中野が手に持つのは、可愛らしく装飾されたプラカード。
頭には、ネコミミカチューシャをつけていた。
その2つのアイテムは、憂ちゃんと行った、あのファンシーショップで調達してきていた。
朋也「今までは、こっちから攻めていってたけど、それは間違いだった」
朋也「興味のない人にまで当たっちまうから、効率が悪かったんだ」
朋也「だから、今度は待ちに入るんだ」
梓「いえ…そうじゃなくて、なんでネコミミなんですか…」
梓「このプラカードは、わかりますけど…」
そのプラカードには『この猫、飼ってください!』と書いてある。
宣伝のつもりだった。
朋也「そっちの方がわかりやすいじゃん」
梓「いえ、これつけなくても、プラカードだけで事足りると思いますけど…」
朋也「より目立ったほうが、目を引きやすいだろ」
朋也「おまえ、似合ってるしさ、大抵の男は振り向くと思うぞ」
梓「そ、そんな…」
朋也「こいつのためだ。頑張れよ」
ダンボールを抱えてみせる。
その中には、猫が入っていた。
やはり、拾ってください、なんて言うなら、このスタイルしかないだろう。
梓「うう…わかりました」
ダンボールを手に持ち、街頭に立つ。
そして、足元に置くと、プラカードを掲げた。
やはり、道行く人は皆一瞥をくれていく。
こっちをみて、ひそひそと話しこんでいる者たちも見受けられた。
ナンパの算段でも立てているんだろうか。
それでも、隣に俺も立っているから、簡単には近づいてこないだろう。
これが、俺の考えた対策だった。抑止力というやつだ。
単純なことだが、効果は高いと思う。
今も、中野を遠巻きに眺めていた男たちが、諦めたように散会していくのが見えた。
宣伝のつもりだった。
朋也「そっちの方がわかりやすいじゃん」
梓「いえ、これつけなくても、プラカードだけで事足りると思いますけど…」
朋也「より目立ったほうが、目を引きやすいだろ」
朋也「おまえ、似合ってるしさ、大抵の男は振り向くと思うぞ」
梓「そ、そんな…」
朋也「こいつのためだ。頑張れよ」
ダンボールを抱えてみせる。
その中には、猫が入っていた。
やはり、拾ってください、なんて言うなら、このスタイルしかないだろう。
梓「うう…わかりました」
ダンボールを手に持ち、街頭に立つ。
そして、足元に置くと、プラカードを掲げた。
やはり、道行く人は皆一瞥をくれていく。
こっちをみて、ひそひそと話しこんでいる者たちも見受けられた。
ナンパの算段でも立てているんだろうか。
それでも、隣に俺も立っているから、簡単には近づいてこないだろう。
これが、俺の考えた対策だった。抑止力というやつだ。
単純なことだが、効果は高いと思う。
今も、中野を遠巻きに眺めていた男たちが、諦めたように散会していくのが見えた。
やはり、これで合っていたようだ。
―――――――――――――――――――――
5分くらい経った頃だろうか。
一人の男がこちらに近寄ってきていた。
男「あの…ふぅ、ふぅ…」
興奮しているのか知らないが、息が荒い。
男「か、飼うって、い、いいの…?」
梓「え…はいっ、もちろんですっ!」
男「はぁ…はぁ…き、君、家出少女なんだ…?」
梓「え、あ…はい?」
男「ふっひ…う、うちのアパート…いこう…」
男「君みたいな可愛い子なら…悦んで飼ってあげるよ…」
梓「い、いえ、私じゃなくてっ! この子ですっ」
ダンボールから猫を抱き起こした。
猫「にゃあ」
男「え…なんだ…でも、君も猫だし…」
―――――――――――――――――――――
5分くらい経った頃だろうか。
一人の男がこちらに近寄ってきていた。
男「あの…ふぅ、ふぅ…」
興奮しているのか知らないが、息が荒い。
男「か、飼うって、い、いいの…?」
梓「え…はいっ、もちろんですっ!」
男「はぁ…はぁ…き、君、家出少女なんだ…?」
梓「え、あ…はい?」
男「ふっひ…う、うちのアパート…いこう…」
男「君みたいな可愛い子なら…悦んで飼ってあげるよ…」
梓「い、いえ、私じゃなくてっ! この子ですっ」
ダンボールから猫を抱き起こした。
猫「にゃあ」
男「え…なんだ…でも、君も猫だし…」
言って、ネコミミに目をやる。
男「君もついてくるなら、一緒に飼ってあげるよ…ふっひ…」
梓「ひぃっ…え、遠慮しておきます…」
男「はぁ、はぁ…じゃあ、いいや…」
のそのそと立ち去っていった。
梓「…岡崎先輩のせいですよ」
朋也「いや、でも、世間にはああいう奴もいるってわかってよかったじゃん」
梓「上から目線で言わないでくださいっ!」
梓「次は岡崎先輩がやってくださいよっ!」
俺にプラカードを押し付けてくる。
朋也「ああ、いいけど」
受け取る。
梓「ちゃんとこのネコミミもつけてくださいよ」
朋也「やだよ、なんで俺が」
梓「私にはつけさせたじゃないですかっ!」
男「君もついてくるなら、一緒に飼ってあげるよ…ふっひ…」
梓「ひぃっ…え、遠慮しておきます…」
男「はぁ、はぁ…じゃあ、いいや…」
のそのそと立ち去っていった。
梓「…岡崎先輩のせいですよ」
朋也「いや、でも、世間にはああいう奴もいるってわかってよかったじゃん」
梓「上から目線で言わないでくださいっ!」
梓「次は岡崎先輩がやってくださいよっ!」
俺にプラカードを押し付けてくる。
朋也「ああ、いいけど」
受け取る。
梓「ちゃんとこのネコミミもつけてくださいよ」
朋也「やだよ、なんで俺が」
梓「私にはつけさせたじゃないですかっ!」
朋也「だからってなぁ、俺だぞ?」
梓「いいから、つべこべいわずにつけてくださいっ!」
朋也「わかったよ…」
仕方なく、装備した。
…周囲の視線が痛い。
梓「…ぷっ」
朋也「せめておまえだけは笑わんでくれ…」
―――――――――――――――――――――
朋也(お…)
一人の女性がこちらに近づいてくる。
男の情欲を煽るような服を綺麗に着こなして、妖艶な雰囲気を纏っていた。
年の頃は、二十代後半といったところか。
朋也(って、なに分析してんだ、俺は…)
女性「ボウヤ…飼って欲しいの?」
朋也「あ、いえ…俺じゃなくて、こっちの猫っす」
ダンボールを指さす。
女性「そうなの?」
梓「いいから、つべこべいわずにつけてくださいっ!」
朋也「わかったよ…」
仕方なく、装備した。
…周囲の視線が痛い。
梓「…ぷっ」
朋也「せめておまえだけは笑わんでくれ…」
―――――――――――――――――――――
朋也(お…)
一人の女性がこちらに近づいてくる。
男の情欲を煽るような服を綺麗に着こなして、妖艶な雰囲気を纏っていた。
年の頃は、二十代後半といったところか。
朋也(って、なに分析してんだ、俺は…)
女性「ボウヤ…飼って欲しいの?」
朋也「あ、いえ…俺じゃなくて、こっちの猫っす」
ダンボールを指さす。
女性「そうなの?」
朋也「はい。だめっすか」
女性「私、動物嫌いなの」
女性「でも…」
俺の頬に手を添えた。
どきっとする。
女性「あなたみたいな動物なら、死ぬほど可愛がってあげるわ」
朋也「はは…」
なんと答えていいのやら…。
女性「これ、名刺。渡しとくわ」
手を取られ、少し強引に握らされた。
そこには、夜の店の名前と、この人の源氏名らしきものが書かれていた。
裏も見てみる。電話番号が手書きされていた。
朋也「俺、未成年なんですけど…」
女性「見ればわかるわよ」
朋也「そっすか…」
女性「お店に来いって言ってるんじゃないわ」
女性「私にいつでも連絡入れなさいって言ってるの」
女性「私、動物嫌いなの」
女性「でも…」
俺の頬に手を添えた。
どきっとする。
女性「あなたみたいな動物なら、死ぬほど可愛がってあげるわ」
朋也「はは…」
なんと答えていいのやら…。
女性「これ、名刺。渡しとくわ」
手を取られ、少し強引に握らされた。
そこには、夜の店の名前と、この人の源氏名らしきものが書かれていた。
裏も見てみる。電話番号が手書きされていた。
朋也「俺、未成年なんですけど…」
女性「見ればわかるわよ」
朋也「そっすか…」
女性「お店に来いって言ってるんじゃないわ」
女性「私にいつでも連絡入れなさいって言ってるの」
朋也「はぁ…」
女性「それじゃね」
色気を漂わせながら去っていく。
梓「…ヒモ野郎。最低です。死ね死ね」
朋也「悪口のタガが外れてるからな、おまえ…」
梓「こんな時まで女をたぶらかすなんて、信じられないです」
朋也「俺は何もしてないだろ…」
朋也「…あぁ、とにかく、もうネコミミはやめだ。これは危険すぎる」
梓「最初からいらないって言ってたのに…このヒモ男は…」
ぶつぶつと小言をぶつけられていた。
止む気配はない。
しばらくはこの状態が続きそうだった。
朋也(はぁ…)
―――――――――――――――――――――
一度休憩を取るため、適当な石段に腰掛けた。
朋也「なかなか見つからねぇな」
女性「それじゃね」
色気を漂わせながら去っていく。
梓「…ヒモ野郎。最低です。死ね死ね」
朋也「悪口のタガが外れてるからな、おまえ…」
梓「こんな時まで女をたぶらかすなんて、信じられないです」
朋也「俺は何もしてないだろ…」
朋也「…あぁ、とにかく、もうネコミミはやめだ。これは危険すぎる」
梓「最初からいらないって言ってたのに…このヒモ男は…」
ぶつぶつと小言をぶつけられていた。
止む気配はない。
しばらくはこの状態が続きそうだった。
朋也(はぁ…)
―――――――――――――――――――――
一度休憩を取るため、適当な石段に腰掛けた。
朋也「なかなか見つからねぇな」
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