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元スレ朋也「軽音部? うんたん?」2
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春原「なんだったら、今から探しに出る?」
春原「運よく見つけられたら、話しかけられるぜ?」
梓「い、行きたいです!」
澪「私も!」
律「おまえら、きのうちゃんと練習しろとか言ってなかったか?」
澪「い、今は緊急事態なんだから、しょうがないだろっ」
梓「そうですよっ」
律「めちゃ力強いな、おまえら…」
さわ子「…私も行くわ」
律「うえぇっ? さわちゃんもかよっ!? でも、いいの? 仕事ほっぽりだして」
さわ子「大丈夫。バレなければいいのよ」
さわ子「こんなこともあろうかと、用意しておいた衣装があるの」
立ち上がり、物置へ向かった。
そして、俺たちのよく見慣れた服を手に戻ってくる。
さわ子「これよ」
唯「あっ、光坂の制服だぁ」
春原「運よく見つけられたら、話しかけられるぜ?」
梓「い、行きたいです!」
澪「私も!」
律「おまえら、きのうちゃんと練習しろとか言ってなかったか?」
澪「い、今は緊急事態なんだから、しょうがないだろっ」
梓「そうですよっ」
律「めちゃ力強いな、おまえら…」
さわ子「…私も行くわ」
律「うえぇっ? さわちゃんもかよっ!? でも、いいの? 仕事ほっぽりだして」
さわ子「大丈夫。バレなければいいのよ」
さわ子「こんなこともあろうかと、用意しておいた衣装があるの」
立ち上がり、物置へ向かった。
そして、俺たちのよく見慣れた服を手に戻ってくる。
さわ子「これよ」
唯「あっ、光坂の制服だぁ」
さわ子「そうよ。これを着て、生徒に変装するの」
律「いや、変装っていうより、コスプレに近いんじゃ…」
さわ子「歳的な意味で言ってるなら、死ぬことになるわよ?」
律「とっても似合うと思いますっ」
さわ子「よろしい」
―――――――――――――――――――――
外へ出てきた俺たちは、早速芳野祐介を探し始めた。
といっても、闇雲に動き回っているわけじゃない。
琴吹の携帯…それも、なにか特殊な業務に使われているものらしいのだが…
それを使って、周辺の工事情報を集めてから、手分けして現場に当たっていた。
―――――――――――――――――――――
紬「あの中にいる?」
春原「いや、いないよ」
紬「そう…」
これで、回ってきたのも3件目。
まだ他の連中からも、目撃の連絡が来ない。
春原「今日は仕事ないのかもね」
律「いや、変装っていうより、コスプレに近いんじゃ…」
さわ子「歳的な意味で言ってるなら、死ぬことになるわよ?」
律「とっても似合うと思いますっ」
さわ子「よろしい」
―――――――――――――――――――――
外へ出てきた俺たちは、早速芳野祐介を探し始めた。
といっても、闇雲に動き回っているわけじゃない。
琴吹の携帯…それも、なにか特殊な業務に使われているものらしいのだが…
それを使って、周辺の工事情報を集めてから、手分けして現場に当たっていた。
―――――――――――――――――――――
紬「あの中にいる?」
春原「いや、いないよ」
紬「そう…」
これで、回ってきたのも3件目。
まだ他の連中からも、目撃の連絡が来ない。
春原「今日は仕事ないのかもね」
春原「もう、このままフケちまって、どっか遊びにいかない?」
春原「僕とムギちゃんふたりでさ」
俺たちは、琴吹と組んでスリーマンセルで動いていた。
携帯という連絡手段を持ちあわせていないので、誰かしらと組む必要があったのだ。
春原「岡崎も、気ぃ利かせて帰るって言ってるしさっ」
朋也「そんなわけねぇよ、俺はいつだっておまえの死角に存在するんだからな」
春原「マジかよっ!? つーか、なにが目的だよっ!?」
朋也「おまえ、気づいたらティッシュ箱が自分から遠のいてることないか?」
朋也「そういうことだよ」
春原「あれ、おまえかよっ! めちゃくちゃうざい現象なんですけどっ!」
紬「くすくす」
―――――――――――――――――――――
一度全員で駅前に集まる。
律「全然いなかったんだけど」
唯「私たちがみてきた方面も全滅だったよ」
紬「こっちも、だめだったわ」
春原「僕とムギちゃんふたりでさ」
俺たちは、琴吹と組んでスリーマンセルで動いていた。
携帯という連絡手段を持ちあわせていないので、誰かしらと組む必要があったのだ。
春原「岡崎も、気ぃ利かせて帰るって言ってるしさっ」
朋也「そんなわけねぇよ、俺はいつだっておまえの死角に存在するんだからな」
春原「マジかよっ!? つーか、なにが目的だよっ!?」
朋也「おまえ、気づいたらティッシュ箱が自分から遠のいてることないか?」
朋也「そういうことだよ」
春原「あれ、おまえかよっ! めちゃくちゃうざい現象なんですけどっ!」
紬「くすくす」
―――――――――――――――――――――
一度全員で駅前に集まる。
律「全然いなかったんだけど」
唯「私たちがみてきた方面も全滅だったよ」
紬「こっちも、だめだったわ」
>>156
その手があったか
その手があったか
澪「この地区の外で仕事してるのかな…」
朋也「いや…」
一台の軽トラが停めてある。
その向こう側に、人の動く気配。
朋也「いた」
さわ子「どこ?」
朋也「あそこだよ。いこう」
俺たちは軽トラに近づいていった。
朋也「ちっす」
荷台に荷物を乗せ終えた作業員に声をかける。
春原「どもっ」
芳野「…ん?」
芳野「ああ…いつかの」
どうやら覚えていてくれたようだ。
芳野「どうした。今日はまた大道芸をしにきたのか」
春原「はい、そんな感じっすっ」
朋也「いや…」
一台の軽トラが停めてある。
その向こう側に、人の動く気配。
朋也「いた」
さわ子「どこ?」
朋也「あそこだよ。いこう」
俺たちは軽トラに近づいていった。
朋也「ちっす」
荷台に荷物を乗せ終えた作業員に声をかける。
春原「どもっ」
芳野「…ん?」
芳野「ああ…いつかの」
どうやら覚えていてくれたようだ。
芳野「どうした。今日はまた大道芸をしにきたのか」
春原「はい、そんな感じっすっ」
春原「それで、今日は、その仲間も連れてきてるんすよっ」
芳野「後ろのお嬢ちゃんたちか」
さわ子「お嬢ちゃんとはご挨拶ね」
さわ子さんが前に出る。
さわ子「久しぶりね、芳野祐介。私のこと、忘れたとは言わさないわよ」
春原「…へ?」
その場にいた全員が目を丸くする。
芳野「あー…すまん。どこかで会ったことあるか?」
さわ子「私よ、私っ!」
メガネを外し、頭を激しく振りながらエアギターを始める。
俺にはなにがなんだかさっぱりわからなかった。
芳野「まさか…あんた、キャサリンか。デスデビルの」
さわ子「はぁ…はぁ…ようやく思い出したようね…」
芳野「しかし…その制服…」
さわ子「あ、こ、これは…」
芳野「あんた…留年してたのか」
芳野「後ろのお嬢ちゃんたちか」
さわ子「お嬢ちゃんとはご挨拶ね」
さわ子さんが前に出る。
さわ子「久しぶりね、芳野祐介。私のこと、忘れたとは言わさないわよ」
春原「…へ?」
その場にいた全員が目を丸くする。
芳野「あー…すまん。どこかで会ったことあるか?」
さわ子「私よ、私っ!」
メガネを外し、頭を激しく振りながらエアギターを始める。
俺にはなにがなんだかさっぱりわからなかった。
芳野「まさか…あんた、キャサリンか。デスデビルの」
さわ子「はぁ…はぁ…ようやく思い出したようね…」
芳野「しかし…その制服…」
さわ子「あ、こ、これは…」
芳野「あんた…留年してたのか」
ずるぅっ!
さわ子「そ、そんなわけないでしょっ! 今は教師をやってるのっ!」
さわ子「それで、この子たちは、私の教え子よっ」
芳野「そうか…でも、なんで教師のあんたが制服なんだ」
さわ子「それについては言及しないで。深い事情があるのよ…」
芳野「そうなのか…まぁ、いいが」
春原「……どうなってんの」
それは俺も知りたい。
芳野「それで…俺になにか用があるのか」
さわ子「あるのは、私じゃなくて、この子たちのほうよ」
芳野「あん?」
さわ子「みんな、あんたが芳野祐介ってこと、知ってるの」
さわ子「かつてアーティストとして活動していた、ね」
俺たちがひた隠そうとしていたことを、さらりと言ってのけていた。
芳野祐介はどんな反応をするのだろうか…
芳野「…そうか」
さわ子「そ、そんなわけないでしょっ! 今は教師をやってるのっ!」
さわ子「それで、この子たちは、私の教え子よっ」
芳野「そうか…でも、なんで教師のあんたが制服なんだ」
さわ子「それについては言及しないで。深い事情があるのよ…」
芳野「そうなのか…まぁ、いいが」
春原「……どうなってんの」
それは俺も知りたい。
芳野「それで…俺になにか用があるのか」
さわ子「あるのは、私じゃなくて、この子たちのほうよ」
芳野「あん?」
さわ子「みんな、あんたが芳野祐介ってこと、知ってるの」
さわ子「かつてアーティストとして活動していた、ね」
俺たちがひた隠そうとしていたことを、さらりと言ってのけていた。
芳野祐介はどんな反応をするのだろうか…
芳野「…そうか」
芳野「………」
芳野「悪いが、俺はもう、昔の俺じゃない」
芳野「だから、あんたらの用向きには応えられない」
やはり、壁を作っていた。かつての自分に対して。
澪「ごめんなさい…」
秋山が、泣きそうな顔で、ぽつりと小さくつぶやいた。
澪「私、芳野さんの引退理由、知ってました」
澪「当時の事を思い出したくない気持ちも、大体想像できてました」
澪「それでも、この町にいるってことを聞いて、どうしても会いたくて…」
澪「こんな、押しかけるようなマネをして…」
澪「本当に、すみませんでした…」
梓「わ、私も同じです。自分のことばっかり考えちゃって…」
梓「でも、会えたらどうしても伝えたかったんです」
梓「ずっとファンだったこと…あ、今でも好きですけど…」
梓「うん…あと…芳野さんの歌に、何度も励まされたことを」
芳野「悪いが、俺はもう、昔の俺じゃない」
芳野「だから、あんたらの用向きには応えられない」
やはり、壁を作っていた。かつての自分に対して。
澪「ごめんなさい…」
秋山が、泣きそうな顔で、ぽつりと小さくつぶやいた。
澪「私、芳野さんの引退理由、知ってました」
澪「当時の事を思い出したくない気持ちも、大体想像できてました」
澪「それでも、この町にいるってことを聞いて、どうしても会いたくて…」
澪「こんな、押しかけるようなマネをして…」
澪「本当に、すみませんでした…」
梓「わ、私も同じです。自分のことばっかり考えちゃって…」
梓「でも、会えたらどうしても伝えたかったんです」
梓「ずっとファンだったこと…あ、今でも好きですけど…」
梓「うん…あと…芳野さんの歌に、何度も励まされたことを」
澪「私も…そうです。落ち込んだ時、辛い時、悲しい時…」
澪「それだけじゃなくて、上手くいった時なんかも、聴いてました」
澪「歌詞にあるような、まっすぐな綺麗さにも、すごく感動しました」
澪「芳野さんの歌を聴くと、救われたような気持ちになるんです」
澪「だから、その…ありがとうございましたっ」
梓「あ、ありがとうございましたっ」
芳野「………」
投げかけられる言葉。ただじっと受け止める。
芳野「…いい生徒を持ったな」
ふたりに答えるでもなく、さわ子さんにそう言った。
その表情には、幾分の柔らかさがあるようだった。
さわ子「まぁね。みんな、私の自慢の生徒よ」
律「春原も?」
さわ子「ええ…多分」
春原「そこは断定してくれよっ!」
芳野「おまえらも、最初から知ってたのか」
澪「それだけじゃなくて、上手くいった時なんかも、聴いてました」
澪「歌詞にあるような、まっすぐな綺麗さにも、すごく感動しました」
澪「芳野さんの歌を聴くと、救われたような気持ちになるんです」
澪「だから、その…ありがとうございましたっ」
梓「あ、ありがとうございましたっ」
芳野「………」
投げかけられる言葉。ただじっと受け止める。
芳野「…いい生徒を持ったな」
ふたりに答えるでもなく、さわ子さんにそう言った。
その表情には、幾分の柔らかさがあるようだった。
さわ子「まぁね。みんな、私の自慢の生徒よ」
律「春原も?」
さわ子「ええ…多分」
春原「そこは断定してくれよっ!」
芳野「おまえらも、最初から知ってたのか」
朋也「ああ。悪かったよ、変な芝居につき合わせちまって」
芳野「いや…それなりに楽しかったからな」
ふ、と一度微笑む。
芳野「今の俺に、礼の言葉なんか受け取れはしない」
芳野「だが…」
芳野「その気持ちだけは、しっかりと噛み締めておく」
クサい言い方だったけど、この人が口にすると様になった。
芳野「名前は?」
澪「秋山澪です!」
梓「中野梓です!」
芳野「そうか」
芳野「澪、梓。君たちがいつまでも前を向いて歩いていけるよう…」
芳野「どんな逆境でも耐え抜いて、真っ直ぐ歩いていけるよう…」
芳野「この俺も祈ってる」
芳野「………」
芳野「いや…それなりに楽しかったからな」
ふ、と一度微笑む。
芳野「今の俺に、礼の言葉なんか受け取れはしない」
芳野「だが…」
芳野「その気持ちだけは、しっかりと噛み締めておく」
クサい言い方だったけど、この人が口にすると様になった。
芳野「名前は?」
澪「秋山澪です!」
梓「中野梓です!」
芳野「そうか」
芳野「澪、梓。君たちがいつまでも前を向いて歩いていけるよう…」
芳野「どんな逆境でも耐え抜いて、真っ直ぐ歩いていけるよう…」
芳野「この俺も祈ってる」
芳野「………」
芳野「じゃあ、またな」
それだけ呟いて、去っていく。
車に乗り込み、エンジンをかける。
すぐにその音は遠ざかっていった。
春原「…どういうこと? 僕、なんか混乱してきたんですけど…」
さわ子「一度、部室に戻りましょう。そこで話してあげる」
―――――――――――――――――――――
さわ子「あんたらには話してなかったけど…」
さわ子「私、昔この学校の軽音部で、バンドやってたのよね」
春原「え? さわちゃんってここのOBなの?」
さわ子「そうよ」
春原「へぇ、じゃ、先輩じゃん」
さわ子「ええ、だから、今まで以上に慕いなさいよ」
春原「オッケー、わかったよ、さわちゃん」
さわ子「その、さわちゃん、っていうのが、慕ってるように見えないんだけどね…」
唯「ちなにみこれが当時のさわちゃんだよ」
それだけ呟いて、去っていく。
車に乗り込み、エンジンをかける。
すぐにその音は遠ざかっていった。
春原「…どういうこと? 僕、なんか混乱してきたんですけど…」
さわ子「一度、部室に戻りましょう。そこで話してあげる」
―――――――――――――――――――――
さわ子「あんたらには話してなかったけど…」
さわ子「私、昔この学校の軽音部で、バンドやってたのよね」
春原「え? さわちゃんってここのOBなの?」
さわ子「そうよ」
春原「へぇ、じゃ、先輩じゃん」
さわ子「ええ、だから、今まで以上に慕いなさいよ」
春原「オッケー、わかったよ、さわちゃん」
さわ子「その、さわちゃん、っていうのが、慕ってるように見えないんだけどね…」
唯「ちなにみこれが当時のさわちゃんだよ」
一枚の写真。
そこには、仰々しいメイクと衣装で不敵に笑うさわ子さんと、その仲間たちが写っていた。
さわ子「あ、こら、唯ちゃんっ、まだそんなもの…」
律「んで、これが音源な」
小さめのラジカセを手に持ち、再生ボタンを押した。
凶悪な音楽と、叫ぶような歌声が聞えてくる。
さわ子「こら、やめなさいっ」
平沢からは写真を奪い、部長からはラジカセを取り上げた。
春原「…さわちゃんって、けっこうヤバい人だったんだね」
さわ子「これは格好だけよ。中身は普通だったわよ」
そうだろうか。
この人の現在の性格を鑑みるに、当時もやっぱりスレていたんじゃなかろうか。
さわ子「あんたらふたりのほうがよっぽどヤンチャよ」
さわ子「すぐ喧嘩してくるんだからね。去年は大変だったわよ」
思い返してみれば、確かにそうだった。
よそで喧嘩してくるたび、学年主任に呼び出され、その都度この人がかばってくれていたのだが…
その時のはぐらかし方が妙に手馴れていたような…そんな気もする。
まるで、そんな立場に立たされたことがあるかのようにだ。
なら、やっぱり、この人も昔は無茶していたんだ。
そこには、仰々しいメイクと衣装で不敵に笑うさわ子さんと、その仲間たちが写っていた。
さわ子「あ、こら、唯ちゃんっ、まだそんなもの…」
律「んで、これが音源な」
小さめのラジカセを手に持ち、再生ボタンを押した。
凶悪な音楽と、叫ぶような歌声が聞えてくる。
さわ子「こら、やめなさいっ」
平沢からは写真を奪い、部長からはラジカセを取り上げた。
春原「…さわちゃんって、けっこうヤバい人だったんだね」
さわ子「これは格好だけよ。中身は普通だったわよ」
そうだろうか。
この人の現在の性格を鑑みるに、当時もやっぱりスレていたんじゃなかろうか。
さわ子「あんたらふたりのほうがよっぽどヤンチャよ」
さわ子「すぐ喧嘩してくるんだからね。去年は大変だったわよ」
思い返してみれば、確かにそうだった。
よそで喧嘩してくるたび、学年主任に呼び出され、その都度この人がかばってくれていたのだが…
その時のはぐらかし方が妙に手馴れていたような…そんな気もする。
まるで、そんな立場に立たされたことがあるかのようにだ。
なら、やっぱり、この人も昔は無茶していたんだ。
俺たちに目をかけてくれるのも、そんな時代の自分と重ねてみているからなのかもしれない。
さわ子「ま、それはいいとして…芳野祐介だったわね」
梓「そうですよっ。どうやって知り合ったんですか?」
さわ子「対バンよ、対バン。この町のハコでずいぶん演ったわ」
梓「って、もしかして、芳野さんも、この町の出身なんですか?」
さわ子「そうよ。高校生の時に知り合ったんだけどね…私は光坂で、あっちは北高だったの」
梓「へぇ…」
澪「そうだったんですか…知りませんでした」
澪「公式プロフィールには、そういうこと書いてなかったですから」
律「よかったじゃん、マニア知識がひとつ増えてさ」
澪「うん…嬉しい…」
さわ子「まぁ、第一印象は最悪だったんだけどね」
さわ子「いきなり乱入してきて、マイク奪って、乗っ取ってくるし」
春原「…マジ?」
さわ子「大マジよ」
さわ子「ま、それはいいとして…芳野祐介だったわね」
梓「そうですよっ。どうやって知り合ったんですか?」
さわ子「対バンよ、対バン。この町のハコでずいぶん演ったわ」
梓「って、もしかして、芳野さんも、この町の出身なんですか?」
さわ子「そうよ。高校生の時に知り合ったんだけどね…私は光坂で、あっちは北高だったの」
梓「へぇ…」
澪「そうだったんですか…知りませんでした」
澪「公式プロフィールには、そういうこと書いてなかったですから」
律「よかったじゃん、マニア知識がひとつ増えてさ」
澪「うん…嬉しい…」
さわ子「まぁ、第一印象は最悪だったんだけどね」
さわ子「いきなり乱入してきて、マイク奪って、乗っ取ってくるし」
春原「…マジ?」
さわ子「大マジよ」
俺もにわかには信じられない。
あのクールな印象からはかけ離れすぎていた。
さわ子「あの頃のあいつは、そりゃもう、ヤバイぐらい暴れまわってたんだから」
さわ子「そのせいで、いろんなバンドから恨み買って、敵作って…」
さわ子「それでも、ずっと歌い続けてたわ」
さわ子「そんな姿が、若い私には、かっこよく映ったんでしょうね」
さわ子「次第に興味を持つようになっていったの」
さわ子「そして、あるライブの後、思い切って話しかけてみたの」
さわ子「粗野で荒々しい奴かと思ってたんだけど、話してみると、意外とシャイな上に無口でね」
さわ子「それに加えて、無愛想で…そうね、ちょうど岡崎みたいな感じだったわ」
春原「こいつ、悪人顔だもんね」
朋也「黙れ」
さわ子さんは続ける。
さわ子「でも、言葉数は少なかったけど、音楽に対する情熱はすごく持ってるってことがわかったの」
さわ子「そこからよ、よく話すようになったのは」
そこまで言って、紅茶を飲み、一呼吸入れた。
あのクールな印象からはかけ離れすぎていた。
さわ子「あの頃のあいつは、そりゃもう、ヤバイぐらい暴れまわってたんだから」
さわ子「そのせいで、いろんなバンドから恨み買って、敵作って…」
さわ子「それでも、ずっと歌い続けてたわ」
さわ子「そんな姿が、若い私には、かっこよく映ったんでしょうね」
さわ子「次第に興味を持つようになっていったの」
さわ子「そして、あるライブの後、思い切って話しかけてみたの」
さわ子「粗野で荒々しい奴かと思ってたんだけど、話してみると、意外とシャイな上に無口でね」
さわ子「それに加えて、無愛想で…そうね、ちょうど岡崎みたいな感じだったわ」
春原「こいつ、悪人顔だもんね」
朋也「黙れ」
さわ子さんは続ける。
さわ子「でも、言葉数は少なかったけど、音楽に対する情熱はすごく持ってるってことがわかったの」
さわ子「そこからよ、よく話すようになったのは」
そこまで言って、紅茶を飲み、一呼吸入れた。
さわ子「…多分恋してたんでしょうね」
さわ子「気づいたら、あいつのことばかり考えるようになってたの」
さわ子「そして、3年生になって、進路も大方決めなきゃいけない時期がきて…」
さわ子「あいつにどうするか訊いてみたの」
さわ子「そしたら、卒業後は、上京して、プロのミュージシャンになるなんて言うのよ」
さわ子「それを聞いて、私も血がたぎったわ」
さわ子「じゃあ、自分もミュージシャンになって、こいつと同じ道を歩くぞ、って…」
さわ子「そう、思ったんだけど…」
さわ子「………」
さわ子「その後に続けて、『プロになれたら、好きな人と一緒になる』って、そう言ったの」
さわ子「聞けば、新任の女教師に惚れてるってことらしかったわ」
さわ子「失恋よ、失恋」
さわ子「そこで、私の恋は終わって、進む道も、てんで別方向に分かれちゃって…」
さわ子「それっきりになっちゃったのよ」
この人にそんな過去があったなんて知らなかった。
付き合いは長いつもりだったが、まだ踏み込めていなかった領域だ。
さわ子「気づいたら、あいつのことばかり考えるようになってたの」
さわ子「そして、3年生になって、進路も大方決めなきゃいけない時期がきて…」
さわ子「あいつにどうするか訊いてみたの」
さわ子「そしたら、卒業後は、上京して、プロのミュージシャンになるなんて言うのよ」
さわ子「それを聞いて、私も血がたぎったわ」
さわ子「じゃあ、自分もミュージシャンになって、こいつと同じ道を歩くぞ、って…」
さわ子「そう、思ったんだけど…」
さわ子「………」
さわ子「その後に続けて、『プロになれたら、好きな人と一緒になる』って、そう言ったの」
さわ子「聞けば、新任の女教師に惚れてるってことらしかったわ」
さわ子「失恋よ、失恋」
さわ子「そこで、私の恋は終わって、進む道も、てんで別方向に分かれちゃって…」
さわ子「それっきりになっちゃったのよ」
この人にそんな過去があったなんて知らなかった。
付き合いは長いつもりだったが、まだ踏み込めていなかった領域だ。
でも…今回、こんな話をしてくれるほどに、俺たちは想われている。
こそばゆいやら、うれしいやら…。
さわ子「ま、こんなとこかしら」
梓「先生…すごすぎます…尊敬ですっ」
澪「かっこいいです、先生っ」
紬「ドラマチックですね」
さわ子「そう? おほほほ、もっと褒めなさい」
律「ま、でも、要は、失恋しちゃったよ~って話だよな」
ビシッ ビシッ ビシッ
律「うぎゃっ痛っ、さわちゃ、痛いっ」
ビシッ ビシッ ビシッ
部長の額に容赦なくデコピンが次々に繰り出されていた。
唯「りっちゃんは一言多いよね」
律「唯にまともな突っ込みされるあたしって一体…」
額を押さえながら言う。攻撃はもう止んでいた。
さわ子「そうそう、これは余談なんだけどね…」
こそばゆいやら、うれしいやら…。
さわ子「ま、こんなとこかしら」
梓「先生…すごすぎます…尊敬ですっ」
澪「かっこいいです、先生っ」
紬「ドラマチックですね」
さわ子「そう? おほほほ、もっと褒めなさい」
律「ま、でも、要は、失恋しちゃったよ~って話だよな」
ビシッ ビシッ ビシッ
律「うぎゃっ痛っ、さわちゃ、痛いっ」
ビシッ ビシッ ビシッ
部長の額に容赦なくデコピンが次々に繰り出されていた。
唯「りっちゃんは一言多いよね」
律「唯にまともな突っ込みされるあたしって一体…」
額を押さえながら言う。攻撃はもう止んでいた。
さわ子「そうそう、これは余談なんだけどね…」
ゆっくりと口を開く。
さわ子「あいつが好きだった先生っていうのが、この学校で教師をされてたのよ」
澪「え? だ、誰ですか?」
さわ子「あなたたちは知らないと思うわ。3年前に退職されてるからね」
さわ子「伊吹公子さんっていうんだけど…」
唯「え? 伊吹さん?」
唯「もしかして、ショートヘアで、おっとりした感じの人?」
さわ子「え、ええ…今はどうかしらないけど、髪はショートだったわ」
唯「じゃあ…やっぱり、あの伊吹さんだ。先生してたって言ってたし」
梓「ゆ、唯先輩、知り合いなんですか?」
唯「うん。私がよくいくパン屋さんの常連さんだから、会えばお喋りしてるよ」
さわ子「へぇ…世間は狭いものねぇ…」
澪「で、どんな人なんだ?」
唯「えっとね、綺麗で、優しくて、それで…」
話し始める平沢。
そこへ熱心に耳を傾ける秋山と中野。
さわ子「あいつが好きだった先生っていうのが、この学校で教師をされてたのよ」
澪「え? だ、誰ですか?」
さわ子「あなたたちは知らないと思うわ。3年前に退職されてるからね」
さわ子「伊吹公子さんっていうんだけど…」
唯「え? 伊吹さん?」
唯「もしかして、ショートヘアで、おっとりした感じの人?」
さわ子「え、ええ…今はどうかしらないけど、髪はショートだったわ」
唯「じゃあ…やっぱり、あの伊吹さんだ。先生してたって言ってたし」
梓「ゆ、唯先輩、知り合いなんですか?」
唯「うん。私がよくいくパン屋さんの常連さんだから、会えばお喋りしてるよ」
さわ子「へぇ…世間は狭いものねぇ…」
澪「で、どんな人なんだ?」
唯「えっとね、綺麗で、優しくて、それで…」
話し始める平沢。
そこへ熱心に耳を傾ける秋山と中野。
人の繋がりとは、不思議なものだ。
どこでどう交差するかわからない。
今回のように、意外な交流があったりする。
小さい町だったから、とくにそれが顕著なのかもしれない。
…ふと、思う。
俺も、そんな人と人の繋がりの中に入っていっているのではないか。
あんなにも人付き合いが嫌だった、この俺がだ。
なんでだろう。なにが始まりだったろう。
思い起こせば、それは、やっぱり…平沢からだったように思う。
唯「でね、そのパンが爆発して、周りにチョコが飛び散ったんだよ」
澪「…話が脱線していってないか」
唯「あ、ごめん。えへへ」
無邪気に笑う平沢。
できることなら、その笑顔を、ずっとそばで見ていたいと…
そう思う。
朋也(…俺、こいつのこと、好きなのかな…)
よくわからなかった。
でも…一人の人間としては、間違いなく好きだった。
―――――――――――――――――――――
どこでどう交差するかわからない。
今回のように、意外な交流があったりする。
小さい町だったから、とくにそれが顕著なのかもしれない。
…ふと、思う。
俺も、そんな人と人の繋がりの中に入っていっているのではないか。
あんなにも人付き合いが嫌だった、この俺がだ。
なんでだろう。なにが始まりだったろう。
思い起こせば、それは、やっぱり…平沢からだったように思う。
唯「でね、そのパンが爆発して、周りにチョコが飛び散ったんだよ」
澪「…話が脱線していってないか」
唯「あ、ごめん。えへへ」
無邪気に笑う平沢。
できることなら、その笑顔を、ずっとそばで見ていたいと…
そう思う。
朋也(…俺、こいつのこと、好きなのかな…)
よくわからなかった。
でも…一人の人間としては、間違いなく好きだった。
―――――――――――――――――――――
4/28 水
唯「ふぁ~…んん」
朋也「眠そうだな」
唯「うん…きのうは遅くまで漫画読んでたから、寝不足なんだぁ…」
唯「ふぁあ~…」
大きくあくび。
唯「ほんとはすぐにやめるつもりだったんだけどさ…」
唯「読んでる途中で2、3冊なくなってることに気づいて、探し始めちゃって…」
唯「続きが読めないってなると、逆にすごく読みたくなって、必死だったよ」
憂「鬼のような形相で探してたもんね、お姉ちゃん」
唯「うん、あの時の私は、触れるものすべてを傷つけてたよ」
唯「そう…自分さえも、ね」
悲しい過去を持っていそうに言うな。
唯「それで、やっとみつけたんだけど、その喜びで、全巻読破しちゃったんだよねぇ」
朋也「寸止めされると、逆に、ってやつか」
唯「ふぁ~…んん」
朋也「眠そうだな」
唯「うん…きのうは遅くまで漫画読んでたから、寝不足なんだぁ…」
唯「ふぁあ~…」
大きくあくび。
唯「ほんとはすぐにやめるつもりだったんだけどさ…」
唯「読んでる途中で2、3冊なくなってることに気づいて、探し始めちゃって…」
唯「続きが読めないってなると、逆にすごく読みたくなって、必死だったよ」
憂「鬼のような形相で探してたもんね、お姉ちゃん」
唯「うん、あの時の私は、触れるものすべてを傷つけてたよ」
唯「そう…自分さえも、ね」
悲しい過去を持っていそうに言うな。
唯「それで、やっとみつけたんだけど、その喜びで、全巻読破しちゃったんだよねぇ」
朋也「寸止めされると、逆に、ってやつか」
唯「そうそう、そんな感じ。これ、なにかに応用できないかなぁ」
憂「勉強は?」
唯「だめだめ、止められたら、そのままやめちゃうよ」
朋也「練習はどうだ。部活でさ。逆にやりたくなるんじゃないのか」
唯「おお!? それ、いいかもしれないねっ」
朋也「じゃあ、今日は春原の奴に、妨害させるな」
朋也「隣で発狂したように、唯~唯~って言わせてさ」
唯「それ、なんかすごくやだ…」
朋也「そうか?」
唯「うん。練習より先に、春原くんが嫌になっちゃうよ」
朋也「それもそうだな」
言いたい放題だった。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
憂「勉強は?」
唯「だめだめ、止められたら、そのままやめちゃうよ」
朋也「練習はどうだ。部活でさ。逆にやりたくなるんじゃないのか」
唯「おお!? それ、いいかもしれないねっ」
朋也「じゃあ、今日は春原の奴に、妨害させるな」
朋也「隣で発狂したように、唯~唯~って言わせてさ」
唯「それ、なんかすごくやだ…」
朋也「そうか?」
唯「うん。練習より先に、春原くんが嫌になっちゃうよ」
朋也「それもそうだな」
言いたい放題だった。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
昼。
春原「へへ…みろよ、手に入れてやったぜ」
その手の中にあるものは、パンだった。
今日のこいつは、定食の他にパンも買いに走っていたのだ。
春原「謎のパン…竜太サンドだ」
朋也「どうでもいいけど、おまえボロボロな」
春原「しょうがないだろ、紛争地帯に突っ込んでたんだからよ」
確かに、今日のパン売り場は、そう表現していいほどに混み合っていた。
なんでも、学食erの間では、先週の告知以来、竜太サンドの話題で持ちきりだったらしい。
俺はこいつに聞いて初めてその存在を知ったのだが。
春原「生還できただけでも奇跡なんだよ」
春原「僕の目の前で、何人も志半ばにして力尽きていったからね」
春原「今でも、その浮かばれない霊が成仏できずに彷徨ってるって話さ」
そんなパン売り場はない。
澪「れ、霊…?」
律「真に受けるなよ、澪…」
春原「だから、売り子のおばちゃんにたどり着けた時は、本当に嬉しかったよ」
春原「へへ…みろよ、手に入れてやったぜ」
その手の中にあるものは、パンだった。
今日のこいつは、定食の他にパンも買いに走っていたのだ。
春原「謎のパン…竜太サンドだ」
朋也「どうでもいいけど、おまえボロボロな」
春原「しょうがないだろ、紛争地帯に突っ込んでたんだからよ」
確かに、今日のパン売り場は、そう表現していいほどに混み合っていた。
なんでも、学食erの間では、先週の告知以来、竜太サンドの話題で持ちきりだったらしい。
俺はこいつに聞いて初めてその存在を知ったのだが。
春原「生還できただけでも奇跡なんだよ」
春原「僕の目の前で、何人も志半ばにして力尽きていったからね」
春原「今でも、その浮かばれない霊が成仏できずに彷徨ってるって話さ」
そんなパン売り場はない。
澪「れ、霊…?」
律「真に受けるなよ、澪…」
春原「だから、売り子のおばちゃんにたどり着けた時は、本当に嬉しかったよ」
春原「もう、ゴールしてもいいよね…? って思わず口走っちゃったし」
自ら死亡フラグを立てていた。
律「でもさ、それって、竜田の誤植だろ。中身はどうせ普通のパンだよ」
春原「んなことねぇよっ! 竜太の味がするに決まってんだろっ」
律「いや、どんなだよ、それ…」
春原「それを今から解き明かしてやろうっていうんだろ」
意気揚々と包装紙を破り捨てる。
ぼろぼろぼろ
春原「げぇっ」
ぐちゃぐちゃになったパンが手にこぼれ落ちてきていた。
死亡フラグはパンに立っていたようで、しっかりここでイベントが起きていた。
春原「あ…ああ…」
朋也「もみくちゃになりながら戻ってきたからだな」
律「はは、おまえらしいオチだよ」
春原「ちくしょーっ! ふざけやがってっ!」
ゴミ箱に向かって竜太の塊を遠投する。
自ら死亡フラグを立てていた。
律「でもさ、それって、竜田の誤植だろ。中身はどうせ普通のパンだよ」
春原「んなことねぇよっ! 竜太の味がするに決まってんだろっ」
律「いや、どんなだよ、それ…」
春原「それを今から解き明かしてやろうっていうんだろ」
意気揚々と包装紙を破り捨てる。
ぼろぼろぼろ
春原「げぇっ」
ぐちゃぐちゃになったパンが手にこぼれ落ちてきていた。
死亡フラグはパンに立っていたようで、しっかりここでイベントが起きていた。
春原「あ…ああ…」
朋也「もみくちゃになりながら戻ってきたからだな」
律「はは、おまえらしいオチだよ」
春原「ちくしょーっ! ふざけやがってっ!」
ゴミ箱に向かって竜太の塊を遠投する。
べちゃっ
春原「あ、やべ…」
男子生徒「………」
ひとりの男子生徒の後頭部に直撃していた。
ゆっくりと振り返る。
ラグビー部員「今の…てめぇか、春原」
ラグビー部員だった。
ラグビー部員「なんか叫んでたよなぁ? 俺がふざけてるとかなんとか…」
言いながら、どんどん近づいてくる。
春原「い、いや、違うんです、これは…」
ラグビー部員「言いわけはいいんだよっ! ちょっと顔かせやっ!」
首根っこを掴まれる。
春原「ひぃっ! 助けてくれ、岡崎っ」
朋也「それでさー、この前、春原とかいう奴がさー」
春原「他人のフリするなよっ」
春原「う…うわぁあああああああ」
春原「あ、やべ…」
男子生徒「………」
ひとりの男子生徒の後頭部に直撃していた。
ゆっくりと振り返る。
ラグビー部員「今の…てめぇか、春原」
ラグビー部員だった。
ラグビー部員「なんか叫んでたよなぁ? 俺がふざけてるとかなんとか…」
言いながら、どんどん近づいてくる。
春原「い、いや、違うんです、これは…」
ラグビー部員「言いわけはいいんだよっ! ちょっと顔かせやっ!」
首根っこを掴まれる。
春原「ひぃっ! 助けてくれ、岡崎っ」
朋也「それでさー、この前、春原とかいう奴がさー」
春原「他人のフリするなよっ」
春原「う…うわぁあああああああ」
あああああああぁぁぁ…
引きずられ、消えていく。
この後、春原は両頬を押さえ、泣きながら戻ってきていた。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
放課後。部室に集まり、いつものように茶会が始まった。
がちゃり
梓「すみません、ちょっと遅れま…」
梓「って、唯先輩、その席はだめですっ」
唯「え、ええっ?」
梓「ていっ!」
俺の隣に座っていた平沢を椅子から引っ張り降ろす中野。
唯「うわぁっ…」
唯「って、なんでぇ? 席決まってるわけじゃないのに…」
梓「この人の隣は危険だって言ったじゃないですかっ」
引きずられ、消えていく。
この後、春原は両頬を押さえ、泣きながら戻ってきていた。
―――――――――――――――――――――
………。
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放課後。部室に集まり、いつものように茶会が始まった。
がちゃり
梓「すみません、ちょっと遅れま…」
梓「って、唯先輩、その席はだめですっ」
唯「え、ええっ?」
梓「ていっ!」
俺の隣に座っていた平沢を椅子から引っ張り降ろす中野。
唯「うわぁっ…」
唯「って、なんでぇ? 席決まってるわけじゃないのに…」
梓「この人の隣は危険だって言ったじゃないですかっ」
唯「でも、いつも隣に座ってるあずにゃんはなんともないんだし…」
梓「そんなことないです! 常にいやらしい視線を感じてますっ」
朋也「おい…」
春原「おまえ、けっこうむっつりなんだね」
がんっ
春原「てぇな、あにすんだよっ」
朋也「すまん、故意だ」
春原「わざとで謝るくらいなら、最初からやらないでくれますかねぇっ」
律「まぁまぁ、梓。ここはひとつ、席替えしてみようじゃないか」
梓「え?」
律「いやさ、席決まってるわけじゃないっていっても、大体いつも同じじゃん?」
律「だからさ、ここいらでシャッフルしてみるのいいと思うんだよな」
紬「おもしろそうね」
律「だろん?」
澪「いや、そんなことより先に練習をだな…」
梓「そんなことないです! 常にいやらしい視線を感じてますっ」
朋也「おい…」
春原「おまえ、けっこうむっつりなんだね」
がんっ
春原「てぇな、あにすんだよっ」
朋也「すまん、故意だ」
春原「わざとで謝るくらいなら、最初からやらないでくれますかねぇっ」
律「まぁまぁ、梓。ここはひとつ、席替えしてみようじゃないか」
梓「え?」
律「いやさ、席決まってるわけじゃないっていっても、大体いつも同じじゃん?」
律「だからさ、ここいらでシャッフルしてみるのいいと思うんだよな」
紬「おもしろそうね」
律「だろん?」
澪「いや、そんなことより先に練習をだな…」
梓「席替えなんて嫌ですっ! リスクが高すぎますっ」
律「でもさ、リターンもでかいぞ」
律「おまえは唯と岡崎を離したいんだろ?」
律「もしかしたら、端と端同士になって離れるかもしれないじゃん」
梓「で、でも…」
唯「私、やりたい」
梓「唯先輩…」
唯「あずにゃん、これで決まったら、私も文句言わないよ」
唯「だから、やろ?」
梓「うう…」
梓「………」
梓「…はい…わかりました」
律「よぅし、決まりだな。じゃ、クジ作るか」
春原「なんか、合コンみたいだよね、この人数で席替えってさ」
律「あんた、めちゃ俗っぽいな…」
律「でもさ、リターンもでかいぞ」
律「おまえは唯と岡崎を離したいんだろ?」
律「もしかしたら、端と端同士になって離れるかもしれないじゃん」
梓「で、でも…」
唯「私、やりたい」
梓「唯先輩…」
唯「あずにゃん、これで決まったら、私も文句言わないよ」
唯「だから、やろ?」
梓「うう…」
梓「………」
梓「…はい…わかりました」
律「よぅし、決まりだな。じゃ、クジ作るか」
春原「なんか、合コンみたいだよね、この人数で席替えってさ」
律「あんた、めちゃ俗っぽいな…」
―――――――――――――――――――――
全員クジを引き終わり、席が決まった。
俺の両隣には、秋山と平沢。
俺の対面に位置する春原の両隣には、部長と琴吹。
そして、議長席のような、先端の位置に中野。
そこは、元琴吹の席だった場所だ。
唯「隣だねぇ、岡崎くん。教室とおんなじだよっ」
朋也「ん、ああ…だな」
澪「よ、よろしく…岡崎くん」
朋也「ああ…こちらこそ」
春原「ヒャッホウっ! ムギちゃんが隣だ!」
春原「…けど、部長もいるしな…右半身だけうれしいよ」
律「なんだと、こらっ! あたしの隣なんて、すべての男の夢だろうがっ」
律「全身の毛穴から変な液噴射しながら喜びに打ち震えろよっ!」
春原「あーあ、しかもここ、おまえがさっきまで座ってたとこだし…」
春原「なんか、生暖かくて、気持ち悪いんだよなぁ」
律「きぃいいっ、こいつはぁああっ! 心底むかつくぅううっ!」
全員クジを引き終わり、席が決まった。
俺の両隣には、秋山と平沢。
俺の対面に位置する春原の両隣には、部長と琴吹。
そして、議長席のような、先端の位置に中野。
そこは、元琴吹の席だった場所だ。
唯「隣だねぇ、岡崎くん。教室とおんなじだよっ」
朋也「ん、ああ…だな」
澪「よ、よろしく…岡崎くん」
朋也「ああ…こちらこそ」
春原「ヒャッホウっ! ムギちゃんが隣だ!」
春原「…けど、部長もいるしな…右半身だけうれしいよ」
律「なんだと、こらっ! あたしの隣なんて、すべての男の夢だろうがっ」
律「全身の毛穴から変な液噴射しながら喜びに打ち震えろよっ!」
春原「あーあ、しかもここ、おまえがさっきまで座ってたとこだし…」
春原「なんか、生暖かくて、気持ち悪いんだよなぁ」
律「きぃいいっ、こいつはぁああっ! 心底むかつくぅううっ!」
梓「こんなの、納得いきませんっ! やり直しましょうっ!」
唯「ええ~、ダメだよ、あずにゃん。もう決まったんだしぃ」
梓「唯先輩は黙っててくださいっ!」
唯「ひえっ、ご…ごめんなさい…」
律「あー、わかったよ、梓。あたしも、この金猿が隣なんて嫌だしな」
律「今日だけにしとくよ。次回からは自由席な。それでいいか?」
梓「…わかりました…それでいいです」
春原「じゃ、次は王様ゲームしようぜ」
律「王様ゲームぅ?」
春原「せっかく合コンっぽくなってきたんだし、やろうぜ」
律「うーん…ま、そうだな、おもしろそうだし、やるか」
唯「いいね、王様ゲーム。久しぶりだなぁ」
紬「噂には聞いたことがあるけど、私、やったことないなぁ…」
春原「大丈夫、僕が手取り足取り、優しく教えてあげるよ」
紬「ほんと?」
唯「ええ~、ダメだよ、あずにゃん。もう決まったんだしぃ」
梓「唯先輩は黙っててくださいっ!」
唯「ひえっ、ご…ごめんなさい…」
律「あー、わかったよ、梓。あたしも、この金猿が隣なんて嫌だしな」
律「今日だけにしとくよ。次回からは自由席な。それでいいか?」
梓「…わかりました…それでいいです」
春原「じゃ、次は王様ゲームしようぜ」
律「王様ゲームぅ?」
春原「せっかく合コンっぽくなってきたんだし、やろうぜ」
律「うーん…ま、そうだな、おもしろそうだし、やるか」
唯「いいね、王様ゲーム。久しぶりだなぁ」
紬「噂には聞いたことがあるけど、私、やったことないなぁ…」
春原「大丈夫、僕が手取り足取り、優しく教えてあげるよ」
紬「ほんと?」
春原「うん、もちろんさ」
律「ムギ、めちゃ簡単だから、なにも教わらなくても大丈夫だぞ」
春原「てめぇ、なにムギちゃんにいらんこと吹き込んでくれてんだよっ」
律「それはおまえがやろうとしてたことだろがっ」
澪「わ、私はやらないぞ…っていうか、練習しなきゃだろ」
澪「遊んでる場合じゃ…」
律「おまえが王様になって、練習しろって命令すればいいじゃん」
律「そしたら、そこでゲーム終了でいいからさ。素直に言うこと聞くよ」
澪「…ほんとだな? 絶対、言う通りにしてもらうからなっ」
律「へいへい」
朋也「ああ、俺はやらないから、頭数に入れないでくれよ」
春原「なんでだよ、女の方が多いんだぜ?」
春原「王様になれば、あんなことや、こんなことが…」
春原「やべぇ、興奮してきたよっ!」
朋也「おまえ、今めちゃくちゃ引かれてるからな」
律「ムギ、めちゃ簡単だから、なにも教わらなくても大丈夫だぞ」
春原「てめぇ、なにムギちゃんにいらんこと吹き込んでくれてんだよっ」
律「それはおまえがやろうとしてたことだろがっ」
澪「わ、私はやらないぞ…っていうか、練習しなきゃだろ」
澪「遊んでる場合じゃ…」
律「おまえが王様になって、練習しろって命令すればいいじゃん」
律「そしたら、そこでゲーム終了でいいからさ。素直に言うこと聞くよ」
澪「…ほんとだな? 絶対、言う通りにしてもらうからなっ」
律「へいへい」
朋也「ああ、俺はやらないから、頭数に入れないでくれよ」
春原「なんでだよ、女の方が多いんだぜ?」
春原「王様になれば、あんなことや、こんなことが…」
春原「やべぇ、興奮してきたよっ!」
朋也「おまえ、今めちゃくちゃ引かれてるからな」
春原「へ?」
春原は女性陣の冷たい視線を余すことなく集めていた。
春原「…こほん」
春原「まぁさ、こんな、みんなで盛り上がろうって時に、抜けることないだろ」
朋也「知るかよ…」
春原「ま、嫌ならいいけど。僕のハーレムが出来上がるだけだしね」
春原「むしろ、そっちの方が都合がいいかも、うひひ」
いやらしい笑みをこれでもかと浮かべる。
朋也(ったく、こいつは…)
春原の変態願望を押しつけられた奴には同情を禁じえない。
朋也(…待てよ)
それは、平沢にも回ってくる可能性があるんじゃないのか。
というか、普通にある。
………。
朋也「…いや、やっぱ、俺もやる」
春原「あん? なんだよ、いまさら遅ぇよ」
春原は女性陣の冷たい視線を余すことなく集めていた。
春原「…こほん」
春原「まぁさ、こんな、みんなで盛り上がろうって時に、抜けることないだろ」
朋也「知るかよ…」
春原「ま、嫌ならいいけど。僕のハーレムが出来上がるだけだしね」
春原「むしろ、そっちの方が都合がいいかも、うひひ」
いやらしい笑みをこれでもかと浮かべる。
朋也(ったく、こいつは…)
春原の変態願望を押しつけられた奴には同情を禁じえない。
朋也(…待てよ)
それは、平沢にも回ってくる可能性があるんじゃないのか。
というか、普通にある。
………。
朋也「…いや、やっぱ、俺もやる」
春原「あん? なんだよ、いまさら遅ぇよ」
朋也「まだセーフだ。いいだろ、部長」
律「ああ、全然オッケー」
朋也「だそうだ」
春原「ふん、まぁ、いいけど」
これで少しは平沢に被害が及ぶ確率を下げられた。
よかった…
朋也(って、なにほっとしてんだよ、俺は…)
なんで俺がここまで平沢のことを気にかけているんだ…。
別に、いいじゃないか。俺には関係のないことだ。
………。
でも…どうしても耐えられない。
朋也(はぁ…くそ…)
厄介な感情だった。
律「で、梓はどうすんの? ずっと黙ってたけど」
梓「…やってやるです」
めらめらと灯った憎悪の眼差しを俺に向けながら答える。
朋也(俺をピンポイントで狙ってくる気かよ…)
律「ああ、全然オッケー」
朋也「だそうだ」
春原「ふん、まぁ、いいけど」
これで少しは平沢に被害が及ぶ確率を下げられた。
よかった…
朋也(って、なにほっとしてんだよ、俺は…)
なんで俺がここまで平沢のことを気にかけているんだ…。
別に、いいじゃないか。俺には関係のないことだ。
………。
でも…どうしても耐えられない。
朋也(はぁ…くそ…)
厄介な感情だった。
律「で、梓はどうすんの? ずっと黙ってたけど」
梓「…やってやるです」
めらめらと灯った憎悪の眼差しを俺に向けながら答える。
朋也(俺をピンポイントで狙ってくる気かよ…)
だが、あくまでランダムなので、特定の個人を狙うなんて、まず無理だ。
そこは安心していいだろう。
律「うし、じゃ、全員参加だな。そんじゃ、番号クジ作るかぁ」
―――――――――――――――――――――
ストローで作った番号クジ。
部長が握り、中央に寄せる。
そして、各々クジを引いていった。
「王様だ~れだ?」
皆一斉に手持ちのストローを確認した。
俺は4だった。
春原「きたぁあああああああっ!!!」
律「げっ、いきなり最悪な野郎がきたよ…」
春原「いくぜぇ…じゃあ、4番が王様の…」
朋也(げっ…)
春原「ほっぺたにチュウだっ!」
朋也「ぎゃぁああああああああああああ!!!」
春原「うわっ、どうしたんだよ、岡崎…」
そこは安心していいだろう。
律「うし、じゃ、全員参加だな。そんじゃ、番号クジ作るかぁ」
―――――――――――――――――――――
ストローで作った番号クジ。
部長が握り、中央に寄せる。
そして、各々クジを引いていった。
「王様だ~れだ?」
皆一斉に手持ちのストローを確認した。
俺は4だった。
春原「きたぁあああああああっ!!!」
律「げっ、いきなり最悪な野郎がきたよ…」
春原「いくぜぇ…じゃあ、4番が王様の…」
朋也(げっ…)
春原「ほっぺたにチュウだっ!」
朋也「ぎゃぁああああああああああああ!!!」
春原「うわっ、どうしたんだよ、岡崎…」
春原「って、まさか…まさか…」
朋也「てめぇ、ふざけんなよ、春原っ! 俺にそんな気(け)はねぇっ!」
春原「おまえかよ…4番…」
律「わははは! いきなりキツいのいくからそういうことになるんだよ」
澪「岡崎くんと…春原くんが…キ、キキキス…ぁぁ…」
唯「ふんすっ、なんか興奮するね、ふんすっ」
紬「そういうのもアリなのね…なるほど…」
梓「…不潔」
にわかに外野が盛り上がり始めていたが…
対照的に、俺と春原は肩を落としてうなだれていた。
朋也「…いくぞ、こら」
春原「おう…こい」
朋也「陽平、愛してる」
春原「ひぃっ」
朋也「あ、その顔大好き!」
春原「ひぃぃっ」
朋也「てめぇ、ふざけんなよ、春原っ! 俺にそんな気(け)はねぇっ!」
春原「おまえかよ…4番…」
律「わははは! いきなりキツいのいくからそういうことになるんだよ」
澪「岡崎くんと…春原くんが…キ、キキキス…ぁぁ…」
唯「ふんすっ、なんか興奮するね、ふんすっ」
紬「そういうのもアリなのね…なるほど…」
梓「…不潔」
にわかに外野が盛り上がり始めていたが…
対照的に、俺と春原は肩を落としてうなだれていた。
朋也「…いくぞ、こら」
春原「おう…こい」
朋也「陽平、愛してる」
春原「ひぃっ」
朋也「あ、その顔大好き!」
春原「ひぃぃっ」
朋也「次その顔したらキスするからな」
春原「ひぃぃぃっ」
朋也「あ、今した。ぶちゅっ」
ひいいいぃぃぃぃ…
BAD END
朋也(おえ゛…)
今の大惨事を目の当たりにして、きゃっきゃと騒ぎ出す女たち。
こっちはそれどころじゃなかった。
春原「うう…変な芝居入れないでくれよ…」
春原は涙を流してい泣いていた。
朋也「ああ…俺も、やってて吐き気がこみあげてきたよ…」
春原「うう…じゃあ、やるなよぉ…」
とぼとぼと自分の席に戻るふたり。
律「あんたら、ほんとはデキてんじゃないのぉ?」
唯「アヤシイよねぇ」
澪「あ…あうあう…」
春原「ひぃぃぃっ」
朋也「あ、今した。ぶちゅっ」
ひいいいぃぃぃぃ…
BAD END
朋也(おえ゛…)
今の大惨事を目の当たりにして、きゃっきゃと騒ぎ出す女たち。
こっちはそれどころじゃなかった。
春原「うう…変な芝居入れないでくれよ…」
春原は涙を流してい泣いていた。
朋也「ああ…俺も、やってて吐き気がこみあげてきたよ…」
春原「うう…じゃあ、やるなよぉ…」
とぼとぼと自分の席に戻るふたり。
律「あんたら、ほんとはデキてんじゃないのぉ?」
唯「アヤシイよねぇ」
澪「あ…あうあう…」
紬「くすくす」
梓「…ふ、不潔です…」
朋也「忘れてくれ…」
律「あーあ、写メ撮っとけばよかった」
唯「あ、そうだね。見入っちゃってたよ」
朋也「保存しようとするな…」
春原「…早く次いこうぜ。ムギちゃんで中和しなきゃ、精神が持たねぇよ」
律「わはは。はいはい、わかったよ」
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
俺は6を引いた。
紬「あ、私だ」
唯「おお、ムギちゃんかぁ」
律「ムギは初心者だからなぁ、何がくるやら…」
春原「ムギちゃん、僕を引き当ててねっ」
梓「…ふ、不潔です…」
朋也「忘れてくれ…」
律「あーあ、写メ撮っとけばよかった」
唯「あ、そうだね。見入っちゃってたよ」
朋也「保存しようとするな…」
春原「…早く次いこうぜ。ムギちゃんで中和しなきゃ、精神が持たねぇよ」
律「わはは。はいはい、わかったよ」
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
俺は6を引いた。
紬「あ、私だ」
唯「おお、ムギちゃんかぁ」
律「ムギは初心者だからなぁ、何がくるやら…」
春原「ムギちゃん、僕を引き当ててねっ」
そういうゲームでもない。
紬「じゃあ…3番の人と、5番の人」
紬「正面から、愛しそうに抱き合って♪」
律「おお、大胆だな…で、だれだ、3と5は」
唯「私、3番だよ」
澪「私…5番」
紬「まぁ…これは、これは…うふふふ…ひひ」
唯「えへへ、よろしくね、澪ちゃん」
澪「う、うん…」
席を立ち、向かい合う。
身長差があり、視線を合わすのに、平沢が上目遣いになっていた。
春原「…なんか、周りにバラ描きたいね」
朋也「…ああ」
唯「澪ちゃん…」
澪「唯…」
ごくり…
紬「じゃあ…3番の人と、5番の人」
紬「正面から、愛しそうに抱き合って♪」
律「おお、大胆だな…で、だれだ、3と5は」
唯「私、3番だよ」
澪「私…5番」
紬「まぁ…これは、これは…うふふふ…ひひ」
唯「えへへ、よろしくね、澪ちゃん」
澪「う、うん…」
席を立ち、向かい合う。
身長差があり、視線を合わすのに、平沢が上目遣いになっていた。
春原「…なんか、周りにバラ描きたいね」
朋也「…ああ」
唯「澪ちゃん…」
澪「唯…」
ごくり…
唯「…好きっ」
澪「唯…唯っ!」
ひし、っと抱きしめあう。
唯「ああ、澪ちゃん、おっぱい大きいよ…」
澪「唯…すごくいい匂いがする…」
唯「澪ちゃん…」
澪「唯…」
目を閉じて、お互いの鼓動を感じ合っていた。
紬「…ゴッドジョブ」
ゴッド…神?
びしぃ、と親指を立てていた。
左手には、携帯を持ち、カメラのレンズを向けている。
ムービーでも撮っているんだろうか…。
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
俺は5。
律「お、私だ」
澪「唯…唯っ!」
ひし、っと抱きしめあう。
唯「ああ、澪ちゃん、おっぱい大きいよ…」
澪「唯…すごくいい匂いがする…」
唯「澪ちゃん…」
澪「唯…」
目を閉じて、お互いの鼓動を感じ合っていた。
紬「…ゴッドジョブ」
ゴッド…神?
びしぃ、と親指を立てていた。
左手には、携帯を持ち、カメラのレンズを向けている。
ムービーでも撮っているんだろうか…。
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
俺は5。
律「お、私だ」
唯「りっちゃんかぁ、これは覚悟しなきゃかもね」
春原「なんだ、ハゲか」
律「な、てめ…」
律「………」
律「…後悔するなよ」
春原「あん?」
律「じゃ、いくぞ」
律「1番が…」
言って、素早く目だけ動かし、周りを確認していた。
律「いや、やっぱ、2番が…」
また、同じ動き。
律「うん…2番が、3番を…」
律「いや、やっぱ、4番かな…」
律「うんそうだ。2番が4番に、思いっきり左鉤突きを入れる!」
唯「ひだりかぎづき?」
春原「なんだ、ハゲか」
律「な、てめ…」
律「………」
律「…後悔するなよ」
春原「あん?」
律「じゃ、いくぞ」
律「1番が…」
言って、素早く目だけ動かし、周りを確認していた。
律「いや、やっぱ、2番が…」
また、同じ動き。
律「うん…2番が、3番を…」
律「いや、やっぱ、4番かな…」
律「うんそうだ。2番が4番に、思いっきり左鉤突きを入れる!」
唯「ひだりかぎづき?」
朋也「打撃のことだ。つまり、殴れっていってるんだ」
唯「うえぇ!? な、殴るの!?」
律「さ、誰かな、2番と4番は~」
入れられる側に春原を狙っているんだろう。
あの、『後悔するな』という言動からしても、そのはずだ。
だが、そんなことが可能なのか…?
やけに余裕のある佇まいだ。
あの目の動き、何かを探っているように見えたが…
そこまで精度に自信があるということなのか…?
紬「私、2番…」
春原「…4番…」
…どんぴしゃだった。
律「おおう、こりゃ、春原、死んだかなぁ?」
紬「ごめんね、春原くん…」
春原「いや…ムギちゃんになら、むしろ本望だよ」
席を立ち、向かい合う。
さっきの甘い雰囲気とは違い、殺気立った空気。
紬「ショラァッ!」
唯「うえぇ!? な、殴るの!?」
律「さ、誰かな、2番と4番は~」
入れられる側に春原を狙っているんだろう。
あの、『後悔するな』という言動からしても、そのはずだ。
だが、そんなことが可能なのか…?
やけに余裕のある佇まいだ。
あの目の動き、何かを探っているように見えたが…
そこまで精度に自信があるということなのか…?
紬「私、2番…」
春原「…4番…」
…どんぴしゃだった。
律「おおう、こりゃ、春原、死んだかなぁ?」
紬「ごめんね、春原くん…」
春原「いや…ムギちゃんになら、むしろ本望だよ」
席を立ち、向かい合う。
さっきの甘い雰囲気とは違い、殺気立った空気。
紬「ショラァッ!」
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