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元スレ朋也「軽音部? うんたん?」2
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梓「そうですね…」
梓「やっぱり、岡崎先輩が女たらしのクセに唯先輩に手を出すから、皆怒ってるんですよ」
朋也「それはおまえの心の内だ」
朋也「つーか、俺はあいつに手なんか出してないからな」
梓「嘘つき。いつもベタベタしてくるせに」
朋也「どこがだよ。普通の距離感だろ」
梓「朝だって一緒に登校してるじゃないですか」
梓「それに、唯先輩、部室でも岡崎先輩の隣に座りたがるし…」
朋也「それは俺からじゃなくて、あいつの方からきてないか」
梓「あーっ! 今、自分がモテ男だってさりげなく言いましたね!?」
梓「やらしいですっ! すべてにおいてあらゆる意味でやらしいですっ!」
梓「やらしいですっ! やらしいですっ!」
朋也「悔しいですみたく言うな」
朋也「前に言ってたけど、あいつは俺のことなんとも思ってないらしいぞ」
梓「ほんとですか? でも、どういう会話の流れでその発言が出たんですか?」
梓「やっぱり、岡崎先輩が女たらしのクセに唯先輩に手を出すから、皆怒ってるんですよ」
朋也「それはおまえの心の内だ」
朋也「つーか、俺はあいつに手なんか出してないからな」
梓「嘘つき。いつもベタベタしてくるせに」
朋也「どこがだよ。普通の距離感だろ」
梓「朝だって一緒に登校してるじゃないですか」
梓「それに、唯先輩、部室でも岡崎先輩の隣に座りたがるし…」
朋也「それは俺からじゃなくて、あいつの方からきてないか」
梓「あーっ! 今、自分がモテ男だってさりげなく言いましたね!?」
梓「やらしいですっ! すべてにおいてあらゆる意味でやらしいですっ!」
梓「やらしいですっ! やらしいですっ!」
朋也「悔しいですみたく言うな」
朋也「前に言ってたけど、あいつは俺のことなんとも思ってないらしいぞ」
梓「ほんとですか? でも、どういう会話の流れでその発言が出たんですか?」
朋也「いや、冗談のつもりで、俺に気があるのかって訊いてみたんだよ」
朋也「そしたら、そんなんじゃないってさ」
梓「…なるほど」
梓「まぁ、唯先輩は、わりとすぐ人と仲良くなりますからね…」
梓「ってことは、岡崎先輩にじゃれついてるのは、遊びだったってことですね」
梓「あはは、唯先輩にとっては、岡崎先輩なんて、遊びだったってことですよ」
梓「あははは」
朋也「はは…」
俺もなぜか乾いた笑いで同調してしまっていた。
梓「じゃあ、岡崎先輩も、唯先輩のことは、なんとも思ってないわけですね」
朋也「ん、ああ…」
梓「…なんで言いよどむんですか?」
朋也「いや…」
がたっ
朋也(ん?)
朋也「そしたら、そんなんじゃないってさ」
梓「…なるほど」
梓「まぁ、唯先輩は、わりとすぐ人と仲良くなりますからね…」
梓「ってことは、岡崎先輩にじゃれついてるのは、遊びだったってことですね」
梓「あはは、唯先輩にとっては、岡崎先輩なんて、遊びだったってことですよ」
梓「あははは」
朋也「はは…」
俺もなぜか乾いた笑いで同調してしまっていた。
梓「じゃあ、岡崎先輩も、唯先輩のことは、なんとも思ってないわけですね」
朋也「ん、ああ…」
梓「…なんで言いよどむんですか?」
朋也「いや…」
がたっ
朋也(ん?)
音のした方に振り向く。
ダンボールが倒れ、猫が飛び出していた。
空に飛び立っていく鳥を追っている。
その先には、激しく車の行き交う道路があった。
俺は考える前に駆け出していた。
朋也(うらっ…)
飛び込み、猫をキャッチする。
間一髪間に合った。
猫は、俺の胸の中できょとんとしている。
朋也「いっつ…」
背中に痛みが走る。
モロにコンクリでぶつけたからだ。
腕も擦ってしまい、血が流れてくる感触が肌に伝わってきた。
梓「大丈夫ですかっ!?」
中野が駆け寄ってくる。
朋也「ああ、無事だよ」
上体を起こし、猫を両手で掲げてみせる。
梓「そうじゃなくて、岡崎先輩がですよっ」
朋也「ああ、俺は…っつ…」
ダンボールが倒れ、猫が飛び出していた。
空に飛び立っていく鳥を追っている。
その先には、激しく車の行き交う道路があった。
俺は考える前に駆け出していた。
朋也(うらっ…)
飛び込み、猫をキャッチする。
間一髪間に合った。
猫は、俺の胸の中できょとんとしている。
朋也「いっつ…」
背中に痛みが走る。
モロにコンクリでぶつけたからだ。
腕も擦ってしまい、血が流れてくる感触が肌に伝わってきた。
梓「大丈夫ですかっ!?」
中野が駆け寄ってくる。
朋也「ああ、無事だよ」
上体を起こし、猫を両手で掲げてみせる。
梓「そうじゃなくて、岡崎先輩がですよっ」
朋也「ああ、俺は…っつ…」
梓「痛みますか? どこです?」
朋也「いや、大丈夫」
梓「ちょっと腕見せてください」
言って、俺の袖をまくった。
梓「血が出てるじゃないですか…」
朋也「ほっときゃ止まるよ」
梓「そんなこと言って、バイ菌が入ったら大変ですよっ」
梓「ここでじっとしててください。私、ちょっと行ってきます」
そう言い残し、人ごみを縫ってすぐ近くの雑貨店に入っていった。
―――――――――――――――――――――
梓「はい、これでいいです」
朋也「サンキュ」
中野は、水で傷口を丁寧に洗い流し、その上から透明なシートを貼ってくれていた。
梓「患部を水で濡らした後、このシートを貼っておくんですよ」
パック入りになったそれを渡してくる。
朋也「いや、大丈夫」
梓「ちょっと腕見せてください」
言って、俺の袖をまくった。
梓「血が出てるじゃないですか…」
朋也「ほっときゃ止まるよ」
梓「そんなこと言って、バイ菌が入ったら大変ですよっ」
梓「ここでじっとしててください。私、ちょっと行ってきます」
そう言い残し、人ごみを縫ってすぐ近くの雑貨店に入っていった。
―――――――――――――――――――――
梓「はい、これでいいです」
朋也「サンキュ」
中野は、水で傷口を丁寧に洗い流し、その上から透明なシートを貼ってくれていた。
梓「患部を水で濡らした後、このシートを貼っておくんですよ」
パック入りになったそれを渡してくる。
朋也「ああ、わかったよ。で、いくらだったんだ? これと水合わせて」
受け取って、そう訊いた。
梓「お金なんていいですよ。この子、助けようとしてくれたんでしょ」
膝の上に乗り、安心して丸まっている猫の顎を撫でる。
梓「ほんと、馬鹿ですね。あんなことしなくても、道路になんか飛び出しませんよ」
朋也「そうだったかな」
梓「そうですよ」
朋也「ちょっと神経質すぎだったな」
朋也「動物の挙動なんて、予測できないからさ、嫌な予感がして、先走っちまった」
梓「岡崎先輩の行動の方がよっぽど予測できません」
朋也「そっか」
梓「はい、そうです」
朋也「………」
梓「………」
会話が途切れる。
受け取って、そう訊いた。
梓「お金なんていいですよ。この子、助けようとしてくれたんでしょ」
膝の上に乗り、安心して丸まっている猫の顎を撫でる。
梓「ほんと、馬鹿ですね。あんなことしなくても、道路になんか飛び出しませんよ」
朋也「そうだったかな」
梓「そうですよ」
朋也「ちょっと神経質すぎだったな」
朋也「動物の挙動なんて、予測できないからさ、嫌な予感がして、先走っちまった」
梓「岡崎先輩の行動の方がよっぽど予測できません」
朋也「そっか」
梓「はい、そうです」
朋也「………」
梓「………」
会話が途切れる。
俺はなんとなくネコミミを手にとってみた。
梓「って、なんで猫にネコミミをつけるんですか…意味ないですよ…」
朋也「これで、二倍猫になるだろ」
梓「もう…なんなんですか、それ。意味がわかりませんよ」
梓「ほんと、馬鹿なんだから」
柔和に微笑む。
初めて俺に向けられた曇りのない笑顔。
いつもこんな風に笑っていてくれれば、こいつも無害な普通の女の子なのだが。
声「あら、岡崎じゃない」
朋也「ん…」
声がして、顔を向ける。
そこには一人の女性が立っていた。
女性「奇遇ね。こんなとこで、なにやってんの」
朋也「美佐枝さん…」
この女性、学生寮の寮母をやっている人だった。
名は相楽美佐枝。
寮生でない俺も、あれだけ通い詰めていれば、嫌でも顔見知りになる。
美佐枝「ところで…そっちの子は?」
梓「って、なんで猫にネコミミをつけるんですか…意味ないですよ…」
朋也「これで、二倍猫になるだろ」
梓「もう…なんなんですか、それ。意味がわかりませんよ」
梓「ほんと、馬鹿なんだから」
柔和に微笑む。
初めて俺に向けられた曇りのない笑顔。
いつもこんな風に笑っていてくれれば、こいつも無害な普通の女の子なのだが。
声「あら、岡崎じゃない」
朋也「ん…」
声がして、顔を向ける。
そこには一人の女性が立っていた。
女性「奇遇ね。こんなとこで、なにやってんの」
朋也「美佐枝さん…」
この女性、学生寮の寮母をやっている人だった。
名は相楽美佐枝。
寮生でない俺も、あれだけ通い詰めていれば、嫌でも顔見知りになる。
美佐枝「ところで…そっちの子は?」
中野を見て言う。
朋也「ああ…まぁ、後輩だよ」
梓「あ、初めまして。中野梓といいます」
美佐枝「これは、ご丁寧にどうも。私は、相楽美佐枝。学生寮の寮母をやってるの」
梓「寮母さんなんですか…すごくお若いのに…」
美佐枝「あら? そうみえる? ありがと」
美佐枝「にしても…」
美佐枝「岡崎、あんたも隅に置けないわねぇ。こんな可愛い子とデートなんてさ」
梓「な、ち、違いますっ」
中野が勢いよく否定する。
美佐枝「ありゃ、彼女じゃなかったの?」
朋也「こいつとはそんなんじゃねぇよ」
梓「そ、そうですよっ」
美佐枝「ふぅん、なかなか似合って見えたのにねぇ」
梓「そ、そんなことないですっ! 私たち、犬猿の仲なんですっ」
朋也「ああ…まぁ、後輩だよ」
梓「あ、初めまして。中野梓といいます」
美佐枝「これは、ご丁寧にどうも。私は、相楽美佐枝。学生寮の寮母をやってるの」
梓「寮母さんなんですか…すごくお若いのに…」
美佐枝「あら? そうみえる? ありがと」
美佐枝「にしても…」
美佐枝「岡崎、あんたも隅に置けないわねぇ。こんな可愛い子とデートなんてさ」
梓「な、ち、違いますっ」
中野が勢いよく否定する。
美佐枝「ありゃ、彼女じゃなかったの?」
朋也「こいつとはそんなんじゃねぇよ」
梓「そ、そうですよっ」
美佐枝「ふぅん、なかなか似合って見えたのにねぇ」
梓「そ、そんなことないですっ! 私たち、犬猿の仲なんですっ」
梓「こ、こんな人となんて…そんな…」
美佐枝「あんた、嫌われてるの?」
朋也「少なくとも、好かれちゃいないかな」
美佐枝「あ、そなの」
朋也「ああ」
猫「にゃあ」
中野の膝の上、猫が鳴いてた。
美佐枝「あら…可愛い猫だこと。触ってもいい?」
梓「あ、もちろんです」
美佐枝「ありがと。それじゃ…」
くすぐるように顎を撫でた。
ごろごろと気持ちよさそうに唸る。
美佐枝「あんたの猫なの?」
梓「いえ…野良なんです」
美佐枝「へぇ、それにしては毛並みが綺麗よね」
梓「ですよね。可愛いです」
美佐枝「あんた、嫌われてるの?」
朋也「少なくとも、好かれちゃいないかな」
美佐枝「あ、そなの」
朋也「ああ」
猫「にゃあ」
中野の膝の上、猫が鳴いてた。
美佐枝「あら…可愛い猫だこと。触ってもいい?」
梓「あ、もちろんです」
美佐枝「ありがと。それじゃ…」
くすぐるように顎を撫でた。
ごろごろと気持ちよさそうに唸る。
美佐枝「あんたの猫なの?」
梓「いえ…野良なんです」
美佐枝「へぇ、それにしては毛並みが綺麗よね」
梓「ですよね。可愛いです」
美佐枝さんが撫でると、猫もうれしいのか、尻尾をピンと立てていた。
ここまで気を許させてしまうのは、この人の持つ、包み込むような母性のためだろうか。
動物にもそれが直感的にわるから、安心して身をゆだねることができるのかもしれない。
どうせ飼われるなら、こんな人がいいと思う。
面倒見のいいこの人のことだ、きっと大事にしてくれるに違いない。
だが、寮で飼うなんてことが許されるのだろうか…
そこだけが唯一気にかかる。
朋也(ダメもとで訊いてみるか…)
朋也「美佐枝さん。そいつ、飼ってやれないか」
美佐枝「え? あたしが?」
朋也「ああ。俺たち、ずっと飼ってくれる奴探してたんだけど…」
俺はこれまでのいきさつを美佐枝さんに話した。
美佐枝「はぁ…その猫の怪我、そういうことだったんだ」
朋也「ああ。だから、頼むよ。美佐枝さんなら、安心して任せられるし」
梓「私からも、お願いします」
美佐枝「う~ん…でもねぇ…」
美佐枝「………」
顎に手を当て、しばしの間、思案に暮れる。
ここまで気を許させてしまうのは、この人の持つ、包み込むような母性のためだろうか。
動物にもそれが直感的にわるから、安心して身をゆだねることができるのかもしれない。
どうせ飼われるなら、こんな人がいいと思う。
面倒見のいいこの人のことだ、きっと大事にしてくれるに違いない。
だが、寮で飼うなんてことが許されるのだろうか…
そこだけが唯一気にかかる。
朋也(ダメもとで訊いてみるか…)
朋也「美佐枝さん。そいつ、飼ってやれないか」
美佐枝「え? あたしが?」
朋也「ああ。俺たち、ずっと飼ってくれる奴探してたんだけど…」
俺はこれまでのいきさつを美佐枝さんに話した。
美佐枝「はぁ…その猫の怪我、そういうことだったんだ」
朋也「ああ。だから、頼むよ。美佐枝さんなら、安心して任せられるし」
梓「私からも、お願いします」
美佐枝「う~ん…でもねぇ…」
美佐枝「………」
顎に手を当て、しばしの間、思案に暮れる。
美佐枝「…猫、か。もう一匹増えたところで、変わりないか…」
何かつぶやいていたが、小さくて聞き取れなかった。
美佐枝「うん…わかった。一応、つれて帰ったげる」
梓「ほんとですかっ? ありがとうございますっ」
美佐枝「でも、正式に飼うわけじゃないわよ」
朋也「どういうこと?」
美佐枝「原則、寮でペットを飼うのは禁止されてるからねぇ」
美佐枝「おおっぴらには飼えないってことよ」
美佐枝「部屋を間借りさせてあげるのと、餌をあげることくらいしかできないけど…」
美佐枝「それでもいい?」
梓「十分ですよっ」
朋也「ああ、それだけしてくれりゃ、飼ってるのと変わりねぇよ」
美佐枝「そ。じゃあ、あたしはもう帰るとするかねぇ」
美佐枝「さ、おいで」
猫をその胸に抱く。
一片の抵抗もみせず、大人しく美佐枝さんの腕の中に収まっていた。
何かつぶやいていたが、小さくて聞き取れなかった。
美佐枝「うん…わかった。一応、つれて帰ったげる」
梓「ほんとですかっ? ありがとうございますっ」
美佐枝「でも、正式に飼うわけじゃないわよ」
朋也「どういうこと?」
美佐枝「原則、寮でペットを飼うのは禁止されてるからねぇ」
美佐枝「おおっぴらには飼えないってことよ」
美佐枝「部屋を間借りさせてあげるのと、餌をあげることくらいしかできないけど…」
美佐枝「それでもいい?」
梓「十分ですよっ」
朋也「ああ、それだけしてくれりゃ、飼ってるのと変わりねぇよ」
美佐枝「そ。じゃあ、あたしはもう帰るとするかねぇ」
美佐枝「さ、おいで」
猫をその胸に抱く。
一片の抵抗もみせず、大人しく美佐枝さんの腕の中に収まっていた。
朋也「ありがとな、美佐枝さん」
梓「ありがとうございますっ」
美佐枝「ん、いいわよ、別に」
美佐枝「それじゃね」
朋也「ああ」
梓「はいっ」
俺たちに背を向け、歩いていく。
梓「よかったぁ…」
よほど嬉しかったのか、肩の力を抜いて、安堵の表情を浮かべていた。
朋也「そうだな」
おもむろに、ぽむっと中野の頭に手を乗せる俺。
梓「な、なにするんですかっ」
が、すぐに振り払われた。
朋也「いや、いい位置にあったから」
梓「そ、そんな理由で触らないでくださいっ」
梓「ありがとうございますっ」
美佐枝「ん、いいわよ、別に」
美佐枝「それじゃね」
朋也「ああ」
梓「はいっ」
俺たちに背を向け、歩いていく。
梓「よかったぁ…」
よほど嬉しかったのか、肩の力を抜いて、安堵の表情を浮かべていた。
朋也「そうだな」
おもむろに、ぽむっと中野の頭に手を乗せる俺。
梓「な、なにするんですかっ」
が、すぐに振り払われた。
朋也「いや、いい位置にあったから」
梓「そ、そんな理由で触らないでくださいっ」
朋也「悪かったな。もうしねぇよ」
梓「………」
朋也「そんじゃ、俺も行くからさ。じゃあな」
言って、俺も美佐枝さんが行ったのと同じ方向に足を向けた。
これから春原の部屋に向かうつもりだった。
今からなら、途中で美佐枝さんに追いつくだろう。
別れの挨拶をした意味がないな…ぼんやりと思う。
梓「あ、あのっ」
朋也「なんだよ」
声をかけられ、振り返る。
梓「きょ、今日はありがとうございましたっ…協力してくれて…」
梓「その…岡崎先輩のおかげで、飼い主も見つかりましたし…」
梓「猫を助けようって、必死になってもくれましたし…」
梓「ちょっとだけ…見直しました」
朋也「そりゃ、どうも」
梓「それと…頭に手を乗せられたのも、ほんとは嫌じゃないっていうか…」
梓「むしろ…その…」
梓「………」
朋也「そんじゃ、俺も行くからさ。じゃあな」
言って、俺も美佐枝さんが行ったのと同じ方向に足を向けた。
これから春原の部屋に向かうつもりだった。
今からなら、途中で美佐枝さんに追いつくだろう。
別れの挨拶をした意味がないな…ぼんやりと思う。
梓「あ、あのっ」
朋也「なんだよ」
声をかけられ、振り返る。
梓「きょ、今日はありがとうございましたっ…協力してくれて…」
梓「その…岡崎先輩のおかげで、飼い主も見つかりましたし…」
梓「猫を助けようって、必死になってもくれましたし…」
梓「ちょっとだけ…見直しました」
朋也「そりゃ、どうも」
梓「それと…頭に手を乗せられたのも、ほんとは嫌じゃないっていうか…」
梓「むしろ…その…」
もじもじとしているだけで、その先は出てこなかった。
朋也「じゃあさ、これからは仲良くしてくれよな、あずにゃん」
梓「な、あ、あずにゃんって呼ばないでくださいっ」
梓「この調子乗りっ! うわぁぁんっ」
顔を真っ赤にして、どぴゅーっとものすごい勢いで逃げていった。
朋也(変な奴…)
だが、少しだけあいつとの関係が改善された…ような気がした。
―――――――――――――――――――――
朋也「じゃあさ、これからは仲良くしてくれよな、あずにゃん」
梓「な、あ、あずにゃんって呼ばないでくださいっ」
梓「この調子乗りっ! うわぁぁんっ」
顔を真っ赤にして、どぴゅーっとものすごい勢いで逃げていった。
朋也(変な奴…)
だが、少しだけあいつとの関係が改善された…ような気がした。
―――――――――――――――――――――
4/30 金
唯「あ~…だるぅい~」
憂「お姉ちゃん、たった一日で休みボケしすぎだよ」
唯「だってぇ…もうゴールデンウィーク入ったって錯覚しちゃったんだもん…」
憂「あしたいけば、本物の連休がくるから、がんばろ?」
唯「う~…えいっ」
憂ちゃんに腕を回し、全体重を預ける平沢。
憂「な、なに? 重いよぉ、お姉ちゃん…」
唯「このまま進んで、学校まで運んでよぉ~」
憂「うぅ…わかったよ…私頑張るね…」
憂「よいしょ…よいしょ…」
懸命にずるずる引きずっていく。
唯「遅いよぉ~スピード上げてよぉ~」
憂「う、うん、わかったよ…よい…しょ…」
憂「あ…もうだめ…」
唯「あ~…だるぅい~」
憂「お姉ちゃん、たった一日で休みボケしすぎだよ」
唯「だってぇ…もうゴールデンウィーク入ったって錯覚しちゃったんだもん…」
憂「あしたいけば、本物の連休がくるから、がんばろ?」
唯「う~…えいっ」
憂ちゃんに腕を回し、全体重を預ける平沢。
憂「な、なに? 重いよぉ、お姉ちゃん…」
唯「このまま進んで、学校まで運んでよぉ~」
憂「うぅ…わかったよ…私頑張るね…」
憂「よいしょ…よいしょ…」
懸命にずるずる引きずっていく。
唯「遅いよぉ~スピード上げてよぉ~」
憂「う、うん、わかったよ…よい…しょ…」
憂「あ…もうだめ…」
ぺたり、とその場にへたりこんでしまう。
朋也「自分で歩けよ、平沢」
朋也「ほら、憂ちゃん」
手を差し伸べる。
憂「あ、ありがとうございます」
その手を取って立ち上がる憂ちゃん。
平沢は崩れ落ちたまま微動だにしなかった。
唯「はひぃ…」
朋也「置いてくぞ」
唯「ああ…まってぇ」
のろのろ立ち上がり、追ってくる。
唯「岡崎くん、しがみついていい?」
朋也「だめ」
唯「けちぃ…」
―――――――――――――――――――――
朋也「自分で歩けよ、平沢」
朋也「ほら、憂ちゃん」
手を差し伸べる。
憂「あ、ありがとうございます」
その手を取って立ち上がる憂ちゃん。
平沢は崩れ落ちたまま微動だにしなかった。
唯「はひぃ…」
朋也「置いてくぞ」
唯「ああ…まってぇ」
のろのろ立ち上がり、追ってくる。
唯「岡崎くん、しがみついていい?」
朋也「だめ」
唯「けちぃ…」
―――――――――――――――――――――
下駄箱まで足を運んでくる。
朋也「おい、平沢…そろそろ離せ」
唯「え~、教室まで連れてってくれてもいいじゃん…」
結局、坂を上ったあたりから、平沢を引きずってくることになってしまっていた。
あまりにもしつこかったので、俺のほうが折れてしまったのだ。
朋也「ここまででいいだろ。さっさと靴履き替えろ」
唯「ぶぅ…」
声「…おはようございます」
…この声。
振り向く。
梓「………」
中野が引きつった笑顔をぴくぴくとひくつかせ、音もなく背後に立っていた。
…おまえは忍者の末裔か。
唯「あ、あずにゃん、おはよぉ」
朋也「…よぅ」
梓「………」
眉間に寄った皺は消えそうにない。
朋也「おい、平沢…そろそろ離せ」
唯「え~、教室まで連れてってくれてもいいじゃん…」
結局、坂を上ったあたりから、平沢を引きずってくることになってしまっていた。
あまりにもしつこかったので、俺のほうが折れてしまったのだ。
朋也「ここまででいいだろ。さっさと靴履き替えろ」
唯「ぶぅ…」
声「…おはようございます」
…この声。
振り向く。
梓「………」
中野が引きつった笑顔をぴくぴくとひくつかせ、音もなく背後に立っていた。
…おまえは忍者の末裔か。
唯「あ、あずにゃん、おはよぉ」
朋也「…よぅ」
梓「………」
眉間に寄った皺は消えそうにない。
また、いらぬ恨みを買ってしまったんだろうか…。
梓「…また、放課後に」
唯「うん、部活でね」
梓「それじゃ、失礼します」
言って、軽く会釈。
最後に俺をちらっと見て…
梓「…馬鹿」
ムッとした顔を向け、そう口が動いた気がした。
それも、一瞬のことだったので、定かではなかったが。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
昼。
唯「あぁ…刻(とき)が見える…」
平沢は未だにローテンションを引きずっていた。
唯「はぁ…むしろ生きる意味がわからない…」
梓「…また、放課後に」
唯「うん、部活でね」
梓「それじゃ、失礼します」
言って、軽く会釈。
最後に俺をちらっと見て…
梓「…馬鹿」
ムッとした顔を向け、そう口が動いた気がした。
それも、一瞬のことだったので、定かではなかったが。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
昼。
唯「あぁ…刻(とき)が見える…」
平沢は未だにローテンションを引きずっていた。
唯「はぁ…むしろ生きる意味がわからない…」
澪「どんどんひどくなっていってるな…」
和「唯、口からぼろぼろこぼれ落ちてるから、咀嚼する時だけは気合入れなさい」
唯「ああぅ…わかた…多分」
春原「はは、情けねぇなぁ。もっとピシッとしろよ」
律「おまえは今日も重役出勤だったくせに、えらぶんな」
春原「うるせぇっ! 元気があればなんでも出来るんだよっ!!」
律「うわっ、ばかっ、口の中に食べ物含んだまま叫ぶなよっ!」
律「内容物が飛び散ってんだろうがっ! 私に当たったらどうすんだよっ!」
春原「避ければいいじゃん」
律「おまえが飛ばさなきゃいいの!」
律「ったく…」
朋也「あ、部長、右肩んところ…」
律「ん?」
律「うひぃ、ちょっと被弾しちゃってるし…最悪…」
汚らしそうに、ばっばっと振り払っていた。
和「唯、口からぼろぼろこぼれ落ちてるから、咀嚼する時だけは気合入れなさい」
唯「ああぅ…わかた…多分」
春原「はは、情けねぇなぁ。もっとピシッとしろよ」
律「おまえは今日も重役出勤だったくせに、えらぶんな」
春原「うるせぇっ! 元気があればなんでも出来るんだよっ!!」
律「うわっ、ばかっ、口の中に食べ物含んだまま叫ぶなよっ!」
律「内容物が飛び散ってんだろうがっ! 私に当たったらどうすんだよっ!」
春原「避ければいいじゃん」
律「おまえが飛ばさなきゃいいの!」
律「ったく…」
朋也「あ、部長、右肩んところ…」
律「ん?」
律「うひぃ、ちょっと被弾しちゃってるし…最悪…」
汚らしそうに、ばっばっと振り払っていた。
澪「唯、今日が山場だ。明日は4時間だし、ここさえ乗り切ってしまえば、あとは楽だぞ」
春原「そうそう、土曜なんて、あってないようなもんだしね」
律「そりゃ、おまえが大抵昼からしかこないからだろ」
唯「う~ん、わかっちゃいるけど、体がついてこないよぉ…」
紬「唯ちゃん、よかったら、これ食べて、元気出して?」
琴吹が弁当箱から高級そうなだんごを覗かせた。
唯「え? いいの?」
紬「うん、もちろん」
唯「やったぁ、それじゃ…あ~ん」
餌を待つヒナ鳥のように口を開けた。
紬「はい、あ~ん」
箸で平沢の口まで運ぶ琴吹。
澪「そこまでめんどくさがるのに、ちゃっかりもらうんだな…」
唯「むぐむぐ…おいひぃ~」
紬「ほんと? よかったぁ」
春原「そうそう、土曜なんて、あってないようなもんだしね」
律「そりゃ、おまえが大抵昼からしかこないからだろ」
唯「う~ん、わかっちゃいるけど、体がついてこないよぉ…」
紬「唯ちゃん、よかったら、これ食べて、元気出して?」
琴吹が弁当箱から高級そうなだんごを覗かせた。
唯「え? いいの?」
紬「うん、もちろん」
唯「やったぁ、それじゃ…あ~ん」
餌を待つヒナ鳥のように口を開けた。
紬「はい、あ~ん」
箸で平沢の口まで運ぶ琴吹。
澪「そこまでめんどくさがるのに、ちゃっかりもらうんだな…」
唯「むぐむぐ…おいひぃ~」
紬「ほんと? よかったぁ」
律「しょうがねぇなぁ、私からもやるよ…このキンピラゴボウ」
春原「おまえ、またんなもん食ってんの」
律「うるせぇなぁ、りっちゃんキンピラは最高にうまいんだぞ」
唯「う~ん…一応もらっておこうかな…あ~ん」
また口を開けて待つ。
律「一応とはなんだ、一応とは」
言いながら、箸でひとかたまり摘んで、口に運ぶ。
唯「むぐむぐ…ぺっぺっ」
律「あーっ! てめぇ、唯!」
春原「ははは、だせぇ」
律「こぉの野郎ぉーっ!」
平沢に横からヘッドロックをかける部長。
唯「ご、ごめぇん、冗談だよ、おいしいよぉ」
律「80回以上噛んでから飲み込め、こらっ!」
唯「2回で許してぇ」
春原「おまえ、またんなもん食ってんの」
律「うるせぇなぁ、りっちゃんキンピラは最高にうまいんだぞ」
唯「う~ん…一応もらっておこうかな…あ~ん」
また口を開けて待つ。
律「一応とはなんだ、一応とは」
言いながら、箸でひとかたまり摘んで、口に運ぶ。
唯「むぐむぐ…ぺっぺっ」
律「あーっ! てめぇ、唯!」
春原「ははは、だせぇ」
律「こぉの野郎ぉーっ!」
平沢に横からヘッドロックをかける部長。
唯「ご、ごめぇん、冗談だよ、おいしいよぉ」
律「80回以上噛んでから飲み込め、こらっ!」
唯「2回で許してぇ」
律「味が出る前に飲み込もうとしてるだろ、それっ!」
律「不味いって言いたいのかよぉ!」
ぎりぎりと締め付けていく。
唯「うわぁん、嘘、嘘だよ! 分子レベルまで噛み締めるから、許してぇ」
澪「まったく…もっと静かに食べられないのか」
唯「冷静なこと言ってないで、助けてよぉ、澪ちゃんっ」
紬「くすくす」
こうして、昼も騒がしく過ぎていった。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
放課後。
唯「………」
梓「唯先輩、どうしたんですか?」
平沢は机に突っ伏して、一言も発していなかった。
律「不味いって言いたいのかよぉ!」
ぎりぎりと締め付けていく。
唯「うわぁん、嘘、嘘だよ! 分子レベルまで噛み締めるから、許してぇ」
澪「まったく…もっと静かに食べられないのか」
唯「冷静なこと言ってないで、助けてよぉ、澪ちゃんっ」
紬「くすくす」
こうして、昼も騒がしく過ぎていった。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
放課後。
唯「………」
梓「唯先輩、どうしたんですか?」
平沢は机に突っ伏して、一言も発していなかった。
律「なんか、連休前で、息切れしてるんだってさ」
梓「はぁ…」
紬「はい、唯ちゃん。ここ、置いておくね」
唯「ん…」
少し顔を上げる。
唯「ひゃっほうっ、今日はチーズケーキなんだねっ!」
ケーキを目の前にして、今まで伏せていた上体を勢いよく起こしていた。
澪「いきなり元気になったな…」
律「現金な奴…」
―――――――――――――――――――――
春原「おい、部長。ちょっとラジカセ貸してくんない?」
律「あん? どうすんだよ」
春原「これをかけようと思ってね」
ポケットからカセットテープを取り出す。
春原「ボンバヘッ聴きながら、ムギちゃんの用意してくれたお茶を飲む…」
梓「はぁ…」
紬「はい、唯ちゃん。ここ、置いておくね」
唯「ん…」
少し顔を上げる。
唯「ひゃっほうっ、今日はチーズケーキなんだねっ!」
ケーキを目の前にして、今まで伏せていた上体を勢いよく起こしていた。
澪「いきなり元気になったな…」
律「現金な奴…」
―――――――――――――――――――――
春原「おい、部長。ちょっとラジカセ貸してくんない?」
律「あん? どうすんだよ」
春原「これをかけようと思ってね」
ポケットからカセットテープを取り出す。
春原「ボンバヘッ聴きながら、ムギちゃんの用意してくれたお茶を飲む…」
春原「これ以上のくつろぎ方はこの世に存在しないね」
律「いや、いいけどさ…ボンバヘッってなによ?」
春原「かぁ、知らねぇのかよ、あの有名なHIPHOPの最高峰を」
春原「おまえ、それでも軽音部部長かよ」
律「いや、聞いた事ないからさ…みんな知ってるか?」
唯「知らなぁい」
澪「私も…」
紬「私も、ちょっと…」
梓「私も聞いたことないです」
春原「ええ、マジ? じゃ、この機会に知っておいたほうがいいよ」
春原「部長、ラジカセまだかよ」
律「物置にあるから、自分で取ってこい」
春原「ちっ、気の利かねぇ奴だな」
律「おまえのために動く道理なんかねぇよ」
春原は物置に入っていくと、ややあってラジカセを手に戻ってきた。
律「いや、いいけどさ…ボンバヘッってなによ?」
春原「かぁ、知らねぇのかよ、あの有名なHIPHOPの最高峰を」
春原「おまえ、それでも軽音部部長かよ」
律「いや、聞いた事ないからさ…みんな知ってるか?」
唯「知らなぁい」
澪「私も…」
紬「私も、ちょっと…」
梓「私も聞いたことないです」
春原「ええ、マジ? じゃ、この機会に知っておいたほうがいいよ」
春原「部長、ラジカセまだかよ」
律「物置にあるから、自分で取ってこい」
春原「ちっ、気の利かねぇ奴だな」
律「おまえのために動く道理なんかねぇよ」
春原は物置に入っていくと、ややあってラジカセを手に戻ってきた。
春原「んじゃ、かけるよ」
テープを入れ、再生ボタンを押す。
流れてきたのは、古臭い歌謡ヒップホップ。
朋也(ダッサ…こんなの聴かねぇだろ…)
春原「よくない? ボンバヘッ!」
律「ん、まぁ、なかなか…」
唯「ノリがいいよね」
澪「そうだな。普段、こういう曲はあんまり聞かないけど、いいかも」
紬「うん、なんか、親しみやすいなぁ」
梓「ちょっと古い感じしますけど…逆に新鮮でいいです」
春原「へへ、だろ?」
…意外と好評のようだった。
春原「おまえら、どんどんボンバヘッコピーして、いいバンドになれよ」
律「アホか。私たちの音楽性と違いすぎるわ」
梓「音楽性って…それも、プロみたいでちょっと大げさな気もしますけどね」
唯「でも、おもしろそうじゃない? ボンバヘッ時間とかやってみたらさ」
テープを入れ、再生ボタンを押す。
流れてきたのは、古臭い歌謡ヒップホップ。
朋也(ダッサ…こんなの聴かねぇだろ…)
春原「よくない? ボンバヘッ!」
律「ん、まぁ、なかなか…」
唯「ノリがいいよね」
澪「そうだな。普段、こういう曲はあんまり聞かないけど、いいかも」
紬「うん、なんか、親しみやすいなぁ」
梓「ちょっと古い感じしますけど…逆に新鮮でいいです」
春原「へへ、だろ?」
…意外と好評のようだった。
春原「おまえら、どんどんボンバヘッコピーして、いいバンドになれよ」
律「アホか。私たちの音楽性と違いすぎるわ」
梓「音楽性って…それも、プロみたいでちょっと大げさな気もしますけどね」
唯「でも、おもしろそうじゃない? ボンバヘッ時間とかやってみたらさ」
律「んなアレンジするかよ…澪だって、歌詞思いつかないだろ、そんなんじゃ」
澪「う~ん…頑張ればできるかも…」
律「できるんかい…」
唯「どんな感じ? 澪ちゃん」
澪「うん…えっと…」
澪「キミをみてると、いつもハートBON☆BAHE…とか…」
静まり返る室内。
澪「………」
律「じゃ、練習しよっか」
唯「そだね」
梓「やってやるです」
紬「頑張りましょうね」
春原「岡崎、せんべいちょっとわけてよ」
朋也「いいけど」
澪「ちょっと待てぇっ!」
澪「う~ん…頑張ればできるかも…」
律「できるんかい…」
唯「どんな感じ? 澪ちゃん」
澪「うん…えっと…」
澪「キミをみてると、いつもハートBON☆BAHE…とか…」
静まり返る室内。
澪「………」
律「じゃ、練習しよっか」
唯「そだね」
梓「やってやるです」
紬「頑張りましょうね」
春原「岡崎、せんべいちょっとわけてよ」
朋也「いいけど」
澪「ちょっと待てぇっ!」
律「どうしたんだよ、澪。んな大声出しちゃって」
澪「なんでなかったことにされてるんだよっ!」
律「いや、だって、すげぇ微妙だったし…」
澪「仕方ないだろぉ! 即興だったんだからっ!」
律「にしてもなぁ…」
澪「うぅ…じゃあ、納得できるもの書いてきてやるっ」
澪「春原くん、後でテープダビングさせてっ!」
春原「あ、ああ、いいけど…」
律「澪ちゃ~ん、そこでまでしなくていいからなぁ~…」
―――――――――――――――――――――
練習が始まり、俺たちは暇になる。
今残っている茶を飲み干せば、退散を決め込むつもりだった。
春原「う~ん…まだか…」
春原がなにやらラジカセのアンテナをしきりに動かしていた。
朋也「なにやってんの、おまえ」
春原「みてわかんない? ラジオ聴こうとしてんだよ」
澪「なんでなかったことにされてるんだよっ!」
律「いや、だって、すげぇ微妙だったし…」
澪「仕方ないだろぉ! 即興だったんだからっ!」
律「にしてもなぁ…」
澪「うぅ…じゃあ、納得できるもの書いてきてやるっ」
澪「春原くん、後でテープダビングさせてっ!」
春原「あ、ああ、いいけど…」
律「澪ちゃ~ん、そこでまでしなくていいからなぁ~…」
―――――――――――――――――――――
練習が始まり、俺たちは暇になる。
今残っている茶を飲み干せば、退散を決め込むつもりだった。
春原「う~ん…まだか…」
春原がなにやらラジカセのアンテナをしきりに動かしていた。
朋也「なにやってんの、おまえ」
春原「みてわかんない? ラジオ聴こうとしてんだよ」
朋也「いや、わかるけどさ、なんで琴吹に向けてんの」
ちょうど、胸のあたりに照準を合わせているような…
春原「どうせなら、ムギちゃんのおっぱいを通った電波受信したいじゃん」
朋也「あ、そ…」
こいつは絶対アホだ。
春原「うぉおおおっきたきたぁっ!」
じりじりとラジカセが音を立て始める。
内容は、情報番組のようだった。
春原「ちっ、なんだよ、つまんねぇチャンネルだなぁ」
春原「せっかくムギちゃん通してんだから、ムギちゃんのおっぱい情報を事細かに伝えろよなぁ」
朋也「琴吹の前に、どっかのおっさんを5、6回経由してきたようだな」
春原「マジで? それ、やべぇよ」
春原「くそぉ、知りてぇえええ! ムギちゃんのおっぱい秘話っ!!」
がんっ
春原「イテぇっ!」
ドラムスティックが春原の顔面に直撃していた。
ちょうど、胸のあたりに照準を合わせているような…
春原「どうせなら、ムギちゃんのおっぱいを通った電波受信したいじゃん」
朋也「あ、そ…」
こいつは絶対アホだ。
春原「うぉおおおっきたきたぁっ!」
じりじりとラジカセが音を立て始める。
内容は、情報番組のようだった。
春原「ちっ、なんだよ、つまんねぇチャンネルだなぁ」
春原「せっかくムギちゃん通してんだから、ムギちゃんのおっぱい情報を事細かに伝えろよなぁ」
朋也「琴吹の前に、どっかのおっさんを5、6回経由してきたようだな」
春原「マジで? それ、やべぇよ」
春原「くそぉ、知りてぇえええ! ムギちゃんのおっぱい秘話っ!!」
がんっ
春原「イテぇっ!」
ドラムスティックが春原の顔面に直撃していた。
律「変態発言はよそでやれ、アホっ!」
部長が投げ放った物のようだ。
春原「顔面狙うことないだろ、クソデコっ!」
律「黙れ、変態ヘタレ野郎っ!」
悪口の応酬が始まる。
平沢たちは部長を、俺は春原をなだめ、なんとか場を収めた。
律「ったくぅ…ムギもなんとか言ってやれよぉ」
律「こいつ、ムギにすげぇやらしいことしてたんだぜ?」
律「セクハラだよ、セクハラ」
春原「いや、そういうつもりじゃ…」
春原「ちょっとしたジョークだよ。ムギちゃんなら、わかってくれるよね?」
紬「えっと…もう少しで、立件できそうなの」
春原「前々から準備進めてたんすかっ!?」
律「わははは!」
―――――――――――――――――――――
結局、最後まで居座ってしまい、一緒に下校することになってしまっていた。
部長が投げ放った物のようだ。
春原「顔面狙うことないだろ、クソデコっ!」
律「黙れ、変態ヘタレ野郎っ!」
悪口の応酬が始まる。
平沢たちは部長を、俺は春原をなだめ、なんとか場を収めた。
律「ったくぅ…ムギもなんとか言ってやれよぉ」
律「こいつ、ムギにすげぇやらしいことしてたんだぜ?」
律「セクハラだよ、セクハラ」
春原「いや、そういうつもりじゃ…」
春原「ちょっとしたジョークだよ。ムギちゃんなら、わかってくれるよね?」
紬「えっと…もう少しで、立件できそうなの」
春原「前々から準備進めてたんすかっ!?」
律「わははは!」
―――――――――――――――――――――
結局、最後まで居座ってしまい、一緒に下校することになってしまっていた。
春原が寮に戻り、俺ひとりが女集団の中に残されたので、やはり少し離れて歩いた。
目の前では、平沢たちが楽しげに会話をしている。
部長と平沢がボケて、秋山と中野がつっこみを入れ、琴吹が笑う。
役割が大体決まっているのだろうか。よく見かける構図だった。
澪「岡崎くん」
話がひと段落ついたのか、輪から抜けて、秋山が俺に近寄ってきた。
他の奴らは、次の話題に移っているようだった。
朋也「なんだ」
澪「今ね、みんなで星座占いやってたんだけど…」
言って、持っていた携帯に目を落とす。
澪「よかったら、岡崎くんもやってみない?」
朋也「俺?」
澪「うん。興味ないかな、やっぱり…」
少し寂しそうな顔。
確かに、別段興味はなかったが…
こんな顔をされては、断る気にもなれない。
朋也「さそり座」
澪「え?」
目の前では、平沢たちが楽しげに会話をしている。
部長と平沢がボケて、秋山と中野がつっこみを入れ、琴吹が笑う。
役割が大体決まっているのだろうか。よく見かける構図だった。
澪「岡崎くん」
話がひと段落ついたのか、輪から抜けて、秋山が俺に近寄ってきた。
他の奴らは、次の話題に移っているようだった。
朋也「なんだ」
澪「今ね、みんなで星座占いやってたんだけど…」
言って、持っていた携帯に目を落とす。
澪「よかったら、岡崎くんもやってみない?」
朋也「俺?」
澪「うん。興味ないかな、やっぱり…」
少し寂しそうな顔。
確かに、別段興味はなかったが…
こんな顔をされては、断る気にもなれない。
朋也「さそり座」
澪「え?」
朋也「俺の星座だよ。占ってくれるんだろ」
澪「あ…うんっ」
表情をぱっと明るくして、携帯を操作する。
澪「えっとね…」
澪「今日のあなたは超絶好調☆誰にも止められない☆邪魔者はみんな叩き殺しちゃえ☆」
澪「…ということだそうです」
…どんな占いサイトだ。
澪「あはは…よかったね…すごく運いいみたいだよ…」
秋山もその結果に、とういうか、文章にうろたえているのか、声がうわずっていた。
朋也「ああ…みたいだな。まぁ、すでに今日も後半に入ってるけどさ」
澪「あはは…そうだね…」
朋也「はは…」
澪「あはは…」
意味もなく笑う俺たち。
澪「あの…相性占いもしてたんだけど…やってみる?」
澪「あ…うんっ」
表情をぱっと明るくして、携帯を操作する。
澪「えっとね…」
澪「今日のあなたは超絶好調☆誰にも止められない☆邪魔者はみんな叩き殺しちゃえ☆」
澪「…ということだそうです」
…どんな占いサイトだ。
澪「あはは…よかったね…すごく運いいみたいだよ…」
秋山もその結果に、とういうか、文章にうろたえているのか、声がうわずっていた。
朋也「ああ…みたいだな。まぁ、すでに今日も後半に入ってるけどさ」
澪「あはは…そうだね…」
朋也「はは…」
澪「あはは…」
意味もなく笑う俺たち。
澪「あの…相性占いもしてたんだけど…やってみる?」
口直しに、とでもいうように、そう訊いてきた。
朋也「相性って…俺と、誰を?」
澪「誰でもいいよ。名前と、誕生日を知ってる人なら」
澪「春原くんとか、どう?」
朋也「いや、あいつは、俺の中でまだ顔と名前が一致してないくらいの仲だしな」
朋也「相性なんて、どうでもいいよ」
澪「そ、そんな他人みたいな…ひどいなぁ…あんなに仲いいのに」
朋也「よくない」
澪「素直じゃないんだね」
朋也「本音だ」
澪「あはは…そういうことにしておくね」
澪「じゃあ、春原くん以外で、誰かいる?」
朋也「そうだな…」
俺の交友関係なんて、あいつを除けば、ほとんど無きに等しい。
改めて考えてみると、俺って、かなり寂しい奴なんじゃないだろうか…。
澪「もし、よかったら…私たちの内の誰かでもいいよ」
朋也「相性って…俺と、誰を?」
澪「誰でもいいよ。名前と、誕生日を知ってる人なら」
澪「春原くんとか、どう?」
朋也「いや、あいつは、俺の中でまだ顔と名前が一致してないくらいの仲だしな」
朋也「相性なんて、どうでもいいよ」
澪「そ、そんな他人みたいな…ひどいなぁ…あんなに仲いいのに」
朋也「よくない」
澪「素直じゃないんだね」
朋也「本音だ」
澪「あはは…そういうことにしておくね」
澪「じゃあ、春原くん以外で、誰かいる?」
朋也「そうだな…」
俺の交友関係なんて、あいつを除けば、ほとんど無きに等しい。
改めて考えてみると、俺って、かなり寂しい奴なんじゃないだろうか…。
澪「もし、よかったら…私たちの内の誰かでもいいよ」
朋也「おまえでも?」
澪「え、わ、私? 私なんかで、いいの…?」
澪「岡崎くん、唯と仲いいし…その…相性知りたいんじゃないかなって…」
また平沢との疑惑が持ち上がってくるのか…。
これももう何度目だろうか。
まぁ、今となっては、俺自身、そんなに嫌でもなかったが…
朋也「おまえとにするよ」
だが、露骨に俺から近寄っていくのも、何か違う気がした。
第一、平沢は、その気がないとかつて言っていたこともあるのだ。
だから、今のままが一番いいと思う。
澪「…う、うん、わかった…じゃあ、私とで…」
携帯の画面と向き合い、カチカチと入力していく。
澪「岡崎くん、誕生日は?」
朋也「10月30日」
澪「10月…30…」
俺の返答を聞くと、また画面に目を戻し、入力を始めた。
澪「名前の、ともや、ってこの字でいいかな?」
澪「え、わ、私? 私なんかで、いいの…?」
澪「岡崎くん、唯と仲いいし…その…相性知りたいんじゃないかなって…」
また平沢との疑惑が持ち上がってくるのか…。
これももう何度目だろうか。
まぁ、今となっては、俺自身、そんなに嫌でもなかったが…
朋也「おまえとにするよ」
だが、露骨に俺から近寄っていくのも、何か違う気がした。
第一、平沢は、その気がないとかつて言っていたこともあるのだ。
だから、今のままが一番いいと思う。
澪「…う、うん、わかった…じゃあ、私とで…」
携帯の画面と向き合い、カチカチと入力していく。
澪「岡崎くん、誕生日は?」
朋也「10月30日」
澪「10月…30…」
俺の返答を聞くと、また画面に目を戻し、入力を始めた。
澪「名前の、ともや、ってこの字でいいかな?」
画面を俺に見せてくる。
朋也「ああ、いいよ」
澪「えっと…朋也っと…」
澪「血液型は?」
朋也「A型」
澪「Aっと…」
澪「それじゃあ…」
カチッと一押しする。
最後の入力が終わったようだ。
澪「あ…出てきた…」
幾ばくかの間があって、そう声を上げた。
澪「………」
画面をじっと見つめたまま何も言わない。
言い辛い結果だったんだろうか。
朋也「どうだったんだ」
澪「うん…えっと…」
朋也「ああ、いいよ」
澪「えっと…朋也っと…」
澪「血液型は?」
朋也「A型」
澪「Aっと…」
澪「それじゃあ…」
カチッと一押しする。
最後の入力が終わったようだ。
澪「あ…出てきた…」
幾ばくかの間があって、そう声を上げた。
澪「………」
画面をじっと見つめたまま何も言わない。
言い辛い結果だったんだろうか。
朋也「どうだったんだ」
澪「うん…えっと…」
澪「…話す内、お互い、気を許し合えることがわかります」
澪「長年に渡って、良きパートナーとなれるでしょう…」
澪「…って、ことなんだけど…」
朋也「ふぅん、結構よさげじゃん」
澪「う、うん、そうだね…」
澪「それで…男女ペアだったから、もうひとつあるんだけど…」
男女ペア特有の相性…それは、やっぱり…
澪「あの…恋愛相性…なんだけど…」
…そうなるか。
澪「き、興味、あるかな…?」
頬を赤らめながら訊いてくる。
朋也「あ、ああ…まぁ、一応」
仮にも、秋山は美人の部類である女の子だ。
そんな奴との相性が気にならないと言ったら、それは嘘になる。
澪「じ、じゃあ、言うよ…えっと…」
澪「…お互いの精神的弱点を補い合い、成長できる恋愛が出来そうです」
澪「長年に渡って、良きパートナーとなれるでしょう…」
澪「…って、ことなんだけど…」
朋也「ふぅん、結構よさげじゃん」
澪「う、うん、そうだね…」
澪「それで…男女ペアだったから、もうひとつあるんだけど…」
男女ペア特有の相性…それは、やっぱり…
澪「あの…恋愛相性…なんだけど…」
…そうなるか。
澪「き、興味、あるかな…?」
頬を赤らめながら訊いてくる。
朋也「あ、ああ…まぁ、一応」
仮にも、秋山は美人の部類である女の子だ。
そんな奴との相性が気にならないと言ったら、それは嘘になる。
澪「じ、じゃあ、言うよ…えっと…」
澪「…お互いの精神的弱点を補い合い、成長できる恋愛が出来そうです」
澪「強さと繊細さを持ち合わせた理想のカップルとなれるでしょう…」
澪「………」
言い終わると、口をきゅっと結び、目を泳がせながら押し黙ってしまう。
朋也「あー…俺たち、相性いいみたいだな」
つとめて淡白な素振りを意識して、軽い口調で言った。
所詮アルゴリズムで弾き出された答えだ。
気負うことはないと、そう伝えたかったからだ。
澪「う、うん、そうだね…」
俺の意思が通じたのか、秋山も笑顔を作ってそう返してくれた。
澪「あの…岡崎くんってさ…」
朋也「うん?」
澪「えっと…」
グサ
下腹部に違和感。
澪「あ…」
朋也「…ん?」
澪「………」
言い終わると、口をきゅっと結び、目を泳がせながら押し黙ってしまう。
朋也「あー…俺たち、相性いいみたいだな」
つとめて淡白な素振りを意識して、軽い口調で言った。
所詮アルゴリズムで弾き出された答えだ。
気負うことはないと、そう伝えたかったからだ。
澪「う、うん、そうだね…」
俺の意思が通じたのか、秋山も笑顔を作ってそう返してくれた。
澪「あの…岡崎くんってさ…」
朋也「うん?」
澪「えっと…」
グサ
下腹部に違和感。
澪「あ…」
朋也「…ん?」
秋山から視線を外し、下にさげていく。
…股間に枝が突き刺さっていた。
朋也(なぜ…)
ゆっくりとその先に視線を這わせていくと、中野が呆れた顔で突っ立っていた。
梓「まったく、ちょっと目を離すとすぐふたりっきりになろうとする…」
梓「最低です」
朋也「いや、まずこの枝どけろよ」
言って、振り払う。
が、すぐにまた戻される。
澪「あ、梓、やめなさい」
梓「だって、澪先輩がこのけだものに襲われてたから…」
澪「そんなことされてないから、やめなさい」
梓「…はい」
しぶしぶ枝を自然に還していた。
まぁ、ただ捨てただけなのだが。
梓「岡崎先輩、後ろの方でこそこそといちゃつくのはやめてください」
朋也「んなことしてねぇって」
…股間に枝が突き刺さっていた。
朋也(なぜ…)
ゆっくりとその先に視線を這わせていくと、中野が呆れた顔で突っ立っていた。
梓「まったく、ちょっと目を離すとすぐふたりっきりになろうとする…」
梓「最低です」
朋也「いや、まずこの枝どけろよ」
言って、振り払う。
が、すぐにまた戻される。
澪「あ、梓、やめなさい」
梓「だって、澪先輩がこのけだものに襲われてたから…」
澪「そんなことされてないから、やめなさい」
梓「…はい」
しぶしぶ枝を自然に還していた。
まぁ、ただ捨てただけなのだが。
梓「岡崎先輩、後ろの方でこそこそといちゃつくのはやめてください」
朋也「んなことしてねぇって」
澪「そ、そうだぞ、ただ私が話しかけて…」
梓「澪先輩、だまされちゃだめですっ」
澪「はうっ…」
その迫力に気圧される秋山。
梓「気を許させて、そこから一気に畳み掛けるつもりなんですからっ」
梓「岡崎先輩、卑怯ですよ、こんな純情な澪先輩まで毒牙にかけようなんてっ」
朋也「ただトークしてただけだっての…」
梓「そんなに女の子とふたりっきりで話したいんですかっ」
朋也「いや、俺は…」
梓「そういうことなら…私…私が犠牲になるので、先輩たちに手を出さないでくださいっ」
朋也「じゃあ、おまえとならいちゃついてもいいってことかよ」
梓「な、なななっ…」
梓「…そ、それで岡崎先輩が大人しくなるなら…我慢しますです…」
澪「あ、梓…」
律「おーおー、敬語が雑になるくらい動揺しちゃって…」
梓「澪先輩、だまされちゃだめですっ」
澪「はうっ…」
その迫力に気圧される秋山。
梓「気を許させて、そこから一気に畳み掛けるつもりなんですからっ」
梓「岡崎先輩、卑怯ですよ、こんな純情な澪先輩まで毒牙にかけようなんてっ」
朋也「ただトークしてただけだっての…」
梓「そんなに女の子とふたりっきりで話したいんですかっ」
朋也「いや、俺は…」
梓「そういうことなら…私…私が犠牲になるので、先輩たちに手を出さないでくださいっ」
朋也「じゃあ、おまえとならいちゃついてもいいってことかよ」
梓「な、なななっ…」
梓「…そ、それで岡崎先輩が大人しくなるなら…我慢しますです…」
澪「あ、梓…」
律「おーおー、敬語が雑になるくらい動揺しちゃって…」
紬「あらあら、梓ちゃんったら…」
いつの間にやら部長と琴吹も集まってきていた。
律「まさか、梓まで攻略するなんてな…岡崎、おまえ、すげぇよっ」
梓「ななな、なに言ってるんですかっ! そんなことされた覚えありませんっ!」
律「だってさぁ、岡崎が他の女といちゃつくの嫌なんだろ?」
律「それで、今、独占しようとしてたじゃん」
梓「違いますっ! あくまで身代わりになろうとしてただけですっ!」
律「ふぅん、身代わりねぇ…いひひ」
梓「り、律先輩っ! 変な笑い方しないでくださいっ」
律「いやぁ、おもしろくなってきましたなぁ、ムギさんや」
紬「そうですねぇ、りっちゃんさん」
梓「む、ムギ先輩までっ…」
声「おお、すごぉいっ!」
前方で声。この場に居合わせた全員が前を向く。
唯「りっちゃんとトンちゃんの相性ばっちりだよっ…って、あれ?」
いつの間にやら部長と琴吹も集まってきていた。
律「まさか、梓まで攻略するなんてな…岡崎、おまえ、すげぇよっ」
梓「ななな、なに言ってるんですかっ! そんなことされた覚えありませんっ!」
律「だってさぁ、岡崎が他の女といちゃつくの嫌なんだろ?」
律「それで、今、独占しようとしてたじゃん」
梓「違いますっ! あくまで身代わりになろうとしてただけですっ!」
律「ふぅん、身代わりねぇ…いひひ」
梓「り、律先輩っ! 変な笑い方しないでくださいっ」
律「いやぁ、おもしろくなってきましたなぁ、ムギさんや」
紬「そうですねぇ、りっちゃんさん」
梓「む、ムギ先輩までっ…」
声「おお、すごぉいっ!」
前方で声。この場に居合わせた全員が前を向く。
唯「りっちゃんとトンちゃんの相性ばっちりだよっ…って、あれ?」
唯「なんでみんなそんな後ろの方にいるの?」
平沢がひとり、こちらを振り返ってきょとんとしていた。
律「あいつは…なにとあたしの相性占ってんだよ…」
唯「ほら、りっちゃんみてみて、トンちゃんとの相性!」
とてとて走ってくる。
唯「すごいフィーリングだよっ。よかったねっ」
唯「りっちゃん、私たち全員と相性微妙だったからっ」
律「それは言うなぁっ!」
バックを取り、チョークスリーパーをかける。
平沢がひとり、こちらを振り返ってきょとんとしていた。
律「あいつは…なにとあたしの相性占ってんだよ…」
唯「ほら、りっちゃんみてみて、トンちゃんとの相性!」
とてとて走ってくる。
唯「すごいフィーリングだよっ。よかったねっ」
唯「りっちゃん、私たち全員と相性微妙だったからっ」
律「それは言うなぁっ!」
バックを取り、チョークスリーパーをかける。
唯「うわぁん、ごめんなさぁいっ」
騒ぎ出すふたり。
澪「…はぁ」
秋山が俺の隣でため息をついていた。
そういえば、中野が現れる前、なにか俺に言おうとしていたような…
朋也「なぁ、さっきなにか言いかけてたけど、なんだったんだ」
澪「ん? うん…いいの、なんでもない」
朋也「あ、そ」
澪「うん…」
間が空いて、興がそがれてしまったんだろうか。
何を言おうとしていたのか…少しだけ気になった。
それは、こいつの横顔が、やたらと儚げにみえたからだろう。
物憂げな表情も、こいつなら絵になるものだと…
この時、俺は単純に感心していた。
―――――――――――――――――――――
騒ぎ出すふたり。
澪「…はぁ」
秋山が俺の隣でため息をついていた。
そういえば、中野が現れる前、なにか俺に言おうとしていたような…
朋也「なぁ、さっきなにか言いかけてたけど、なんだったんだ」
澪「ん? うん…いいの、なんでもない」
朋也「あ、そ」
澪「うん…」
間が空いて、興がそがれてしまったんだろうか。
何を言おうとしていたのか…少しだけ気になった。
それは、こいつの横顔が、やたらと儚げにみえたからだろう。
物憂げな表情も、こいつなら絵になるものだと…
この時、俺は単純に感心していた。
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