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    元スレ男「妖精拾った」

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    みんなの評価 : ★★
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    901 :

    カエルが唇を奪いに来たことを思い出しながら見てる

    902 :

    おぉ、まだあった!
    今から読むから妖精邪魔するなよ!

    903 = 893 :

    緑生い茂る山林。せせらぐ谷川。そして轟く怪鳥の泣き声…。

    周囲数十キロに人の気配がまったく感じられない秘境の奥地に、ニュー速大学VIP寮の面々が辿り着いたのはつい先程の事であった。

    寮生A「よーし!てめぇら!念願のキャンプ場についたぜ!」

    寮生s「「おおおおおおおっ!!!」」(雄叫び)

    「(∑!?!?!?)」(今は人間サイズ。外見14歳ぐらい。サイズ維持できるようになった)

    「何も教えずに連れてきてゴメン。寮の伝統行事の一つである限界突破キャンプなんだ」

    明らかに危険な感じのするイベント。手の平サイズで寝ている間に連れてこられた妖精はあまりの理不尽さに怒っていいやら何していいやら。

    寮生B「なーに!この大自然の中では些細な事よ!妖精ちゃん!」

    その一言で片付けようとしたBをドロップキックで蹴り飛ばす妖精。蹴られたBは何故か笑顔である。

    「まぁまぁ、単なる一泊二日のキャンプだから。気軽に考えてね?」

    男に笑顔でそう言われて、何だか怒ってるのも馬鹿らしくなった妖精は、広場の中央に鎮座する岩の上で一人拗ねる事にした。

    904 = 893 :

    しばし眺める。寮生達は機敏な動きでテントを組み立て、火を起こし、川から水を汲んでくる。

    蕎麦粉を取り出して蕎麦打ちを始める者。キャンプファイヤーの準備をする者。いつも寮でしている活動がそのまま山の中に移動しただけである。

    だがしかし、一つだけ異質な光景がその中にあった…。

    「(????????)」

    ガタイのいいメンバーが一箇所に集められると、それぞれが統一した防具で身を固め始めたのである。

    「(~~~!?~!~~~???)」

    近くを通りかかったカレー班な寮生に詳細を聞く。

    寮生「あー、あれ?直ぐに分かるよ…。もうそろそろ僕達の気配を感じて山からヤツが来るよ?」

    山からヤツ???妖精は更に聞こうとして、そして地響きが山から下りてくるのを感じ取った。

    906 = 893 :

    それは総勢11体の…超巨大な猿達であった。

    「(… … …)」(ぽかーん)

    寮生「来たな?ゴリ猿共め…。あ、あいつ等は通称ゴリ猿。この山を支配してる猿達さ」

    軽い口調で説明する寮生。更に説明は続く。

    寮生「毎年ここでキャンプをする僕達の食料を狙ってくるんだけどね?だけど僕達も負ける訳にはいかないんだ!奪われる前に撃退するんだ」

    妖精はどこからツッコミを入れていいのか分からない。こんな連中が生息する山でのキャンプって意味あるのか?とか色々。

    アメフトs「セット!YAYAYA-!」

    気合いとともに、何故か白菜一玉が準備された。

    アメフトs「レディ・フォー・プレー…Go!!!」

    突如始まった大自然のフィールドで繰り広げられる熱血アメフト!その白菜を狙って猿達が襲い掛かってくる!

    もう何がなにやら!

    908 :

    狩るのかと思った

    909 = 893 :

    アメフトs「GO!GO!GO!」

    白菜を抱えて、猿の集団に飛び込むスクリメージな寮生達!白菜を狙い飛び交ってくる猿を巧みなステップとタックルで白菜を守るランプレー主体の戦術だ。

    「(~~~~~~!?)」(わくわく)

    イマイチ理解は出来ないが、根が単純な妖精は段々とその激しい試合(?)に引き込まれる。

    寮生「はいこれ」

    「(???)」

    寮生から唐突に渡されたソレは彼女の魂を刺激するには十分であった。

    アメフトs「いまだ!猿のオフェンス崩してトライすんぞオラァ!」

    910 = 894 :

    残念ながらアメフトの得点方法はトライじゃなくてタッチダウンなんだ

    911 = 893 :

    だが猿は律儀にルール通りに来る筈も無く…。

    アメフトs「くそっ!猿共め!ここに来て容赦の無い反則連発か!だが負けんぞ!」

    そんな熱くなってる漢達の耳に、思わず200%力の漲る応援が飛び込んできた!

    「(~♪~♪~♪)」

    アメフトs「ぬおおおおおおおっ!!!」

    彼等の目に飛び込んできた光景。それはチアコスに身を包み、手にポンポンを装着して踊る妖精の姿!

    アメフトs「行くぞ!後からついて来い!」「おう!」「JSA行くぞ!」

    もうアメフトとは関係ないレベルで熱くなった男は猿どもを容赦なく蹴散らして、ゴール代わりのダッチオーブンに白菜をタッチダウン!

    勝利を捥ぎ取った!

    912 = 894 :

    カオスだなwwwww

    913 = 893 :

    注*彼等はガタイが良いだけの文化系であるw

    そのあまりの迫力に負けを認めた猿達はすごすごと山へと帰っていく。また来年の再戦を望んで。

    「(~~~~!!!!♪♪♪)」

    踊る妖精に雄叫びを上げる寮生達…。既にカオスであった。

    そして夜。

    キャンプの定番料理であるBBQとカレーの食事が始まる。今年は猿に何も奪われていないので豪勢だとの事。

    「(むぐむぐ)」(一人だけ甘口カレーを食べながら)

    しかし寮生の男達はキャンプが楽しくて仕方ないみたいだが、自分は何をしたらいいのだろうか?

    ただ何となく彼等に混じってるものの、自分は彼等とは違う異質な存在であるとは理解している。

    「(~~~~…)」(考え込むが、基本軽いのでいい考えが浮かばない)

    周囲の様子を眺めてみる。

    ↓何してる?

    914 = 901 :

    この豪勢な食事に感謝し生贄を神にささげます

    915 :

    ロシアンルーレット

    916 = 894 :

    生け贄好きだなwww

    917 = 893 :

    そこに見えるのは、いつものVIP寮の日常。生け贄捧げてたり、ロシアンルーレットだったり…。

    唐突に何となく、一人になりたいと言う気分になる。

    皆が皆、思い思いに騒いでいる中。空に飛び上がった妖精の姿に気付いた者は誰一人居なかった。


    「(… … …)」

    そう言えば、人の大きさでここまで高い空を飛ぶのは初めてだと気付く。寮生の誰も届かない場所。

    月明かりを背景に、もう眼下の喧騒は聞えない。

    918 = 893 :

    そう言えば…どうして渡りの時に仲間と一緒に空に行かなかったんだろう?

    思い出せない。自分の頭が軽い事は分かってるけど、ここまで軽かったらもう笑うしかない。

    「(… … …)」

    だけど笑いの代わりに出たのは涙だけであった。理由は単に何かが物足りないから。だけどそれが何か分からない。

    皆と馬鹿やって暴れている間は忘れられるモノ。だけど彼等は人間で、自分は妖精。絶対的に違うモノ。

    そして、そこまで考えて、やっと自分が何故悲しいのか理解した。

    【寂しい】のだ。

    919 = 893 :

    寮の中、そして外でも自分以外の妖精は居ない…。いや、居るには居たのだが、大分前にソレはどこか遠い所に行ってしまった。

    居るのは人と猫だけの寮…。

    「(… … …)」

    皆の、妖精の仲間を追いかけて…、たった一人で渡る…?そんな考えが脳裏を過ぎる。

    920 = 893 :

    空の月目指して、行って見ようか…。

    背中の羽を羽ばたかせ、どんどんと空高くへと上っていく。


    その頃、眼下の寮生達は妖精が居ない事に気が付いた。

    ↓反応

    921 = 915 :

    慌てて捜索

    922 = 893 :

    「居たか!?」「いや、こっちには居なかった!」

    山林を駆け回って居なくなった彼女を探す寮生達。一部の寮生等はテンパって生け贄を捧げたり、谷川に飛び込んだり、崖からバンジージャンプをしたりと八方手を尽くす。

    もちろん男も捜索の為にあちこちを駆け回って居た。

    「さっきまで居たのに…、一体どこに行ったんだ…」

    一緒に探していた仲間達も様々な方向へと散らばっている為に、自分が今一人で夜の山の中に居る事には気付いていない。それを忘れるぐらいに夢中で妖精を探しているのだ。

    「ん?待てよ?」

    ふと、大変な事を忘れていたのに気が付く。

    「アイツ、妖精だから飛べるんだ!」

    コレだけの人数で地表を探しても見つからないなら空しかない!あまりに傍に居る事が自然すぎて彼女が妖精である事を忘れていたのだ。

    923 = 893 :

    じっと空を見つめる。夜とはいえ、空には煌々と光る月があり、そして自分は視力が良い。

    「どこだ…」

    探す。しかし森の中だと視界が遮られて満足に空を見渡せない。男は上を向いたまま森を抜ける為に走り抜けた。

    「よし、ここなら…」

    木々が途絶え、視界が開けて空がはっきり見える。

    「何処…え…?」

    突然、自分の足元から地面の感触が消えた…。

    「う、うわあああああっ!!!!!」

    崖だったのだ。間一髪手を伸ばして伸びていた木の根に掴まる。

    「くっ!」

    だがそれはほんの少しだけ落下を遅らせただけに過ぎず、根を掴むその身体は足場の無い空中で宙吊りとなった。

    924 = 893 :

    「(…!?)」

    地表の喧騒など聞えない高空で、妖精は確かに男の声を聞いた。

    「(… … …!)」

    聞き間違いようの無いその声の聞えた方角へと視線を巡らす。星海の闇の先ですら見通す事のできる視力が、崖にぶら下がっている男の姿を捉える。

    「(∑!!!)」

    考えるよりも先にその身体は地表、男のぶら下がっている崖へと向かって垂直下降並みの急角度で降下していた。

    「く…駄目だ…っ!」

    掴んでいた根から男の手が離れた。崖下の岩場まで約二十メートル。地面に叩きつけられたら確実に死に至る高さである。

    925 = 893 :

    ???「!!!!」

    遥かな空から声が聞こえた。聞いた事の無い。だけど知っている声。聞き間違えようの無いあの声!

    「妖精!」

    背中の羽を小さく折り畳み、尚且つ角度を微調整しながらギリギリの加速。数ミリでもスピードやコントロールがずれるとその羽は空気の壁に叩き折られて墜落する。そんな中を彼女は崖を落ちる男を助けるべく手を伸ばした。

    男も手を伸ばす。数度の後すれ違いの後、その手はがっしりと掴まれ、妖精は小さな身体で男を抱きとめる。

    「(!!!!!!!)」

    自分を地面側に来るよう男を抱きかかえたまま体勢を入れ替えると、羽を全開に広げてエアブレーキ!強烈なGが男と妖精を襲う。

    「(…くっ!!!!)」

    四枚の羽の内、一枚が衝撃に負けて捥ぎ取れて頭上に置いて行かれた。それでも妖精は残った羽をコントロールして体勢を整える。

    926 = 893 :

    「(くっ…のぉぉっ!!!)」

    喉の奥から叫ぶ。残った羽が空気を捉えた。地面の岩場まで残り数メートル。

    「(負け…ないっ!)」

    大人の男の身体を支える華奢な身体が浮かんだ。ギリギリの高度での水平飛行に成功するが、尖った岩によってまた一枚羽が捥がれる。

    それでも彼女は飛んだ。そして二人のその姿は岩場の脇に茂った森へと突入した。

    枝葉の激しく折れる音。そして激突音と共に森に静けさが戻る…。




    「…生きてる…」

    927 = 893 :

    手足を始め、身体のあちこちが痛い、と言うか何処かが折れているかも知れない。だが男はそれらの痛みが分かるぐらいには無事であった。

    「…妖精…?」

    細い喉からありったけの声を振り絞って自分を助けてくれた妖精の姿が見当たらない…。

    「…どこだ…!」

    這い上がるように立ち上がる。目の前に妖精の煌く羽が落ちていた。

    「どこだ!返事してくれ!」

    そして見つけた。全身ボロボロになって木の根元でもたれるように倒れている妖精を。羽も全て失い、至る所から血を流しているその姿を見て男は…。



    最後に遠くから、寮生達の声が近づいてくる気がした。

    928 = 893 :

    数日後…。

    男は松葉杖片手に包帯とギプスを装着したまま、とある病室を目指して進軍していた。

    そのギプスには寮生達の愛と言う名の呪いのメッセージが勿論書かれている。

    「よっと…、入るぞー?」

    目的の病室に辿り着いた男は軽く髪型を整えてから扉を開けた。

    「…元気そうだな?」

    ぶっきらぼうな口調で、ベッドに雁字搦めにされている妖精の姿がそこにあった。怪我の具合で言えば男よりも遥かに酷い。

    「お陰様でな」

    そう言って男は苦笑。手近にあった椅子を引き寄せて『よっこらせっ』と座る。

    「かなり回復してきてるようだな?」

    「まぁ、医者が優秀だったのが幸いだからな」

    929 = 893 :

    ここは隣町の小さな医療施設だが、院長の腕前はかなりの名医クラスらしく、半分死にかけていた妖精もかなり短い期間でここまで回復させてくれた。

    院長が言うには『妖精の生命力自体は人のそれを遥かに越えているから可能だった』との事。

    「この分だと、来月ぐらいには寮に戻れるかもな」

    「だな、と言うか、早く退院してくれと院長の女医が愚痴を言いに来る」

    「寮の皆が毎日の様に来るからなぁ…。半分がその女医目当てで…」

    二人で溜息…。そして。

    「なぁ?やっぱりまだ空に未練ある?」

    「別に…。今となってはどうしてお前を置いて空に行こうとしたのか馬鹿らしくなってるよ」

    「…そっか」

    「おいコラ、誰が病室を抜け出して良いと言った?」

    「∑!ハイすいません直ぐ戻ります!…じゃ、またな?」

    930 = 893 :

    男は妖精に手を振りながら自分の病室へと戻って行った。

    「さて、検診だ。背中出せ」

    「…う…はぃ…」(ちょっとだけ苦手だこの先生)

    そして数分の検診の後…。

    「さて、率直に言うぞ?隠していても仕方が無いからな」

    「お前の背中の羽な、もう生えてこない…。肉が抉れ過ぎて根の細胞が無くなっておるからな」

    「ふーん、そう」

    「何だ?驚かないのだな?」

    「まぁ、もう必要ないからな」(にこっ♪)

    「…ほう?責任取らすような事に成功したのか?」(にやり)

    「∑!そそそ、そんなんじゃ…、でも、もう飛べなくてもいい…と思っただけで」(ぶつぶつ)

    「ま、心配せんでも、あの男の調子では言わなくともお前の羽となってくれる筈だよ。死んで私に詫びるが良い」

    「ちょ、それ医者の言う台詞じゃねー!」

    「医者よりも先にお前達の先輩じゃからの!フハハハ!」

    931 = 893 :

    一月後…。退院して数日。

    「なぁ、妖精」

    「ん?」

    「んー、いや、やっぱいいわ。って痛い!噛むな!」

    「日本男児ならば最後まで言え」

    「…はいはい…。お前がその…、可能な年齢きたら結婚してやんよ。お前から空を奪った責任取ってやる」

    「… … …」

    「…な、勇気出したんだから反応とか何か返して欲しいぞ?」

    「…バーカ!もうとっくに羽なんていらねーんだ。男が傍に居てくれる限りな!」



    【山盛りの全てをくれる人】  終わり

    932 = 893 :


    あー、女医の台詞まわし間違えてたわー…。そこは脳内変換でどうかよろしく。脳溶けてたわ。

    933 :

    >>846だけど
    生贄に奉げられたのって俺?

    934 = 896 :

    妖精の口調でイマコさん思い出した
    ありがとう

    936 = 908 :

    面白かった、乙
    仕事終わったので、帰ったら支援する
    それまで残っててくれ

    937 = 896 :

    だが残り60!
    >>1
    次スレあるか?

    938 :

    >>933
    ありがたく捧げさせてもらった
    いい燃えっぷりだったぞ ジューシーな香りで…

    939 = 892 :

    ケーキ作りながら見てるぜ
    客来ねぇ^q^

    パート化しようがどうなろうが>>1の勝手だろうけども、俺は着いてくぜ

    940 :

    結婚してやんよで吹いた

    941 :

    うわああああ
    また入寮逃した…

    942 = 908 :

    >>939
    仕事しろ

    943 :

    パート化嫌われるなら製速でやればいいじゃない

    944 = 941 :

    ここで落ちるなよ

    946 = 945 :

    おっ書き込めたwww

    947 :

    続きはいらない
    妖精は妖精じゃなくなったし、物語として終わっただろ

    949 :

    >>938
    なぜ俺は生きている?
    生贄にされたはずだが・・・・・・・

    950 :

    >>949
    気付いていないのか、お前…
    いやなんでもない


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