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    元スレ佐天「これが……学園都市第一位の力!?」

    SS覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×6
    タグ : - 心理掌握 + - ぽけもん + - レベル5組 + - 一方通行 + - 上条 + - 佐天 + - 佐天一方通行 + - 当麻 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    401 = 324 :




    「う……」

    佐天は階下から伝わってきた振動を感じて目を覚ました。

    「こ、こは?」

    視界が閉ざされている。

    なぜか体のあちこちが痛い。

    力を振り絞って顔の上にかぶさる何かを押しのける。

    初春への見舞いの花籠だった。

    403 = 324 :

    体を起こすと、自分が段ボール箱の山に突っ込むようにして倒れていたことがわかった。

    (いったい、何が……)

    佐天は運がよかったのか悪かったのか。

    佐天は買い物をしていた階でおきた爆破の衝撃で、ダンボール箱の陰で気を失っていた。

    部隊の人間に見つかることなく今まで人質として拘束されなかったのだが、佐天はそんなこと知るよしもない。

    立ち上がって辺りを見回すと、フロアは散々たる様相だった。

    綺麗に陳列されていた商品は床に転がり、売り物の花は千切れた上に踏み荒らされ、ゴミくずのようになっている。

    405 :

    そろそろ覇王翔吼拳を覚える頃か

    408 = 324 :

    (なん……だろ、これ。わかんないけど、外に出たほうがよさそう)

    まだ混乱がおさまらない頭を振りながら歩き始める。

    手足が痛むが、大きな怪我はしていないようだ。

    エレベーターは使えそうにない。

    自分の足で降りるしかないのか、とげんなりしながら階段へ向かう途中で佐天の前を小さな影が横切った。

    410 = 324 :

    (――子供?)

    「待って!」

    佐天は走り去ろうとする子供の腕をつかんだ。

    「!」

    小学校にあがるかあがらないかといった年頃の少女だ。

    なぜか大人物のワンピースとカーディガンを身にまとい、大きなかばんを抱えてこわばった表情をしている。

    佐天は状況を完全に把握しているわけではないが、幼い子供が一人でうろいついていいような場面ではないことはわかる。

    411 = 324 :

    「……どうしたの?

     保護者の人とは一緒じゃないのかな?」

    目線が少女と同じになるようにしゃがみこみ、佐天は少女に話しかけた。

    「……」

    しかし少女は答えない。

    佐天をきつくにらみつける。

    「迷子かなぁ……とりあえずお姉さんと一緒に外に出ようか」

    少女はしばらく考えこんだ後、こくりと頷いた。

    412 = 356 :

    佐天さんって中学生なんだよな
    他の三人も
    俺が中学生の頃よりしっかりしてるわ

    413 = 324 :

    「これでココは全部だなァ」

    一方通行は人質が拘束さているフロアを見回しながら言った。

    フロアのそこここに、人間だったもののパーツが転がっている。

    414 = 324 :

    あるものは引き千切られ、

    あるものは吹き飛ばされ、

    あるものは潰され、

    あるものは切断され、

    あるものは貫かれ、

    あるものは血液を逆流させられて

    どれも体液を噴出すだけの物体になっていた。

    さながら阿鼻叫喚の地獄絵図だ。

    416 = 324 :

    一方通行はフロアの隅に押しやられた人質の集団に目を向ける。

    目隠しをされたままであるため、何が起こったのかを正確に理解している者は誰もいなかった。

    ただ、絶え間ない断末魔の悲鳴に身をすくませていた。

    (アァ? どうした? あのガキの姿が見あたらねェが……なンだ、すでに買い物終わってましたァ、てか?)

    一方通行は集団に向けて大声で話しかけた。

    「オイ、オマエらァ!」

    417 = 324 :

    集団から少し離れて座り込んでいるエプロンをかけた女性の体がビクッと震えた。

    銃を突きつけられてからほとんど放心状態だった花屋の女性店員が、突然の外部刺激にわれに返ったのだ。

    女性はしりもちをついたままずりずりと後ずさった。

    血塗られた床を這いずったため、ショーツまで血でぐっしょりと濡れるが、その気持ち悪さよりも恐怖が先にたつ。

    418 :

    しえーん

    419 = 324 :

    「こ、こ、殺さないでえ! いや!」

    一方通行はチッ、めんどくせェとつぶやくと、誤解にかまわず言葉を続けた。

    「……頭に花の飾をつけた、髪の長いガキを見なかったか。

     年は中学生くらいだ」

    「し、知ってます!! 知ってますから殺さないで」

    恐慌状態の女性は反射的に答える。

    「早く喋れ」

    「っ!は、花を買っていったんです! 爆発が起こったときに……

     それでっ、爆発が収まったら、……いなくなってたんです!」

    420 = 325 :


    私怨

    421 = 324 :

    女性は殺されたくない一心で、正解かどうかもわからない少女の情報を喋る。

    (あのガキ、花を買うとか言ってやがったな。……ビンゴだろォな、コレは)

    「いなくなってたァ? 爆発の直前まではいたんだろォ」

    「爆発の衝撃で転んで、め、目を開けたときにはいなくなってたんです!!」

    「そォか、ありがとよ」

    「え?」

    一方通行はそれだけ言うと、女性の脇を通り抜けて、人質の集団へ近づいていった。

    422 = 324 :

    一方通行の足音にあわせて集団がさっと分かれる。

    狭い空間で、よくもまあ見事にスペースを作り出すものだ。

    集団の中にいた風紀委員の腕章をつけた少年をつかまえると、その目隠しと拘束を解いた。

    「オイ、オマエ風紀委員だろ」

    「なっ……」

    少年はまず目の前に現れた凶悪な面構えの人物に驚き、次に血まみれの店内に驚いた。

    そして一方通行を強く睨み付ける。

    423 = 324 :

    「……いい面構えだ。

     いいか?こっから下にはもう生きたテロリストはいない。

     オマエがうまく誘導して、パニックを起こさないように全員避難させろ」

    「は?」

    そこまで聞いてやっと少年は目の前の人物が救援に来たのではないかと気づく。

    にわかには信じがたいが。

    「で、でもあなたは」

    「俺はまだ、めんどくせェ仕事が残ってやがるからな」

    言って、一方通行は天井を見上げた。

    424 = 324 :

    ちょっとごはんとハイパー書き溜めタイム。

    426 = 386 :

    行ってらっしゃい

    427 :

    佐点さん活躍させてあげてね。

    429 = 335 :

    430 = 425 :

    はいどーん

    432 = 360 :

    飯くいながらほす

    434 = 360 :

    や…保守

    436 :

    ふーふー

    437 = 324 :



    馬鹿な、と思った。

    化け物だ、とも。

    走りながら男は考える。

    あれはなんだ? あの白いのは。

    男は情報としてはあれのことを知っていた。

    学園都市最強の超能力者・一方通行。

    あれは本当に人間か?

    仲間がなすすべもなく千切れ飛ぶのを見た。

    何をされたかわからないまま絶叫した仲間を見た。

    自分の手に入れたレベル4など、あの能力の前では水鉄砲だ。

    438 = 324 :

    そのとき男は思った。

    死にたくない、と。

    死の覚悟を決めてテロに及んだはずの男は、圧倒的な暴力の前に始めて明確に自らの死を意識した。

    (しにたくないしにたくないしにたくないしにたくない)

    上へ上へと階段を駆け上がる。

    屋上まで出れば、自分の能力で何とか逃げ切ることができるかもしれない。

    439 = 425 :

    ×化け物
    ○悪魔

    440 = 324 :


    「ぐあ!?」

    「きゃ!」

    必死に走る男は、上から降りてくる少女二人に気づかず、盛大にぶつかり合った。

    そのまま三人はもつれ合うように階段を転がり落ちた。

    「うっ……だ、大丈夫?」

    「な、何だてめぇら!

     おまえらも能力者か!?」

    男は倒れたまま佐天に銃を突きつける。

    443 = 324 :

    「あ……な、う」

    目の前にちらつく銃に、佐天の表情がこわばる。
    震える手で少女をぎゅっと抱きしめた。

    男は、見過ごしていた一般人か、と吐き捨てると、佐天の抱く少女の腕をつかんだ。

    一般人の子供。

    人質をとったところで例の化け物には意味がないだろうが、盾にくらいはなるかもしれない。

    そう思って、単に運びやすいほうを選んだ。

    444 = 324 :

    「!?」

    「離せクソガキ!」

    少女の腕が強く引っ張られ、佐天の腕の中から奪い取られそうになる。

    「だ、だめっ!」

    少女を抱く手に力をこめる。

    「ガキがっ!」

    男の手から何かが飛んだ。

    それが何かはわからなかったが、男の能力なのだろう。

    佐天の両頬に浅く亀裂が走った。

    446 = 324 :

    「っ」

    引っ張る力が緩んだ瞬間に、少女をもぎ取られる。

    「てめぇは邪魔だ!とっとと失せろっ」

    生き残るために必死な男は、非力そうな中学生など眼中にないようだ。

    (でも、あの子は……)

    少女は男の手の中でじっと黙っている。

    恐怖で声も出ないのかもしれない。

    このままじっとしていれば、男は去り、佐天は危害を加えられないだろう。

    447 = 324 :

    (見捨てるの? そうすれば、あたしは助かる?)

    見捨てる見捨てないの問題ではない。

    佐天が少々抵抗したところで、死体が一つふえるだけだ。

    (できない……!なんの能力もいんだよ、あたしは!)

    全身が震える。目尻に涙がたまり、思考ががちがちにこわばる。

    「どうせ虐げられる無能力者は大人しくしてりゃあ痛い目見ないですむんだよ!」

    それは男自身の経験から来る言葉でもあった。

    449 = 324 :

    男は佐天に背を向ける。

    「あ、あたしはっ!」

    無能力者だから何もできない。

    無能力者だからあきらめる。

    無能力者だから……仕方ない?

    『覚悟を決めるか決めねェか。それに能力なンか関係ねェだろォよ』

    今日はじめて話した、名前も知らない誰かの言葉が頭に響く。

    (無能力者で、何も、何の力もないけれど……)

    「無能力者(あたし)にだって、ゆずれないことくらいあるんだからあああぁぁぁ!!」


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