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    元スレ新ジャンル「鋏」

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    101 = 78 :

     「最近なんかお前重いんだけど」

    db 「貴方の手首・握力を鍛えるためのささやかな内助よ」 ズシリ

     「鍛えてどうすんの!?」

    db 「最低でも金切り鋏を紙でも切るかのように軽々と操れるようになってほしいの」

    db 「貴方はわたしの愛を受け入れるのにもっともっとふさわしい男にならなくてはならない!」

     「何度も言ってるが受け入れる気はまったくないッ!」

    102 :

    夕方の4時から休まずに書き続けてるのか…
    すごい胆力だ

    104 = 83 :

    「さああああ」

    「嫌な梅雨だねえ」

    「洗濯物も乾きゃしねえ」

    「呑んでるうちに晴れるさ」 トクトク

    「俺んちは飲み屋じゃねえ!」

    「いいかげん雨で腐れよその酒!」

    「昔の酒ならともかく、現代の酒はそうそう簡単に腐りゃしないよ」

    「鋏が勝手に錆びるぐらいになれば、さすがに腐りもするだろうけどね」

    「ステンレスなめんなコンチクショウ」

    「ああ。意地でも腐らせてえなーその酒」

    「そうかい」

    「だったら村の入り口にある石像の眼でも赤く塗ってくるといい」

    「水気系では一番のフラグだよ」 チビチビ

    「節子それ腐るフラグやない。集落が水没するフラグや!」

    105 = 78 :

    db 「電車内でのつれづれに、窓から見える景色へ鋏を飛ばしている人はどのくらいいるのかしらね」

     「普通そういうのは忍者でやるから」

    db 「窓枠内の景色では街中にある直立棒状のものが鋏にスパスパ切られていくの」

    db 「けっこう爽快よ?」

     「いらん! オレぁドラゴンボールの悟空飛ばしてるから!」

    106 = 78 :

    db 「和鋏……和風
       裁ち鋏……熱血
       キッチン鋏……家庭的
       剪刀……理系
       事務鋏……主人公的無個性
       金切り鋏……オッサン臭い
       花鋏……純情可憐
       剪定鋏……田舎もの
       高枝切り鋏……不思議ちゃん
       理容鋏……スタイリッシュ
       枝切り鋏……がさつ
       鼻毛切り鋏……汚部屋住人
       芯切り鋏……時代錯誤
       爪切り鋏……甲斐甲斐しい」

     「またどうでもいい設定を……」

    db 「……で801!」

     「えッ!? ぜんぶ男なのそれ!?」

    db 「サア何をぐずぐずしているの?」

    db 「次のイベントまでに早く原稿を仕上げなさい!」

    db 「アヘラースレに入り浸っている場合じゃあないのよ!」

     「ふwざwけwんwなwwwwおwまwえwがw描wけwwwwww」

    107 = 78 :


    db 「や……っ! 触点は敏感なの! もっとやさしく……」 シャコシャコ

     「そこが鋏の性感帯なんだ……」

     「あとその妄想中にもしオレを登場させてたら、塩水に漬けて放置するからなッ」

    108 = 83 :

    「よォ」 フラッ

    「花につられて呑みもしないのが迷ってきたか」

    「花を見ても呑むしか能のない奴ぁ黙って呑んでろ!」

    「それが人のうちの桜を愛でる態度かい」 チビチビ

    男 ウロウロ

    「樹の下で何をやってるんだ。あんまり踏むと根が傷む」

    「今年の見上げポイント探してんだよ」

    「そうかい」

    「じゃあついでに剪った方がいいポイントも探しておいてくれ」

    「桜って剪っていいのか?」

    「染井吉野は人工の樹だ。人が剪らなきゃ逆によくない」

    「ふうん。でもそういうのは庭師に頼めや」

    「君んちの高枝切り鋏は、じゃあ、何のために買ったんだ」

    「知らん! あの日いたいけな俺をたぶらかしたジャパネットたかたに言え!」

    109 = 78 :

    U 「掌の中にスッポリ納めたまま刃を見せずわたしを自在に操れるようになりなさい」

     「いまどき和鋏なんか使わねーよ」

    U 「ンマアそんなことでいったいどうやって忍者の暗殺術に対抗しようっていうの!?」

     「てめえはいつから暗器になった?」

    111 :

    dbが鼻の穴に見える呪いをお前らにかけた

    113 = 78 :

    db 「オカズに飢えているからといって、わたしの指穴にほかの鋏の刃を突っ込むのはおやめなさい」

    db 「そんなものを見ながら童貞棒を慰めていったい何が楽しいというの!?」

     「しねえよ! そんなもんに欲情するまで落ちぶれちゃいねえよ!」

    db 「貴方のものを直接挿し入れる勇気を持って!」

     「しねえっつってんだろ!」

    db 「ホホ初めてが怖いのはよくわかるわ。でもそのままでは貴方は一生童貞なのよ!?」

    114 = 83 :

    「いい鋏が手に入ったんだ」

    「間に合ってます」

    「君んちにはまだなかったろう? 胡桃の殻剥き鋏」 ツイ

    「呑まねえ俺に剥かせて、てめえがつまみにする気だなコンチクショウが!」

    「銀杏も剥ける」

    「ギヤアアアア銀杏まで押しつけて来やがったァ!」

    「軽く炙って塩でもつけてつまむ気だろ!? この外道! 下衆! 悪魔!」

    「胡桃はもう拾ってきてある。半分あげるから剥いてくれ」 ドン

    「君もいずれ人の親になれば子供のために文旦の皮を剥くようになるんだ」

    「その練習だと思えばいい」

    「違うよ! 文旦と胡桃はぜんぜん違うよ!」

    「胡桃のシュトレンもいいな。年の瀬にワインと一緒にだね……」 トクトク

    「イヤアアアアどこまで人に押しつける気なの!? この天魔! 鬼畜! 増長慢!」

    「作ったら少しずつ、長く食うんだよ」

    「夜中に一人でぜんぶ食べたりしちゃあ駄目だからな」 チビチビ

    115 = 78 :

     「ん……くそ……こいつ……」 ゴソゴソ

    db 「マアまた無駄なことを」

     「無駄も何もこの紐ほどかなきゃ中の荷物出せないじゃーん」

    db 「ホホ愚かな童貞ね」

    db 「固く結ばれた紐を素手で綺麗にほどけるのは、勝利者であるリア充だけだというのに!」

    db 「とっておいてまた使うわけでもなし、さっさと鋏でチョン切っちゃいなさいな」

     「いや、待て……もうちょっとでほどけそうなんだよこいつ……」

    db 「エエじれったい! 童貞には無理だと言ってるでしょう!」 シャキンシャキン

     「邪魔すんなコラ! 手元が狂……うわよけい固くなった!馬鹿ッ!」

    116 = 103 :

    リア充って凄いんだな・・・・

    117 = 78 :

    db 「さみしいわ貴方最近構ってくれないじゃない」

     「あいにくとオレぁ植木屋でも仕立屋でも床屋でもないんでね」

    db 「せめて貴方の指をちょうだい」

    db 「さみしい時は指穴の中に入れ貴方を想って静かに泣くわ」

     「その前に全オレが号泣するねッ!!」

    118 :

    落とすかよ

    119 = 83 :

    「皎々」

    「いい満月だ」

    「小っちゃすぎていいとか悪いとかよくわからん。沢蟹か!」

    「よくもまあこんな小っちゃいもんにあんだけ名前つけまくったもんだ。偏執狂か!」

    「雨と月に名前が多いのはこの国の運命だよ諦めたまえ」

    「そんなに嫌なら、自分でまだ名前のない形の月でも作って愛でればいいじゃないか」

    「ちょうど満月だ」

    「鋏で好きなように切るといい」

    「切ったら切ったで、また勝手な名前をつけて観賞するんだろコンチクショウめ!」 モグモグ

    「月見にメロンパンを食うようなのが、細かいことを気にするねえ」 チビチビ

    「作りすぎたもんは仕方ねえだろ」

    「それに月と同じ色したもんなんだから、月見に食ったっていいじゃねえか」 モグモグ

    「メロンパンの別名が “サンライズ” だと知ってて言ってるのかいそれは」 ヒョイ

    「さっきから自分も食っときながらなにほざきやがる」

    「ふ、ふ。君は呑まない分、甘いものを作らせるとなかなかのもんだよ」 モグモグ

    120 = 78 :

     「いまさらだけど、なんで鋏がしゃべって動いてるんだろう……」

    db 「アラわたしは神の化身なのだと以前言ったじゃない」

    db 「神の身でなくてどうして『かみ』と名のつく他の物を切れるというの!?」

     「マジで神なのか……?」

    db 「……」

     「……」

    db 「……ホホ冗談よ。冗談に決まっているじゃない」

    db 「本当は支点力点作用点の存在によるテコの原理のなせるわざでしかないのよ」

     「テコの原理すげえええええええ!!!!!!1!!!」

    121 :

    まだやってやがるwwww

    122 = 78 :

    db 「サア鋏をモチーフにした超人を考案して集英社に送るわよ!」

    db 「ストロング・ザ・武道の正体に採用させて、鋏の名を満天下に知らしめるのよ!!」

     「待て!」

     「OVERさんの中の人は魚雷ガールで許されても、武道の中身が鋏ってのは許されねぞ!?」

    123 = 83 :

    「袋が固いな。鋏を貸してくれ」

    「ほい」

    「ありがとう」 ジョキジョキ

    「ちょっと辛いが君もつまんでくれ」

    「ああ」

    「ずいぶんと年季の入った裁ち鋏だね」

    「気が付いたらうちにあったからなー」

    「たぶん親の代からあったんだろ」

    「いいかげん小汚ねえよなあ」

    「いや。裁ち鋏はこのぐらいの方が味があっていい」

    「親から子へ、受け継ぐだけの価値があるものの一つだよ」

    「そうかぁ? 変なもん面白がる酒飲みやね」

    「切れりゃなんだっていいじゃねえか鋏なんざ」 ポリポリ

    124 = 78 :

    db 「鋏も人間の女も、緩くもきつくもないあたりが名器と呼ばれるのは同じ」

    db 「つまり鋏も人間の女も同じなのよ!」

    db 「ハアここまで言わなければ童貞には理解できないのかしらねえ……」

     「わからん! お前の言うことはまるでわからん!!」

    125 = 78 :


    db 「かみはチェーンソーでなく、鋏で切りなさい」

    126 = 78 :

    db 「フウこの童貞には女の子にアクセサリーをプレゼントしてあげようという気概もないのかしら」 

     「ツッコミどころはどこですか?」

    db 「なんのためにヒットポイントがついていると思っているの!?」

    db 「いくら童貞でも付け替えのヒットポイントぐらい買えるでしょう」

     「それはおしゃれのためのワンポイントでついてんじゃねえよ」

    db 「ンマアお馬鹿さんね人間の耳や指だってそれは同じことじゃない!」

    127 = 121 :

    また1000行くまでノンストップでやる気なのか

    128 = 83 :

    「もうこんな季節になったんだ」

    「赤蜻蛉かー」

    「黄金なす稲田の上に群れる赤蜻蛉」

    「何だかんだ言って、日本には生まれてみるもんだねえ」 モソモソ

    「呑みたげに手ぇ動かしてんじゃねえよ酒袋」

    「新米を見たら新酒を呑みたくなってきて当然じゃないか」 クス

    「これ、醸す用の米か? 見境ねえなこの酔っ払いは」

    「ふつうのより丈があるだろ。地元生まれの酒用品種だよ」

    「いくところまでいった酒飲みは、そんなもんまで見てわかるんかい。終わったな!」 ペシペシ

    「わさわさ」

    「じゃあ君はこれを見て何を思うんだい。興味あるね」

    「あ……?」

    「……」

    「そういや昔はよく蜻蛉捕まえて鋏で羽根切ってたなあ、とか」

    「ああ……やっぱり君は呑まなくて正解だよ」

    129 = 83 :

    「おっ。何か焼くのかい?」

    「パン作ってんだよ」

    「そうかい。ワインを持ってきたのもまた天命か」 タプン

    「コンチクショウ! また人の作ったもの横取りする気だよこいつ!」

    「だから君も呑んで構わないんだよ?」

    「呑めるかあんなゲロの味しかせんもんなんざァ!」

    「君の味覚は面白いねえ。何を呑んでもそれしか言わない」

    「俺にゃあアルコールの味の違いがわかるおまえの方が面白いね。意味わからん」 モソッ

    「おっ。ここで鋏」

    「すると今日のパンはエピ……なるほどワインで正解だ」

    「パンオレだボケナス」

    130 = 78 :

     「今日は星がよく見えるな」

    db 「フン」

     「ん? 星は嫌いか?」

    db 「……てんびん座ってあるじゃない」

    db 「もとはさそり座のはさみだったのよ」

    db 「独立当初ははさみ座とも呼ばれていたのに、それが今ではスッカリてんびん座よ!」

    db 「こんなふざけた話ありゃしないわ!」

     「オレに言われても知らん!」

    db 「でも貴方だけはあれをかたくなにはさみ座と呼んでくれると信じているから!」

     「それは五老峰の老師に悪いからやめとこうぜ」

    131 = 78 :


    db 「ドレ今日はこの皮剥き突起で貴方の皮でも剥いて差し上げましょうか」

     「おっとそいつを刺して剥くのは分厚い柑橘の皮だけにしておきな!」

     「オレの龍神さまは逆に覆い隠す皮がほしいくらいの眩しすぎる逸物だと知らんのか!?」

    132 = 83 :

    「がやがや」

    「ほろ酔い気分でうろつく縁日は最高だねえ」

    「俺は素面だけどな!」

    「無理して付き合ってくれなくたっていいのに」

    「いやこういうのって、たまに愉快なイロモノがあるじゃん」

    「まあだいたいはどこででも買えるもんが無意味に高いだけなんだけどよ」

    「ふ、ふ。ならば誘った甲斐があったというもんだ」

    「ん?」

    「珍しい。新粉細工だよ。ほら」

    「なんとも見事な鋏裁きじゃないか」

    「あれが? 始めて見たわー。器用なもんだねー」

    「買うかい?」

    「買わねえよ……呑むのか?」

    「呑まないよ。この技は呑みながら見るには失礼だ」

    133 = 78 :

    db 「サア用意できる限りの各種鋏を用意して」

    db 「鋏の音でわたしと貴方の愛の音色を奏でるのよ!」

     「鋏は楽器じゃねえ!」

     「それにオレの手は二本だ!」

    db 「マアそれじゃあ貴方はいかなる調べに乗せてわたしへの愛を歌い上げるの!?」

     「まさかとは思いますが、この『愛』とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか?」

    134 = 78 :


    db 「妖刀を打ち直せば妖鋏もあるいは作れるかもね」

     「そういうのは再利用せず、火山の火口にでも捨て溶かすことをお勧めするね!」

    135 = 83 :

    「古いものをあさっていたら面白い鋏を見つけたよ」

    「何だこのスプーンみたいな鋏は」

    「和蝋燭の芯切り鋏だね。切った芯が落ちないよう、刃を合わすとスプーン状になるんだ」

    「そしてそのでっかい蝋燭は何だ」

    「せっかく面白いものを見つけたんだ。使ってみたいじゃないか」

    「物好きなことに金を使う奴だなー」

    「昔のってことは、わざわざ研ぎ直しにでも出したのかこれ?」

    「ふ、ふ。象牙の箸の法則ってやつかな」

    「酒池肉林の挙げ句に鹿台で焼死する気か」

    「焼け死ぬにはまだ呑み足りないねえ」

    「お前が呑んでる間俺に何をしろと?」

    「酒のアテがてら怪談でもしててくれ」

    「作法どおり一話終了で吹っ消していいんだな!?」

    136 = 78 :

     「やっぱ鍋には蟹だよなあ……」 ハグハグ

    db 「わたしのために蟹鍋とは貴方も少しは気が利くようになったのね」

     「すいません意味がわかりません」

    db 「わたしは殻を剥く、貴方は肉を食べる。そういうことでしょう?」

     「え?」

    db 「え?」

     「蟹の殻なんていつも指入れて割って食ってるけど……」

    db 「アア何というものの道理のわからない童貞なんでしょう!」

    db 「蟹の殻を道具も使わずパキッと綺麗に割れるのは、神に愛されしリア充だけの固有スキルなのに!」

    db 「童貞が真似しようとしても殻はグニャグニャ曲がるわ、肉は半端にこびりついたままだわ」

    db 「たまに一度で割れても欠片が肉に残り、口の中で名状しがたい音を立てるのよ!」

     「そそそそんなことないわ!」 ドキッ

    db 「いいからわたしにまかせなさい! 肉を横取りしようってんじゃないんだから!」 シャキンシャキン

    137 = 78 :


     「お前オレのドラクエいじったろ?」

    db 「オオわたしの童貞! 感謝なさい!」

     「勝手に持ち武器を全部おおばさみにしてんじゃねえッ!」

    138 = 78 :

    db 「全鋏擬ハサミムシ化計画、始動!」

     「 や  め  て  ! 」

    db 「脚はやっぱり百足並み!」

     「 堪  忍  し  て  !! 」

    db 「すべてが天井から降ってくる!」

     「 い  っ  そ  殺  し  て  !!! 」

    139 = 83 :

    「れ?」

    「紅々」

    「田んぼ脇じゃあんめえに、また変な山の中に彼岸花が咲いてらあ」

    「今は山の中だが昔は道だったらしい」

    「脇に田んぼぐらいあったのかも知れないな」

    「ほーう。野の花に歴史ありだねえ」

    「このまま見過ごすには惜しいが……摘んで帰るほどでもないか」

    「彼岸花に鋏入れると家事になるとか言うしねえ」

    「ふ、ふ。君にしては変なことを知っている」 

    「うるせえ」

    「放っておいてもまた来年逢えるんだから、そのとき酒でも持ってくればいいだろう」

    「やっぱ呑むのな」

    「お彼岸は仏事じゃないか。仏事にお供えの酒は欠かせないよ」

    「ケッ。葷酒山門になんたらとか言うくせに、ふざけた話だぜ」

    「ああ。まったくだ」

    140 = 78 :

     「どうもお前は物語の方向性を間違っているように思えてならん」

    db 「アラ童貞のくせして他人様に指針を示そうというの?」

     「鋏職人の弟子である青年と、鋏を使う職業で同じく見習いの身の少女達との交流の物語とか」

     「華道とか、庭師とか、美容師とか……」

    db 「却下」

     「はやっ!」

    db 「わたしと貴方の間にはほかの女との交流なんかいらないのよ!」

    db 「そんな邪魔な交わりはわたしがすべて裁ち切ってあげるから安心なさい!」 シャキンシャキン

    141 = 78 :


    db 「あんまりわがままばっかり言ってるとホントにチョン切っちゃうわよ……梳鋏で!」 シャコシャコシャコ

     「やめてええぇ! 新井赤空作初期型殺人奇剣で斬られる方がまだマシよおおぉ!!」

    142 = 83 :

    「寒いと思ったらやっぱ田んぼも凍ってらあ」

    「こんな日に田んぼで居眠りしてたら、鳥もそのまま足下が凍り付くのかねえ」

    「鳥はそこまでアホじゃねえだろ」

    「足下から鋏でばっさり刈って鍋にして、一杯やってみたいもんだ」

    「かわいそうなことしてんじゃねえよ」

    「脚を残しておいたらそのうちまた生えてくるさ。稲だって二番穂がつくんだから」

    「おまえ酔っぱらってんのか?」

    「葱の妖精だって脚さえちゃんと残しておけば、しっかり身体は生えてきたよ」

    「妖精さんは切っちゃらめええええええええ!」

    143 = 78 :

    db 「そんなに言うならお望みどおり、シュレッダー鋏で切ってあげましょうか?」 シャキンシャキン

     「なにコレェ? 刃がいっぱいついてるゥチョーマジ連刃刀ぉ~」

    db 「ホホ時代の進歩鋏の進化とはたいしたものね!」

    db 「いまや千円もあれば誰でも十本刀の一員として、志々雄さまとともに戦えるのよ!!」

     「そんなもんになるくらいなら、オレは縁くんのやさぐれた心に活を入れて差し上げたい!」

    144 = 78 :

    db 「なによそのデザインナイフは!」

    db 「そんな童貞臭漂うものなんか使ってないでわたしを手に取りなさい!」

     「オイオイ鋏で切り絵はチト無謀だぜセニョリータ!」

    db 「オオ鋏はすでに極限まで完成された手動刃物の王」

    db 「使いこなせないというのなら、それは使い手が童貞だからと言うほか理由はないのよ!!」

     「じゃあ鋏で深海探査する方法言ってみろやファック鋏ッ!」

    db 「ホホ可哀想な童貞! オオこれは鋏だけの話ではとうてい済まされないのよ童貞!!」

    db 「何でも人のせい、もののせいにする人生に、いったい何の甲斐があるというのかしらね!」

    145 = 83 :

    「わさわさ」

    「わざわざ山の中くんだりまで来てよォ」

    「すっかり実桜になってんじゃねえか」

    「その実を見に来たんだ」

    「酒のアテに食うのか? 食えるのか?」

    「不味くはないよ。小さいながらもアメリカンチェリーっぽい味がする」

    「じゃあ大量にまとめて食えばアメリカンチェリーそのものか」

    「高枝切り鋏でも用意しなきゃ、手で摘めるだけじゃ足りないな」

    「それにヤクルトはあの小さい容器だからいいんだ。まとめて食うもんじゃない」

    「それは認める」

    「っと。話がずれた」

    「まだ青いのから熟しているのまで、この色合いの変化がいいんだよ」

    「細けえなおまえも」

    「おや。気に入らなかったかい? なら食い気の方に走りたまえ」

    「いや。こういうのもいい」 ニヤ

    146 = 78 :

    db 「ところで貴方下着は刻んでから捨てないの?」

     「どこの痴漢が男の下着なんかゴミから盗むんだよ」

    db 「アアなんという無知なんという童貞!」

    db 「狂った腐女子がゴミ袋をあさって童貞のパンツを狙わないとも限らないわ!」

    db 「これからは! きちんと鋏で切り刻んでから捨てるように!!」 シャキンシャキンシャキン

     「イヤアァー! 狂った刃物がボクのおぱんちゅ狙ってるうゥー!!」

    147 = 78 :


     「うわっ……また枝と一緒に芋虫真っ二つにしちゃった……うわっ……」

    db 「ホホ童貞如きが園芸鋏を使っていればよくあることよ!」

    149 = 83 :

    「ついでに鋏を持ってきてくれないか」

    「あん?」

    「月見用に薄を刈っておきたいんだ」

    「どうでもいいことにマメな奴だな」

    「月が見てえのか、薄見てえのか、酒呑みてえのか、はっきりしやがれコンチクショウ!」

    「どれか一つ捨てろとお母さんに怒られたらどうすんだてめえ」

    「そうだねえ。まずは軍備を捨てようか」

    「それは孔子な」

    「じゃあ君は団子を作りたいのか、月を見たいのか、どっちなんだい」

    「くだらん」

    「今年作るのはおはぎだ!」 クワッ

    「……」

    「君も大概にマメな人だよ」

    150 = 83 :

    「ほい、鋏」

    「いや。いい」

    「んっ」 ブチィッ

    「……ソーセージを食いちぎって開ける酒飲みってオッサン臭い、改めてそう思った」

    「酒飲みが自分をかっこいいと思ってていいのは、せいぜい社会に出るまでだよ」

    「だいたい、うどんは音を立ててすすり、ソーセージはこうやって開けるのが礼法だ」 ムキムキ

    「食材をちぎるのが好きだねえ」

    「安物のソーセージなんか相手に気取る方がむしろどうかしている」 モグモグ

    「まあソーセージだしな」 モグモグ


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