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    元スレ勇者「ニートになりたい」

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    351 : 以下、名無しにか - 2018/01/25(木) 20:19:11.92 ID:qQBUgtkA0 (+24,+29,-37)
    「まとめがー」
    「まとめではー」
    「コメ欄がー」

    冬休みか?
    352 : 以下、名無しにか - 2018/01/25(木) 20:19:43.36 ID:FNyLS5Vu0 (+29,+30,-68)
    バカバカしすぎるw
    エレ速のコメ欄とか有名SSでさえ「なろう産みたい」にピンポイントで反応して叩く吹き溜まりの集まりじゃねーかw
    しかも世界観壊れてるとか衣装って設定でギャグSSにありがちなメタ発言でwww
    353 : 以下、名無しにか - 2018/01/25(木) 20:55:18.60 ID:7YD3kyBA0 (+24,+29,-12)
    乙レス1つからの炎上信者大量発生とかもうね…

    いろいろ察してしまいますよ
    354 : 以下、名無しにか - 2018/01/25(木) 20:56:19.80 ID:FNyLS5Vu0 (+33,+30,-52)
    勇者「……知らないならいいんだ。でも、ちょっと派手かな? この世界観にそぐわないっていうか。もっとファンタジー色の強いものがいいと思う」

    この一文があっての世界観壊れてるツッコミとかそっちのが草生えるわw
    355 : 以下、名無しにか - 2018/01/25(木) 20:58:17.90 ID:ERwfwOrFO (+24,+29,-13)
    それだけ注目されてるんやで
    まとめでコメ欄が荒れるのも同じや
    356 : 以下、名無しにか - 2018/01/25(木) 21:16:01.40 ID:FNyLS5Vu0 (+33,+30,-101)
    俺は有名SSの「仲間TUEEE」SSのコメ欄が今のこことまったく同じような「なろうみたい」「作者の自演で察する」になったときにあのサイトは変なの住み着いたなと逆に察したなw
    このSSに粘着してるのも同じやつだったりしてw
    357 : 以下、名無しにか - 2018/01/25(木) 22:44:20.01 ID:RpLbcTqLO (-9,+5,-4)
    358 : 以下、名無しにか - 2018/01/25(木) 23:14:57.86 ID:1VAm1C8A0 (+24,+29,-15)
    それだけ連投してれば、ねえ
    遠慮なしに連投できるのって、作者か荒らしぐらいしかいないから
    359 : 以下、名無しにか - 2018/01/26(金) 00:03:44.16 ID:3ZqTLTN60 (+24,+29,-10)
    まーた信者が騒いでるのか…頼むから静かにしててくれ
    360 : 以下、名無しにか - 2018/01/26(金) 00:37:54.72 ID:KgC32AaKO (+29,+29,-113)
    iD:FNyLS5Vu0
    まとめサイトの感想欄で皆に面白いと言われてる
    エレ速のコメ欄なんて「なろう産みたい」にピンポイントで反応して叩く吹き溜まり

    感想欄とコメ欄って使い分けてるけど何で?
    コメント欄であることに変わりはないよね?
    サイトは違えどコメント欄ということに変わりはないよね?

    コメ欄に面白いと書いてあるから面白いんだと言うような主張かと思えば、コメ欄なんて叩きの吹き溜まりと言う

    言ってることぐちゃぐちゃですよ
    361 : 以下、名無しにか - 2018/01/26(金) 00:45:34.28 ID:GLsWpgl80 (+30,+30,-42)
    森きのこでは絶賛されてるぞ
    ただ、エレ速は閲覧者の母体数が比較にならないからね
    星を5つつける奴もいれば、1つしかつけない奴もいる
    どんな作品にも否定的な人間は一定数いるわけだから、顔真っ赤にして喧嘩しちゃいかん

    362 : 以下、名無しにか - 2018/01/26(金) 05:30:21.45 ID:fGNDHHkao (+24,+29,-21)
    久々の長編名作だと期待
    楽しみにしてるよ
    363 : 以下、名無しにか - 2018/01/26(金) 05:54:05.78 ID:c7j70UuA0 (+27,+29,-12)
    乙がないからとか言ってる方も頭おかしい
    黙って見守ることができんならどっちも出て行け
    364 : 以下、名無しにか - 2018/01/26(金) 06:05:27.12 ID:+iJNe8k9O (+29,+29,-49)
    過敏に反応してるアンチがエレ速住民だってのはよくわかった
    エレ速まとめ禁止だと書いた方がいいレベル
    じゃないとまとめられたら待ってましたと言わんばかりにクソSSの連呼を自演されてるのが想像に難しくない
    365 : 以下、名無しにか - 2018/01/26(金) 07:25:20.49 ID:dpr/yItPO (+24,+29,-26)
    その決め付けは何なの? 根拠は?
    アンチは嫉妬してる作者なんでしょ、何でエレ速住民になったわけ?
    366 : 以下、名無しにか - 2018/01/26(金) 08:11:51.93 ID:c7j70UuA0 (+36,+29,-44)
    ここがエレ速のコメ欄そのまんまになってきてる
    本当に>>270あたりまで平和なスレだったから誰が荒らしてるかなんて一目瞭然なんだがな
    レスバトルの内容もゴミだ
    368 : 以下、名無しにか - 2018/01/26(金) 08:55:14.74 ID:s+qaajMpO (+25,+30,-64)
    過剰に反応する読者もどうかと思うよ
    煽られても無視すればそのうち消えるのに、むきになって反論するとか悪手でしかない
    SSの内容がどうであれ荒らす奴は荒らすんだから何を言っても無駄だよ
    369 : 以下、名無しにか - 2018/01/26(金) 19:52:46.78 ID:3eBD+g4Co (+10,+25,-2)
    楽しみ
    370 : 以下、名無しにか - 2018/01/26(金) 21:49:57.16 ID:h30HTTEeO (+14,+29,-4)
    追い付いた
    371 : 以下、名無しにか - 2018/01/26(金) 23:02:18.24 ID:KTeJh+RhO (+24,+29,-7)
    人が少なくなってもつまらないSSはちゃんと叩かれるんだな
    安心した
    372 : 以下、名無しにか - 2018/01/27(土) 08:10:01.36 ID:S4Lz+F1z0 (+27,+29,-8)
    実際問題叩いてるやつが自演しまくってるように見える
    373 : 以下、名無しにか - 2018/01/27(土) 09:30:59.06 ID:TAs0Dis1O (+24,+29,-7)
    叩きは全て自演です
    擁護は決して自演などではありません
    374 : 以下、名無しにか - 2018/01/27(土) 10:30:08.64 ID:S4Lz+F1z0 (+28,+30,-52)
    俺もそうだけどまとめで元スレ貼られてるから続き読みたくてそっから飛んできたやつもいるんじゃねの?
    擁護や信者が沸くのに自演がいないとは言わんが叩きがどっとわいてるのはどう見たっておかしい
    375 : ◆y7//w4 - 2018/01/27(土) 11:54:52.45 ID:sYFh7cGeO (+30,+30,+0)
    【仮面屋】

    スパイ○ーマン「ぜぇっ、ぜぇ、はぁっ……ふぅ~」バタン スポッ

    店主「おや、あんたついさっきの」

    兵士「チッ、見失ったか。おーい! 向こうを探せーっ!」ザッザッザッ

    勇者「うっ、やばっ」ササッ

    店主「表が騒がしいねぇ。捕り物でもやっとるのか」

    勇者「行ったか……こうなると思ってた! 思ってたよ!!」ビターン

    店主「なんだいきなり。物を粗末に扱うんではないよ。ましてやうちの元商品を。買った店で床にたたきつけるなんぞ……」

    勇者「ば、ばあちゃん! 俺も漫画は好きでよく読んでたけどさぁ……! 」

    店主「そりゃ子供達がよく読んでる本の代物だったのかい。だったら買手がつきそうなもんだがねぇ、なんで売れ残ってたんやら」

    勇者「コアな方だからな! アデルでも数冊しか見かけないぐらいの!」

    店主「詳細はどうでもいいよ。あたしゃあんたの希望に沿う品をご提示しただけだから」

    勇者「もっと他になんかない? ファンタジーでなくてもいいからもっと普通の……そう、舞台や劇であるような! これならばあちゃんもわかるだろ?」

    店主「劇……そうか。それなら最初から言ってくれればいいのに」

    勇者「あくまで俺が悪いみたいな言い方やめていただけるかな⁉︎」

    店主「……そうさね、演劇で使うとなりゃ……」ゴソゴソ

    勇者「つ、使うわけじゃないけど」

    店主「ん~と……これならどうだい?」ポイッ

    勇者「おっと……⁉︎」ズシッ

    店主「そりゃちょっと曰くつきなんだけどね。なんでも役者が着けてる時に死んだっていう」

    勇者「縁起わりーな! ……甲冑の鉄仮面か。これなら。たしかに、さっきより」

    店主「違和感とかさっきからお前はなにを言っとるんだい?」

    勇者「あぁ、いや、城に行くのにさ」

    店主「お城に? そんなもん着けて城にいくのかい?」ジトォー

    勇者「あんたんとこの商品だからな!」

    店主「客の個人事情なんか知ったもんか。あたしが知りたいのは用途だよ。城に行くならはやく言えってんだ」ゴソゴソ

    勇者「……これ、着けたら呪われたりしないだろうな……」ジー

    店主「それはその場に置いておきな」ポイッ

    勇者「んっ? ……っと」ポト

    店主「城に行くならそれなりの格好でなきゃ行けないだろ。それ着けてきな」

    勇者「これは……? 仮面か?」

    店主「貴族が愛用してるマスカレードマスク(舞踏会で用いられる仮面に装飾が施された物のこと)さ。……あんたの格好じゃチグハグだね」

    勇者「だって、体もスパイダー……いつもの服でもダメだな」

    店主「亡くなったじいさんがかっこよさコンテストで着ていた服がたしかこっちのタンスに――……」
    376 : 以下、名無しにか - 2018/01/27(土) 11:56:31.41 ID:lt/OPqe90 (+24,+29,-14)
    擁護も叩きも自演だらけでもはや魔境やな
    前はもっとマシだった気がするんだが
    377 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 11:58:50.96 ID:sYFh7cGeO (+33,+30,+0)
    【竜王城 司書室】

    シンリュウ「ふむふむ」ペラ

    ベビードラゴン「んしょ、よいしょ、紅茶と人肉クッキーを運んできましたよぉ」

    シンリュウ「そごにおいででぐれ」ペラ

    ベビードラゴン「精がでるっすねぇ~」コト

    シンリュウ「……」ペラ

    ベビードラゴン「勇者をお調べになってるだっしょ? 正直、たかが人間をなにを恐れるてのやら」

    シンリュウ「わだすもそう思う。だけんど、伝承によっちゃ、歴代魔王様の天敵扱いになってっぺな」パタン

    ベビードラゴン「勇者ってそもそもなんす? 記録が残ってるんすか?」

    シンリュウ「時代によっで解釈が変わる。勇あるもの、女神に愛されしもの、世界に平和と均衡を繋ぐもの……呼び名は様々だぁ」カチャ

    ベビードラゴン「ふぅ~ん。あっ、一枚もらうっす」ポリッ

    シンリュウ「“勇者”とはあくまで符号にしかすぎないのか? たまたまそうなった者が勇者と呼ばれる」

    ベビードラゴン「血統は関係ないんすか? んぐっ、あむっ」モグモグ

    シンリュウ「そんれがなぁ~、それもたまたまかもしれないし、そうじゃないのかもしんね」

    ベビードラゴン「よくわかんねっす」ゴクン

    シンリュウ「生まれ持った“ギフト(女神からの贈り物)”なのか……そうだとしたら……勇者とは“運び手”じゃないんかなぁ……」

    ベビードラゴン「運び手わっしょい、運び手わっしょい!」パタパタ

    シンリュウ「この部屋にある壁画。世界樹を前に、我が祖先と勇者が共に戦う姿……」

    ベビードラゴン「ほんとなんすかね? 祖先様は人肉を食べるのをやめたって話」

    シンリュウ「……」カチャ ズズ

    ベビードラゴン「こんなにおいしいのに」ポリッ

    シンリュウ「……っ⁉︎ あっつぅいっ! ベビー! ちょっとあんだ!」ブボッ

    ベビードラゴン「あっ、紅茶、暑すぎたっすか? 猫舌ですもんね」

    シンリュウ「冷ましてから持ってぎでっていづも言っでるだに!」

    ベビードラゴン「んだども、猫舌の竜王なんて聞いだごども。火炎の息はくのに」

    シンリュウ「覚えてけろっ! 何度言わせんの!」プルプル

    ベビードラゴン「す、すいません!」

    シンリュウ「……祖先様は、勇者のどこに惹かれたんだっぺな……」ボー
    378 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 12:17:58.27 ID:sYFh7cGeO (+60,+30,+0)
    【クイーンズベル城 城門前】

    勇者「はっはっはっ、いやぁ、今日も暑い中ご苦労だねぇ!」

    兵士「ん……?」

    勇者「失礼。私は名家出身である、ジャンポワール・ルネッサンスというものだが」

    兵士「は、はぁ」

    ジャン「気軽にジャンと呼んでくれたまえ」

    兵士「……」ジー

    ジャン「(バレませんようにバレませんようにバレませんようにバレませんように……!)」

    兵士「……本日はどのようなご用件で?」

    ジャン「(キターーー! ばあちゃん感謝!!)……この城の中に知り合いがいてね」

    兵士「はぁ、お知り合いですか。それならば名簿を」

    ジャン「いい、いい。私は貴族でありながら庶民の苦労を汲みたい」

    兵士「……?」

    ジャン「いや、だからだね、手を煩わせるのも悪いだろう?」

    兵士「あ、あぁ。いえ、これも務めですので、お名前を教えていただければ――」

    ジャン「申すな申すなぁ。せっかくこちらが気を使っているというのに」

    兵士「……」

    ジャン「……」ゴクリ

    兵士「――……あ、ありがとうございます。実はちょうどそろそろ交代の時間で」

    ジャン「そ、そうだろう⁉︎ そうだろう! 気にしなくていいんだぞ⁉︎」

    兵士「お優しい貴族様で。あの、それでなんですが城内に入るということで?」

    ジャン「無論だ。じゃないと自分では探せないからな」

    兵士「無許可で通すのはちょっと。そうだ、本日は身分証をお持ちでいらっしゃいますか?」

    ジャン「み、身分証?」

    兵士「はい。貴族様であれば、身分を証明するものをお持ちですよね?」

    ジャン「も、もちろんである!」ゴソゴソ

    兵士「……」ジー

    ジャン「あ、あれぇ~? どこやったっけなぁ……わ、忘れちゃったかなぁ?」

    兵士「……忘れた?」

    ジャン「い、いやぁ~ついうっかり。忘れるなんて慌てん坊さん! てへっ!」

    兵士「貴様……」チャキ

    ジャン「な、なんでせう?」

    兵士「貴族が身分証を忘れただぁ?」
    379 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 12:49:21.67 ID:sYFh7cGeO (+53,+30,+0)
    ジャン「た、たたたんま! 本当に! ウソじゃないて!」

    兵士「身分証を持ち歩かない貴族など聞いたこともない!」

    ジャン「今回がはじめてのケース! やったね! きみの童貞は捨てられたよ!」アタフタ

    兵士「ますます怪しいわ! 貴族がそんなにふざけた言葉遣いをするものかっ!!」

    ジャン「言っただろ⁉︎ うちの家系そうなの! こういう教育方針なの!」

    兵士「……では、どこの出身だ」スッ

    ジャン「ん?」

    兵士「出身地と名家であるという証拠を別の形で示せ」

    ジャン「ん??」

    兵士「できないのか……?」

    ジャン「で、できるよ! もちろん! 我が家系は先祖代々アデル王と関係を持っていて」

    兵士「ほう」

    ジャン「そ、それから、えっと、アデル王と親交が深くて」

    兵士「ふむ」

    ジャン「……アデル王と仲がすっごくいいんだ!!」

    兵士「で?」

    ジャン「ん??」

    兵士「だからなんだ?」

    ジャン「いや、だからさ、そんな凄い貴族ってことで、ここはひとつ」

    兵士「なにひとつ証明になっていないのだが?」チャキ

    ジャン「矛先って人に向けたら危ないと思うんだ」

    メイド「――……これ。なにをしているのです、城門前で」テクテク

    ジャン「(ん? あいつは……)」

    兵士「こ、これはこれは。姫様専属の……職務に励んでいたのであります!」ビシッ

    メイド「貴方は品格を落とすのが務めですか」

    兵士「いえっ! 不審者を取り締まり! 王と場内の安全を確保するのが務めであります!」ビシッ

    メイド「こちらが、不審者……」ジー

    ジャン「(ま、間違いない! あの凶悪姫と小さい頃から一緒にいた……! 俺がいじめられてたのをほくそ笑んでいたメイド……!)」

    メイド「城の者が失礼致しました。貴族様と見受けられますが、本日はどのような」

    兵士「メイド様! 騙されてはなりません! そいつは怪しいです!」

    メイド「黙りなさい。この方がつけているマスクは由緒正しきマスカレードマスクではありませんか。贋作でもない、真贋です。なにを疑っているのです」

    兵士「えっ? そ、そうでありますか⁉︎」

    ジャン「(な、なんとぉっ⁉︎)」

    メイド「……大変失礼致しました。兵にあまり学はないもので」ペコ

    ジャン「……いやっはっはっ! いい、いい! 私も身分証をついうっかり忘れていてね!」

    メイド「まぁ……それは」

    ジャン「だからそこの兵士くんが疑うのも当然よ。責めないでやってくれ」

    兵士「……っ! し、失礼いたしましたぁっ!!」ペコペコ
    380 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 13:10:07.39 ID:sYFh7cGeO (+60,+30,+0)
    メイド「重ね重ね、こちらの非礼をお詫び致します」ペコ

    ジャン「(けっ、なぁ~にがお詫びいたしますだ! 俺はあの時助けてくれずニコニコしてたお前を忘れちゃいねーぞ!!)……知り合いが城内にいてね。会いにきたのだが」

    メイド「お名前がわかればすぐにお調べいたしますが」

    兵士「そ、それがっ、貴族様は、ご自分で探していただけると」

    メイド「……? なぜ?」

    兵士「私を労っていただいて。それなのに、疑ってしまい、本当に申し訳ないことを……」シュン

    ジャン「(ちったー反省しろこのタコ!!)……いいんだ。間違いなど誰にでもある。キミはキミの職務を全うしようとていた。責任感に感服する思いだよ」キラン

    兵士「お、おおおぉぉぉっ」

    ジャン「これからも励み、そして必ずやこの国の、ひいては民の安全を守ってほしい。キミにしかできないのだから」ニコ

    兵士「くっ、我が人生、このようなお言葉をかけていただいのは初めてのこと! 私は自分が恥ずかしい!」ガクッ

    ジャン「――失敗を糧にしろ」

    兵士「糧に……?」

    ジャン「学べばよいこと。そうすればキミという価値もさらに高みに近づける」

    兵士「そ、そうか……俺は、たるんでいたのか」ギリッ

    ジャン「キミは私ができないことをしている。尊敬するよ」ポンッ

    兵士「うぅっ、うっ、ありがとうございます、ありがとうございます」

    ジャン「(なーっはっはっはっ!! きんもちええwwww)」

    メイド「本当に、素晴らしいお考えですね」

    ジャン「フッ、よしてくれ。私は父と母の教えに従っているだけで」

    メイド「かしこまりました。では、私が城内をご案内させていただきます」

    兵士「いえ! それならば俺が! 交代の時間ですし!」

    ジャン「(ん……?)」

    メイド「あなたよりも私が詳しい。空き時間があるなば……」

    兵士「ハッ! そ、そうだ! 高めねば! 自分を!」

    ジャン「いや、ほら、メイドさんも忙しいんじゃ?」

    メイド「お客様をご案内するのも務めなのでございます。失礼のないように」

    ジャン「(どうしてこうなった)」

    メイド「自己紹介が遅れて申し訳ございません。私は、クィーズベル王の一人娘にして第一王女。……その専属メイドを務めさせていただいております」フワッ
    381 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 13:35:55.30 ID:sYFh7cGeO (+60,+30,+0)
    【クイーンズベル城 城内】

    メイド「あの、なぜ先ほどから目につく鏡ばかりを熱心に」

    ジャン「えっ⁉︎ ご、ごほんっ、身だしなみは大切だからね!」

    メイド「左様でございましたか。法務室はこの先の右手になります」

    ジャン「(くっそー、この城って鏡こんなにあんのかよ! ナルシストかっつーの!)……あぁ、案内ありがとう。礼を尽くしてくれて感謝する」ペコ

    メイド「……」キョトン

    ジャン「では、私はこれで」

    メイド「お、お待ちをっ!」

    ジャン「……? なんだい?」

    メイド「下々に頭に下げるなんて聞いたことが。あの、どちらの家柄はどちらの」

    ジャン「フッ、名乗る時には相応しい場がある。今はその時ではない」

    メイド「それは、なぜでございましょう」

    ジャン「貴族とはなにか。そう下々に尋ねると権力と富の象徴だと答えるだろう。そこに差はないのだよ」

    メイド「……?」

    ジャン「つ、つまりだね、私はひけらかしたくないのだ。自分の家柄を」

    メイド「……またもや、ご無礼を。私もまだまだ見識が足らぬようです」

    ジャン「良いんだ。こういう貴族もいるとこれかは知っていてくれれば」

    メイド「感服の極みでございます」ペコ

    ジャン「うむうむ、ではこれで」

    衛兵「……」スタスタ

    メイド「……っ!?」ビクッ

    ジャン「(……ん?)」

    衛兵「……」スタスタ

    メイド「……ふぅー」ホッ

    ジャン「(なんだ? 今の表情は? 怯えていたような)」

    メイド「退城の際はお声かけくださいまし。私は最初に通りましたホールでお待ち致しておりますので」

    ジャン「あ、あぁ。わかった。そうするよ」
    382 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 14:05:17.91 ID:sYFh7cGeO (+58,+30,+0)
    【クィーズベル城 法務室前】

    ジャン「……よし、邪魔者はいなくなったな……」ササッ

    学者「ど、どどどいてくださいっ!」アタフタ

    ジャン「へっ?」クルッ

    学者「わひゃあっ」ドーンッ パラパラ

    ジャン「お、おお、自分でぶつかって自分でこけた」

    学者「ひ、ひいぃいいっ!! せっかく順序よく並べた資料がぁっ!」カサカサ

    ジャン「す、すまん。拾えばいいのか?」スッ

    学者「触らないでくださいっ!! どこになにがあるのかごちゃごちゃになるでしょう!!」クワッ

    ジャン「あ、はい」

    学者「あーっ、もう、急いでるのに。なんで角に突っ立てたんですかっ!!」

    ジャン「す、すみません」ペコ

    学者「うぅ~。間に合わないのにぃ、時間押してるのに~……はやく水質調査団と合流しないと」カサカサ

    ジャン「水質? それって井戸のこと?」

    学者「そうですよ! この国に住んでるなら知ってるで……あなた、誰?」

    ジャン「いや、私は貴族のジャンというもので」

    学者「お客様でしたか。城に入れるのならさぞかし誉れ高い名家なのでしょうね」トントン

    ジャン「それでさ、水質どうなってんの?」

    学者「どうもこうもありませんよ。民には伏せてますが、原因がわからないのです」

    ジャン「へぇ、伏せてんの? それってまずくない?」

    学者「ならば公表しろと? 無用な混乱を招くだけです。水はたださえ欠かせないもの。この国の気候ならば尚更です。大恐慌が起きますよ」

    ジャン「……」

    学者「国王様も長期化の憂いは充分理解しておいでです。法務担当の者達が法王庁との協議にはいっています」パンパン

    ジャン「(法王庁。たしかアデル王のとこに遊びいった時にきいたことあんな。名前だけだけど)」

    学者「水売りに来ている商人があるので、すぐに困窮するともないですし、外部の貴族様が知らなくてもよいですよ」

    ジャン「あ、そう」

    学者「どいてもらっていいですか? 急いでるので」

    ジャン「キミ、貴族に対してフランクだね」

    学者「もう一度言います、急いでるので。……罰なら後で受けます」

    ジャン「いや、そういう意味ではないけど」

    学者「失礼っ、っと、わたたっ」ヨテヨテ

    ジャン「前見えてないじゃん。よこせよ、半分」

    学者「は、はい?」

    ジャン「持ってやるから。整理し終えたんたなら触っても問題なかろうて」

    学者「ば、バカじゃないですか⁉︎ ……ハッ! もしや、貴族様に荷物持ちをさせてる現場を見させてさらに重い罰を……」

    ジャン「ばっかじゃねーの? そのかわり、ちょい話を聞かせてくれや」

    学者「話……?」

    ジャン「そうそう。歩きながらでかまわんから」スッ
    383 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 14:46:55.06 ID:sYFh7cGeO (+60,+30,+0)
    【クイーンズベル城 大広間】

    メイド「(会いたい。……一目だけでも無事かどうか確認したい。私のたったひとりの弟)」ボー

    「こんなところでなにしてるんですの?」ヒョイ

    メイド「……姫さま。午前の教養の部は?」

    「退屈だから抜け出してきちゃった」

    メイド「はぁ……」ガックシ

    「貴女こそなぜここに? 暇してるわけじゃないでしょ?」

    メイド「私は、お客様のお帰りをお待ちなのです」

    「お客様? なぜ、貴女がそんなことをするの? わたくしの専属なのに」

    メイド「姫様のお付きであると同時に、国にも従事しているのです。丁重におもてなしするのは当然のこと」

    「いいえ! わかってないのは貴女の方なんですの。私が右といったら右。左といったら左を向くのが貴女の務め」

    メイド「ひ、姫様。そのようなことをいつまでもおっしゃるから、国王様は私に」

    「うるさいんですの! お父様の名前を今持ち出さないで! 縁談の話を思い出したくないのですからっ! べーっ!」

    メイド「……はい」

    「それで? そのお客様というのはどちらですの?」

    メイド「……はい?」

    「わたくしの付き人をこき使った罰を与えてやらなくちゃいけませんの」

    メイド「ひ、姫さまっ!! 国賓なのですよ! 自覚をお待ちくださいませ! 第一皇女がそのようなマネを!!」クワッ

    「うるっさいんですの。どうせどこかの貴族だったのよね? アイツらすぐに舐めたマネしやがるから。セクハラされたんですの?」

    メイド「い、いえっ! そ、そのような!」ブンブンッ

    「口止めされたんですのね。全く許されないんですの!」コツコツ

    メイド「ひ、姫さまっ! お待ちを! お待ちくださいっ! そちらでなく法務室にっ⁉︎」バッ

    「そうなんですのぉ……」ニヤァ

    メイド「ち、違います! だめです! なりません! 貴族相手とはいえ姫さまが直々に! 大事になりますよ! 家柄を潰す気ですか⁉︎」アタフタ

    「大げさなんですの。ちょっとこらしめてやるだけなのに」コツコツ

    メイド「待って! お待ちくださいまし! 後生ですから!」タタタッ
    384 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 15:30:49.44 ID:sYFh7cGeO (+60,+30,+0)
    【クイーンズベル城 通路】

    ジャン「――ふぅん、水脈が逃げてるねぇ」テクテク

    学者「信じられないでしょうが、事実なのです」テクテク

    ジャン「岩盤に使う火薬が足りないんとかじゃなく?」

    学者「硬い地層については爆薬で突破し、さらに掘りすめたのですからそういう話ではないしょう」

    ジャン「いっそ、別の場所を掘ってみるとか」

    学者「どこでも掘ればいいという条件ではないのですよ。水脈が流れているか、もしくは地中に溜まった水蒸気が溜まっていないと。生活水として使うまでには濾過も必要ですから」

    ジャン「なら、今ある井戸の再利用できないかと模索してるわけ?」

    学者「可能ならばそれが一番いいのです。ですが、厳しい……はぁ」ガックシ

    ジャン「そりゃ困ったな。できることと言えば掘るしかないしな」

    学者「せめて、なぜ水が逃げているのか……その原因さえ突き止められれば」

    メイド「ひ、姫さまぁっ!!」タタタッ

    「……」ズンズン ズンズン

    ジャン「……あ、あれは……こっちにまっすぐ向かってくるのは……ま、ままままま、まさかっ!」

    学者「あ、姫様だ」ペコ

    「……見つけたぁ……」ニヤァ

    ジャン「ひ、ひぃっ! 10年ぶりかぐらいになるが忘れもせんぞ! そのおもちゃを見つけたような笑み!」ガクガク

    学者「頭さげなきゃ。貴族といえども、怒られますよ」コツン

    ジャン「(た、たたたのむっ! はやく通り過ぎて! と、トラウマが! やめて! そこはネギを刺す穴じゃ!)」ペコ

    「……」ズンズン ピタッ

    メイド「ひ、姫さま。立ち止まらずにそのまま歩きましょう! ねっ! そうしましょう!」

    「――……これ。そこのお前」ビシッ

    学者「わっ、姫さまから声かけられてるよ」

    ジャン「(か、勘弁してくれぇぇぇっ)」ガタガタ

    「聞こえんのか? マスカレードマスクなどつけておる小癪なお前のことよ」

    ジャン「はっ、はいぃっ!」ビシッ
    385 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 15:33:59.82 ID:sYFh7cGeO (+60,+30,+0)
    「なんだそのナリは? 舞踏会にでもきたつもりかえ? 着飾って……なんとまぁ、無様な男よ」

    メイド「姫さまっ!!」クワッ

    「オーホッホッホッ! 見てみるんですの。震えておる! くふふっ」ニマァ

    ジャン「(に、逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ、逃げちゃ、だめだ! トラウマなんか平気だい!)」

    メイド「気は晴れましたでしょう? ささ、私たちは――」

    ジャン「……失礼。あまりにも麗しいお姿なので、身体に電流が走っておりました」

    「おべっかを使う作戦に切り替えたんですの? なんでも、このわたくしの付き人をこき使ったようですね」

    メイド「来る途中に何度も……! それが私の務めであり、なにより、私から!!」

    ジャン「よいのです。たしかに自己紹介をされた際に専属だと。辞退すべきだったのです」

    「ほう?」

    メイド「も、申し訳ございませんっ!」ペコペコ

    「お前が頭を下げるではないわ。私までさげたことと同義になるであろうが」

    メイド「ひ、姫さまぁ」

    「マスクをとって顔を見せよ」

    ジャン「……はい?」

    「なにかえ? とれぬと申すか?」

    ジャン「あー、んー」

    「私の頼みを聞けぬのか?」

    ジャン「(だ、だだだだ大ピンチッ!! ど、どないしよ! こいつ俺の顔覚えてたらえらい目にあうど!!)」

    「どうした?」

    ジャン「(で、ででもっ、10年前の話だし、顔なんか忘れちゃうし? ちっくしょおおおっ! これじゃ変装した意味が! なんとか誤魔化さなければ!)」

    学者「……なにやってるんですか。とったほうがいいですよ。無礼です」コソ
    386 : 以下、名無しにか - 2018/01/27(土) 17:19:41.61 ID:hukL3QGnO (-9,+5,-4)
    387 : 以下、名無しにか - 2018/01/27(土) 17:29:55.54 ID:S4Lz+F1z0 (+20,+27,-5)
    今日の分終わり?
    388 : 以下、名無しにか - 2018/01/27(土) 19:07:53.31 ID:YrLRbhlvo (-9,+5,-4)
    389 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 19:23:41.99 ID:YWyAV8D2O (+30,+30,+0)
    「はやくとらぬか。お父様に言いつけるぞ」

    ジャン「(ええい、ままよっ!!)……メラミ」ボソ

    姫&メイド&学者「え、ええっ⁉︎」ギョッ

    ジャン「~~~っ! ぐはっ、ぐあぁ」ゴロゴロ

    「こ、こいつ、自分の顔に向けて火炎魔法を撃ちおった……気でも狂ってるんですの?」

    メイド「だ、大丈夫ですか⁉︎ すぐに神官職のものを」

    ジャン「(俺の魔法ってこんないてーの⁉︎ 自分に撃ったことないからわからんかった。で、でも! 困惑させることには成功したぞ!)……これでいいのです」ボォッ

    学者「いい、って燃えてますよ。服」

    ジャン「え? あ、やばっやばっ! あちゃ! あちゃちゃ!」バタバタ

    「……」ポカーン

    ジャン「ふぅ……私の無礼には今、私自らが罰を与えたのです」

    「罰? あなたが?」

    ジャン「姫。聞いてもらえますでしょうか」

    「なんですの?」

    ジャン「(見よ! 俺の演技力を!)……実は、この仮面の下はひどいヤケドの跡がございます」

    「……」ピク

    ジャン「あれは幼き日のことでございました。実家にある納屋で可愛がっていた馬とお昼寝をしていると……放火魔が」

    学者「ま、まさか。それで火をつけられて、逃げ遅れて」

    ジャン「警備の者が火事に気がついて救出された際、私は一命をとりとめましたっ!! 顔にひどいヤケドをおって……」

    メイド「な、なんということを……」

    ジャン「でも! でもっ!! それより悲しかったのは……!! なにかおわかりですかっ⁉︎ 姫っ!!」クワッ

    「な、なんですの……?」タジ

    ジャン「私の仲良かった馬が……っ! 仲の良い馬が巻き込まれてしまったこと……」ポロ

    メイド「……涙が」

    ジャン「守りたかった!! 守れなかった!! もう帰ってこない! あぁ、ロビー! ……うっうっ……」ポロポロ
    390 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 19:26:11.51 ID:YWyAV8D2O (+56,+30,+0)
    学者「そんなにまで……」

    ジャン「姫……。本来ならば罰は姫からいただくが道理。しかし、私にとって最も辛い処罰がわかるのは、私なのです」

    「……トラウマを……ほじくり起こしたんですのね?」

    ジャン「(おめーにほじくられてるよ馬鹿野郎!!)……左様です。追加の罰があれば、なんなりと。仮面を脱げと言われれば脱ぎましょう」スッ

    メイド「……っ! お、お待ちください!!」ガシッ

    ジャン「ど、どうなされたのです?」(困惑の演技)

    メイド「姫さま! 罰というのなら私も同罪でございます!!」

    「うっ」タジ

    メイド「この方はこんなにキレイな瞳をしていて、涙をためてるのに……これ以上なんの罰が必要でしょうか⁉︎」

    「(な、なんですの。このクソ寒い流れは)」

    メイド「さぁっ! 罰を! この方も、そして私も謹んでお受け致しますっ!!」

    ジャン「(いや、ちょ、ちょっと。せっかくうまくいきそうだったのに)」ハラハラ

    「……私が貴女に罰を与えるわけないでしょう」

    メイド「では、この方も」

    「はぁ……なんだか。もうどうでもいいですわぁ」

    ジャン「あ、ありがたき幸せっ!!」ドゲザ

    メイド「姫さま、寛大なお計らいに感謝を申し上げます」ペコ

    「はいはい」ヒラヒラ

    メイド「さぁ、お立ちを。なにも恥じることはないのです。申し訳ありません、はるばるハーケマルから来ていただく予定の国賓の使者たる方に」

    「ん……?」ピク

    ジャン「ハーケマル?」

    メイド「実は……申し上げずともわかっておりました。そのマスクはハーケマル由来のもの。第一皇子に先駆けて様子を見にいらしたのでしょう?」

    「な、な、な……」プルプル

    ジャン「(城門の兵士さんにはアデルって言っちゃたけど。まぁ、いっか。それで。どうせ目的の鏡見つけりゃいいし)……バレていましたか」

    「……っ⁉︎」ギロッ
    391 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 19:38:49.15 ID:YWyAV8D2O (+60,+30,-293)
    メイド「お帰りの際に、王室へとご案内しようと思っていたのです」

    ジャン「いや、そ、そこまでは。今回は隠密でして」

    「……」プルプル

    メイド「姫さま、よかったですね。ハーケマルの国からの使者がこのように清い方で。これなら、民も第一皇子もさぞかし……」

    「おい」ギロッ

    ジャン「ひっ⁉︎」ブルッ

    「ハーケマルの皇子ってのに伝えるといいですの」

    ジャン「(こ、この目はっ! なにかに無性にイライラしている時の! や、やめて! 第二のトラウマを発動させないで!)」ガタガタ

    「わたくしは、貴方と結婚するつもりは毛頭ないと。頭の毛ぐらいにね!!」

    ジャン「あわわわわっ、ごめんなさい、許してください、もう勘弁してください」ブルブル

    メイド「姫さまっ!」

    「……? なんですの? 別に使者に言ってるわけではありませんのに」

    ジャン「い、いやだ。診察ごっこはもう嫌だ……」ガタガタ

    学者「体育すわりしてなんか言ってますね」

    「診察ごっこ……?」ピク

    メイド「やはり、先ほどのトラウマが!! こうしてはおられません! すぐにお部屋にお通しいたします! 本日は城にお泊まりくださいませ!!」

    ジャン「いやなんや……そこは違う穴なんや……」ブツブツ

    「……どこかで……? なにか……見落としてるような……」
    392 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 20:01:17.00 ID:YWyAV8D2O (+58,+30,+0)
    【クィーンズベル城 玉座】

    王様「まことかっ⁉︎ ハーケマルからの使者が!」

    メイド「今は、部屋でお休みなさっておいでです」

    王様「そうかそうか! そうじゃったか! 失礼はないであろうな!」

    メイド「そ、それは……」

    王妃「懐かしい。ハーケマルといえば私の母国でもあります。使者といえば、いつもの貴族かしら」

    メイド「今回のご来訪は、王子に先駆けての隠密だそうでして」

    王様「なるほどのう、視察に参ったというわけか」

    王妃「……? それにしては、おかしいような? 定期的に文を渡しておりますし、なにより私が嫁いでいる国をいまさら」

    王様「よいよい。あちらの王にとっても大事な息子なのであろうて。気になりもする」

    王妃「……左様で、ございますね……」

    メイド「目が覚めたら、お通しいたしますか?」

    王様「うむ……いや、まて。今日は自由に見てもらって、明日にでも会食を設けよう。ワシが出張っては隠密の意味がなくなる」

    メイド「承知いたしました」

    王様「お主に世話役をまかせよう。くれぐれも、失礼のないようにな。姫の大事な面談相手に悪印象を持たせるわけにはいかん」

    王妃「あなた、その席には私もご一緒してもかまいませんか?」

    王様「よろしい。許可しよう」

    メイド「姫さまとのご縁談がかかっております」

    王様「うむ……お主にも、無理を言ってすまなんだ。小さき頃より共に育った間柄を逆手にとり、姫を説得させようなどと」

    メイド「拾っていただいた恩は忘れておりません。姫さまにとっても幸せな婚姻となると信じております」

    王様「うむっ! お主の忠義やあっぱれ! ……これからも、姫をよろしく頼む」

    王妃「私たちは少々甘やかしすぎたようです。あの子には自覚がたりない。頼りにしていますよ」

    メイド「もったいなきお言葉にございます」
    393 : ◆7Ub330 - 2018/01/27(土) 20:24:17.99 ID:YWyAV8D2O (+60,+30,+0)
    【クィーンズベル城 客室】

    ジャン「Zzz」

    メイド「……」パタン

    ジャン「うっ、うぅっ」ビクゥッ

    メイド「……起きていらっしゃるのですか?」

    ジャン「いややっ、やめてっ」

    メイド「うなされている……おかわいそうに、よっぽどお辛かったのですね」

    「失礼するんですの」バターーンッ

    メイド「……っ⁉︎」ギョッ

    「あら? 貴女まだいらしたんですの?」

    メイド「ひ、姫さま! お静かに! 休まれているんですよ!」

    「どーにも喉に小骨がひっかかっているような気がして。やっぱりそいつの顔見たいんですの」

    メイド「な、なりませんっ! どうしてもというのならせめて許可をお取りください!」

    「あらあら? 歯向かうんですのぉ?」ニタァ

    メイド「な、なんですかぁ?」タジ

    「めずらしいですわね。貴女が反抗するなんて、十年間はなかったことですの。最後に……かばおうとしたのは、勇者相手だったかしら」

    メイド「……っ!」

    「あの頃の貴女は今よりも引っ込み思案でしたものね。いつもニコニコ笑って、取り繕っていたのをよく覚えていますわ」

    メイド「む、昔の話です」

    「勇者と私と貴女の三人で。アデル王に連れられてやってきた勇者と仲良くなるのはそんなに時間がかからなかったんですの」

    メイド「……そうでしたね」

    「遠く過去のように感じますわ……本当に遠い過去なんですけど」コツコツ

    メイド「姫さま! ドサクサ紛れでなにを近づこうとしているんですか!」

    「……なぁ~んかひっかかるんですの……診察ごっこをしていたのを覚えている?」

    メイド「え……? 覚えては、いますが。勇者様とやっていたおままごとの」

    「ええ。私が妻、そして貴女が愛人」

    メイド「い、今思うと、子供ながらにとんでもない設定を」

    「仲間外れにしてはかわいそうだと思ったんですの。……その診察ごっこをしたのは、後にも先にも勇者だけ……」

    メイド「左様です。勇者様が1ヶ月間滞在していた時にやった遊び。アデルにご帰国の際には、遊び疲れたのか、勇者様が憔悴しきっていたのをよく覚えています」

    「楽しかったですわよね。……こいつは、なんでさっき“診察ごっこ”と口走ったのか」チラ

    ジャン「Zzz」

    メイド「遊び自体は、よくある遊びですよ」

    「……それも、そうなんだけど……」ジー

    ジャン「違う、皮ひっぱらないで、う、うぅっ」

    メイド「良くない夢を見ておられるのです。今はそっとしてあげましょう、姫さま」

    「うぅ~~~ん? なんで、こいつを見てると勇者を思い出すんですの……?」
    394 : 以下、名無しにか - 2018/01/27(土) 21:36:36.16 ID:S4Lz+F1z0 (+27,+29,-9)
    やっぱおもしれww
    叩かれるレベルのものではないよなこれww
    395 : 以下、名無しにか - 2018/01/27(土) 22:47:47.99 ID:NIYx7LzA0 (+24,+29,-11)
    >>1以外が何レスもするのは荒らしと変わらんのにな
    まとめ民アピールも臭いからやめてくれよ
    396 : 以下、名無しにか - 2018/01/27(土) 23:34:23.95 ID:Ci4KaatSO (-9,+5,-4)
    397 : 以下、名無しにか - 2018/01/28(日) 00:19:40.30 ID:QdoqZEgV0 (+17,+29,-16)

    勇者→いじめられてた
    姫、メイド→友達のつもりだった

    つまりこういうことか
    アンチに負けないで頑張ってくれ
    とても面白いよ
    398 : 以下、名無しにか - 2018/01/28(日) 04:17:45.81 ID:/iotL7Eco (+24,+29,-10)
    乙でした
    月並みな展開だけどやはりこういうの好きだわ
    399 : ◆7Ub330 - 2018/01/28(日) 10:47:29.94 ID:2zswLIblO (+80,+30,-110)
    ここだけ補足レスしておきます。

    マスカレードマスク
    SS内でも()で説明入れてますが一例を挙げるとだいたいこのような仮面のことです。
    ありがちに映画やRPGゲームで正体を隠す人物がつけたりするので見たことある方は多いんじゃないでしょうか。
    この他にも様々な種類のものがあります。画像を身につけているというわけではありません。
    そういう部分にこだわりのある方は好きなデザインを想像して当てはめてみてください。
    400 : ◆7Ub330 - 2018/01/28(日) 15:49:13.59 ID:nyYl0jguO (+30,+30,+0)
    【その頃1 クィーズベル城 郊外】

    戦士「はぁぁぁぁっ!!」ザシュ

    武闘家「ハイィィィィッヤァッ!!」ドンッ

    戦士「ぐっ⁉︎ がはっ」キーーン

    武闘家「はぁっ、はぁっ……ふぅー」スッ

    戦士「く……っ、ち、ちくしょう、また負け、か」ガクッ

    武闘家「まだやる?」パンパン

    戦士「ふん、あたしは負けず嫌いなんだ。身体が動けばすぐにでもやりたいが……少し休憩するか……ふぅ」

    武闘家「……」ドサッ

    戦士「なぁ? 気になってたんだが……老人は……武闘家の師匠はなんで勇者についてけって言ったんだ? 修行のためか?」

    武闘家「見聞を広げろって。……そう言われた。アタイが井の中の蛙だって思い知ってちょうどよかったんだと思う」

    戦士「マク選手のことか。たしかにあの強さは尋常じゃなかったな。できれば、あたしももう一度会いたい」

    武闘家「毎日会ってるじゃないさ」ボソ

    戦士「……武闘家……お前はあたしより、強い。悔しいが認めなきゃいけないみたいだ。なにかアドバイスをもらえないか?」

    武闘家「タフさに自信がありすぎるんだ。防御が疎かになりすぎ。アタイの動きは見えるんだろう?」

    戦士「ああ、だが、速すぎて反応できない」

    武闘家「動体視力は悪くない。これまでの相手は多少攻撃を受けても自前のタフさがあってどうにかなってたかもしれないけど」

    戦士「……」

    武闘家「――達人に近づけば近づくほど甘くないよ」

    戦士「防御か。攻める方が好きなんだけどなぁ」

    武闘家「得意不得意は誰にでもあるもんさ。アタイだって人に教えられるほど高みにいるわけじゃない。勇者に教えてもらえば?」

    戦士「むっ? なぜだ? あいつはこのパーティで三番手だろう。器用貧乏だと言ってたのはその通りだったし……武闘家はまだ勇者と手合わせしてないから実力を知らないのか」

    武闘家「……はぁ」

    戦士「もっと、もっと、強くなりたい……マク選手とまではいかないが、背中が見えるようには」

    武闘家「そこに関しちゃ同感だね。あいつの顔色を変えるぐらいの一撃を放ってみせる……! やられっぱなしでたまるもんか……!」ギュゥ

    戦士「ぷっ、ははっ、お前もあたしと同じぐらい負けず嫌いなんだな」

    武闘家「……なんで笑うのさ」

    戦士「いやいや。目標があるとはいいものだ。無愛想だが、嫌いじゃないよ、あたしは」

    武闘家「アタイは嫌いだけど」

    戦士「なっ⁉︎ 今ようやくいい雰囲気になろうとしていただろうが!」

    武闘家「女同士でなに言ってるのさ。アンタ、そっちの気でもあんの?」

    戦士「~~ッ! き、嫌いだ! やっぱりお前なんか! このひねくれ者!」

    武闘家「くっ、ひ、人が気にしてるところを」

    戦士「あ? ……なぁ~んだ。自覚あったのか? やぁ~~い」

    武闘家「立てッ!! 足腰立たなくしてやるッ!!」クワッ

    戦士「やろうってのか!! あたしが何遍も黙って負けると思ってんだろ!」ムクッ

    武闘家「弱いくせに。ウププッ」

    戦士「い、言いやがったなぁっ⁉︎ 叩き切ってくれるッ!!」
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