のくす牧場
コンテンツ
牧場内検索
カウンタ
総計:126,332,079人
昨日:no data人
今日:
最近の注目
人気の最安値情報

    私的良スレ書庫

    不明な単語は2ch用語を / 要望・削除依頼は掲示板へ。不適切な画像報告もこちらへどうぞ。 / 管理情報はtwitter
    ログインするとレス評価できます。 登録ユーザには一部の画像が表示されますので、問題のある画像や記述を含むレスに「禁」ボタンを押してください。

    元スレ勇者「ニートになりたい」

    SS+ スレッド一覧へ / SS+ とは? / 携帯版 / dat(gz)で取得 / トップメニュー
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - 勇者 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
    レスフィルター : (試験中)
    ←前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitter
    601 : 以下、名無しにか - 2018/02/10(土) 22:08:06.90 ID:7ks2HcNWO (-9,+5,-4)
    602 : ◆7Ub330 - 2018/02/10(土) 22:17:11.39 ID:nMxbtsuVO (+60,+30,+0)
    【数時間後 竜王城 玉座】

    シンリュウ「――ほんで? おめぇが勇者に勝ってこの剣を取り戻しでぎだってのけ?」

    ベビードラゴン「……」パタパタ

    カイザードラゴン「どうしたッ!! はやく答えろッ!」ビターンッ

    ベビードラゴン「そうだす。勇者は強かったんけんど、取り戻すことができただす」

    シンリュウ「ふぅ~ん?」チラ

    カイザードラゴン「竜王様。ここに、勇者の腕が」ゴトッ

    ベビードラゴン「……」

    シンリュウ「たしかに、間違いなくニンゲンの腕だな?」

    ベビードラゴン「勇者本人のものだす。噛み切ってやっだなす」

    シンリュウ「……ニンゲンの腕ではあるが、勇者本人のものとは」

    ベビードラゴン「血を飲めばわかるはずだす」

    シンリュウ「血を……?」

    ベビードラゴン「ルビスの加護。オラも噛み切った時にはじめて知っだけんど、その加護の宿った人間の血は、魔族にとって毒だなす」

    カイザードラゴン「それはまことか……!」ペロッ

    ベビードラゴン「……」

    カイザードラゴン「うっ、まずっ! な、なんだこの臭みは。これでは野ウサギの方がまだマシだ、ぺっぺっ」

    ベビードラゴン「これまで飲んだことの味というのが証明になるはずだす。魔王様に謁見の許可を。竜王様」

    シンリュウ「謁見して、なにをするづもりだ?」

    ベビードラゴン「ただ、ありのままを報告するだす。隻腕(片腕のこと)になったのは、魔王様にも報告せねばならぬこと」

    シンリュウ「わだすではなくお前がか?」

    ベビードラゴン「現竜王様は、魔王様のご機嫌を著しく害しておられるだす。会ってくれるかどうかもわからないだす」

    カイザードラゴン「勇者の腕をもぎとってにたとあれば……! 竜王様っ!」

    シンリュウ「まだわだすは竜王だ。ベビー……嘘はついてない?」

    ベビードラゴン「誓って。嘘なんかついてねぇ」
    603 : ◆7Ub330 - 2018/02/10(土) 22:46:01.71 ID:nMxbtsuVO (+53,+30,+0)
    【数時間前 クィーンズベル 郊外】

    勇者「勇者によるワンポイントレッスン! はぁじまーるよぉー!」

    ベビードラゴン「……」ポカーン

    勇者「拍手! 歓声!」

    ベビードラゴン「わ、わぁ~」パチパチ

    勇者「うむ! いいか、まず本作戦のキモはいかにしてウソがばれないかだ! といことは、つまり、大大大大前提としてウソをつく! これをまずわかれ!」

    ベビードラゴン「いや、そったらごど言われんでも」

    勇者「いいや! わかってない! ウソを舐めるな! ウソなんてものはすぐボロがでちまうもんだ! まず、第一の基本! ポーカーフェイス!」

    ベビードラゴン「……」キリッ

    勇者「わざとらしいわボケナスゥッ! 自然体でいいんだよ自然体で。ポーカーフェイスは決して動じないこと。これに尽きる。予期せぬ質問がきても鉄仮面をかぶれ」

    ベビードラゴン「は、はいっ!」

    勇者「魔王であっても竜王であっても本当に心が読めるわけじゃないんだ。忠誠を誓っているのに、後ろめたい気持ちなくウソをつけるか?」

    ベビードラゴン「が、がんばるっ」

    勇者「やれ。絶対にやりとげろ。じゃなきゃ竜王が死ぬ。いいな?」

    ベビードラゴン「……」ゴクリ

    勇者「実際目で見た情報があれば信じやすい。それは変わらん。これ視覚から訴えかける情報量が強い。獣族は嗅覚かもしれんが」

    ベビードラゴン「うんうん」

    勇者「まずは竜王城に帰り。勇者と戦ってきて勝ったと報告しろ。喋るときは淀みなく喋れよ? かといって饒舌になりすぎず、普段通りだ。聞かれる前に証拠を差し出せ」

    ベビードラゴン「証拠ってなに? 剣? んだども、それじゃ信じてもらうには」

    勇者「俺はリリスなどを逃したことがあるから、魔族に温情や同情をかけたと思われるかもしれん」

    ベビードラゴン「うん」

    勇者「というわけで、俺の左腕を噛みちぎれ」

    ベビードラゴン「へ?」

    勇者「どっちみち、剣だけで信じてもらえても取り返しただけってことで竜王は死ぬ。管理体制が甘いとか、不祥事の責任っていわれたらそれまでだから」

    ベビードラゴン「そ、そりゃぁ、そうかもしんねけど」

    勇者「さらなる特典が必要だ。恩賞をかけてもらえるだけの。俺も死ぬわけにゃいかんから利き腕じゃない腕が精一杯」

    ベビードラゴン「ほ、ほんきかっ⁉︎ おめぇっ⁉︎」

    勇者「(ニートになるための必要な犠牲と思えば)……本気だ!」

    ベビードラゴン「……ま、マジ……?」

    勇者「たぶん、オナニーを左手でできんのが不便だなくらいだと思う、きっと、おそらく」

    ベビードラゴン「いや、もっと色々不便になると思うけんど」

    勇者「そんで、竜王を突破したら次は魔王だ。魔王は竜王の命運の決定権を持っている。ここはわかるな?」

    ベビードラゴン「う……いや、腕を無償で差し出されたら……魔族の名が……」

    勇者「竜王のためになんでもするんじゃなかったのか! プライドは捨てろ! 誇りなんて忘れちまえっ!」

    ベビードラゴン「うぅ……わがっだよ、わがった」

    勇者「魔王には、こう切り出すんだ? 今から俺が言うことをよぉ~く覚えて帰れ」
    604 : 以下、名無しにか - 2018/02/11(日) 02:36:11.79 ID:qh7jP0to0 (-9,+5,-4)
    605 : 以下、名無しにか - 2018/02/11(日) 10:38:18.78 ID:rA9nObNIO (-9,+5,-4)
    606 : 以下、名無しにか - 2018/02/11(日) 21:45:21.86 ID:eTC3CND90 (+30,+30,-187)
    【旧最大財閥】三井グループ社員の一生.グループ内で余裕で暮らしていけることが判明.
    http://youtubelib.com/mitui

    戦前まで、日本最大の財閥であった三井グループ。現在でも、日本三大財閥の1つとして、経済界をリードする存在です。
    そんな三井グループの月曜会には、金融、製造、不動産からメディアまで、日本を代表する名だたる企業が軒を揃えます。これだけ多岐にわたり、影響力を持つ三井グループなら、グループ内で生活が成り立つのではないか。
    そこで今回は、『三井グループ社員の一生を物語風』にしてみました。
    607 : ◆7Ub330 - 2018/02/12(月) 14:53:53.37 ID:zhSyHYbEO (+24,+30,+0)
    【魔王城 玉座】

    魔王「――ほう。“この腕のかわりに竜王の死罪を取り消せ”と。そう申すのか」

    ベビードラゴン「……」コクリ

    大臣「開口一番で要求とはなんたる無礼な!」

    魔王「……よい」スッ

    大臣「魔王様⁉︎ 絶対王が一度下命したものを取り消すなどど!」

    魔王「そう早合点するな。取り消すとの意味ではない。ベビードラゴンよ、ちと気を急いたのではないか?」

    ベビードラゴン「オラの望みは魔王様であればこそ、最初から見当がついてるはずだなす。先にご提案したまで」

    魔王「慕う王と、一族の地位、そのどちらも守れる。たしかにな」

    ベビードラゴン「バカなのは恥ずべきことかもしんね。けど、オラは頭良くねぇのわかってるから」

    魔王「“札(カード)”を最初から切ったわけか」

    ベビードラゴン「本来なら魔王様から褒美を与えると言われるまで待たなきゃ失礼にあたるのは、オラでもわかります」

    魔王「ふぅん……勇者の強さ。それに打ち勝つのは並大抵のことではなかったはず。……お前は無傷のまま綺麗な体をしているな? なぜだ?」

    ベビードラゴン「おそらく、勇者はまだ本気ではなかったと思うのだす」

    魔王「ならば、あえて剣を差し出しされたと、そういうことか?」

    ベビードラゴン「いんや。そうじゃねぇだなす。あれが対峙した時の本気だったとも思うだなす」

    大臣「魔王様にむかって適当なことを申すでない!」

    ベビードラゴン「オラは忠義をもって包み隠さず報告しているだけだなす」

    魔王「虚偽の発言ではないとすれば、どういう意味だ?」

    ベビードラゴン「“覇気がなかった”そう思うだす。やる気がないといった方が正しいかもしんね」

    魔王「なに……? 勇者のやる気が……? わざと負けようとしたのではないか?」

    ベビードラゴン「わざとにしても、腕を噛みちぎられる人間なんているはずがないだなす」

    大臣「うむぅ」

    ベビードラゴン「恐れながら申し上げさせていただきますと――」

    魔王「なんだ? かまわんから続けろ」

    ベビードラゴン「勇者は、勇者であることを嫌がっていただなす」

    大臣「なにを言うかと思えば……バカバカしい」
    608 : ◆7Ub330 - 2018/02/12(月) 15:32:35.12 ID:zhSyHYbEO (+60,+30,+0)
    【数時間前 クィーンズベル 郊外】

    ベビードラゴン「い、いきなり要求なんかしちゃ機嫌悪くなっちまうんじゃないだべか?」

    勇者「ばかたれ。どうせ最初から機嫌は悪いんだから気にしなくていいんだよ。いっそのこと開きなおれ」

    ベビードラゴン「そ、そうはいっでも」

    勇者「ご機嫌とりなんかしなくていいんだ。求めるものは怒られる度合いを減らすことじゃなく要求を通すことだろ?」

    ベビードラゴン「でも、機嫌が良い方が。お願い通りやすくなっぺよ」

    勇者「だから腕を持って帰る。これは色々な用途の効くエサだ」

    ベビードラゴン「ほんとに信じて大丈夫だべか」

    勇者「頭が良くて慎重なやつほど、用心深く観察してくる。そういうやつは騙しにくいと、そう思うか?」

    ベビードラゴン「……よぐ、わがんねぇげと」

    勇者「実際は真逆だ。そういうやつほど胡散臭いことにハマりやすいし騙されやすい。なぜなら、頭がいいからな」

    ベビードラゴン「?」

    勇者「インテリってのはなぁ、極端だが、なぁーんにも意味がないことを意味があるんじゃないかと考える」

    ベビードラゴン「魔王様も、そうなんか?」

    勇者「わからん」キッパリ

    ベビードラゴン「……」

    勇者「そうであってほしいという博打はぶっちゃけてある。今回は、そこに俺の腕と、お前の命と、竜王の命までワンセットで賭ける」

    ベビードラゴン「えぇ……」

    勇者「無理難題を通すにはある程度の無茶も必要だってことだ。なにしろ、時間がない。最低限の準備が済んだだけ。“騙せる下地”を作っているにすぎん」

    ベビードラゴン「う、うぅん」

    勇者「お前が独力で剣を奪い、腕をかみちがってきたと騙せるかどうかは、でたとこ勝負ってとこだな」

    ベビードラゴン「無理なような気がしてきた」

    勇者「やれないとはないはずだ。ご機嫌とりとかあれもこれも欲張るな。ただ、俺を倒した。この一点を信じさせることだけできればいい」

    ベビードラゴン「う、うん」

    勇者「実力で劣るはずのお前がなぜ俺を倒せたか、理由は俺のやる気のなさだと答えろ」

    ベビードラゴン「やる気?」

    勇者「そうだ。俺は勇者をやめたがってると言ってたと魔王に伝えるんだ」

    ベビードラゴン「わがっだ。そんで?」

    勇者「そうすると用心深いやつは罠か? とまず考える。しかぁ~し、ここでも腕の存在が頭をよぎる。罠で腕を差し出すまでするか? と」

    ベビードラゴン「うん、それはたしかに。オラもそう思う」

    勇者「お前はマヌケだから、そこまでするはずがないで終わりだろ。ミスリードの原理だ」

    ベビードラゴン「……?」

    勇者「“真実の中に嘘を混ぜる”。誤った道しるべに魔王をハメる……くっくっくっ、なぁーはっはっはっ!」

    ベビードラゴン「(なんがごいづ、悪役みてぇだな)」

    勇者「お前を俺の舌の上でぺろぺろ転がしてやんよぉ~! チュッパチャプスみたいによぉ~!」

    ベビードラゴン「表現が汚ねぇ」

    勇者「ひゃっはっはっ! 間接的に勇者vs魔王のはじまりだぁッ!!」
    609 : ◆7Ub330 - 2018/02/12(月) 15:57:23.98 ID:zhSyHYbEO (+60,+30,+0)
    【再び魔王城 玉座】

    魔王「……興味深い話だ。なぜ、勇者はやめたがっていると思った?」

    ベビードラゴン「実際に耳にしたからだなす」

    大臣「な、なんとっ⁉︎ 勇者自身がそう言ってたのかっ⁉︎」

    ベビードラゴン「魔王様。オラはわかんなくなっただす。たしかに、勇者は強かった……いや、強いはずだす。サキュバス様を瀕死の状態に追いやったのですから」

    魔王「……それで?」

    ベビードラゴン「にもかかわらず、力の片鱗を見せたのは最初だけで、やる気がなかった。だからオラは無傷でいられた」

    魔王「……」

    ベビードラゴン「勇者は本当に恐るるに足る人物なんだべか?」

    魔王「だから、勇者を殺さなかったのか?」ギロッ

    大臣「そ、そうじゃ。その状態の勇者であればいともたやすく息の根をとめられたはず」

    魔王「だから、罠かと疑いもせずに、帰ってきたのか?」

    ベビードラゴン「ま、魔王様。勇者の罠かと疑っているんだすか?」

    魔王「可能性としてなくはあるまい? 腕をさしだすとまでなると不可思議だが」

    ベビードラゴン「(ゆ、勇者が言った通りだ……魔王様が、あの魔王様が、腕を気にかけておられる……)」

    魔王「さらに踏み込めば、おそらく勇者はこれを持ち帰らせることにより、なにかを企んでいるやもしれぬ。大臣よ」

    大臣「はっ!」

    魔王「確認の為、この腕を調べてまいれ」

    大臣「ははっ!」

    ベビードラゴン「(えぇと、えぇと、次は――)」
    610 : ◆7Ub330 - 2018/02/12(月) 16:18:08.54 ID:zhSyHYbEO (+48,+30,+0)
    【数時間前 クィーンズベル 郊外】

    勇者「魔王はまず、腕を確認する。本物であるかどうか、罠がないかどうか。動機は多岐にわたるが、ぜぇぇったいに腕を確認する。気になって気になって仕方ないはずだ」

    ベビードラゴン「そうだべか」

    勇者「そら心中はソワソワしっぱなしよ。目の敵である勇者の腕なんだからな。魔王にとっちゃ宝の山ほど価値あるもんだ」

    ベビードラゴン「自己評価高すぎでねか? なんとも思わねえかもしれねぇど」

    勇者「なんとも思ってねぇやつをわざわざ追跡させるかよ。剣渡したぐらいで竜王を死罪にするか? あぁん?」

    ベビードラゴン「……そうだけんど」

    勇者「お前は“たかがニンゲン”。これをゴリ推しして持論を展開しろ。普段エサだと思ってる存在なんだ、簡単だろ」

    ベビードラゴン「はい」

    勇者「よしよし。勇者であってもたかがニンゲンだからな? ちゃぁ~んと言えよ? その程度の認識しかないと伝えることに意味がある。殺さない理由になる」

    ベビードラゴン「虫けらだもんな」

    勇者「そう! エクセレント! それでいいんだ! これに、淫夢族が逃がされたやり返しだとも言え」

    ベビードラゴン「そったらごとしたら、サキュバス顔真っ赤になるぞ。面目丸つぶれだし」

    勇者「淫夢族がどう思おうが別に関係ないだろ?」

    ベビードラゴン「ねぇな。あいつら、竜王さまバカにしたから、良い気味だ……でへっ」

    勇者「その意気だ。魔王にも魔王でプライドがある。勇者がこわいよぉ~なんで殺してきてくれなかったのぉ~なんて言える立場じゃない」

    ベビードラゴン「魔王様に楯突く存在だべ? 殺してこなかったなんて不忠になるんでない?」

    勇者「あー……うーん、まぁ、そこはゴリ推ししてお前がなんとかしろ」

    ベビードラゴン「(思いつかなかったんだな……)」ジトォー

    勇者「なんだその目は! なんでもかんでも頼るんじゃありません!」

    ベビードラゴン「わがっだ。ゴリ推ししてみる」
    611 : 以下、名無しにか - 2018/02/12(月) 18:31:27.62 ID:fZAfsdg40 (-6,+5,-4)
    612 : ◆7Ub330 - 2018/02/12(月) 21:19:07.71 ID:tIpqN2UtO (+30,+30,+0)
    【魔王城 玉座】

    ベビードラゴン「(とにがく、ゴリ推しだっぺな)……魔王様っ!!」ドゲザ

    魔王「……」チラ

    ベビードラゴン「勇者なんていっても所詮ヒトだど⁉︎ オラは魔王様の偉大さにひれ伏す存在だと思ってるだなす!」

    魔王「……そうか」

    ベビードラゴン「魔王様は勇者をどう見てるだなすか⁉︎ 竜王様の命を犠牲にするほどの脅威とお考えなんだすかっ⁉︎」

    魔王「勘違いするな。竜王が死ぬのは自身の不手際の責を受けるのだ。部下の不始末、その責を――」

    ベビードラゴン「でもっ!! 発端は剣を渡したことでしょ⁉︎ たかがちっぽけなニンゲンに!!」

    魔王「……」

    ベビードラゴン「勇者じゃなかったらどうだすか⁉︎ そこらにいる兵士に剣を竜王様が渡していたら⁉︎ 魔王様は鼻で嗤い許していたと思うだなす!」

    魔王「余が、勇者に臆していると……そう言いたいのか」ゴゴゴゴッ

    ベビードラゴン「違うっ!! もっと堂々としていてほしい! オラはそう言っているのだす! 死罪を撤回……腕の恩賞を与えてくんろ!」

    魔王「お前の非礼はどうなる? 自身の死を覚悟の上の発言か?」

    ベビードラゴン「オラは竜王様の臣下でありますっ! 救えるのなら、この命など惜しくはねぇっ!!」

    魔王「……」

    ベビードラゴン「(よし、ここであの言葉を言えばいいんだな)」

    魔王「……なるほど。良き家臣を持ったようだ。今回の働きに免じて、望みを叶えてやろう」

    ベビードラゴン「……え? へ?」

    魔王「なんだ? それが望みではないのか?」

    ベビードラゴン「(あ、あれ? まだ続きがあったんだけど、こうもあっさり)」

    魔王「望みを言うがよい」

    ベビードラゴン「竜王様に生きる機会を与えてやってください! 交代もさせないでくださいっ!」

    魔王「いいだろう。釈命をだす。此度の働きと功績を称え、竜王の減刑を認める」

    ベビードラゴン「ほ、ほんとですかぁっ⁉︎」

    魔王「二言はない。幾度も撤回したりしていては威光を保てんたからな」

    大臣「魔王様……」

    魔王「ただし、もし勇者の腕ではなかったり、罠だったと判明した場合には、その命。……即座にないものと思え。私自ら殺しにいくぞ」

    ベビードラゴン「もちろんだすっ!! 何百回、何万回でも殺してくんろっ!!」ニコニコ
    613 : ◆7Ub330 - 2018/02/12(月) 21:39:07.92 ID:tIpqN2UtO (+60,+30,+0)
    【数十分後 魔王城 玉座】

    大臣「魔王様。間違いありません、鑑定の結果、勇者の腕だと判明いたしました。罠と思われる術式やアイテムの形跡もなく、ベビードラゴンの唾液のみです」

    魔王「そうか……」

    大臣「おそれながら……もう、自身のだした命令を撤回するのはやめなされ」

    魔王「ベビードラゴンのみならず、お前まで小言を言うつもり?」

    大臣「ワシは魔王様の家臣でございますゆえ。必要な忠言だといつも申しておりますに」

    魔王「小言はいつものことだったわね」

    大臣「魔王様。決して、ブレてはなりません。貴女様の絶対的カリスマは、迷うてはならぬのです」

    魔王「……」

    大臣「……簡単に許したのは、竜王を死罪にしたくなかったのでしょう? らしくもない」

    魔王「損得よ。次期竜王は確実に弱くなるならば、今の竜王に続けてもらった方が利益になる」

    大臣「……そういうことにしておきましょう。ですが、良いですな? こういうことはこれきりにしていただきたい」

    魔王「気になるのは勇者」

    大臣「“やめたい”と、そう言っていたことですか?」

    魔王「もし、もしも本気でそう考えているのならば、より注視をしなければ」

    大臣「なぜでございましょう? 魔族にとって都合が良いのでは」

    魔王「辞めるのならば、ね。でも、おそらく――私の推測がただしければ、“勇者は狂う”」

    大臣「狂う? ですと?」

    魔王「“勇者として輝くか、ニンゲンとして狂うか”。くふっ、うふふっ、あは、あはははっ」

    大臣「ま、魔王様……?」

    魔王「大臣よ。竜王に処刑を命じた後に余はこう問いたな。勇者はなにを失っておるのかと」

    大臣「はい、魔王様はなにも失っていないとの発言を」

    魔王「間違っておった!! 間違っていたのだ!! あっはっはっ!」

    大臣「……?」

    魔王「勇者は、闇に堕ちるやもしれんぞ……くふふっ、うふふっ」
    614 : ◆7Ub330 - 2018/02/12(月) 22:14:03.76 ID:tIpqN2UtO (+55,+30,-228)
    【淫王城 玉座】

    サキュバス「おかしい。なにかある。リリスよ」

    リリス「はい~お姉様ぁ~」

    サキュバス「クィーンズベルに行き勇者が隻腕となっているか確認してまいれ」

    リリス「えぇ~あそこ暑くてあんまり好きじゃ――」

    サキュバス「なにか?」ギロッ

    リリス「すぐに支度して行ってまいりますぅ~」

    サキュバス「(ベビードラゴンが勝った? あのデタラメな強さの勇者に? そんなのは不可能だわ)」

    リリス「まったくぅ、人使いが荒いんだからぁ」ブツブツ

    サキュバス「(なにか裏があるはず。勇者の企みを突き止めなくては……)」
    615 : 以下、名無しにか - 2018/02/12(月) 22:59:01.04 ID:cs+FE/8zO (-9,+5,-4)
    616 : 以下、名無しにか - 2018/02/12(月) 23:40:41.78 ID:fZAfsdg40 (-6,+5,-4)
    617 : 以下、名無しにか - 2018/02/12(月) 23:58:42.71 ID:UoN47vjG0 (+24,+29,-13)
    フラグ回収が進んでるってまさか闇堕ちすんのか?
    続きどうなるんだ
    619 : 以下、名無しにか - 2018/02/13(火) 06:53:40.04 ID:h+iPRUkCo (-9,+5,-4)
    620 : ◆7Ub330 - 2018/02/14(水) 18:21:57.33 ID:bGKI1MBBO (+30,+30,+0)
    【魔王城 玉座】

    大臣「魔王様、この老いぼれにはなんのことやさっぱり」

    魔王「――……アイデンティティ(自己証明)の喪失。聞いたことはあるか?」

    大臣「いえ」

    魔王「ふふ、“ゲシュタルト崩壊”でもよい。兎角、勇者は己を見失っておるやもしれん」

    大臣「な、なんですとっ⁉︎」

    魔王「ふっ、くふふ、勇者であることを誇りもせず……逃げている。おそらく、人間と勇者の狭間で見失ってしまった。本来の自分を」ニタァ

    大臣「ではっ⁉︎ 今の勇者は⁉︎」

    魔王「心に偽りの仮面をかぶっておるはず。……常にな。ニンゲンどもの手前でだけ、“勇者を演じておる”のやも」

    大臣「魔王ぁっ! これはまたとない機会でありますぞ!」

    魔王「どのような機会と申すか」

    大臣「揺れ動いているのなら、いっそ、我ら魔族側に!」

    魔王「……だめだ」フリフリ

    大臣「なぜっ⁉︎ 天秤がニンゲンどもの方に傾いてしまえば、脅威に!」

    魔王「“どちらにも傾きうる”から問題なのだ。計りに重りを乗せるにはどうする……?」

    大臣「追加で――」

    魔王「“手がなければ乗らぬ”であろう? この、手が」プラプラ

    大臣「(傾く重りを我々で用意するということですな)――では、計略を講じますか」

    魔王「いや、なにもしない」

    大臣「な、なぜっ⁉︎」

    魔王「別にほしくないから。あちら(勇者)が来たいと言ったら考えるがなぁ! あっはっはっ!」

    大臣「……っ!」

    魔王「よいな……? なにもするな」

    大臣「御意に」

    魔王「あぁ、待て。アデルに密偵を派遣して、勇者の生い立ちについて調べさせよ」

    大臣「は?」

    魔王「調べるだけでよい」

    大臣「ははっ!」ドゲザ
    621 : ◆7Ub330 - 2018/02/14(水) 18:38:00.84 ID:bGKI1MBBO (+51,+30,+0)
    【数十分後 魔王城 玉座】

    大臣「魔王様のぉ~、ご壇上ぉ~」

    四天王一同「……」ドゲザ

    魔王「皆の者、ラクにせよ」スッ

    四天王一同「はっ」ムク

    大臣「各王よ。おそれながら本日も進行役を務めさせていただきます。ようこそ、魔王城へ」

    魔王「今回の議題については特別に余が発表する。それはこの“勇者の腕”についてだ」ゴト

    キングヒドラ「ホンモノでお間違いないのですかっ⁉︎」

    大臣「何重にも検査をした結果、間違いございません」

    オーガ「ベビードラゴンに咬みちぎられたというのも?」

    大臣「お間違いござませんですじゃ」

    キングヒドラ「……なんだ。たいしたことない。サキュバスよ。お前の報告と随分差があるようではないか、なぁ?」ニタァ

    サキュバス「獣臭い顔でいやらしく笑わないでくれる? 醜くて不快だから」

    キングヒドラ「な、なんだとぉっ⁉︎ 貴様ぁっ! 誰に向かって悪態をついたっ!!」ズシーン

    サキュバス「わからないのかしらぁ? 頭お花畑?」

    キングヒドラ「……」ゴゴゴッ

    オーガ「事実をいわれ論点をズラしているよう見えるが」

    サキュバス「おだまりっ!!」ピシャン

    キングヒドラ「……なんだなんだ……そうかぁ、認めたくなかっただけかぁ」ニヤニヤ

    サキュバス「貴様らは知能が低いから疑うこともしないだけであろう! 勇者が負けるはずがない!!」

    オーガ「だが、証拠はある」

    サキュバス「……っ!」

    キングヒドラ「随分と高く勇者を評しているようだな? 負けるはずがなぁい? まるで恋人を想うようじゃないか?」

    サキュバス「貴様……っ! 淫夢王をバカにしているのかっ⁉︎」クワッ

    キングヒドラ「貴様こそ! 獣王をバカにしているのかぁっ!!」クワッ

    大臣「み、みなさま、ご静粛に、ご静粛に。魔王様の御前であられますぞ」
    622 : ◆7Ub330 - 2018/02/14(水) 18:51:23.40 ID:bGKI1MBBO (+60,+30,+0)
    サキュバス「魔王様、私からもご質問。ベビードラゴンはどうやってコレを?」

    魔王「やる気がなかったおかげで、噛みちぎれたそうだ」

    シンリュウ「……」

    オーガ「ぬはっ、ぬっはっはっ、なんとまぁ。やる気がでなかったから腕をさしだした? 言い訳にしても見苦しい」

    キングヒドラ「ブフッ、勇者とやらは、阿呆なのですか……? そんな理由で腕をさしだすわけがない。自力でベビードラゴンに敵わなかっただけでしょう」

    サキュバス「(貴女達二匹は……! 笑う暇があればもっと知力高めたらいいのに)」

    魔王「お前達の意見も是非聞きたい。……が、その前に、シンリュウよ」

    シンリュウ「はっ」スッ

    魔王「ベビードラゴンから報告を受けておろうが、今回は罷免する」

    シンリュウ「……はっ」

    魔王「決定に異議のあるものはおるか?」

    四天王一同「……」シーン

    魔王「おらんのか? 貴様ら、余の犬畜生か?」

    オーガ「魔王様の決定ならば、当然のこと」

    魔王「では、問おう。巨人王オーガよ。今この場で命をたてと言われれば死ねるか」

    オーガ「理由は……」

    魔王「ない。ただの気まぐれだ」キッパリ

    オーガ「そ、それはあまりにも」

    魔王「余の為ならば、死をも厭わない。その覚悟たるやよし。しかし、死に場所がふさわしいものであってほしいと願っておるのだろう?」

    オーガ「……」

    魔王「なぜ無言でおる。私をナメておるのか?」ゴゴゴッ

    オーガ「な、なぜっ⁉︎ そんなっ! めっそうもない!」アタフタ

    魔王「よく聞くがいい。命令を撤回するのはこれきりだ。貴様らが余の下命を疑問に思うが、理不尽だと感じようが、次はない」

    四天王一同「……」ドゲザ

    魔王「我こそが貴様らの王だ。……よいな」

    四天王一同「ははっ」
    623 : 以下、名無しにか - 2018/02/14(水) 20:11:54.87 ID:3vlJq4oq0 (+14,+29,-4)
    魔王ぁ!
    624 : 以下、名無しにか - 2018/02/14(水) 21:01:07.15 ID:UQMvEvEDO (+24,+29,-36)
    なんか魔王の方がギリギリっぽいな
    だから自分に都合の良い方にミスリードしてしまい、最終的に勇者に一杯食わされそう…
    625 : ◆7Ub330 - 2018/02/14(水) 21:13:59.11 ID:dbQ7u9OxO (+30,+30,+0)
    【数時間前 クィーンズベル城 郊外】

    ベビードラゴン「そったらば、失礼しで」

    勇者「ちょ、ちょちょっ! たんまっ! まだ麻痺してないから!」

    ベビードラゴン「おどこらしく覚悟決めろ? ほんっと情け無いやつだなぁ」

    勇者「布で縛ったら痛みが軽減されるって漫画で読んだことあるのに……おかしいな」

    ベビードラゴン「なんでもいいけどよぉ、はやく帰りてーんだけど……はぁ」ガックシ

    勇者「お前はいーよな! 腕をなくさないんだから!」

    ベビードラゴン「合意の上でねか。むしろ、お前から言い出したこどだぞ? 講釈たれて」

    勇者「そうだけどさぁ、いざ噛まれるとなると」

    ベビードラゴン「だいじょーぶだで。ちょっとチクってするだけだから」

    勇者「そ、そそそのっ、セリフはやめろ? と、トラウマが」

    ベビードラゴン「ほんにめんどくせぇなぁっ!」

    勇者「……わかった。俺も男だ」

    ベビードラゴン「……」ジトォ~

    勇者「いいぞ、やれ。でも、絶対失敗すんなよ! 俺の腕を無駄にすんなよっ⁉︎」

    ベビードラゴン「わがったわがった……あ~~ん」クパァ

    勇者「た、た、た、たんまっ!」

    ベビードラゴン「……」ピタ

    勇者「やっ、やっぱさ? 別の方法、考えない?」

    ベビードラゴン「……あむっ」ガブリ

    勇者「~~っ⁉︎ ぬ、ぬおおおおぉっ! 牙が、牙が腕に!」メリメリ

    ベビードラゴン「(硬え肉だな)」ゴリゴリ

    勇者「いだだだだっ! 痛いっ! ちょっとこれは耐えられない! 耐えられそうもない! ギブアップ!」

    ベビードラゴン「(うるせぇ……)」ブチブチ

    勇者「ひぃっ⁉︎ 待てと言うとるにっ! 腕からいやな音がっ! 血が噴水みたいになってるよ⁉︎ 動脈切れてるんじゃない⁉︎」プシュー

    ベビードラゴン「(むっ、このっ)」ガブガブ
    626 : ◆7Ub330 - 2018/02/14(水) 21:15:06.40 ID:dbQ7u9OxO (+60,+30,+0)
    勇者「いだぁぁ~~っ! なんだてめぇっ⁉︎ やるなら一気にやれや! ぶち殺すぞっ⁉︎」

    ベビードラゴン「かたっ、くふぇ、ぬぅぅ」ブチンッ

    勇者「あっ」プシュー

    ベビードラゴン「お、食いちぎれた」アムアム

    勇者「お、おぉぉぉあ、俺の腕がぁぁぁ~~っ!」

    ベビードラゴン「うぇっ⁉︎ ま、まずぅっ⁉︎ ペッペッッ」ゴト

    勇者「な、なな、なっ、なんてことしやがる⁉︎ 人の腕をっ⁉︎」

    ベビードラゴン「止血しねぇと、死ぬど。オラは死体のが都合いいんけんど」

    勇者「ハッ⁉︎ そ、そうだった! うおぉぉっ! 俺の右手が真っ赤に燃えるッ! 傷を治せとどろきさけぶ! ベホマぁぁっ!」ポワァァァ

    ベビードラゴン「ふつうにできねのかよ」

    勇者「それぐらい全力だってことだ! あぁ~、本当に腕を食いちぎりやがって……」ドクドク

    ベビードラゴン「お前がそういったんでねか。ん、でもちょうどいいな、勇者、傷口だせ」

    勇者「傷口ならだすどころか晒されとるわい」

    ベビードラゴン「それもそだな。そのままじっどしてろ」

    勇者「はぁ?」

    ベビードラゴン「よいしょっと」ジュク

    勇者「いでぇっ! ツメをつっこむな!」

    ベビードラゴン「 ممكن. العمل على طلبيتك بأسرع وقت」ポワァ

    勇者「な、なんだ?」

    ベビードラゴン「(これで魂の契約は完了っと)」
    627 : ◆7Ub330 - 2018/02/14(水) 21:31:21.40 ID:dbQ7u9OxO (+60,+30,+0)
    勇者「あぁ、もういやだ。そもそもなんでニートになるためにここまで苦労せにゃならんのか」

    ベビードラゴン「おめぇよ。ほんどーに勇者やめるつもりなんかよ」

    勇者「やめる」キッパリ

    ベビードラゴン「……なんでよ? オラが言うのも筋違いかもしんねぇけどよ、人間にチヤホヤされるんだべ?」

    勇者「なにがいいかなんて決めるのは俺の権利だ。ノットハーレム、ノットチヤホーヤ」

    ベビードラゴン「魔王様に伝えたら、なんか意味あんのか?」

    勇者「何度も言うが、意味はある。打算で動くようなやつに俺が遅れをとると思うかぁ?」

    ベビードラゴン「しんねぇ」

    勇者「予言してやろう。整理して考えだすと、魔王は俺の過去に興味を持ち出すはずだ」

    ベビードラゴン「はぁ」

    勇者「過去を知れば、ますます確信を持つことになるだろう」

    ベビードラゴン「よぐわがんね」

    勇者「ふっふっふっ……とにかくだ。お前が勇者の腕をとってきた。これで竜王の命を救え、お前自身のお咎めもなければ、それで俺の勝ちだ」

    ベビードラゴン「そうなんか?」

    勇者「利口なやつほど蜘蛛の糸にがんじがらめにされにくる。自分からな」キッパリ

    ベビードラゴン「……もし、魔王様や竜王様に害をもたらすなら、オラが殺すど」

    勇者「心配せんでいい。俺の望みは何者にも縛られない自由になることだ。それをニートと言ってるにすぎん」

    ベビードラゴン「……今はおめぇを信じてやる」

    勇者「しっかりやれよ」

    ベビードラゴン「うまくいっだら、借りは、いつか返してやるよ」パタパタ
    628 : ◆7Ub330 - 2018/02/14(水) 22:05:34.85 ID:dbQ7u9OxO (+60,+30,+0)
    【クィーンズベル城 玉座】

    王様「お主たちは、なにをくわだてておった」

    お頭「俺たちゃしがねぇ盗賊ですよ。そんな、くわだてるって」

    「嘘ですわっ! メイド!」

    メイド「私の顔に、見覚えがありませんか……?」

    お頭「ありませんねェ。なんことやら」

    メイド「そうですか。では、衛兵ならば私の顔に見え覚えがあるのでは?」チラ

    衛兵「……っ」

    メイド「陛下。こちらの衛兵は盗賊団の密偵でございます」

    衛兵「虚偽の申告をいたしておりますっ! 陛下を裏切るようなマネなどできましょうか!」

    メイド「まだ嘘で塗り固めるおつもりですかっ⁉︎」

    衛兵「陛下! わたくしめを信じてくださいっ! この女に惑わされてはいけません!」

    「わたくしの専属メイドに……っ!」

    衛兵「公平な裁きを求めているだけでございますっ! 姫様ごひいきのメイドならばこそ!」

    メイド「……っ」ギュゥ

    「生き恥をしてまで……! そんなにも生きたいのかっ⁉︎」

    衛兵「(当たり前だろうが。ここで罪を認めちゃ死罪は免れねぇ。お頭、これでいいですよね)」チラ

    お頭「(いいぞ。それでいいんだ。俺たちがなにをやろうとしていたか、その証拠はまだねぇはずだ)」

    衛兵「王様ぁっ! なにとぞ! なにとぞ調査を!」

    王様「……ふぅむ」

    「お、お父様っ⁉︎ なぜっ⁉︎ なぜ考えこむのですか……⁉︎」

    王様「罪を明らかにせねば、適した罰を与えられん」

    「それはっ……そうですけど……」

    メイド「……王様。私は、告白せねばならぬことがございます」

    「なに……ハッ! や、やめなさい!」

    王様「告白? なんだ?」

    メイド「私も、罪を償わなくてはなりません。ご寵愛に守られたままでは、この者が言う通りになってしまう。姫様を侮辱されるのは、許せません」

    衛兵「(ま、まさかっ、見取り図の件を……? そ、そんなことすれば……お前もただではすまんぞっ!)」キッ

    メイド「…………私は、宝物庫に忍び込み」
    629 : ◆7Ub330 - 2018/02/14(水) 22:11:50.09 ID:dbQ7u9OxO (+55,+30,-22)






    ジャン「ちょぉ~~~っと待ったッ!!」バターーンッ







    630 : ◆7Ub330 - 2018/02/14(水) 22:29:38.87 ID:dbQ7u9OxO (+60,+30,+0)
    王様「お主は……ハーケマルの」

    「ゆ、ゆうしゃ?」

    メイド「なぜ……」

    ジャン「王様、ここは無礼講でお願いします」

    王様「かまわぬが。今は尋問の最中である。控えてくれると――」

    ジャン「それはできません! なぜなら、私が証拠だからでございます!」

    王様「なに? どういう意味じゃ?」

    ジャン「この私が見取り図を持ち出しました」パサッ

    王様「……そ、それはっ⁉︎」

    お頭「(こ、こいつっ⁉︎)」

    衛兵「(なに考えてやがるっ⁉︎)」

    メイド「な、な、なにを……」

    ジャン「それもこれも、お頭に指示されましたからです。ちなみに井戸の水が干上がっているのも盗賊団が原因です」

    王様「なんだとっ⁉︎」ガタッ

    ジャン「原因はこのビー玉だったんですよ。お調べください」ジャララ

    王様「び、ビー玉?」

    ジャン「魔族のアイテムです」

    王様「ま、魔族ぅっ!?」ギョッ

    ジャン「落ち着いて考えれば、全て繋がるはず」

    「な、な、なんですの、これは、いったい盗賊の狙いは、宝のはずのでは」

    ジャン「表向きはね。真の狙いは、魔族と組んで国を転覆させること。……そうですよね? お頭♪」

    お頭「お、おめェっ! 気でも狂ってるんじゃねぇのか!」

    ジャン「俺は打算とか計算が大好きなんですよ。でも好きなだけの趣味って感じですかね、だからそういう“生き方”をしてるやつらの考えがよくわかる」

    衛兵「……っ」

    ジャン「そこの衛兵も密偵です。言い逃れしてただけですよ」

    王様「警備兵よ! ただちにこやつらを引っ立てて、真実を吐かせよ!」

    警備兵「はっ!」ザッ

    衛兵「ジャン殿っ! あ、あんた……っ!」

    お頭「ロビンフッドになったつもりかっ⁉︎ お前も死刑だぞっ⁉︎」
    631 : ◆7Ub330 - 2018/02/14(水) 22:56:59.85 ID:dbQ7u9OxO (+60,+30,+0)
    ジャン「言ったでしょ? ただの趣味なんです。俺もいつかは死ぬ。そん時は天国で会おうぜ」

    お頭「こ、こいつっ、殺して、殺してやるっっ!」ジタバタ

    警護兵「おい、暴れるな。行くぞ」グィッ

    お頭「は、はなせェっ! くそっ、ちくしょぉっ!」

    衛兵「な、な、なんで、こんなことに」

    ジャン「あんたらの悪手は、最後までシラを切り通さなかったことだ。俺の登場で明らかに動揺したな。どっちみち逃げられないけどね」

    王様「……して、貴様はどう申し開きをするつもりだ?」ギロッ

    「お、お父様っ! 違いますっ! この者は――」

    メイド「王様っ! 私です! 私が見取り図を――」

    王様「だまれぇぇぇぇいっ!!」クワッ

    姫&メイド「……っ」

    王様「一国の王のっ!! 発言にっ!! 口をはさむなっ!!」バンッ

    ジャン「(さてさて……)」

    王様「……ハーケマルの使者よ」

    ジャン「はい、王様」

    王様「その見取り図。無断で持ち出したことの釈明を聞こう」

    ジャン「いや、今いったままです。言い訳はありません」

    「ば、ばかなっ⁉︎」ギョッ

    メイド「そんなっ⁉︎」ギョッ

    ジャン「……ちなみに俺はハーケマルともなんら関係ありません。盗賊団の一味です」

    王様「なぁにぃ?」

    ジャン「どうぞ、犯罪者として指名手配なさってください」

    王様「指名手配? 逃すと思うのかっ! 警護兵っ!」

    ジャン「(舞台は整った。ここだな)」ビュッ

    王様「な、き、消え……っ⁉︎」

    「きゃあっ!」

    ジャン「動かないほうがいい。姫を殺すぞ」チャキ

    「……っ⁉︎」ギョッ

    王様「お、おのれぇぇっ! 人質をとるつもりか」

    ジャン「すぐに返してあげますよ」パサッ

    「ゆうしゃ、いったいなにを考えて……ど、どうしたんですのぉっ⁉︎ その腕ぇっ⁉︎」ギョッ

    メイド「腕がっ……そんなっ、左腕がっ、ない⁉︎ なくなってるっ⁉︎」

    ジャン「自身の心配をなされよ。砂漠国のプリンセスよ」
    632 : 以下、名無しにか - 2018/02/14(水) 23:41:45.33 ID:Lr0+UNYPo (-14,+0,-2)
    wktk
    633 : 以下、名無しにか - 2018/02/15(木) 02:01:22.28 ID:h9Tesar9o (+19,+29,-6)
    おつ。続きが気になって寝れねぇ…
    634 : 以下、名無しにか - 2018/02/15(木) 06:38:29.84 ID:mswNov6t0 (-9,+5,-4)
    635 : 以下、名無しにか - 2018/02/15(木) 07:03:02.04 ID:Ffor0rIXo (-6,+5,-4)
    636 : ◆7Ub330 - 2018/02/15(木) 11:04:05.95 ID:TxY5L79TO (+30,+30,+0)
    王様「生きて逃げおおせると思っておるのかぁっっ! 例え……っ! 例え、逃げられたとしても生きた心地のしない逃亡生活が待っておるのだぞっ⁉︎」

    ジャン「これは異なことを申される。私の素顔を王はご存知でない」

    王様「ぬぐ……っ⁉︎」

    ジャン「ハーケマルの使者だと気がつかずとも、一言、“仮面を脱げ”といっていればよかったのに。自身の落ち度に対して卑怯とは、おっしゃられますまいな?」

    王様「ぬぐぐっ」ギリッ

    ジャン「逃げることには変わりがありませんが、わざわざ姫を拉致したのは別の理由がある」

    王様「別の、理由じゃと……?」

    ジャン「金銭の要求や、魔族を引き合いに出すのではありません。今回起こったことを、民に公開するのです」

    王様「な、なに……?」

    ジャン「無論、他三国はもちろんのこと、ハーケマルに詳細を知られることとなるでしょう。姫の政略結婚は、一時見送りになるやもしれませんね」チラ

    「……っ⁉︎」

    王様「こ、これを、醜態を公開せよ、と」

    ジャン「王様、世間を縦だけてはありません、横もあるのです」

    王様「なにが言いたい」

    ジャン「縦とは階級社会、横とは、支配される者とされない者。つまり、民の世界です」

    王様「……」ギロッ

    ジャン「あんたら王族、貴族、豪族はあくまで縦の存在だ。横になってる民の上で成り立ってる。無知なまま、蓋をして終わらせようとするな」

    王様「民は、王政に幻想を抱いておる。“王様にまかせておけばいい”、“まかせておけば安心して暮らせる”。日々の安心感を捨て、民に暴風に晒された生活をしろと」

    ジャン「……」

    王様「ガラス張りで透明性のある政事などしていては、統治など到底無理だ! なぜならば、ワシら王族も、貴族もっ! 全て、人だからじゃ! 聖人君子などおらん! 失敗もする!」

    ジャン「……」

    王様「民は口先だけの集まりなのじゃ! 口では、クリーンな政治を求めておきながら、その実、“平和”や“安心感”というボヤっとしたものがあればいい!」

    「お、お父様……」

    王様「此度の件を公開する? ふん、それで? その後はどうなる? 報告してなにを得られる? 民たちは不満を抱え、ワシは王としての権威を保てなくなる」

    メイド「……」ゴクリ

    王様「問おう。民達の弾弓に耐え、どうやって統治を……この国を治められようか? 方法があれば、聞こうではないか」
    637 : ◆7Ub330 - 2018/02/15(木) 11:39:17.51 ID:TxY5L79TO (+58,+30,+0)
    ジャン「ただ、希望を与えてやってほしい」

    王様「……貴様は、群衆の愚かさをなにもわかっとらん……」

    ジャン「今回の一件は、大事になる前に見事、収束させてみせたのです。王権の失墜など起こらないでしょう」

    王様「欲を、民たちのもつ欲深さを知らんのだろう。青臭い希望では」

    ジャン「民に目を向けられよ」

    王様「しかと見ておる」

    ジャン「いいや、見てない! あんたはそんなに普段から完璧でいるつもりなのか⁉︎ 民衆をバカにするのもいい加減にしろっ!」

    「お父様に、なんてことを……」

    ジャン「我慢できないわけじゃない! この水のなかった期間だって、最後には王様がなんとかしてくれる、そう思っていたとしても!」

    王様「だから、幻想を抱いておるというとるに」

    ジャン「希望を抱いていたいんだ! ……今は、いう通りかもしれない。でも、そこをなんとかするのが、王たるあんたの使命だ」

    王様「……民自身が、無知でいることを望んでいるとしてもか」

    ジャン「常識が形式化してしまえば誰だってそうなる。歩行具をつけたまま何世代も歩かせる気なのかよ」

    王様「知識を得るのは苦痛が伴う。民は、ひどく疲れるぞ」

    ジャン「だから希望が必要なんだ。希望は、苦痛や疲労に耐える力を与える。歩けるようになるまで、あんたが支えてやれ」

    王様「わかったような口を」

    ジャン「俺は、人間の汚い、醜い部分を多く見てきたつもりだ。結局、どういう国を夢見てるんだよ? 王様は、なんの幻想にすがってるんだ?」

    王様「ワシが……?」

    ジャン「そうだよ。あんただって人だろ。民達を導いている優秀な指導者か? そこを拠り所にしているのか?」

    王様「……」

    ジャン「“民と王で同じ夢を見られない国は滅ぶ”。これだけは、言っておく」スッ

    王様「……っ」ギリッ

    「お父様ぁっ! この者はゆう――」

    ジャン「はいストップ」ムギュ

    「もごっ⁉︎ むーっ!」

    ジャン「(パーティのやつらは宿屋に置き手紙残してきたから、その内追いかけてくるだろ。来たかったらだけど)」

    メイド「姫様っ!」

    ジャン「……メイドとやら。軽はずみに口を開がないほうがいい。姫がキズモノとなるぞ」ピト

    メイド「なぜっ、このようなことを……っ」

    警護兵達「お、王様ぁっっ!」ゾロゾロ
    638 : ◆7Ub330 - 2018/02/15(木) 12:06:29.87 ID:TxY5L79TO (+60,+30,-247)
    兵士長「王様っ! ……な、なんとっ⁉︎ 姫さまがっ⁉︎」ギョッ

    「(この者は勇者ですっ! 勇者なんですっ!) もごもごっ! むーっふっ! ふもーっ!」

    ジャン「(しかし、口おさえるとなんもできんな。両手がないとやっぱり不便。パッと手を離した瞬間に気絶させるか)」トス

    「うっ」

    警護兵達&メイド&兵士長「ひ、姫さまぁっ!!」

    「」グッタリ

    ジャン「(あとは顔真っ赤にさせて、と)マヌケな兵士たちよ! 雁首そろえて女一人守れなくてざんねんしたぁwww 悔しいねぇ? 今どんな気持ち?? ねぇ、どんな気持ち??」

    警護兵達「ぶち殺してやるっ!!」

    ジャン「王様、それじゃ俺はこれで失礼を」シュタッ タタタッ

    王様「すぐに追いかけろっ!! 絶対に逃がしてはならんっ!!」
    639 : ◆7Ub330 - 2018/02/15(木) 12:31:41.43 ID:TxY5L79TO (+60,+30,+0)
    【クィーンズベル城 廊下】

    戦士「なんだ? えらくごったがえしてるが」

    僧侶「なにやら起こったみたいですねぇ~」

    武闘家「……?」

       ドガシャーンッ

    ジャン「なーはっはっ! 遅いわボケナスどもぉ~!」タタタッ

    兵士長「まて、またんかァっ!!」ダダダッ

    ジャン「とっつぁ~ん! 待てと言われて待つルパンがどこにいるんでぇ~?」タタタッ

    戦士「こちらに走ってくるのは、賊か」チャキ

    武闘家「やれやれ。この国の治安はどうなってるんさ。白昼堂々と城に」スッ

    ジャン「ん……? おっ、お前ら……⁉︎」ギョッ

    戦士「大人しくお縄につけ。……はぁぁぁっ!」ダダダッ

    ジャン「むっ」パクッ

    戦士「電光石火ッ!! はやぶさ斬り」ザシュ ザシュ

    ジャン「ふんもっふ!」ササッ

    戦士「なに、避けたっ⁉︎」

    僧侶「あらあらぁ。器用に口で剣を加えたままで……片腕しかない……?」

    武闘家「なかなかやるじゃないかっ!」

    ジャン「(邪魔くせぇっ! 手加減してやらねーと)」

    警護兵達「まぁ~~~てぇ~ごるぁあああっ!!」ドドドッ

    ジャン「(そんな暇もないか)」パリンッ ガシャーン

    武闘家「あっ! チッ!!」

    兵士長「窓だっ! 窓から逃げた!」

    警護兵「ここ城の三階ですよ⁉︎ 一般家屋とは違い、城の三階は高さが……」

    兵士長「堀に捕まっているのかもしれん!」

    ジャン「(そう思うじゃん? ふつうに落ちてるんだなこれが)」ヒューー

    武闘家「この高さでは、助からないな」

    戦士「な、なんだったんだ?」

    僧侶「……」ジー

    ジャン「(あらよっと)」クルクルッ シュタッ

    兵士長&警護兵達「な、なんだとっ⁉︎」ギョッ

    ジャン「(決まった。我ながら10点満点の着地である)」

    戦士&武闘家「……」ポカーン

    僧侶「宿屋に戻りますよぉ~。今すぐにぃ~」
    640 : ◆7Ub330 - 2018/02/15(木) 13:03:18.32 ID:TxY5L79TO (+60,+30,+0)
    【クィーンズベル 城下町】

    魔法使い「はぁ~~。マク様はいったいどこに……」

    戦士「おっ、魔法使い」キキッ

    魔法使い「朝っぱらからジョギング?」

    戦士「いや、なんだか、僧侶が焦ってるみたいで。宿屋に帰ると言われて」

    魔法使い「はぁ?」

    戦士「ほら、あそこ。前走ってる」

    僧侶「(先ほどのすれ違いざまに感じた聖なるオーラは……まさか、まさかっ⁉︎)」シュタタタタタッ

    武闘家「くっ、は、はやいっ⁉︎ どうなってるんさッ⁉︎」

    戦士「いやぁ~、人間ってのはわからないもんだ。僧侶があんなに早く走れるなんて。魔法職だよな? あいつ」

    魔法使い「な、なんなの。俊敏がウリの武闘家が追いついてないじゃない……」

    戦士「いやぁ~~~。ほんっとーーにわからないもんだ。まさかとは思うが、僧侶があたしより強いとか、ないよな?」

    魔法使い「えっ?」

    戦士「いや、ないよなぁ~~さすがにそれはないよな? 魔法職だもんな? サシで負けるなんてこと」

    魔法使い「な、ないんじゃない? だって、私たち魔法職は、防御能力ないし」

    戦士「……そうだよなっ! あたしのパーティの序列がさらに下がるなんてことないよなっ!」

    魔法使い「(僧侶、あいつ、一体……なんなの?)……私も宿屋に戻る!」

    戦士「お、おいっ! ほんとにないよな? 僧侶が強いなんてことはないよなぁっ⁉︎ 」タタタッ
    641 : 以下、名無しにか - 2018/02/15(木) 14:58:47.67 ID:Ox5zjxyY0 (-9,+5,-4)
    642 : 以下、名無しにか - 2018/02/15(木) 18:51:13.73 ID:FByTnZG1O (+1,+16,-3)
    おつ
    643 : 以下、名無しにか - 2018/02/15(木) 21:57:16.52 ID:T8SysTYLO (-9,+5,-4)
    644 : 以下、名無しにか - 2018/02/15(木) 22:31:12.85 ID:Ffor0rIXo (-6,+5,-4)
    645 : 以下、名無しにか - 2018/02/17(土) 16:16:27.78 ID:Z1eKjUE30 (+24,+29,-24)
    戦士と魔法使いだと今のところ魔法使いがワーストか
    646 : 以下、名無しにか - 2018/02/17(土) 16:29:44.05 ID:yuXWzLkO0 (+24,+29,-34)
    魔法使いも魔法使いでマダンテ覚えたら一気に最強クラスになる
    647 : 以下、名無しにか - 2018/02/18(日) 07:30:34.85 ID:PCKssJ8j0 (+24,+29,-24)
    メラミとメラを数回ずつ使ってヘバるMP量のマダンテじゃなあ
    しかも魔翌力切れ起こすと身体に負荷かかるこの作品じゃメガンテと変わらんw
    648 : 以下、名無しにか - 2018/02/18(日) 09:08:14.37 ID:rimZUGy90 (+24,+29,-28)
    全員才能はピカイチて書いてあるから全員最強クラスになるのが既定路線なんじゃねたぶんだけど

    649 : 以下、名無しにか - 2018/02/18(日) 11:15:55.80 ID:vh8tRU5DO (+24,+29,-30)
    その魔法使いのピカイチが、魔法の才能ではなく炊き出しとか逃走とかの才能である可能性
    650 : ◆7Ub330 - 2018/02/18(日) 14:37:44.93 ID:h4MucOXBO (+30,+30,+0)
    【クィーンズベル 宿屋】

    戦士「僧侶が強いなんて、そんなはずない、そんなはずないんだ」ブツブツ

    魔法使い「ねぇっ、僧侶ってばぁっ!」

    僧侶「……」ゴソゴソ

    魔法使い「あんたいったいどうなってるのっ⁉︎ なにか私たちに話してないことあるでしょ⁉︎」

    僧侶「はやく荷物まとめないとぉ~」ギュッギュ

    武闘家「……“次の村の宿屋で二日まつ”か」パサ

    戦士「うぅ~、いやだ、もう負けたくない。負けたくないんだぁ」ブツブツ

    魔法使い「教えなさいってば!」グィッ

    僧侶「別にいいじゃありませんかぁ、知らなくてもぉ」

    魔法使い「一緒に旅する仲間でしょう⁉︎」

    僧侶「ふぅ……私は勇者さまさえ無事ならそれでいい。言えるのはこれだけですねぇ」

    魔法使い「どういう意味……あんた、まさか……」

    僧侶「歯ブラシ、はここにっと」スポッ

    魔法使い「手を抜いてやってるの……? 勇者が本当に危なくなった時の為に、力を常に温存してるんじゃ……」

    僧侶「どう受け取ろうとご自由に~」

    魔法使い「今まで一緒に戦った時も、本気でやってたんじゃなかったの⁉︎ ……なんとかいいなさいよっ!」

    村娘「こんにちはぁ~」ガチャ

    戦士「……?」

    村娘「(あいかわらずマヌケなやつら。私がリリムだって気づきもしないで)……こちらに勇者様がお泊りしていると噂になってて」

    武闘家「勇者なら、いないよ」

    村娘「今は席を外されてるんですか? 男性用のマントがありますが」チラ

    魔法使い「知らないわよっ!! あんなやつっ!!」プィッ

    戦士「おい、魔法使い」

    村娘「(なにヒスっちゃってんのこいつ)サインもらいたかったのにぃ」

    僧侶「……」スクッ テクテク

    村娘「貴女様はご存知でしょうか?」

    僧侶「なにしにきたんですかぁ?」バァンッ

    村娘「……え?」

    戦士「おお、乙女の憧れという壁ドンか」

    魔法使い「なんか使い方間違ってるような気がしないでもないけど」

    僧侶「“また”来たんですかぁ?」ニコニコ

    村娘「は、はい?」

    武闘家「……?」

    僧侶「今はすこぶる機嫌が悪いんですぅ。誰かに八つ当たりしたくてぇ」ゴゴゴゴッ
    ←前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitterで / SS+ スレッド一覧へ
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - 勇者 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。

    類似してるかもしれないスレッド


    トップメニューへ / →のくす牧場書庫について