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元スレ狩人「スライムの巣に落ちた時の話」
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私の頭の中に、素晴らしい光景が広がる。
深い森の中。
アオとアカが狩りをしている。
アオは予想通り、狩りが上手だ。
けど、アカは上手く獲物を捕る事が出来ない。
ミドリは相変わらずマイペースで。
遠巻きに座って歌を歌っている。
その声で、獲物が逃げてしまい、アオとアカが怒っている。
私のそばには、クロが座っていて。
何かと私の世話を焼いてくれる。
狩人でなくった私。
そう、そうんな未来が。
あっても、いいのかもしれないね。
ふと、足元に花が生えているのを見つけた。
綺麗な花だ。
そうだ。
彼女に持って帰ってあげよう。
深い森の中。
アオとアカが狩りをしている。
アオは予想通り、狩りが上手だ。
けど、アカは上手く獲物を捕る事が出来ない。
ミドリは相変わらずマイペースで。
遠巻きに座って歌を歌っている。
その声で、獲物が逃げてしまい、アオとアカが怒っている。
私のそばには、クロが座っていて。
何かと私の世話を焼いてくれる。
狩人でなくった私。
そう、そうんな未来が。
あっても、いいのかもしれないね。
ふと、足元に花が生えているのを見つけた。
綺麗な花だ。
そうだ。
彼女に持って帰ってあげよう。
私は、村へ向かい。
彼女を探した。
けど、見つからない。
村中探したけど、見つからない。
見つからない。
何処にも居ない。
ああ。
そうだ。
そうなんだ。
もう。
彼女は絶対に見つからない。
生き返っても。
その世界に、彼女はいないのだ。
私が手に持っていた花は、何時の間にかなくなってしまっていた。
彼女を探した。
けど、見つからない。
村中探したけど、見つからない。
見つからない。
何処にも居ない。
ああ。
そうだ。
そうなんだ。
もう。
彼女は絶対に見つからない。
生き返っても。
その世界に、彼女はいないのだ。
私が手に持っていた花は、何時の間にかなくなってしまっていた。
目から雫が流れる。
涙が止まらない。
胸が締め付けられる。
立っていられない。
ああ、そうか。
私はもう。
狩人じゃないんだ。
だから。
だから、誰かが死ぬのが。
こんなにも、悲しい。
悲しい。
苦しい。
いやだ。
いやだよ。
しんじゃいやだ。
いやだ。
ほんとうは。
だれにもしんでほしくなかった。
すごくかなしかったんだ。
すごくくるしかったんだ。
おかあさん。
おとうさん。
そして彼女。
あいたい。
あいたいよ、もういちど。
ああ、だめだ。
こんなことには。
たえられない。
わたしには、たえられないんだ。
たえることなんて、できるはずがないんだ。
狩人でない私は。
ただの弱いヒトなのだから。
涙が止まらない。
胸が締め付けられる。
立っていられない。
ああ、そうか。
私はもう。
狩人じゃないんだ。
だから。
だから、誰かが死ぬのが。
こんなにも、悲しい。
悲しい。
苦しい。
いやだ。
いやだよ。
しんじゃいやだ。
いやだ。
ほんとうは。
だれにもしんでほしくなかった。
すごくかなしかったんだ。
すごくくるしかったんだ。
おかあさん。
おとうさん。
そして彼女。
あいたい。
あいたいよ、もういちど。
ああ、だめだ。
こんなことには。
たえられない。
わたしには、たえられないんだ。
たえることなんて、できるはずがないんだ。
狩人でない私は。
ただの弱いヒトなのだから。
素敵な光景が、消えて行く。
森も。
空も。
地面も。
落ちて行く。
私は。
暗闇の中に。
落ちて行く。
クロ達の声を聞いた気がした。
それを最後に、私の意識は暗闇に包まれた。
森も。
空も。
地面も。
落ちて行く。
私は。
暗闇の中に。
落ちて行く。
クロ達の声を聞いた気がした。
それを最後に、私の意識は暗闇に包まれた。
クロ「お母さん……駄目です!お母さん!」
クロ「意識をしっかり持ってください、お母さん!」
ミドリ「……」
アオ「クロ……母さまは?」
アカ「……ママ、いなくなっちゃったの?」
クロ「……いいえ、そんな事はありません」
クロ「お母さんが、お母さんが私達を置いていなくなるはずがありません」
クロ「身体は、身体はちゃんと治ったんです、あとは脳を活性化すれば」
クロ「意識をしっかり持ってください、お母さん!」
ミドリ「……」
アオ「クロ……母さまは?」
アカ「……ママ、いなくなっちゃったの?」
クロ「……いいえ、そんな事はありません」
クロ「お母さんが、お母さんが私達を置いていなくなるはずがありません」
クロ「身体は、身体はちゃんと治ったんです、あとは脳を活性化すれば」
クロ「……そうです、やっぱり、やっぱり洞窟から出るべきじゃなかったんです」
クロ「そうすれば、こんな事にはならなかった」
クロ「……戻りましょう、お母さん」
クロ「そ、そうすれば、お母さんだって、きっと」
クロ「きっと、目が覚めてくれるはずです」
クロ「アカ、お母さんの身体を温めてあげてください」
クロ「あの洞窟の温度は、お母さんの身体に悪い」
クロ「アオ、お母さんが何時目覚めても言いように、新鮮な魚を用意してください」
クロ「ミドリは、お母さんが好きだったあの音楽を」
クロ「お母さんは、お母さんは」
クロ「今は、ただ、疲れて眠ってるだけなんです」
クロ「私が保証します」
クロ「種族の最先端である、この私が」
クロ「何時か、お母さんが目覚めると」
クロ「……さあ、早く戻りましょう、私達の理想郷へ」
クロ「ああ、それと」
クロ「帰る前に、少し狩りをしまいましょうか」
クロ「上手く狩れれば、お母さんが喜んでくれるかもしれませんし」
クロ「そうすれば、こんな事にはならなかった」
クロ「……戻りましょう、お母さん」
クロ「そ、そうすれば、お母さんだって、きっと」
クロ「きっと、目が覚めてくれるはずです」
クロ「アカ、お母さんの身体を温めてあげてください」
クロ「あの洞窟の温度は、お母さんの身体に悪い」
クロ「アオ、お母さんが何時目覚めても言いように、新鮮な魚を用意してください」
クロ「ミドリは、お母さんが好きだったあの音楽を」
クロ「お母さんは、お母さんは」
クロ「今は、ただ、疲れて眠ってるだけなんです」
クロ「私が保証します」
クロ「種族の最先端である、この私が」
クロ「何時か、お母さんが目覚めると」
クロ「……さあ、早く戻りましょう、私達の理想郷へ」
クロ「ああ、それと」
クロ「帰る前に、少し狩りをしまいましょうか」
クロ「上手く狩れれば、お母さんが喜んでくれるかもしれませんし」
スライム達が狩人の死体に集まっている間に、私は準備をしていた。
村の周囲をキマイラ達で包囲させたのだ。
逃がさない。
絶対に逃がさない。
スライム達が世代交代、いや「進化」していた事は予想外だった。
とても喜ばしい事だ。
あのスライム達を解析すれば、私の合成生物達を更に強化する事が出来るだろう。
スライム達の戦闘能力は不明だが、こちらには切り札がある。
「竜とケモノのキマイラ」よりも、更に戦闘力が高い合成生物。
「悪魔と人間のキマイラ」を温存しているのだ。
今はまだ覚醒させていないので只の小娘だが。
私が術式を解放すれば真価を発揮できる。
文字通り、悪魔のような力を発揮するだろう。
私が配置したキマイラは38体。
それは小さな国であれば蹂躙出来る程度の戦力。
村の周囲をキマイラ達で包囲させたのだ。
逃がさない。
絶対に逃がさない。
スライム達が世代交代、いや「進化」していた事は予想外だった。
とても喜ばしい事だ。
あのスライム達を解析すれば、私の合成生物達を更に強化する事が出来るだろう。
スライム達の戦闘能力は不明だが、こちらには切り札がある。
「竜とケモノのキマイラ」よりも、更に戦闘力が高い合成生物。
「悪魔と人間のキマイラ」を温存しているのだ。
今はまだ覚醒させていないので只の小娘だが。
私が術式を解放すれば真価を発揮できる。
文字通り、悪魔のような力を発揮するだろう。
私が配置したキマイラは38体。
それは小さな国であれば蹂躙出来る程度の戦力。
戦闘開始後。
2秒後には、竜獣のキマイラが超振動によって砕け散り。
8秒後には、13体のキマイラが熱に焼かれて死滅し。
13秒後には、9体のキマイラが凍結四散し。
17秒後には、14体のキマイラが発狂し岩や木に頭を叩きつけ自害した。
切り札であったキマイラに至っては。
黒いスライムの精神浸食に怖じ気づき、私の制止を振り切り。
あっさりと逃げ出してしまった。
その段階で、私は脚部に埋め込んだケモノの因子を活性化させ、高速で村を離脱。
スライム達の攻撃を幾つか受けたが、何とか森へ逃げむ事に成功した。
2秒後には、竜獣のキマイラが超振動によって砕け散り。
8秒後には、13体のキマイラが熱に焼かれて死滅し。
13秒後には、9体のキマイラが凍結四散し。
17秒後には、14体のキマイラが発狂し岩や木に頭を叩きつけ自害した。
切り札であったキマイラに至っては。
黒いスライムの精神浸食に怖じ気づき、私の制止を振り切り。
あっさりと逃げ出してしまった。
その段階で、私は脚部に埋め込んだケモノの因子を活性化させ、高速で村を離脱。
スライム達の攻撃を幾つか受けたが、何とか森へ逃げむ事に成功した。
痛い、痛い、痛い
右足が痛い
今すぐ蹲ってしまいたくなるほど、痛い
きっと傷口は大きく、骨にまで達しているのだろう
ああ、けど止まる訳にはいかない
止まったら追いつかれてしまう
どうして
どうしてこんな事になったのだろう
様々な感情が頭をよぎるが、それでも
それでも、私は足を動かし続ける
森の中を走り続ける
右足が痛い
今すぐ蹲ってしまいたくなるほど、痛い
きっと傷口は大きく、骨にまで達しているのだろう
ああ、けど止まる訳にはいかない
止まったら追いつかれてしまう
どうして
どうしてこんな事になったのだろう
様々な感情が頭をよぎるが、それでも
それでも、私は足を動かし続ける
森の中を走り続ける
私は、自らが作り上げた合成生物の因子を身体に取り込んでいる。
皮膚を硬化出来るし、四肢の性能を一時的に上げる事が出来る。
再生能力すらあるのだ。
そんな私が、こんな所で死ぬはずがない。
そう、そうだ、思い出せ。
確か随分前に、共和国軍に蝙蝠と人間のキマイラを納品した事がある。
あの時の因子が、私の身体の中にも残っていたはずだ。
あんな大きな因子を活性化させると、ヒトの形に戻れなくなる可能性もあるが。
そんな事はこの際どうでもいい。
今は、ここから逃げのびて。
私の知識を残す事を最優先にしないと。
私が死ねば、私が積み上げてきた知識が全て無くなってしまうじゃないですか!
皮膚を硬化出来るし、四肢の性能を一時的に上げる事が出来る。
再生能力すらあるのだ。
そんな私が、こんな所で死ぬはずがない。
そう、そうだ、思い出せ。
確か随分前に、共和国軍に蝙蝠と人間のキマイラを納品した事がある。
あの時の因子が、私の身体の中にも残っていたはずだ。
あんな大きな因子を活性化させると、ヒトの形に戻れなくなる可能性もあるが。
そんな事はこの際どうでもいい。
今は、ここから逃げのびて。
私の知識を残す事を最優先にしないと。
私が死ねば、私が積み上げてきた知識が全て無くなってしまうじゃないですか!
私の背中から、グググと蝙蝠の羽が隆起する。
耳り形状が変化し、周囲の物体を音で感知できるようになる。
そう、そうだ。
あとはこれを羽ばたかせて。
よし、よし、上手くいく。
あはははははは!
凄い!凄いです!
私、空を飛んでます!
これはこれで、良い経験で……
ピィィィィィィィィィィィィィィィィッ
地上から凄まじい音が響く。
それにより、私は激しくバランスを崩した。
回転する。
飛行状態を保つ事が出来ない。
一体、一体何が……。
耳り形状が変化し、周囲の物体を音で感知できるようになる。
そう、そうだ。
あとはこれを羽ばたかせて。
よし、よし、上手くいく。
あはははははは!
凄い!凄いです!
私、空を飛んでます!
これはこれで、良い経験で……
ピィィィィィィィィィィィィィィィィッ
地上から凄まじい音が響く。
それにより、私は激しくバランスを崩した。
回転する。
飛行状態を保つ事が出来ない。
一体、一体何が……。
回転する視界の中、地上にミドリ色の何かが見えた。
あれは、楽器?
どうしてあんな所に、巨大なラッパが。
いや、待ってください。
その後ろにある、あれは。
あれは、なんですか。
まるで、赤と青で作られた。
巨大な弓のような。
あれは、楽器?
どうしてあんな所に、巨大なラッパが。
いや、待ってください。
その後ろにある、あれは。
あれは、なんですか。
まるで、赤と青で作られた。
巨大な弓のような。
次の瞬間、私の身体が大きな衝撃を受ける。
文字通り体がバラバラになりそうな衝撃。
けど、私は自らの身体に宿した因子を総動員し、何とか飛行状態を取り戻した。
ああ、痛い!
痛い痛い痛い!
身体が痛い!
お腹が!
ああ、そうか、連中は!
あのスライム達は、自分達の身体で弓を作ったのだ!
そうして、巨大な木か岩を、私に向けて射出したのだ!
だから私のお腹にこんな大きな穴が!
文字通り体がバラバラになりそうな衝撃。
けど、私は自らの身体に宿した因子を総動員し、何とか飛行状態を取り戻した。
ああ、痛い!
痛い痛い痛い!
身体が痛い!
お腹が!
ああ、そうか、連中は!
あのスライム達は、自分達の身体で弓を作ったのだ!
そうして、巨大な木か岩を、私に向けて射出したのだ!
だから私のお腹にこんな大きな穴が!
けど、けど何とか耐えきりました。
ふ、ふふふふふ、これで逃げのびる事が出来る。
一撃で仕留め切れなかったのが連中の敗因です。
私の再生能力を持ってすれば、この程度の穴、数時間でふさがる。
そして……。
私は、貴女達を、決して、決して逃がさない。
次はもっと強力なキマイラを作って、あのスライム達を……。
ふ、ふふふふふ、これで逃げのびる事が出来る。
一撃で仕留め切れなかったのが連中の敗因です。
私の再生能力を持ってすれば、この程度の穴、数時間でふさがる。
そして……。
私は、貴女達を、決して、決して逃がさない。
次はもっと強力なキマイラを作って、あのスライム達を……。
「あれ、貴女の顔って、良く見たら私の顔と似てますね」
「ひょっとして、前に会った事あります?」
連中が弓で射出したのは、木や岩ではなかったのだ。
では、何を撃ちだしてきたのか。
それは……。
「ううん、そう言えば、前に貴女から酷い事をされた記憶がある気がします」
「まあ、けど、そんな事はどうでもいいですよね」
「私にとっては、お母さんが、あんな事になっちゃったことが」
「一番辛い思い出ですし」
「それ以外は、本当に」
腹部に空いた穴から這い出した黒いスライムは、私の頭に手を当てて、こう呟いた。
「どうでもいいです」
では、何を撃ちだしてきたのか。
それは……。
「ううん、そう言えば、前に貴女から酷い事をされた記憶がある気がします」
「まあ、けど、そんな事はどうでもいいですよね」
「私にとっては、お母さんが、あんな事になっちゃったことが」
「一番辛い思い出ですし」
「それ以外は、本当に」
腹部に空いた穴から這い出した黒いスライムは、私の頭に手を当てて、こう呟いた。
「どうでもいいです」
次の瞬間、合成術師は発狂した。
合成術師の体内に内包していたキマイラ達の因子も全て発狂した。
それらは合成術師の身体を内部から食い荒らした。
その結果。
合成術師は空中でバラバラに飛び散り。
肉片として森に降り注いだ。
合成術師の体内に内包していたキマイラ達の因子も全て発狂した。
それらは合成術師の身体を内部から食い荒らした。
その結果。
合成術師は空中でバラバラに飛び散り。
肉片として森に降り注いだ。
~86日目~
共和国医療師団報告書より抜粋
天候、晴れ。
村長からの救助指令を受けた私達は、村とその周辺を調査。
情報通り、異形の生物に食われたと思われる死体を多数発見しました。
情報と違っていた点は、異形の生物の死体も多数発見された事。
この村は、迷いの森の狩人と縁があったらしいので、彼女が責務を果たしたのかもしれません。
事情を聴こうにも、彼女の家が何処にあるか不明なので無理なのですが。
死体は全て私達で埋葬予定。
以下、私見です。
先日配属された女医が反抗的です。
私の命令を無視する事が何度か。
転属要請を同封致しますので、どっか別の師団に移してください。
そもそも治療魔法を使える私が居るのに、医者とか不要でしょう。
共和国医療師団報告書より抜粋
天候、晴れ。
村長からの救助指令を受けた私達は、村とその周辺を調査。
情報通り、異形の生物に食われたと思われる死体を多数発見しました。
情報と違っていた点は、異形の生物の死体も多数発見された事。
この村は、迷いの森の狩人と縁があったらしいので、彼女が責務を果たしたのかもしれません。
事情を聴こうにも、彼女の家が何処にあるか不明なので無理なのですが。
死体は全て私達で埋葬予定。
以下、私見です。
先日配属された女医が反抗的です。
私の命令を無視する事が何度か。
転属要請を同封致しますので、どっか別の師団に移してください。
そもそも治療魔法を使える私が居るのに、医者とか不要でしょう。
シスター「はい、報告書作成終わり」
シスター「伝令さん、これを拠点まで届けてくださいな」
シスター「残りの皆さんは遺体を集めてください、埋葬します」
女医「……」
シスター「ほら、女医さんも、手を貸してください」
女医「隊長、この子……」
シスター「……まだ若い娘なのに、可哀そうですね」
シスター「けど、感傷には浸ってられませんよ、死体が腐敗する前に埋葬しないと疫病が……」
女医「いえ、この子はまだ死んでません」
シスター「……死んでいますよ、生命反応がありませんから」
シスター「貴女には魔力が無いので判らないかもしれませんが……」
女医「複数の外傷がありますが、どれも古い傷です」
女医「直接的な死因と見られる傷はありません」
女医「何らかのショックを受けて心停止しただけの可能性があります」
女医「蘇生を試みますので、手伝ってください」
シスター「いや、だからもう死んでますって言って……」
女医「早くなさい!」
シスター「ひゃ、ひゃい!」ビクッ
シスター「……」
シスター「何なんですかこの人、怖いんですけど」ブツブツ
シスター「何で隊長である私が怒鳴られないといけないんですか」ブツブツ
シスター「そもそも、死んだ人間を蘇らせるなんて、出来るはずが」ブツブツ
シスター「え、この人、何してるんです、死体の口に、え、キス?」ブツブツ
シスター「え、え、え……」
シスター「伝令さん、これを拠点まで届けてくださいな」
シスター「残りの皆さんは遺体を集めてください、埋葬します」
女医「……」
シスター「ほら、女医さんも、手を貸してください」
女医「隊長、この子……」
シスター「……まだ若い娘なのに、可哀そうですね」
シスター「けど、感傷には浸ってられませんよ、死体が腐敗する前に埋葬しないと疫病が……」
女医「いえ、この子はまだ死んでません」
シスター「……死んでいますよ、生命反応がありませんから」
シスター「貴女には魔力が無いので判らないかもしれませんが……」
女医「複数の外傷がありますが、どれも古い傷です」
女医「直接的な死因と見られる傷はありません」
女医「何らかのショックを受けて心停止しただけの可能性があります」
女医「蘇生を試みますので、手伝ってください」
シスター「いや、だからもう死んでますって言って……」
女医「早くなさい!」
シスター「ひゃ、ひゃい!」ビクッ
シスター「……」
シスター「何なんですかこの人、怖いんですけど」ブツブツ
シスター「何で隊長である私が怒鳴られないといけないんですか」ブツブツ
シスター「そもそも、死んだ人間を蘇らせるなんて、出来るはずが」ブツブツ
シスター「え、この人、何してるんです、死体の口に、え、キス?」ブツブツ
シスター「え、え、え……」
共和国医療師団報告書より抜粋
追記。
村の傍にて生存者を確保。
しかし、村人ではありません。
何も食べていなかったのか、非常に弱っています。
ただ、この生存者は村を襲った異形の生物の正体を握っている模様。
詳しい情報は拠点に戻ってから調査する予定です。
私見の追記。
先の転属届けは無効にしてください。
彼女は素晴らしい方です。
まさか死んでしまった人間を生き返らせるなんて。
しかも、その様子が凄く格好よかったです。
彼女は優秀な人間です。
超優秀です。
お給料あげてあげてください。
好き。
追記。
村の傍にて生存者を確保。
しかし、村人ではありません。
何も食べていなかったのか、非常に弱っています。
ただ、この生存者は村を襲った異形の生物の正体を握っている模様。
詳しい情報は拠点に戻ってから調査する予定です。
私見の追記。
先の転属届けは無効にしてください。
彼女は素晴らしい方です。
まさか死んでしまった人間を生き返らせるなんて。
しかも、その様子が凄く格好よかったです。
彼女は優秀な人間です。
超優秀です。
お給料あげてあげてください。
好き。
「悪魔と人間のキマイラ」である少女は、こうして共和国に保護された。
彼女がどんな顛末を迎えるかは、また別のお話。
~10000日後~
~洞窟内~
神殿の掃除を終えた私は、物陰に灰色のスライムが蹲ってるのを発見した。
「また来たのですか、ここは気軽に立ち寄っていい場所ではないとあれほど……」
「クロお姉ちゃん、おはなしきかせて」
「……何のお話がいいんですか」
「お母さんのおはなしー」
「ふふふ、貴女はお母さんの話が好きですね」
「かっこういい」
~洞窟内~
神殿の掃除を終えた私は、物陰に灰色のスライムが蹲ってるのを発見した。
「また来たのですか、ここは気軽に立ち寄っていい場所ではないとあれほど……」
「クロお姉ちゃん、おはなしきかせて」
「……何のお話がいいんですか」
「お母さんのおはなしー」
「ふふふ、貴女はお母さんの話が好きですね」
「かっこういい」
「そうです、お母さんは、凄く格好よくて、凄く優しくて、凄く綺麗なヒトでした」
「私はね、最初にお母さんの姿を見た時、凄く感動したんです」
「何て綺麗なヒトなんだろうって」
「自分も、そうなりたいって」
「だから、私は頑張りました」
「頑張って、お母さんの事を知って、同じ姿になろうとしたんです」
「そして、知れば知る程、お母さんの事が好きになりました」
「お母さんの心も好きになりました」
「けど……」
「同じ姿になるのには、躊躇しました」
「何だか、不謹慎な気がしたんです」
「私はね、最初にお母さんの姿を見た時、凄く感動したんです」
「何て綺麗なヒトなんだろうって」
「自分も、そうなりたいって」
「だから、私は頑張りました」
「頑張って、お母さんの事を知って、同じ姿になろうとしたんです」
「そして、知れば知る程、お母さんの事が好きになりました」
「お母さんの心も好きになりました」
「けど……」
「同じ姿になるのには、躊躇しました」
「何だか、不謹慎な気がしたんです」
「私は、ヒトの外見を3種類しか知りませんでした」
「一つ目は、お母さん」
「二つ目は、お母さんの大切なヒト」
「三つ目は、記憶には残ってるけど誰だかわからないヒト」
「お母さんの大切なヒトを模すと、お母さんから猛烈に怒られそうな気がしたんで」
「消去法で、三つ目の外見を選択したんです」
「ああ、けど」
「怒られてもいいから、二つ目を選択しておくべきだったかもしれません」
「そうすれば……もしかしたら……」
「私は、クロお姉ちゃんの姿、好き」
「……そうですか、ではこの姿を選択した甲斐があるという物ですね」
「うん!」
「一つ目は、お母さん」
「二つ目は、お母さんの大切なヒト」
「三つ目は、記憶には残ってるけど誰だかわからないヒト」
「お母さんの大切なヒトを模すと、お母さんから猛烈に怒られそうな気がしたんで」
「消去法で、三つ目の外見を選択したんです」
「ああ、けど」
「怒られてもいいから、二つ目を選択しておくべきだったかもしれません」
「そうすれば……もしかしたら……」
「私は、クロお姉ちゃんの姿、好き」
「……そうですか、ではこの姿を選択した甲斐があるという物ですね」
「うん!」
「さあ、そろそろお昼の時間ですよ、下へ降りましょう」
「はーい、お母さん、またね」
灰色のスライムは、幼いヒトの姿で、するすると降りて行く。
私達が「水溜り」と呼んでいた穴だ。
もう既に、水は抜いてある。
お母さんの予想通り、その下には広大な地底湖があった。
その水を全て排除し、そこに私達は住んでいるのだ。
「はーい、お母さん、またね」
灰色のスライムは、幼いヒトの姿で、するすると降りて行く。
私達が「水溜り」と呼んでいた穴だ。
もう既に、水は抜いてある。
お母さんの予想通り、その下には広大な地底湖があった。
その水を全て排除し、そこに私達は住んでいるのだ。
「では、お母さん、また明日、来ますね」
お母さんは。
アオの力で作り上げた、巨大な氷の中で眠っている。
私達が、過ごした、あの洞窟で。
天井を塞いで地上への道を閉ざした、あの洞窟で。
あの日からずっと。
ずっと眠っているのだ。
今日も眠っていた。
きっと、明日も、明後日も。
けど、いつの日か。
その瞼が揺れて、目を開けてくれるのだ。
私には、それが判る。
何日かかかわるは、判らない。
けど、何時かきっと。
「それまで、待ちます」
「ずっと、待ち続けます」
「いつまでだって、待ち続けます」
「例え、地上が滅んでも」
「例え、ヒト族が息絶えても」
「ずっと」
「ずっと」
「私達の巣で」
「だって」
「だって、私達は」
「ずっと、待ち続けます」
「いつまでだって、待ち続けます」
「例え、地上が滅んでも」
「例え、ヒト族が息絶えても」
「ずっと」
「ずっと」
「私達の巣で」
「だって」
「だって、私達は」
「神殿」から降りた私は、周囲を見渡す。
ヒカリゴケに照らされた、膨大な空間。
そこには深い森が広がっていた。
兎や、鳥たちの姿も見える。
地上への道を塞ぐ前に集ておいた植物や動物。
それに私達の因子を埋め込んだのだ。
お陰で、太陽の光が無いこの空間でも根付いてくれている。
成長も早い。
「……クロ、聞いて、またアオが我儘言ってる」
「我儘はアカの方だろ、ボクはただもう少し動物を増やしたいって言ってるだけで」
「……増やし過ぎたら、植物が減ると、アカは思う」
「大丈夫、増やした分、ボクの眷族がちゃんと狩るからさ」
「……狩るなら別に増やさなくていい」
何時ものように、騒がしい日々。
高台の上からは、ミドリ達が演奏する曲が流れている。
そう、ここは。
数千匹にまで増えた、スライム達の巣。
私達の、理想郷なのだ。
ヒカリゴケに照らされた、膨大な空間。
そこには深い森が広がっていた。
兎や、鳥たちの姿も見える。
地上への道を塞ぐ前に集ておいた植物や動物。
それに私達の因子を埋め込んだのだ。
お陰で、太陽の光が無いこの空間でも根付いてくれている。
成長も早い。
「……クロ、聞いて、またアオが我儘言ってる」
「我儘はアカの方だろ、ボクはただもう少し動物を増やしたいって言ってるだけで」
「……増やし過ぎたら、植物が減ると、アカは思う」
「大丈夫、増やした分、ボクの眷族がちゃんと狩るからさ」
「……狩るなら別に増やさなくていい」
何時ものように、騒がしい日々。
高台の上からは、ミドリ達が演奏する曲が流れている。
そう、ここは。
数千匹にまで増えた、スライム達の巣。
私達の、理想郷なのだ。
きっと、お母さんも気に行ってくれる。
だから、私達は何時までだって待てる。
だって。
だから、私達は何時までだって待てる。
だって。
こうして、スライムの巣での一日が、また始まる。
彼女が目覚めるまで。
完
彼女が目覚めるまで。
完
同一世界線のSS
狙撃手「観測手ってレズなの?」 観測手「ふっへっへ」
幼女「お医者さんごっこするれす」 メイド「嫌です」
狙撃手「観測手ってレズなの?」 観測手「ふっへっへ」
幼女「お医者さんごっこするれす」 メイド「嫌です」
おつ
クロ達が最後まで狩人をちゃんと愛してくれたみたいで良かった
クロ達が最後まで狩人をちゃんと愛してくれたみたいで良かった
乙でございます
冒頭へのつなぎ方がおぉってなりました
良いSSありがとうございましたです
冒頭へのつなぎ方がおぉってなりました
良いSSありがとうございましたです
構成、凝ってるなあ……面白かった
幼馴染が切り札のキマイラだった?
いつか目覚めて会えるといいな
乙
幼馴染が切り札のキマイラだった?
いつか目覚めて会えるといいな
乙
でも幼馴染みって幼女の方のメイドでしょ?
ゾンビになってるじゃん
ゾンビになってるじゃん
過去作見てきた
この人の作風好きだわ
このスライムの理想郷もいつかは崩れ去ってしまいそうだ
この人の作風好きだわ
このスライムの理想郷もいつかは崩れ去ってしまいそうだ
小国を蹂躙できる戦力を四匹で17秒あれば全滅させるスライムが数千匹詰まった地下洞窟
洞窟脱出するまでは面白かった
洞窟脱出したあとはつまらなかった
洞窟脱出したあとはつまらなかった
蘇生して体は大丈夫だけど脳が生きるのを拒否したんじゃ?
悲しいことが多いからって
悲しいことが多いからって
この人のSS全部落ちが救われないからなぁ
過去作先にあげてくれれば読まずに済んだのに
過去作先にあげてくれれば読まずに済んだのに
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