元スレオタク「密かに憧れていた委員長がアダルト雑誌を立ち読みしようとしてる」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
1 :
―学校 教室―
教師「それでは今日はここまで」
委員長「起立、礼! ありがとうございました!」
「したぁー」
教師「気を付けて帰れよー」
ガヤガヤ……ガヤガヤ……
オタク「……」ゴソゴソ
オタク(帰ってゲームでもしよう)
不良「おい!!」
オタク「ひっ」ビクッ
不良「俺たち、大会が近いから部活の練習に集中したいんだけどよ」
オタク「う、うん……」
不良「掃除当番、代わってくれるよな?」
「いいだろ? どうせ、お前帰るだけだろ?」
オタク「う、うん……わ、わかりました……」
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2 = 1 :
不良「よろしくな」
オタク(なんだよ……)
委員長「ちょっと」
不良「あぁ?」
委員長「掃除当番、今週は貴方達でしょ。すぐに箒と塵取りをもってくる」
不良「部活で忙しいんだよ」
委員長「対して練習にも参加してないくせに?」
「試合前は真面目にやってるって」
不良「それにこいつが代わってくれるって言ってくれたんだぜ」
オタク(納得はしてないけど……)
委員長「ホントに?」
不良「そうだよなぁ?」
オタク「……うん」
不良「じゃあなぁ」
委員長「ちょっ……。もう……」
3 = 1 :
オタク「いい、です。僕がやるんで」
委員長「それじゃあ、窓際から掃いて。私は廊下側からやってくから」
オタク「あれ。委員長、掃除当番でしたっけ……?」
委員長「一人だと帰る時間が遅くなるでしょ」
オタク「別にいいですけど。先に帰ってくれても」
委員長「いいから、やる」
オタク「は、はい」
委員長「あいつらが真面目に掃除してくれてたら、私だってもう帰ってるのに。くそ!」
オタク(あの委員長と二人で掃除なんて……)
委員長「明日は絶対に掃除させてやるんだから」
オタク(ちょっと得した気分かも)
委員長「手が止まってるけど?」
オタク「あ、ご、ごめんなさい」
委員長「早く終わらせて帰るからね」
オタク「は、はい。がんばります」
4 = 1 :
―共同玄関―
委員長「さぁ、さっさと帰らないとー」
オタク「なにかあるんですか?」
委員長「塾があるの。来年は受験だしね」
オタク(きっと僕なんかじゃ到底受からないところに行くんだろうな)
委員長「それじゃ、バイバイ」
オタク「あ、はい」
委員長「そうだ!」
オタク「はい?」
委員長「明日、もし掃除を押し付けられたら全力で逃げるように」
オタク「い、いえ……そんな……」
委員長「男でしょ。根性見せればあんな奴らビビッて何も言わなくなるから」
オタク(委員長みたいにかっこよくは振る舞えないよ……)
委員長「約束だからね。また明日ー!」タタタッ
オタク(初めてこんなに喋ったなぁ……。委員長、相変わらず綺麗でかっこいいなぁ)
5 = 1 :
―夜 自室―
オタク「……」カチャカチャ
オタク「ここでセーブしよっと」
オタク「もう9時か……。明日の準備でもして寝ようかな」
オタク(委員長と一緒のところ、受けたいけど……今からじゃ間に合わないよな……)
オタク(それに一緒のところ受けたからって何が変わるわけでもないし、僕がストーカーみたいになるだけだし)
オタク(遠くでみてるだけで十分だもんな)
オタク「さ、寝よう……」
オタク「あっ!? しまった! 今日、ゲーム雑誌の発売日だった!!」
オタク(明日にしようかな……けど、確か、今週号はソシャゲで使えるシリアルコードがついてたような……)
オタク(明日の放課後だと売り切れになってる可能性もあるし……)
オタク「行こう。自転車なら3分もかかんないし」
オタク「おかーさん、ちょっとコンビニいってくるから」
母「んー。お土産よろしくぅ」
オタク「息子にたかんなよ」
6 = 1 :
―コンビニ―
店員「いらっしゃいませー」
オタク「ええと……。あった、これだ」
オタク(あとはお土産か……。ミルクティーかなんかでいいよな)
オタク「ん……」
委員長「……」
オタク(あの雑誌コーナーの隅にいるのって……もしかして……。いや、帽子被ってるし、よくわかんないけど……とりあえず女の人ではあるよな……)
委員長「……」スッ
オタク(あ、あれってアダルト雑誌じゃあ……女の人も買うのか……)
委員長「……」
委員長「ちっ。ここもダメか」
オタク(そうそう。立ち読み防止のためにテープが貼られてるんだよなぁ。それにしてもやっぱり委員長に似てるような……)
7 = 1 :
委員長「買うしかないっていうの……」
オタク(もう少し近くに行ってみようかな……)
委員長「けど……バレたら……むぅ……」
オタク「……」ソーッ
委員長「折角遠出してきたんだし……ベッドの下あたりに隠せば……」ブツブツ
オタク(な……。ま、間違いなく……委員長だ……!! あ……あぁ……)
委員長「持ち帰れるのは1冊が限界ね。どれにしようかしら……」
オタク(委員長が……あの……委員長が……?)
委員長『そこ!! しっかり係の仕事をするように!!』
委員長『あはは。そんなことないよー。毎日、予習と復習をしてるだけだってばぁ』
委員長『大丈夫? すぐに保健室に行きましょう』
オタク(僕の知ってる委員長は……真面目でかっこよくて……美人で……こんな……こんな……アダルト雑誌を吟味するような人じゃないはずなのに……)
委員長「王道の純愛系か、それとも露出系か……凌辱系も捨てがたいし……悩むなぁ……」
8 = 1 :
オタク(声をかけるべきか……? けど、もし声をかけたら……どうなるんだ……?)
オタク『委員長。何をしているのかな?』
委員長『え!? あ、あぁ!? ど、どうしてここに!?』
オタク『いけない子だ……。こんなものを買おうとして』
委員長『だ、誰にも言わないで!! お願い!! なんでもするから見逃して!!』
オタク『なんでも……?』
委員長『あ……』
オタク『それじゃあ、なんでもしてもらおうかな。フフフ……』
委員長『くっ……好きにして……』
オタク(なるわけないじゃないか!! ふざけんな!! そんな勇気があるなら友達の一人ぐらいは居るはずだ!!)
委員長「二冊買っちゃう? ダメ。ダメよ、私。欲は身を滅ぼすもの」
オタク(ど、どうしたら……普通に注意すればいいのかな……未成年は買えませんとか……そんな感じで……)
委員長「……ん?」チラッ
オタク(しまっ……!? 目が合っちゃった……!?)
9 = 1 :
委員長「……」
オタク(な、なんて言おう……なにか……ええと……)
オタク「き、奇遇、ですね」
委員長「……」
オタク「あの……」
委員長「家、近いの?」
オタク「あ、うん。自転車で3分ぐらい」
委員長「そう……。自分の部屋はある?」
オタク「あ、あるけど? 一人っ子だし」
委員長「ちょっと外にいかない?」
オタク「う、うん。こ、これだけ買ってもいいかな?」
委員長「もちろん。私、外で待ってる」
オタク「……」
オタク(なんだろう。動揺している感じはないけど……)
オタク(見られても平気なのかな……)
10 = 1 :
店員「ありがとうございましたぁー」
オタク「お、おまたせしました。これ、ジュース、よかったら」
委員長「え? いいよ」
オタク「き、気持ちだから」
委員長「そう? ありがとう。いただきます」
オタク「……」
委員長「んぐっ……んぐっ……。ぷはぁ」
オタク(どうしたらいいんだろう)
委員長「私の家、あんまり裕福じゃなくてさぁ。自分の部屋なんてないし、自分専用のパソコンやケータイなんてもっての他」
委員長「月のお小遣いだって1000円だけ。でも、塾に通わせてくれてるし、お母さんにはすっごく感謝してる」
委員長「だからね、国公立の良いところに進学したい。それで学費も免除してもらえるように勉強だけはしっかりやって、いい会社にはいって、早いところお母さんを楽させてあげたいの」
オタク(きゅ、急になんで身の上話を……?)
委員長「今は色んなことを我慢しなきゃいけない時期なの。私にとっては」
オタク(あ……。わかった。やっぱり黙っててほしいってことなんだろうな……)
委員長「あの雑誌だって女の子が手にするものじゃないことぐらい理解してるし、学生が購読して良い物じゃないこともわかってる。そもそも目を向けちゃいけないものだし」
11 = 1 :
オタク「うん。大丈夫です、僕は誰にも……」
委員長「けどね、どうしても最近、我慢できなくて……」
オタク「……え?」
委員長「周りの友達なんて、普通にああいう本読んでるし、男子と付き合ってる子だっている」
委員長「色んな話を聞くたびに、年相応の欲求が溜まっていくわけ。分かる?」
オタク「わ、わか、るけど……?」
委員長「だから、決意したの。今日、絶対に買うって」
オタク「そう、なんですか」
委員長「塾帰りに自転車で30分かければ流石に知ってる顔とは出くわさないだろうって高を括ってたのが間違いだったわね」
オタク「僕、喋るつもりはないけど?」
委員長「口止めしようとは思ってない。私は悪いことをしているんだから、言いふらされても仕方ない。自業自得なの。それぐらいの覚悟はあるわ」
オタク(すごい……アダルト雑誌を買うだけで人生を賭けてる感があるぞ……)
委員長「私があの雑誌を買う理由は分かってくれた?」
オタク「う、うん」
委員長「ありがとう。それじゃ、止めないでね。私、買ってくるから」
12 = 1 :
オタク「あ、あの」
委員長「止めないでって言ったでしょ。私の決意は固いの」
オタク「ぼ、僕が買ってきてもいいですけど」
委員長「え?」
オタク「女の子がレジにもっていく雑誌じゃないし」
委員長「嬉しいけど、貴方の買い物じゃないから。自分の手を汚さずに、他人の手を借りるのは間違ってる」
オタク(あ……。やろうとしてることは最低だけど、この委員長……僕の知っているカッコいい委員長だ……)
委員長「貴方に見られたことで迷いは消えたわ」
委員長「露出系の雑誌にする」
オタク(何を言いだすんだろう。もしかして、本当はとっても焦っているのかもしれない)
委員長「ふぅ……ふぅ……」
オタク(本当に露出系のアダルト雑誌を手にした……)
委員長「……」
オタク(レジに向かってる……本当に買っちゃうのか……)
委員長「この日の為に貯めた1500円……。買う……絶対に買う……。夜、トイレでこっそり読むんだから……」
13 = 1 :
店員「いらっしゃいませー」
委員長「これ、くだ、しゃい!!」ダンッ!!!
オタク(緊張してる。手が震えてるのがここからでもわかる)
店員「……」
委員長「ふぅ……ふぅ……」
店員「身分証の提示をお願いできますか?」
委員長「み……ぶっ……!?」
オタク(ああ!? やっぱり挙動がおかしくて怪しまれた!?)
委員長「あぅ……それは……その……これ……は……」
委員長「おとうさんにたのまれたものなんです!!!」
オタク(酷い言い訳だ……)
店員「身分証の提示をお願いします」
委員長「う……くぅぅ……」
委員長「ごめんなさい!! その雑誌! 元の位置に戻しておいてください!!!」ダダダッ
オタク「委員長!?」
14 = 1 :
―外―
委員長「はぁ……はぁ……」
オタク「あの……」
委員長「ふふっ……笑っていいよ……」
オタク「いえ……そんな……。委員長はがんばったと思いますけど」
委員長「くっ……!! 買うって……決めたのに……!! 3か月、この日の為にお小遣い、貯めたのに……!!」
オタク(やっぱり、僕の知っている委員長じゃないかもしれない)
委員長「今日はこれまでにしよう。これ以上は流石にお母さんに心配させちゃうし」
オタク「送って、いくけど」
委員長「いいの? 家、遠くなるんじゃない?」
オタク「か、構わないです」
委員長「なら、お願いします。夜道って結構怖いからね」
オタク「そうですね」
委員長「はぁ……。買えなかったなぁ……」
オタク(目的はともかく、委員長って何事にも真剣だよなぁ……)
15 = 1 :
委員長「自分の部屋、あるって言ってたよね」
オタク「うん」
委員長「パソコンやテレビあるの?」
オタク「あ、あるよ」
委員長「パソコン、ネットに繋がってるの」
オタク「うん。パソコンでやることはネットぐらいだから」
委員長「はぁ。いいなぁ。ネットがあれば、あんな雑誌を買うこともないのになぁ」
オタク(何とも言えない……)
委員長「……」
オタク(なんだろう。何か言いたげだけど……)
委員長「ううん。やっぱり、ダメ。そんなの」
オタク「な、なにが?」
委員長「気にしないで」
オタク(どういうこと? 絶対、何か考えてたように見えたけど)
委員長「あー、どっかに落ちてないかなぁ」
16 = 1 :
委員長「ここまででいいよ。ごめんね、ジュースまで奢ってくれた上に、送らせちゃって」
オタク「僕が言い出したことだから」
委員長「じゃ、また明日。おやすみ」
オタク「お、おやすみ……」
委員長「あぁ……明日、明日は別のコンビニに行こう……」
オタク「あ、あの」
委員長「なに?」
オタク「僕、今日の事、絶対、誰にも言いません! 約束します!」
委員長「共犯になることないのに」
オタク「そんな、いや、えっと……」
委員長「ありがとっ。でも、罪悪感を持っちゃうぐらいなら、きちんと生活指導の先生に報告してね」
オタク「で、できるわけ……」
委員長「バイバイ」
オタク「あ、バイバイ……」
オタク(不思議な日だ……。まさか、委員長のあんな一面を知っちゃうなんて……)
17 = 1 :
―自宅―
オタク「……」
母「おかえりー」
オタク「ただいま」
母「んっ」
オタク「……あっ。ごめん。忘れてた」
母「えー!?」
オタク「ごめんって」
母「たのしみにしてたのにっ!」
オタク「自販機で買ってくるよ」
母「ミルクティー!」
オタク「うん……」
母「よろしくぅ」
オタク「いってきます」
オタク(明日、また買いに行くって言ってたな……)
18 = 1 :
―翌日 学校―
「おっはよー」
委員長「おはよう」
「ねえねえ、今日現国の課題あったじゃない? よかったら……」
委員長「いいけど、参考にする程度にね」
「ありがとぉ!! ちょーたすかるぅ」
オタク(委員長はいつも通り……。当然か……)
「それでさぁー」
委員長「えー? ほんとにぃ?」
オタク(昨日のことが嘘みたいだけど、現実なんだよなぁ)
委員長「あははは」
「ちょっとわらいすぎぃ」
委員長「ごめんごめん」
オタク(委員長が夜にあんなことしているなんて、きっと誰も夢にも思ってないんだろうなぁ)
オタク(知ってるのが僕だけっていうのが、ちょっと優越感だったり……)
19 = 1 :
―放課後―
オタク(帰ろう……)
不良「おい」
オタク「うっ……」
不良「今日も頼むぜ」
オタク「きょ、今日は……ちょっと……」
不良「はぁ?」
「こっちは試合があるんだよ」
オタク「……」
不良「んじゃ、頼むからな」
オタク「……はい」
不良「な? あいつはなんでもやってくれるんだって」
「ホントだな」
オタク(まぁ、いいか。やろう)
委員長「あれ!? なんでまた貴方が掃除してるの!?」
20 = 1 :
オタク「あ、ごめんなさい。断れなくて」
委員長「むぅ……。わかった。昨日と同じように窓側から掃いて」
オタク「う、うん。でも、僕一人でも……」
委員長「当番でない人に丸投げなんてできないでしょ」
オタク(やっぱり、優しいなぁ)
委員長「早く終わらそう」
オタク「はい」
委員長「あーあ。明日は目を離さないようにしないと」
オタク「あの……」
委員長「んー?」
オタク「……」
委員長「なに?」
オタク「なんでもないです」
委員長「あっそ」
オタク(今日も買いに行くの? なんて、冷静に考えたら言えるわけないじゃないか)
21 :
紫煙
23 :
委員長かっこいい
テンプレだとオタクに当たり散らすんだよな
26 :
委員長「よしっ。これでおしまいっと」
オタク「ありがとうございます。手伝ってくれて」
委員長「いいから、いいから。それよりも、あいつらは明日も多分貴方に言ってくると思うから、ちゃんと断るように」
オタク「でも、断ったら何されるか……」
委員長「大丈夫だって。そんな度胸ないない。あったらあんないつも群れてないだろうし」
オタク「そ、そうなのかなぁ」
委員長「万が一、何かされたら先生に報告すること。先生に言いにくいなら私でもいいよ」
オタク(委員長のほうが言い難いな。殴られたとか言うの恥ずかしいし)
委員長「おっと。早く帰らないと」
オタク「そ、そうだね」
委員長「家は真逆だよね」
オタク「うん。そう、なるかな」
委員長「君の家の近所にコンビニってどれくらいあるの?」
オタク(行く気だ……! 絶対、今日も行くんだ……!!)
委員長「立ち読みオッケーのところとかない?」
27 = 26 :
――共同玄関――
オタク「立ち読みは少年誌とかゲーム雑誌ならできるよ」
委員長「もう。わかってるくせに。意地悪」
オタク「ご、ごめんなさい」
委員長「ま、いっか。今日もそっち方面に行こうと思ってるから、もし見かけても止めないでね」
オタク「あ、う、うん」
オタク(止めても止まらないような気がするけど)
委員長「……昨日のこと誰にも言ってないんだ」
オタク「え? あ、はい。誰にも言ってません」
委員長「私は口止めしてないからね」
オタク「うん。僕が勝手に黙ってるだけだから」
委員長「言いたかったら言っていいんだよ。悪いのは私なんだし」
オタク「別に言う必要もないと思います」
委員長「そう。じゃ、またねっ」
オタク「う、うん。さようなら」
28 = 26 :
―夜 自宅―
オタク「……」カチャカチャ
オタク「あ、やられた……。くそ……ゲームに集中できないな……」
オタク(もうすぐ9時だ。昨日と同じように塾の帰りに行くんだったらそろそろ……)
『コンティニュー?』
オタク(いや、コンビニなんて近所に5店舗ぐらいあるし、全部見て回るには時間がかかりすぎる)
オタク「なにより、そんなのストーカーみたいじゃないか」
オタク「いくら、委員長に憧れてるからって、そんな付けまわすような真似……キモすぎる……」
オタク「……」ピッ
オタク(もうちょっとゲーム進めようっと)
オタク(これでいいよ。委員長だってホントは購入する瞬間を同級生に見られたいとは思ってないだろうし)
オタク「……」カチャカチャ
母「ねー。ちょっと喉乾いたんだけどー? 飲み物かってきてくれない?」
オタク「なんでだよ。めんどくさい」
母「お金、あげるからぁ。いってきてよぉ」
29 = 26 :
―コンビニ―
店員「しゃいませー」
オタク(つい、昨日とは別のコンビニに来てしまった。何を期待してるんだ。僕は)
オタク「……」チラッ
オタク(いないよな。いるわけないよ。そんなことあるわけないんだ)
オタク(さっさとミルクティー買って帰ろう)
オタク「ええと、ミルクティー……ミルクティー……」
店員「しゃいませー」
オタク「ん……?」
委員長「……」キョロキョロ
オタク(い、委員長……!?)
委員長「……」サササッ
オタク(迷わず雑誌コーナーに向かったけど……)
委員長「……」ジーッ
オタク(やっぱり成年向けコーナーを凝視してる……)
30 = 26 :
委員長「うーん……純愛系……凌辱系……SM……どれがいいかな……」
オタク(今日こそ、買うのか……?」
店員「あー。マジだりぃ。おにぎりぐらい消費期限過ぎても食えるってーの」ゴソゴソ
オタク(この店員はテキトーそうだし、身分証の提示とか求めなさそうだけど……)
委員長「やっぱり、露出系で行こう」
オタク(昨日もそういう雑誌を手にしてたけど、委員長っておかしな願望があるのかな……)
委員長「ふぅ……ふぅ……」
オタク(あぁ……やっぱりガチガチに緊張してる……あんな状態だと流石に無理があるんじゃあ……)
委員長「……」キョロキョロ
店員「これも廃棄っと」ゴソゴソ
オタク(店員さん、気づいてあげて)
委員長「す、すみませーん」
店員「はぁーい」
委員長「ふぅ……ふぅ……」
オタク(委員長、大丈夫かな……鼻息荒そう……)
31 = 26 :
店員「おまたせしましたぁ」
委員長「こ、これ、ください」スッ
店員「はぁーい」ピッ
委員長「ふぅ……! ふぅ……!!」
オタク(おぉ……買えちゃうんじゃないのか……!?)
『年齢確認にご協力ください』
委員長「……!?」ビクッ
店員「画面をタッチしてください」
委員長「が、がめんをですか……」
オタク(アダルト雑誌でもタッチパネルの年齢確認ってあるんだ……)
委員長「ふぅー……ふぅー……」プルプル
委員長「ふぅー……! ふぅー……!!」
店員「あの、身分証とか持ってたら見せてもらえます?」
委員長「み、ぶっ……!?」
オタク(やっぱり、ダメだったかぁ)
32 = 26 :
―外―
委員長「うわぁぁぁん」ダダダッ
委員長「はぁ……はぁ……」
委員長「もうすこし……! もうすこしだったのに……!! くそ!! くそっ!!」
オタク「あの……」
委員長「え? なんでいるの?」
オタク「ちょっと買い物で……」
委員長「そうなんだ。もしかして、今の見てたの?」
オタク「ごめんなさい……」
委員長「恥ずかしいところを見られちゃったね」
オタク(恥ずかしいところって、成年誌を買おうとしたところなのか、それとも身分証を提示してほしいと言われた瞬間に猛ダッシュで逃げたところなのか)
委員長「今日もダメだった。あの年齢確認、人の良心に問いかける上手い仕掛けね」
オタク「え? ど、どういう意味?」
委員長「学生の私がアダルト雑誌を購入するために、自分は未成年ではないと嘘を吐かなくちゃいけないわけでしょ。まさに悪事に悪事を重ねる行為。罪悪感を無理矢理に覚えさせる二段構え。コンビニも侮れないわ」
オタク(成年誌を買うなんて無理なんじゃないかな、委員長)
33 = 26 :
委員長「ごめんね。今日もまた送ってもらっちゃって」
オタク「気にしないで。夜道、危ないから」
委員長「ありがと。はぁーぁ。どうしよう。あのコンビニももう行けなくなっちゃた……」
オタク「あの、コンビニじゃなくて古本屋とかじゃだめなの? 古本屋なら安いし、年齢確認もそこまで厳しくないと思うんだけど」
委員長「うーん。塾帰りの時間ぐらいしか買うチャンスがないからなぁ。近所の古本屋は9時にはしまっちゃうし」
オタク「休日は?」
委員長「休日は妹の面倒見なきゃいけないんだ」
オタク「妹さんがいるんだ」
委員長「うん。土日ぐらいはお母さんをゆっくり休ませたいの」
オタク(委員長……ホントに良い人だなぁ……成年誌を欲しがってるけど……)
オタク「あ、そうだ。友達のを借りるとかは?」
委員長「そんなの口が裂けても言えないって。これでも私は品行方正で通ってるんだから」
オタク「あ、そ、そっか……。もしそれで変な噂がたってもダメだもんね」
委員長「学校内での評判を自分から落とそうとは思ってない。けど、他人からの評価で落ちるのは構わない」
オタク(私のことを無理して黙っておくことはないって言ってるのかな。でも、僕は絶対に誰にも言わない。そう決めてる)
35 :
露出もの買う位なら自分が露出すればいいんじゃないですかね(名推理)
36 :
委員長「じゃ、送ってくれてありがとっ」
オタク「う、ううん。お礼なんて……僕が勝手にやってるだけだし……」
委員長「そんなこと言わない。感謝してるから、マジで」
オタク「そうなら、嬉しいけど」
委員長「また明日ね」
オタク「あ、うん。明日」
委員長「バイバーイ! 帰り道、気を付けてねー!!」
オタク「うん。気を付けます」
オタク「……」
オタク(今日も会えた……。やっぱり嬉しいな)
オタク(委員長が成年誌を漁ってる光景はあんまりみたくないけど……)
オタク(明日は、どうするんだろう)
オタク(って、また明日も夜に出歩くつもりなのか、僕。それじゃあ、ホントにストーカーじゃないか)
オタク(明日はやめよう……)
オタク「帰ろう。お母さんも待ってるだろうし」
37 = 36 :
―翌日 学校 放課後―
オタク(今日も誰とも話すことなく、終わったな……。委員長……)
「ねえ、駅前のショッピングモールでバーゲンやってるんだって。今週末、どう?」
委員長「ホント!? ちょっと考えてみる、けど、お小遣いが……」
オタク(服とか買ったら雑誌は諦めなきゃいけないだろうな)
オタク(って、盗み聞きなんてやめよう。早く帰らないと、また――)
不良「おう」
オタク「ひっ」
不良「今日も頼めるか?」
「監督が遅刻はグラウンド10周追加とか言ってるからよ」
オタク「えと……今日は……」
不良「頼むぜ、なっ?」
オタク「う……うん……」
委員長「ちょっと嫌って言ってるじゃない。今日は交代なし。貴方達が掃除。ほら、箒と塵取りもってくる!」
オタク(い、委員長……)
38 = 36 :
不良「なんだよ。こいつは頷いたぞ。なぁ? 嫌じゃないよな?」
オタク「そ、れは……」
委員長「嫌だって言ってるの!! 掃除!!」
不良「だから、こいつは嫌がってねえって!」
委員長「嫌じゃないの!?」
オタク(正直、委員長と二人きりになれる時間だし、嫌っていえば嘘になるかもしれないけど……)
オタク「い、いや、です」
委員長「ほーら、嫌だってさ。いいから、やりなさい」
不良「ちっ……」
「これで俺たちが遅刻したら殴るぞ」
委員長「監督って数学の先生でしょ? 私から説明しておいてあげるけど」
不良「しなくていいって。うぜえから帰れよ」
委員長「言われなくても帰るわ。ほら、今日は早く帰れるよ。やったね」
オタク「あ、うん。ありがとう」
委員長「いいよ。お礼なんて、私が勝手にやってるだけだしね」
39 = 36 :
―共同玄関―
委員長「バイバーイ」
「バイバーイ」
オタク(はぁ……。結局、助けてもらったなぁ。かっこわるいなぁ)
オタク(こんな僕にでも優しくしてくれる委員長って、ホント天使だなぁ)
委員長「バイバイ」
オタク「え?」
委員長「ん? バイバイ」
オタク「あ、あ、バ、バイバイ」
委員長「またねっ」
オタク「あぁ……」
オタク(たとえアダルト雑誌が好きでも、夜な夜な変装してコンビニにいても、やっぱり素敵だ)
オタク(今日もコンビニにいくのかな……)
オタク(い、いや、行かないって決めたじゃないか)
オタク「今日はあのゲーム最後まで進めたいし……」
40 = 36 :
―夜 自室―
オタク「……」カチャカチャ
オタク「……もう9時か」
オタク(委員長、今頃コンビニかな)
オタク「……」
オタク(お母さんがまたジュースを頼みにくるかもしれないし、待ってみよう)
オタク(おつかいを頼まれたら、行こう。理由もなく外にいくのは、やっぱり、なんか嫌だし)
オタク「……」カチャカチャ
オタク「あ、くそ……ここでこうしたらいいのか……」
オタク「あ、ああ……やられた……」
オタク「セーブしとこ」
オタク「……」
オタク(風呂入ろうかな……)
オタク(そう都合よく、お使いを頼まれたりしないよな)
オタク(ギャルゲじゃないんだから、上手くいくわけないよ)
41 = 36 :
―翌日 学校 教室―
「おっはよー」
委員長「おっはよー」
「昨日言ってた、バーゲン、行けそう?」
委員長「うん。なんとかなるかも」
「マジ!? よっし、約束だよ。何、買おうかなー」
委員長「ワンピースみたいなの欲しかったんだよねー」
「えー? ちょー似合いそうじゃん。私が選んであげるよー」
委員長「いいの? やったー」
オタク「……」
オタク(リア充してるなぁ、委員長)
オタク(昨日はコンビニ行ったのかな。買えたのかな)
オタク(気になるけど、聞けるわけないし……)
オタク(もう忘れよう。十分、委員長とは話せたし)
オタク(帰ったら、ゲームの続きしよう。今日こそクリアしないと)
42 = 36 :
―放課後―
オタク(帰ろう……)
不良「……」
オタク「うっ……」
オタク(ま、また言われるのか……)
不良「とっととやろーぜ」
「おー」
オタク(あ、あれ、真面目にやるんだ……)
委員長「私、職員室に寄ってから帰るから」
「そっか。じゃねー」
委員長「うん。バイバーイ」
オタク「……」
オタク(委員長が言いくるめてくれたのかな)
オタク(これですぐに帰れるし、いいか)
オタク(早く行こう)
43 = 36 :
―数日後 学校 放課後―
オタク(終わったー。さ、帰ろう。今日からはあのゲームを始めたいしな。ふふふふ)
オタク(最速クリアしてネットで自慢してやろう)
「ゴミ、捨ててくるよー」
委員長「ありがとー」
オタク(今週から委員長が掃除当番なんだ)
オタク(そういえば、あれからどうなったんだろう。雑誌、買えたのかな。バーゲン行くって言ってたけど、もしかしたら諦めたのかもな)
オタク(月のお小遣い1000円だって言ってたし)
オタク(まぁ、僕には何も関係ないけど)
委員長「あ、待って」
オタク(ゲーム、とことんやろう)
委員長「待ってってば」
オタク「え?」
委員長「時間ある? あるなら、掃除終わるまで待っててほしいんだけど」
オタク「え? え?」
44 = 36 :
―校舎裏―
委員長「ゴメーン、お待たせ」
オタク「あ、うん。全然、いいんだけど。こ、こんなところで話って……?」
委員長「うん……その……あのね……」モジモジ
オタク(人気のない場所……それに委員長の態度……これって……まさか……)
委員長『あのね……その……私……私……!』
オタク『皆まで言うな、子猫ちゃん。全部、分かってるからさ』
委員長『え……?』
オタク『俺も、君のことが好きだったんだ』
委員長『う、うれしい……!!』
オタク『これから、どこに行く?』
委員長『今日は、家に誰もいないんだけど……』
オタク『やれやれ。まいったね、どうも』
オタク(そんな展開もありえるのか……? そんなギャルゲみたいなことって起こり得るのか……!?)
45 = 36 :
委員長「うん。ここでちゃんと言わなきゃ……前に進めないし……。あのね」
オタク「は、はい」
委員長「こんなこと、貴方にしか頼めなくて……」
オタク「ど、どど、どんなこと……?」
委員長「あれから貴方の家の近所にあるコンビニ、全部回ったんだけどね。結局、無理だったの」
オタク「え?」
委員長「買えなかったの。レジまでは持っていったの。でも、やっぱりどのコンビニでも年齢確認を求められて……」
オタク「そ、そうなんだ」
委員長「私、一人では買えないってことがよーく分かった。だから、助けてほしいの」
オタク「た、助けるって? どういう風に? 僕が買ってくるとか?」
委員長「ううん。そんなこと貴方にはさせられないし、させたくもない。ただ、私が逃げ出しそうになったら止めてほしいの」
委員長「逃げるな! お前には夢があるんだろう!って感じで行く手を塞いでほしい」
オタク(その程度で逃げるのを思い留まれるなら、もっと早く買えてると思うんだけど)
委員長「ダメかな!? どうしても買いたいの!! アダルト雑誌!!」
オタク(大声でなんてこと言うんだ、この人)
46 = 36 :
―夜 コンビニ前―
オタク(ここであってるよな……。自転車で20分ぐらいのコンビニなんて絶対に利用しないし、同じようなコンビ二もあるから自信ないけど……)
委員長「いたいた!」
オタク「お、お、こ、こんばんは……」
委員長「はぁ……はぁ……。ごめんね。無理にここまで来させちゃって」
オタク「ぜ、全然。どうせ、することもないし」
委員長「雑誌と一緒にジュースも買っちゃうから。ちゃんとお礼させてね」
オタク「い、いいよ、別に、そんな……僕が……」
委員長「勝手にやってるだけだから、貰って。ね?」
オタク「お……」
オタク(委員長、可愛いなぁ……。こんな綺麗で可愛い子と夜に会ってる俺って……リア充か……?)
委員長「もうね、買う雑誌は決めてるの。今週発売の『露出調教アカデミー』っていう雑誌!」
オタク(リア充ではないかもしれない)
委員長「店から出ようとしたら、私を止めてね。約束だから」
オタク「あ、はい。がんばってください」
47 = 36 :
店員「っさいませー」
委員長「ふぅ……ふぅ……」
オタク(いつもながら挙動不審だなぁ……)
委員長「買う……買うのよ、私……絶対に買うんだから……ふぅ……ふぅ……」
オタク(今回も無理なんだろうなぁ)
委員長「……あった、これをさりげなく籠にいれて……」プルプル
委員長「あっ」
バサバサバサ!!
オタク(あぁ!? 雑誌をいくつも落としちゃった!?)
委員長「あぁ……あぅ……」オロオロ
店員「……」ジーッ
オタク(店員が怪しんでる……!! い、行こう!!)タタタッ
店員「っさいませー」
オタク「……」スッ
委員長「あ、あの、わたしが拾うから……」オロオロ
48 = 36 :
オタク「ど、どれにしようかなぁ」
委員長「……」
オタク「(はやく、レジに)」
委員長「……」コクッ
委員長「あー、のどかわいたなー。どれにしようかなー?」
オタク(そんなこと口に出さなくていいと思います。棒読みだし)
委員長「これとか、どうかな?」チラッチラッ
オタク(なんでもいいです。僕の好みとか気にしないでください)
委員長「こっちかな?」チラッチラッ
オタク(早く行ってください)コクッ
委員長「おっ。よし、これに決めたっ。あとは……」
委員長「ふぅ……ふぅ……」
オタク(絶対にダメだぁ……)
委員長「ふっ……ふっ……」
店員「っさいませー」
49 = 36 :
委員長「こ、これ……くださ――」
店員「年齢確認ができるものをお持ちですか? 免許書等のご提示をお願いします」
オタク(あれを言われたら終わりだよなぁ……どうしようも……)
委員長「……」
オタク(あれ? 委員長、逃げる気配がないけど……)
委員長「見えますか? この私が18歳未満に」ファッサァ
オタク(おぉ……。余裕を見せてる……!)
委員長「ふふ……」プルプル
オタク(足が震えてるけど、店員からは見えないし、いけるか……?)
店員「はい。見えます」
委員長「ぶっ……!?」
店員「年齢確認にご協力ください」
委員長「……このジューしゅだけくだしゃい!!!」ダンッ!!!!
オタク(あー!! 諦めたー!!)
店員「138円になりまーす」ピッ
50 = 36 :
―外―
委員長「うぅぅ……また買えなかった……」
オタク「あの、やっぱり僕が買って……」
委員長「……いいの?」
オタク(か、かわいい……! けど、やろうとしてることは褒められないんだよなぁ……)
委員長「ダメ。そんなの貴方の手を汚すことになるだけだもの」
オタク「別に成年誌買うだけだし」
委員長「慣れてるの?」
オタク「え? いや、その……慣れてるわけじゃないけど……」
オタク(中学のときに買った経験あるし、もう抵抗はないっていうか……。確かに最初はドキドキしたけど)
委員長「いいよね、男子は。ちょっと顔が幼くても怪しまれないし」
オタク「そんなことないんじゃないかな。お店の店員によるところも大きいし」
委員長「私は全部のコンビニで年齢確認されるんだけど。私ってそんなに幼く見える?」
オタク(挙動が怪しすぎるだけだと思う)
委員長「はぁ……。やはり奥の手を使うしかないっていうの……?」
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