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元スレモバP「脱・響子宣言」
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響子「いいですか、冷蔵庫に食材一式を入れておきましたから」
響子「必要に応じてチンして食べてくださいねっ」
P「はい」
響子「ご飯も小分けにして冷凍してありますから」
響子「炊く時間がないときはこっちを食べてくださいね」
P「はい」
響子「Yシャツは洗ってアイロンをかけておきましたっ」
響子「シミも綺麗にとれましたよっ、ほらっ」
P「おー」
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響子「あっ、あとこれ買ってきたんです」
P「?」
響子「シューキーパーっていうんですよ」
響子「革靴を保管するとき、中に入れて使うんです」
響子「靴が長持ちしますから、脱いだら必ず入れるようにしてくださいねっ」
P「うん」
響子「それと、洗剤が切れかけていたので」
響子「ストック用も含めて買い置きしておきました」
響子「常に予備をおいておくと便利ですよっ」
P「うん」
響子「あっ、もうこんな時間!」
響子「それじゃあ私は学校に行きますから」
響子「Pさんもお仕事に遅れないようにしてくださいね!」
P「うん」
響子「そうだ、お鍋にお味噌汁が入っていますから」
響子「温めて食べてくださいね、それと……」
響子「はいっ、これ、お弁当ですっ」
P「うん」
響子「今日のは自信作なんですっ」
響子「あとで感想、聞かせてくださいね!」
P「うん」
響子「ふふ、じゃ、行ってきますね」
響子「戸締まりとガスの元栓だけ、忘れないようにしてくださいね」
P「うん」
響子「しっかり朝ご飯、食べなきゃダメですよっ」
響子「それじゃまた、事務所で!」
ガチャ
バタン
P「……」
P「……」
P「そうだ、味噌汁……」
カチッ
P「温めて……」
ズズー
P「……」
P「うまい」
P「でも」
P「うん」
美穂「えっと……?」
卯月「どういうことですか?」
P「読んで字のごとく」
P「響子からの脱却を図ろうと思ってな」
卯月「だっきゃく?」
美穂「響子ちゃんと、何かあったんですか?」
P「よく聞いてくれた」
P「二人ともうすうす感付いていると思うが」
P「最近の俺と響子はその、なんつうか……」
P「目に余るというかな、まあひどいもんだろ?」
卯月「?」
美穂「?」
卯月「ひどい、ですか?」
P「うん」
P「相談する相手、間違えたかな……」
P「まあ、実際に見せた方が早い」
P「例えばこれだ」スッ
美穂「あ、お弁当」
卯月「Pさんのお弁当箱ですか?」
卯月「ちっちゃくてかわいいですね!」
P「ありがとう」
P「何を隠そうこれは、響子が作ってくれたものでな」
美穂「えっ! そうなんですか!」
卯月「へえー! 中見てもいいですか?」
P「いいよ」
パカッ
美穂「わあ~」
卯月「すごい、おいしそうです!」
P「だろ?」
P「俺のオススメはこれだ」
P「うずらの卵をベーコンで巻いたやつな」
P「爪楊枝に刺してあって、非常に食べやすくてグッドだ」
P「ベーコンをわざわざ焼いてくれてるのもポイントが高い」
卯月「いいなあ~」
美穂「こっちのハンバーグもすごい手が込んでますよね」
P「これソースがな、お手製なんだよ」
P「肉も粗挽きだし、冷えててもすっごい美味いぞこれ」
美穂「お腹すいてきちゃいました……」
卯月「これ全部響子ちゃんが?」
P「うむ」
P「おかしいだろ?」
美穂「えっ?」
卯月「おかしい、ですか?」
P「……」
P「おかしいだろ! どう見ても!」
P「どこの世界にプロデューサーに手作り弁当を差し入れるアイドルがいるんだよ!」
美穂「といわれましても……」
卯月「響子ちゃん、料理得意ですもんね……」
P「(得意不得意の問題か?)」
P「まあいい、これでもまだ序の口だ」
P「ここ最近は輪をかけてひどくてな」
P「なんと、休日になると家にあがり込んできて」
P「炊事洗濯家事掃除と、全部やってくれるようになったんだ」
P「信じられるか? ありえんだろ!」
P「若干15歳のアイドルが、男やもめの、家にだよ!」
美穂「……」
卯月「……」
P「薄いな、反応」
卯月「いえ~……その、実はですね」
美穂「私たち、響子ちゃんから全部聞かされていたので……」
P「え」
卯月「響子ちゃんがPさんのおうちに通うようになったのも」
卯月「毎日お弁当作っているのも、全部知っていましたよっ」
P「知っててあんな白々しいリアクションしたんか」
卯月「い、いえっ、実際に見たのは初めてだったので」
美穂「シ、シャツを洗濯している姿も見ましたっ」
美穂「同じ寮なので、色々お話ししてくれるんです」
P「……」
P「それで、問題があるとは思わんのか、君らは」
卯月「でも、響子ちゃん楽しそうですし……」
美穂「毎日献立考えるのが大変だとは、聞きましたけど」
美穂「響子ちゃん、以前と違って最近すごく笑うようになったんです」
美穂「だから、よかったねって卯月ちゃんと話してて……」
P「ふむ……」
卯月「Pさんは、その、嫌なんですか?」
卯月「響子ちゃんがおうちに来るの……」
P「まさか、嫌なわけないよ」
P「でもな」
P「……」フムフム
P「豚ひき肉」
P「キャベツ」
P「ニラ……と」カキカキ…
響子「何見てるんですかっ?」ヒョコッ
P「わっ」
P「きょ、響子、いたのか」
響子「ふふっ、驚きました?」
響子「学校が終わって急いできたんです」
響子「やっぱり事務所のみんなといるのが一番落ち着きますから!」
P「う、うん、そうか」
響子「それで、何見ていたんですか?」
P「あー、いや……」
響子「……くっくぱっど?」
P「うん」
P「いろんなレシピが載っててな」
P「眺めてるとちょっと面白いんだ、これが」
響子「へえー……あれ?」
響子「Pさん、まだ冷蔵庫に食べるもの残ってますよね?」
P「まだあるよ」
P「食べきれないくらい」
響子「ですよね! よかったです」
響子「てっきりもう無くなっちゃったのかと思いました」
P「あー、えと、大丈夫だよ」
P「今週いっぱいはもつよ、きっと」
響子「はいっ、足りなくなったらまた言ってくださいね!」
響子「すぐに作って持っていきますから!」
P「……そのことなんだけど、響子」
P「あの、別に無理して毎日弁当とか作ってくれなくてもいいんだぞ?」
P「今はこうやって、手軽にレシピやら何やら検索できる時代なんだし」
P「簡単な料理なら、俺にだって……」
響子「そんな、全然無理なんてしてないですよ!」
響子「私、好きなんです、誰かのためにお料理したりお洗濯したりするのが」
響子「全部私が好きでやっていることなんですから、遠慮なんていりませんよっ」
P「いや、遠慮というか」
響子「それに私、少しでもお役に立ちたいんです」
響子「いつも遅くまでお仕事してくれているPさんのために」
響子「せめてご飯くらいはちゃんとしたものをと思って……」
P「う」
響子「だから、心配しなくても大丈夫ですよ」
響子「明日もおいしいお弁当、作ってきますから!」
P「……」
響子「ささっ、お弁当箱、回収しますからねっ」
響子「ふふっ、味の感想も聞かせてくださいねっ♪」
P「あ、ああ」スッ
パカッ
響子「あっ、すごい! 全部食べてくれたんですね!」
響子「これ、どうでしたか? 私、ちょっと味が濃いかなって不安だったんですけど」
P「や、ちょうどよかったよ」
P「おいしかった」
響子「本当ですか? ふふ、ありがとうございます」
響子「あ、そうだ、ここにあった里芋なんですけど……」
P「これな、俺これ好きだわ、すごい好きな味」
響子「やっぱり! Pさん好きだろうなって思ったんです」
響子「えへへ、じゃこれは当たりですね、次も入れておきますね」
響子「そうだ、明日の献立案、考えてきたんです、ほら――」
P「……」
P「(うーん……)」
P「(無理してない、か)」
P「(これは、本腰入れる必要がありそうだ)」
響子「♪~~」
ピンポーン
P「はーいっ」
ガチャッ
P「あ、響子」
響子「はいっ、響子ですっ」
響子「今週もお世話になりますっ」
P「おう」
P「まああがってくれ」
響子「失礼します」
響子「ふふっ、今日もいろいろ買ってきましたよ」
P「ん?」
響子「卵が安かったんです、だから鶏肉と合わせてですね」
響子「オムライスなんかいいかなって――」
響子「――あれ?」
P「ああ、買い物してきてくれたのか」
P「悪いことしたな、そりゃ」
響子「Pさん、あの」
響子「それは……」
P「これか」
P「これはニラだ」
P「みじん切りにしてやった」
響子「ニラ?」
P「これからキャベツも刻む」
響子「キャベツ?」
響子「えっと……」
響子「Pさん、ひょっとして料理、するんですか?」
P「うん」
P「なんでまあ、響子は適当にくつろいでいてくれ」
P「また少ししたら呼ぶからさ」
響子「え、あ」
響子「あ、あの、私、手伝いますよっ」
響子「というか、言っていただければ私が作りますっ!」
響子「だって私、そのために来たんですから!」
P「ありがとう」
P「でも俺はそうは思っちゃいない」
響子「え?」
P「響子は俺のお手伝いさんじゃないからな」
P「あくまで俺の友人であり、客人だ」
P「客人に夕食を作らせるやつはいないよな」
響子「え? で、でも」
響子「今までは……」
P「そう」
P「だから今までがおかしかったんだな」
P「これからは無しにしよう、そういうのは」
響子「」
P「とは言っても俺は料理なんて慣れてないからさ」
P「そばで見ていて、いろいろと口出ししたくなるとは思うけど」
P「とりあえずは何も言わず、見守っていてくれないか?」
響子「えと……」
P「そうしてくれると、俺も嬉しい」
響子「……」
P「……」
響子「……」
トントントントン……
P「……」
響子「……あの、もしかしてご迷惑、でしたか?」
響子「私がおうちにお邪魔したり」
響子「お料理、作ったりするの」
P「まさか」
P「そう思ったことはない」
響子「じゃあ……」
P「あと、豚ひき肉を……」
響子「あ、ここに……」スッ
P「お、ありがとう」
P「かきまぜて……」
カチャカチャ……
響子「……」
P「……このままだと良くないと思った」
P「このままだと、きっといずれ依存してしまうことだろう」
P「だから、そうなる前になんとかしようと思ってな」
P「えーと、にんにく、ごま油……」
カチャカチャ……
響子「依存だなんて、そんな……」
響子「私はほんの少し、身の回りのお世話をさせてもらっているだけで」
響子「それにPさんは、ちゃんとお仕事だってこなしているじゃないですか」
響子「私に依存なんて――」
P「ちがう」
P「逆だ」
響子「え?」
P「俺が響子に依存することを危惧しているんじゃない」
P「逆だ」
響子「逆?」
響子「えと、それってつまり」
響子「私がPさんに、ってことですか?」
P「……」
P「ここで蓮根を入れる」
P「シャキシャキしておいしいらしい」
トンットンットンッ…
響子「……」
P「……おかしいと思った」
P「どうしてこんなにあれこれ世話を焼いてくれるんだろうって」
P「俺が響子のプロデューサーだから? まさか」
P「流石にそこまでうぬぼれちゃいない」
P「色々考えると、一つだけ思い当たる節があった」
P「前に響子の、鳥取の実家に行ったときのことだ」
響子「……私の、実家ですか?」
P「あのとき響子、言ったよな」
P「東京だとなんでも一人分なんです、って」
響子「一人分……」
P「料理も、洗濯も、掃除も、買い物も」
P「こっちでは自分一人のためだけにしかやらない」
P「でも、実家は違う、両親がいて、弟妹がいて、……一人じゃなくて」
P「誰かの為に家事をする事ができて」
P「余計なことを考える時間もない」
P「それが例えようもなく嬉しいんです、と」
P「そう言っていたこと、俺は覚えてる」
響子「……」
P「あのとき、俺はいくつかの質問をすべきだった」
P「"東京の生活はもう慣れたか?"」
P「"新しい高校に友達はできたか?"」
P「"女子寮のみんなとは仲良くしているか?"」
P「"卯月や美穂とは、どうか?"」
響子「……」
P「俺は鈍感に過ぎたな」
P「何も疑問に思わなかったんだから」
P「響子がうちに上がり込んでくる、そのときまでな」
カチャカチャ……
P「……もう、混ざったかな」
響子「……つまり、Pさんはこう言いたいんですか」
響子「私は寂しさを紛らわすために、Pさんの家にきていると」
響子「一人でいたくなくて、誰かのお世話がしたくて、Pさんに依存している、と」
P「何言ってんだって思うよな」
P「さんざん飯やらなんやら作ってもらっておいてさ」
P「もちろん、これは俺の勝手な推測でしかない」
P「聞いた限りじゃ、卯月や美穂とも仲良くやってるみたいだし」
P「俺の勘違いってことも、十分にあるだろう」
P「でも、たとえ俺の杞憂だったとしても」
P「やはりこのままでいるのは問題だと思う」
P「だから――」
響子「……そうですか?」
P「え?」
響子「問題なんて、ありますか?」
P「へ?」
響子「い、いいじゃないですか、別に」
響子「Pさんのおうちに行く理由が何であっても」
響子「だってPさん言ってくれましたよね?」
響子「私がこうすること、迷惑じゃないって」
P「いやまあ、それは」
P「確かに助かってはいるけどな」
響子「だったら、何も問題ないじゃないですかっ」
響子「よく言いますよね、Win-Winの関係って」
響子「私たち、きっとそれだと思うんです」
響子「私がお世話することで、Pさんの負担が軽くなる」
響子「私は家事したい欲を満たせて、一人でいる時間がなくなる」
響子「まさに、理想的な関係じゃないですか」
P「Win-Win……」
響子「その結果、私がPさんに依存することになったとしても」
響子「私、それはそれで、いいかなって」
響子「ちょっとだけ思うんです、あの、ちょっとだけ、ですけどね」
P「……」
響子「それに、もとからこういう性格なんですよ」
響子「いつも考えちゃうんです」
響子「誰かの役に立ちたいって」
響子「誰かのお手伝いをしたいって」
P「……」
響子「好きなんです、人のため、みんなのためっていうのが」
響子「きっと私がアイドルをしているのも、その延長線なんだと思います」
響子「ファンの人に笑顔を届けるのが、アイドルのお仕事ですもんねっ」
P「……」
響子「そうです、これもトップアイドルになるための修行のひとつなんですよ!」
響子「だからやっぱり、Pさんは遠慮なんかしなくていいんですっ!」
P「……」
P「なるほど、やっとわかった」
P「本当の問題が何か」
響子「……え?」
P「響子は、多分」
P「与えることに慣れすぎてる」
響子「与えることに……?」
P「ここ数週間、一緒に過ごしてきて」
P「俺は一度も響子のわがままを聞いたことがなかった」
P「食べるものでも行くところでも」
P「常に俺の意思を優先してくれたよな」
P「俺は思ったよ、すげえいい子だなって」
P「でも同時にこうも思った」
P「あまりに一方的すぎるな、って」
P「俺はいつも受け取る側で、響子はいつも与える側にいる」
P「さっき言ってくれたように」
P「響子はいつも誰かのために動いてる」
P「それが少し、歪んでるように見えたんだろうな」
響子「私が……?」
P「さて、もういいだろう」
P「タネは完成したから、後はあっちの机でやろう」
響子「え」
P「新聞紙ひいて……」
ガサガサッ
響子「あ、あの」
P「あと薄力粉、水、皮だな」
P「ここからは響子にも手伝ってもらうぞ」
P「なんせ引くほど不器用だからな、俺は」
響子「これって……」
P「もう気づいてると思うし、今更だけど」
P「餃子、作ろうぜ、一緒に」
―――
――
P「このな、皮を包むのがどうも不慣れなんだ」
P「まず具を乗せるだろ」
P「そんで皮の周りに水をつける」
P「で端からひだを作るように閉じていって……」
グチャ
P「……失敗しました」
響子「……はみ出てますね」
P「というわけで、響子さん、教えてください」
響子「は、はいっ、それはいいんですけど」
響子「あの、さっきの話は……」
P「まあ、それは作りながらでいいじゃないか」
響子「え、あ」
P「さ、はじめからやり直すぞ」
響子「は、はいっ」
P「まず具を乗せる……」
響子「あんまり乗せすぎない方がいいんです」
響子「そして全体的に平べったくしてですね……」
P「ふむふむ」
P「こんな感じか」
響子「周りは1センチくらい余らせるようにするんです」
響子「それでこれは私のやり方なんですけど」
響子「端からじゃなくて真ん中から閉じていくんです、ほら、こんな感じに」
P「ほお」
響子「それから左右にひだを作っていって……」
響子「はいっ、完成ですっ!」
P「すげえ」
P「超きれい」
響子「えへへ……そうですか?」
P「俺もやるぞ」
P「中央から閉じるんだったな……」
響子「はい」
響子「そして両側を交互に閉じていって」
響子「三日月型になるよう意識してくださいね」
P「うむ」
P「こう……こうか」
響子「あっ、いいじゃないですか」
P「できた」
P「比べるとだいぶ不格好だが、どうだろう?」
響子「ふふっ、おいしそうですよ」
P「よし、ちょっとコツが分かったかもしれん」
P「この調子でばんばんと……ん?」
響子「?」
P「響子、それ、何個目?」
響子「ええと、1、2、……これで4個目ですね」
P「……」
P「俺が1個作る間に、か?」
響子「えへへ」
響子「慣れてますからっ」
P「……」
P「うおおっ」バババッ
響子「あっ、駄目ですよ! 形が崩れちゃいますって!」
―――
――
響子「お水を入れて……」
P「うん」
ジューー
響子「しばらく蒸し焼きにします」
P「よし、ふたをして……」
カポッ
ジューー
P「……」
響子「……」
P「さっきの話な」
P「俺はどっちに偏っていてもいけないと思う」
響子「……偏る、ですか?」
P「世の中ギブアンドテイクで回ってるなんていったら」
P「単純な奴だって鼻で笑われるかもしれない」
P「でも俺は割とそれを信じていてさ」
P「どっちが多くてもいけないって思ってる」
P「誰かから受け取ったら、その分誰かに与えてやる」
P「誰かに与えたら、その分誰かから受け取るようにする」
P「そうやって世の中バランス取ってんじゃないかって感じるんだ」
響子「……私は、みんなに与えることを考えすぎだと」
響子「そう、仰りたいんですよね?」
ジューー
P「……あと何分かな」
響子「……3分くらいですね」
P「そうか」
P「……ここは鳥取じゃない」
P「響子が家事をする必要もない」
P「だからもう少し、肩の力を抜いてもいいんじゃないかと思う」
P「もっと、自分のために時間を使っていいんだ」
P「卯月や美穂と遊ぶのでもいい」
P「うちに来て、何をするでもなくぼんやりしているのでも構わない」
P「もっと誰かに寄りかかって、誰かに甘えて生きても」
P「誰も文句は言わないって、そう思う」
P「誰かを頼ることは、依存することとは全く違うからさ」
響子「……」
ジューー
響子「……私、こっちにきてから一人の時間が増えたんです」
P「……」
響子「実家だと毎日忙しくて、特にご飯のときなんててんやわんやで」
響子「料理を運んだり弟たちのお代わりをよそったりで」
響子「私自身、ろくに食べる暇もありませんでした」
響子「それがこっちに来ると、まるで逆で」
響子「自分で作って、自分で食べて、自分で片づけて……」
響子「本当に、自分のためだけの時間が増えたんです」
響子「私、いつもそわそわして落ち着きませんでした」
響子「こんなことしてていいのかなって罪悪感すらわいてきました」
P「……」
響子「でも、今ならその理由も分かります」
響子「私きっと、慣れていなかったんですね」
響子「変な話ですよね、誰かに何かしてあげることは得意なのに」
響子「自分自身を甘やかすのは、大の苦手だなんて」
P「……そういう人も世の中にはいる」
P「自分に厳しくて、他人にやさしい人も」
P「それを変えるかどうかは、その人次第だけどな」
ジューー
響子「……Pさん、私、いいんでしょうか?」
P「ん?」
響子「何もしなくても、Pさんのおうちに来てもいいんでしょうか?」
響子「料理をしなくても、家事をしなくても、何の用が無くても」
響子「ただ私が行きたいからという理由で来ても、いいんでしょうか?」
P「……もちろんだ」
P「今までずっと、受け取る側だったからな」
P「これからは全力で与える側にまわってやるさ」
P「精一杯おもてなししてやるからな、覚悟しろよ」
P「……といっても、餃子すら満足につくれない男だけどな」
響子「Pさん……」
P「それに、俺だけじゃない」
P「響子には卯月や美穂、それにファンのみんながいる」
P「そいつらにもたくさん迷惑かけてやりゃいい」
P「大丈夫、みんなきっと自分が喜ぶことよりも」
P「響子が喜ぶことを優先してくれるはずだよ」
P「少しくらい甘えたって、罰は当たらないさ」
響子「……」
響子「ふふっ」
P「ん?」
響子「いえ、よかったって思って」
P「よかった?」
響子「Pさんが私のプロデューサーさんで、よかったって」
響子「今、そう思ったんです」
P「……」
P「それは、その」
P「ど、どういたしまして」
響子「はいっ、ふふふ」
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