元スレ八幡「やはり俺が人間を愛しすぎるのはまちがっていない。」
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101 = 1 :
大志「バーっすか?」
八幡「ああ。恐らく年齢を偽ってしてるんだろうな」
結衣「なんでそこまで?」
八幡「深夜の方が時給が良いからな」
雪乃「それって校則どころか法律違反じゃない」
八幡「だな。大志、川崎がお金を必要としてる理由はわかるか?」
大志「……恐らく進学費用を貯めてるんじゃないっすかね……」
八幡「進学費用ね」
大志「うちは姉弟が多いので両親が共働きなんすけどお金に余裕がある方じゃないんす」
小町「でも大志くんは塾に通ってるよね?」
大志「姉ちゃんも中三の時に塾通ってたから。俺だけ塾に通わせないわけにはいかないって両親と姉ちゃんが」
雪乃「大志くんの塾の費用の為ってことはないかしら?」
大志「それはないっす。両親が塾の費用は貯めてあると言ってたので」
雪乃「そう。……となるとやはり自分の進学費用の為ということで合ってるのかしらね」
八幡「……」
結衣「とりあえずあたし達も川崎さんに聞いてみようよ」
雪乃「そうね。彼女の為にもバイトは辞めさせないと」
102 = 1 :
10分後
小町「あのギャルっぽい人が由比ヶ浜さんなんてね」
八幡「高校デビューってやつだな」
小町「だね。うちに来た時は黒髪で大人しそうな感じだったのに。勿体なーい!」
八幡「それよりお兄ちゃん安心したよ。小町に友達がいて」
小町「大志くんはいい人だからねー。素の小町を知っても一緒にいてくれるし」
八幡「そうか。それは貴重な人材だな」
小町「だね。二人とも総武に受かったら付き合っちゃおうかなー」
八幡「いいんじゃねえの。顔もそこそこいいし優良物件だと思うぞ」
小町「あれれ? 妹が嫁ぐ宣言してるのに反対しないの?」
八幡「嫁ぐわけじゃないだろ」
小町「あはは。……てかさっきの由比ヶ浜さん超ウケたんだけど。小町の顔見た時の由比ヶ浜さんの顔っ!!」
八幡「あー、あれは面白かったな。トランプも弱そうだ」
小町「それあるー」
八幡「なんか折本を殴りたくなってきたな」
小町「元カノを殴りたいなんてひどーい」
103 = 1 :
翌日 昼休み
川崎「んであたしに話って?」
雪乃「単刀直入に言うわ。深夜のバイトをやめなさい」
川崎「……バイト? なんのことかあたしわかんないんだけど」
雪乃「とぼけても無駄よ。エンジェルラダーでバーテンダーをしてるのでしょう?」
川崎「……ッ。へぇ、よくわかったじゃん。てかアンタ達に関係なくない?」
雪乃「あなたの弟さんに相談を受けたのよ」
八幡(受けたのは小町だけどな)
川崎「大志に? ……もしかして比企谷の妹繋がり?」
八幡「その通りだ。たまたまサイゼ千葉駅前店で小町と大志に遭遇してな」
川崎「いや、支店名まで言わなくていいんだけど……。バイト先は大志から聞いたの?」
八幡「違う。俺の情報網だ。バイト先から自宅に電話があったみたいだが店名までわからなかったみたいだ」
104 = 1 :
川崎「情報網って……。ま、いいや。大志にはあたしから伝えておくからもうあたし達に関わらないでいいから」
雪乃「そういうわけにはいかないわ。あなた、自分が何をしているのか理解しているの?」
川崎「してるよ。お金が必要だからバイトしてる」
雪乃「年齢を偽ってまで?」
川崎「夜の方が時給がいいからね」
雪乃「……進学費用なら奨学金があるじゃない。」
川崎「進学費用? それなら雪ノ下の言う通り奨学金を使うけど」
雪乃「…………は?」
結衣「そ、それじゃ何のためにお金貯めてんの? もしかして悪い男に引っかかったとか!?」
川崎「違うから。あたし、彼氏いないし」
八幡「……恐らく予備校代だろ?」
105 = 1 :
雪乃「予備校?」
八幡「ああ。実は川崎とは屋上でちょくちょく会っててな。確か国公立大学進学希望だったよな?」
川崎「うん」
八幡「兄妹が沢山いることから実家を出るわけじゃないんだろ。なら地元のCHIBA大を狙ってんだろ?」
川崎「正解。てか家族構成のことまで知ってんだ。アンタ、あたしのこと好きなの?」
八幡「ああ。好きだぞ」
川崎「ふぇっ!?」
結衣「」
八幡「俺は人間が大好きだからな。家族に迷惑を掛けないように勉強とバイトを頑張る川崎は素敵だと思う」
川崎「い、いきなり、にゃに言ってんのっ!!」
八幡「川崎はCHIBA大に受かるために予備校に通いたい。予備校代を稼ぐためにバイトをしていた。原因もわかったことだし行くか」
106 = 1 :
結衣「え」
雪乃「待ちなさい。まだ彼女を説得していないわ」
川崎「……」
八幡「説得? なんで俺たちが説得しないといけないんだ?」
雪乃「あなた、何を言ってるの?」
八幡「それはこっちの台詞だ。説得するのは大志の役目だろ。俺たちじゃない」
雪乃「校則、法律違反してる人を見逃すと言うの!?」
八幡「校則も法律も関係ないだろ。由比ヶ浜」
結衣「は、はい!」
八幡「奉仕部の活動理念は?」
結衣「えっと、依頼者の願いを叶えるんじゃなくてサポートをするだっけ?」
107 = 1 :
八幡「ま、そんな感じだ。飢えた人に魚を与えるのではなく、釣り方を教えるんだろ?」
雪乃「……」
八幡「おいおい、部長さんが活動理念を忘れてどうするんだよ?」
雪乃「くっ! でもいくらお金が必要だからって年齢を偽ってバイトするなんて……」
川崎「雪ノ下にはわからないよ。だってアンタってお金持ちのボンボンなんでしょ」
雪乃「……」
川崎「確か雪ノ下建設だっけ? いいよね。お金に苦労したことがない人はさ」
雪乃「実家は関係ないわ!」
八幡「ま、川崎の言いたいことはわかる。実家から通える距離にも関わらず高級マンションで一人暮らししてる女にお金のことは言われたくないよなー」
川崎「え?」
雪乃「……あなた、どこまで知ってるのかしら……」
108 = 1 :
八幡「だから言ったろ。この学校の生徒のことなら大体知ってるって」
雪乃「……」
結衣「ヒッキー、どっちの味方してんの!?」
八幡「俺? 俺はみんなの味方のつもりだけど?」
結衣「みんなって……」
八幡「それと川崎」
川崎「な、なに?」
八幡「さっきも言ったが勉強とバイトを頑張るお前は素敵だ」
川崎「に、二回も言わなくていいんだけど……」
八幡「そう。自分の為に周りの犠牲をいとわないお前は素敵だ」
川崎「は? 犠牲って?」
109 = 1 :
八幡「おいおい気づいてないのか?」
川崎「だからなに?」
八幡「まずお前のバイト先。いくら年齢を偽ったとはいえ未成年を働かせたことがばれたらどうなるかわかるだろ?」
川崎「…………ッ!?」
八幡「よくて営業停止。今はSNSですぐに情報が拡散されるからな。最悪評判がどん底まで落ちて潰れる可能性もある」
川崎「そ、それは……」
八幡「それとお前のことを心配する家族だ。どうやらお前がバイトを始めてから心配になったのか大志の成績が落ちてるようだ」
川崎「え」
八幡「小町から塾のテストの結果を聞いてな。せっかく塾に入ったのに成績が落ちてるんじゃ金の無駄だよな」
川崎「……」
110 = 1 :
八幡「両親だってお前のことが心配で仕事に身が入らないのかもしれない。どうだ、お前のせいで周りに悪影響を与えてることがわかったか?」
川崎「……」
結衣「ひ、ヒッキー。もういいんじゃないかな?」
八幡「……由比ヶ浜。原因がわかったって大志に連絡してきてくれないか?」
結衣「え? 今?」
八幡「ああ。この時間ならあいつも昼休み中だろ」
結衣「わかった」
八幡「それと話ももう終わるからそのまま教室に戻っていいから」
結衣「……うん」
川崎「……あたし、どうすれば……」
八幡「別にこのままでいいんじゃねえの?」
川崎「」
111 = 1 :
八幡「説得するのは大志だからな。大志に説得されても現状を変える気がなければそのままバイトすればいいじゃねえか?」
雪乃「比企谷くん!」
八幡「俺も雪ノ下も由比ヶ浜も黙っててやる」
川崎「……」
八幡「このままバイトして学校にバレて停学や最悪退学になって堕ちてく川崎も見るのも楽しそうだしな」
川崎「あ、アンタっ!」
八幡「ただ小町が大志と仲が良いからな。今回は小町のおかげでサービスしてやってもいいぞ」
川崎「さ、サービス?」
八幡「俺さ、スマホアプリの開発とかでお金を儲けてるんだよ。川崎のバイト代よりはるかにな」
川崎「アプリの開発……」
八幡「そう。それでもし一発ヤラせてくれればバイトで雇ってやる」
112 = 1 :
川崎「…………は?」
雪乃「本当に最低ね」
八幡「川崎が巨乳だからってそんなに睨むなよ。胸が小さくなるぞ?」
雪乃「睨んでるのはあなたなのだけれど」
八幡「ま、今のは冗談だけどな」
川崎「じ、冗談?」
八幡「ああ。……もしかして少し考えちゃったのか? それともこういうシチュエーションが好きだったり?」
川崎「ち、違うから! あたし、そんな変態じゃないし!」
八幡「そんな怒らなくても。……それでバイトすんのか?」
川崎「でもあたし、アプリとかよくわからないし……」
八幡「アプリの開発は俺がするからいいんだよ。川崎は書類作成と雑務をしてくれればいい」
113 = 1 :
川崎「書類ってワードとエクセルが出来ればいいの?」
八幡「そうだ。時給一万くらいでいいか?」
川崎「」
八幡「間違えた。日給一万でどうだ? 一日最大五時間くらい拘束で」
川崎「……本当にいいの?」
八幡「ああ。小町が大志と友達だったことに感謝するんだな」
川崎「うん」
八幡「それと予備校代も川崎の成績次第じゃ免除出来るかもしれない」
川崎「え」
雪乃「……スカラシップね」
八幡「そうだ。もしスカラシップが取れればバイト辞めてもいい」
川崎「……スカラシップって何?」
八幡「成績が良いと授業料が免除されるんだよ。学校の特待生制度と同じだ」
川崎「……そんなのあったんだ……」
114 = 1 :
週末 自宅
川崎「ここがアンタの部屋」
八幡「面白味もない部屋だろ」
川崎「いや、男子の部屋に入ったの初めてだし」
八幡「そうなのか。モテそうだけどな」
川崎「アンタならあたしの交際歴とかわかってんじゃないの?」
八幡「まあな。美人だけど性格きつそうだから近寄りがたかったんだろうな」
川崎「び、美人って///」
小町「小町、登場ー!」
八幡「……おい、仕事中は部屋に入ってくるなって言っただろ」
小町「小町がお兄ちゃんの言うことに従うとでも? 片腹痛いね!」
川崎「あ、お邪魔してます」
小町「とんでもないです。お兄ちゃんの邪魔ならどんどんして下さい!」
川崎「え」
小町「それと弟の大志くんにはお世話になってます。高校になったら付き合うかもだからよろしくです!」
川崎「」
小町「それと沙希さんにいいものあげますね」
川崎「な、なにこれ?」
小町「え? 避妊具ですよ。コンドーム」
川崎「」
小町「隣の部屋で小町も勉強してるのでやる時は声を出さないようにお願いしますね」
川崎「きゅう」
八幡「おい、バイト初日から気絶させんなよ……」
小町「お兄ちゃん、黒のレースだよ! この人抱かれる気満々だよ!」
115 :
いい感じにクズ兄妹で笑う、いいぞもっとやれ
116 = 1 :
ここまで
川崎さんがヒロイン兼相棒な感じで
117 :
川崎が波江ポジとか、期待するしかないじゃないか
119 :
乙、ガイルじゃない方の元ネタ知らないですが面白く楽しみに待ってます!
121 :
サキサキヒロインとか俺得
122 :
抱かれる気満々だよでワロタ
124 :
中学生が高校生(黒レース)にコンドームあげるって何かすごい
125 :
夏休み前
八幡「戸部」
戸部「比企谷くん、どしたん?」
八幡「金曜に埼玉に行くから付き合え」
戸部「え? 埼玉?」
八幡「おう」
戸部「いやいや、授業あるじゃん。てか埼玉まで何しにいくわけ?」
八幡「ナンパだ、ナンパ」
戸部「ナンパで埼玉まで遠征とかやばすぎっしょ!」
八幡「付き合ってくれたらテスト勉強付き合ってやるぞ」
戸部「お願いしゃす!」
126 = 1 :
夏休み某日 自宅
八幡「奉仕部の合宿ねえ」
川崎「その部で合宿して意味あんの?」
八幡「ないな。ま、静ちゃんが寂しいから付き合って欲しいんだろ」
川崎「ふーん。外見はいいのに彼氏出来ないって中身が相当やばいんだね」
八幡「だな」
小町「お兄ちゃん、小町もその合宿行っていい?」
八幡「塾は?」
小町「ちょうど授業がない日なのです!」
八幡「ほーん。いいんじゃない? お前が来たら由比ヶ浜見るの楽しくなりそうだし」
127 = 1 :
小町「だよねー。沙希さんも行くんですか?」
川崎「一応ね」
八幡「けーちゃん達は大丈夫なのか?」
川崎「両親が夏休みで家にいるから。それに予備校もないし」
八幡「そうか。てかスカラシップ取れたのにバイト続けてていいのか?」
川崎「……お金貯めておいて損はないし」
小町「お金貯めるならお兄ちゃんのバイトよりもっといい方法ありますよ?」
川崎「なに?」
小町「援交ですよ。援助交際」
128 = 1 :
川崎「」
小町「沙希さんなら一回五万でいけるんじゃないですか? お口だけでも二万位取れそう!」
川崎「え、援助交際ってっ///」
小町「でも処女の沙希さんには厳しいか」
川崎「アンタ、中学生のくせに下ネタ多すぎだから!」
小町「えー? 今どきの中学生ならこれくらい当たり前ですよー。大志くんだってたまに小町のことエッチな目で見てますし」
川崎「た、大志が!?」
小町「そうですよー。もしかして自宅で無防備な恰好してません? 気を付けたほうがいいですよー。大志くんだって男なんだから」
川崎「は、はふ……」
129 = 1 :
当日 車内
平塚「川崎も戸塚も来てくれて助かったよ。人数が少なかったからな」
雪乃「人手が必要だったんですか?」
平塚「ああ。小学生のグリーンキャンプの手伝いでね」
八幡「なら川崎が一番役に立ちそうだな」
小町「だねー」
平塚「そうか。川崎は姉弟が多かったな」
川崎「まあ一応」
結衣「いいなー。あたし一人っ子だから」
130 = 1 :
戸塚「僕もだよ。八幡も可愛い妹さんがいて羨ましいよ」
小町「やだ。小町、遠まわしに戸塚さんにナンパされてるよ」
戸塚「え」
八幡「戸塚は純粋に褒めてるだけだ」
戸塚「あはは……」
八幡「てか雪ノ下は小さい子とか苦手そうだけど大丈夫なのか?」
雪乃「問題ないわ」
八幡「相変わらず根拠のない自信だな」
雪乃「何ですって?」
131 = 1 :
千葉村
平塚「着いたぞ」
結衣「うん。なんか空気が綺麗!」
八幡「千葉とあんま変わらない気がするけど」
結衣「もー! こういうのは雰囲気だし!」
葉山「やあ」
結衣「あ、隼人くんだ」
葉山「終業式以来だな」
結衣「うん。隼人くん達も手伝いに?」
葉山「ああ。内申点貰えるって聞いてね」
戸部「比企谷くん、ちーっす!」
132 = 1 :
八幡「おう」
戸部「夏休み中また埼玉行くべ!」
三浦「さ、埼玉……?」
八幡「あの子とは上手くいってんのか?」
戸部「ぼちぼちって感じ?」
大岡「おいおい、埼玉って何だよ?」
戸部「ん? 実は比企谷くんとナンパしに行っちゃった感じ?」
大岡「マジかよ。ナンパとか比企谷くんやべーわ!」
大和「だな」
三浦(ほっ)
133 = 1 :
結衣「ひ、ヒッキー。ナンパするんだ……」
八幡「これでも健全な男子高校生だからな」
結衣「そ、そっか……」
小町(うわ、本当にこの人わかりやすい!)
八幡「ま、俺が狙った子は遠距離無理みたいで駄目だったけど」
結衣「そ、そっか!!」
小町「ぶはっ!」
戸塚「小町ちゃん、どうしたの?」
小町「な、なんでもないです……。ひひひ……」
戸塚「ん?」
134 = 1 :
一時間後
小町「こういうオリエンテーションって面倒くさいよねー」
八幡「まあな。しおりに書いてあることは省いて必要最小限のことだけ言ってほしいもんだ」
川崎「体裁だよ。何か問題があった時に注意事項言ってなかったら責められるからね」
小町「なるほど。さすが小学生の兄妹がいる沙希さんは違いますね」
八幡「そこに気づくなんて中々出来ることじゃないよ」
川崎「……アンタら、馬鹿にしてんの?」
小町「いえいえ。超尊敬してます! そのおっぱいとか!」
川崎「胸は関係ないでしょ!?」
八幡「俺もサキサキのおっぱい好きだぞ」
川崎「サキサキ言うな!」
結衣「……なんか仲良いね……」
135 = 1 :
オリエンテーリング
雪乃「ぜぇぜぇ」
結衣「ゆきのん、大丈夫?」
雪乃「私、こんな歩いたの久しぶりで……」
結衣「まだ10分しか歩いてないよ!?」
八幡「体力なさすぎだろ」
戸塚「運動神経良さそうなのに意外だね」
八幡「ま、運動神経と体力は別だからな」
戸塚「そっか。……雪ノ下さん、荷物持とうか?」
雪乃「え? でも……」
八幡「ここは戸塚に甘えておいた方がいいんじゃないのか。このままダウンするよりマシだろ」
雪乃「……お願い」
戸塚「うん」
小町「戸塚さん、顔がよくて優しいなんて凄いね。小町が雪ノ下さんなら惚れて告白して振られてストーカーになるまであるよ!」
136 = 1 :
川崎「それは駄目でしょ。……大志の近くにいさせていいのか不安になってきた……」
八幡「もう遅いぞ」
川崎「だよね。アンタ、妹の手綱ちゃんと握っててよね」
八幡「それは約束できないな」
留美「……」
葉山「あの子、ずっと一人だな」
三浦「一人が好きなんじゃん?」
海老名「……だといいんだけどね」
三浦「え」
海老名「何でもない。いこ?」
三浦「あ、うん」
葉山「……」
137 = 1 :
お昼
雪乃「あの子ずっと一人ね」
八幡「ああ」
結衣「苛められてたり?」
八幡「どうだろうな。今の時点じゃわからん」
雪乃「そうね。ただ周りの小学生が彼女を見る目からすると」
八幡「あまりよろしくない状況ってわけだ」
雪乃「ええ」
葉山「……よし」
雪乃「やめなさい」
葉山「え?」
雪乃「今、話しかけても逆効果よ」
葉山「けど……」
雪乃「私の時もそうだったでしょ?」
葉山「……っ!」
138 = 1 :
20分後
結衣「あ、間違ってカレーになめたけ入れちゃった!」
三浦「なんでなめたけ持ってきてるし!?」
八幡「相変わらず馬鹿だな」
留美「ホント、馬鹿ばっか」
八幡「ん?」
留美「……」
八幡「なに? 俺に何か用か?」
留美「名前。名前教えて」
八幡「比企谷八幡」
留美「私は鶴見留美」
八幡「……そうか。鶴見先生のお子さんか」
139 = 1 :
留美「お母さんのこと知ってるの?」
八幡「ああ。○○小学校に娘さんが通ってると聞いたことがある」
留美「八幡はお母さんの教え子ってこと?」
八幡「そうだな。鶴見は一人でいるのが好きなのか?」
留美「……うん。だってみんなガキなんだもん。私、結構上手く立ち回ってたと思うんだけど。なんかそういうのくだらないからやめた。一人の方が楽かなって」
八幡「小学生なのに大人だねえ」
留美「八幡も一人が好きなんでしょ?」
八幡「おいおい。今は一人でいるけど友達と結構喋ってたりしてたぞ?」
留美「うん。でも一人の方が好きなように見えた。なんとなくだけど」
八幡「……へえ。でも俺は一人でいても周りから嘲笑われたりしないぞ?」
留美「……ッ」
140 = 1 :
八幡「お前が何で俺に話しかけてきたか教えてやろうか?」
留美「……」
八幡「俺が自分に似ていると思ったんだろ? だがそれは大きな間違いだ。俺は他人を見下したりしない。俺は人間が大好きだからな」
留美「なにそれ?」
八幡「つまりお前のことも好きってことだ」
留美「ロリコン?」
八幡「それは否定させてもらう。恋愛対象じゃなくお前が人間だから好きなだけだ」
留美「意味がわかんない」
八幡「これからわかっていくさ。それで俺に話しかけて何して欲しかったんだ?」
留美「え?」
八幡「苛めから助けて欲しかったのか?」
141 = 1 :
留美「……別に助けてほしいとは思ってない……」
八幡「苛められてるのは否定しないんだな」
留美「あ」
八幡「まったく最近の子供は。いじめ駄目絶対って習っただろうに」
留美「……仕方ないよ。私もあっち側だったから」
八幡「ほーん」
留美「誰かがハブにされるのがブームになってて。それで仲良かった子がハブにされてね。私も少し距離を置いたけど……。けど気づいたら私がそうなってた」
八幡「なるほど。因果応報ってわけだ」
留美「そうだね。だから仕方ないんだよ」
八幡「その割には現状に不服な顔をしてるな」
142 = 1 :
留美「……だって惨めなんだもん。……でもいい。中学に上がれば変わると思うし」
八幡「それはどうかな。もし地元の中学に進むならお前のクラスメイトも同級生のままだろ?」
留美「……」
八幡「もしかするといじめが悪化するかもしれない。中学生になれば悪質ないじめも増えるからな」
留美「……そっか」
八幡「ま、自分自身が周りの環境を恨むんだな。それじゃーな」
留美「あっ」
小町「ちょっとお兄ちゃん!」
八幡「あん?」
小町「このまま留美ちゃんを見捨てるの!?」
八幡「見捨てるも何も俺は話を聞いただけなんだけど」
143 = 1 :
小町「もう。どっかのレベル0さんなら世界を敵に回してもこの女の子を助けてたよ?」
八幡「そんなレベルが違う相手を出されても。てか何でお前がここにいんだよ?」
小町「そりゃ面白い話をしてたからに決まってんじゃん」
留美「……」
八幡「聞いたか。人の不幸話を面白いってよ。最低だな」
小町「それは自覚してるから安心していいよ」
留美「してるんだ……」
小町「うん。あ、わたしは比企谷小町。お兄ちゃんの妹だよ」
留美「鶴見留美です」
小町「うん。実は小町もね、中学でいじめにあってたんだよねー」
留美「そうは見えないけど……」
小町「ま、全員潰したけどね。だから留美ちゃんに小町の経験を踏まえて色々アドバイスしてあげようかなって!」
八幡「いや、お前のアドバイスは参考にならないだろ」
144 = 1 :
小町「なるよ! 画鋲を口の中に入れたり、便器とキスさせてあげたり!」
八幡「全部暴力じゃねえか……」
小町「小町の拳は汚れてないから大丈夫だよ」
八幡「そういう問題じゃねえ」
小町「それで留美ちゃんはどうしたいの?」
留美「え?」
小町「お兄ちゃんに話しかけたのも助けを求めたからじゃないの?」
留美「私は……」
小町「あー、そういう否定は面倒くさいから早く素直に言ってくれるかなー?」
留美「ひっ。……私は一人でいるのは別にいい。……ただ周りが私を見下すのが嫌だ……」
小町「なるほど。……だってさ、お兄ちゃん」
八幡「俺に丸投げかよ」
小町「ほら、小町は武力担当でお兄ちゃんが頭脳担当っていうか?」
八幡「……」
145 = 1 :
夕方
葉山「何とかあの子を助けてあげたいと思うんだけどどうだろ? 平塚先生には許可を取ってある」
戸部「隼人くん、優しすぎっしょ!」
三浦「隼人がしたいならいいんじゃん?」
葉山「雪ノ下さん達はどうかな?」
結衣「うん。いいんじゃないかな? やっぱいじめはよくないし」
三浦「……っ」
葉山「ありがとう。……俺は一度クラスの子達で話し合った方がいいと思う」
雪乃「それで解決すると思っているの?」
葉山「あの子達だって話し合えばわかってくれると思う」
雪乃「それはないわ。苛めが悪化するだけよ。ソースは私。よく知っているでしょう?」
146 = 1 :
葉山「それは……」
海老名「……うん。隼人くんのやり方は通じないと思うな」
葉山「……」
海老名「女子って男子が思ってるより陰湿だよ?」
結衣「まー、そうだよね……」
八幡「……」
葉山「優美子はどう思う?」
三浦「え? あ、あーし?」
葉山「ああ」
三浦「あ、えっと……。あの子可愛かったから他の可愛い子とグループ組んだり、クラスで人気の男子と仲良くなったりとか……?」
八幡「ふはっ」
結衣「んー、それは優美子だから出来るんだよ」
147 = 1 :
海老名「全員が出来ることじゃないよ」
三浦「……」
海老名「後はわたしみたいに学校以外に居場所を作るとかいいかもね」
雪乃「居場所?」
海老名「うん。私は中学の時に学校じゃぼっちだったけどBLのサークルで友達が出来ました!」
「」
海老名「雪ノ下さんもこの機会にBLどう!? 今期は獲物が沢山あるよ!!」
雪乃「ひっ」
三浦「海老名、擬態」
海老名「ふぅふぅ」
三浦「鼻血止まらないみたいだからお手洗いに連れてく」
葉山「よ、よろしく頼むよ……」
148 = 1 :
5分後
八幡「なあ」
葉山「何かな?」
八幡「この話し合いって意味あんのか?」
雪乃「どういうことかしら?」
八幡「確かにあいつは一人でいる。けど一人でいるからって苛められてるとは限らないだろ?」
雪乃「そうね。けれど比企谷くんも周りの視線に気づいているでしょ?」
八幡「そうだな。だがあいつはお前たちに助けを求めてきたか?」
葉山「それは……」
戸部「でも苛めを見過ごすのは男としてどうかじゃね?」
八幡「そうだな。戸部の考えはもっともだ。ただ俺たちが手助けすることに対して大きなデメリットがある」
戸塚「デメリット?」
149 = 1 :
八幡「ああ。俺たちは高校生、あいつは小学生だ」
大岡「だから?」
八幡「少しは頭使えって。そんなんだから童貞なんだぞ」
大岡「ど、童貞じゃないし!?」
小町「童貞なんですね」
大岡「ぐはっ!」
川崎「学校が違うってこと?」
八幡「そうだ。俺たちはキャンプが終わればあいつに関わることはない。もし俺たちが手助けしたせいで二学期以降苛めが悪化したらどうするんだ?」
葉山「そ、それは……」
八幡「葉山、俺はお前が人助けを率先して行うのはいいことだと思う。けれどあくまで自分の手が届く範囲での話だ」
葉山「……」
150 = 1 :
八幡「あ、もしかして自分が助けたつもりになって二学期以降はあいつがどうなってもいいと思ってたりしたか?」
葉山「そんなわけないだろ!」
八幡「だよな。だったら余計なことしないで時間を潰さない方がいいんじゃないか?」
葉山「くっ」
川崎(アイツこんないい笑顔するんだ)
小町(やっぱお兄ちゃんは小町のお兄ちゃんだね)
戸部「ま、まー確かに俺たちのせいで苛めが悪化したら責任取れないっつーか」
大和「だな」
八幡「それともう一つ。この中であいつとあいさつ以外で会話した奴はいるか?」
「……」
八幡「いないか。あのさ、相手の立場もわかってないのにどうやって助けようとしたわけ?」
みんなの評価 : ☆
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