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元スレ京太郎「俺が三年生?」誓子「えっちなこと……しても、いいよ?」
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『くそ、どこいったんだ』
『絶対見つけるぞ』
『今度はあっちを探してくる』
『ああ、連れ回されてる女の子のためにもな』
京太郎「ふーっ、ふーっ……!」
初美「またなのですか? ……まさかここで私を!?」
京太郎「頼むから黙ってて!?」
京太郎(くっそう、警備員の数が増えてやがる)
京太郎(一体何でこんな……)
京太郎「……」
初美「? 私の顔になにかついてますか?」
京太郎(うん、紛れもなくこいつのせいだな!)
初美「もう、こんな所に隠れてたらなんにも楽しめないのですよ!」ガサッ
京太郎「あっ、バカっ」グイッ
初美「あうっ」
『――! 何の音だ?』
京太郎(やばい、気づかれたか……!?)
京太郎(てかなんで縁日で人も多いのに、こっちの音を正確に察知できるんだよ!)
初美「やっ、もう……いい加減にするのですよ!」ジタバタ
京太郎「あ、暴れんなって」
初美「いーやー!」
京太郎(やばいやばいやばいやばい!)
京太郎(こんなことで捕まるとか嫌すぎるだろ!)
京太郎(どうにかこうにかして、まずはこいつを黙らせないと……!)
京太郎(……ええい、ままよっ――)
コンマ61以上 熱烈なハグ
京太郎「――いいから、黙ってろよ」ギュッ
初美「ふぁっ」
京太郎「これ以上騒ぐと、口塞ぐぞ」
初美「ふ、塞ぐって……」
初美(もしかして、キスなのですか!?)
初美(そんな、心の準備がまだ――)
初美「……」
京太郎「?」
京太郎(黙ったのはいいけど、なんで目を閉じてるんだ?)
京太郎(まぁ、手で抑える必要がなくなったのはありがたい)
初美「……」ソワソワ
京太郎(……待て、もしかして勘違いしてるんじゃないだろうな)
京太郎(いや、まさかな……)
初美「……?」
初美(ま、まだなのですか?)
京太郎(まさかとは思うけど……うん)
京太郎(触れないでおこう。結果的には静かになったし)
京太郎「よし、おとなしくなってくれたか……じゃあ、戻るぞ」
初美「えっ」
京太郎「ほとぼりが冷めるまで上に退避だ」
京太郎「つ、疲れた……」グッタリ
京太郎「なんであんなことに……」
小蒔「あ、京太郎様」
小蒔「戻ってたんですか?」
京太郎「ああ、予想外のアクシデントにみまわれてな……」
小蒔「あくしでんと? そういえば初美ちゃんの機嫌が悪かったような……」
京太郎「それな……(社会的に)生きるか死ぬかの瀬戸際だったぜ」
小蒔「そ、そんなことが……!」
京太郎(しかし、腹減ったな……)グゥ
京太郎(あいつに奢ってばっかで俺はほとんど食べてないからな)
京太郎「夕飯はもうすぐだっけ?」
小蒔「あ、お腹空きましたか?」
京太郎「ちょっとな」
小蒔「お饅頭、食べます?」
京太郎「……一個ぐらいなら大丈夫か」
小蒔「お茶もご用意しますねっ」
京太郎「俺も手伝うよ。忙しかったんだろ?」
小蒔「そんな……京太郎様だって疲れてますよね」
京太郎「いいんだよ、待ってるだけってのも暇だしな」
小蒔「わかりました。あ、初めての共同作業ですね!」
京太郎「あってるような、あってないような……?」
「見てみて、やっぱり本命は姫様かしらね?」
「あんた昔から本当にそういうの大好きだったよね。正直ダルい」
「やだもぉ、じゃなきゃ駆け落ちなんてしないわよ!」
「……はぁ、白望たちはまだかな」
「あ、白望ちゃんかわいいわねぇ。うちのにちょっと面影が似てるし」
「あんたの子と違ってめんどくさがり屋だけどね。まったく、誰に似たんだろうね」
「ブーメランもほどほどにねー」
「は?」
白望「ふぅ……」
エイスリン「シロ、オツカレ?」
白望「ちょっと夕飯食べて気が抜けたかも」
エイスリン「? イツモノコトダヨ?」
白望「ダル……」
白望(疲れてる、というより戸惑ってる)
白望(状況の整理がまだ追いついてないのかな)
春「お風呂の準備できたけど、入る?」
エイスリン「ロンオブモチ!」
白望「どこで覚えてきたのそれ。面白外人みたいな」
エイスリン「Hmm……リンカイ? ビデオデイッテタ」
白望「……そんなのあったっけ?」
春「小瀬川さんは?」
白望「私は……後でいいや」
白望(ちょっと考え事もしたいしね)
春「わかった、じゃあ用意だけしておく。あんまり遅くなる前に入って」
白望「ん、ありがとう」
エイスリン「ヒトップロ、アビテクル!」
白望「いってらっしゃい」
京太郎「やりぃ、俺の勝ちだ!」
「また負けたかー。お前今日はついてるなぁ」
京太郎「ん、ああ、まあ……」
京太郎(エイスリンとあれやこれやあったしな……)
京太郎「ポーカーやめてスピードでもやる?」
「ダメだ、お前反射神経いいし」
京太郎「なんだ、つまんないなー」
「やめだやめ。俺は向こうで小瀬川さんと飲んでくるけど、お前は?」
京太郎「未成年に酒勧めようとすんなよ」
「まったく、変なところで真面目だな」
京太郎「いいから行けって、俺は適当に暇つぶしてるから」
「お、夜這いか?」
京太郎「あーもう、うるさい!」
京太郎「まったく、こっちをからかうことばかり言いやがって」
京太郎「夜這いなんかしたら……受け入れそうなやつはいるな」
京太郎「違う違うっ、夜這いはどうでもいいんだよ!」
京太郎「いやでも、万が一って事態もあり得るし……」
京太郎「……よし、念のためだ。もしそういう状況に陥ったときに言うセリフでも考えてみるか」
――コンコン
京太郎(暴れんな、暴れんなよ……とか?)
京太郎(いや、なんか睡眠薬盛った後に言いそうなセリフだし)
京太郎(なぁ……スケベしようや……とか?)
京太郎(いや、これはさすがに気持ち悪い)
京太郎(お前が好きだぁぁーー!! お前が欲しいぃぃーー!!)
京太郎(いや、うるせぇよ。夜這いしに行って自分で大声あげまくるってどういうことだよ)
京太郎(でも、直球ってのは悪くないな)
京太郎(そんなに熱くなくてもいいから、ここはストレートに――)
――ガラッ
巴「お風呂空きましたけど――」
京太郎「――お前のことが好きだったんだよ……!」
巴「え、えっ……!?」カァァ
京太郎「……あれ?」
巴「えと、それはさすがに……あっ、けして嫌だとかそういうことではないんですけど……」モジモジ
京太郎「か、狩宿?」
巴「やっぱり姫様を差し置いてというのは……と、とにかくっ」
巴「こ、心の準備がまだできませんっ……!」ダッ
京太郎「待てっ、狩宿さんウェイトウェイトっ!」
巴「……はぁ、演劇の練習だったと」
京太郎「う、うんまぁ、そんな感じ。悪い、ノックにも気づかなかった」
巴「あ、いえ……勘違いしたのはこっちですし」
京太郎「ホント悪い。今度なんかお詫びするよ」
巴「簡単にお詫びなんて言っちゃダメですよ? これがはっちゃんだったら好き放題されちゃうんですから」
京太郎「……たしかに」
巴「じゃあ、お風呂にはいつでも入れますから」
京太郎「ああ、親父たちにも伝えとく」
巴「お願いしますね」
京太郎「風呂ね……旅館じゃないから男女分かれてないんだよな」
京太郎「ま、だいたい時間で分けてるから大丈夫だとは思うけど」
京太郎「やっぱり広いなー、一人だと尚更」
京太郎「親父達は後で入るみたいだし、独り占め状態か」
京太郎「……落ち着かないな」
京太郎「まぁ、ゆっくりはできるか」
――カラカラ
京太郎(あれ、もう来たのか。早いな)
――シャー
京太郎(うちの親父にしては静かだな。小瀬川のおじさんか?)
――チャポン
白望「……ふぅ」
京太郎「……」
白望「……え?」
京太郎「奇遇、だな?」
白望「……ダル」
京太郎(ナイスおもち! ……じゃなくて!)
京太郎(なんでこいつタオルで体隠してないんだよっ)
京太郎(あ、自分一人だって思ってたら特に隠さないか……でもなくて!)
京太郎(どうして小瀬川がここに……)
白望「……あんまり見ないで。さすがに恥ずかしい」
京太郎「あ、悪い。今出るから」
白望「なんで?」
京太郎「なんでって……色々まずいだろ」
白望「いいよ、別に。減るもんじゃないし……ちょっと恥ずかしいけど」ボソッ
京太郎「いやいや、もうちょっと恥じらえよ」
白望「そういうのダルいから」
京太郎「はぁ~、わかった。あんまり気にしないことにする」
白望「ん」
京太郎「俺はあったまったら出てくから、そっちも好きにしろ」
白望「わかったよ」
京太郎「……」
白望「……」
京太郎(なんて)
白望(言ったけど)
京太郎(くそっ、海綿体に血が……!)ギンギン
京太郎(体隠さないから一瞬全部見えちゃったんだよ……)
京太郎(収まる気配がない……これじゃ出るに出られない!)
白望(まいったなぁ……普通に恥ずかしいや)カァァ
白望(ちょっと見栄張っちゃったかな)
白望(湯船から出たらまた全部見えちゃうし……)
京太郎「……」
白望「……」
((どうしよう……))
京太郎「……ま、まだ出ないのか?」
白望「そっちこそ……」
京太郎「俺はまだまだ。ほんの数ミクロンしかあったまってないからな」
白望「私も、普段長風呂だから」
京太郎(って、なんで我慢大会みたいになってんだよ!)
京太郎(いい加減限界だぞ……)
京太郎(……なんとかなんないか)
白望(……なんでこんなダルいことになってるかな)
白望(さすがにもうキツいよ……)
白望(どうにかしないとね)
京太郎(方法その1、羞恥心を捨て去る)
白望(でも、それが原因でこんなことになってるんだよね……)
京太郎(方法その2、相手の目をそらす)
白望(でも、そんな目を引くものはここにはないんだよね……)
京太郎(相手になにをするでもなく、見られないように脱出する方法――)
白望(そんなの――)
((――ある……!))
京太郎(なんで気づかなかったんだ、こんな簡単なことに!)
白望(相手から隠すのは、見られたくない部分だけ)
京太郎(つまり――)
白望(要するに――)
((――相手に背中を向けて移動すればいい!))
京太郎(そうと決まれば……)クルッ
白望(早速背中を向けて……)クルッ
――ザパッ
「「――!?」」
京太郎(なっ、今の音……!)
白望(同時に、立ち上がった?)
京太郎(くそっ、考えることは一緒だったってことかよ……!)
白望(ダル……このまま進んだら入口でぶつかるし)
京太郎(どう、切り抜ける……?)
――ガラッ
「いやぁ、小瀬川さんも飲みますねー」
「いえいえ須賀さんこそ。おかげで足元が危うい危うい」
京太郎「……」
白望「……」
「あれ、なにやってるんだお前ら」
「し、白望っ!? なんで京太郎くんと風呂に……!」
京太郎「……ダル」
白望「そう言いたいのは私なんだけど」
京太郎「くっ、やっと解放された……」
白望「足が痺れた……」
京太郎「まさかこの歳であんな説教くらうとはな」
白望「ごめん、お父さんが勘違いしちゃったみたいで」
京太郎「いや、勘違いしてもしかたないだろ」
京太郎(裸の男女が風呂場で……ましてや俺の方はアレだったしな!)
京太郎「しかし、もうすぐ日が変わるな」
白望「新年だね……エイスリンたちは下かな?」
京太郎「だろうな、小蒔たちも色々忙しくしてるんじゃないか?」
白望「じゃあ」
京太郎「そうだな」
白望「とりあえず、ここでゆっくりしてようかな」
京太郎「せっかくだし一緒に下降りるか」
白望「……ダル」
京太郎「よし、じゃあ早速行こうぜ。初詣だ初詣」ガシッ
白望「ちょっ」
白望「さっきより人多い、ダルい……」
京太郎「そりゃ初詣が本番だからな」
白望「そもそもこの組み合わせがおかしいよ」
京太郎「俺とお前か?」
白望「私はほっといてエイスリンと一緒にいればいいのに」
京太郎「まぁそう言うな。一緒に説教くらった仲だろ」
白望「どんな仲なのさ、それ」
京太郎「一緒に風呂に入った仲でもあるしな」
白望「……帰る」
京太郎「待て待て! 冗談だから!」ガシッ
京太郎「さて、気を取り直して……どこ行く?」
白望「あそこのベンチ」
京太郎「休む気満々か! 却下」
白望「うるさいなぁ、もう」
京太郎「せっかくだし年越しそば食おうぜ、年越しそば」
白望「海老天がいい」
京太郎「あ、あったっけ?」
白望「それ以外は却下で」
京太郎「ま、マジかぁ……」
白望「……なんて、冗談――」
京太郎「よし、持ってくるから座って待ってろ――じゃ」
白望「――だったんだけど、行っちゃったね」
白望「さすがに待ってなきゃダメだよね」
白望「……ダルいなぁ」
京太郎「うーん、やっぱ天ぷらそばはないか」
京太郎「どうすっかなぁ」
京太郎「最悪出前でも……ん?」
京太郎「そっか、エビを食わせる店自体はあるんだな……」
京太郎「……まぁ、やってみるか」
白望「……寒い」
白望「遅いな……なにやってるんだろ」
白望「律儀に待ってるなんてバカらしいよね」
白望「でも、ここで帰るのもダルいし……」
京太郎「お、ちゃんと待ってたか」
白望「別に、動くのがダルかっただけ」
京太郎「まぁ、なんでもいいけどな。ほら」
白望「これ……あったんだ」
京太郎「てかお前、ないのわかってて言ったろ」
白望「冗談のつもりだったんだけどね。すぐ行っちゃうから」
京太郎「せっかく作ってきたんだ、ありがたく食ってくれ」
白望「作った?」
京太郎「ああ、材料分けてもらってさ。そばの上に乗っけた」
白望「まさかそこまでするなんて」
京太郎「どうだ、これでもう帰るなんて言えないだろ」
白望「しょうがないね……ダルいけど付き合うよ、初詣」
京太郎「んじゃ、そば食おうぜ」
京太郎「小蒔たちは見当たらないな」
白望「エイスリンもいないね」
京太郎「だれかと一緒にいるとは思うけどな」
白望「この人の多さだからね……ダルい」
京太郎「ま、俺らは俺らで楽しもうぜ」
白望「……」
白望(付き合うとは言ったけど、やっぱりまずいかな)
白望(エイスリンにもだし、それに神代さんも……)
白望(見つかったらダルいどころじゃなくなるかな)
京太郎「なにぼーっとしてるんだよ、ほら」グイッ
白望「……引っ張らなくてもちゃんと歩くよ」
京太郎「でもはぐれたらダルい、だろ?」
白望「……先回りとか、ダルい」
京太郎「なにお願いした?」
白望「受験合格」
京太郎「うわ、思い出したくないこと思い出した……」
白望「そっちは?」
京太郎「いや、俺は……」
白望「人に聞いといて言わないのは不公平」
京太郎「なんというか、目標を見つけるのがお願いというか」
白望「なにそれ」
京太郎「悩み多き年頃ってやつ?」
白望「ふーん、余裕あるんだね」
京太郎「どうせ高校出るまでには決めなきゃいけないことだしな」
白望「ま、頑張って……勉強の方も」
京太郎「だからそれはやめようぜ……」
京太郎「お賽銭投げ込んだし……次、どうする?」
白望「なんでもいい」
京太郎「なんでもいい、ね」
白望「こういう意見はダルかった?」
京太郎「いいや、あれだけ戻りたがってたのにって思って」
白望「……別に、人ごみにも寒さにも慣れただけだから」
京太郎「じゃあまだ連れ回せるってことだよな」
白望「お好きに。もう諦めたから」
京太郎「とか言って、本当は楽しんでるだろ?」
白望「そういうのダルい」
京太郎「あ、はい」
京太郎「もらってきたぞ」
白望「……甘酒?」
京太郎「せっかくだしな、一回は飲んでおこうと」
白望「私は二回目だけど」
京太郎「あー、嫌いだったか?」
白望「別に、いただきます」
京太郎「うん、甘ったるくてあったまるな」
白望「……今更だけど、君って馴れ馴れしいね」
京太郎「よく言われるな、それは」
白望「そんな仲良いわけでもないのにさ」
京太郎「ちょっ、この前一緒に遊んだろ」
白望「そういう時は豊音とかエイスリンがメインで、私はおまけみたいなものだしね」
京太郎「俺はそう思ったことはないけどな……」
白望「まあ、なんでもいいけどね……ゴメン、ダルいこと言ったね」
白望(ダメだ、なんかもやもやしてる)
白望(二人に悪いと思ってるから?)
白望(もっと考えればわかりそうだけど……)
京太郎「そこまでストレートに言われると驚くけど、別にダルくはないな」
白望「そう?」
京太郎「要するに、そっちとしては友達の友達って感覚だったわけだ」
白望「……」
京太郎「でもちょっとでも本音を出したんならさ、それこそ友達の第一歩だろ」
京太郎「だから、あらためてよろしく」
白望「……なんで君と私が似てるなんて言われるんだろうね」
京太郎「はとこだからか?」
白望「外見だけの話じゃなくてさ」
京太郎「ふむ……じゃあ、クラスに来たばかりで馴染めていない留学生がいたとする」
白望「いやに具体的だね」
京太郎「ただの設定だ。……それで、お前はそいつをほっとくか?」
白望「それは……」
京太郎「ダルいからほっとかない、だろ」
白望「……あたってるけど、どうして?」
京太郎「俺も同じだからだ」
京太郎「目に入らなかったらそれはそれでいいんだよ」
京太郎「でも、目に入って気にしちゃうとアウトだ」
京太郎「もやもやして、ほっておけなくなる」
京太郎「つまりさ、自分のためだ。スッキリしたいからそうしてるようなもんだ」
京太郎「俺としてはこんなとこだな」
白望「結構自己中だね、君」
京太郎「これでも丸くなったとは思うんだけどな」
白望「でも、そっか……たしかにそうだね」
京太郎「加えて言うなら、そのエゴっぷりで誰かと仲良く出来たら儲けもんってところか」
白望「……その開き直りっぷりは羨ましいな」
京太郎「そんな褒めんなよ」
白望「別に褒めてないけど……まあ、半々ってところ」
京太郎「半分もありゃ十分だよ。ほら、冷めるぞ」
白望「まだ温かいから大丈夫――」ドンッ
「あ、ごめんなさーい」
「ほら、急がないと遅れるって」
「おいてかないでよー!」
京太郎「なんだあいつら……大丈夫か?」
白望「上着にはかかってない、けど」
京太郎「ああ、靴か」
白望「まいったなぁ」
京太郎「歩けるか?」
白望「歩ける……けど」ヌチャ
白望(……気持ち悪い)
京太郎「こりゃ、一回上に戻ったほうが良さそうだな」
白望「だね、洗っときたいし」
京太郎「よし、とりあえず靴は脱いどけ」
白望「脱いだら歩けないんだけど」
京太郎「心配すんな、歩く必要なんかないから」
京太郎「お客さん、乗り心地は?」
白望「……別に」
京太郎「はは、ダルくはないってとこか」
白望「転んだら困るから前見て」
京太郎「はいはい」
白望(……なんでおんぶされてるんだろ)
白望(ラクだからいいんだけどさ)
白望(でもやっぱり、なんかもやもやするな)
京太郎「そういや、昔からの付き合いなのか?」
白望「いきなりなに?」
京太郎「臼沢と鹿倉」
白望「そうだけど」
京太郎「俺と久ちゃんもそうなんだよ」
白望「知ってる」
京太郎「だろうな」
白望「仲良いよね。口説いたの?」
京太郎「なんでそうなるんだよ……逆だ。口説かれた」
白望「ふーん、どんなふうに?」
京太郎「興味津々か」
白望「多人の馴れ初めを聞くのはダルくない」
京太郎「えっと、そうだな……」
京太郎「私の誕生日に辛気臭い顔すんなって蹴飛ばされた」
京太郎「そんなんだから軽く喧嘩になったりしたな」
白望「それ、本当?」
京太郎「当時は俺もトゲトゲしててさ」
白望「なんか想像できないけど」
京太郎「俺の髪、自毛だから。それで色々あってさ」
白望「……」
『うわっ、こいつの髪真っ白だ!』
『全部白髪とかハンパねーな!』
京太郎「ま、そんなの今更気にしてないけどな」
白望「色々あるよね、そういうのホントダルい……」
京太郎「でも、認めてくれる一言があるってだけで違うもんだ」
『そのかみ、お日さまにあたるとキラキラしてきれいじゃない』
京太郎「久ちゃんってさ、きっと男だったら絶対修羅場ってたと思うな」
白望「……それ、君が言うの?」
京太郎「うっ……俺の話は置いとこうぜ」
白望(自毛で色々あって……そんなとこまで一緒なんてね)
白望(認めてくれる一言か……)
京太郎「そういや綺麗だよな、お前の」
白望「私の?」
京太郎「その髪、月の光に透かすとさ」
白望「……ダル」
白望(――ダルく、ない)
京太郎「はは、キザったらしかったか?」
白望「ホントダルい」
白望(――ダルくなんか、ない)
白望「……」ギュッ
京太郎「なんだ、疲れたのか?」
白望「君の背中はダルくないから……」
京太郎「気に入ってくれたようでなによりだよ」
白望「ホントもう……」
白望(もやもや、増えちゃったな)
京太郎「それじゃあ、エイスリンは小瀬川と帰るのか」
「まあ、陸路で長野経由だとどうしても時間かかるしな」
京太郎「それにしては俺たちは車なんだな」
「車じゃなきゃカピのやつを連れてこれないからな」
京太郎「それもそうか」
白望「ちょっといい?」
京太郎「なんだ、もうすぐ出るんだろ?」
白望「その前に一つ、言っておこうと思って」
「……さて、俺は母さんのとこに行ってくるか」
京太郎「ん、ああ」
京太郎「それで、言いたいことってなんだ?」
白望「……ちょいタンマ」
京太郎「?」
白望「……迷ったけど、これに決めた」グイッ
京太郎「――んむっ!?」
白望「――んっ」
京太郎「……えっと、なにこれ」
白望「別に、エイスリンともしてるでしょ」
京太郎「いやいや、そういう問題じゃなくてっ」
白望「嫌だったなら謝るけど」
京太郎「正直役得……ってそうでもなくてっ」
白望「とにかく、言いたいことは言った……つもり」
白望「それじゃあ……君といるの、ダルくないから」
京太郎「……言いたいことって」サスサス
「終わったか?」
京太郎「おわっ! いたのかよ!」
「白望ちゃんが向こうに行ったから頃合かと思ってな」
京太郎「……そうかよ」
「それで……どうだった?」
京太郎「なにがだよ」
「したんだろ、キス」
京太郎「やっぱり見てたんじゃねーか!」
「だから見てないって。推測とカマかけだ」
「白望ちゃんが顔赤くしながら離れてった」
「そして戻ったらお前も顔赤くして唇をさすってた」
「むしろ簡単すぎるな」
京太郎「頼むからもうやめてください……」
エイスリン「シロ、カエリイッショ!」
白望「……」
エイスリン「ドシタノ?」
白望「ああ、ごめん」
エイスリン「ダイジョブ?」
白望「具合は悪くないよ」
白望(でも……)
白望「エイスリン」
エイスリン「What?」
白望「せめて悔いが残らないようにしたいね」
エイスリン「?」
白望「ごめん、ダルいこと言った」
ようやく終了……長かった
インハイ決勝戦大将卓の1.5倍弱……
ともあれ、安価はまた今度です
おやすみなさい……ってもう朝か
それじゃ
インハイ決勝戦大将卓の1.5倍弱……
ともあれ、安価はまた今度です
おやすみなさい……ってもう朝か
それじゃ
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