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元スレ八幡「妖精を見るには」
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済みません、仕事が忙しくPCにすらまともに向き合えません
もうちょっとお待ちを
もうちょっとお待ちを
生存報告は嬉しいがやはり忙しいのか
無理はしないでほしい
sageずに顔文字連投で急かす輩は悔い改めろ
無理はしないでほしい
sageずに顔文字連投で急かす輩は悔い改めろ
大変長らくお待たせ致しました。
まだ待ってくれている方が居られるかわかりませんが、シドニー編最終話を投下します。
まだ待ってくれている方が居られるかわかりませんが、シドニー編最終話を投下します。
すんません、どういう訳か鳥が一致しません。
以降はこれで行きますが、一応>>190からの続きとなります。
以降はこれで行きますが、一応>>190からの続きとなります。
『【野次馬】依然動き無し』
『了解、現状を維持せよ』
『【仕掛人】は接触中。【賊】が部屋を出る様子は無い』
『外部からの干渉は全て遮断しろ。全ては仕掛人に委ねてある』
『了解』
「情報軍って……あの?」
「……驚いたわ、材木座くん。貴方が諜報組織に所属していたなんて」
「流石に情報軍の存在だけは知っているか」
「誰でも知ってるわ、良くも悪くも。内情は全く解らない、けれど確かに存在する。メディアでさえ、何故か殆ど取り上げないけれど」
「だいぶ前からいろんな紛争の裏で暗躍していた、なんて言われてるよね」
「諜報組織なんだ、謀略の100や200は当たり前だろう……それで材木座、ライトノベル作家の夢はどうしたんだ」
「捨てたよ。特に未練も無かった」
「何故だ」
「お前が……いや、お前達を嵌めた連中が教えてくれた事だ。情報を制する者が全てを制する。ごく単純な事実だが、それを現実のものとして認めるのは案外難しい。だが奴等は、それを間近で実践してみせたんだ」
「彼等から学んだという訳? 自分も情報を制する側に……誰かを貶める側になりたいと?」
「というより、連中を思うが儘に『料理』できるだけの力が欲しいと思っただけだ。踏み躙られる側にはなりたくない、心からそう思ったよ」
「それで本当に……あいつ等を破滅させたんだね」
「裏であんた方の手伝いをしただけだ。正直なところ、あんた等の報復があそこまで徹底しているとは思いもしなかった。此方が主体となる必要もなく、次々に連中を破滅に追い込んでいたからな」
「嘘ではないけれど、真実でもないわね。激しい抵抗があって然るべきだったのに、彼等に目立つ動きは殆ど無かった。貴方が裏から手を打っていたんでしょう? そうでなければ、こうも順調に復讐が進む事はなかった」
「まあ良いじゃないか。俺は経験を積めたし、アンタ等は今や復讐を完遂しつつある。双方良い事尽くめだ」
「その為に捨てた貴方の夢はどうなるの? 作家になる夢は……」
「それこそあんた等が言えた台詞じゃないだろう。この6年間を復讐に捧げたあんた等には」
「……」
「おい、話が逸れてきているぞ。それで、情報軍は俺をどうしたいんだ」
「基本的には海の連中と同じだ。我々と共に帰国し、国防技術の発展に尽くして貰いたい。無論、相応の見返りは保証しよう」
「海との違いは?」
「真実を話している事だ。お前は国防の要となるに伴い、以前の人間関係を捨て去らざるを得なくなる。FAFでのそれは勿論、総武を去るまでに築いた関係をもだ」
「つまり?」
「『奉仕部』は二度と元には戻らない。あの時お前達が求めていた『本物』は、永遠に手の届かない所へと去ってしまう」
「っ……!」
「雪乃……」
「……大丈夫」
「……家族はどうなる」
「制限はされるが、会う事はできる。だが、お前がそれを望むのか」
「……いいや」
「お兄ちゃん!?」
「だと思ったよ。昔の汚名にせよFAFの技術を狙う者にせよ、身近な者に火の粉が降りかかる事を良しとするお前じゃない」
「そんなの……嫌だよ、お兄ちゃん! そんな事……!」
「……なら、私達に関しては既に結論が出てるって事? このまま別れてFAFに戻るか」
「或いは帰国した後、二度と接触できなくなるか、だな」
「嫌だよ……嫌ぁ……」
「……ヒッキーは、どうしたいの?」
「……」
「……比企谷くん。ひとつ、訊いても良いかしら」
「何だ」
「結局、貴方が戻ってきた目的は何なの?」
「……」
「貴方はさっき、私達の存在を確認する事が目的と言っていた。でも、それは目的ではなく手段でしょう? 私達の存在を確かめる事で、何を成そうとしていたの」
「……ああ、それについては我々も興味があるな。お前が帰還するという情報は、漏洩を装って意図的に流されていた様に感じる。他ならぬFAF自身の手によってな」
「え……?」
「材木座くん……?」
「FAFはこの状況を作り出す事が目的だった、違うか? いや、正確には『奉仕部』の2人とお前が再開する、その状況をだ」
「何それ……それって、どういう事?」
「さあ……だが、大部分の情報が渡る先は我が国に限る様、指向性を持って流されている。何らかの特別な意図がある事は明らかだ」
「比企谷くん、本当なの?」
「……だろうな」
「どうして? どうしてFAFが、お兄ちゃん達の再会を望むの? 何の意図があってそんな……」
「……ねえ、ヒッキー。そもそもヒッキーは、何で地球に戻ろうと思ったの? 私達に会おうと思った、その切っ掛けはなに?」
「そうね、先ずは其処を聞かせて欲しいわ。FAFと祖国のどちらを選ぶにせよ、できれば私達も納得した上でその選択を受け入れたい。でも、その為には貴方の目的をより正確に把握する必要があるわ」
「知ってどうにかなる問題か?」
「……本当は、悔しいから認めたくないけれど……ヒッキーにはもう、私達と一緒に探そうとしていたものとは別の『本物』があったんじゃないの? それがどんなものであれ、FAFで見付けた『本物』が」
「その『本物』が『本物』である事を確約する条件に、私達の存在が係わっていた。フェアリィで何があったのかは解らないけれど、私達が本当に存在するという確証が揺らいだのではなくて? だからこそ、貴方は私達に直接会う為に地球へと戻ってきた。違うかしら?」
「……そうだ」
「一体、何があったの」
「……俺がフェアリィで目にしてきた事、その全てがジャムによって造られたまやかしか、或いはFAFによる洗脳の産物か。そう疑わざるを得ない出来事があった。そしてそれは、別の可能性が存在する事も示唆していた」
「……私達との記憶が『偽物』である可能性」
「そうだ」
「それを確かめる為に、貴方は……」
「……ねえ、ヒッキー」
「何だ」
「それってさ……それってつまり、不安だったって事? 私達との思い出が『偽物』だったんじゃないかって……不安になる程、想ってくれてたって事?」
「あ……」
「……」
「沈黙は肯定と同じだよ、ヒッキー」
「性格悪くなってないか、由比ヶ浜?」
「中二が言ってたでしょ。この6年、色々あったって。それとも、この由比ヶ浜 結衣は『偽物』だって判断する?」
「……本物だろうな、恐らく」
「あら、私は?」
「小町はどうなの?」
「本物なんだろうな、多分」
「……其処は、断言して欲しかったかな」
「予想通りにはいかないもんだ。もう少し客観的に判断できるかと思っていたんだが、想像以上に感性的な部分が邪魔をする。お前たちが『本物』だと、理性ではなく感情が訴えてきやがる」
「ふうん……ちょっと、ううん、かなり嬉しいかな。ヒッキーの理性を打ち崩してまで、心が私達を『本物』って認めてくれてるんだから」
「だとしてもだ。それが……」
「外部の第三者からの干渉による結果でないとは言い切れない、でしょう? 私達を『本物』であると判断した自分の心でさえ、貴方は信用していない。いえ、恐らくはそうだと認めていながら、それが確信へと到る事を心の何処かで拒んでいる」
「……ああ」
「何で? どうして信じてくれないの?」
「……」
「お兄ちゃんがFAFでどんな体験をしてきたのか、私達は何にも知らない。でも、一体何があったら、目の前に居る私達を其処まで疑えるの? それが普通じゃないって事だけは、何も知らない私にだって解るよ」
「正直に言わせて貰えば……貴方のその反応は、精神的な疾患を有しているが故と言われても、幾らか納得できてしまう程よ。統合失調症、とでも言えば解るかしら」
「否認妄想、考想操作だな。そういった手合いには幾らか面識がある。どうだ、八幡?」
「第三者から見た俺は、正しくそうなんだろう。どうでも良い事だが」
「どうでも良い、ですって? 他者からどう見られようが知った事ではない、という考えには心から同意したいところだけれど、現実にはそうやって社会を生き抜く事が困難な事は、流石にもう理解しているでしょう」
「ああ、地球ではな」
「……そう、FAFでは違うというのね。貴方が積極的に他者と関わっているという事かしら? それとも対人環境そのものから地球とは異なるのかしら」
「後者だな。他者に対し無関心である事については、それでも問題なく機能する環境が『特殊戦』として整っている。だがそれは、自身に関わる人間に対し無警戒でいる事と同義ではない」
「そんなの、地球でも同じだよ」
「目の前に居る人間が『本物』かどうか、疑った事はあるか? 本人か否かという問題ではなく、本当に『人間』かどうか疑った事は?」
「どういう事……?」
「そのままの意味だ」
「……『偽物』自身がその事実を認識しているとは限らない、貴方さっきそう言ったわね。それはつまり洗脳や誘導の類ではなく、自分自身が『人間』でない事に気付いていない、人間になりきった『偽物』に出会った事があるとでもいうの?」
「は……?」
「……」
「お兄ちゃん……?」
「おい八幡。興味深い話だが、そいつはちょっとばかり……」
「妄想が過ぎる、だろ? まあ、どう受け取ろうが構わない。だが俺に……『俺達』にとっては現実上の死活問題だ」
「現実……俄には信じられないわ」
「愛機を整備している顔見知りが、本当に昨日と同じ人間なのか。出撃し、任務を終えて戻った基地が、本当に出撃前と同じそれなのか。まさに今、身を以って体感しているこの地球という世界が、本当に俺の知っている地球と同一のものなのか。此処でこうして面を突き合わせているお前達が、本当に俺の知っているお前達と同一人物なのか。こうして喋っている俺は、本当に『比企谷 八幡』という人間なのか。確信を持てる事なんざ、何ひとつとして存在しない。それがフェアリィに身を置く人間にとっての現実だ」
「……それを信じろと?」
「無理だろうな。俺だって、そんな事を聞かされれば正気を疑う」
「なら何で……ううん、それよりも。その『偽物』を造り出してるのって……『ジャム』なの?」
「そうだ。『俺達』の、FAFの敵だ」
「人間を複製してるって事か? いや、それ以前に今の口振りだと、基地だとか『地球』そのものまで複製できるかの様に聞こえるぞ」
「できるかどうかは解らん。だが、可能だとしても何ら不思議はない」
「お兄ちゃん、それは……幾ら何でも……」
「……まあ、事の真偽は置いておくとして。つまり比企谷くん、貴方はこう言いたいのね。私や結衣、小町さんに材木座くん。それらが『本物』ではなく、ジャムによって用意された『複製』なのではないか、と」
「そうだ」
「……狂ってる、正気じゃないよそんなの!」
「小町ちゃん!」
「どう思おうがそれはお前達の自由だ。だが、俺はこの身でその超常を体験し、生き延びた上で此処に居る。俺自身が『それ』を妄想と断じる事は絶対にない」
「そんなの解んないじゃん! FAFがお兄ちゃんに何をしたかなんて……!」
「其処までだ、川崎さん……おい、八幡。俺達はお前が話したフェアリィの実状に対して、真偽を判断し得るだけの情報も術も持ち合わせていない。この場の俺達だけでは、俺達のお前に対する疑いも、お前の俺達に……『地球』に対する疑いも晴らす事は不可能だ」
「ああ、そうだな」
「それ以前の問題よ。どちらの疑問に関しても、解消する方法があるとは思えないわ。結局は個人の意識の問題、各々の主観の内に閉ざされた『世界』の内部に燻る疑念だもの」
「……埒が開かないね」
「お兄ちゃん……」
「え……」
「あるぞ、双方の疑念に対する答えを得る方法。これ以外には思い付かん」
「ヒッキー……?」
「おい、どうするつもりだ。腕の良いカウンセラーでも雇えと? すぐ其処に専門の分析医が居るだろう」
「彼女は飽くまでFAFの人間だ。本人は中立である事を心掛けている様だが、思想や思考はどうしてもFAF、というよりも『特殊戦』寄りになってしまっている」
「ふうん……それを見抜けるという事は、貴方の異常ともいえる客観性は健在みたいね」
「……お前も姉に似てきてるな。行動に移す前に『本物』と信じちまいそうだ」
「此方としては、別にそれでも構わないのだけれど。いえ、寧ろ歓迎するわ」
「遠慮しておく」
「……それで、どうするの?」
「……なあ、材木座。お前の権限は何処まで融通が利くんだ?」
「この作戦中に於けるなら、まあ大抵の事は問題ない。よほど突拍子もない事じゃなければな」
「手紙を送らせてくれ。それと、行きたい場所がある。手配してくれないか。人数は……小町を除く、この場の全員だ」
「お兄ちゃん!? 何を……!」
「小町、お前は日本に戻れ。此処から先はお前が係わるべき案件じゃない。戻って、旦那と一緒に家族を護れ」
「そんな! そんなの嫌だよ! 私も……!」
「ウチの情報軍は優秀でな。色々と情報通なんだ……増えるんだろ、家族」
「っ……!」
「え、小町ちゃん!?」
「あ……」
「なら、お前が優先して注力すべきはこっちの問題じゃない。大志と一緒に、親父とお袋共々、その子を護ってやれ」
「……知ってたんだ……もしかして、材木座さんも?」
「……俺の口から言うべき事じゃないだろう。だが八幡、お前も大概デリカシーに欠けるな」
「『ジャム』相手には糞の役にも立たんからな。それで、どうだ?」
「行先によるな。何処だ?」
「『南極』ロス氷棚東端。ローズベルト島『あずさ基地』」
「……それって、まさか」
「『通路』!?」
「ああ」
「訊きに行こうじゃないか。『ジャム』に、直接」
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