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元スレ京太郎「俺が三年生?」玄「私の、育ててほしいな」
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ここの安価仕様は多重向きだからまた荒れるのは時間の問題だと思ってた
↓1~↓5でとった数で割合きめて~みたいなタイプだと
とった数が多ければ多いほど割合で有利になるし
同時に他キャラを安価範囲から押し出すことにもなるから多重と相性が良すぎる
そのせいか以降もそれらしい奴がずっといたけど長時間荒れなかったのがむしろ凄いと思ったわ
↓1~↓5でとった数で割合きめて~みたいなタイプだと
とった数が多ければ多いほど割合で有利になるし
同時に他キャラを安価範囲から押し出すことにもなるから多重と相性が良すぎる
そのせいか以降もそれらしい奴がずっといたけど長時間荒れなかったのがむしろ凄いと思ったわ
同じキャラばかり選ばれるのが嫌なのはわかるが、正直言って色んな安価スレでその事を必要以上に騒いでスレ埋めまくってるお前の方がよっぽど迷惑だわ
言いたい事は嫌という程わかったからもう大人しくしててくれ
言いたい事は嫌という程わかったからもう大人しくしててくれ
>>900
うん、死んで?
うん、死んで?
巴の人以上にやっちゃった馬鹿がいる以上は言われるのは仕方ないね
以降も自重してないみたいだし
以降も自重してないみたいだし
同じキャラばかりを自力で取る→○
同じキャラばかりを複数端末で取る→×
というだけだな。
文句言う人に自重しろというけど複数端末でやってる人自体が自重してない以上
片方だけに止めろということ自体がナンセンスだとは思う。
後これはこのスレに限らないけど、
批判に対する批判や煽りは燃料にしかなってないと思うから終わらせたいと思う人は放置しておいたほうがいい。
どうせ>>1が投下したらまたすぐ流れるんだろうしね。
同じキャラばかりを複数端末で取る→×
というだけだな。
文句言う人に自重しろというけど複数端末でやってる人自体が自重してない以上
片方だけに止めろということ自体がナンセンスだとは思う。
後これはこのスレに限らないけど、
批判に対する批判や煽りは燃料にしかなってないと思うから終わらせたいと思う人は放置しておいたほうがいい。
どうせ>>1が投下したらまたすぐ流れるんだろうしね。
・三年、夏、暴風
優希「ん……」ピクッ
優希「……」ガバッ
優希「――朝だじぇ!」
和「ゆーき、うるさい……」
咲「う~ん……」
まこ「ふわぁ……まだ早いわ」
優希「何を言っているんだじぇ。今日は待ちに待ったラスボス戦! 気合入れていくじょ!」
優希「てなわけで先輩にタコスもらってくる!」
まこ「まだ寝とるじゃろうに……」
和「あれ、そういえば部長は……?」
咲「ん、朝……」
優希『先輩、ターコースー!』ドンドン
京太郎「うっせぇ……まだこんな時間じゃねえか」
京太郎「無視しよ……」
優希『ターコースー!』ドンドン
京太郎「……」
優希『ターコースー!』ドンドン
京太郎「……」
優希『ターコースー!』ガリガリ
京太郎「うっせぇ! 今出すからちょっと待ってろ!」
京太郎(ここ最近、タコスを作れる場所を探して気づいたことがある)
京太郎(どこでも作れてしまうのだと)
京太郎(材料や道具はいつでも手に入る。今は24時間やってるスーパーも珍しくはない)
京太郎(問題はそう……火だ)
京太郎(それさえどうにかしてしまえば、後はどうとでもなる)
京太郎(そして俺はその答えを見つけた……)
京太郎(それは――)
京太郎「カセットコンロだ!」
優希「タコスまだー?」
京太郎「はいおまち」
優希「これは……!」
優希「どうして、どうしてタコスにイチゴジャムが入ってるんだじぇ!」
京太郎「優希、俺はとある人に気付かされたんだ。辛いだけがタコスじゃないと」
優希「そんなのウソだじぇ! こんなのクレープだじぇ!」
京太郎「いいや、本当だ。その皮で包んでしまえば何をしようがタコス……いわばサンドイッチみたいな軽食なんだ!」
優希「た、たしかにサンドイッチは甘いのもあれば辛いのもしょっぱいのもあるじぇ……」
京太郎「てなわけで今日一発目のタコスは甘いのを用意した」
京太郎(もちろん調理するのが面倒だったから、そのまま使えるもので作ったという本音は伏せておく)
優希「そんな真理を突いてくるなんて……まさか先輩はメキシカンと出会ってしまったのか!?」
京太郎「いや、それを教えてくれたのはフランス人だけど」
優希「メキシコ帰りのフランス人!」
京太郎「でも名前は中国っぽかった」
優希「謎だじぇ……」
京太郎「謎だな……ってかいいから食え」
久「……」ボー
京太郎「何見てんだ」
久「なにも」
京太郎「見たまんまボーっとしてるだけか」
久「適度に気は抜いておかないとね。張りっぱなしは疲れちゃうし」
京太郎「それはたしかに」
京太郎(ならなんでこんな早起きしてるんだって話だけど)
京太郎「タコス食うか?」
久「まだ朝御飯の前なんだけど」
京太郎「じゃあ半分こにするか」
久「それぐらいなら……って、なんかいつもと違わない?」
京太郎「名付けるならデザートタコスだな」
久「デザート……砂漠のタコスって言うとそれっぽく聞こえるわね」
京太郎「そのデザートじゃない」
久「まぁ、イチゴジャムと砂漠はどうやったって結びつかないか」
京太郎「そういうことだ」
久「そういえば優希は?」
京太郎「俺の部屋で寝てる」
久「事情は大体察するけど、それ絶対誤解招くから」
京太郎「事実なんだけどなぁ」
久「どうせタコス食べたら満足して寝ちゃったんでしょ」
京太郎「ご名答」
久「それでもいつもよりだいぶ早く起きたってことは、多少意識してるのかしら」
京太郎「ああ、決勝だもんな」
久「そうね……」
久「……どうしよう、決勝だ」
久「今更だけど不安になってきた……あー、どうしよ」
京太郎「なるようになる。裏を返せばなるようにしかならない」
久「前向きなんだか後ろ向きなんだかよくわからないんだけど」
京太郎「昨日の夜にできることは済ませたんだろ? じゃあもうなるようになれだ」
久「あとは野となれ山となれか……」
京太郎「どっちかって言うと果報は寝て待てって感じだけど」
久「自分で何とかできるところは限られてるしね」
久「ま、みんなになんとかしてもらえばいいか」
京太郎「そういうことだな」
久「もうちょっとボーっとしてくけど、あんたはどうする?」
京太郎「戻るよ。やることもあるし」
久「わかった」
京太郎「俺のやること……そう、この余ったタコスをいかに消費するかだ」
京太郎「優希のやつ、たくさん食べると思ったら一個だけで満足して寝やがった……中には火を通してないから長持ちしないってのに」
京太郎「幸いここらには知り合いがぞろぞろいる」
京太郎「誰か一人捕まえれば、それでチームメイトの分も合わせて五個分の消費が見込める」
京太郎「それで残りは咲たちに食わせるとして……それでミッションコンプリート」
京太郎「さて、知り合いは……」
誓子「あ、須賀く――」
京太郎「見つけたっ!」ガシッ
誓子「えっ」
京太郎「良かった良かった、探してたんだよ。大事な用があってさ」
誓子「だ、大事な用?」
京太郎「ああ、見つからなかったらどうしようかと思った」
誓子「そうなんだ……」ドキドキ
誓子(私に大事な用ってなにかな?)
誓子(どうしよう、ドキドキしてきた……)
京太郎「あの、機嫌悪い?」
誓子「悪くない」
京太郎「ジュース、飲む?」
誓子「もう、またそれ」
京太郎「少しでも機嫌良くなってくれればって」
誓子「だから怒ってないってば」
京太郎(怒ってるとは一言も言ってないんだよなぁ)
誓子「……ごめん、やな態度とってるよね」
京太郎「やっぱ機嫌悪いのか」
誓子「須賀くんがこんなのだってわかってるのにね……」
京太郎「え、俺が悪いの?」
誓子「悪くない。もし毎回わざとやってるんだったら話は変わるけど」
京太郎「わざと?」
誓子「あはは、大丈夫そうだね」
京太郎「……」
京太郎(いまいち納得いかないけど、機嫌直ったからいいか)
誓子「それで、タコスだっけ?」
京太郎「そうそう、作りすぎちゃったからみんなで食べてくれよ」
誓子「なんか近所のおばさんみたいだね」
京太郎「せめて隣の部屋に住んでる女の子にしてくれ」
誓子「なにそれ、漫画じゃあるまいし」
京太郎「だからこそ現実であったらいいなって思うんだよ」
誓子「今の状況に当てはめたら、須賀くんが渡す側だよ?」
京太郎「たしかに」
誓子(同じ大学通って、同じアパートかマンションの隣同士で、時々ご飯作ってあげて……)
誓子(なんか、いいかも)
誓子「そういえば、どこの大学いくの?」
京太郎「さぁ?」
誓子「まだ決めてないの?」
京太郎「決めてないっていうか、そもそも進学するかどうかも決めてない」
誓子「え……」
京太郎「進学しないなら金貯めて、高校出たらしばらく旅でもしようと思ってる」
誓子「えっと、両親に何も言われないの?」
京太郎「好きにしろだって」
誓子「放任主義だね」
京太郎「駆け落ちするような人たちだからな。あんまり縛り付けたくないんじゃないか?」
誓子「そうなんだ……」
誓子(今サラッとすごいこと言ったような……)
京太郎「そういや、岩館は元気か?」
誓子「揺杏?」
京太郎「昨日、試合が終わったあとにちょっと話したんだ」
誓子「たしかにちょっと落ち込んでたけど……」
誓子(散歩に行って戻ってきたらまた様子がおかしくなってて)
誓子(ボーッとしてるかと思えば首振って頬叩いて……それでまたボーッとして)
誓子(まさか……)
誓子「……揺杏になにかした?」
京太郎「なにかって……」
京太郎(黙ってたほうがいいよな、あいつの意地のためにも)
京太郎「なにもしてないけど」
誓子「むー」
京太郎「あれ、もしかしてのっけから疑われてる?」
久「さて、準備はいい?」
優希「うむ」
久「いよいよラスボス戦……頼むわよ」
優希「合点承知!」
久「ええ、ホント頼むわよ……」ギュウウ
優希「部長、そんなにキツくハグされると苦しいじぇ……」
まこ「……なんだかんだで緊張しとるのかの?」
和「なんたって最後ですから……」
京太郎「緊張ねぇ……」
『でも、もし……もしも、宮永照と私のどっちかを選べって迫られたらどうする?』
京太郎(たしかに緊張はしてるだろうけど、それだけじゃないよな……)
咲「優希ちゃん、頑張ってね」
優希「咲ちゃんの姉といえども容赦はしないじょ?」
咲「あはは、容赦なんてしてたら飛ばされちゃうよ」
優希「う……サラッと怖いことを……」
和「そもそも、どんな相手にでも全力で当たるのが礼儀です」
優希「のどちゃんが加勢に!? 味方は何処だじぇ」
まこ「もうそろ時間じゃけぇ、はよいけー」
照「行ってくる」
菫「一人で大丈夫か?」
照「そこは普通、頼むとか任せたって言うところ」
菫「試合に関しては何の心配もしていないよ」
照「じゃあ、何も問題ない」
菫「そうか……ところで、トイレに行くには通路に出て右と左、どっちにいけばいいと思う?」
照「そんなの簡単……右に決まってる」ドヤッ
菫「よし、私もついていこう」
照「何故っ」
淡「テルー、いってらー」ヒラヒラ
「はぁ、決勝かぁ……緊張するよ」
淡「誠子先輩は初めてなの?」
「私や尭深は去年の夏は見学だったからなぁ」
淡「先輩たちのちょっと不便だもんねー」
「淡ちゃんのが便利すぎるんだと思うんだけど」ズズッ
淡「多少の失点は任せてよ。華麗に逆転しちゃうから!」
「同じこと言って準決勝は危なかったんだよなぁ」
淡「あわっ!? あ、あれはちょっと油断してただけだからっ」
「でも、一緒に決勝に上がった阿知賀……あそこは強いと思う」
「まさか副将戦で地和がでてくるなんて……」ズーン
淡「もう、だから私に任せてってばー」
「いいや、私も頑張るよ。な、尭深」
「そうだね、みんなで……ね?」
淡「はーい」
「さて、待ちに待った決勝だね」
ネリー「やっと解禁だよね?」
メグ「腕が鳴りマスネ」
ハオ「これで勝てば私たちも、ひとまずの役目は果たせるわけですね」
明華「それはそれで寂しい気がしますねぇ」
メグ「たしかに……」
ハオ「しかたない、ですね」
ネリー「……」
「いやいや、そんなわけないでしょーが」
ネリー「そうなの?」
「しんみりしてるとこ悪いけどね」
明華「てっきりインハイでお役御免だと思っていたんですけど」
ハオ「メガン、あなたは去年もいたのでは?」
メグ「あ、そうデスネ」ポン
智葉「……ふっ」
ネリー「あ、サトハ笑った」
智葉「大したことじゃない、気にしないでくれ」
ネリー「気になる」
明華「気になりますねぇ」
メグ「気になりマス」
ハオ「気になります」
「気になるね」
智葉「監督まで……」
智葉「……もう行きます」
智葉(世界で活躍するような連中と肩を並べることに、重圧がなかったと言えば嘘になる)
智葉(麻雀の腕はともかく、蓋を開けてみればあんな連中だ……力も抜けてしまうさ)
智葉(まぁ、決戦の前にはちょうどいいか)
智葉(さて、大勝負だ……待っていろ、宮永照)
宥「大丈夫、クロちゃん?」
玄「問題ないのです。それに、どっちかっていうと赤土先生の方が……」
晴絵「あー、どうしよ。決勝だぁ……」ソワソワ
宥「あ、うん……そうだね」
憧「あーもう、ハルエが緊張してどうするのよ」
灼「緊張するハルちゃんも悪くないと思……」
憧「灼さんは甘やかさない」
灼「仕方ない……ハルちゃん、しっかりして」
玄「そういえば穏乃ちゃんは……」
穏乃「たっだいまー!」
憧「しず、どこいってたのよ」
穏乃「ランニング。いても立ってもいられなくって」
灼「無駄に元気」
穏乃「今のうちにギア上げとかなきゃね!」
憧「その内、空回りするんじゃない?」
穏乃「空回りでもエンジンは暖まるから大丈夫!」
宥「あったかいのいいなぁ」
穏乃「宥さん近い近い」
宥「えいっ」ギュッ
穏乃「うわっ」
宥「あったかぁい」ムギュムギュ
玄「おもち……穏乃ちゃんいいなぁ」
憧「羨ましがってないで、ほら……そろそろ時間でしょ?」
玄「あ、そうだね」
晴絵「任せたよ」
玄「わっ、赤土先生いつの間に」
灼「私の声で戻ってきた」
晴絵「自分でも踏んだことないステージにきたかと思うと、どうにも緊張しちゃってね」アハハ
憧「それこそソワソワしちゃうぐらいね」
晴絵「自分が試合に出るわけじゃないのに……おかしいかな?」
灼「そんなことない。だって、ハルちゃんも一緒に戦ってるんだから」
晴絵「そっか……そうだね」
玄「では、行ってくるのです!」
優希「行ってくるじぇー」
京太郎「あの調子だったら大丈夫そうだな……メンタル面では」
京太郎「実際にどこまで通用するかは未知数だけど、ここら辺は俺が気を揉んでもしかたない」
京太郎「果報は寝て待て、人事を尽くして天命を待つ」
京太郎「なんにしても待ってるしかできないってか」
『まったく、どうしてお前はフラフラと……』
『私の勘がそっちだって言ってた』
『結果間違っていただろうがっ』
京太郎「――っ」サッ
照「……」クン
菫「どうかしたのか?」
照「なんでもない。行ってくる」
菫「ここからは一本道だから間違わないって信じるぞ?」
照「菫は色々私に対して失礼だと思う」
菫「いいから行くんだ」
京太郎「……行ったか」
京太郎「なんで隠れてんの、俺」
京太郎「これじゃまるっきり不審者――」
玄「あ、京太郎くんだ」
京太郎「……そういや阿知賀の先鋒はお前だったな」
玄「うんうん、皆まで言わなくてもわかるのです。怪しいことしてたわけじゃないんだよね?」
玄「ズバリ! おもちウォッチングを楽しんでたんだよね――むぐっ」
京太郎「はーい、ちょっと黙ろうなー」
玄「ぷはっ……もう、ひどいよぉ」
京太郎「お前が変なこと口走るからだろうが」
玄「え? 私、変なこと言った?」
京太郎「物陰に隠れて女の人の胸を見てる場面を想像してみろ」
玄「……なにかおかしいかな?」キョトン
京太郎「あー、俺が悪かった。胸のところを尻に変換してくれ」
玄「……へ、変態さん?」
京太郎「そして世間一般の人からしたら、胸でも尻でも同じってことだ」
玄「そうなんだ……不思議だね」
京太郎「俺は正直お前の頭の中が不思議だよ」
玄「それで、おもちウォッチングじゃないならなにしてたのかな?」
京太郎「うちの先鋒の見送り」
玄「あ、昔の憧ちゃんにそっくりな子だよね」
京太郎「昔?」
玄「小学校の頃は元気一杯でいつも穏乃ちゃんと走り回ってたんだよ?」
京太郎「だとしたら見事に垢抜けたな」
玄「うんうん、久しぶりに会った時は驚いちゃったのです」
京太郎「結構モテてるんじゃないか?」
玄「でも憧ちゃん、男の人が苦手なんだけどね」
京太郎「マジか。あんなかわいいから彼氏いると思ってた」
京太郎(だとしたら、微妙に避けられてた理由も納得がいくな)
京太郎(良かった、嫌われてるわけじゃなかった)
玄「か、かわいいって思うんだ……」
京太郎「まぁな。素材もいいし、おしゃれにも気を使ってる風だったし」
玄「そうなんだ……恋人にするなら憧ちゃんみたいな女の子がいいよね」シュン
京太郎「あん?」
京太郎(雲行きがあやしい……なんで落ち込んでんだ?)
玄「そうだよね……気が利くし、しっかりしてるし、かわいいし……おもちではないけど」
京太郎「待て待て。あいつの胸、冬に会った時よりも大きくなってなかったか?」
玄「きょ、京太郎くん……」グスッ
京太郎(なんで涙ぐむ……知り合いの胸が成長してるのはこいつにとって良い知らせのはずなのに)
玄「ごめんね、私がおもちじゃないから……」
京太郎「あーもう、よくわからない理由で落ち込むな」
京太郎「まず第一に、別に新子と付き合いたいとは特に思ってない」
玄「え、でもかわいいって……」
京太郎「なんで飛躍する。かわいいっていうならお前もかわいい部類だろうが」
玄「ふぇ……」カァァ
京太郎「次に……その、お前のは十分大きい、以上!」
玄「本当? 京太郎くんも満足できる?」
京太郎「太鼓判押してやる、だからさっさと行ってこい」バシッ
玄「わっ」
京太郎「見事に玉砕してこい」
玄「酷いよ……でもうん、頑張ってくるね」
「さぁ始まりましたっ、インハイの頂点を決める戦い!」ビシッ
健夜「なにそのポーズ」
「解説はおなじみ、ふくよかじゃない福与恒子アナと――」
健夜「あ、すこやかじゃない小鍛治健夜プロ――ってこれ私が不健康そうに聞こえるんだけど……」
「早速選手の紹介いってみましょー!」
健夜「人の話聞こうよっ」
京太郎「始まったな……」
桃子「始まったっすねぇ」
京太郎「それで、なんでお前が俺の部屋に」
桃子「金髪さんがいれてくれたんじゃないっすか」
京太郎「たしかに鍵開けたのもドア開けたのも俺だけどな」
桃子「じゃあ問題ないっすね」
京太郎「忘れ物取りに自分が部屋に入ろうとしただけで、お前を入れようとは思ってないんだな、これが」
桃子「まぁまぁ、入ってしまったものはしかたないっすよ」
京太郎「部屋出るときにはつまみだすからな」
桃子「はーい」ゴロゴロ
京太郎(こいつ、どんだけくつろいでるんだよ)
桃子「恒子ちゃんは今日も絶好調っすねぇ」
京太郎「福与アナな。見てて面白いとは思う」
桃子「この二人のコンビ、人気らしいっすよ?」
京太郎「まぁ、だろうな」
恒子『インハイと言えば彼女っ、ミスターインターハイの宮永照!』
健夜『ミスターだと男子になっちゃうよ!?』
恒子『あ、ホントだごめんごめん』
京太郎「よし、出るぞ」
桃子「あ、その前に聞きたいんすけど」
京太郎「手短にな」
桃子「昨日、先輩がガールズトークしてたらしいんすけど」
京太郎「いや、俺は知らないからな。そもそも本人に聞け」
桃子「聞いても大した話じゃないの一点張りっすよ」
京太郎「じゃあそうなんだろ」
桃子「むぅ、気になるっすよ」
京太郎「はいはい、わかったから出るぞー」グイッ
桃子「ちょっ、強引っすよっ」
優希「……」トン
玄「……」トン
照「……」トン
智葉「……」トン
智葉(この一局、宮永照は間違いなく動かない)
智葉(つまり、それ以外の者にとってはチャンス)
智葉(つい先日対局したばかりの阿知賀の先鋒は、特に取っておきたいと思っているだろう)
智葉(しかし、その特性ゆえにどうしても速さは出しにくい)
智葉(私と清澄の競走か)
優希「リーチ!」
智葉「リーチ」
優希(ほんとにドラが来ない……)
優希(火力重視の時はドラが来るけど、速度重視の時はそうでもない)
優希(この時のためだったのか……)
智葉(ドラで点数が伸ばせない以上、役を重ねるしかない)
智葉(だがそうするとどうしても足が遅くなる)
智葉(まったく、稼いでおきたいというのに)
智葉「ツモ、4000・2000」
智葉(せいぜいが満貫か……)
「まずは先制か……」
明華「競り勝ちましたね」
ネリー「でも、なんにもなかったね」
ハオ「チャンピオンは動かないのでしょうか?」
メグ「あれは様子見……次からデス」
メグ「暴風が、来マス」
優希「――っ」
優希(なんかぞわっときたじぇ)
優希(部長が言ってた……最初の局が終わってから本番だって)
優希(親が流れたからと言って落ち込んでられないじぇ)
優希(さぁ、こい!)
照「ツモ、500・300」
優希(って、はやっ)
優希(いやいや、まだまだ点数的には……)
照「ツモ、500オール」
照「ロン、2300」
照「ロン、3500」
照「ツモ、1600オール」
照「ツモ、2000オール」
優希(って、上がりすぎだじぇ!)
優希(しかも点数がだんだん高くなってる……このままいったら大変なことになるじぇ)
優希(速度全振り……クズ手でもかまわないっ)
優希「ツモ! 1000・800!」
淡「へぇ、やるじゃん」
菫「阿知賀の先鋒のせいで制限がかかってるとはいえ、ここまで速いとはな」
「これでまたリセット……ですね」
「さすが決勝、手強いなぁ」
優希「……」
智葉(清澄の……片岡といったか)
智葉(さっきは私も準備していたというのに……大した速さだ。ともすれば昨日以上に)
智葉(しかし、南入してはその速さも消える)
照「ロン、8300……三本場」
智葉(やつの連荘を止める)
智葉(今度は私の番……この日のために研いできた刃だ)
智葉(受け取れ……!)
智葉「ロン、12900!」
照「はい」
菫「……」
淡「狙い撃ったねー」
「やっぱりお前もそう思うかぁ」
「部長の他にあんなことができる人がいるなんて……」
菫「いや、言うなればこれは才能ではなく技術だ。突き詰めたら誰にでもできる」
菫(しかし、辻垣内があれを使ったのならそれはやはり……)
菫(私と竹井と辻垣内で小鍛治プロに挑んだあの日……あいつはその経験から盗み取ったんだ!)ギリッ
菫「やってくれるじゃないか……」
久「やるわね……優希は火力を犠牲にしてようやっとって感じだったのに」
京太郎「照ちゃんの足が重くなってるってのもあるんだろうけど」
咲「おねえちゃんがああやって振り込むの、久しぶりに見たかも……」
京太郎「そもそも試合を見たのが久しぶりなんだろ」
咲「あ、なるほど」
まこ「しかし、よくドンピシャで当てれたのぅ」
久「それよそれ! 智葉ってばさらっと菫の技術盗んじゃってるのよ!」
まこ「白糸台のシャープシューターかい」
京太郎「略してSSS。にしても技術か……たしかにオカルトな感じはしないな」
まこ「細部まで目を通すとなると、わし向きではなしじゃな」
久「美穂子もアプローチは違えど似たようなことはできそうなのよね」
京太郎「じゃあ久ちゃんは?」
久「疲れそうだからやりたくない」
和「……」
咲「阿知賀の人が気になるの?」
和「いえ、ただ……なつかしくて」
和(ドラの無い麻雀……)
和(あの時はあんなに否定していたのに、今はこんなにもなつかしい)
恒子『前半戦っ、終了――!!』
晴絵「いい感じじゃない? 玄の特性を理解して他の二人がチャンピオンの足止めをしてくれてる」
宥「はい、でもまだ一度もあがれてないです」
灼「他の三人が速すぎる。玄には明らかに不利」
晴絵「ドラを捨てることも考慮に入れるように言ってあるけど、準決勝の時みたいに上手くはまるかどうかだね」
宥「あの時はクロちゃんがドラを捨てるのが、不意打ちとして機能しましたから」
憧「それにしても……臨海の先鋒、強いよ」
穏乃「去年の個人戦三位だったっけ?」
憧「要所要所で切り込む度胸がある……ちょっと羨ましい」
穏乃「でもそれっていわゆるあなろぐってやつじゃないの? 憧はほら、デジタル派でしょ」
憧「それはそうだけど羨ましいものは羨ましいのっ」
穏乃「えー?」
ネリー「サトハー」
智葉「珍しいな、休憩時間中に顔見せるなんて」
ネリー「さっきのあれが気になって」
智葉「見よう見まねの劣化版だ。二度は通じないだろうな」
ネリー「ネリーたちにも使ったことないよね?」
智葉「切り札の一つだからな」
ネリー「ねぇねぇ、他にもあるの?」
智葉「秘密だ」
ネリー「まぁ、隠すよね」
智葉「それも含めての切り札だからな」
ネリー「ジュースおごるよ?」
智葉「買いたたく気が見え見えだな」
ネリー「ダメ?」
智葉「ダメだ」
ネリー「つまんないなぁ……ま、いっか」
ネリー「それじゃ、後半も楽しみにしてるから」
智葉「楽しみにしてる、か」
智葉「どこまでやれるのか私自身が楽しみだよ」
京太郎「……」コソコソ
ネリー「あ、不審者発見」
京太郎「いや、俺は怪しいものじゃ――ってお前か」
ネリー「今度は本当に不審者っぽかったよ?」
京太郎「いやまぁ、色々気になってな」
ネリー「キョウタロウのとこの先鋒? 頑張ってると思うよ?」
京太郎「お前はナチュラルに上から目線だな」
ネリー「あの子とネリーじゃネリーの方が格上だし」
京太郎「そりゃまた……」
ネリー「もう休憩時間も終わっちゃうし、行こうよ」
京太郎「そうだな……」
京太郎(結局、照ちゃんの顔は見れなかったし)
ネリー「じゃあこっちね」グイッ
京太郎「待て、どこに連れてく気だ」
ネリー「ネリーたちの控室」
京太郎「行かないぞ?」
ネリー「さっき同意したじゃん」
京太郎「ここから移動することにな」
ネリー「むっ、詐欺だね」
京太郎「アホか。これで詐欺なら世の中詐欺だらけだよ」
ネリー「なにさ、もう……」
京太郎「んー、じゃあ俺の部屋来るか?」
ネリー「ここが……」
京太郎「ボーッとしてないで入れよ」
ネリー「あ、うん」
ネリー「和風だね」
京太郎「そりゃ旅館だからな」
ネリー「このお菓子食べていい?」
京太郎「お好きにどうぞ」
ネリー「それで、部屋に連れ込んで何する気なのかな?」
京太郎「そんなの決まってるだろ」
ネリー「まさか……」ドキドキ
京太郎「そのまさかだ。逃げようとしても逃がさないからな」
ネリー(女の子と部屋に二人きりですることって、アレしかないよね)
ネリー(意外と大胆なんだ……)
京太郎「お前にもう一回タコスを食べてもらおうと思ってな」
ネリー「……帰る」
京太郎「その反応は予想済みだ。この前は失敗したからな」
ネリー「そうだけどそうじゃないの!」
京太郎「なんにしても食べてもらうぞ。俺のタコスをな!」
ネリー「バカっ、キョウタロウのバカっ!」
ネリー「ごちそうさま」
京太郎「どうだった?」
ネリー「……おいしかった」
京太郎「だろ?」
ネリー「でもあれってクレープじゃないの?」
京太郎「生地が違うから違います」
ネリー「はぁ……なんか気が抜けちゃった」ゴロン
京太郎「せっかくだし、お茶でも入れてやるよ」
ネリー「はーい」
ネリー「もう、ホントにまぎらわしいよね」ゴロゴロ
ネリー「勝手に勘違いしたのはネリーだけどさ」ゴロゴロ
ネリー「ふぅ……あれ?」
ネリー「なにこの、長くて黒い髪の毛?」
ネリー「同じ学校だったら出入りしてもおかしくないけど……こんな髪の毛の人いないよね」
ネリー「じゃあ、もっと別の……」
京太郎「お待たせー、ってなにしてんだ?」
ネリー「……コレ」
京太郎「それは……髪の毛か?」
ネリー「ネリーの他にだれを連れ込んでたのさ」
京太郎「あれは連れ込んだっていうか、勝手に入られたというか」
ネリー「どっちでも同じ!」
京太郎「ええっ」
恒子「後半戦、始まりましたっ! 起家は例によって清澄の片岡選手です!」
健夜「例によってって……」
恒子「しかし今回のラス親は宮永照……今回はどんな大魔王っぷりを見せてくれるのでしょうかっ?」
健夜「どんだけ失礼なの!?」
恒子「大丈夫だよ、すこやんにはアラフォーの裏ボスの座を用意してあるから」ポン
健夜「裏ボスってなに!? というかアラサーだよっ!」
優希「……」
優希(後半戦、咲ちゃんのお姉さんは多分最初から仕掛けてくる)
優希(そして、また私の親が流れるんだじぇ……)グッ
優希(それはどうにも我慢がならないんだじぇ……!)
優希「リーチ!」
照「ロン、1000」
優希「あうっ」
照『ツモ、2000・1000』
「また勢いづいてきてるね」
明華「私はもっとそよそよした風が好きなんですけど」
ハオ「明華の好みはともかく、智葉ですらああも連荘を許すというのは脅威ですね」
ネリー「特に出だしのスピードがおかしいよね。ネリーもあれより速くいくのは難しいよ」
メグ「あれは私の暗いのと同じデスヨ」
ハオ「自分に制限をかけて強化しているということですか?」
メグ「普通に強い人がやるとああやって理不尽なことになるんデスヨ……」
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