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元スレ八幡「一色が死んだって……?」」

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201 = 1 :

事件のことについて話したいことがある、とのことだった。

事件の直後の当時、大量殺人犯の担任であるというレッテルを張られた平塚先生は、そのまま教師を辞めざるを得ないという状況に追い込まれた。

今はこうして無職のまま貯金を切り崩して生活しているらしい。しかしそれでは先がないのでお見合いなどにはしょっちゅう行っているが、数年前の事件の影響が未だに残っていてなかなか上手くいかないそうだ。

「お久しぶりです」

「ああ、久しぶりだな」

そう言う先生の姿は少し、いや、だいぶやつれたように見える。

お互いの近況報告もそこそこに、早速本題に入った。

「どうしてあの事件を追うんだ?」

かつての恩師はあたしにそう尋ねた。

202 = 1 :

「君が今もなお学業の合間にいろいろ調べ回っているのは聞いている。だがどうして、そんなことを?」

「……知りたいからです。本当のことを」

「本当のこと?」

「先生は信じられるんですか? あいつがあんなことをしたなんて」

「…………わからない」

どこか少し見当はずれに聞こえるその返答。その真意を掴むのは今の先生の様子からでは難しい。

「あの事件以降、私はわからなくなったんだ」

「比企谷のことが、ですか?」

「それもそうだし、他のこともだよ。私は比企谷があんなことをするなんて思ってもみなかった。二年ほどだが彼のことを見ていてそれなりに理解できていたと思っていた」

寂しそうに平塚先生はうつむき微笑を浮かべる。そんな先生の姿はまるでこのままどこかへ消えてしまいそうだ。

「でも、現実は違った。比企谷は過ちを犯した。それを私は止めなければならなかったのに……、何も……できなかった……」

203 = 1 :

「あたしもそうですよ。全く気づけませんでした」

そんな慰めの言葉を投げかける。しかしそれが無意味なことは言う前からわかっていた。あたしと先生とではそもそも比企谷と関わってきた時間も度合いも違う。

「……君の質問だが、答えは『わからない』だ。正直なところ、あれからは比企谷を恨んだこともあった。そのせいで私のあの頃の記憶というものはひどく歪んでいるんだよ」

「…………」

それも当然の話なのかもしれない。先生は比企谷に人生を狂わされた被害者だ。

一人の生徒のせいで教師をやめさせられ、愛する生徒を何人も殺され、だからそんなことを言う先生を糾弾する資格はあたしにはない。

「……それでも、一番恨んでいるのは自分自身だろうがな」

そう言って先生は窓の外へと視線を移した。つられてあたしも同じ方を向く。

まだお昼を回ったばかりで外はまさに青天と呼んで差し支えがない。あたしたちの心とは正反対で。

もう一度先生の方へ顔を戻した。今の言葉が自己弁護なのか、自己嫌悪なのかはあたしの中で結論づけることはできない。

204 = 1 :

「……こんな話を聞いたことがあるか?」

突然、先生がそう切り出した。

「『重さが合わない』という話を」

意味がわからない。一体何を言わんとしているのか全く予測がつかなかった。

そんなあたしの困惑した様子から答えを察して先生は言葉を続ける。

「あの事件の直後、私は比企谷の家に何度か足を運んでいた。まだ警察が中で捜査をしている時にだ。すると家の中から警官の声が聞こえてきたんだ。もしかしたら警官じゃなくてそれとは別の捜査官とか検死官とかだったのかもしれないが、そこはどうでもいい」

そこで一度切って間を空ける。そしてまたすぐに話し始めた。

「彼らはこんなことを言っていた。『重さが合わない』と」

205 = 1 :

「『重さが合わない』って、どういう……?」

「君もあの事件について調べていたなら、遺体がどのように発見されたかは知っているな?」

「……はい」

この事件が注目された理由に犯人の異常性が第一に挙げられるが、遺体の状態にそれはよく表れていた。

遺体は完全にすり潰されドロドロの液状になって、バケツの中に入っていたのだ。

このあまりの内容のショッキングさからテレビでは報道されなかったが、週刊誌やネット上ではその話がよく取り上げられていた。

「じゃあそこは省こう。それで、その重さを測ったんだよ。すると、どうにもその重さは本来あるべき重さとは違ったようだ」

「……はい?」

わけがわからない。重さが違う? それが一体何を――。

「……!?」

――ハッと、ある可能性が頭をよぎる。

「それはちょうど人間が一人分重かったんだ」

206 = 1 :

「まさか……そんな……」

「……それはその時わかったことではなく私が耳にした時には既にその事実は把握していて、その正体を探っていたらしい」

「そんな話は一度も聞いたことがありません……」

「しかしその正体はついにはわからなかった。と言うよりも掴みようがなかったようだ」

「どうしてですか?」

「そもそも遺体の状態から身元の特定はほぼ不可能。結局は行方不明になった者をその遺体のと同一人物だとしているだけだ。ゆえにそこにいたもう一人の可能性は遺体の『重さ』からでしか語れない」

「でも、事件の前後で行方不明になった人たちを探せば……」

「そこについても言及していたよ。私も調べたが比企谷の周りの人間であの十人以外で行方がわからなくなった者はいなかった」

「比企谷に関係がない人も含めたら、それを絞ることもできますよね?」

207 = 1 :

「だが、そうはしなかった」

「どうしてですか!?」

思わず感情が昂り、先生に問い詰める形になる。

「……いいか、川崎。人は結局は楽な方に流れるものなんだ」

「……?」

「あの現場にいたもう一人の可能性を存在させる証拠はあくまでも『重さ』だけだ」

「だから……なんなんですか……」

「そしてあの事件で『重さ』なんてたいした証拠になりえない。例えばの話だが、水を含ませるだけで『重さ』なんて簡単に変わるからな」

「だから……、比企谷が全ての犯人だということで終われば綺麗に事件が片付くから、それをなかったことにしたと……?」

先生はあたしから目を逸らす。その反応はイエスと言っているのと同義だ。

「それで先生は……、何もしなかったんですか……!? 自分の教え子の事件の真実を知りたいとは思わなかったんですか……!?」

押さえきれない感情が言葉から漏れ出る。年上に対しての態度としてあるべきではないものになっていたが、そんなことに気が回らないくらいに怒りが腹の底から湧き上がっていた。

208 = 1 :

「……したさ」

「えっ?」

「そんなことを聞いて私が動かないはずがないだろう……? でもな、無駄なんだよ」

「無駄?」

「もしも私の訴えを認めたら、それは警察が証拠を隠蔽したことを認めたも同然になるだろう。だから私の口は封じ込まれた」

「脅迫……?」

「いや、……、そうだな。私が警察にそれを言いに行った次の日から、うちのアパートの前に大勢のマスコミが押し掛けるようになったんだ。ある意味脅迫よりも質が悪かったよ」

「……えっ?」

「その次の日には総武高の教師を辞めるように言われてね。そしてすべてを悟った。余計なことをしたからこんなことになったんだって」

かつての自らを嘲笑うように先生は口角を歪める。結婚ができない自分を自虐している姿は幾度か目にしたことはあっても、ここまで絶望と悲哀に溢れた表情をしているのを見るのは初めてだ。

先生は正しかった。そのはずなのに、その結果糾弾され、それまでの身分すらも剥奪された。こんなの、理不尽以外の何物でもない。

「だから川崎。お前にはこう言おう」

もう一度先生の目があたしに向く。

「もうこれ以上、足を踏み入れるな」

209 = 1 :

平塚先生の重すぎる言葉に何も言い返せない。

だってそんなの間違っている。

こんな、真実を隠したままで終わるなんて、そんなの……。

「そんなの……おかしいですよ……!」

「だが、そうしなければならない時もあるんだ」

「だって……、先生の話が本当なら比企谷の家には比企谷には全く関係のないはずの人の死体があって、だったら比企谷は……」

「君の言っていることは至って正しい。でも、ダメなんだよ」

「違います! こんな比企谷に損な役回りを全部押し付けるような――」

「川崎」

優しい、しかし凛とした声があたしを押しとどめた。

「そんなことをしたって、雪ノ下や由比ヶ浜たちは帰ってこない」

210 = 1 :

「もう、諦めてくれ」

万物に執着がなくなってしまったかのような風に、あたしにそう告げる。もう一度何かを言い返そうとしたが、先生のその態度に対して何を言えばいいのかわからなくなった。

ふと、外から子供の遊んでいる声があたしたちの部屋の中に入り込んでくる。走り去ったその掛け声はすぐに小さくなって聞こえなくなった。

「それを君に伝えるために今日は呼んだんだ」

「だったら、どうしてそのことをあたしに教えたんですか……? あたしを説得するのが目的なら、そんな話をする意味はないはずなのに」

「私もするつもりはなかったさ。でも……誰かに聞いてほしかったのかもしれない。この話は私が心の中に留めておくにはあまりにも重く、暗い」

そう言いながら先生は軽く頭を手で押さえる。今の言葉が本音だということはその態度からなんとなく察しがついた。

「……すまない。元とは言え、私は君の先生なのにな」

「…………」

弱い。

あまりにも、弱々しい。

かつてとは正反対なまでに弱ってしまった姿を、もうこれ以上目にしていたくないとあたしは思った。

「……もう、帰ります」

211 = 1 :

玄関で足を靴に入れ、ひもを縛ってから立ち上がる。もうここに来ることはないだろうと思った。

「これから君はどうするんだ?」

「まだわかりません。でも、あともう少しだけ、考えさせてください」

「そうか。じゃあおせっかいついでにもう一つだけ」

「なんですか?」

「君はちゃんと今を楽しんでいるか?」

「どういう意味ですか?」

「そのままだよ。過去のことばかり考えて、今のことを投げやりにしてしまうのは本末転倒もいいところだ。君はまだ若い。これからだってきっと楽しいことがたくさん待っているはずだ」

「……先生が言うとなんか重いですね」

「ぐっ……それを言うな……。ともかくだ。過去の出来事にばかりとらわれるな。忘れるのは難しいだろうし、もしかしたら一生忘れられないのかもしれない。でも、どんなに考えたって時間は戻らないし、さっきも言ったがあいつらだって帰らない」

「……そうですね」

212 = 1 :

「じゃあその代わり、先生も幸せになってくださいよ」

「言われんでもそうするさ。人に言う前にはまずは自分からって言うしな。でも、今日君と話せて良かったよ」

「……じゃあ」

「ああ。……お互いまた落ち着いたらどこか飲みにでも行こう。私が奢るぞ」

「その前に先生は結婚してください」

「ぐふぅっ!?」

「じゃあ、また」

「ああ、またな」

213 :

頑張って

214 = 1 :

平塚先生の家から帰る途中は、ただひたすらに無力感が胸の中を渦巻いていた。

結局、この事件に対してあたしたちは何もできない。

あの日、何があったのか、その時にあいつが何を考えていたのか、少しも知りえない。

でも、それももう仕方ないんだと思う。あの頃からはもうあまりにも時間が経ち過ぎてしまった。その時の流れのせいでいろんなものが風化しつつある。

事件のことも、総武高のことも、奉仕部のことも。

あたしの中にあった微かな想いさえも。

あの頃にあたしが持っていたものは、みんな崩れて消え去ってしまった。

だからもう追う必要なんてないはずなのに、それでもそれが嫌で、なくしてしまった事実を認めるのが嫌で、だからこぼれてしまった水を盆に戻そうとしていたんだ。

決して元に戻ることがないのはわかっていても。

215 = 1 :

でもいくら考えたところでもう真実にたどり着ける日は永遠に来ない。

だから平塚先生の言ったように、せめて少しずつでも前に進んでいこう。あの日止まってしまった時間を、もう一度動かそう。

すぐにはできないかもしれないけれど、いつか本当に今を楽しめるようになるように。

その時にはさっき言っていたこともいいかもしれない。お互いにあの事件から立ち上がって、昔を懐かしんで語り合って……、そんな未来はきっとそう遠い日ではない。

……はず。

先生早く結婚してください。

「……さて、と」

今日は大志たちに久しぶりにカレーでも作ってあげよう。喜んでくれるといいな。

そんなことを思いながらこの街を歩く。

あたしはこの街が嫌いだ。

結局は嘘や人の欲でまみれていて汚い。

でも、今は前よりもちょっとだけ夕日が綺麗に見える。きっとあたしの中にあったわだかまりが多かれ少なかれ解消されたからだろう。

歩く。

今を、歩く。

嫌な思い出が詰まったこの街が、少しだけまた好きになれたような気がした。



おわり

216 = 1 :

以上で終わりです。
こんなわけのわからないのに最後まで付き合ってくれてありがとうございました。

最後に一言。
八幡が殺人鬼になった理由を作中で何度か言っていますが、全部嘘です。この話の中での八幡は大嘘つきです。

217 = 1 :

もう一個書き忘れた
スレタイは普通にミスです

誤 八幡「一色が死んだって……?」」
正 八幡「一色が死んだって……?」

218 :

乙です…
こわいね

219 = 213 :

あらら
川崎さんが謎を解き明かすのかと思いきや真相は闇の中ですか...

220 :

おう つまんんかったぜ

221 :

小町を殺したのは八幡じゃないっぽいけど真実は色八のみぞ知るで終わりか

222 :

解答編書いてくれよな~

223 :


ちなみに勘違いしてるやつ多いけど平塚先生は担任じゃないからな?

224 :

俺は馬鹿だから結局何が書きたかったのかわからなかった

225 :

読み直したけどあと3歩程分からないから人間一人分の重さはサブレとカマクラということにした。
推理が少なくて後になって色々付けられてもわかるわけ無いだろ!

227 :


つまり、小町が誰かに殺されて、逆上した八幡がその誰かを殺して、タガが外れた八幡はそのまま周りを虐殺してたってことかしら
うん、わからん!

228 :

ヒントが>>1にあったってのは分かったがそれだけ、うみねこ見せられたみたいでモヤモヤする
いつの間にか皆死んでるしちゃんと完結させてよってレベル

229 :

たくさんの感想ありがとうございます。作者冥利に尽きます。
解答編が欲しいみたいな声がありますが、今回の場合は読者の想像にお任せするのか、それとも明確な答えを出すべきなのか正直わかりません。

どちらの方がいいでしょうか?

230 :

解答編ありで

231 :

解答編あく

232 :

解答欲しいけどあと1日待ってほしい

233 :

冒頭の文章と八幡の小町に対する謝罪から考えると小町が八幡ではない誰かに殺されたっぽいけど見知らぬ誰かが重さ1人分ってオチは嫌だなあ

234 :

もう一回読んだけどわかりませーん
1日待ってって言ったけど待たなくていいです。

戸塚はどうなんだ?スタンガン当てもせずに一息付いててよく分からんし死体の説明がない

235 :

書き込むのはじめてなんですが
とりあえず初めの文章で殺されてるのは小町ちゃんかな? よくわからんが
増加分の重さは小町を殺した犯人のもので八幡が殺したんだと思う。
八幡といろはす共犯の関係に至った過程は可能性がいろいろあってわからないが、八幡が親しいといえる人たちを殺害していった理由についてはいちおう考えてみた。
シスコン八幡が小町を失ってしまった悲しみは相当のもので、生きていても仕方がないとか、いっそ死のうとかも思ったと思う。
そこで自分が死なないために、人が死ぬということに慣れるために殺人を行っていったとか?
大きな精神的ダメージを負った方が、そのダメージより小さなダメージをうけても耐えられそうだから、自分にとって大きなダメージになるように、親しい人物を自らの手で、加えて残虐な方法で[ピーーー]ことにしたんだと思う。
最後に自殺したのは、途中でこの世に自分と親しい間柄の人物がいなくなったら、自身の世界が無意味なものになると悟ったからとかかな?

解答編期待してます!

236 :

う、うわぁ

237 :

便所の落書き

238 :

何がキモイって実力不足で話が破綻してるのに作者(笑)が解決編いる?とか書き込んじゃってることよ

239 :

解答編を謳うならせめて推理できる情報は書かんと成り立たないわ
ただ作者の思う犯人が犯人になるってだけで後書きみたいなもん
最低でも外部犯含め全ての人が犯人に成り立てる構成くらいはどうにかならんかったのか

240 :

でも俺は作者の考えた話を読みに来てた訳だから個々人頭のなかの回答より作者の構想を知りたいんだよね

241 :

まあ推理の構成云々は置いといて、八幡がどういう経緯でこんな凶行に至ったかは知りたいわ

242 :

ちょっときもいなこのすれ

243 :

>>239
これだな、推理物っぽいあとがきを付けるならせめて推理できる欠片を散りばめるべき
憶測しか呼ばないよコレじゃあ

244 :

この話を書き始めたのが去年の十月くらいでここまで書くのに一年以上かかってるレベルの遅筆だから、いつ完成するのかわからないけど書いてみます。その時はまた別スレにでも。
あと、他の人も言っているようにヒントとかをぼかし過ぎたせいでどんな解釈もできるミステリーとしてはクソな代物になっていますが、コメントとかにいろんな解釈があるのが正直めちゃくちゃ面白いです。

246 :

かなり練り込んでるみたいだな
期待

247 :

もう書かなくて良いぞ

248 :

わかったから解答はよ
取り敢えずはよ

249 :

もう文章じゃなくて普通に箇条書きで答え書いときゃいいんじゃね?

250 :

この程度のゴミがミステリー?
ミステリー舐めんな屑が


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