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元スレ電「司令官さんは・・・人じゃないのですね・・・」
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金剛と中尉の間に割って入った電、彼女の手には二本の斧が握られていた。
それはかつて中尉が明石に頼んで作らせた対深海棲艦用の斧である。
深海棲艦としての限界まで昇華し、金剛の砲撃をも防いだ体も深海棲艦に特化した武器には勝てなかったという事である。
電「殺し合う前に、ひとつ聞きたいのです」
中尉「…言ってみろ」
以前得物を降ろさず、多少の警戒心と少しのためらいを含んだ言葉を彼女は中尉に投げかけた。
対して中尉は構えすらせずに、彼女の話に耳を傾ける。
電「何故・・・深海棲艦に?」
中尉「目的に対する手段を講じた結果だ」
電「…貴方の目的はなんなのですか?何を成そうとしているのです」
中尉「俺の根底はあの時と変わっていないよ電」
中尉「かつて君はこう尋ねたな、もしも電が絶対正しいと思った道が…俺にとっては絶対に間違った道だったら…」
中尉「どうするんですか?と」
中尉「俺はこう答えたな、俺を殺してでも君の言う正しい道を貫きたまえと」
電「覚えているのです、酷く昔のような気がするのです」
中尉「救うために殺す僕と守るために力をふるう君、いずれぶつかるであろう互いの信念」
中尉「時は来た、行くぞ電」
中尉「目に見えるすべての者を助けるなどという痛ましい夢から覚まさせてやる」
電「電のセリフなのです…司令官さん」
電は一呼吸置いて、挑みかかるように中尉に叫んだ。
電「電達はもう、あなたに守られるだけの子供じゃないのです!」
そして彼女は真横に駆けだした。
中尉「!?」
不可思議な行動を目で追った矢先、耳には空気を切り裂く音が聞こえた。
中尉は上を見上げる。
12.7cm連装砲の射程は、約30キロであった。
中尉「なるほど…電達は、か」
砲撃は正確に着弾した。
電の後方8キロの地点に彼女達はいた。
春雨「着弾です!」
春雨からもたらされた吉報に、四条鎮守府から派遣された第六駆逐隊の面々からは歓喜の声が湧く。
暁と春雨は両手をあげて喜び、雷はどこか口惜しそうな表情を浮かべていた。
暁「やったわ!あとは電が拘束するだけね!」
春雨「はい!まさかこうも上手くいくとは思いませんでした」
喜ぶ春雨に目むくれず、響と若葉はどこか訝しげに着弾点を見つめていた。
すると若葉の目にこちらに一直線に向かってくる物体が映った。
それはかつて南西鎮守府で共に戦った艦娘、叢雲だった。
恐ろしい速度で向かってくるそれは、15キロの距離をドンドンと詰めている。
若葉「戦闘用意!」
響「敵影確認、沈めるよ」
ほぼ同時の号令、その声と共に二人は魚雷を放ち砲弾を撃つ。
それに続いたのは雷だった、彼女もまた魚雷を放つ。
いまだ状況を確認しきれていない暁に春雨、この間約6秒。
やっと事態を理解した暁と春雨が攻撃を始めようとした時、叢雲は肉眼ではっきりと見えるほどに近づいていた。
この戦いに心理的、物理的な益が存在すると仮定しよう。
中尉からしてみれば電達は最早娘のような存在であり、この戦いにおいて彼女たちの成長を目の当たりにするという益がある。
対して電達からしてみれば人類に仇名す可能性のある彼を沈めに来たのか、もしかすれば彼を捕えに来たのかもしれない。
どちらにせよ能動的に彼の下まで来たというならば、そこには確かな目的があると考えられる。
目的の遂行、直接的か否かは置いておいてそれ自体は益とみなす事が出来る。
では、それでは叢雲に関してはどうだろうか。
彼女の目的は雪風と共に帰るという事であり、それ自体が彼女の存在意義と同義であったはずだ。
彼女は南西の鎮守府で仲間たちの帰還を待ち続けたのだから。
だがその目的は雪風をその手で葬ったことで幻と成り果てた。
その叢雲が何故まだ戦うのか、この戦場ででその真意を知る者は叢雲を除いて存在しない。
だがしかし、ここに一つだけ確かなことがある。
第六駆逐隊が彼女に勝つ見込みは無い。
第六駆逐隊は叢雲に対して丁字戦法の横棒の形になっていた。
すなわち、叢雲は艦隊の横っ腹に直線的突っ込んできたのだ。
本来この陣形は戦闘において有利である、それが普通の艦娘及び深海棲艦であるのならばだが。
叢雲「ごあいにくさま!リンチにはなれてんのよ!」
叢雲は綺麗に並んだ陣形の間を素早くすり抜ける。
叢雲「はぁっ!」
春雨「ふぇ!」
そして一番早く慌てた春雨に向かって、魚雷を投げつけた。
魚雷は春雨に当たると爆発し周囲を多量の煙が覆った。
叢雲「まだよ!」
そして叢雲は煙の中で手当たり次第に砲撃を放つ。
これに慌てたのは雷であった。
雷「春雨!今助けるわ!」
響「やめるんだ雷!」
煙の中で春雨の下まで進む雷、その耳に響の声は届かなかった。
雷「あがっ!」
春雨「雷ちゃん!」
でたらめな砲撃の中で、一発が雷の背中に直撃した。
若葉「くっ・・・一旦引くぞ!この煙の中では不利だ!」
若葉の声と共に第六駆逐隊は一時撤退を余儀なくされた。
煙の中から最後に出てきたのは春雨とそれに支えられた雷であった。
助けに行った側が助けられるとは皮肉なものである、雷の損傷は中破と言ったところだ。
艦隊は雷とそれを支える春雨を中心に、輪形陣を獲った。
暁「春雨に投げた魚雷、何かおかしいわ」
若葉「あぁ、おそらく煙幕弾。本命は雷に当てた一発だけだったのかもしれないな」
響「つまり叢雲は最初から一人だけ潰すつもりで?」
若葉「煙幕を張ってからどうやって雷に当てたのはわからないがな」
煙が晴れると、叢雲は彼女等に対し50mほどの距離の所に立っていた。
ここから先には通さないと言うかのように。
俺・・・私?それとも僕?
どうやらこの身は、深海棲艦の身は素晴らしい戦闘能力と引き換えに記憶を摩耗させるらしい。
なるほど、深海棲艦が轟沈した艦娘だという説、確かにその通りかもしれないな。
連戦で私はこの身を酷使し過ぎたようだ、もはや自分の事を何と呼んでいたのかもよく思い出せない。
毎秒、毎秒私は私でなくなっていく感覚をピリピリと脳裏に感じている。
だが・・・たしかにひとつわかることがある。
「はぁっ!」
俺はこの目の前の少女と決着をつけなければいけない、確か僕はそう思っていたはずだ。
「この!わからずや!なのです!」
「さっさと降参するのです!」
これは間違いなく殺し合いなのだろう、だというのに何故だ。
「一緒に帰るのです!」
「引きずってでも・・・連れて行くのです!」
何故この子は泣いている?
そんな疑問を抱いたと同時に、私の頭が・・・
僕の頭は澄み渡る空に浮かぶ太陽のように、鮮明な記憶を蘇らせていた。
そして少女
いや…電は
その一瞬の隙を見逃さなかった。
電「もらったのです!!」
電の一撃が、ついに僕を捕えた。
どうやらこの身は、深海棲艦の身は素晴らしい戦闘能力と引き換えに記憶を摩耗させるらしい。
なるほど、深海棲艦が轟沈した艦娘だという説、確かにその通りかもしれないな。
連戦で私はこの身を酷使し過ぎたようだ、もはや自分の事を何と呼んでいたのかもよく思い出せない。
毎秒、毎秒私は私でなくなっていく感覚をピリピリと脳裏に感じている。
だが・・・たしかにひとつわかることがある。
「はぁっ!」
俺はこの目の前の少女と決着をつけなければいけない、確か僕はそう思っていたはずだ。
「この!わからずや!なのです!」
「さっさと降参するのです!」
これは間違いなく殺し合いなのだろう、だというのに何故だ。
「一緒に帰るのです!」
「引きずってでも・・・連れて行くのです!」
何故この子は泣いている?
そんな疑問を抱いたと同時に、私の頭が・・・
僕の頭は澄み渡る空に浮かぶ太陽のように、鮮明な記憶を蘇らせていた。
そして少女
いや…電は
その一瞬の隙を見逃さなかった。
電「もらったのです!!」
電の一撃が、ついに僕を捕えた。
叢雲「…」
春雨「くっ…せめて響ちゃんたちだけでも!電ちゃんの下へ!」
若葉「あぁ!わかっている!」
私は・・・何をしているんだろうか?
今の私は自らの欲に駆られ、あの日の私と同じ思いをさせようとしているんじゃないかしら?
雷「二人とも・・・」
暁「でも…」
響「すまないっ!行くぞ!強行突破だ!」
もしも・・・仮にもしもそうなのだとしたら…
あの日の私の悲しい思いを、この子たちにもさせる可能性があるのだとしたら…
私がとるべき行動は・・・
若葉「おまえ・・・」
春雨「…叢雲さん」
叢雲「私達は艦娘、兵器よ」
叢雲「そんな兵器にもね、たしかにあったのよ…心は」
邪魔をしない事・・・
間違ってないよね?雪風・・・
提督…
尉の体から青い血が流れ出る。
電「はぁ…はぁ…」
中尉「げほっ・・・ふふっ」
中尉「長く過ごせば慣れが出てくる、慣れは隙を生む…自分で言っておいてこのざまか…」
電「さぁ…決着はついたのです、電達と一緒に帰るのです…」
手を差出す電、中尉は背筋を伸ばしその姿をじっと見つめていた。
そのうちに暁、響、雷が電達の下へやってきた。
中尉「…ふふふっ」
中尉が笑みをこぼす、彼女等はそれを訝しげに見つめている。
中尉「随分と・・・いつのまにか随分と大人になっていたようだ・・・」
中尉は優しく彼女等に微笑む。
中尉「訂正しよう・・・響。僕は君を頼るべきだった」
中尉「暁、妹を思いやる君は立派なレディーだ
中尉「雷、約束を守れなくてすまない…次があったなら必ず守るよ…」
響「な・・・なんだい急に・・・まるで別れ・・・」
中尉「電」
中尉は響の言葉を遮り、ひたすらに言葉を紡いだ。
どこか焦燥感に溢れた早口で、しかし笑みは崩さず。
その目は四人を目に焼き付けるように、瞬きすら躊躇う様に真っすぐに彼女達に向けられていた。
中尉「君の背中は・・・僕なんかよりもずっと大きい」
中尉「僕がこれまで、守れずに、救えずに・・・」
中尉「ただただ無能を晒しながら捨ててしまってきたものすら・・・君なら守れるだろう」
電「し、しれ」
中尉「電・・・」
中尉「望む方を向いて、望むように向かって行くといい…」
中尉は目を閉じた。
中尉「あぁ…本当に・・・」
そこで中尉の口は言葉に詰まった。
そして糸の切れた人形のように崩れ落ちる。
力なく、無念なく、後悔なく崩れ落ちたのだ。
その体を支える手は少し小さい。
電「はぁ…はぁ…」
中尉「げほっ・・・ふふっ」
中尉「長く過ごせば慣れが出てくる、慣れは隙を生む…自分で言っておいてこのざまか…」
電「さぁ…決着はついたのです、電達と一緒に帰るのです…」
手を差出す電、中尉は背筋を伸ばしその姿をじっと見つめていた。
そのうちに暁、響、雷が電達の下へやってきた。
中尉「…ふふふっ」
中尉が笑みをこぼす、彼女等はそれを訝しげに見つめている。
中尉「随分と・・・いつのまにか随分と大人になっていたようだ・・・」
中尉は優しく彼女等に微笑む。
中尉「訂正しよう・・・響。僕は君を頼るべきだった」
中尉「暁、妹を思いやる君は立派なレディーだ
中尉「雷、約束を守れなくてすまない…次があったなら必ず守るよ…」
響「な・・・なんだい急に・・・まるで別れ・・・」
中尉「電」
中尉は響の言葉を遮り、ひたすらに言葉を紡いだ。
どこか焦燥感に溢れた早口で、しかし笑みは崩さず。
その目は四人を目に焼き付けるように、瞬きすら躊躇う様に真っすぐに彼女達に向けられていた。
中尉「君の背中は・・・僕なんかよりもずっと大きい」
中尉「僕がこれまで、守れずに、救えずに・・・」
中尉「ただただ無能を晒しながら捨ててしまってきたものすら・・・君なら守れるだろう」
電「し、しれ」
中尉「電・・・」
中尉「望む方を向いて、望むように向かって行くといい…」
中尉は目を閉じた。
中尉「あぁ…本当に・・・」
そこで中尉の口は言葉に詰まった。
そして糸の切れた人形のように崩れ落ちる。
力なく、無念なく、後悔なく崩れ落ちたのだ。
その体を支える手は少し小さい。
きっ、き、きききき、
きてるううううううううううううううううううううううあああああああああああああおおおおおおおおおおおおお!!!?!??
きてるううううううううううううううううううううううあああああああああああああおおおおおおおおおおおおお!!!?!??
白い軍服が太陽に反射して眩しく見え、高級将校の出入りが多い場所
そんな施設に私は赴いていた
周りの視線が痛いのは私が女だからだろうか
そんな視線を避けるように目的地へと急ぐ
横須賀、呉、舞鶴、佐世保に続く大規模鎮守府になった四条鎮守府の司令官として、私に指名がかかったからだ。
理由はおそらく、先の人口深海棲艦討伐作戦の功績という事だろう。
階級は大将となった。
案内窓口らしきところで案内を受け、私は会議室に急ぐ。
そこには新顔が私をいれて三人、古株が三人の計六人が集まっていた。
新顔には呉の友提督、横須賀の提督、そして四条の私だ。
なぜ陸軍の友提督が海軍の重要ポストになれたかは・・・まぁ陸軍のお偉いさんに聞けばわかるのだろう。
今回の議題は人口深海棲艦事件の尻ぬぐいについてだった。
舞鶴と佐世保の司令官はあの人をやり玉に挙げて事態の収拾を図ることを提案した。
しかし横須賀、呉、そして私の三人はあの人に責任能力が無いことを理由に、極秘事項としたうえで箝口令を引くことを提案した。
つまりもみ消そうというわけだ。
以前の私ならば絶対にそんなことはしなかったのだろうが、あの人に毒されてしまったという事だろう。
最終的な判断は元帥閣下がなされるのだが、あの調子なら事件は世間には深海棲艦の新兵器という事になって広まる事だろう。
私は車に乗り、鎮守府への帰路についた。
そんな施設に私は赴いていた
周りの視線が痛いのは私が女だからだろうか
そんな視線を避けるように目的地へと急ぐ
横須賀、呉、舞鶴、佐世保に続く大規模鎮守府になった四条鎮守府の司令官として、私に指名がかかったからだ。
理由はおそらく、先の人口深海棲艦討伐作戦の功績という事だろう。
階級は大将となった。
案内窓口らしきところで案内を受け、私は会議室に急ぐ。
そこには新顔が私をいれて三人、古株が三人の計六人が集まっていた。
新顔には呉の友提督、横須賀の提督、そして四条の私だ。
なぜ陸軍の友提督が海軍の重要ポストになれたかは・・・まぁ陸軍のお偉いさんに聞けばわかるのだろう。
今回の議題は人口深海棲艦事件の尻ぬぐいについてだった。
舞鶴と佐世保の司令官はあの人をやり玉に挙げて事態の収拾を図ることを提案した。
しかし横須賀、呉、そして私の三人はあの人に責任能力が無いことを理由に、極秘事項としたうえで箝口令を引くことを提案した。
つまりもみ消そうというわけだ。
以前の私ならば絶対にそんなことはしなかったのだろうが、あの人に毒されてしまったという事だろう。
最終的な判断は元帥閣下がなされるのだが、あの調子なら事件は世間には深海棲艦の新兵器という事になって広まる事だろう。
私は車に乗り、鎮守府への帰路についた。
元帥閣下があのような判断を下したのには、彼の隠れた功績もあっただろう。
彼のおかげで深海棲艦についての研究もだいぶ進み、春雨のように深海棲艦に完全に堕ちる前に助けることもできるようになった。
それに加えて彼は私達の管理下にあり、今はもうただの人間に戻っているのだから危険も無い。
彼はもう、依然と同じ人間である。
記憶が無いという事を除けばだが。
彼のおかげで深海棲艦についての研究もだいぶ進み、春雨のように深海棲艦に完全に堕ちる前に助けることもできるようになった。
それに加えて彼は私達の管理下にあり、今はもうただの人間に戻っているのだから危険も無い。
彼はもう、依然と同じ人間である。
記憶が無いという事を除けばだが。
彼の場合は記憶の喪失では無く、記憶が消えている可能性が高いのだという。
それも自分のことについての一切を、だ。
彼は食事も作れるしトイレにも行ける、街に出れば会計もできるし法も守る。
しかし、自分が医者であったこと、陸軍にいたこと私達との思い出などの記憶については全くないのだ。
それを聞いて私は酷く落ち込んだ、他の鎮守府のメンバーも同様であった。
しかし彼女達は違った。
それも自分のことについての一切を、だ。
彼は食事も作れるしトイレにも行ける、街に出れば会計もできるし法も守る。
しかし、自分が医者であったこと、陸軍にいたこと私達との思い出などの記憶については全くないのだ。
それを聞いて私は酷く落ち込んだ、他の鎮守府のメンバーも同様であった。
しかし彼女達は違った。
響「そんなことは些細な事じゃないか、中尉は生きている。それだけで十分さ」
雷「思いでなんてまた作ればいいじゃない!いっぱい、いーっぱいね!」
暁「暁たちはそんなのへっちゃらよ!だって立派なレディーですもの!」
電「そうと決まったら、さっそく思い出を作りに行くのです!」
「「「「おー!!」」」」
大鳳「本当に・・・強い子たちね…」
きっとあの人と彼女達は今日も共にいるのだろう…
昼下がりの公園
はしゃぐ三人の少女と木陰で休む一人の少女、そして一人の青年。
青年は楽しげに三人を見つめ、少女は青年を見つめていた。
青年はその視線に気づくと、少女の頭を軽く撫でた。
少女は自然と青年に質問をしていた。
同じ答えなどかえって来ないとわかっているのに、それでも少女は青年に問い始めた。
電「あの…」
青年「ん?どうした電?」
電「電には・・・戦う力があります…」
青年「前に見せてくれたね…
電「電は・・・電の力は…誰かを守るためだけに…使います…」
電「それってダメな事でしょうか…?」
青年「いや、それはきっと良い事なんじゃないか?」
青年「君は強いからな」
少女は軽くはにかむ裏側で、少し落胆した。
あぁ…やっぱりか、と。
それが身勝手な感情であることは承知の上であったが、やはり悲しい。
表情がばれないように、少女は俯く。
そんな少女を余所に青年は話を続けた。
青年「けどもしも、もしも君がくじけそうになった時は」
青年「必ず僕が導く」
青年「子供の成長を助けるのは大人の仕事だ」
少女は彼の言葉にはっとした、そして藁にもすがる思いであの日の問答を再現した。
電「じゃ!じゃあもし!」
電「もしも電が絶対正しいと思った道が…司令官さんにとっては絶対に間違ってるとおもう道だったら…」
電「司令官さんは…どうするんですか?」
青年「そうだなぁ…その時は…」
はしゃぐ三人の少女と木陰で休む一人の少女、そして一人の青年。
青年は楽しげに三人を見つめ、少女は青年を見つめていた。
青年はその視線に気づくと、少女の頭を軽く撫でた。
少女は自然と青年に質問をしていた。
同じ答えなどかえって来ないとわかっているのに、それでも少女は青年に問い始めた。
電「あの…」
青年「ん?どうした電?」
電「電には・・・戦う力があります…」
青年「前に見せてくれたね…
電「電は・・・電の力は…誰かを守るためだけに…使います…」
電「それってダメな事でしょうか…?」
青年「いや、それはきっと良い事なんじゃないか?」
青年「君は強いからな」
少女は軽くはにかむ裏側で、少し落胆した。
あぁ…やっぱりか、と。
それが身勝手な感情であることは承知の上であったが、やはり悲しい。
表情がばれないように、少女は俯く。
そんな少女を余所に青年は話を続けた。
青年「けどもしも、もしも君がくじけそうになった時は」
青年「必ず僕が導く」
青年「子供の成長を助けるのは大人の仕事だ」
少女は彼の言葉にはっとした、そして藁にもすがる思いであの日の問答を再現した。
電「じゃ!じゃあもし!」
電「もしも電が絶対正しいと思った道が…司令官さんにとっては絶対に間違ってるとおもう道だったら…」
電「司令官さんは…どうするんですか?」
青年「そうだなぁ…その時は…」
青年「以前君がしたように」
電「へ?」
青年「僕を倒してでも…君の言う正しい道を貫きたまえ」
電「!」
電「…あ」
青年「…君はもう大人なのだ」
青年「望む方を向いて、望むように向かって行くといい…」
青年「…本当に・・・大きくなったな」
電は声をあげて泣いた。
嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて泣いた。
その声に気付いた三人が慌てて駆け寄り、彼女達もまた青年の言葉に泣いた。
青年「ただいま・・・と言いたいところだがまずは君たちの事を教えてもらえるかな?」
青年「僕がいない間の君たちをたくさん僕に教えてくれないか?」
青年「許されるならば・・・」
中尉「僕はまた君たちと一緒に居たいから。
青年の頬を涙が伝い、それは止まらない。
今まで堪えてきた涙を全て清算するために。
そして
新たな一歩を踏み出すために。
青年もまた、声をあげて泣いたのだ。
木漏れ日の中で五人は寄り添いあう
青年はつぶやいた
もうお前らと離れたくはない、と
少女は嬉しそうに笑い肯定した
そして青年にしがみつく三人を見て
青年に告げた
司令官さんは・・・人じゃないのですね…
電達みんなにとって
司令官さんはもう…
大切な・・・大好きな人なのです…
青年は笑うと、目を閉じる
少女もまたそれに倣う
救いの手を掴み
死神は消えた
季節外れのカミツレが
そっと風に揺れた
~Fin~
行き当たりばったりだったから矛盾点とか未回収の伏線とかは勘弁な
まぁ終わらせる事が出来て良かった
読んでくれた人や保守してくれた人ありがとな
まぁ終わらせる事が出来て良かった
読んでくれた人や保守してくれた人ありがとな
完結ありがとう。握手
とても面白かった。拍手
待ち続けて本当に良かったよ
またいつか、艦これSSを書いてくれ
乙
とても面白かった。拍手
待ち続けて本当に良かったよ
またいつか、艦これSSを書いてくれ
乙
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