元スレまゆ 「まゆ、プロデューサーさんの子種が欲しいんです…」
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151 = 1 :
……何だこれは……
……“見られている”……
……一体誰だ?
……少なくとも、事務所内ではないな。
……成程。
“警告”か……
152 = 1 :
?
一歩、足を踏み入れてから突然宙を眺める様にして言葉を発しなくなった男を見てプロデューサーはどうかしたのか、と考えた。
場を沈黙が支配し、何故だかは分からないが先程よりも緊縛した状況が生まれた。
男は宙を眺める体制のまま動かない。
最早男が警察官どころか普通の人間ではない事は誰の目から見ても明らかだった。
暫くして――と言っても1分程――男の異常性を確認させるには充分すぎる時間だが――
「……すみませんね、時間をとらせて。また来ます。」
――沈黙を破り、男はドアを開けて出ていった。
男の姿が人混みに紛れて見えなくなるのを確認するとプロデューサーはどっ、と遺棄をはいてその場にへたりこんだ。
153 = 1 :
あ、息が遺棄になってる
ミスった…
154 = 1 :
「し、親友、大丈夫か……?」
不安そうな顔で覗き込む輝子に心配をかけまいと、プロデューサーは大丈夫、と応えた。
「……ちょっと警察に電話してみる。本当に巡回しているのか。」
「う、うん……そうした方がいい……」
そしてプロデューサーは自分の疑惑を確信へと繋げるために、ポケットから震える手で携帯を取り出した。
数回の着信音の後に警察が出た。
プロデューサーは深呼吸をして、話し始めた。
155 = 1 :
数分後、話し終えたプロデューサーは恐怖を浮かべた面持ちで携帯電話を閉まった。
輝子がおずおずとした様子で聞いてきた。
「し、親友、どうだった……」
「……この近くで不審な人物が出たなんて通報は無いし、そんな人物も巡回させていない、だとさ。」
当たっては欲しくなかった予想が当たってしまい、輝子は絶句した。
そして二人とも男が最後に言った言葉を思い出していた。
男は確かにこう言っていた。
「また来ます。」
と。
156 :
ほらーじゃねぇか!これすっげけこわいしほらーじゃねえか!
157 :
…………
………
雑踏の中、男は歩きながらこれからの計画を練っていた。
今日の夜に探査神経を使いながらあの事務所に行ってみるか。
しかし、もし、純粋種が暴れたりした場合は……
又、俺が万が一死んだ場合――
……“仲間”を呼ぶか
そう考えて男は携帯電話を取り出した。
それにしても、これは本当に便利だ……
そんな事を考えていると、数回のコールの後に仲間が電話に出た。
「はい?」
若干、声が若く感じられたが、気のせいだろう、と考え直して男は電話を続ける事にした。
「俺だ。純粋種の居場所に辿り着いた。」
だが、若干声が若く聞こえたのは気のせいでも何でもなかった事を男は知る事になった。
「だれ?言っておくけどママなら死んだわ。」
……あいつ、死んだか。
男はその一言で自分達と言う種に寿命が迫りつつある事を嫌でも思い知らされた。
そして……
!
男は急に胸に痛みを感じて大きく咳き込んだ。
押さえた手の平にはべっとり、と血と体液が付いていた。
……男自身の寿命も刻一刻と短くなっているのは誰の目にも明らかだった。
「ちょっと、大丈夫!?」
電話から仲間の子供の声が聞こえたが、対応すら出来ない。
手短に要件を済ますか。
咳き込みながら電話を片手に、男はそう思った。
158 :
ホラー最高やでえ(大興奮)
159 :
あれ、電話の相手ってヴァリサ?
160 :
「……俺は、君の母親の知り合い、だな。母親から聞いているか?」
「ううん、私が起きた時にはもうママは死んでいたわ。けど……」
子供を生んだ事で体力が尽きたのか。
無理をしたな。
教育はどうするつもりだ?
少なくとも、俺にはそんな時間はないな……
様々な考えが頭の中に現れは消えていく。
男は自分達自身の運命を呪いながら、電話を耳に近付けた。
「アタシが何なのか、アタシ達に何が起きているのか、何をするべきか、は知っているわ。」
「どう言う事だ?」
「アタシが起きた場所にはいっぱいのメモがあったから知識を身に付けるのには時間はかからなかったわ。」
そう言えばあいつは計算高い奴だったな。
自分の運命を熟知して、次の手を打っていたのか……
男は彼女の生への執念と、その用意周到さに感心した。
「今アタシが知らないのは貴方が何処にいるか、そして自分の名前って所ね。」
男は計算高い彼女の少し意外な欠点を見せられた気がした。
名前なんてどうでもいい物に気が向かうのか。
まあその位なら……
男は少し考えて口を開いた。
「なら俺が名前をつけてやろう。そうだな……」
サリー
……あいつの名前を捩ったような名前でいいか。
「サリナ、でどうかな?」
「いいじゃない。気に入ったわ。」
偉そうな態度だな。
男はそう思ったが口には出さなかった。
161 :
台詞回しが洋画っぽい
162 :
なるほど、そうくるか
163 = 1 :
「それではよろしく、サリナ。」
男はそう言って咳き込んだ。
「……長くはないみたいね。今、貴方は何処にいるの?」
サリナの問いに男は途切れ途切れになりつつも、一つずつ答えていった。
この行為が、自分達を救うであろう事を予期しながら。
暗闇に見えた自分達という種の未来は、僅かながら確かに光が指して来ていた。
「それじゃあ、この情報を仲間達に連絡すれば良いのね。」
男は激しく咳き込みながら、そうだ、と応えた。
「……分かったわ。そろそろ“変態”が近そうだから切るわ。」
自分の“変態”すら想定済か。
優秀な子だ。
「ああ、それと……」
?
「……アタシの名前、つけてくれてありがとう。それじゃあね。」
そう言って切れた電話を片手に男はさも意外そうな表情で立ち尽くした。
人間らしい部分が少しあるんだな。
まだ聞きたい事はあったが、それは今必要ではない。
俺のやるべき事は……
男はそう考えながら事務所の方角を見上げた。
種を救うであろう純粋種を手に入れる事だ。
保険もかけた。
決行は、明日までに……!
164 :
まんまん!
165 = 1 :
男との電話を終え、サリナは自分の名前について考え事をしながら立ち尽くしていた。
日本名だと違和感ない漢字は何かあったかな……
部屋の隅に落ちていた名刺を弄びながらそんな事を思っていると、皮膚の下で何かが動いた。
「そろそろね。」
そう呟いてサリナは壁に寄りかかった。
メモには丁度生後暫くしてから、と書かれていたから驚きはしない。
けれど……
自分の皮膚を突き破りながら伸びていく触手をぼんやりと、眺めながらサリナは考えた。
この後、アタシの姿はどうなるんだろう……?
アタシの意識は、一体……?
そんな事を考えながら彼女は眠りについた。
166 :
――同時刻――
――――
――
―
「ん……」
朝早く、とは言い難い昼近くになってまゆはベッドから身を起こした。
「よく眠れましたねぇ……」
誰に聞かれる訳でもなく呟いて時計を見る。
時計の針は10時を超えていた。
ここまでゆっくり眠る事が出来るのは体が健康的な証だ。
まゆはそう自分に言い聞かせながらベッドを降り、朝御飯を作ろうとして、食料を買っていなかった事を思い出した。
……今日は生活必需品を買う日にしましょうか
そんな呑気なまゆの思考とは裏腹に、少しずつ、だが確実に普遍的な日常は崩壊へと歩み出していた……
167 :
――数刻後――
――――
――
―
事務所には警察官が何人か集まり事情聴集をしていた。
プロデューサーは先程の不審な人物の特徴等を話していた。
「……はい、そうなんです。制服も違いましたし、警察手帳も開示しませんでした。」
警察官は難しい顔をして唸ってこう言った。
「恐らく、と言うよりほぼ間違いなく危険な人物の可能性があります。
直ぐに御宅のアイドル?を家に帰し、寮や独り暮らしの子は絶対に家から出ないように勧告して下さい。」
「分かりました。」
プロデューサーがそう応えて彼女達にどう伝えるか考えだした。
168 = 1 :
暫くしてから警察の事情聴集を終え、プロデューサーはため息をついてデスクトップを眺めた。
まだ企画も練っている途中だったんだがな……
何だか今日はついていないな。
プロデューサーはそう思いながらアイドル達に電話をかけ始めた。
169 = 1 :
数十分後、プロデューサーはアイドル達に連絡ををしていた。
と言っても事務所に不審者が現れた、とも言えないので若干不明瞭ながらも不審者が近くに出たから迎えに行く、と言う形で伝えていた。
丁度今、休憩で外に出掛けているらしい奏を最後に連絡をし終える時だ。
「……そう、分かったわ。じゃあまた後で迎えに来てね。」
「ああ、レッスン場で待っていろよ。」
「はーい。あ、それとプロデューサー?」
「ん、何だ?」
まさか何かおかしい点でもあったか?
プロデューサーはそう考えながら不安げに応えた。
「送り狼になっちゃダメよ。ふふふ……」
そう言って電話は切れた。
何時もの冗談に翻弄された、プロデューサーは顔をしかめて呟いた。
「恥ずかしいならやるなよ……」
170 :
「まあ、これで全員……じゃないな。」
肝心の新人、まゆを忘れていた事に気付き、プロデューサーは電話帳を開いた。
数回のコールの後、留守電が入り、プロデューサーはやれやれ、と首を振った。
「仕方がない。携帯にかけるか。」
そう呟いてプロデューサーは携帯を手にした。
今度は数回のコールどころかコール一回で出た。
「もしもし?」
171 :
面白い…。
でもまゆはあのシルの子供の生き残りで(純血)
他は混血のパトリックと無理やり(一部金目的)でやった腹違いの兄弟姉妹やその姪(サリナ)かな?
172 :
クロス色が強くなってきてついてけなくなってきた
173 :
なんだクロスだったのか
174 = 1 :
まゆがちゃんと電話に出た事にプロデューサーは安堵した。
「どうしましたかぁ、プロデューサーさん。」
「ちょっと困った事が起きまして……今どこにいますか?」
「困った事?……今は事務所の近くのスーパーですねぇ。」
良かった。
彼処なら人も多いし大丈夫だろう。
「それでは、お買い物が終わり次第此方へ来てください。」
「はぁい、分かりましたぁ。」
そう伝え終わるとプロデューサーは電話を切った。
これで全員か。
後は佐久間さんがここに着き次第車で拾っていくか。
プロデューサーはそう考えながらパソコンを開いた。
175 = 1 :
事務所からそう離れていない路地裏で、男は“仲間”と連絡をしつつ周囲の状況を探っていた。
……まさかバレていたとは。
これで少しやりにくくなってしまったな……
何故バレたのかはこの際置いておいて、どうやって純粋種をこの手に収めるか……
「取り敢えずまずは周囲の状況を“探る”とするか……」
男がそう呟くと、目がルビーの様な朱色に輝いた。
見た目こそ普通の人間の瞳だが性能は全く別物クラスの目を凝らし、辺りの様子を“路地裏から”視ていく。
……どうやら警察達が嗅ぎ付けているようだ。
遺体こそ処理したがやはり、気付かれてしまうのか。
だが、まだただの殺人事件として考えている様だな……
そんな事を考えながら他に何かないか、目を凝らして男は辺りを視察していった。
数分間辺りを“視て”いった後、男はもう一度事務所の方角を“視た”。
……!
丁度事務所に入ろうと歩いていく純粋種を男は見付ける事が出来た。
チャンスだ。
男は服を脱ぎ捨て、もう片方の遺伝子が織り成す姿へと変身した。
そして常人とは思えない脚力で路地裏の壁へと飛び付き、事務所への最短ルートを伝い始めた。
176 :
事情聴集じゃなくて、事情聴取じゃないか?
177 :
こまけえこたぁ
178 :
時を同じくして、まゆは事務所に早足で向かっていた。
困った事が何なのか思考を巡らせながら、ドアを開けると、少し驚いた様にプロデューサーが反応した。
「おはようございまぁす。どうしましたかぁ……?」
「いえ、近くで不審者が出た、って通報が有ったみたいでしてね、危ないので本日のお買い物等は私が付き合います。」
聞いた事のない単語が聞こえてきてまゆは困惑した。
フシンシャ?ツウホウ?一体何だろう……
解らないけど取り敢えず解ったフリをしますか。
それになんだかよく知りませんが買い物に付き合って貰えそうで何より……
「そうだったんですか……ありがとうございます。では、まゆのお買い物に付き合って貰えますかぁ?」
「はい。では車を止めてあるので一緒に行きましょう。」
プロデューサーはそう言いながらドアを開けてエスコートするようにまゆを手招きした。
179 = 1 :
プロデューサー達が事務所を立ち去った直後、入れ違うかの様に男は事務所の天井裏に辿り着いた。
……少し、遅かったか。
自分に運が向かないことを呪いながら、天井裏から板を外して男は事務所内部に潜り込んだ。
情報だけでも手に入れようと考えた男は机の上に散らかっている書類を一瞥した。
……これは当てに成らないな。
男はそう考えて次にパソコンに向かったがパスワードがかかっていて開かなかった。
舌打ちをしながら床をさりげなく見下ろした男は机に引き出しがついている事に気付いた。
迷う事無く、力任せに男は引き出しをこじ開けた。
ビンゴ!
中に入っている名刺等の書類をよく見ようと手を伸ばした瞬間だった。
本当に一瞬だったが男はどこからともなく突き刺さるような視線が自分に注がれた事を感じた。
だがその一瞬は男に生命の危機を感じさせた。
まずい。
何故かは分からないが――“敵意”を感じた。
逃げろ、と本能が叫び、男はその叫びに従った。
書類を鷲掴みにし、自分の入ってきた所に一瞬で舞い戻ろうとして男は、はた、と思い止まった。
待てよ。
この視線の主はどこから入ってくる予定――
そう考えて足を止めた瞬間、その問いに答えるかの様に鍵が回され勢いよくドアが開いた。
180 :
開け放たれたドアから背後に伝わってくる意思。
後ろを振り向かないでも男は空気を侵食するかの様に蠢く敵意を感じていた。
空気が、重い。
何だ、この威圧感は。
まるで……
まるでこの事務所その物が後ろの奴と一体化しているみたいだ……
時間にしてほんの一瞬だったが男は弱りきった体では戦えない、と判断して一回咳き込んで、力を振り絞って天井裏に潜り込もうとした。
その時、後ろの混合種が初めて口を開いた。
「私達ももう永くはないみたいね。」
たった一言。
だがその一言が男の判断を鈍らせて、行動をワンテンポ遅らせた。
その隙を逃す筈もなく、混合種は一瞬で男の首に伸びた舌を巻き付けて、締め上げた。
「かっ……」
そしてそのまま、うつ伏せに男は地面に叩きつけられた。
混合種の顔だけでも人目見ようとするが、どうしても首が回せない。
何とか外そうと、最後の力を込めて舌を掴み千切ろうと手を伸ばした瞬間。
ヒュンッ、と空を切る音と共にドスン、とくぐもった音が響いた。
「ぐっ」
伸ばされた指が、自分の体に深く突き刺さっている事を確認するのには時間がかからなかった。
がぼごぼ、と血液と体液が体の中を暴れまわる音が聞こえる。
こんな、所で……
激痛と自分の血で窒息しそうになりながら、男は薄れていく意識の中で、最後に混合種の声を聞いた。
それはこの混合種が先程言った言葉の意味でもあった。
「私の生活を崩さないでくれるかしら?私達の種の末路なんて興味がないの……おやすみなさい。」
182 :
乙かな?
どこに着地すんかなー
183 :
これはどくななをなあ!!!
184 :
途中から失速したな
185 :
……死んだわね。
“混合種”は横たわる男の遺体の心臓を指で触り、脈がない事を確認し、床に広がっていく体液を目下にしながら彼女は遺体を拾い上げて天井裏に押し込んだ。
「ふー……」
飛び散った体液を拭きながら、男が最後に掴んだ書類等を机に戻し、ため息をつく。
壊れた引き出しは無理矢理閉めて歪ませる事でロックがかかったかの様にする。
一巡の手慣れた作業で何事も無かったかの様に事務所を仕立てあげる事なんて造作もない。
彼女は最後に落ちた天井板を嵌め直して満足そうにしてドアを閉めた。
鍵が回る音がし、事務所はまた静寂に包まれた。
186 :
その夜。
遠く離れたあるアパートで異変が起きていた。
そこは一見するとただの散らかった部屋だが、一つ、散らかっている物とは明らかに違う物が壁からぶら下がっていた。
それは何処と無く、蛾の繭に極似していたが、同時に人間の女性器にも似ていた。
“繭”は蛾が羽化する時が近いかのような呼吸の様な動きを続けている。
そして呼吸の幅がだんだん早くなり、一瞬深呼吸をするかの様に膨らむと、繭は大きく痙攣をし、中の液体と共に成長を終えた成体を吐き出した。
薄い膜に被われながら、出て来た“それ”は喘ぎ声にも聞こえる、ため息に似た産声を上げた。
187 = 1 :
……永い……
……永い悪夢を見ていたみたいだわ……
頭痛がする頭をふらふらと振りながらサリナは生まれたての小鹿の様に立ち上がった。
上を見上げて自分がさっきまで入っていた繭を感慨深く眺め、処分方法を考え出した。
だが、その前に――
サリナは一糸纏わぬ姿で部屋の隅の鏡に向かった。
あどけなさが消えた顔立ち。
伸びた身長。
肉付きが良く、すらり、と伸びた四肢。
そして豊満な胸と引き締まった肉体。
神が作りし肉体美がそこにはあった。
サリナは満足げに自分の肉体を眺めると住処を捨てる準備を始めた。
189 :
おっつ
190 :
時を同じくして、まゆは寮で暇を潰すかの様にぼんやりとテレビを眺めていた。
テレビと言う物は便利ですねぇ……
こうやって座っているだけで情報が入ってきて……
何かこれからの生活に役立ちそうな情報が入ってきそうです……
そうぼんやりと考え事をしながらテレビを眺めるまゆを物陰から見ている者が居た。
191 = 1 :
……何でソファーの上で正座してにやにやしてるんだろう……?
今日の事を思い出してにやにやしているまゆを見つけた輝子は不思議に思って声をかけようとした。
「あ、あ、あの……」
192 :
後ろから聞こえてきた聞き覚えのあるか細い声。
まゆは反応するべく後ろを見た。
が、返って来たのは何かに驚いたかのような短い悲鳴だった。
「ひっ……」
目に写ったのは恐怖を顔に浮かべながら立ち尽くす輝子がいた。
まゆは何に驚いたのか不可思議に思いながら喋ろうとしてうっかり自分が“首だけ”を160°回している事に気付いた。
「そ、それ、なに……?」
どうしよう。
まゆが言い訳を考え出したその時、テレビの内容が変わった。
どうやら他のアイドルが隠し芸をしている様だ。
……隠し芸?
「……まゆの、隠し芸ですよぉ。」
誤魔化せただろうか。
不安になりながらまゆは輝子の顔色を伺った。
193 :
仲達かな?
194 :
頑張れば180度回せる人はいるそうな
女の子がやる芸じゃねーけどな!
195 :
ナポレオンズですよぉ…ニッコリ
196 = 1 :
輝子は見てはいけない物を見てしまったような気がしたが多分隠し芸なのだろう、と自分に言い聞かせた。
「……凄い隠し芸なんだな……」
「え、ええ、そうなんですよぉ。まゆは隠し芸がいっぱいあるんでこのくらいは……」
ただ……
首だけを後ろに回しながら喋られるのは怖いな……
「……首を、戻して喋らない、か……?」
「あっ……」
197 = 1 :
………
……
…
「……ところで輝子さんはなにか用があったんですかあ?」
正座している事を突っ込まれたまゆは姿勢を崩しながら輝子をソファーに座らせて話をしだした。
「う、うん……」
まさかなんで正座しているのか聞こうとしたなんてどうでもよすぎて……
どうしよう……
話の糸口が掴めない……
何て言えば……
輝子の頭の中は話の糸口を掴もうとごちゃごちゃのパニック状態になっていた。
どうしよう、を頭の中で数回程繰り返して会話の糸口を取り敢えず見付けた。
「あ、えと……いや、先日の、急にキノコを押し付けてしまって……」
「キノコ?……ああ、あれですか。」
「……いえ……本当に、突然、押し付けちゃって……」
ああ。
私はなんで、こう、
喋るのが苦手なんだあ……
「その……ご、ごめんなさい……」
まゆは予想だにしていなかった出来事に目をぱちくりさせた。
なんで謝ったんだろう。
会話の切り出しに謝罪が入って来る。
生後一年にも満たないまゆには初めての経験だった。
198 = 1 :
んあああ
んあああ
199 = 1 :
102枚全て突っ込んだのに三船さあああん……
200 :
>>199
いきなりすぎワロタ
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