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元スレ提督「クソったれなこの世界で」
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金剛(――――)
――――――――――
雪風『とにかく! 司令官を振り向かせるんです! 司令官の笑顔をゲットするんです!』
――――――――――
金剛(――――)
――――――――――
雪風『司令官のこと――好きでいること、やめてください!』
――――――――――
金剛(――結局、最後まで雪風の考えてること、わかりませんデシタ)
金剛(とってもとっても、付き合い長かったハズなのに)
金剛(私、雪風のこと……なんにも知りませんデシタ……)
金剛(…………)
金剛(……もっと、知ろうとしていれば)
金剛(雪風が孤立してた時。雪風が苦しんでた時)
金剛(私が力になってあげれば……)
金剛「雪風は……沈まなかったデース?」ウルッ
金剛「…………」ゴシゴシ
金剛「後悔してもしょうがないデース」
金剛「今はただ、確認しなくちゃいけまセーン」
金剛「雪風がなにを知ったのか」
金剛「提督がなにを隠してるのか」
金剛「二人が――なにを想っていたのか」
~執務室~
金剛「失礼するネー」ガチャ
金剛(暗い……お留守デシタか?)
提督「――誰だ」
金剛「ひゃっ!」
金剛「て、提督……いたんデース?」
提督「……俺の部屋だ、居てなにが悪い」
金剛「別に悪くはないですケド、電気くらいつけてくだサーイ。心臓に悪いデース」
提督「……るせぇ。出てけ」
金剛「で、出てけって、随分なゴアイサツデース。今電気つけマスから……」
提督「出てけってんだよ!」
金剛「ひっ……」
提督「どうせ手前ぇもおんなじなんだろうが! あいつが、あいつらが沈んだのは、俺のせいだと思ってんだろ!」
提督「ああそうさ、俺のせいだよ! 俺が非力で! 無能で! 役立たずだから!」
提督「だから手前ぇらが沈む! ははっ、どんだけ自分を鍛えたところで結果は変わりゃしねぇんだからお笑い草だわな!」
提督「全部……全部俺のせいなんだよ!」
金剛「て、提督、ちょっと落ち着くネー!」
金剛「提督が悪いわけじゃありまセーン。雪風が沈んだのは――」
金剛「…………」
金剛「……あいつ『ら』?」
提督「ああそうさ、俺のせいだよ! 俺が非力で! 無能で! 役立たずだから!」
提督「だから手前ぇらが沈む! ははっ、どんだけ自分を鍛えたところで結果は変わりゃしねぇんだからお笑い草だわな!」
提督「全部……全部俺のせいなんだよ!」
金剛「て、提督、ちょっと落ち着くネー!」
金剛「提督が悪いわけじゃありまセーン。雪風が沈んだのは――」
金剛「…………」
金剛「……あいつ『ら』?」
金剛「あ、あいつらって……提督、雪風のことを言ってるんじゃ、」
提督「夕立も!」
金剛「え?」
提督「漣も! 五十鈴も! 叢雲も神通も白雪も綾波も敷波も電も霰も不知火も荒潮も三日月も!」
提督「……雪風、も」
金剛「っ!」
提督「全員……全員、俺が殺したんだ……!」
金剛「提、督……」
金剛(……聞き覚えのある名前、何人かイマース)
金剛(みんな、昔轟沈した艦娘デース)
金剛(というコトは)
金剛(私の知らない、他の名前の艦娘も……)
金剛「提督……それって、もしかして……」
「よしてやれ」
金剛「あ、長門……」
長門「よしてやれ。これ以上今の提督にその現実は突きつけてやるな」
長門「本当に壊れてしまうぞ」
金剛「……長門は、知ってるデース?」
長門「何をだ?」
金剛「全部デース。雪風が何を知ったのかも、提督が何を隠しているのかも、それに……今の名前も」
金剛「全部、デース」
長門「そうだな。端的に言ってしまえば、知っている」
長門「というより、全て同じ話だがな」
金剛「それナラ!」
長門「教えないぞ」
金剛「っ! ……なんで、デース?」
長門「理由はふたつ」
長門「ひとつ。私が勝手に話していい話ではない」
長門「提督のプライバシーに関わる話だ。聞きたいのなら提督から直接聞け」
金剛「……もうひとつは、なんデスか?」
長門「答える前にひとつ訊きたい。知ってどうする?」
長門「確かに一概に君とも無関係だとは言い切れん。しかしそう簡単にほじくり返していい話でもない」
長門「決していい気分にはならない話だ。それでもなぜ問おうとする?」
金剛「そ、そんなの……提督の力になりたいし、」
長門「なれなかったのがあの駆逐艦だ」
金剛「…………」
金剛「……What?」
長門「この話を聞き、抱えきれなくなり、迷い苦しんだまま水底へと消えていったのが、あの駆逐艦だ」
金剛「……それって、雪風のことデース?」
長門「ああ、そうだ」
長門「彼女も提督から直々にこの話を聞いた」
長門「そして悩んだ。自分と提督との関係に。彼の在り方に。自分のこれからに」
長門「その結果が――轟沈だ」
長門「君はそうならないと断言できるのか?」
金剛「それ、は……」
長門「確か君も明日大きな作戦を控えていたはずだ」
長門「悩みは迷いを生み、迷いは遅れを生み、遅れは痛手を生む」
長門「その先に待ってるのは、彼女と同じ結末だ」
長門「悪いことは言わん。聞かないでおけ」
金剛「…………」
長門「……まぁ、想い人の悩みを憂う気持ちは、わからんでもないのだがな……」ボソッ
金剛「え?」
長門「独り言だ。さ、もう部屋へ戻れ」
金剛「あ、ちょ、押さないでくだサーイ!」
バタン
金剛「…………」
金剛「……もう、どうすればいいんデスか……」
ドンパチやってるんだから当然なんだよな
死ぬのは相手だけで自分たちは沈まないなんて驕りだよな
死ぬのは相手だけで自分たちは沈まないなんて驕りだよな
理想は戦争しないこと(戦わないことじゃない)
戦いになって被害が出ないなんてただの虐殺
それは戦争ですらない
戦いになって被害が出ないなんてただの虐殺
それは戦争ですらない
~金剛ルーム~
榛名「比叡お姉さま、ご本読んでください!」
比叡「あ、はい、ちょっと後でね……」
榛名「え……榛名は今読んでほしいです……」
霧島「榛名、わがまま言わないの」
榛名「でも……」
霧島「ほら、あっちで私とおはじきしましょう?」
榛名「うん……」
金剛「…………」
金剛(どんどん、なにかが壊れていきマース)
金剛(今まで積み重ねたものが)
金剛(砂のCastleみたいに、あっけなく崩れていくデース)
金剛(どうして、なんでショウ)
金剛(どうしてこんなことになっちゃったんでショウ)
金剛(私は、多くを望んだつもりはアリマセンでした)
金剛(ただ、提督に振り向いてもらいたい)
金剛(笑ってもらいたい)
金剛(傍にいてもらいたい)
金剛(それだけ……だったのに……)
比叡「私、時々思うんです」
金剛「え?」
比叡「あ、これ理不尽だなーっていうか、どうしようもないじゃん、っていうか」
比叡「世界ってそんなにうまくできてないんじゃないかな……っていうか。そんな感じのことを」
比叡「時々思うんです。最近は特に」
金剛「……Oh、奇遇デース。私も最近そんな目にばかりあってる気がしマース」
比叡「きっと私たちが知らないことって、思ってる以上にあるんだと思います」
比叡「それを知ってるのはごく一部の人たちだけで、私たちみたいなのは一生知ることもできなくて」
比叡「なんだかまるで、私たちだけ置いてけぼりにされてるみたい――って言うと大げさですけどね」
金剛「比叡……」
比叡「……ごめんなさい、ただの独り言と思って忘れちゃってください」
金剛「イエ……」
金剛(置いてけぼり……デスか)
――――――――――
長門『彼女も提督から直々にこの話を聞いた』
長門『そして悩んだ。自分と提督との関係に。彼の在り方に。自分のこれからに』
長門『その結果が――轟沈だ』
長門『君はそうならないと断言できるのか?』
――――――――――
金剛(あそこで、あの場面で)
金剛(迷わずにYesと答えることができれば)
金剛(覚悟を決めれば。向き合う勇気を持てば)
金剛(私も置いてけぼりにならないんデショウか?)
金剛(私も――提督と同じもの、見れるデース?)
比叡「――あぁ!」
金剛「Wow! だから比叡は急に大きな声を出さないでくだサーイ!」
比叡「ご、ごめんなさい……」
金剛「モウ……それでどうしたデース?」
比叡「いや、お姉さま……明日の作戦の資料って司令からもらってきました?」
金剛「What? なんのことデース?」
比叡「や、長門さんが秘書艦を辞めちゃって以来、作戦資料を指令からもらって艦隊のメンバーに必要事項伝達するのって
旗艦の仕事になったじゃないですか」
比叡「明日の作戦、お姉さまが旗艦ですよね? 私なんにも教えてもらってないんですけど……」
金剛「……Oh my god」
比叡「忘れてたんですね……」
金剛「仕方アリマセーン、今から提督のところに行ってもらってくるデース」
比叡「すいません、面倒な仕事押し付けてしまって」
金剛「別に比叡が申し訳なく思うことじゃアリマセーン。これも私のお仕事デース」
金剛(提督……少しは落ち着いてたらいいですケド)ハァ
金剛「バタバタしちゃってSorryネー、ちょっとまた出てきマース」ガチャ
クイクイ
金剛「……What?」
榛名「お姉さま――どこ行くんですか?」
金剛「ちょ、榛名、袖を引っ張っちゃダメデース」
霧島「こら榛名、お姉さまの邪魔をしちゃだめよ。こっちに戻ってらっしゃい」
榛名「どこに行くんですか? 金剛お姉さま」
金剛「ど、どこって、提督のところデスよ? すぐに戻ってきマース」
榛名「……やだ」
金剛「……は?」
榛名「やだ。やだ、やだやだやだやだやだやだ!」
金剛「え、は、榛名? 急にどうしマシタ?」
比叡「どどど、どうしました? なにがあったんです?」
金剛「いや、それが私にもさっぱり……」
榛名「やだやだやだぁぁぁぁぁぁあああ! うああぁぁぁぁぁぁあああん!」
金剛「Oh、Jesus……泣かないでくだサーイ、榛名」
霧島「ちょっと榛名、どうしたの? ほら、私と一緒に――」
榛名「いなくなっちゃやだあぁぁぁぁああ! みんな、榛名のこと置いてっちゃやだああぁぁぁあああ!」
榛名「ひっく……えぐ……」
榛名「もう……一人ぼっちは……やだぁ……」
霧島「落ち着きなさい、榛名。私と比叡お姉さまは一緒にいてあげるから、ね?」
比叡「そ、そうですよ榛名。一緒にお留守番してましょ?」
榛名「いやです……榛名、また置いてかれちゃいやです……ひっく」
金剛「榛名……ちょっと頭がPanicになってしまってマース……」
霧島「――金剛お姉さま、ここは私たちに任せてこっそり抜け出してください」ボソ
金剛「霧島? でも……」ボソ
霧島「なーに、心配はいりません。こう見えても私、双子の妹ですから」ボソ
金剛「……ふふ、頼もしいデース」クスッ
金剛「じゃあ、ゴメンナサイ霧島、後はお任せしマース……」コソコソ
ガチャ――パタン
金剛(ふぅ……Child榛名はワガママで大変デース)スタスタ
金剛(まぁ、普段強がってばかりの子デスからね。たまにはあれくらいだだこねてもカワイイものデース)スタスタ
金剛(最後もあんなに泣いちゃって。元気があるのは良いことデース)スタスタ
金剛(もう一人ぼっちはやだとか、また置いてかれちゃうとか)スタスタ
金剛(昔のことでも思い出したんデショウかね。これも幼児退行の影響――)スタスタ
金剛(――――)ピタ
金剛(――昔のこと?)
金剛(ほんの半年前に建造された榛名に――どんな昔があるっていうデース?)
金剛(ア、レ?)
金剛(なにかが……なにかが変ネー)
金剛(考えちゃ、気づいちゃ、いけない気がしマース)
金剛(榛名が、半年前で……え?)
金剛(霧島の建造は――いつ?)
金剛(でも二人は双子で……榛名がお姉さん?)
金剛(おかしい……おかしい、のに)
金剛(なんで誰も疑問に思わないデース……?)
ズキ……
金剛「ぁ、う……」
金剛(また……貴方デスか)
金剛(貴方は一体、誰なんデース?)
ギュ……
金剛(私の胸の奥に棲む、貴方は――)
~執務室前~
『現在立チ入リヲ禁ズ』
金剛「なんデスか、この張り紙は……」
金剛(提督の顔見て、安心したかったのに……)
ズキ……
金剛「っ!」
金剛(胸が、苦しいデス……)
金剛(どうしまショウ……資料、受け取らないといけないのに……)
金剛「……ん? コレ……」
『明日作戦ノ旗艦デアル娘ッ子ハ当文書ヲ持ッテ行クコト』
金剛(提督……わざわざ用意して置いておいてくれたデース?)
金剛(……まあ、私がこれを持っていかないと作戦が成り立たなくなってしまうから、なんでショウけど)
金剛(ちょっとダケ、嬉しいヨー……)
金剛(さあ、これ以上体調がBadになる前に部屋に戻るデース)
金剛(ん、表紙にデカデカと書いてあるのが明日の作戦名デスかね?)
金剛(なになに――)
金剛(――――)
金剛「――――え」
金剛「あ」
金剛「あ、あ、……ああぁ」
金剛「てい、とく……」
フラ……フラ……
金剛「提督……」
金剛「いや、デス……」
金剛「怖いデス……いやデス……」
金剛「提督……助け、」
提督『だからこその手前ぇなんだ……大和』
金剛(提督の、声?)
金剛(この、扉の向こうに)
金剛(提督が、提督が――)
提督『明日の手前ぇの初陣をもって――あの娘っ子はお役御免よ』
金剛「――――」
金剛(深い、深い、海の底)
金剛(心も、体も、沈む)
金剛(冷たくて、寂しくて――懐かしい)
金剛(――ああ、そういうこと、だったんデスね)
金剛(貴方は、そういうこと、だったんデスね)
~金剛ルーム~
ガチャ
金剛「…………」
比叡「あ、お姉さまお帰りなさい。もー聞いてくださいよ、あれから榛名ったら――」
金剛「比叡」
ギュッ
比叡「ひえっ……ひえええぇぇぇ!」
比叡「お、おおお、お姉さまそんな大胆な! 妹たちが見てますでも嬉しい!」
金剛「比叡……ああ、比叡」
比叡「……お姉さま?」
霧島「お姉さま、一体、」
金剛「霧島も」
ギュッ
霧島「ひゃっ……」
金剛「ゴメンナサイ……姉の私が、ふがいなかったばかりに……」
比叡「ちょ、お姉さま? なにがあったんです?」
霧島「さ、作戦の資料をもらいに行ったんじゃなかったんですか?」
金剛「ゴメンナサイ……ゴメンナサイ……!」
金剛「それに……榛名」
榛名「?」
金剛「一人ぼっちに、させちゃいましたね」
金剛「本当に……ゴメンナサイ」
ギュッ
榛名「お姉、さま……」
比叡「ど、どういうこと? 霧島」
霧島「わ、わかりません……あら?」ペラ
霧島「これ、明日の作戦の……?」
比叡「ひょっとして、これが関係してるとか?」
霧島「どうでしょう……なにか特別なこと、書いてあります?」
比叡「どれどれ……ううん、見たところただの作戦資料みたい」
霧島「ちなみになんていう作戦なんですか?」
比叡「えーっと……」
ここまで
史実はちょっと自信ないから「そういう話なんだ」で納得してもらえると助かる
多分あと二、三回で終わります
史実はちょっと自信ないから「そういう話なんだ」で納得してもらえると助かる
多分あと二、三回で終わります
>>238
よく考えろ
よく考えろ
雪風は沈みませんっ!
史実で沈まなかった艦が沈んだ
つまりレイテで沈んだ艦が沈むとは限らない
史実で沈まなかった艦が沈んだ
つまりレイテで沈んだ艦が沈むとは限らない
ザザァ――ン
比叡「うぅーん……敵棲地と予想される座標までまだしばらくありますねー」ノビー
島風「みんなおっそーい! 早くしないと置いてっちゃうよー!」
赤城「こらこら島風ちゃん、隊列を乱してはいけませんよ」
島風「だぁーってー」
暁「まったく落ち着きがないわね、島風は。そんなんじゃ一人前のレディには程遠いわ」
島風「そんなの興味ないもーん」
暁「あぁもう、うろちょろしないの! ちょっとは赤城さんを見習いなさいよ!」
暁「見てみなさい、このどっしりと構えた居住まい!」ビシッ
赤城「……空母だから、ってことですよね? 暗に食べ過ぎで肥えてて存在感が増してるとかそういうことじゃありませんよね?」ゴゴゴゴゴ…
島風「……よくわかんないけど、暁ちゃんは謝った方がいい気がする」
暁「ご、ごごご、ごめんなひゃい……」ガクブル
比叡「あはは……なんていうか、平和ですねぇお姉さま」
金剛「――――」
比叡「お姉さま?」
金剛(遠い水平線)
金剛(揺れる波の感触)
金剛(鼻をくすぐる潮風)
金剛(眩しいほどの、蒼)
金剛(全部全部、飽きるほど慣れているはずなのに)
金剛(こんなにも懐かしく感じるのは)
金剛(やっぱり、ここが――)
比叡「おねーさまっ」ペチッ
金剛「わっ……」
比叡「もう、いくらまだ戦闘がないといっても、旗艦がそんな調子じゃだめですよ」
金剛「……ゴメンナサーイ」
比叡「……なにか、悩んでるんですよね」
金剛「え?」
比叡「昨日の夜からお姉さま、様子おかしいですもん。わかりますよそりゃあ」
比叡「もう、私が何年お姉さまの妹やってると思ってるんですか」エヘヘー
金剛「…………」
金剛「何年、デスか?」
比叡「へ?」
金剛「何年、デスか? 比叡が私の妹になって、何年経ちマスか?」
比叡「何年って……そりゃ、私が建造されてからですから……」
金剛「比叡が建造されてから? つまり、『この鎮守府に着任してから』?」
比叡「そ、それ以外なにがあるっていうんですか?」
金剛「イエ……」
金剛(やっぱり、そうなんですね……)
大和「金剛さん」
金剛「……大和」
大和「思い、出したんですね」
金剛「…………」
大和「そうなのだとしたら、この作戦は金剛さんにとってつらいものになるかも知れません」
大和「だけど、恐れる必要はありません。過去は過去。今は今。歴史が繰り返されるわけではありません」
大和「今日の作戦だって『あの』レイテ沖海戦ほどの規模ではありませんし」
大和「ですから、なにも心配することは――」
金剛「そうじゃ……アリマセーン」
大和「――え?」
金剛「もちろん、それもありマース。さっきから手の震え、全然止まりまセーン」
金剛「私の中の『彼女』が、ずっとずっとCryしてマース」
金剛「でも、そうじゃナイ。そうじゃないんデース。私が、ずっと考えてること」
大和「金剛、さん?」
金剛「今まで疑問にも思いませんデシタ。自分が建造されるより前のことなんて」
金剛「だって、それこそが私たちのハジマリ」
金剛「産声を上げた瞬間だと思ってたからデース」
金剛「だけど、そうじゃなかった。――No、半分ダケ違ってマシタ」
大和「っ」
金剛「たしかに艦娘としての私たちは、建造された瞬間から存在し始めマース」
金剛「でも、『大和』や『金剛』としての存在は――そうでは、ないんですよネ?」
大和「…………」
金剛「『艦娘はかつての軍艦の魂をその身に宿した存在』」
金剛「誰から教えてもらうでもなく、艦娘なら誰でも知ってることデース」
金剛「だけど、きっとほとんどの艦娘は――私と、大和以外の艦娘は、こう解釈してるはずデース」
金剛「かつて戦場を駆け巡った軍艦たち。その乗組員たちの意志を、『魂』と表現している――と」
金剛「アハハ……そうですよネ。普通ならそう捉えますよネ」
金剛「私もずっとそう思ってマシタ」
金剛「大和――貴女に会うマデは」
大和「……ごめんなさい」
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