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元スレP「伊織か?」伊織「お兄様!?」
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新幹P「うちのアイドルはまだ駄目だぞ?」
P「そそ、そんなことしませんよっ!」
新幹Pさんは笑って茶化す。
新幹P「君ならそう言うと思ったけど、俺は彼女たちが望むなら止めないさ」
普段からやる気の無さそうな新幹Pさんは、やっぱり無気力にそう言った。
P「そうですか。でも彼女たちなら俺みたいな出来損ないより、素敵な男性を見つけられると思うんですけど」
新幹P「君のそういう価値観はわからんなぁ…」
やれやれと、考え方の差に呆れてるのだろうか。
新幹P「彼女たちが君を素敵だと言ったら君は素敵な人間なんだ。恋愛ってのは客観的な視点で見ることほど愚かなことはないよ。全部そいつの主観に委ねられるだけだ」
P「そういうものですか…」
新幹P「そういうもんだ。…俺の妻もな、印象にも残らないパッとしないようなやつだったけど、気が付いたら隣にいた」
P「…」
新幹P「かけがえのないものはすぐ近くにあるんだよな。灯台下暗しってやつか…。近過ぎて見えないことも多々あるものだ」
P「そそ、そんなことしませんよっ!」
新幹Pさんは笑って茶化す。
新幹P「君ならそう言うと思ったけど、俺は彼女たちが望むなら止めないさ」
普段からやる気の無さそうな新幹Pさんは、やっぱり無気力にそう言った。
P「そうですか。でも彼女たちなら俺みたいな出来損ないより、素敵な男性を見つけられると思うんですけど」
新幹P「君のそういう価値観はわからんなぁ…」
やれやれと、考え方の差に呆れてるのだろうか。
新幹P「彼女たちが君を素敵だと言ったら君は素敵な人間なんだ。恋愛ってのは客観的な視点で見ることほど愚かなことはないよ。全部そいつの主観に委ねられるだけだ」
P「そういうものですか…」
新幹P「そういうもんだ。…俺の妻もな、印象にも残らないパッとしないようなやつだったけど、気が付いたら隣にいた」
P「…」
新幹P「かけがえのないものはすぐ近くにあるんだよな。灯台下暗しってやつか…。近過ぎて見えないことも多々あるものだ」
P「なんだか深いですね…」
新幹P「まさか…!これが至極単純だってことがいつかわかると思うぜ?」
新幹Pさんはニッと口の端を上げる。
こういう気取った仕草が妙に似合う。気取ってはいるがキザではない。
新幹P「ははっ…!説教するつもりはないんだが、どうにも説教臭くていけないな」
P「いいえ、視野が広がって俺はためになってますよ?」
新幹P「Pくんは本当に気遣いが上手いな。未だに勘当の話を疑っちまうよ」
ほう、と感心まじりに驚く新幹Pさん。
新幹P「まあ、おっさんが話過ぎてもどうしようもないからな。今日はお互い盛り上げていこうよ」
P「はい。全力を尽くします!」
新幹P「元気があっていいね。それじゃ、また…」
P「はい。…また飲みに行きましょう」
新幹P「おう」
しばらく新幹Pさんの背中を見送る。
無気力そうな背には今まで培ってきたキャリアを感じる。
伊達に新幹少女のプロデューサーをやっていない。
俺はちょっとした憧れを抱き、千早のもとへ急ぐのだった。
新幹P「まさか…!これが至極単純だってことがいつかわかると思うぜ?」
新幹Pさんはニッと口の端を上げる。
こういう気取った仕草が妙に似合う。気取ってはいるがキザではない。
新幹P「ははっ…!説教するつもりはないんだが、どうにも説教臭くていけないな」
P「いいえ、視野が広がって俺はためになってますよ?」
新幹P「Pくんは本当に気遣いが上手いな。未だに勘当の話を疑っちまうよ」
ほう、と感心まじりに驚く新幹Pさん。
新幹P「まあ、おっさんが話過ぎてもどうしようもないからな。今日はお互い盛り上げていこうよ」
P「はい。全力を尽くします!」
新幹P「元気があっていいね。それじゃ、また…」
P「はい。…また飲みに行きましょう」
新幹P「おう」
しばらく新幹Pさんの背中を見送る。
無気力そうな背には今まで培ってきたキャリアを感じる。
伊達に新幹少女のプロデューサーをやっていない。
俺はちょっとした憧れを抱き、千早のもとへ急ぐのだった。
いったん終わります。
ご飯食べてちょっと書き溜めたらまた更新します。
ご飯食べてちょっと書き溜めたらまた更新します。
すぐに千早は見つかった。
奥で何やら話してるのは魔王エンジェルの三人だ。
普通に会話している。
千早「あ、プロデューサー」
P「悪い、待たせたな」
千早「いえ、東豪寺さんたちと話していたので時間は気になりませんでしたが…」
東豪寺?…どっかで聞いたことあるな…って当然か。
魔王エンジェルのメンバーなんだから耳にしていて不思議ではない。
俺は他のアイドルのリサーチはあんまりしない。
そういうところは勉強不足だ。
視線を千早から魔王エンジェルに移すとやはりそこには見覚えのある女の子がいた。
だから有名な彼女たちはテレビで目にしていても不思議ではないのだが、そういうのではなくて…。
奥で何やら話してるのは魔王エンジェルの三人だ。
普通に会話している。
千早「あ、プロデューサー」
P「悪い、待たせたな」
千早「いえ、東豪寺さんたちと話していたので時間は気になりませんでしたが…」
東豪寺?…どっかで聞いたことあるな…って当然か。
魔王エンジェルのメンバーなんだから耳にしていて不思議ではない。
俺は他のアイドルのリサーチはあんまりしない。
そういうところは勉強不足だ。
視線を千早から魔王エンジェルに移すとやはりそこには見覚えのある女の子がいた。
だから有名な彼女たちはテレビで目にしていても不思議ではないのだが、そういうのではなくて…。
俺は一人の女の子をまじまじと見る。
その女の子は、どうかしましたか?と可愛らしく首をかしげる。
やっぱ初対面かな?
P「…初めまして、765プロでプロデューサーを務めておりますPと申します」
気を取り直して挨拶をするが返事は意外なものだった。
麗華「初めましてじゃないわ」
P「え?」
驚く俺を見て、やれやれとため息をつく東豪寺さん。
麗華「私のこと忘れたの?伊織のお兄様」
P「どうして伊織のことを?」
ますます驚く俺にすっかり幻滅していた。
麗華「もう!いくら水瀬家の次男だからって、この東豪寺麗華を忘れるなんて許しがたいわ!」
そこまで言われてようやく思い出す。
その女の子は、どうかしましたか?と可愛らしく首をかしげる。
やっぱ初対面かな?
P「…初めまして、765プロでプロデューサーを務めておりますPと申します」
気を取り直して挨拶をするが返事は意外なものだった。
麗華「初めましてじゃないわ」
P「え?」
驚く俺を見て、やれやれとため息をつく東豪寺さん。
麗華「私のこと忘れたの?伊織のお兄様」
P「どうして伊織のことを?」
ますます驚く俺にすっかり幻滅していた。
麗華「もう!いくら水瀬家の次男だからって、この東豪寺麗華を忘れるなんて許しがたいわ!」
そこまで言われてようやく思い出す。
P「あ…あー!じゃあ東豪寺っていうと、水瀬家と家族ぐるみでお付き合いしてた…」
麗華「そうよ…。…私はあなたに会いたくてしかたなかったのに」
ぼそっと呟く麗華。
独り言だったので聞こえなかったことにした。
P「なんといいますか、申し訳ありません」
麗華「その喋り方やめていただける?」
P「いえ、ですが私はもう水瀬家とは関係ありませんので東豪寺家である麗華さんに対して無礼かと…」
麗華「あなたは最初から失礼だったと思うのだけれど…」
P「もう大人ですからね」
麗華「嫌だ。以前みたいに麗華って呼んでほしい…」
そんな顔しないでくれ。
りん「あのーお二人さん盛り上がってるところですけど私たちのこと忘れてない?」
ともみ「自己紹介、まだ」
千早「そうね。久しぶりの再会で積もる話はあると思いますけど…」
P「ああ、すまない。…お二人のお名前も教えていただけますか?」
ちょっと形式的だが改めて尋ねる。
麗華「そうよ…。…私はあなたに会いたくてしかたなかったのに」
ぼそっと呟く麗華。
独り言だったので聞こえなかったことにした。
P「なんといいますか、申し訳ありません」
麗華「その喋り方やめていただける?」
P「いえ、ですが私はもう水瀬家とは関係ありませんので東豪寺家である麗華さんに対して無礼かと…」
麗華「あなたは最初から失礼だったと思うのだけれど…」
P「もう大人ですからね」
麗華「嫌だ。以前みたいに麗華って呼んでほしい…」
そんな顔しないでくれ。
りん「あのーお二人さん盛り上がってるところですけど私たちのこと忘れてない?」
ともみ「自己紹介、まだ」
千早「そうね。久しぶりの再会で積もる話はあると思いますけど…」
P「ああ、すまない。…お二人のお名前も教えていただけますか?」
ちょっと形式的だが改めて尋ねる。
りん「はいっ!魔王エンジェルの朝比奈りんでーす!本日はよろしくお願いします!」
元気できゃぴきゃぴした女の子、やよいに似た黒髪のツインテールが特徴的で、つくっている甘い声がどうにも男ウケしそうだ。
ともみ「私は三条ともみ、よろしく」
口数が少なく短髪で、クールな雰囲気を纏い、他の子に比べ長身でスタイルもいい女の子。
P「朝比奈さんに三条さん、よろしくお願いします」
名刺を差し出す。
朝比奈さんは受け取った名刺をじっと見ていた。別に何にもおかしなところはないはずだ。
りん「Pさんって言うんですね」
朝比奈さんは邪悪な笑みを浮かべた。
ああ、この子こういう顔するんだ…。
りん「良かったじゃーん麗華!この人に会うためにアイドル始めたんでしょ?」
麗華「はぁ!?な、何言ってるの!?…そんなわけないでしょう」
りん「だってぇ、アイドルになった理由って誰かに見つけてもらうためって…言ってなかった?ね、千早!」
千早「え?ええ、確かにそう聞きましたけど…」
初対面の千早にも話したのか…。仲良いな…。
元気できゃぴきゃぴした女の子、やよいに似た黒髪のツインテールが特徴的で、つくっている甘い声がどうにも男ウケしそうだ。
ともみ「私は三条ともみ、よろしく」
口数が少なく短髪で、クールな雰囲気を纏い、他の子に比べ長身でスタイルもいい女の子。
P「朝比奈さんに三条さん、よろしくお願いします」
名刺を差し出す。
朝比奈さんは受け取った名刺をじっと見ていた。別に何にもおかしなところはないはずだ。
りん「Pさんって言うんですね」
朝比奈さんは邪悪な笑みを浮かべた。
ああ、この子こういう顔するんだ…。
りん「良かったじゃーん麗華!この人に会うためにアイドル始めたんでしょ?」
麗華「はぁ!?な、何言ってるの!?…そんなわけないでしょう」
りん「だってぇ、アイドルになった理由って誰かに見つけてもらうためって…言ってなかった?ね、千早!」
千早「え?ええ、確かにそう聞きましたけど…」
初対面の千早にも話したのか…。仲良いな…。
麗華「だからってこの人とは限らないでしょ!?」
ともみ「りんは悪趣味。けど麗華も往生際が悪い…」
りん「あはは…!確かにからかいすぎたわ。でも麗華ったら可愛いんだから!」
麗華「だから私は…!」
千早「東豪寺さんが目的の人に会えたみたいでよかった」
麗華「千早まで…。そうよ私はこの彼に会いたかったの!」
麗華は開き直ったようだ。でも直球で言われると照れるなぁ。
千早「…プロデューサーってやっぱり顔広いんですね」
P「うーん、そうかもなぁ…。この業界でも水瀬って言ったら畏まられることもあるし…」
麗華「水瀬家の権力は伊達じゃないわ。水瀬の名前はある種の呪文ね」
P「そんな恐いことされるんですか?」
麗華「暴力組合じゃあるまいし、そんなことしてないと思うわ…。ただスポンサーから抜けられると企業側は大ダメージね」
P「へえ、まあ私には関係ないですけど…」
麗華「それより何で急にいなくなっちゃったの?」
ともみ「りんは悪趣味。けど麗華も往生際が悪い…」
りん「あはは…!確かにからかいすぎたわ。でも麗華ったら可愛いんだから!」
麗華「だから私は…!」
千早「東豪寺さんが目的の人に会えたみたいでよかった」
麗華「千早まで…。そうよ私はこの彼に会いたかったの!」
麗華は開き直ったようだ。でも直球で言われると照れるなぁ。
千早「…プロデューサーってやっぱり顔広いんですね」
P「うーん、そうかもなぁ…。この業界でも水瀬って言ったら畏まられることもあるし…」
麗華「水瀬家の権力は伊達じゃないわ。水瀬の名前はある種の呪文ね」
P「そんな恐いことされるんですか?」
麗華「暴力組合じゃあるまいし、そんなことしてないと思うわ…。ただスポンサーから抜けられると企業側は大ダメージね」
P「へえ、まあ私には関係ないですけど…」
麗華「それより何で急にいなくなっちゃったの?」
P「…それは」
麗華「言いたくないならいいわ」
P「いや、言う…ますよ。麗華…さんとは古い付き合いだし…」
麗華「別に無理して丁寧に話さなくてもいいんじゃないかしら?」
なんだか敬語じゃない方が自然で、それを彼女に見破られたようだ。
確かにいつもの調子で言葉が出てしまう。
P「…追い出されたんだ」
麗華「は?」
麗華だけでなく後ろで聞いてた、朝比奈さんと三条さんまで耳を疑ってるようだ。
千早は知っているのでリアクションがあるわけでもなかった。
P「だから、追い出されたんだ」
麗華「何それ…くっだらない…。どうしてそんなことに?」
P「…態度の悪い振る舞いと、粗暴な口調に、それに成績不良で俺のことは要らないんだとさ」
りん「俺…」
ともみ「俺…」
二人は俺の一人称が気になるようだ。さっきまで外面被ってたから、驚かれるのはしかたないのか?
俺が俺って言っても何も問題ないよな…。
麗華「言いたくないならいいわ」
P「いや、言う…ますよ。麗華…さんとは古い付き合いだし…」
麗華「別に無理して丁寧に話さなくてもいいんじゃないかしら?」
なんだか敬語じゃない方が自然で、それを彼女に見破られたようだ。
確かにいつもの調子で言葉が出てしまう。
P「…追い出されたんだ」
麗華「は?」
麗華だけでなく後ろで聞いてた、朝比奈さんと三条さんまで耳を疑ってるようだ。
千早は知っているのでリアクションがあるわけでもなかった。
P「だから、追い出されたんだ」
麗華「何それ…くっだらない…。どうしてそんなことに?」
P「…態度の悪い振る舞いと、粗暴な口調に、それに成績不良で俺のことは要らないんだとさ」
りん「俺…」
ともみ「俺…」
二人は俺の一人称が気になるようだ。さっきまで外面被ってたから、驚かれるのはしかたないのか?
俺が俺って言っても何も問題ないよな…。
麗華「ふーん。あなたもあなただけど、家族も家族ね…。追い出すなんてやりすぎじゃあ…」
P「まあ名家水瀬だ。汚点は払拭しときたいんだろ」
麗華「私は汚点だなんて思わないわ。伊織もなぜ止めなかったのかしら…」
P「それは無理だ。親父の言うことは絶対。伊織はずっと親父が正しいと思ってたからな」
麗華「今は違うの?」
P「さあ…。でも心境に変化があったのは確かだ」
麗華「どういうこと?」
P「あいつの初めての抵抗が家の力を借りずに一人で働くことだからな」
麗華「へえ、あの伊織がねえ。…というより何であなた知ってるの?」
P「聞いてないのか?伊織も765プロ所属のアイドルだよ」
麗華「え!?聞いてないわ!アイドルってことも聞いてない!この前の会合のとき会ったのに…」
P「あー…。麗華がアイドルで伊織とは天と地ほどの差があるから言いたくなかったんだな…。ほら、プライドはいっちょ前にあるだろ?」
麗華「なんか納得…」
P「伊織には黙っててくれよ?」
麗華「えー?どうしよー?」
おい。なんか弱み握られたんですけど…。
P「まあ名家水瀬だ。汚点は払拭しときたいんだろ」
麗華「私は汚点だなんて思わないわ。伊織もなぜ止めなかったのかしら…」
P「それは無理だ。親父の言うことは絶対。伊織はずっと親父が正しいと思ってたからな」
麗華「今は違うの?」
P「さあ…。でも心境に変化があったのは確かだ」
麗華「どういうこと?」
P「あいつの初めての抵抗が家の力を借りずに一人で働くことだからな」
麗華「へえ、あの伊織がねえ。…というより何であなた知ってるの?」
P「聞いてないのか?伊織も765プロ所属のアイドルだよ」
麗華「え!?聞いてないわ!アイドルってことも聞いてない!この前の会合のとき会ったのに…」
P「あー…。麗華がアイドルで伊織とは天と地ほどの差があるから言いたくなかったんだな…。ほら、プライドはいっちょ前にあるだろ?」
麗華「なんか納得…」
P「伊織には黙っててくれよ?」
麗華「えー?どうしよー?」
おい。なんか弱み握られたんですけど…。
りん「麗華も大概じゃない…」
ともみ「そうは言っても麗華はたいてい裏目に出るから」
りん「あー…なんかわかる」
二人はやれやれと、麗華を見つめていた。
P「まあ言ってもいいけど…」
麗華「あら?本当にいいの?」
P「後が面倒なだけで別に…。伊織のことだからちょっと怒ってから、めいっぱい甘えてきて数十分拘束される破目になりそうだ」
麗華「絶対に言わないから安心して!」
なんだ急に手のひら返しやがって…。それなら面倒は起こらなくて済みそうだけど…。
ともみ「ほら」
りん「本当ね」
二人は可哀想な子を見る目で麗華を見つめていた。
冷や汗をかく麗華はしばらくして落ち着いたが、表情は曇っていた。
ともみ「そうは言っても麗華はたいてい裏目に出るから」
りん「あー…なんかわかる」
二人はやれやれと、麗華を見つめていた。
P「まあ言ってもいいけど…」
麗華「あら?本当にいいの?」
P「後が面倒なだけで別に…。伊織のことだからちょっと怒ってから、めいっぱい甘えてきて数十分拘束される破目になりそうだ」
麗華「絶対に言わないから安心して!」
なんだ急に手のひら返しやがって…。それなら面倒は起こらなくて済みそうだけど…。
ともみ「ほら」
りん「本当ね」
二人は可哀想な子を見る目で麗華を見つめていた。
冷や汗をかく麗華はしばらくして落ち着いたが、表情は曇っていた。
麗華「お兄様、私のところに来ればよかったのに…」
P「ああ、思い浮かばないこともなかったが名家にうんざりしてたし、なにより家族に会いたくなかった」
麗華「…そう」
麗華は曇った顔にさらに影を落としたが、水銀灯のようにじんわりと、彼女の表情は光を灯した。
千早をチラッと見ると思いつめたような顔をしている。
りん「麗華よかったじゃない!最愛の人にもう一度会えてさ!」
少しの間千早に気を取られていると朝比奈さんの茶々が入る。
麗華「だから違うって言ってるでしょ!」
ともみ「素直じゃない」
俺からしたら麗華のは敬愛であって最愛というわけではないと思うけど…。
りん「というかPさん、どこかで見たことあるよ」
ともみ「この前のバレンタインの人にそっくり…」
りん「そうだよ!それそれ!765プロからは確か穴掘りアイドルの!」
P「ああ、思い浮かばないこともなかったが名家にうんざりしてたし、なにより家族に会いたくなかった」
麗華「…そう」
麗華は曇った顔にさらに影を落としたが、水銀灯のようにじんわりと、彼女の表情は光を灯した。
千早をチラッと見ると思いつめたような顔をしている。
りん「麗華よかったじゃない!最愛の人にもう一度会えてさ!」
少しの間千早に気を取られていると朝比奈さんの茶々が入る。
麗華「だから違うって言ってるでしょ!」
ともみ「素直じゃない」
俺からしたら麗華のは敬愛であって最愛というわけではないと思うけど…。
りん「というかPさん、どこかで見たことあるよ」
ともみ「この前のバレンタインの人にそっくり…」
りん「そうだよ!それそれ!765プロからは確か穴掘りアイドルの!」
ともみ「萩原雪歩」
りん「そうそう!」
麗華「?それがどうしたの?」
りん「この人じゃない?そのイベントで新幹少女のひかりを助けた人!」
ともみ「確か765プロ関係者」
りん「ね、そうでしょPさん?」
P「ええ、多分私だと思います」
麗華「何よそれ?」
ともみ「麗華はテレビ見ないから…」
なんだかちょっとしたところでも有名になってしまったようだった。
P「それじゃあ俺たちはそろそろ行くよ。…千早?」
千早「…え?ええ。行きましょうプロデューサー。それではまた後ほど…」
りん「うん!じゃあね千早とPさん!」
ともみ「またね…」
P「朝比奈さんと三条さん、よろしくお願いします」
りん「りんでいいのに!Pさん、いつもの口調の方が私好き!」
麗華「あんた!すすすす好きって何!?」
ともみ「麗華慌てすぎ。別にそういう意味じゃない…」
P「ははは…。じゃあな麗華」
麗華「う、うん!また後で!千早も!」
千早「ええ…」
魔王エンジェルは戻り、俺たちはぽつりと残された。
りん「そうそう!」
麗華「?それがどうしたの?」
りん「この人じゃない?そのイベントで新幹少女のひかりを助けた人!」
ともみ「確か765プロ関係者」
りん「ね、そうでしょPさん?」
P「ええ、多分私だと思います」
麗華「何よそれ?」
ともみ「麗華はテレビ見ないから…」
なんだかちょっとしたところでも有名になってしまったようだった。
P「それじゃあ俺たちはそろそろ行くよ。…千早?」
千早「…え?ええ。行きましょうプロデューサー。それではまた後ほど…」
りん「うん!じゃあね千早とPさん!」
ともみ「またね…」
P「朝比奈さんと三条さん、よろしくお願いします」
りん「りんでいいのに!Pさん、いつもの口調の方が私好き!」
麗華「あんた!すすすす好きって何!?」
ともみ「麗華慌てすぎ。別にそういう意味じゃない…」
P「ははは…。じゃあな麗華」
麗華「う、うん!また後で!千早も!」
千早「ええ…」
魔王エンジェルは戻り、俺たちはぽつりと残された。
P「ちょっとステージの周りの様子を確認しに行ってくる」
千早「それなら私も行きます。ちょうど雰囲気を確かめたいと思ってました」
春の始まりが感じられるこの野外コンサートのステージ周辺。
キャパシティは優に一万を超える。
P「いきなりの大舞台だが大丈夫か?」
千早「それは問題ありません…と言えば嘘になります」
サイネリアにも自信のあるような発言をしていたが、彩音さんの言うように大きな舞台の重みはしっかりと千早の上にのしかかっていたのか。
俺は考えもなしにこの仕事を引き受けたのだが、早計だったのかもしれない。
もっと経験を積ませてからでも…。
いや、今さら遅い。
千早「今みたいに気を紛らわせていないと震えが止まりません」
P「そうだったのか…」
それは大きな舞台に立てることへの緊張や不安、昂揚感、歓喜、そういったさまざまな感情が混ざり合っているのだろう。
何にせよ千早の精神が大きく揺さぶられていることに変わりはない。
俺はなんて声をかければいい?
こんなの口で言ったってどうにもならないことはわかる。
ただ俺は黙ることしかできないのが辛い。
だから一言。
彼女が震えることなく舞台に立てる一言を言ってあげたい。
千早「それなら私も行きます。ちょうど雰囲気を確かめたいと思ってました」
春の始まりが感じられるこの野外コンサートのステージ周辺。
キャパシティは優に一万を超える。
P「いきなりの大舞台だが大丈夫か?」
千早「それは問題ありません…と言えば嘘になります」
サイネリアにも自信のあるような発言をしていたが、彩音さんの言うように大きな舞台の重みはしっかりと千早の上にのしかかっていたのか。
俺は考えもなしにこの仕事を引き受けたのだが、早計だったのかもしれない。
もっと経験を積ませてからでも…。
いや、今さら遅い。
千早「今みたいに気を紛らわせていないと震えが止まりません」
P「そうだったのか…」
それは大きな舞台に立てることへの緊張や不安、昂揚感、歓喜、そういったさまざまな感情が混ざり合っているのだろう。
何にせよ千早の精神が大きく揺さぶられていることに変わりはない。
俺はなんて声をかければいい?
こんなの口で言ったってどうにもならないことはわかる。
ただ俺は黙ることしかできないのが辛い。
だから一言。
彼女が震えることなく舞台に立てる一言を言ってあげたい。
『大丈夫だ!』
そんな無責任なこと言っていいのか?
『頑張れ!』
今さら何だ。彼女は頑張ってきただろうが。
『信じてる』
雪歩のときとは規模が違いすぎる。さらにプレッシャーを与えてどうするんだ?
千早は失敗したくないはず。
いや、してはいけないとさえ考えるに違いない。
バカだよ俺は…。
千早の気持ちも考えずに勝手に彼女を選んで…。
失敗するかもしれないという彼女自身の恐怖や不安に目を向けることをしなかった。
前向きなことばかり考えてマイナスの面は無視していたんだ。
千早「プロデューサー」
苦悩している俺に急に声をかける千早。
P「どうした?」
俺は自分の感情を隠していつもの調子で答える。
本当に苦悩してるのは俺じゃないだろ。…千早だ。
そんな無責任なこと言っていいのか?
『頑張れ!』
今さら何だ。彼女は頑張ってきただろうが。
『信じてる』
雪歩のときとは規模が違いすぎる。さらにプレッシャーを与えてどうするんだ?
千早は失敗したくないはず。
いや、してはいけないとさえ考えるに違いない。
バカだよ俺は…。
千早の気持ちも考えずに勝手に彼女を選んで…。
失敗するかもしれないという彼女自身の恐怖や不安に目を向けることをしなかった。
前向きなことばかり考えてマイナスの面は無視していたんだ。
千早「プロデューサー」
苦悩している俺に急に声をかける千早。
P「どうした?」
俺は自分の感情を隠していつもの調子で答える。
本当に苦悩してるのは俺じゃないだろ。…千早だ。
千早「側にいてくれますよね?」
その言葉はどこから出てくる…?
P「もちろん」
俺にはそれしかできないしな…。
そう言うと、千早はにこりと笑った。
千早「安心しますね。プロデューサーの前で失敗なんてできませんから」
いいのか?自分に枷を付けるようなことをしているんじゃないのか?
余計に震えが止まらなくなるんじゃないのか?
千早「プロデューサー?」
俺はその枷を緩めてやりたいと思った。
P「せっかく人前で歌えるんだしさ、楽しめよ!自分が気持ちよく歌えればそれでいいって!」
精一杯、緩めてやろうと思った。
言った瞬間、二人の間の空気が凍った。
刺すような千早の視線。
なんでそんな顔をするのか俺にはわからない。
千早「…何ですか、それ?」
P「何って…」
どういうことかますますわからない、励ましたつもりだけど…。
素直にそう言ってはいけない気がして口を噤んだ。
千早「プロデューサー、あなたが私に言ったこと…憶えてますか?」
その言葉はどこから出てくる…?
P「もちろん」
俺にはそれしかできないしな…。
そう言うと、千早はにこりと笑った。
千早「安心しますね。プロデューサーの前で失敗なんてできませんから」
いいのか?自分に枷を付けるようなことをしているんじゃないのか?
余計に震えが止まらなくなるんじゃないのか?
千早「プロデューサー?」
俺はその枷を緩めてやりたいと思った。
P「せっかく人前で歌えるんだしさ、楽しめよ!自分が気持ちよく歌えればそれでいいって!」
精一杯、緩めてやろうと思った。
言った瞬間、二人の間の空気が凍った。
刺すような千早の視線。
なんでそんな顔をするのか俺にはわからない。
千早「…何ですか、それ?」
P「何って…」
どういうことかますますわからない、励ましたつもりだけど…。
素直にそう言ってはいけない気がして口を噤んだ。
千早「プロデューサー、あなたが私に言ったこと…憶えてますか?」
P「…いつの話だ?」
千早「…もういいです。がっかりしました」
そう言葉を吐き捨てた千早は、踵を返して去っていく。
待てとも言えない。
俺は今この瞬間、彼女に言葉を投げかける資格も、彼女の手を取り呼び止める資格も失った。
動けと自分に言い聞かせても無駄だった。
ただ俺の額を、頬を、背中を、水滴がしたたり落ちていくだけだ。
千早が遠くへ行ってしまう。
動けずにただ突っ立っているだけの俺だったが、千早がやや混雑した道を人と接触して、しりもちをついたのを見て、ようやく一歩踏み出した。
P「だ、大丈夫か!?千早!」
走って千早の傍まで行き、隣にしゃがみ込む。
千早は頑としてこちらを向こうとしない。
「あの大丈夫ですか?…!?ご、ごめんなさい!」
ぶつかった人は急に慌てて謝る。どうしたんだ?
千早「大丈夫…ですから…」
声を絞り出した千早は逃げ出すように走って戻っていった。
P「お、おい!千早っ!」
「あの…」
その場に取り残されたその人は不安そうに尋ねてくる。
P「すみません。…大丈夫ですので」
俺はそう言って千早が向かった方向とは別の方向に歩き出す。
「いや、本当に大丈夫なの…?彼女さん…泣いてたけど…」
俺の耳にその言葉が届くことはなかった。
千早「…もういいです。がっかりしました」
そう言葉を吐き捨てた千早は、踵を返して去っていく。
待てとも言えない。
俺は今この瞬間、彼女に言葉を投げかける資格も、彼女の手を取り呼び止める資格も失った。
動けと自分に言い聞かせても無駄だった。
ただ俺の額を、頬を、背中を、水滴がしたたり落ちていくだけだ。
千早が遠くへ行ってしまう。
動けずにただ突っ立っているだけの俺だったが、千早がやや混雑した道を人と接触して、しりもちをついたのを見て、ようやく一歩踏み出した。
P「だ、大丈夫か!?千早!」
走って千早の傍まで行き、隣にしゃがみ込む。
千早は頑としてこちらを向こうとしない。
「あの大丈夫ですか?…!?ご、ごめんなさい!」
ぶつかった人は急に慌てて謝る。どうしたんだ?
千早「大丈夫…ですから…」
声を絞り出した千早は逃げ出すように走って戻っていった。
P「お、おい!千早っ!」
「あの…」
その場に取り残されたその人は不安そうに尋ねてくる。
P「すみません。…大丈夫ですので」
俺はそう言って千早が向かった方向とは別の方向に歩き出す。
「いや、本当に大丈夫なの…?彼女さん…泣いてたけど…」
俺の耳にその言葉が届くことはなかった。
ステージとは離れたベンチに俺は腰掛けている。
パッと見、誰もいなかったので今は完全に一人だ。
千早の言っていたことを今一度考える。
俺が以前言ったこととは…そもそもいつのことなんだ?
冷静になるといろいろなことが見えてくるもので…。
まず技術的なことじゃない。
その面でならアドバイスしてやれる。
P「それ以外か…。千早の怒りの発火点は…」
探ってみる。
『楽しめよ!自分が気持ちよく歌えばそれでいいって!』
ここ以外に思いつかない。
そうしてすぐ気付く。
P「あー!もう!何言ってんだよ俺は!!」
そうだ俺は以前、千早に自己満足で歌うことを否定した。
歌を聴く人の気持ちを考えて歌うんだと言った。
矛盾してる。
そのことに怒りを覚えたんだ。
本当に何にも知らないんだな、何にも考えてなかったんだな俺は…。
パッと見、誰もいなかったので今は完全に一人だ。
千早の言っていたことを今一度考える。
俺が以前言ったこととは…そもそもいつのことなんだ?
冷静になるといろいろなことが見えてくるもので…。
まず技術的なことじゃない。
その面でならアドバイスしてやれる。
P「それ以外か…。千早の怒りの発火点は…」
探ってみる。
『楽しめよ!自分が気持ちよく歌えばそれでいいって!』
ここ以外に思いつかない。
そうしてすぐ気付く。
P「あー!もう!何言ってんだよ俺は!!」
そうだ俺は以前、千早に自己満足で歌うことを否定した。
歌を聴く人の気持ちを考えて歌うんだと言った。
矛盾してる。
そのことに怒りを覚えたんだ。
本当に何にも知らないんだな、何にも考えてなかったんだな俺は…。
冬馬「あんた、こんなとこで何叫んでんだ?」
聞き覚えのある声におそるおそる振り向くと、そこには見知った顔。
ペットボトルを四本抱えた冬馬くん。一本はすでに量が減っていた。
P「………見てたの?」
数秒、間が空く。
すると冬馬くんが吹き出し、盛大に笑い出した。
冬馬「はっはっはっ…!!見てたの?ってそりゃ見てなくたってあんな大声出せば嫌でも見るわ!」
俺の物まねをしながら話す冬馬くんはやはり芸人気質だなと思った。
P「なんだよ…」
冬馬「いやー、あんたもそういうところあるんだなって思ってよ。驚いたまったぜ」
P「バカにしないでくれ…。いや、思い切りバカにしてくれ」
冬馬「どっちだよ!…まああんたみてーにしっかりしたプロデューサーでもああやって叫ぶんだな」
P「それこそ笑いものだよ。俺は見ての通りしっかりしてないし、いつも手探りでやっている。仕事をもらえるのも運がいいだけさ」
冬馬くんの笑いはぴたりと止んだ。
さっきまでの楽しそうな表情は失せ、初めて見せる真面目な顔に俺は肺が押しつぶされそうな感覚に陥る。
冬馬「あんた本当にどうしたんだ?」
彼はどうしたものかと頭をかく。言葉に迷っているようだ。
聞き覚えのある声におそるおそる振り向くと、そこには見知った顔。
ペットボトルを四本抱えた冬馬くん。一本はすでに量が減っていた。
P「………見てたの?」
数秒、間が空く。
すると冬馬くんが吹き出し、盛大に笑い出した。
冬馬「はっはっはっ…!!見てたの?ってそりゃ見てなくたってあんな大声出せば嫌でも見るわ!」
俺の物まねをしながら話す冬馬くんはやはり芸人気質だなと思った。
P「なんだよ…」
冬馬「いやー、あんたもそういうところあるんだなって思ってよ。驚いたまったぜ」
P「バカにしないでくれ…。いや、思い切りバカにしてくれ」
冬馬「どっちだよ!…まああんたみてーにしっかりしたプロデューサーでもああやって叫ぶんだな」
P「それこそ笑いものだよ。俺は見ての通りしっかりしてないし、いつも手探りでやっている。仕事をもらえるのも運がいいだけさ」
冬馬くんの笑いはぴたりと止んだ。
さっきまでの楽しそうな表情は失せ、初めて見せる真面目な顔に俺は肺が押しつぶされそうな感覚に陥る。
冬馬「あんた本当にどうしたんだ?」
彼はどうしたものかと頭をかく。言葉に迷っているようだ。
冬馬「何があったのかなんて全く興味ねえし、心底どうでもいいんだけどよ。今抱えてる問題が自分の能力のせいなら、まだ努力が足りねーんじゃねえのか?」
違う。努力だけじゃどうにもならない。
冬馬「どうにかなる」
P「え?」
心を読まれた?冬馬くんってエスパー?
冬馬「いや、あんた…どうにもならないって顔してたからよ」
P「そ、そうか…」
冬馬「でもどうにかなるんだよ」
断言する冬馬くん。
冬馬「いくら失敗しても何度でも立ち向かうのが努力なんじゃねえのか?…俺はそうだった。才能とか関係ねえ。俺にだって才能はねえよ。だが努力はした。そいつは俺を裏切ってない」
P「…なら人とのぶつかり合いもその努力とやらでどうにかなるのか?」
冬馬「なるだろ」
即答だった。
違う。努力だけじゃどうにもならない。
冬馬「どうにかなる」
P「え?」
心を読まれた?冬馬くんってエスパー?
冬馬「いや、あんた…どうにもならないって顔してたからよ」
P「そ、そうか…」
冬馬「でもどうにかなるんだよ」
断言する冬馬くん。
冬馬「いくら失敗しても何度でも立ち向かうのが努力なんじゃねえのか?…俺はそうだった。才能とか関係ねえ。俺にだって才能はねえよ。だが努力はした。そいつは俺を裏切ってない」
P「…なら人とのぶつかり合いもその努力とやらでどうにかなるのか?」
冬馬「なるだろ」
即答だった。
冬馬「喧嘩しても仲直りする努力をする。関係を修復したくないんだったら努力する必要はないけどよ」
P「…」
冬馬「まあ大体、今のあんたの質問で何に悩んでるのか分かっちまった。これからも一緒にやっていくなら仲直りした方がいいぜ」
人生は面白いと思った。俺は彼より長く生きてるのに年下の子から何かを教えられるなんて…。
P「…ああ、ありがとな」
冬馬「いや、あんたがしけた面してたからつい熱くなっただけだ。…あー、あと努力の方向性だけは間違えんなよ」
P「はははっ…!いつになく真面目な顔で驚いたよ」
冬馬「ばーか。俺はいつも真面目だっつの」
そういえばそうだったな。
P「あと君たちのプロデューサーもしっかりした人だと思うけど…」
冬馬「ああ、あいつは別にそんなことねえ。つまんねーミスばっかするし、この前は遅刻してくるし、気持ちの切り替えも下手だし…」
冬馬くんの口からは女Pさんの短所がスラスラと出てくる。遅刻は俺のせいでもあります。ごめんなさい。
冬馬「…けどな、それでも信用できる」
P「…そうか」
冬馬「あんたもここまでやってこれたんだ。ならみんな信用してるだろうよ」
P「…」
冬馬「まあ大体、今のあんたの質問で何に悩んでるのか分かっちまった。これからも一緒にやっていくなら仲直りした方がいいぜ」
人生は面白いと思った。俺は彼より長く生きてるのに年下の子から何かを教えられるなんて…。
P「…ああ、ありがとな」
冬馬「いや、あんたがしけた面してたからつい熱くなっただけだ。…あー、あと努力の方向性だけは間違えんなよ」
P「はははっ…!いつになく真面目な顔で驚いたよ」
冬馬「ばーか。俺はいつも真面目だっつの」
そういえばそうだったな。
P「あと君たちのプロデューサーもしっかりした人だと思うけど…」
冬馬「ああ、あいつは別にそんなことねえ。つまんねーミスばっかするし、この前は遅刻してくるし、気持ちの切り替えも下手だし…」
冬馬くんの口からは女Pさんの短所がスラスラと出てくる。遅刻は俺のせいでもあります。ごめんなさい。
冬馬「…けどな、それでも信用できる」
P「…そうか」
冬馬「あんたもここまでやってこれたんだ。ならみんな信用してるだろうよ」
P「自信ないな」
冬馬「だったら自信がつくように…」
言葉の先を俺が引き取った。
P「…努力だろ?」
冬馬「…そうだな」
彼は口の端をフッと上げ、わかってるじゃねーか、と言った。
冬馬「これやるよ。…じゃあな」
冬馬くんは持っていた未開封のペットボトルを一つ投げてよこした。
俺が慌ててキャッチしたそれは炭酸飲料だった。
パシリなのに俺にあげちゃっていいの?
P「いいのか?誰か困るんじゃ…」
冬馬「うちのプロデューサーは自称大人だから我慢してくれると思うぜ…。それでも気にするなら、あんたが後で直接買ってやってくれよ」
P「…じゃあ、遠慮なくいただくよ」
冬馬「ああ、俺はもう行くぜ」
ちょうど何か飲みたかったところだ。目の前に飲み物があることで喉の渇きが一層高まる。
ふたを開けた瞬間、炭酸飲料は勢いよくふたを押し出し砂糖水とともに俺の額をとらえた。
P「ぶはっ!!」
その瞬間、冬馬くんの笑い声が聞こえてきた。
様子を少し見てたのだろう。すでに彼は遠くにいる。
P「…冬馬くん、やっぱり芸人じゃないのか?」
明らかに確信犯だった。
冬馬「だったら自信がつくように…」
言葉の先を俺が引き取った。
P「…努力だろ?」
冬馬「…そうだな」
彼は口の端をフッと上げ、わかってるじゃねーか、と言った。
冬馬「これやるよ。…じゃあな」
冬馬くんは持っていた未開封のペットボトルを一つ投げてよこした。
俺が慌ててキャッチしたそれは炭酸飲料だった。
パシリなのに俺にあげちゃっていいの?
P「いいのか?誰か困るんじゃ…」
冬馬「うちのプロデューサーは自称大人だから我慢してくれると思うぜ…。それでも気にするなら、あんたが後で直接買ってやってくれよ」
P「…じゃあ、遠慮なくいただくよ」
冬馬「ああ、俺はもう行くぜ」
ちょうど何か飲みたかったところだ。目の前に飲み物があることで喉の渇きが一層高まる。
ふたを開けた瞬間、炭酸飲料は勢いよくふたを押し出し砂糖水とともに俺の額をとらえた。
P「ぶはっ!!」
その瞬間、冬馬くんの笑い声が聞こえてきた。
様子を少し見てたのだろう。すでに彼は遠くにいる。
P「…冬馬くん、やっぱり芸人じゃないのか?」
明らかに確信犯だった。
今日はおちまい!
これでこのお話はおそらく半分くらい消化したと思います。
気になることがあれば仰ってください。このSSに関する質問にはなるべく答えます。
感想とかあれば、ぜひ遠慮なく書き込んでください!
これでこのお話はおそらく半分くらい消化したと思います。
気になることがあれば仰ってください。このSSに関する質問にはなるべく答えます。
感想とかあれば、ぜひ遠慮なく書き込んでください!
乙です
俗用として、そういった意味になりつつあるが、確信犯の誤用が気になってしまう
俗用として、そういった意味になりつつあるが、確信犯の誤用が気になってしまう
伊織パパはわざとPを勘当したんじゃないかと思えてきた
Pは視野が狭く自分に自信がないからパパはわざと勘当して息子を外の世界へ出すことで強くなってほしかったとか
あと麗華さん千早より背高いのに胸千早以下でパッド詰めなんだ…
年齢はわからんが千早以下がいるなんて
Pは視野が狭く自分に自信がないからパパはわざと勘当して息子を外の世界へ出すことで強くなってほしかったとか
あと麗華さん千早より背高いのに胸千早以下でパッド詰めなんだ…
年齢はわからんが千早以下がいるなんて
ステージ裏では千早、他アイドル達が控えていた。
Pはまだ戻っていない。
千早「プロデューサーのばか…」
千早は椅子に座り、一人で落ち込んでいた。
刻一刻と出番が迫る中、Pを突き放すような態度をとったことに後悔してきたのだ。
彼がいなければ本来のように歌える自信がない。
千早「けどプロデューサーは私に言ったことを…」
葛藤は終わらない。
千早「私のばか…」
そんな千早のもとに女性一人と男性二人がやってくる。
女P「初めまして、ご挨拶がまだでした。961プロ所属ジュピターのプロデューサーを務めております女Pと申します。本日はよろしくお願いします」
北斗「初めまして、美しいお嬢さん。俺はジュピターの伊集院北斗。よろしく」
翔太「僕は御手洗翔太!よろしくね!本当はもう一人いるんだけど…時間が時間だからね。ところでお姉さんはなんていう名前なの?」
女P「こら、翔太。もっと丁寧にお聞きしなさい」
どうやら出演者だということを千早は認識し、立ち上がる。
Pはまだ戻っていない。
千早「プロデューサーのばか…」
千早は椅子に座り、一人で落ち込んでいた。
刻一刻と出番が迫る中、Pを突き放すような態度をとったことに後悔してきたのだ。
彼がいなければ本来のように歌える自信がない。
千早「けどプロデューサーは私に言ったことを…」
葛藤は終わらない。
千早「私のばか…」
そんな千早のもとに女性一人と男性二人がやってくる。
女P「初めまして、ご挨拶がまだでした。961プロ所属ジュピターのプロデューサーを務めております女Pと申します。本日はよろしくお願いします」
北斗「初めまして、美しいお嬢さん。俺はジュピターの伊集院北斗。よろしく」
翔太「僕は御手洗翔太!よろしくね!本当はもう一人いるんだけど…時間が時間だからね。ところでお姉さんはなんていう名前なの?」
女P「こら、翔太。もっと丁寧にお聞きしなさい」
どうやら出演者だということを千早は認識し、立ち上がる。
千早「いえ、構いません。…私は765プロダクション所属の如月千早です。よろしくお願いします」
女P「765プロ!?」
翔太「プロデューサー…その名前に反応しすぎ」
北斗「しかたないさ翔太。愛する男性のいる職場なんだからね」
女P「愛っ…!北斗!適当なこと言うな!」
北斗「はいはい」
千早「あなたもプロデューサーを?」
女P「あなたも?」
千早「いえ、実はプロデューサーに思いを寄せる人を今日だけで二人見たので…」
女P「え?二人も?」
翔太「もう自分も好きですって言っちゃってるようなもんだけど…そのリアクション」
北斗「へえ、やっぱりモテるんだPさんは…」
翔太「まあ一人は思いつくけど、もう一人は誰だろうね?」
女P「一人思いつくの!?」
女P「765プロ!?」
翔太「プロデューサー…その名前に反応しすぎ」
北斗「しかたないさ翔太。愛する男性のいる職場なんだからね」
女P「愛っ…!北斗!適当なこと言うな!」
北斗「はいはい」
千早「あなたもプロデューサーを?」
女P「あなたも?」
千早「いえ、実はプロデューサーに思いを寄せる人を今日だけで二人見たので…」
女P「え?二人も?」
翔太「もう自分も好きですって言っちゃってるようなもんだけど…そのリアクション」
北斗「へえ、やっぱりモテるんだPさんは…」
翔太「まあ一人は思いつくけど、もう一人は誰だろうね?」
女P「一人思いつくの!?」
北斗「逆になんでうちのプロデューサーは思いつかないのか不思議ですけどね…」
翔太「新幹少女のお姉さんだよ。ひかりお姉ちゃん…多分ね」
女P「えー!?新幹少女!?」
北斗「落ちたところをPさんに助けられたのが決め手だったと思うんだけど見てなかったんですか?」
女P「あ、そういえば…」
翔太「にっぶいなぁ…」
女P「うるさいわよ…」
北斗「ところでそのPさんはどこにいるんだい?」
千早「プロデューサーは…知りません」
千早は誰がどう見ても言い辛そうに口を噤む。
翔太「あー、何かあったんだ。聞かない方がいいのかな?」
千早「ええ、これは私たちの問題だもの…」
女P「そう…。でもあなたもPさんも早く仲直りすることをお勧めするわ」
千早「それは分かっているのですが、私にはプロデューサーの考えてることも、プロデューサーが何であんなこと言ったのかも分かりません」
千早はそのことが気がかりでプロデューサーに問い詰められない。
もう一度、Pが千早に何て言ったのか聞いて、憶えていないと言われたら千早は彼を許せなくなると思った。
それが何より怖かった。
今こんなに慕っているのに…。
あの言葉だけを糧にアイドルを、歌を頑張ってきたのに…。
そこから今の関係が瓦解してしまいそうでならなかった。
翔太「新幹少女のお姉さんだよ。ひかりお姉ちゃん…多分ね」
女P「えー!?新幹少女!?」
北斗「落ちたところをPさんに助けられたのが決め手だったと思うんだけど見てなかったんですか?」
女P「あ、そういえば…」
翔太「にっぶいなぁ…」
女P「うるさいわよ…」
北斗「ところでそのPさんはどこにいるんだい?」
千早「プロデューサーは…知りません」
千早は誰がどう見ても言い辛そうに口を噤む。
翔太「あー、何かあったんだ。聞かない方がいいのかな?」
千早「ええ、これは私たちの問題だもの…」
女P「そう…。でもあなたもPさんも早く仲直りすることをお勧めするわ」
千早「それは分かっているのですが、私にはプロデューサーの考えてることも、プロデューサーが何であんなこと言ったのかも分かりません」
千早はそのことが気がかりでプロデューサーに問い詰められない。
もう一度、Pが千早に何て言ったのか聞いて、憶えていないと言われたら千早は彼を許せなくなると思った。
それが何より怖かった。
今こんなに慕っているのに…。
あの言葉だけを糧にアイドルを、歌を頑張ってきたのに…。
そこから今の関係が瓦解してしまいそうでならなかった。
北斗「やっぱ一悶着あったのは確かなのか…」
冬馬「おい。あんたら飲み物買ってきたぞ」
ちょうど冬馬が戻る。
翔太「わーい!ご苦労様、冬馬くん!」
ナチュラルに翔太が上からものを言う。
冬馬は少しむっとしたが大して気にも留めずに流した。
北斗「サンキュー冬馬」
女P「あれ、私のは?」
冬馬「765プロのプロデューサーにあげた」
冬馬は悪びれもせず答える。
女Pは何とも言えなくなった。
冬馬「ん、そっちは?」
北斗「ああ、彼女は765プロの…」
千早は立ったまま一礼する。
千早「初めまして、765プロダクション所属の如月千早です。よろしくお願いします」
テンプレートをすらすらと口に出す。
冬馬「おい。あんたら飲み物買ってきたぞ」
ちょうど冬馬が戻る。
翔太「わーい!ご苦労様、冬馬くん!」
ナチュラルに翔太が上からものを言う。
冬馬は少しむっとしたが大して気にも留めずに流した。
北斗「サンキュー冬馬」
女P「あれ、私のは?」
冬馬「765プロのプロデューサーにあげた」
冬馬は悪びれもせず答える。
女Pは何とも言えなくなった。
冬馬「ん、そっちは?」
北斗「ああ、彼女は765プロの…」
千早は立ったまま一礼する。
千早「初めまして、765プロダクション所属の如月千早です。よろしくお願いします」
テンプレートをすらすらと口に出す。
冬馬「ああ、こっちこそよろしく頼む。俺はジュピターの天ケ瀬冬馬だ」
冬馬は視線をさまよわせながら少し考える様子を見せるが、しばらくして千早に向き直る。
冬馬「そういや、あんたんとこのプロデューサーに会ったぜ」
千早はぴくりと反応する。
冬馬「なんかなぁ、落ち込んでたみたいだけどよ。あいつはあんたのことを第一に思ってるみたいだ」
千早「…それで?」
冬馬「なんだ、冷めてんのな…。まあ、自分を責めてたって話だ。あいつはちょっと考えすぎる部分もあるみたいだし…」
千早「…」
千早は腹立たしかった。
プロデューサーはアイドルが、千早たちが生きがいだと言っていたのに信じ切れなかったことが悔しかった。
千早「愚かなのは私…」
女P「如月さん…あまり自分を責めることは…Pさんにとって一番辛いことだから…」
涙が急に込み上げる。
こういう感情が昂ったとき、千早は決まってロケットを握りしめる。
いつもは家に置いてあり、今日の大きな舞台への不安から持ってきたのだが…。
しかし無い。
首に着けておらず、いつでも取り出せるようにポケットに入れていたはずだ。
961プロの面々は、急に慌ててポケットやカバンの中を探る千早につい疑問符が浮かぶ。
冬馬は視線をさまよわせながら少し考える様子を見せるが、しばらくして千早に向き直る。
冬馬「そういや、あんたんとこのプロデューサーに会ったぜ」
千早はぴくりと反応する。
冬馬「なんかなぁ、落ち込んでたみたいだけどよ。あいつはあんたのことを第一に思ってるみたいだ」
千早「…それで?」
冬馬「なんだ、冷めてんのな…。まあ、自分を責めてたって話だ。あいつはちょっと考えすぎる部分もあるみたいだし…」
千早「…」
千早は腹立たしかった。
プロデューサーはアイドルが、千早たちが生きがいだと言っていたのに信じ切れなかったことが悔しかった。
千早「愚かなのは私…」
女P「如月さん…あまり自分を責めることは…Pさんにとって一番辛いことだから…」
涙が急に込み上げる。
こういう感情が昂ったとき、千早は決まってロケットを握りしめる。
いつもは家に置いてあり、今日の大きな舞台への不安から持ってきたのだが…。
しかし無い。
首に着けておらず、いつでも取り出せるようにポケットに入れていたはずだ。
961プロの面々は、急に慌ててポケットやカバンの中を探る千早につい疑問符が浮かぶ。
翔太「どうしたの?急に慌てて忘れ物?」
千早「無いの!…私が大切にしているロケットつきのペンダントがないの!!」
周辺のアイドル達も千早の異常な動揺に奇異の視線を向ける。
気になって動いたのは新幹少女のひかり、そして魔王エンジェルの麗華だ。
961プロの四人とひかり、麗華は事情を聞く。
ひかり「どっかで落としたのかしら…」
麗華「それ以外ないでしょう」
冬馬「大事なものなんだろ?探しに行かなきゃダメだろ!」
口々に言うが公園内は人でほとんど埋め尽くされている。
そして無情にも…。
スタッフ「では本番間もなくですので、簡単に打ち合わせを行います!」
ライブ開始まで15分しかなかった。
千早「無いの!…私が大切にしているロケットつきのペンダントがないの!!」
周辺のアイドル達も千早の異常な動揺に奇異の視線を向ける。
気になって動いたのは新幹少女のひかり、そして魔王エンジェルの麗華だ。
961プロの四人とひかり、麗華は事情を聞く。
ひかり「どっかで落としたのかしら…」
麗華「それ以外ないでしょう」
冬馬「大事なものなんだろ?探しに行かなきゃダメだろ!」
口々に言うが公園内は人でほとんど埋め尽くされている。
そして無情にも…。
スタッフ「では本番間もなくですので、簡単に打ち合わせを行います!」
ライブ開始まで15分しかなかった。
俺は冬馬くんのせいで、べたべたする顔を洗う。
ハンカチで拭きながらステージの方まで戻る。
時計を見ればそろそろ打ち合わせが始まるところだ。
P「やばいな」
俺は急いで戻ってきた。
「では本番間もなくですので、簡単に打ち合わせを行います!」
危ない。ぎりぎり間に合った。
P「千早はどこだ?」
辺りを見回し、すぐに見つかる。
961プロ、ひかりちゃん、麗華に囲まれてるからわかりやすかった。
P「…なあ千早」
意を決して話しかけた。
千早「プロデューサー!」
今にも泣きそうな顔で駆け寄ってくる千早。
P「うおっ!…どうした?怒ってたんじゃあ」
千早はそれどころでは無いようで、いつまでもうろたえている。
女P「あなたたちは打ち合わせに…私から事情を説明するわ」
女Pさんが一歩前に出てアイドル達をまとめる。
アイドル達は不承不承集まっている方へ向かった。
ハンカチで拭きながらステージの方まで戻る。
時計を見ればそろそろ打ち合わせが始まるところだ。
P「やばいな」
俺は急いで戻ってきた。
「では本番間もなくですので、簡単に打ち合わせを行います!」
危ない。ぎりぎり間に合った。
P「千早はどこだ?」
辺りを見回し、すぐに見つかる。
961プロ、ひかりちゃん、麗華に囲まれてるからわかりやすかった。
P「…なあ千早」
意を決して話しかけた。
千早「プロデューサー!」
今にも泣きそうな顔で駆け寄ってくる千早。
P「うおっ!…どうした?怒ってたんじゃあ」
千早はそれどころでは無いようで、いつまでもうろたえている。
女P「あなたたちは打ち合わせに…私から事情を説明するわ」
女Pさんが一歩前に出てアイドル達をまとめる。
アイドル達は不承不承集まっている方へ向かった。
P「千早も行くんだ」
千早「…でも」
P「俺が必ず何とかする。お前は歌うんだ。…ファンのために歌うんだ」
千早はハッとして、ついに涙を流す。
千早「プロデューサー…憶えて…」
P「さ、早く」
目を腕でごしごしこすって千早も向かった。
P「女Pさん、それで…」
女P「はい。どうやら彼女の大事なロケットがついてるペンダントを落としたみたいなの…」
P「ロケット付のペンダント?…初めて聞きましたよ」
女P「そうなの?」
知ってると思ったのか、少し驚く女Pさんだったが気を取り直す。
女P「それで、彼女、今日の舞台で緊張をほぐすためにそれを持ってきたらしいんですけど…」
そこまで言われて俺は察する。
P「無くしたんですね」
女P「ええ、ポケットに入れてたみたいですけど…」
俺はすぐに思いついた。
ポケットからこぼれるなんてなかなか無いと思うが、もしあるとすれば千早が倒れたあの時だ。
P「俺、探してきますので女Pさんは千早のことよろしくお願いします」
女P「待って!それなら私も…」
P「ダメだ!…これ以上あなたを俺たちの面倒に巻き込むわけにはいかない。それにジュピターはどうするんですか?」
千早「…でも」
P「俺が必ず何とかする。お前は歌うんだ。…ファンのために歌うんだ」
千早はハッとして、ついに涙を流す。
千早「プロデューサー…憶えて…」
P「さ、早く」
目を腕でごしごしこすって千早も向かった。
P「女Pさん、それで…」
女P「はい。どうやら彼女の大事なロケットがついてるペンダントを落としたみたいなの…」
P「ロケット付のペンダント?…初めて聞きましたよ」
女P「そうなの?」
知ってると思ったのか、少し驚く女Pさんだったが気を取り直す。
女P「それで、彼女、今日の舞台で緊張をほぐすためにそれを持ってきたらしいんですけど…」
そこまで言われて俺は察する。
P「無くしたんですね」
女P「ええ、ポケットに入れてたみたいですけど…」
俺はすぐに思いついた。
ポケットからこぼれるなんてなかなか無いと思うが、もしあるとすれば千早が倒れたあの時だ。
P「俺、探してきますので女Pさんは千早のことよろしくお願いします」
女P「待って!それなら私も…」
P「ダメだ!…これ以上あなたを俺たちの面倒に巻き込むわけにはいかない。それにジュピターはどうするんですか?」
女Pさんは自分の軽率な行動に戸惑い、恨めしそうに俯く。
P「それに千早を任せられるのもあなたしかいない…。申し訳ありませんが任せてもいいでしょうか…?」
俺はお願いする立場にいるんだ。女Pさんに改めて頼む。
女P「…あなたのお役に立てるなら、喜んで引き受けます」
もの悲しそうだが芯の通った声に俺は安心する。
そうして千早がぶつかった場所に走って向かう。
打ち合わせも終わり、もうオンステージ間近だ。
千早はさっきと同じ調子で俯いていて、何度も何度も目をこすっていた。
女P「ダメよ如月さん。そんなにこすっては目が腫れてしまうわ。これを使って軽く拭いて…」
女Pはポケットティッシュを千早に渡した。
千早の鼻をすする音に周りのアイドル達が心配して見守る。
新幹P「どうしたんだ?さっきもなにか騒がしかったようだが…」
女P「新幹Pさん…。実は…」
女Pは新幹Pに事情を話す。
P「それに千早を任せられるのもあなたしかいない…。申し訳ありませんが任せてもいいでしょうか…?」
俺はお願いする立場にいるんだ。女Pさんに改めて頼む。
女P「…あなたのお役に立てるなら、喜んで引き受けます」
もの悲しそうだが芯の通った声に俺は安心する。
そうして千早がぶつかった場所に走って向かう。
打ち合わせも終わり、もうオンステージ間近だ。
千早はさっきと同じ調子で俯いていて、何度も何度も目をこすっていた。
女P「ダメよ如月さん。そんなにこすっては目が腫れてしまうわ。これを使って軽く拭いて…」
女Pはポケットティッシュを千早に渡した。
千早の鼻をすする音に周りのアイドル達が心配して見守る。
新幹P「どうしたんだ?さっきもなにか騒がしかったようだが…」
女P「新幹Pさん…。実は…」
女Pは新幹Pに事情を話す。
新幹P「ああ、それでPくんはいないわけか…」
新幹Pはしばらく考えると新幹少女を招集した。
つばめ「なぁに?プロデューサー」
新幹P「新幹少女がトップバッターなのはいいよな」
のぞみ「ええ、ここに来る前からそのつもりだけど…」
新幹P「お前らのトーク、長引かせられないか?できればファンが聞き飽きる手前まで…」
ひかり「…なるほど、やってみるわ」
つばめ「私たちのとっておきの話すれば飽きないわよ」
のぞみ「つばめ、それにも限りがあるでしょ…。まあできるところまで引っ張ってみるわ」
新幹P「おう。頼んだ」
「それでは新幹少女の皆さんスタンバイしてくださーい!」
今回参加は16組のアイドル達。
千早の順番は4番目。
新幹Pはしばらく考えると新幹少女を招集した。
つばめ「なぁに?プロデューサー」
新幹P「新幹少女がトップバッターなのはいいよな」
のぞみ「ええ、ここに来る前からそのつもりだけど…」
新幹P「お前らのトーク、長引かせられないか?できればファンが聞き飽きる手前まで…」
ひかり「…なるほど、やってみるわ」
つばめ「私たちのとっておきの話すれば飽きないわよ」
のぞみ「つばめ、それにも限りがあるでしょ…。まあできるところまで引っ張ってみるわ」
新幹P「おう。頼んだ」
「それでは新幹少女の皆さんスタンバイしてくださーい!」
今回参加は16組のアイドル達。
千早の順番は4番目。
『3月頭の大イベント!アイドルによる雛祭りアイドルフェスティバルが今年もやってきました!…』
俺はスピーカーから大音量で流れる司会の開会の言葉を聞きながら目的の現場にたどり着いた。
千早の出番は早めだ。
すぐに探し出さなければ…!
もうすべてを投げ捨て、スーツ姿にもかかわらず四つん這いになってペンダントを探す。
この人ごみだ。邪魔になっているが構いやしない。
周りの人が何か言っているが関係ない。
俺は一心不乱に短い雑草をかき分ける。
辺りも徐々に暗くなっていく。
P「どこだ…ペンダント…」
どの辺にあるのか曖昧ではあったがここら辺だというのは間違いないと思う。
道行く人に蹴られる。
邪魔だと罵られる。
だがやめない。探すことをやめない。
ひかり『みなさんこんばんはー!新幹少女でーす!!』
ライブはさっそく始まったようだ。
俺はスピーカーから大音量で流れる司会の開会の言葉を聞きながら目的の現場にたどり着いた。
千早の出番は早めだ。
すぐに探し出さなければ…!
もうすべてを投げ捨て、スーツ姿にもかかわらず四つん這いになってペンダントを探す。
この人ごみだ。邪魔になっているが構いやしない。
周りの人が何か言っているが関係ない。
俺は一心不乱に短い雑草をかき分ける。
辺りも徐々に暗くなっていく。
P「どこだ…ペンダント…」
どの辺にあるのか曖昧ではあったがここら辺だというのは間違いないと思う。
道行く人に蹴られる。
邪魔だと罵られる。
だがやめない。探すことをやめない。
ひかり『みなさんこんばんはー!新幹少女でーす!!』
ライブはさっそく始まったようだ。
女P「大丈夫。Pさんはきっと見つけてくるわ。あなたがやるべきことを考えましょう?」
千早「…ダメ、あのロケットがなきゃ私…。それにプロデューサーも傍にいない…。私はきっと歌えない」
千早はこれまでにないほどの負の感情を吐露する。
女Pには手に余るほどの千早の不安が彼女にも緊張を与える。
そこで見兼ねたのは冬馬だった。
冬馬「うじうじしたってしょうがねーだろ。それより如月、今お前にできることはしっかりとこのライブで成功を収めることだろうが」
北斗「冬馬、その言い方はどうかと思うぞ」
翔太「北斗くんの言う通りだけど、冬馬くんの言うことももっともだよ」
冬馬「その大事なロケットやらもない、プロデューサーもいない、だから私は失敗します…じゃねーんだよ。失敗しないための努力をしろよ」
翔太「出たー。冬馬くんの努力論」
北斗「ま、冬馬らしいな」
冬馬「うっせ。…まだやれることと言ったらライブを無難に終えることくらいしかないぜ」
しかし千早は彼を睨み据える。
千早「あなたに何がわかるの…?」
凍てつくような声音に空気が固まる。
冬馬「何にもわかるわけねーだろ」
だが冬馬はいっさい怯まなかった。
冬馬「あんたのそれは一人よがりだ。あんたのプロデューサーは誰のために歌えって言ったんだ?」
千早は黙った。いや言い返すことができない。
彼女は喉の奥に込み上げる熱いものに気道が塞がれる思いをした。
女P「冬馬、黙りなさい」
そう一言、女Pが言うと冬馬はつまらなそうに離れる。
だが女Pも信じることしかできないのだった。
千早「…ダメ、あのロケットがなきゃ私…。それにプロデューサーも傍にいない…。私はきっと歌えない」
千早はこれまでにないほどの負の感情を吐露する。
女Pには手に余るほどの千早の不安が彼女にも緊張を与える。
そこで見兼ねたのは冬馬だった。
冬馬「うじうじしたってしょうがねーだろ。それより如月、今お前にできることはしっかりとこのライブで成功を収めることだろうが」
北斗「冬馬、その言い方はどうかと思うぞ」
翔太「北斗くんの言う通りだけど、冬馬くんの言うことももっともだよ」
冬馬「その大事なロケットやらもない、プロデューサーもいない、だから私は失敗します…じゃねーんだよ。失敗しないための努力をしろよ」
翔太「出たー。冬馬くんの努力論」
北斗「ま、冬馬らしいな」
冬馬「うっせ。…まだやれることと言ったらライブを無難に終えることくらいしかないぜ」
しかし千早は彼を睨み据える。
千早「あなたに何がわかるの…?」
凍てつくような声音に空気が固まる。
冬馬「何にもわかるわけねーだろ」
だが冬馬はいっさい怯まなかった。
冬馬「あんたのそれは一人よがりだ。あんたのプロデューサーは誰のために歌えって言ったんだ?」
千早は黙った。いや言い返すことができない。
彼女は喉の奥に込み上げる熱いものに気道が塞がれる思いをした。
女P「冬馬、黙りなさい」
そう一言、女Pが言うと冬馬はつまらなそうに離れる。
だが女Pも信じることしかできないのだった。
きっと来ると信じていたが、ついにPはやってこなかった。
千早の顔は絶望に染まる。
「如月千早さん!スタンバイお願いします!」
女P「まだよ。あきらめないで如月さん。トークで場を繋ぐのよ…」
千早は話を聞いてるのか聞いてないのかわからないまま、とぼとぼとステージの方へ向かっていく。
ジュピターの三人も彼女の疲弊した表情を見ていたが、さすがに声をかけられなかった。
『それでは今回初めての出場となる765プロダクションの如月千早さんです!どうぞ!』
前のアイドルが退場して早くも呼ばれる。
ファンの人たちも心配になるような顔で登場する千早。
気力がほとんど抜けている千早は客席を見渡し、絶望の中さらに緊張と不安が一気に襲い掛かるのを感じた。
足の震えが止まらなかった。
千早『…あ、あの、は、はじ、初めまして…。765プロ…ダクション所属の、如月千早…です』
マイクを通した声は震えている。視界は滲んでいる。
上手くいってない自分が恥ずかしい。悔しい。みんなに申し訳ない。
いろんな気持ちがごちゃごちゃになってもう止まらなかった。
涙よりも先に流れてくる鼻水をすする。
黙ってしまって数秒、さらに鼻をすする音も聞こえれば客席もざわめき始める。
千早は嗚咽を漏らして泣きそうになってしまった。
P「頑張れ千早ーーー!!!!」
千早の顔は絶望に染まる。
「如月千早さん!スタンバイお願いします!」
女P「まだよ。あきらめないで如月さん。トークで場を繋ぐのよ…」
千早は話を聞いてるのか聞いてないのかわからないまま、とぼとぼとステージの方へ向かっていく。
ジュピターの三人も彼女の疲弊した表情を見ていたが、さすがに声をかけられなかった。
『それでは今回初めての出場となる765プロダクションの如月千早さんです!どうぞ!』
前のアイドルが退場して早くも呼ばれる。
ファンの人たちも心配になるような顔で登場する千早。
気力がほとんど抜けている千早は客席を見渡し、絶望の中さらに緊張と不安が一気に襲い掛かるのを感じた。
足の震えが止まらなかった。
千早『…あ、あの、は、はじ、初めまして…。765プロ…ダクション所属の、如月千早…です』
マイクを通した声は震えている。視界は滲んでいる。
上手くいってない自分が恥ずかしい。悔しい。みんなに申し訳ない。
いろんな気持ちがごちゃごちゃになってもう止まらなかった。
涙よりも先に流れてくる鼻水をすする。
黙ってしまって数秒、さらに鼻をすする音も聞こえれば客席もざわめき始める。
千早は嗚咽を漏らして泣きそうになってしまった。
P「頑張れ千早ーーー!!!!」
俺は警備員に関係者であることを示し、すぐに前の席まで走っていく。
真ん中は埋まっているので、脇の方の誰もいないところを走ってきた。
そして、千早が落としたであろうペンダントを振りかざしながら叫んだ。
P「頑張れ千早ーーーー!!!!」
静かになった客席に響き渡る俺の声、自分でも驚くほどの声量なのだが気にする余裕もない。
P「千早の歌を聴かせてくれー!!!」
傍から見ればかなり痛いコアなファン。
現に周りの人は引き気味だ。
そんなことはどうだっていい。
P「落ち着け千早!落ち着いて深呼吸だ!!」
千早はさっきの気力の無い表情から光を取り戻した。
そして俺の言ったとおりに深呼吸する。
よかった。俺の声は届いてるみたいだ。
さっきまでの弱弱しい表情はもうない。
客席で見ているお前ら、よーく見とけ、これが如月千早だとその目に焼き付けておけ!
さあ、仕切り直しだ。
真ん中は埋まっているので、脇の方の誰もいないところを走ってきた。
そして、千早が落としたであろうペンダントを振りかざしながら叫んだ。
P「頑張れ千早ーーーー!!!!」
静かになった客席に響き渡る俺の声、自分でも驚くほどの声量なのだが気にする余裕もない。
P「千早の歌を聴かせてくれー!!!」
傍から見ればかなり痛いコアなファン。
現に周りの人は引き気味だ。
そんなことはどうだっていい。
P「落ち着け千早!落ち着いて深呼吸だ!!」
千早はさっきの気力の無い表情から光を取り戻した。
そして俺の言ったとおりに深呼吸する。
よかった。俺の声は届いてるみたいだ。
さっきまでの弱弱しい表情はもうない。
客席で見ているお前ら、よーく見とけ、これが如月千早だとその目に焼き付けておけ!
さあ、仕切り直しだ。
千早『お見苦しいところをお見せしてすいませんでした。改めて、765プロダクション所属の如月千早です』
さっきとはうってかわって、堂々とした態度。
女P「ああ、本当によかった。信じてました…Pさん」
冬馬「これで俺たちも飛ばしていけるってもんだぜ!」
北斗「そうだな冬馬、可愛らしいエンジェルちゃんが苦しんだままじゃ俺も十分に楽しめないからね」
翔太「ふう。お兄さん、冷や冷やさせてくれるね…」
麗華「よかったわね、千早…。お兄様は本当に女の子泣かせね」
千早『実は今日が初めてのステージで、とても緊張してました。さっき声が出なかったのもそのせいですけど…』
千早は俺の方をちらっと見ると、全体に向けてにこりと笑った。
千早『ファンの方が応援してくださったおかげで緊張もほぐれました。今は皆さんに歌で感動を届けたい気持ちでいっぱいです』
最後に、よろしくお願いします、と一言の後、伴奏が流れ始める。
『蒼い鳥』
千早の二つ目の曲。つまり新曲だ。
目立ってはないので知る由もないだろうが、この新曲は今初めて、発表されたことになる。
会場にいる人はサイリウムを振るうのも忘れて、ただ千早の歌に圧倒されていた。
そして曲が終わる。
余韻を十分に味わい、拍手喝采。
『…如月千早さん、ありがとうございました!!初ステージとは思えない圧巻のステージでした!!…今回披露した曲は本人二枚目のシングルに収録されているそうです。一週間後に一部店舗で販売するそうです。ぜひお買い求めを!』
司会の宣伝も入り、千早の初ライブは終了した。
さっきとはうってかわって、堂々とした態度。
女P「ああ、本当によかった。信じてました…Pさん」
冬馬「これで俺たちも飛ばしていけるってもんだぜ!」
北斗「そうだな冬馬、可愛らしいエンジェルちゃんが苦しんだままじゃ俺も十分に楽しめないからね」
翔太「ふう。お兄さん、冷や冷やさせてくれるね…」
麗華「よかったわね、千早…。お兄様は本当に女の子泣かせね」
千早『実は今日が初めてのステージで、とても緊張してました。さっき声が出なかったのもそのせいですけど…』
千早は俺の方をちらっと見ると、全体に向けてにこりと笑った。
千早『ファンの方が応援してくださったおかげで緊張もほぐれました。今は皆さんに歌で感動を届けたい気持ちでいっぱいです』
最後に、よろしくお願いします、と一言の後、伴奏が流れ始める。
『蒼い鳥』
千早の二つ目の曲。つまり新曲だ。
目立ってはないので知る由もないだろうが、この新曲は今初めて、発表されたことになる。
会場にいる人はサイリウムを振るうのも忘れて、ただ千早の歌に圧倒されていた。
そして曲が終わる。
余韻を十分に味わい、拍手喝采。
『…如月千早さん、ありがとうございました!!初ステージとは思えない圧巻のステージでした!!…今回披露した曲は本人二枚目のシングルに収録されているそうです。一週間後に一部店舗で販売するそうです。ぜひお買い求めを!』
司会の宣伝も入り、千早の初ライブは終了した。
その後、サイネリアやジュピター、取りに魔王エンジェルとこの辺はやはり盛り上がりが違った。
うちとの人気の差を実感させられる。
もっとも、一番盛り上がったのは最後の出演アイドル全員での合唱だった。
こうしておよそ2時間に及ぶ雛祭りアイドルフェスティバルは全行程を終了。
裏ステージで千早を待つ。
ところどころでお疲れ様と労いをかけ合う。
千早「プロデューサー!!」
千早は俺を見るなり胸に飛び込んできた。
千早「本当に…ありがとうございます!!」
泣いている。
P「千早、これ…」
俺はロケット付のペンダントを手渡した。
千早「プロデューサー、こんなに泥だらけで…。…手も」
と千早が俺の手に触れた瞬間、手に激痛を感じる。
P「ぐ…」
苦痛に顔が歪むが必死で隠そうとする。
千早「プロデューサー?」
P「何でもないよ…それよりみんなに挨拶してきたらどうだ?」
千早「はい。行ってきます」
そう言って千早は切り替え、出演したアイドルやスタッフのもとへ向かう。
うちとの人気の差を実感させられる。
もっとも、一番盛り上がったのは最後の出演アイドル全員での合唱だった。
こうしておよそ2時間に及ぶ雛祭りアイドルフェスティバルは全行程を終了。
裏ステージで千早を待つ。
ところどころでお疲れ様と労いをかけ合う。
千早「プロデューサー!!」
千早は俺を見るなり胸に飛び込んできた。
千早「本当に…ありがとうございます!!」
泣いている。
P「千早、これ…」
俺はロケット付のペンダントを手渡した。
千早「プロデューサー、こんなに泥だらけで…。…手も」
と千早が俺の手に触れた瞬間、手に激痛を感じる。
P「ぐ…」
苦痛に顔が歪むが必死で隠そうとする。
千早「プロデューサー?」
P「何でもないよ…それよりみんなに挨拶してきたらどうだ?」
千早「はい。行ってきます」
そう言って千早は切り替え、出演したアイドルやスタッフのもとへ向かう。
入れ替わりでやってきたのは女Pさん、ひかりちゃん、麗華の三人だった。
ばったり鉢合わせた三人はお互い顔を見合わせ、会釈している。
陰で、魔王エンジェルと新幹少女それぞれの残りメンバーが見守っていた。
女P「Pさん…信じてました。絶対見つけて帰ってくるって…」
麗華「まったく冷や冷やしたわよ…。そんなボロボロになって…」
ひかり「Pさん、手痛めてますよね…」
ひかりちゃんがそう言うと他の二人は、何だって?と言わんばかりにひかりちゃんを見つめた。
よくわかったな、なんて言いたいはずもなく、俺は強がることにした。
P「そんなことないよ。ちょっと汚れちゃったから怪我してるようにも見えるけど…」
俺は手をぷらぷらと振り、大丈夫なことをアピールした。やっぱ痛い。
ひかり「嘘はいけません。今、痛いって顔しました」
よく表情を見る子だ。素直に感心した。
ひかりちゃんは俺の右手をきゅっと握る。
女P「あ…」
麗華「あ…」
二人とも、何だその反応は…。
ばったり鉢合わせた三人はお互い顔を見合わせ、会釈している。
陰で、魔王エンジェルと新幹少女それぞれの残りメンバーが見守っていた。
女P「Pさん…信じてました。絶対見つけて帰ってくるって…」
麗華「まったく冷や冷やしたわよ…。そんなボロボロになって…」
ひかり「Pさん、手痛めてますよね…」
ひかりちゃんがそう言うと他の二人は、何だって?と言わんばかりにひかりちゃんを見つめた。
よくわかったな、なんて言いたいはずもなく、俺は強がることにした。
P「そんなことないよ。ちょっと汚れちゃったから怪我してるようにも見えるけど…」
俺は手をぷらぷらと振り、大丈夫なことをアピールした。やっぱ痛い。
ひかり「嘘はいけません。今、痛いって顔しました」
よく表情を見る子だ。素直に感心した。
ひかりちゃんは俺の右手をきゅっと握る。
女P「あ…」
麗華「あ…」
二人とも、何だその反応は…。
P「…つっ!」
ひかり「やっぱり…」
P「おおげさだなぁ!たんなる突き指だよ…多分」
麗華「ちょっと見せて」
麗華が割って入るとひかりちゃんは残念そうに俯いた。
麗華「これはどう?」
そういう麗華は俺の右手を伸ばしたり握ったりしている。
俺はやせ我慢しようと思ったが無理だった。
痛みに表情が歪んでいるのが自分でもよくわかる。
しかし無理にでも笑顔を作って麗華をチラッと見る。
彼女の表情はうっとりしていた。
麗華「ね、どう?」
うわあ、こいつ生粋のドSに違いない。
P「俺が悪かった。痛いからやめてくれ麗華…」
麗華はやめてくれたが、その顔は俺を見てうっとりしたままだった。
女P「…気づかなくてごめんなさい」
P「あー、むしろ気づいてほしくなかったですから…。あはは…」
女P「でもなんでそんな怪我を?」
そのことは全員気になるようで、俺に注目している。
ひかり「やっぱり…」
P「おおげさだなぁ!たんなる突き指だよ…多分」
麗華「ちょっと見せて」
麗華が割って入るとひかりちゃんは残念そうに俯いた。
麗華「これはどう?」
そういう麗華は俺の右手を伸ばしたり握ったりしている。
俺はやせ我慢しようと思ったが無理だった。
痛みに表情が歪んでいるのが自分でもよくわかる。
しかし無理にでも笑顔を作って麗華をチラッと見る。
彼女の表情はうっとりしていた。
麗華「ね、どう?」
うわあ、こいつ生粋のドSに違いない。
P「俺が悪かった。痛いからやめてくれ麗華…」
麗華はやめてくれたが、その顔は俺を見てうっとりしたままだった。
女P「…気づかなくてごめんなさい」
P「あー、むしろ気づいてほしくなかったですから…。あはは…」
女P「でもなんでそんな怪我を?」
そのことは全員気になるようで、俺に注目している。
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