私的良スレ書庫
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元スレいろは「せーんぱいっ」八幡「」
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一色から助け舟が出される。
ありがとう一色!
だがそれは由比ヶ浜には焼け石に水、いや火に油を注いでしまった様で目がキッと一色を捕らえる。
結衣「なんで2人して庇いあってるの?」
いろは「い、いえ、そういうわけではぁ…」
一色はその由比ヶ浜の眼光に射竦められ、再びしゅんと下を向く。
もう由比ヶ浜の顔は笑っていない。そのまま下に俯くと由比ヶ浜はゆっくりと口を動かす。
結衣「…もう2人は、付き合ってるの……?」
とても小さくて今にも消えてしまいそうな声が確かに教室中にこだました。
先ほどまで視線を下げていた雪ノ下もゆっくりと顔を上げて、俺と一色を見やる。
一色も顔を上げる。その目には少しの涙が溜まっていて彼女の口を微妙にわななかせていた。
由比ヶ浜は下を向いたまま動かなかった。先ほどまでの彼女とはうって変わり、その型はとても小さい。
いろは「まだ、貰ってないんです、返事。」
言葉と同時に一滴の涙が一色の頬を伝った。
>>1はSだから焦らしてんだよ気づけよビクンビクン
こればかりは俺の中にわずかに残る良心がひどく痛んだ。
彼女は、一色いろはは、今日、いったいどんな気持ちでここに足を踏み入れたのだろう?
どんな想いで俺と顔を合わせたのだろう?
どんな思惑で俺の横に座っているのだろう?
どんな感情で俺と雪ノ下と由比ヶ浜の言葉を聞いていたのだろう?
彼女は今、どんな顔をしている?
そうだ、泣いているんだ。
俺は何も考えていなかった…。いつも通りの接し方の横で涙を流す少女の事を置き去りにして雪ノ下と由比ヶ浜から目を背ける方法しか考えていなかった。
ホント、自分が嫌になるな…。
いろんな建前を設けて、人の想いから逃げて、人の想いを引き裂く。
残酷なのは誰だ?葉山か?世間か?世界か?違う。
葉山が残酷なのは自分に近付いて来る者に対してのみだ。
世間が残酷なのは大衆に対してだ。
世界が残酷なのはこの世界全てに対してだ。
だがここは違う。
この空間で、彼女に、彼女たちに、最も残酷なのは他でもない、俺だ………。
俺をまっすぐ見つめる雪ノ下が、俯いている由比ヶ浜が、一色の涙が、それを完璧なまでに証明していた。
雪乃「どういう事かしら?」
八幡「それは……」
雪ノ下の視線に射竦められ思わず言葉をなくしてしまった。
ここで、ここでもしこの奉仕部のお前たちの事を思って、なんて言ったらこいつらはどんな気持ちになるだろう?
俺が答が出せないのを自分たちのせいにされて良い気分でいられる奴なんていないだろう。
俺が言葉を考えあぐねていると、一色が涙を袖で拭い取り口をはさんだ。
いろは「それは、雪ノ下先輩と結衣先輩の事を思ってです」
言っちゃったよ、この娘。
案じた通り雪ノ下の眉根がピクッと動く。
雪乃「私たちの事を思って?それこそどういうことかしら?まさか私たちを体の良い理由に使ったという事かしら?それならまことに遺憾なのだけれど」
いろは「それは違います」
雪乃「何が違うというの?比企谷くん、あなた私たちを厄介者として思っていたのね?」
いろは「違いますよ!先輩はそんなことーーー」
雪乃「一色さん、あなたに聞いていないわ。私は今、比企谷くんに聞いているのよ。さぁ、どうなの?」
雪ノ下はジリッと俺を睨んだ。
…………あぁ、こんな時に俺はなんてことを考えているのだろうか…。
今、雪ノ下の言葉を聞いて、一瞬にしてパズルが解けたかの様な感覚に陥った。
そうか。これが、答だったんだ……
涙目で俺を見上げる一色。
俺に言い逃れをさせない様な鋭い視線を向けてくる雪ノ下。
先ほどから黙ったままの由比ヶ浜。
なんて酷い状況だ。
俺はこんな空間が欲しかったんじゃないんだ。それだけは、唯一にして絶対の、俺の本物の想いだ。
今の俺にこんな現状を変える事が出来るか?答えはYesだ。
それが俺が彼女たちに向ける答だ。
嫌になるなぁホント。
こんな酷い状況で、こんな酷い事を一瞬で思いついちまうなんて。
でも見えちまった。
現状を変える術シナリオが。
ならそれに従うしかない。
だって俺はーーーーーーーーー
八幡「……その通りだ」
ーーーーーこんなやり方しか、知らない。
ご飯食べてお風呂入って犬とゴロゴロしてくるので再開は21時くらいになるかもしれません。
また今日も寝落ちしてしまったらすいません。寝落ちしなくても0時には寝ますが…本当にすいません。
また今日も寝落ちしてしまったらすいません。寝落ちしなくても0時には寝ますが…本当にすいません。
異能バトルは日常系の中で面白いよな
略称が無いから呼びにくいけど
略称が無いから呼びにくいけど
まだ犬とゴロゴロしてるのかうらやまけしからん(さっさと書けたろう)
>>164
能常中でいいんじゃね?
能常中でいいんじゃね?
いろは「ちょっ、先輩?!」
一色が驚愕して俺を見てくるし、雪ノ下はギロッと睨めつけてくるが今はそんなの気にしてられない。
八幡「ようやくこれを言える時が来たわ。すまんな一色。実はもう俺、昨日のうちに答出てたんだ」
いろは「……え?」
八幡「お前が明日奉仕部で4人で話し合いましょう、って言った時からだいたいな。確実に答が出たのはその後の帰り道だった」
雪乃「あなた、何を……?」
先ほどまでと打って変わり雪ノ下も動揺し始めた。はぁ、と大きく溜め息を吐いて俺は続ける。
八幡「わからねえのかよ雪ノ下。言わなくても分かり合える、そんな関係を望んだのはお前だろ?」
雪乃「そ、それは…」
八幡「はぁ、だからさ 何を?って、さっきお前が言ったじゃねえかよ。使わせてもらったんだよ、お前らを理由に。一色を確実にフってやる体の良い理由にな」
本編と>>1の温度差に草不可避
雪乃「あなたは、あなたはまたそうやって……」
八幡「また?何のことだ雪ノ下?あぁ、なるほど。また俺の勝手な自己犠牲がどうたらこうたらと言いたいのか。それは違うぞ」
雪乃「……何が違うというのかしら?」
八幡「それだとまるで俺が何かを守るために悪者になっているように聞こえる」
雪乃「…違うと言うの?あなたは今、ここで悪者になることで現状を変えようとしている、そういう風に見えるのだけれど」
八幡「違うな。それは俺が一色をフリたくない時に成り立つものだ。なら俺が一色の事を本気で迷惑に思っていて今後一切関わらない様にフりたかったらどうだ?全てが逆になるだろ」
雪乃「そ、それは…。でも現にあなたは今まで………」
八幡「あぁそうだ。それは認める。自己犠牲だなんて思わないが、俺は今まで問題を解消するためなら何だってやってきた。自分が汚れ役になることだって厭わなかったのは事実だ」
これぞ必殺、自分の非をあえて認める事でその後の話に説得力を持たせる!だ。
長ぇな……。
八幡「でも今回は違う。本気で一色の事を迷惑だと思ってたんだ。ここ毎日買い物には付き合わされるし、昨日は告白してきてフったら大泣き、バカみたいに食い下がって別にどうでもいい話を延々と聞かされ、家に着いたのは23時過ぎだぞ?たまったもんじゃねーよ。俺は自分の時間を奪われるのが嫌いなんだよ」
異能バトルは日常系のなかで、は原作かコミカライズを読みましょう
一色の方をちらりと見ると今にも泣きそうなのをグッと堪えている様に見える。
俺は昨日からコイツを泣かせてばかりだな。
八幡「だからお前らを使わせてもらったんだ。でも良いだろ?だって俺たちは、そんな事で壊れない様な本物になれたんだから」
雪ノ下の目にみるみる内に力がこもる。
だが俺はその目から視線を逸らさない。
俺の本気さを伝えるために。
雪乃「あなたの言う通り、私も目には見えずとも確かに感じる強い関係になれたと思っていたわ。けれどそれは私の傲慢だったようね。あなたが望んだものがこんなものだったなんて思いもしなかったわ。そんな関係ならお断りよ」
雪ノ下が言い終えると俺はたっぷりと間をとった。
八幡「………そうかよ。ならもう終わりだな。…………帰るわ」
俺は机の上のかばんを手に取り帰ろうとする。
これで終わりだ。雪ノ下も由比ヶ浜も一色も、こんだけ言った俺を軽蔑するだろう。俺は晴れて悪人になったわけだ。
手に入れた本物を手放してでも、俺は、こいつらだけは守りたかった。
席を立つと一色を一瞥する。
八幡「つーわけでお前への答はNoだ。今後一切、俺に話しかけてくるな」
そして歩き出してからドアの手前で止まる。
八幡「じゃあな。もうここにも来ねぇわ。お前ら2人とは本物のkーーー」
俺が言い終える前に1人が席を立ち俺の前まで歩いてくる。
由比ヶ浜だ。
その瞳は潤んでいるがキッと俺を睨みつける。
パシンッ!!
教室中に音が響き渡った。
雪ノ下も一色も驚いてその光景を見ていた。かくいう俺も驚いて由比ヶ浜を見る。
叩かれた左頬はジンジンと痛い。
先ほどまでの目つきとは変わり、由比ヶ浜はニコリと微笑んだ。その笑顔は今日の怖い笑顔ではなく太陽のように朗らかで眩しい。
結衣「だめだよ、本物本物って、そんなに言ったら。ヒッキーがあの時言った本物は、そんな気安く言っていい様なものじゃないよ。だからこれはその罰だよ」
俺がただ呆然と立ち尽くしていると今度は雪ノ下のもとまで歩いていく。
パシンッ!
俺よりは優しくではあるが、それでも雪ノ下の顔をぶつ由比ヶ浜。雪ノ下はぶたれた頬を手で押さえ完全に混乱している。
雪乃「ゆ、由比ヶ浜さん、え?これは、えっと…え?」
結衣「これはヒッキーの言ってる事が本心じゃないって分かってるくせにヒッキーの案にわざと乗るゆきのんへの罰」
そして今度は一色のところへ。
見上げる一色の頬を同じ様に叩く由比ヶ浜。
結衣「いろはちゃんへのは女としての嫉妬。だからいろはちゃんもアタシの事叩いて」
少し逡巡していた一色だが由比ヶ浜の頬をぶった。
…………何がどうなってる?
この状況はなんだ?
由比ヶ浜は叩かれた後俺の方へくるりと振り返る。
結衣「えへへ、やっぱ痛いね。ごめんねヒッキー、ゆきのん、いろはちゃん。でもアタシ、これがヒッキーがあの時言った本物だと思うんだ」
由比ヶ浜の目にはとても強くて温かな力が入っている。その瞳から目を離せない。
静まりかえっている教室に由比ヶ浜の声が澄み渡る。
結衣「あたし、今日、冷静じゃなかった。今朝小町ちゃんからメール来て、ヒッキー昨日夜帰ってくるの遅かったって、そんなヒッキーから大事な話がある、って書いてあったから、ずっとモヤモヤしてた。朝からヒッキー、彩ちゃんやサキサキに話しかれられたらいつも通りなのに、アタシが話しかけるとめっちゃキョドってるし…。ここ来て話聞いたらいろはちゃんが告白したって言うし」
みるみるうちに由比ヶ浜の目に涙が溜まり次第に頬を伝う。
だが彼女は話をやめない。彼女の瞳の中に灯る温かな火を涙は消せないようだ。
結衣「酷いよヒッキー。夏祭りの時はアタシの言葉聞いてくれなかったのに。そりゃアタシは冷静じゃいられないよ。ヒッキーにちゃんと聞いて欲しかった、伝えたかった想いがあったんだもん」
でもね、と彼女は続ける。
結衣「それでも嬉しかった。ヒッキーがいろはちゃんにまだ返事してないって聞いて、アタシ達の事をちゃんと考えてくれてるって思って、嬉しかった。だって絶対その言葉に嘘なんてないもんっ。ヒッキーがアタシとゆきのんの事を本当に大切にしてくれてるのアタシが、アタシ達が、一番よく分かってるもん!ヒッキーからもらった本物、ずっと感じてるもんっ!」
由比ヶ浜の言葉になぜか俺の視界がゆらぐ。目から出そうになる俺の想いを必死に堪える。
結衣「アタシだって、ゆきのんだって、またヒッキーが一人で抱え込もうとしてるって分かっちゃうんだよ。だってアタシ達とヒッキーは、もう、繋がってるんだよ?それはいろはちゃんだって同じだよ。ヒッキーが、本当のヒッキーが、どんな人かって分かってるから、きっといろはちゃんはヒッキーの事好きになったんだよ」
目を閉じる由比ヶ浜。
その顔は何よりも綺麗で、儚くて、温かい。
そのまま由比ヶ浜はだから、と続けた。
結衣「応えてあげてヒッキー。いろはちゃんの言葉を聞いて、本当の想いに、本当の想いで応えてあげて。それが、それが今回の奉仕部からの、解答だよっ」
ニッコリと笑顔を向ける由比ヶ浜。
チラリと雪ノ下を見ると、雪ノ下の目も濡れており、コクリと首を縦に振った。
そうか、俺はもう繋がってたんだ。
こいつらと。
他愛のない会話をして、由比ヶ浜の持ってきたお菓子を食べながら雪ノ下のいれる紅茶を飲んで、時にぶつかりあって、間違えて、でもそこから更に強く繋がれる。
なんだかんだ言って、実際は気付けてなかった。
俺たちはもう、本物だ。
何とかインスピレーション湧いたとこまで書けました。
これから友達と遊びに行くので次書くのはしばらく後になると思います、すいません。
これから友達と遊びに行くので次書くのはしばらく後になると思います、すいません。
そう言うと由比ヶ浜は自分の席へと戻っていった。席に着くと再び由比ヶ浜は俺に温かな眼差しを向けてくる。
結衣「ヒッキー、ヒッキーがどんな答を出したって、それが本心ならアタシたちは変わらないよ。これからもずっと一緒にいられるよっ」
由比ヶ浜が喋り終えると雪ノ下も目に溜まった涙を指で払い、俺に温かな笑みを向ける。
雪乃「まことに遺憾ではあるけれど由比ヶ浜さんの言う通りよ。私たちはあなたのせいで切っても切れない関係になってしまったのだから」
八幡「…………あぁ」
2人に背中を押してもらって俺はようやく決心がついた。俺が守りたかったモノに、俺は守られていたんだ…。
2人の言葉をしっかりと胸に刻み込んでから、一色へと向き直る。
八幡「一色、さっきはすまなかった。その、お前さえよければーーー」
いろは「良いに決まってるじゃないですか。昨日も言いましたけど、何を言われたって私は先輩が好きなんですっ」
>>412
確かに思いやり予算はちょっと問題だと思う
確かに思いやり予算はちょっと問題だと思う
>>1
すみません。書くスレ間違えました
すみません。書くスレ間違えました
予測変換でsagaになってしまった…ごめんなさい
2分ROMります
2分ROMります
一色の言葉に由比ヶ浜はうわー、うわーと顔を手で覆い赤面している。
おい、さっきまでのお前と変わり過ぎだろ!つか、お前がこの状況作ったんだろうが。そういうのされると本人達は余計に恥ずかしくなるんだからやめてくれよマジで…。
一色も由比ヶ浜の反応に耳の先まで真っ赤に染めている。
八幡「そ、そうか…。でもお前には昨日から酷いこと言って何度も泣かせちまってるし……」
俺の言葉に一色が目をパチクリさせる。
顔はまだ紅い。
いろは「いえ、私がさっき泣いてしまったのは先輩に酷い事言われたからじゃないですよ」
八幡「………えっ?」
いろは「私が先ほど泣いてしまったのは、そのぉ、……………自分で泣いた理由言うのはこれまた恥ずかしいですね……。もう先輩のご想像にお任せします」
八幡「お、おぅ」
いろは「………それで先輩、先輩の本当の答はなんですか?もう答は出てますか?」
八幡「それは、その……」
答…………わかんねぇのが本当だ。
いや、ほら一色は可愛いぜ?
確かに猫被ってるが俺の前ではそれがバレてるの承知で接してくるし、腹黒そうに見えて実は純情な乙女だって事はあの葉山に告った時からわかってたし。
そもそも妹っぽいし。小町には法的に手を出せないがそれを一色に出来rーーーおっと、これはこれ以上考えるのは止めておこう。
それはおいておいても一色と付き合う事にデメリットがあるとは思えない。
そもそも一色といる時間は普通に面白いし、なんか和むし…。
だが、それが好き、という感情なのかが分からん。
ん?アレ?好きってなんだ?
俺が思考スパイラルに陥っていると由比ヶ浜が口を開く。
結衣「ヒッキーはいろはちゃんの事、嫌いなの?」
その聞き方はかなりセコい気がする。
例え俺が一色を嫌いでもさすがに嫌いだ、と答えられるわけがなかろう。
自信を持ってそこで嫌いだ、と言えるのは材木座相手くらいだろう。
八幡「………嫌いでは、ない」
結衣「でも少しくらいは意識してるよね?」
八幡「す、少しくらいは、な……」
俺の返答に一色がキラリと目を輝かせる。いや、この話の流れは完全に不可抗力だから、だからそんな期待してる様な顔するな。
結衣「つまりヒッキーは自分の中の気持ちがいろはちゃんをラブな方で好きかどうかが分からないってことだよね?」
八幡「……あぁ」
この辺はさすが由比ヶ浜である。相手の気持ちを読み取るのが上手い。だがその解決法が見つからない様で、それからうーんとか唸って思案し始める。
一色も俺の答が出るのをモジモジしながら待っていた。
そんな時である。
雪乃「交際してみてはどうかしら?」
先ほどまで顎に指をたて、思案していた雪ノ下が口を開いた。
は?何言ってんのこいつ?
>>193
そう言って頂けるとこちらも嬉しいです。ありがとうございます。
そう言って頂けるとこちらも嬉しいです。ありがとうございます。
結衣「それだっ!」
八幡「それだじゃねーよ。俺は一色を好きかどうか分かんねぇんだぞ」
結衣「だからこそだよっ!それにヒッキーが分からないのはいろはちゃんを好きか嫌いかじゃなくて、好きがどういうものかって事でしょ?」
雪乃「そうね、まぁいずれにせよここで早急に答を出すのは今までの議論を無駄にしかねないわ」
八幡「そ、それはそうかもしれんが…。
だけどそんな俺と付き合っても一色が辛いだけじゃねぇか」
雪乃「それはあなたではなく一色さんが決める事だわ」
そう言って雪ノ下は一色へと視線を動かす。俺と由比ヶ浜もそれに続く。
いろは「つまり私が先輩と擬似交際をして先輩を振り向かせれば良いという事ですか?」
雪乃「そういうことになるわね」
一色はふむぅ…と少し考え込む。
だが答が出るまでに大した時間はかからなかった。
いろは「それでいきましょうっ!」
八幡「それで良いのか?それでもし俺がお前をフったらどうすんだよ」
いろは「その時はその時ですっ!でも今はまだどうなるか分かりませんよねっ。だからせーんぱいっ、よろしくお願いしますっ」
これで本当に良いのだろうか?
だけど俺には今はどうすることもできない。それに自分の気持ちを知る良い機会だとも言える。なにより一色がそうしようと言っているのだ。俺はそれを拒むわけにはいかない。
よって俺は首肯した。
雪乃「そうと決まれば今日はここで終わりにしましょう」
八幡「つってもまだ少し時間あるぞ?」
結衣「早速目の前でイチャつかれても困るし、今日はここまでにしとこうよっ」
八幡「いやイチャつかねぇし、そもそも本当に付き合ってるわけではーーー」
雪乃「部長が終わりと言ったら終わりよ。私は鍵を閉めていくから先に出てもらえるかしら?」
結衣「あたしも鍵閉め手伝うよゆきのんっ」
冬なので窓は開いていない。
だから二人掛かりで閉める必要なんてないだろ、と言おうとしたがやめた。
八幡「………わかった。じゃあまた明日な。ほれ行くぞ一色。」
いろは「へ?あ、はい。ってちょっと待って下さいよーせんぱーい」
一色がパタパタと後ろを付いてくる。
そしてそのまま奉仕部を後にした。
きっと彼女たちは2人で閉めるのだ。
俺の人生も周りの空間や人も俺の主観のみで決まる。だから彼女たちがこれから何の窓を閉めるのか俺には分からないし、知る権利もない。ただそれは2人で閉める窓なのだ。
だから心の中でそっと呟こう。
ありがとう、そして、ごめん………と。
由比ヶ浜に叩かれた頬はずっと温かった。
奉仕部を出てから玄関で靴を履き替え自転車置き場から自転車を取り帰路につく。最終下校まではまだ時間があるので校門付近に人の影はほとんどなかった。校門の外で待っていると一色がやってくる。
八幡「今日は買い物、良いのか?」
いろは「はい。ていうか本当に毎日買いたい物があるとでも思ってたんですか?」
八幡「は?」
どういう意味だ?じゃあ今までのは何だったんのだろうか。
一色は はぁ、と大きな溜め息を吐いて続ける。
いろは「これだから先輩は困ったものですね。いくら女子高生でも毎日の様に買い物には行きませんよー。お金だってかかりますしー、面倒ですしー」
八幡「つまり?」
いろは「………なるべく先輩と一緒に居たくて、毎日少しずつ買って日を稼いでたんです」
八幡「ふーん」
いろは「ちょっ!その反応酷くないですかーっ?!」
俺の腕を横からポカポカ叩いてくる。
うっわー、あざとーい。
でも実際ドキッとしてしまった。
やめろよ、素で女子にそんな事言われた事ねぇから全く耐性ねぇんだよ。
いろは「なので先輩、今日はここまでで良いです。何だか昨日今日と色々あり過ぎて、ちょっと頭ついてきてないので今日は1人で帰って頭の中整理したいと思いますっ」
八幡「………そうか、なら気をつけてな」
はいっ、と返事をすると一色はスタスタと歩いていった。正直1人で帰らせるのは不安ではあるが、ここは彼女の意見を尊重すべきだろう。
遠くから一色が手を振ってくる。俺も少しだけ手を挙げてそれに応えると踵を返して自宅へと進路をとった。
帰り道、冬の寒さは自転車に乗ると一層強く感じる。コート、手袋、マフラーと装着しているが、無防備の耳を吹き抜ける風がもはや痛く感じられる。
一色の言う様に俺も頭の中はまだ混乱している。
だがなぜか心の中はクリアだった。
そこには暖かくて心強い何かだけがある気がする。
今日の由比ヶ浜の言葉が何度も混乱している頭の中で唯一鮮明に反芻していた。
冷えた風が目に入ると涙が出てくる。
止まらなかった。誰もいない路地を風に吹かれて涙を流しながら帰った。
風のせいで出てくる涙が何度も何度も俺の身体を温めてくれた。
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