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    元スレ八幡「お前の21歳の誕生日、祝ってやるよ」雪乃「……ありがとう」

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    851 :

    おとなしく待てないのかおまえらは

    852 :

    待てないみたいっす

    853 :

    読み返してみたら、>>9で雪乃が「……そうね」って溜めてるのがすごい気になる

    854 :

    糞レスで埋めんな

    855 = 853 :

    いまvipでパワプロSS書いてるみたいだよ

    857 :

    待ってます

    858 :



    「いや……そんな、いいって」


    戸惑いながらも彼女を宥めてはみるが、哀しそうな表情は変わらない。


    「俺が知らなかったのが悪いんだしさ、お前は気落とすなって」

    せっかくの楽しい場なんだからさ、つっても二人でワイン開けただけだけど。


    「大体、あんなので言い過ぎとか、高校時代の俺が聞いたらハテナ浮かべるぜ?」

    八幡(17)『え、あの、ちょっすんません、どこに言い過ぎた部分あったっけな??』ってな。



    「……………………」


    冗談めかしく言ってはみたが、雪ノ下の表情は感傷に浸食され翳りつづけたままだ。



    859 = 1 :



    これほど物憂げな気持ちでいる彼女を見たことがない。


    そんな姿を目にして、次第に俺までついには絶句してしまった。

    コミュ症だからどうとかではない。


    もう、なんと声をかけたらいいのかわからなくなった。



    喩えるなら氷像。


    いくら声をかけようとも返事が来ることのない、冷え冷えとした飾りだ。


    そうして氷像の冷気が空間中を支配したかのように、俺らのいる場も凍てついてしまった。




    そう解った瞬間、とっくに俺の心の内は寒くなっていた。


    860 = 1 :



    しかし俺がこんな気持ちでいるというならば、一方の彼女の心は過冷霧に覆われていることだろう。


    まるで、ひと度触れば低温火傷を負ってしまいそうな。



    たった二言三言の放言をしてしまったことを後になり過敏に気付いては省み、そして憾む。


    どうしてそんな……。




    「…………でも」


    しばらくして最初に沈黙を破ったのは雪ノ下だった。


    口を開いてくれてよかった。





    しかし、その助詞だけで俺を苛立たせるのには十分だった。



    861 = 1 :



    「でも……あなたに、ショック与えてしまって……」


    「でもじゃねぇよっ!!」



    俺の喚き声が響くと、彼女は肩をブルッと震わせてこっちを見つめてくる。


    雪ノ下がなおも否定的なことを言いかけたところで、痺れを切らした俺はそれに反発した。


    そっと口にしたつもりだったのに、どうも抑えが効かず声を荒げてしまった。



    「でも、じゃ……ねぇんだって……」

    それでも腹の虫が治まらず、喉元から掠れるような声で同じ言葉を反覆してしまう。




    だって、俺はコイツとこんな諍いを繰り広げたくてワインを買ったんじゃない。


    862 = 1 :



    和気あいあいとまでは言わないが、平穏な心地の良い雰囲気のなかで共にグラスを傾ける。


    それで飲みながら昔のような突っ付きあいをしつつも、いまの親い関係だからこそできる睦み合いをちょこっと挟みたいな、って……。



    欲張ってなく、むしろ謙虚だと思う。

    肩の力を抜いて休息を摂るように、ただ彼女と寄り添ってさえいれれば良い。


    2年前の高3、奉仕部の終焉を間近に迫った短い期間。


    俺にとって唯一、あの部室が居心地の良い空間だと思えた瞬間。


    何度繰り返したか分からない、しつこくて愛しい掛け合い。

    それが安らぎとなって俺に与えてくれたあの時のように。



    ……そんな彼女は、なぜかこうも変わっていた。


    863 = 1 :



    「…………直したつもりでいたのに、なのに私……っ!」


    訥々と言い淀み、あたかも己を責めては忌み嫌う。


    彼女のグラスを持つ手は震えていた。

    足の部分を力任せに握りしめるからだ。


    彼女の拳をそう働かせているのは、どの感情か。


    怒り?悲しみ?恐れ?

    自己犠牲、憐れみ?


    俺にとっちゃどれであろうと思うところは一緒だ。




    …………やめろよ。


    軽々と自分の首絞めにかかるなんて、そんなのお前らしくねぇじゃんかよ。


    俺が求めていたのは、こんな展開じゃなくて…………。


    864 = 1 :



    そして、ようやく考えがまとまった。

    加えて、同時に思い付いた。


    正解なのか分からないが、ある一つの手段を。



    「……雪ノ下」


    さらに口を固く結び、なにかに堪えているかのようだ。

    名前を呼ぶも、彼女はいまだ視線を落としたまま。


    そして一呼吸置いてから、そっとこう告げる。



    「……外、出るぞ」



    865 = 1 :



    途端、驚いたように顔を上げこちらを見つめてくる。

    「……え?」

    俺の言ったことを再確認したいのか、不安げな表情で短く問うてきた。


    しかし俺はそれに構わず唐突に立ち上がっては、彼女の部屋に掛けておいた自分のダッフルコートを手早く取りに向かう。

    行くと決めたからにはとっとと向かいたい。


    コートを右腕に抱えてリビングへ戻れば、雪ノ下は変わらずきょとんとした表情でいた。


    そらそうだ、せいぜい5秒くらいしか経ってないんだし。

    彼女にしてみれば予期せぬこと告げられたのだから、そう容易く状況は飲み込めないだろう。


    866 = 1 :



    ソファに放られているスマホや財布など、最低限必要なものをポケットに突っ込むと準備は万端。いつだって出れる。


    「……ちょっと、比企谷くんっ!」


    困惑とした状態で呼び掛けてくる雪ノ下を背にただ佇んで、言葉の続きを待つ。

    すぅっと、彼女の微かな一呼吸が空間に響き渡った。


    「……どこへ、行くの」



    まるで俺が“一人で”どこかへ向かおうとすることに拒絶の意を籠めて訊ねるかのようだ。


    遠慮しがちな細々とした声ではあるのに、敢然とした態度で俺の考えを窺ってくる。


    867 = 1 :



    「……行きたいところがあるんだよ、お前と」


    答えになってない回答をする。

    だが、いまここで伝えられるのはそれだけなんだ。


    「……どこへ、とは教えてくれないの?」

    「ああ」


    もし駄々をこねられたら、俺は無理を押し通す。


    そんな毅然とした決意と意思もあって、目的地を教えるわけにはいかない。



    でなければ、今から起こす大きな賭けがこの時点で失敗する可能性もあるし、なにしろ決まりが悪い。



    868 :

    乙!
    うわぁなんだかシリアスやあぁ

    870 :

    八幡の知らないゆきのんの過去に何があったんだ…

    871 :

    もしかして:平塚先生化

    872 :

    乙です
    こんなに読んでてヒヤヒヤするssはじめて

    873 :

    はーよ

    874 :

    まだかしら

    876 :

    奉仕部の部室へ向かうとか?

    877 :

    >>876
    展開予想やめい

    878 :

    いっつも気になるところで終わるんだもんなぁ
    おかげで続きが気になってしょうがないんだよまったく

    879 :

    もう9ヶ月目かよこのスレ

    881 :

    >>877
    なんかおもろいIDだな

    882 :

    更新を追いはじめてから早9ヶ月かぁ
    早いなぁ

    883 :

    頑張ってね

    884 :

    ははよ

    885 :

    また更新ストップしちゃったか

    887 :

    書き溜めていることを祈る

    889 :

    完結できなさそうなら先に言ってくれ

    890 :

    結構待っとるよ

    891 :

    はよおおおおおいい

    892 :

    来なくなったな

    893 :

    きっと来る、絶対来る

    894 :

    まだ続いてたのかよ

    896 :

    つづきこねええええええ

    897 :

    まだなのー?

    898 :

    面白いのに更新遅いとはこれいかに


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