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    元スレ上条「俺がジャッジメント?」初春「2です!」

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    タグ : - エースコンバット + - 上条 + - 上条当麻 + - 初春 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    101 :

    >>100
    美鈴じゃねーの?

    102 :

    ありゃりゃ浜面気まずくなりそうだ

    103 :

    >>95
    えっと、抜いてくる……?

    104 :

    >>103
    1日最低2回は必須だろう?

    105 :


    浜面「な、何で麦野がここにいるんだよ」

    麦野「ああ? いちゃいけないって言うの?」ギロッ

    「ヒッ…………」


     昨日にも訪れたここは、黄泉川家であってアイテムの構成員の場所ではないはず。
    それなのにこの玄関のドアを開けたのはアイテムのリーダーであり、上司である人物に浜面は目を丸くしていた。
    上司は浜面のその言葉に機嫌を損ねたか、眉間に皺を寄せはじめている。
    昨日のあの現場に居合わせた一名はその麦野の様子に心底怯えていたりしていたがそれは今は放っておいてもいいだろう。


    麦野「私は買い物行ったらたまたま芳川さんに会って誘われただけだけど。それより浜面はどうしてここに? それに大勢で尋ねてきてさ」

    浜面「そ、そうか。いや俺はその芳川サンに用事があってだな」


    こりゃまた恐ろしい人物を誘ってくれたもんだ、と内心何してんじゃおいおい状態だったのだが、まあ芳川は恐らく鬼モードの麦野を知らないのだろう。
    知っていたら呼ぶはずがない、と浜面は本気でそう思う。


    麦野「芳川さんに? 一体何の用事よ」

    芳川「なになに? 私の名前が聞こえてきたんだけど」スッ

    浜面「あ、どもっす」


    すると開いたドアの奥の方から目的の人物が顔を出す。
    浜面は軽く会釈をすると、芳川は「あら」と少し驚いた様な顔をしていた。
    浜面以外の二人の姿も目にすると、余計に?マークを顔に浮かべていたがまあそれも含めて説明しようではないか。


    麦野「なんかこの三人が芳川さんに用事あるんだって」

    芳川「私に? ………ふふ、いやね、こんな年増に若い男の子三人も寄ってくるなんて、困っちゃうわ。どうしよう」クス


    知り合ったとはいえほとんど初対面のスキルアウト相手にうふふなんて微笑んでいる辺りきっと彼女も大物なのだろう。
    でなければ一方通行やミサカズ、そして黄泉川と同居などできやしない。

    106 = 1 :


    芳川「まあいいわ。もうすぐ愛穂達も戻ってくるみたいだし、上がってって」

    麦野「ええ、上げちゃってもいいの?」

    芳川「別に構わないわ。悪いコトしに来た訳じゃないんでしょ?」

    浜面「まあ、それは」

    芳川「いざとなったら私も護身用に『色々特別なモノ』を準備してあるし、ね」

    麦野「まあ悪さしに来たってんなら私も全力で壁のシミにしてあげるし」

    浜面「」

    半蔵「」

    「」


    浜面がいるとはいえ、見知らぬ人物もホイホイと上げてしまう芳川だが、彼女の言う撃退法が何やら嫌な予感がして三人は冷や汗を必死で隠しながらコクコクと頷く。
    もし何らかの事柄が起きて黄泉川家と敵対する機会ができたとしても、相手方に麦野も加勢した以上絶対にここには攻め込みたくない気分になりながらも浜面達三人は黄泉川家の玄関をくぐっていった。

    107 = 1 :


    芳川「どうぞ」カチャ

    浜面「どうもっす」

    半蔵「あ、すみません」

    「ああああありりりりがとうございますううすす」


     若干一人の様子がおかしい事に気にかけながら出されたコーヒーを口にする。
    ん? と飲んでみて浜面はまじまじとコーヒーを見つめた。


    芳川「どうしたの? あ、もしかして口に合わなかったかしら?」

    浜面「いや、逆っす。すげぇ美味いな、と思いまして」


     家で出されるコーヒーといえば、大体はインスタント物でそこまで味を保証するものでもない。
    コーヒーにうるさい人でなければ、飲めればいいと言った塩梅なのであろうが自家で豆から挽くといった手の掛かる事はほとんどの者はしないのであろう。
    しかし今口にしたコーヒーは、まるで珈琲専門店で出される様な味わい深い口当たりの逸品ともいえるもの。

    そんな美味のコーヒーを浜面は素直に讃えていた。


    芳川「ふふ、ありがとう。とはいっても、あの子特製のコーヒーなんだけどね」

    浜面「…………………………ああ、納得した」


    アイツか、と頭に思い浮かべたコーヒー好きの少年を思い浮かんで苦笑いを浮かべる。


    「うううううまいっす」

    芳川「あら、でもそう言ってくれると嬉しいわ」クス

    「」ポケー

    浜面「……………………」

    半蔵「……………………」

    麦野「……………………」


    妙に反応がおかしい様子の人物が一人いたが、まさか、ね。
    彼の様子に浜面と半蔵と麦野は何だか冷ややかで暖かい視線を送っており、一先ずコーヒーカップを置く事にした。

    108 = 1 :


    芳川「それで。私に聞きたい事って何かしら?」

    浜面「あ、そうっすね。あ………………でもアイツも話を聞きたいって言ってたっけ」


    質疑応答は一応は知り合いの浜面が行う。
    本題に入ろうとするのだが、浜面はちょっと考える素振りを見せていた。

     ここに来る数十分前の電話にて、一方通行はその話に自分も居合わせると言っていた。
    なら一方通行が帰って来るまで待った方がいいのだろうかと逡巡していると、麦野が何だか険しい表情を見せていた。


    麦野「妙にもったいぶるわね。なんか大事な話なの?」

    浜面「ん、んーまぁ、大事というか何と言うか」


    果たして麦野もその話に参加させるべきか、と横の二人に目をやる………………のだが。

     半蔵は半蔵で黄泉川家にいるという事からか妙にソワソワしているし、もう一人はずっと芳川を見ている。
    お前らもはや目的が変わってきてないかというツッコミがちょっぴり湧いたが、それの喉の奥に押し込むと何やら玄関先が騒がしくなった事に気が付いた。


    ガチャ────────


    打ち止め「あれれ? なんかお客さんがいっぱいいるよってミサカはミサカは来客者達に驚いてみる」

    一方通行「あァ? 誰だ…………って何だよ、もう来てやがったのか浜面ァ。あとは原子崩しと──────忍者ハットリくンと後は誰だァ?」

    番外個体「お、しずりんいるよ。やっほーしずりん」フリフリ

    黄泉川「ただいまじゃんよ。って浜面────達?」

    麦野「やっほー、おかえりなさい」フリフリ

    芳川「おかえりなさい」

    半蔵「よ、黄泉川………………(キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」

    「ぬお、なんだこの子達!? つか半蔵、後の声もだだ漏れだ」

    打ち止め「しずりんだー! ってミサカはミサカはしずりんにダイブしてみる!」バッ

    麦野「わっ。こら、びっくりしたじゃないの」ギュッ


    黄泉川家の全員が戻ってきた事で、一気に騒がしさが場を覆う。
    こんな騒がしさが毎日黄泉川家で繰り広げられるのか、と浜面は改めて、他の二人はただ呆然としていた。

    109 = 1 :


     まあ、こっちも騒がしくなっておりますです、はい。


    神裂「だからそういう事ではないですと言っているんです! それにもうあんな服は二度と乗せられて着ません!」

    土御門「せっかくカミやんに恩返しできるチャンス逃すつもりかにゃーねーちん?」

    「わ、私はっ、か、上条さんが喜んでくれるならゴニョゴニョ…………」

    インデックス「ごっはっんー、ごっはっんー♪」

    オルソラ「もう少しで出来るのでございますよー」

    上条「………………もうちょい静かにしてくれ、また苦情が来る………」


     あれからセブンスミストを後にし、自宅に戻ってきたのはいいのだがイギリス清教、天草式といった魔術世界の面々に占拠された部屋の片隅で上条はしみじみその騒ぎをとりあえず静かにさせようと奮闘していた。

     美琴との間に起きたあの件の後、セブンスミストに戻れば何やらインデックス達から魔術の事件の匂いがすると言われ戻った上条宅の一室は作戦会議室となっていた。
    痺れる足を何とか動かして自宅に戻ってきたはいいが、戻った矢先に土御門もこの中に加わり、今現在はこの狭い一室に六人という大人数で所狭しと一つのテーブルを囲んでいる。
    いや、オルソラはただ今絶賛調理中にて厳密にはこの場には五人であるのだがそれでも狭く小さく感じるこの部屋をスフィンクスがどこに居座ろうかグルグル歩き回っている様子から、落ち着かぬ様子が窺えた。

     それよりも今は話題の方向性に気を遣うべきか。
    その魔術を感知したという事について話し合うべき場面であるはずなのだが、土御門得意の話術で今は神裂達を弄ぶようにして場を騒がせている。
    話を戻した方がいいんじゃないかという疑問があるのだが、その和気藹々すぎる様子に上条はただたじろいでいるだけであった。

     台所の方からいい匂いが漂ってくると、上条の腹の虫も鳴き出す。
    時刻も19:00を回った所で、夕食の時間帯に差し掛かろうという所であった。
    上条宅では決して香る事のない洋風の芳醇な匂いが居間の方にも漂い、ひとまずその騒ぎは中断する事となった。
    しかしあの上条宅の尽きそうな食材と調味料でこんなにも食欲をそそる料理をさっと仕上げてしまうオルソラはさすがと言うべきか。

    110 = 1 :


    上条「すまん。手伝うか? それにしてもよくあれだけでこんな美味そうな物作れるなー」

    オルソラ「ありあわせで作っただけでございますよ。お手伝いはお気になさらないでください、貴方様はまだ身体の痺れが取れないのでございましょう?」


    ちょこちょことほんの少し足に気を使うような歩き方で台所に赴いた(退避した)上条にオルソラがやんわりと手伝いを拝辞する。
    とは言いつつも、家主的に来客者をもてなさんばかりかこうしてわざわざ手を煩わせてしまうのは少し気の引ける所であったのだが、オルソラの言う事も尤もで少しばかり動きにくいこの身体。
    もう一度「悪い、手間掛ける」と一言添えると、「うふふ、貴方様は座っていてくださいませ」と最上級とも言える労いが返ってきて上条はほっこりしていた。

    ほっこり。


    神裂「………………」ジト

    「………………」ジト

    土御門「………………」ニヤァ

    上条「」


    戻れば何やら意味深な視線を投げ掛けられたのだが頑張って無視しよう。
    インデックスはご飯の方に気が向いていてある意味助かったかもしれないし。

    111 = 1 :

     オルソラの素敵な料理に舌鼓を打ち、しっかりと堪能し終わった後に土御門が「さて」と居座り直す様に一言呟くと、場の和やかな空気に緊張が走る。
    その真面目な表情からするに、ようやく本題に入るのだろう。


    土御門「今回ねーちん達に来てもらったのは他でもない。この学園都市から魔術を感知したんだぜい」

    神裂「ええ」

    「はい」

    インデックス「うん」

    オルソラ「魔術、でございますか」

    上条「…………………………」


    詳しい事は一度集まってから、との事で神裂達もどうやら詳細は聞かされてはいなかったらしく、これから土御門の吐く言葉を一字一句逃すまいと真剣な表情を作っていた。


    土御門「実は俺もまだ詳細は掴み兼ねてるんだにゃー、誰が何の為に、どういう目的でその魔術を使ったのか」

    神裂「謎が多い、と言っていましたね」

    土御門「そうだにゃー」

    「上条さんか、インデックスさんが狙い、という事なのでしょうか」

    土御門「いや、まだそれもわからない。ただ御使堕しの時みたいな偶然に偶然を重ねすぎて発動した魔術である見方も出来そうにない。恐らく、誰かが意志を持って発動させている」

    112 = 1 :


    上条「それで、一体どんな魔術なんだ?」

    土御門「カミやん、これ今日の学園都市の新聞だぜい」


    上条の質問に返事をする変わりに土御門は新聞を手渡すと、ある一部分を指差す。
    そこにはトップ記事ではないのだが、大々的に書かれた男子学生の『変死』の文字が書かれており、上条の目はそれに奪われていた。


    上条「変死………………?」

    土御門「被害者は第五学区の大学二年生の男。割と真面目な性格の所謂普通の大学生だったらしいんだが、昨日の晩に街中で死体で見つかったらしい」


    顔をしかめる。
    土御門の言う被害者という単語が指す意味は。


    上条「つまり、その人は」

    土御門「殺された、っていう事だ。それも無惨な死体だったらしい」

    土御門の言葉に緊張が走る。
    この学園都市は、一方通行の言う「裏」を除けば比較的平和な街である。
    「裏」の詳しい事は知らないのだが、自分から関わろうとしなければ決して「表」に干渉する事はなかったと一方通行は言っていた。

    そんな学園都市の中で起きた今回のこの件。
    しかもその被害者は裏でもなんでもない「普通」の大学生であり、記事と一緒に掲載されている顔写真からもいかにも真面目そうな雰囲気が感じ取られ、被害者からはその「裏」の気配など微塵も感じられない。

    「普通」の大学生だったのに、と上条は唇を軽く噛んでいた。

    113 = 1 :


    上条「だが土御門、これとその魔術の何の繋がりが?」

    土御門「ああ、それがだな………………殺され方に問題があるんだ」

    上条「どういう事だ?」

    土御門「死亡推定時刻は昨日、夕方の完全下校時刻を少し過ぎた辺りの時間帯らしいんだが、問題は死因だ」

    上条「死因?」

    神裂「と、言いますと?」

    土御門「記事にも少し書いてあるが、死因は血を流しすぎた事による失血死によるものだ。死体には無数の噛み傷の跡が残っていたらしい」

    「無数の…………」

    インデックス「………………噛み傷?」

    土御門「それも、とびっきりでかく鋭い────────歯と言うより、猛獣の様な牙だな」

    神裂「猛獣、ですか………………」

    オルソラ「それはまあ…………恐ろしゅうございますね」


    普段のおちゃらけた様子からいつの間にか口調が変わり、真剣そのものの表情で土御門は説明している。
    その様子から今回の件はどうやら動向を注意しなければならないのだろう。
    まだ誰が何の為に、どういう目的で動いているのかは全くわからない。

    114 = 1 :


    土御門「明日はねーちん達は現場付近を調べておいてほしい。俺は別の角度から当たってみるんだにゃー」

    神裂「わかりました。この子に危害が降り懸かる危険があるのならば放っておけませんからね………………勿論上条とゴニョゴニョも…………」

    「ぷ、女教皇様! 何を言っているんですか! 上条さんを守るのは私dゴニョゴニョ…………」

    上条「ん? 二人ともなんてったの?」

    神裂・五「い、いえ………………///」

    インデックス「とおおおおぉぉぉまああああぁぁぁ?」

    上条「なんでお前は怒ってるんだよ!?」


    まあそんなやり取りをしながら。
    しばらくは気をつけておいた方がいいのだろうという事を頭に刻み込み、上条ははは、と頭をかいていた。


    オルソラ「なら私は貴方様のお食事を支度する係に立候補するのでございますよ」

    上条「おお、オルソラの料理ならいつでも大歓迎だぞ!」

    神裂・五和・インデックス「」ゴゴゴゴ……

    上条「ヒィッ!?」


    まあそんなこんなでこの日の作戦会議はお開きとなっていた。

    115 = 1 :


    一方通行「で。教えてほしい事って何だァ?」

    浜面「ああ」


     一方通行の言葉に浜面が頷いて答える。
    テーブルを挟んだ対面側のソファーには一方通行、芳川、麦野の三人が座っており、対するこちら側は(元含めた)スキルアウト三人が座っている何とも奇妙な図。
    黄泉川は台所にて調理(?)中にてこの場にはいない。
    何やら難しそうな話だからという理由で打ち止めと番外個体の二人も手伝わせているが、大人の話に子供がいちゃし辛いだろうという気遣いも含まれているようにも思える。

    何から話そうと考えながら芳川に視線を送ると、浜面は口を開いた。


    浜面「芳川サン。俺達は『DMリカバリデバイス』っての探してるんスけど、何か知ってるっスか?」

    芳川「『DMリカバリデバイス』──────? それを貴方達が、どうして?」


    芳川のその反応に、浜面達の口から「おお」という声が漏れる。
    その様子から見るに、どうやら何か知っているのだろうと期待が高まっていた。


    一方通行「何だァ? それは」

    麦野「何々? 何なのよそれは」


    レベル5’sの両方からほぼ同時に聞き返す声が出される。
    レベル5である彼らでも知らない物なのかと思慮に更けながら芳川の質問に答えようとすると。

    116 = 1 :



    「いや、なんかある男の研究者が俺達の元を尋ねまして。それがどうしてもほしいって言ってたんスよー」

    芳川「ある研究者?」

    「眼鏡かけた黒髪の妙に長い髪をした人だったんスけど、芳川さんはその人の事知ってますかね?」

    芳川「その研究者の名前は?」

    「いや、それが名前も言わずにすぐ立ち去って行っちまいましたから、わかんないんスよ」

    芳川「そうなんだ」


    ………………なぜお前は芳川に対してほんのり顔を赤らめて話をする、という質問を半蔵を挟んだ向こう側に送り込む。
    しかしこちらの視線など気にしない様子でじっと芳川を見ていた。


    芳川「でも、ジャッジメントとかじゃなくて貴方達に頼んできたの?」

    「あー、ジャッジメントにも頼んだとかどうかもわかんないんスけど、でも俺達に頼み込んできましたね」

    一方通行「……………………」

    麦野「わからない事だらけって事ね」

    「」グサ

    浜面「うっ……………………だ、だからこうしてその筋の人に聞きに来たんだが」

    半蔵「(俺も黄泉川の料理食えるのかな)」


    一方通行からの視線がやけに痛く感じる。
    テメェ手間かけさせるような事してンじゃねェだろォな?とでも言いたげなそのガン見から浜面は逃げ出したくなる気分満開であったが、何とか堪える事に成功した。
    まあ一方通行の手を焼かせようとも思ってない。

    117 = 1 :



    芳川「うーん」


    芳川が顎に手を当てて考え込む様に視線をテーブルに下げる。
    何か言いにくい事なのか、聞いてはいけない事だったのだろうか、と少し不安にもなってくるのだがさあどうだろうか。


    芳川「ごめんね、私も名前は耳にした事があるくらいで詳しい事はわからないの」

    浜面「そ、そうなんスか………………」


    申し訳なさそうに苦笑いをして頭をちょこんと下げる様子が見える。
    別に隠し事をしている、という雰囲気でもなさそうな事に逆に浜面達はこちらが申し訳ない気分になってきてもいた。


    「だだだ大丈夫っス、頭上げてください」

    浜面「そうっス、突然来たのに応対してくれただけで十分っスよ」

    麦野「へえ、あなた達でもそういう気を遣う様な言葉遣いできるんだ」

    一方通行「気にくわねェ事があったら暴れて帰ると思ったンだがなァ?」

    浜面「いやいや、お前達はどんな風に俺達の様な人間を見てんの!?」

    半蔵「(帰る? い、いやだぜ黄泉川の飯を食うまでは俺は帰らないぞ!)」


    特にお前らが何を言う、というツッコミをもって浜面は反論する。

     実際に手がかり一つ目でビンゴなどという淡い期待など持ってもいなかったし、仕方のない事なのだろうと浜面達は思っていた。
    見てくれの悪い不良三人を迎え入れてくれたという事だけで驚きものだったし。

    118 = 1 :



    芳川「名前は聞いた事のあるくらいのもので、私の専門外の分野なの。力になってあげたかったけど………………あ」

    浜面「へ?」


    言葉の途中で何かを思い出したかのように声を上げた芳川に浜面は素っ頓狂な声を出す。
    一方通行と麦野もお互い真ん中に座る芳川を挟むように視線を向けていた。


    芳川「そういえば、知ってるお医者さんにその分野の研究者がいるって言ってたわね」

    「医者?」

    半蔵「(黄泉川のナースプレイ…………」

    浜面「半蔵お前一回病院行ってこい」


    一体どういう分野なのかはわからないのだが、研究世界のけの字も知らない自分がそれを聞いてみても仕方ないだろうと思いながらも少し希望が見えてきた気がする、と浜面は感じた。
    いやまあとりあえず半蔵は一回診てもらった方がいいのかもしれないが。


    一方通行「……………………冥土帰しか」

    芳川「うん、そうよ」

    麦野「あの人どんだけ顔広いのよ………………」

    浜面「ん? それって確かあのカエル顔したあの人か?」


    とりあえずここで明日の行動は決まった。
    その医者に聞きに行ってみよう、と浜面は計画を立てていた。

    やけに熱心だな、と思ったそこの人、べ、別に100万(山分けして50万くらい?)がほしい訳じゃないんだからねっ?ただこのスキルアウト時代の仲間が困ってるからなんだからねっ。



    と心の中で誰為フォローをしておきながら、結局その日は大勢で黄泉川家の食卓を囲う事になっていた。
    ちなみにその時に感涙流しまくって黄泉川に逆に引かれていた半蔵についてはどんまいとしか言いようがなかったという。

    119 = 1 :

    また次回!

    122 :

    乙なんだよ!!

    123 :

    おっつ。

    124 :


    インデックス、噛むのは上条だけにしておけとアレほど…

    125 :


    コンコン────────。

     上条が寝床にしている浴室の扉に控え目なノックの音が響く。
    いまだ上条は夢の中で、そのノックに対する返事をする事はなかった。


    「お、おはようございます上条さん…………」


    鍵が掛けられている為、その浴室のドアを開ける事はできずに仕方なく外から声をかける五和であったのだが。
    もし鍵が掛かってなかったら即突撃されていたのだろうと、上条の普段の行動は体裁を守るという意味でも純情を守るという意味でも成果が上がっているのだろう。
    さすがに想いを寄せている人の家のものを壊してまで突撃してしまおうという様な事はない。

    驚かせては悪いという気を使って小声で扉の向こうの上条に声を届けるのだが、上条はやはりまだ夢の中から覚めない様だ。


    「あう………………」


     結局あれから神裂と五和とオルソラは上条宅に泊まる事となっていた。

    さすがにそれはちょっと……という空気を出したのだが、「「いいですよね?」」と眼光を光らせた神裂と五和の二人によって採択議論開始の僅か二秒で根負けしたのは言うまでもない。
    まあ上条としては男の部屋に女の子達が泊まりに来るのはどうかと思う、間違いがあったらどうするんだとあくまで彼女達の為を思ってそう言ったのだが。
    ならインデックスはどうなんだという集中砲火を浴びた際に、ああそういえばインデックスも女の子なんだっけ?という解を示して噛み付かれたのは最早いつもの事である。
    ちなみに神裂と五和はその間違いについて、寧ろ起きてほしかったなどとは考えては………………うん、考えてたのだろう。


    「あう、どうしましょう…………」

    インデックス「私に任せるんだよ!」

    「あ、インデックスさん。おはようございます」


    オルソラ特製の朝食の香りで目を覚ましたインデックスが、朝から妙に元気な声で張り切った様に胸を張る。
    五和はそんな彼女に挨拶をすると、インデックスは浴室の扉を掌でバシバシと叩きはじめていた。


    インデックス「とうまー。朝ー、朝だよー。朝ごはん食べて、学校行くよー」バシッ!バシッ!

    「それ作品が違います」


    それに本日は土曜日で学校休みだし。

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    126 = 1 :


    上条「…………んがっ?」


    ゴンッ


    上条「いてっ!?」


    どこかで頭をぶつけたか、音からして痛そうな上条の悲鳴が届く。
    さすがにあれだけバシバシ叩けば誰でも起きるのだろうが、そんなインデックスの様子を見て慣れてるなーと少し頬を膨らませてヤキモチを妬いている様な五和の姿があった。


    神裂「起きましたか? 上条当麻」

    上条「いてー…………起きたけどさ」

    神裂「朝食の準備はできています。朝食にしましょう」

    上条「ういー」

    インデックス「ごっはんー♪」





    「………………………………」



    恥ずかしさから結局上条に声をかけられかった乙女、五和。

    朝食ができているという報告も後からきた神裂に取られ、一体なにをしに来たんだろうと軽く涙を飲む五和の姿があった。


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    127 = 1 :


    上条「それにしても、あんな事件があったなんてなー…………ジャッジメントでも何も聞かされていなかったけど」


     第一七七支部への道を歩く。
    空の青も眩しいくらいのいい天気の日で、上着を着ていると少し暑いくらいの気温がちょうどいい。
    しかしそんな陽気とは裏腹に、上条は昨日土御門が言っていたあの件について呟いていた。

     男子大学生が変死体となって発見されたあの事件。
    土御門が言うにはどうも魔術が絡んでいるらしく。
    インデックス、神裂、五和、オルソラが調査すると言っていた。


    上条「無数の噛み傷、か」


    それも、人間では到底考えられないものらしい。
    聞くからに凄惨なその事件に何かがあるという事を予感する。
    なるべくなら彼女達には危険な事はしてほしくはなかったのだが、それが魔術ならやはり彼女達に任せるのが一番いいのだろう。
    それに神裂と五和は戦闘面では無類の強さを誇る『聖人』と『聖人崩し』なのだ、そこはとりあえずは安心できるのだが。
    それでも何か起きればすぐに駆け付けるつもりでもいた。




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    128 = 1 :


     するとそこで後ろからパタパタと駆け寄ってくる足音が上条の耳に届く。


    初春「当麻さーん」タッタッ

    上条「ん? おー、初春さん」


    上条が振り向くと、ものすっごい嬉しそうな表情を見せた初春の姿が目に映る。
    初春は上条に近付くと、キュッと正面から上条に抱き着いていた。


    上条「のわっ、ちょ、う、初春さん」

    初春「えへへ。おはようございます、当麻さん」キュッ


    突然の状況に戸惑う上条だったのだが、まあ嫌ではないし初春の好きなようなさせておく。
    胸の辺りにくる初春の頭に、そっと手を置いた。

     初春が誘拐されたあの一件以来、なんだか彼女は積極的な気がする。
    呼び方もいつの間にか下の名前になっているし、笑顔もより一層華やかさを増していて。

    それは自分に向けられているのかな、と感慨深げに思慮にふける。


    上条「これから支部に行くところ?」ナデナデ

    初春「はいっ/// ご、ご一緒しましょう」

    上条「ん。それじゃ行くか」


    この陽気にも負けないくらいの暖かい何かを感じ、上条は初春と共に第一七七支部への道を歩き出す。

    初春の顔を見た途端、先程まで上条を覆っていた緊張感がすっかり飛んでなんだか嬉しく思った自分に軽く苦笑いを飛ばしておいた。




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    129 = 1 :


    黒子「こんにちは、ですの」

    上条「おう白井」

    初春「白井さん、こんにちは」


     第一七七支部があるビルの前で常盤台の制服に身を包んだ黒子の姿があった。
    とはいえ、休みの日なのだが上条も初春も制服に身を包んでおり、ジャッジメントの仕事の時はこうしてその学校の学生服を着用する。
    決まりという訳でもないのだが、そうしておいた方がいいのかななんていう上条の予測は間違ってはなかったようだ。


    黒子「む、お二人揃っておいでですのね」

    上条「道すがらでたまたま初春さんに会ってな」

    黒子「……………………たまたま、ですか」

    初春「……………………えへ」


    たまたまじゃないですよという初春の雰囲気がまるわかりな事に少しむっとした黒子であったが、何やらその意味深な視線だけで会話をしている二人に上条はいつも通り「?」を頭に貼り付けていた。





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    130 = 1 :


    固法「あら皆早いわね。こんにちは」

    上条「固法先輩、こんにちはっす」

    初春「こんにちはー」

    黒子「こんにちはですの」


     第一七七支部に到着し、五分も経たない内に固法が顔を出す。
    現在時刻は12:30過ぎを壁に掛けられたデジタル時計が示していて、この日の本来の集合時間の13:00よりもまだまだ早い事を告げていた。


    固法「それじゃちょっと早いから、皆でお茶でもしようか」

    初春「私煎れてきますよ。あ、当麻さん紅茶って飲みますか?」

    上条「紅茶か、普段あんま飲まないなー……コーヒーとかはある?」

    初春「あう…………そうなんですか。どうしよう、コーヒーない…………」

    上条「あ、いや、紅茶も好きだぞ、うん」


     給湯室へ向かおうとした初春が足を止めてちょっぴり顔を湿らす。
    そんな顔を見た瞬間にフォローを入れる様に言う上条であったのだが、なんだか申し訳ない気持ちであった。
    この第一七七支部ではコーヒーを好んで飲む者はなく、ここの冷蔵庫の中にあるのは紅茶の茶葉とムサシノ牛乳だけ。
    来客者用に緑茶もあるにはあるのだが、長らく飲まれておらずまたこの支部にも飲む者はいないため何となく封を開けるのは躊躇われるとの事で初春の頭にはなかった。

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    131 = 1 :


    まあたまには紅茶もいいか、なんて上条が頷くと黒子ががさがさと鞄から何かを取り出していた。


    黒子「ありますわよ、コーヒー」ガサ

    初春「えっ」

    固法「なんと」

    上条「っておい、それって」


    取り出した何やら高価そうな紙袋からもう一段階包まれていた紙袋を取り出すと、初春に手渡す。
    「え?」という表情もそのままに初春はそれを受け取ると、まじまじと黒子の顔を観察する様に窺っていた。


    初春「あの、白井さん。これって」

    黒子「コーヒーですの。と…………上条さん、お紅茶はお召し上がりにならないかと思って」

    上条「わ、わざわざ買ってきたのか?」

    黒子「ええ」

    初春「……………………」


    と? 何を言いかけたの? という質問の視線を初春は投げ掛けるが、黒子はそれを右から左へと受け流す。
    ほれ、煎れるんなら煎れて来なさいなと初春を給湯室に向かわせようとするその雰囲気を怪訝に感じながら初春は頬を膨らました。





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    132 = 1 :


    上条「そんな事せんでもよかったのに」

    黒子「あら、わたくしの好意が受け取れないとでも?」

    初春「!」

    上条「いや、そんな事はないが」

    黒子「ならいいじゃありませんの」

    初春「む……………………」


    なんか怪しい、と黒子に軽くジト目を送る。
    最近というかあの一件以来、黒子の様子にも変化が起きた様な気がする。

     黒子の上条に対する態度が、なんか違う。
    以前は上条を類人猿だのあの男だの罵っていた黒子のはずだが。
    だが上条の趣向を気にし、こうしてわざわざコーヒー豆を買ってきた。
    どういう心境の変化なのかわからないのだが、初春が警戒するのには十分な、そんな様子である。


    黒子「あ、初春。せっかくなのでわたくしも今日はコーヒーにしますわ」

    初春「ふぁ」


    その言葉が、「彼と同じモノがいい」という風に聞こえたのは初春の考えすぎなのだろうか。





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    133 = 1 :


    佐天「こんにちはーっ! 暇なんで遊びに来ちゃいました」

    初春「あ、佐天さん」

    固法「あら佐天さん。こんにちは」

    黒子「ごきげんようですの、佐天さん」


     完全に部外者であるはずの佐天がさも当たり前かの様に入室し、それを受け入れるこの第一七七支部の面々にも苦笑いをしながら上条は佐天に会釈を送る。
    和やかな談笑ムードに一段と明るい空気が漂うと、壁にかかった時計からピピッと13:00を告げる短い電子音が響いていた。


    黒子「そろそろ時間ですわね」

    上条「今日はパトロール?」

    黒子「ええ、そうですの。準備してくださいな」

    上条「了解っと」



    佐天「(ねえねえ。なんか白井さん、機嫌よさそうじゃない?)」

    初春「(………………やっぱりそう見えます?)」

    佐天「(うん)」コク

    固法「(あら、あなた達もそう感じた?)」


     時間になり、腕章を取り出した黒子のその様子を見て初春達はこそこそ話をする。
    やっぱり黒子の様子がなんか違う、と初春の疑問も段々とその意味を理解しはじめてはいるがまだ確証的なものはない。




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    134 = 1 :


    初春「(うー私も仕事がなければ…………)」

    固法「(それはダメよ。自分の仕事を放棄しちゃ)」



    佐天「私もついて行こうかなーなんて」テヘッ



    初春黒子「さ、佐天さん!!」



    初春「!?」

    黒子「」グルル

    佐天「」

    上条「?」

    ふと佐天が呟いた言葉に噛み付いたのは初春だけではなかった。
    初春と共に噛み付いた黒子その人はきしゃーと威嚇するように佐天に視線を向けていて、さすがにそれに反抗というか言い返すというか何もできなかった佐天は冷や汗をかくだけであった。
    冗談のつもりだったのにーとビクビクしながら紅茶を一気に喉に流し込むが、熱くはないのだろうか。


    黒子「い、行きますわよ!」

    上条「お、おお」


    そんなこんなでタッタッと足早に支部から出ていく様子を、初春はぐぬぬ…………という視線をただ送っていた。





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    135 = 1 :


    上条「ちょ、ちょっと待ってくれー。どうしたんだよ?」

    黒子「……………………」


     早足で支部のあるビルから街中に出ると、黒子の背中に上条が声をかける。
    なんか怒ってるような、そんな雰囲気になかなか声を掛けづらいものがあったがさすがに放っておく事もできないだろう。
    上条の言葉に対して無言を貫いていたのだが、キョロキョロと周りを見渡してふぅ、と一息つくと黒子は振り返った。

    黒子「いえ、なんでもありませんの」クス

    上条「あれ…………?」


    機嫌がいい?


    先程の雰囲気とはまるで違う、かなりご機嫌そうなその黒子の表情に上条は首を捻った。
    しかし黒子はその上条の走り方を見て少し表情を堅くする。


    黒子「とう…………上条さん? どうされたんですの? その足…………」

    上条「ん? あー、いや別に」

    黒子「なんだか歩きにくそうにされていますが………………」

    上条「はは、なんでもない。問題ない、大丈夫だ」


    とは言うが。


    実は昨日の美琴のあの一件で浴びた電撃の痺れは、まだ完全に取れてはいなかった。
    意識を奪う様な出力ではなかったのだが、それでも翌日にまで残るような痺れはいまだ上条の足に影響を及ぼしていたのだ。

    いや、実際にはそれは違う。
    美琴も抑えたつもりでも、大の大人でも浴びれば一瞬で意識を飛ばしてしまう様な電撃であった。
    浴びた箇所がどこであれ、レベル5の電撃は並大抵のものではない。
    それでも上条が耐える事ができたのは、普段の美琴からの電撃を浴び慣れていたからかそれとも上条の肉体的なものだからかはわからないのだが、上条の意識は飛ばなかった。
    ただこうして翌日にもまだ痺れを残すというその電撃の威力はやはり推して計るべきのものなのだろう。




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    136 = 1 :


     ただその理由を上条は言わない。
    美琴の電撃を浴びて、というのは美琴のせいで、という言葉にも置き換えられるのかもしれない。
    この黒子は美琴に対して無条件の信頼と情愛を持っているのは上条も知っている。
    黒子が美琴に対して悪いという事は決して持つ事はないのだろうが、それでも言わないのが上条という男だった。


    黒子「………………お姉様、ですのね」

    上条「っ」


    しかしそれを見透かしたかの様な黒子の言葉が上条の耳に届く。
    やはりわかってしまわれたか、と上条は溜息を吐いた。


    上条「御坂のせいじゃねえぞ? 俺が無茶してさ」

    黒子「ええ………………でも、その」

    上条「御坂を悪く思わんでやってくれ。あいつ、寂しそうにしてたからさ」

    黒子「それは勿論ですの! お姉様は、わたくしの大事な、お姉様なんですから…………」

    上条「……………………、そっか」


    やはり、黒子は美琴を一番わかってて一番近くにいる親友なのだろう。
    上条が危惧していた事は、いらぬ心配だったとホッとした様子を見せた。




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    137 = 1 :



    上条「………………それを聞いて安心した」



    サンキュ、と黒子に軽く笑いかける。



    黒子「────────!?///」



    上条「ん? どうした?」




    その瞬間黒子は顔を隠すように上条から背けた事に怪訝の言葉を聞かせるのだが、黒子は顔を見せようとはしない。ただ耳は赤くなっていたが。

    ふと、黒子はそっと上条の横に添う様に立つ。
    どうしたんだろうと上条は黒子の俯いた顔に視線を向けるが、どんな表情をしているのだろうか。


    黒子「あ、歩き辛いのでしたら! ………………わたくしが支えますの///」グイ

    上条「お、おい、白井…………?」


    どうやらその赤いのは耳だけではなかったようだった。





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    138 = 1 :


    上条「御坂は?」

    黒子「ええ。お姉様のお母様が寮まで迎えに来てまして。お二人で今日は夜までいらっしゃるようですの」

    上条「そっか」


     上条と黒子の二人が街中を警邏する。
    二人の腕には腕章がついているのだが、その腕は組まれており。
    上条からしてみれば歩きにくい所を支えてもらってるというのが弁なのだが、周りから見ればそれはとてもパトロール中には見えなかったらしいのだがいいのだろうか。


    黒子「歩きにくいのならそうおっしゃってくれればよかったですのに」

    上条「いやあ、なんか言いにくくてな。今日にはもう元に戻ってると思ったんだけど」


    はは、と乾いた笑いを出す。
    なんて事はない、すぐ治るさという軽口を叩くが、黒子の様子は少し重たげな雰囲気を持っていた。
    あまりにも近距離の為、表情は窺えないが。


    黒子「…………無理はなさらないでくださいの」

    上条「ん? 無理なんかしてねえよ」

    黒子「お姉様からいつも話はお伺いしてますの。人を助けては入院を繰り返しているそうではありませんの」

    上条「繰り返しって。そんないつもいつも入院なんて事は……………………してんな、俺」


    否定するつもりが逆に納得してしまい、反論する事もできなくただ苦笑いを浮かべる。
    まあ確かに大体死にそうな目に合っている事は事実だし。




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    139 = 1 :


     それにしてもそんな言葉が黒子の口から聞かされた事に上条は少し驚いてもいた。
    黒子から見た自分は、嫌いで敵で憎い者ではなかったのか。


    上条「ありがとな。はは、いや白井って俺の事嫌っていたと思ってたんだけど」

    黒子「………………………………」キュッ

    上条「……………………し、白井?」


    上条がそういうと、腕を組む力が強まる。
    黒子のその身体が腕全体に当たる様な感触で上条はたじろいで情けない声が上がっていた。




    黒子「前も言いましたが。嫌ってなどいませんわ……………………当麻、さんの事」



    上条「そ、そうか? はは、よかった」



    そんな黒子の雰囲気に、やっぱり上条は情けない声を上げるしかできなかった。









    初春「………………なんか嫌な予感がしますぅ」

    佐天「どうしたの? 初春ー」

    初春「むむ………………これは早く仕事を終わらせる必要がありそうです!!」キュピーン バババババ!

    佐天「ざ、残像が見える………………」


     一方、支部内では妙な予感を感じた初春が少し多めの休日の仕事を倍速鬼モードで、だが確実に手早く済ませてしまおうと躍起になる初春の姿があった。
    まあ早く終わらせた所で二人が戻ってくるまで待つしかないのに、という事も頭からすっ飛ばしていた事に佐天も固法もすっかり言葉を無くしていた。




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    140 = 1 :

    鯖移転、運営様お疲れ様でした!

    また次回ー



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    142 :

    乙。
    はぁ、やっぱり初春ちゃんはかーわいーなー……。
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    143 :

    やばい、全く興味なくてむしろレズ自重とか思ってたはずの黒子が超可愛い乙
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    144 :

    「やはり」黒子はかわいい
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    146 :



    黒子はデレるとかわいさの威力が増すな
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    147 :

    黒子は本来「かわいい」より「かっこいい」が似合うと思うんだ

    でもこの黒子は可愛いです

    148 :


    電撃になれてるとか何処のサトシですか

    149 :

    まだまだ黒子のターン!

    150 :

    黒子「かっこいい」は背伸びをしてる上での格好良さ
    黒子「かわいい」は歳相応の可愛さ
    伝わり難いかも知れんが、そこが黒子の魅力なんじゃないかと


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