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    元スレ美琴「初めまして、御坂美琴です」一方通行「……あァ?」

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    101 = 97 :




    午前中に行なわれる筆記テストは研究室3部屋分ほどある大会議室で行なわれた。
    部屋には美琴・一方通行・監督する研究者2人の4人だけ。
    美琴は一番前の中央に座り、一方通行は後ろの端の席についてテストが終わるのを静かに待っていた。


    ふとテスト中に美琴に目をやると、朝食時の伏し目がちな彼女とは違い真剣な眼差しでペンを走らせていた。
    やはり自分の思い過ごしだったのだろうか。


    ―――彼にその答えが分かるのはこのテストが終わる約3時間後であった。





    「はい終了~ お疲れさま」

    「おつかれさまれす~…」


    約3時間ものテストの終了を告げる研究者の声によって、ウトウトとしていた一方通行の目を覚まさせた。


    美琴はというと余程疲れたのかグッタリと頭を机につっぷしている。


    次のスケジュールは昼食。
    彼女にとっては良い休憩時間になるだろう。
    しばし美琴が起き上がるまで待ってみる。

    102 = 97 :



    ……が、一向に彼女が動く様子がない。
    5分、10分と経っても立ち上がるような素振りを見せない。
    確かにテストは長丁場ではあったが昨日のスケジュールに比べたら体力的にも大した内容ではない。
    朝食時の彼女のおかしな行動を思い出す。


    気付けば一方通行は美琴の席へ足を向かわせていた。


    「オイ」

    「…あ~……テスト終わりました~」

    「……」

    「うぇ?…なんですか??」

    「なんか……ヘンだろオマエ」

    「そんなこと……ない」

    「……」


    明らかに彼女の様子がおかしい。

    だがなにをどうすれば良いのか分からない。
    なんて声を掛ければ良いのか分からない。
    自分の頭脳をフル稼働させても答えが見つからない。


    そんな状況が一方通行を苛立ちと戸惑いを与えていた。


    今の彼は【レベル5の一方通行】ではなく、本来の姿である【不器用な13歳の少年】になっていた。

    103 = 97 :



    「……チッ」

    「え?」


    イライラが頂点に達した瞬間、一方通行は美琴の腕を掴んで大会議室から飛び出していた。

    『様子がおかしい=どこか悪い=医者』の図式が頭で成立していた一方通行が目指すのは医務室。
    どこか悪いなら医者に看てもらえばいい。
    それが一方通行の出した結論だった。


    引きずられるがままの美琴は、掴まれた腕に痛みを覚えながら現状が理解出来ないという顔をしていた。


    「い、いたい……」

    「ウルセェ!!黙ってろ!!!」


    彼女のおかげで一方通行の苛立ちメーターがMAXを叩き出しているせいか、今の彼には彼女を気遣う余裕は無い。
    自分の苛立ちを昇華するために、医務室への廊下を早足で歩いていった。


    104 = 97 :











    「寝不足だね?」




    医務室に美琴を放り込んで暫く後、医務室の主である冥土帰しと呼ばれる男はサラリとそう言った。


    「ハァ?」

    「だから寝不足だよ。きっと彼女、昨日は殆ど寝てないんじゃないかね?」


    医務室の隅にあるベッドにはコチラに背中を向けて横になっている美琴の姿があった。
    表情は見えない。ただジッと静かに背中を丸めてうずくまっているだけだ。


    「キチンと睡眠をとってなければ食欲も出ない。それで動き回れば具合も悪くなるものだよ」

    「寝不足……」

    「人間は環境が変わったり生活習慣が違うというだけで体調を崩すものなんだよ。ましてや彼女は子供だからね?」

    「……」

    「少し休んだら彼女を部屋で休ませてあげるといい。軽い食事を持っていかせるよう食堂に連絡しておく。
     あと午後のスケジュールはキャンセルにするよう私から伝えておくよ」



    そう言って机に置いた電話に手を掛ける冥土帰しに背を向けて、一方通行は美琴の背中に目をやる。
    その目に表情は映らない。ただボーッと彼女を見つめているだけだ。

    105 = 97 :




    そんな彼を見ていた冥土帰しはあることを思い出していた。


    (ふむ……この間彼女が言ってたのはこの娘のことだったのか)


    それは芳川の話していた計画―――「一方通行に『キッカケ』を与える計画」のことだ。
    冥土帰しは当初この話を聞いたとき、そう簡単に事が運ぶようには思えなかった。
    ひとりの人間の心を動かすなど易々と出来ることではない。


    (けれど……) 


    それは芳川の言っていた言葉。





    『彼が―――まだ心の何処かで【誰か】を求めているなら……結果は分からないわ』





    (君の計画は良い方向へ転がっているようだよ……芳川君)


    フッと口元に笑みをこぼしながらカルテ用紙に『御坂美琴』の文字を書き入れた。

    106 = 97 :



    2人が美琴の泊まっていた部屋に着くとテーブルには2人分の食事が置いてあった。冥土帰しが用意させたものだ。
    ベーコンや玉葱・人参などが入った野菜のコンソメスープ。一方通行にとっては少ないが今の美琴にとっては充分なメニューだろう。


    そそくさとそれを食べ終えた美琴はベッドに入り頭から布団をかぶってしまった。
    どうやら一方通行に顔を見られたくないようだ


    すると一方通行がこの部屋にきて初めて声を掛けた。


    「オマエ……なンで寝不足になったンだ」

    「それは……」


    彼には散々迷惑を掛けてしまった。美琴自身わかっていた。
    昨日だって自分のせいで沢山手を焼かせてしまっていた自覚がある。
    だからこそ、この質問には答えなければならない。


    「ひとりで寝るの……こっちに来て初めてだったから……
     いつもは同じ部屋の友達がいるし……だから……な、なんかっ……不安で……ッ」


    次第に美琴の大きな瞳から涙がポロポロとこぼれてくる。
    子供扱いされるのが嫌なのに今の自分は完全に子供だ。いや、赤ん坊並なのかもしれない。

    107 = 97 :


    昨夜のことを思い出す。
    いつもなら部屋の電灯を落として寝るのに昨日は消せなかった。恐かったのだ。

    部屋に響く外の風と雨の音が。

    暗く殺風景なこの部屋が。

    ひとりきりという状況が。

    お化けなど信じている訳ではない。
    でも壁のシミがなにかの顔に見えてしまって眠れないのは事実だ。


    誰かに一緒にいてほしいと思ったが美琴はこの研究所のことを全く知らない。
    知っている部屋と言えば最初に訪れた芳川の研究室くらいなものだ。


    昨日一晩で寮生活では決して出なかった自分の本性がまざまざと露呈されてしまった気がした。
    そんな自分が情けなくて、悔しくて、涙が止まらない。


    「……」


    一方通行は何も言わない。
    呆れられてしまったのだろうか。
    涙がこぼれてるのを知られてしまわない様にギュッと布団を掴む。

    これ以上迷惑を掛けて嫌われたくない―――



    「……とにかく寝ちまえ」



    そう言って彼は部屋を出て行った。

    108 = 97 :








    ……と思われたが足音もドアを開ける音も聞こえない。

    涙で濡れた顔を袖で拭き布団から顔を出すと、彼はベッドサイドにイスを移動させ美琴に背を向けて座っていた。


    「え……」

    「……」

    「なんで……」

    「……また寝れなかったとか言われてもたまンねェからなァ。
     テメェが寝るまでここに居てやる……だからとっとと寝ろ」

    「! ……うん」


    美琴は嬉しかった。
    このコンクリートにペンキで白く塗られただけの壁も外の雨音もすべてが不安要素となっていたから。
    ただひとり、彼がいるというだけで心が落ち着く。

    美琴はただただ嬉しかった。

    109 = 97 :




    「あの……」

    「なンだ」

    「ずっとここに住んでるの?」

    「……あァ」

    「寂しく……ないの?」

    「…………ねェな」

    「そう……なんだ」

    「いいから早く寝ろ」

    「ふぁい……」


    トロンと眠たい声を上げたかと思うと数分後にはスゥスゥと寝息が聞こえてきた。
    しばらくして振り向くと美琴は布団に包まりあどけない顔をして眠りについていた。


    110 = 97 :






    自身の白い頭を掻きむしりながら一方通行は己の意味不明な行動に呆れていた。
    何故ここまで彼女に関わるんだ。ただ与えられた役目を果たせばいいじゃないか。
    なのに―――――



    『寂しく……ないの?』



    美琴の言葉が頭で反芻する。

    【寂しい】なんて感じたことが無い。
    そもそもそんな感情を自分は持ち合わせていない気がする。
    【ムカつく】だとか【ウザい】などの感情が存在しているのは自覚してるが。



    もう一度美琴に目をやる。
    閉じた瞼に栗色の髪が掛かってしまって長いまつ毛が隠れてしまっている。



    ―――――気が付けば一方通行は彼女の額に手を伸ばしていた。



    ハッと意識を戻し手をひっこめる。
    一瞬胸の内に生じた得体の知れない「何か」を握りつぶす様に、掌をギュッと握る。




    「まァ……どうせ明日で最後だ……」




    美琴の寝顔を見つめながらそう呟いた。

    部屋に響く雨音が止んでいく。
    どうやら外は小雨になりつつあるらしい。

    111 = 97 :

    以上です~
    テンポが悪いような気がするけど気にしない気にしない…

    それではまた!

    112 :

    こいつら可愛いいいい乙

    113 :

    GJGJ二人が可愛くてニヤニヤがとまらんとです

    115 :

    >>105

    >フッと口元に笑みをこぼしながらカルテ用紙に『御坂美琴』の文字を書き入れた。

    学園都市でカルテ”用紙”かよ。リアル病院でも(オンライン)カルテ画面に入力だろ

    117 :

    >>115
    オンラインカルテに『御坂美琴』の文字を入力した。
    だと雰囲気台なしじゃないか
    それに冥土返しのデスクって紙媒体も多かった気がする

    118 :

    学園都市だからこそ、何時誰に侵入改竄されてもおかしくない媒体でなく、紙媒体にしたんじゃないかね。
    現実でも、その理由であえて最新媒体使わないところもあるんだし。

    119 :

    まあ電化してた方が”らしい”気がするのは同意できる、けど
    実はその用紙こそが紙にそっくりな超高機能媒体だったんだよ!
    とかの方が結構夢wktkかもしれない

    それはともかく二人ともかわいいな
    まだ高レベル能力者になってからのアレコレがないせいかスレてない美琴見てると、
    やっぱ打ち止めは美琴のDNAの産物なんだろうなと思う

    120 :

    学園都市の紙が普通の紙な訳ない

    121 :

    あれ?俺の家の近くの病院ほとんど用紙だった気がするんだが…用紙ってそこまで珍しい?

    122 :

    年配の人だと紙媒体の方が慣れてるしな

    123 :

    最終日には添い寝だな

    124 :

    不器用な関わり方が、すげぇむずむずする
    堪んねぇ。良いもんだな…おつ

    125 :

    >>1
    心象 描写 期待

    126 :

    クソ、追いついちまった

    127 :

    セロリたんが可愛すぎて学園都市がやばい

    128 :

    カルテのことですが、あれは学園都市最高技術でつくられた超極薄高機能媒体です。

    というのは冗談で雰囲気重視で紙にしました。
    それと人の名前って書くのと打つのと重みが違うという持論でこうなりました。
    アニメで木山先生や冥土帰しが紙媒体を使ってる様子があったので良いかなと思って。なんか気にさせてしまってごめんなさい!

    読んで下さってありがとうございます~ 明日投下します!

    129 :

    これはずっとこの年代のまま続くの?

    130 :

    こんなこと言うのも何だが
    そのトリップを使うのはやめといたほうがいい、割れちゃってる

    139 :



    先の展開が気になってしょうがねぇぜ

    141 :


    成長した二人を見たくない訳が無い
    期待してます!

    142 :


    しかしこの幼い2人を見てニヨニヨしていたい
    ああもどかしい

    143 :


    続きが楽しみ
    ツンが無い美琴も可愛い

    144 :

    追いついた…だと…?
    >>1乙!

    145 :

    1乙、総合の時から期待してました。
    二人ともかわいいすぎんだろ…。

    147 :

    >>145
    GJ
    光速で保存した

    148 :

    >>145
    いいぞもっとやれ

    149 :

    >>145
    ああああショタ一方たんペロペロしたいいいいい

    150 :

    >>145
    悪くない、悪くないぞ


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