私的良スレ書庫
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元スレ垣根「友達が欲しいんだが」
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垣根「ボンドはやっぱ胸毛だよなぁ」
心理「そこは同意しかねますわ……」
滝壺「あれは一種のフェチズムに通じるものがあると思う」
垣根「たまぁにいる腋毛好きよりは普通だと思うぜ」
滝壺「目くそ鼻くそだよ、それ」
フレンダ「で、やっぱりヨーグレットが一番…………ん? あれ超電磁砲じゃないかな。後ろのかたまりも見たことあるよ」
麦野「あれが? へぇ、ちょっと挨拶がてら声かけてこよっかにゃーん」
絹旗「ついでに喧嘩も売ってくる、みたいな気安さですね」
麦野「んなことしないっつーの。麦野、いっきまーす」タッ
麦野「――――ねーねーそこの女の子」スタスタ
?「だからゲコ太は――――へ?」
麦野「今日はあっついわねー、暑さに負けない元気してる?」
?「なな、ナンパですの?」
?「う、うっわー綺麗な人だなぁ……」
?「……なによ、何か用な訳?」
麦野「違うわよ。噂の超電磁砲を見かけたから思わず声かけちゃった、って感じ」ニコッ
御坂「――――」ピクッ
フレンダ(うわぁ、麦野の笑顔悪巧みにしか見えないんだけど……)
絹旗(どっちにしろ、もう本性知ってる私達からすればどんな顔してても超怖いですよ)
常盤台組キターーーー!?
南斗いうタイミング…どこまでが演出の内なんだ…? ゴクリ
南斗いうタイミング…どこまでが演出の内なんだ…? ゴクリ
麦野「そうかたくなんないでよ、別に取って食おうって訳じゃないんだからさ。ちょっとした挨拶しに来たの」
御坂「いきなり知らない奴に挨拶されるようないわれなんて無いと思うけど」
麦野「つれないなー、おんなじレベル5のよしみじゃない」
?「れ、レレレレレベル5!? 御坂さん以外に初めて見たかも!」
麦野「そういう初々しい反応の方がおねーさん嬉しいなぁ。『原子崩し』の麦野沈利よ、よろしくー」ギュ
佐天「わわ、私佐天涙子って言います!」ワタワタ
初春「初春飾利です」
黒子「……白井黒子ですの」
御坂「私の事知ってるみたいだし、自己紹介は必要ないわよね」
麦野「ん……仲良し四人組って感じ?」
黒子「! ええっ、特にわたくしとお姉様は山よりも高く海よりもふっかーい赤い糸の絆で結ばれておりますのーーー!!」ガバッ
御坂「ち、ちょっこんな所で!」
麦野(…………ああ、そういう趣味の子なのね)
初春(生暖かい視線……これが一般人の反応ですよね、やっぱり)
黒子「」シュゥゥゥゥ
御坂「で……、原子崩しだかなんだか知らないけどなんでこんなトコにいるの?」
麦野「多分アンタたちと一緒よ。お腹空いたから皆でご飯って感じ」
佐天「皆ですか?」
麦野「あっちで騒いでるでしょ? ――――ほらほら、ちょっとこっちこっち!」ヒラヒラ
垣根「脛毛はゆるされねぇのに胸毛――――ん? どうしたよ麦野」スタスタ
滝壺「でももみあげは正義だと思う」スタスタ
フレンダ「お呼びみたいね」
絹旗「ちょっぴりヒヤヒヤしてましたけど、余計なお世話だったみたいです」
黒子「」シュゥゥゥ
初春「うわぁ、大所帯ですね……」
麦野「ほんとはもう一人いるんだけど、今そこのトイレ行ってんのよ」
垣根「何このJKの群れは。麦野がフィッシングしたのか?」
フレンダ「まあ間違っちゃいない訳イダッ」
麦野「前話した超電磁ファミリー見かけたから声かけちゃった」
絹旗「今にも超回りだしそうなネーミングじゃないですか」
垣根「へぇ。――――心ちゃん何そんなとこで固まってんだよ。どうした?」
心理「――――――ッあ、ッ……」ブルッ
御坂「なんかパッと見、随分統一感の無い面子ね…………あれ?」
御坂「――――『心理掌握』、久しぶりじゃない。普段全然出歩かないアンタとこんな場所で会うなんて更に驚きだわ」
聞こえた。
何かが、壊れる音が。
私の何かか、私達の関係か。
佐天「え、『心理掌握』? あのレベル5の!? うわ今日レベル5の大安売りじゃん!」
でもそんな事はいい。
初春「心理、掌握?」
目が。
滝壺「レベル5……?」クルッ
あの人たちの、わたくしを見る目が。
麦野「ん?」
変わる。
垣根「あ?」
変わって、しまう――――――
心理「――――――――」ポウッ
心理「――――――見ない、で……ッ!!!」キィィィン
滝壺「――――――っ、信号が!」
麦野「へ? ――――ぐっ!」
垣根「うおっ、んだこりゃ!?」
初春「あわわわわわわ、せかいがぐるぐるぅぅぅ」
フレンダ「…………落ち着いた?」
絹旗「と、一緒に手之家さんも消えましたね……」
佐天「なんだったんだろ今の……、まだ頭がクラクラする」
御坂「な、何コレどういうことよ……、あの子アンタらの身内じゃなかったの?」
一方「よォし超スッキリって訳よォ……、待たせて悪かっ…………何がどォした?」キョロキョロ
タッタッタッタッタッ
心理(知られた! 知られた! 知られた! 知られてしまった――――!)
心理(もう、もう駄目だ。偽名なんて名乗った理由も、私が何のために近づいたかも、あの方達がその気になれば調べられない筈が無い)
心理(そして一度崩れたものは……もう二度と同じ物には戻らない)
心理(だから…………、手之家心のお友達は。もう、いない)
心理(最後が、最後がこんなのって、こんな事って)
心理(自業自得、だけど…………だけど……っ!)
心理(お願いだから私を――――――その目で見ないで……!)
心理(その恐れるような目を向けないで…………)
アクセラさんマジパネェ
そのうちシャケ弁食いながら電波も受信できるようになるな
そのうちシャケ弁食いながら電波も受信できるようになるな
大通りから一つ二つ路地に入った所にある駐車場は、人通りも少なく喧騒も嘘のように消えている。
そんな場所にそぐわぬ少女が、膝を抱えてタイヤ止めに座り込んでいた。
下を向いて額を膝に乗せているため表情を窺うことはできない。服が汚れる事を気にも留めていない様子だった。
車の陰になっている少女の姿は、外からは死角になっていて見つかる筈が無かった。が、空からはそうでもないようだった。
一方「――――あァ、ゲーセンの裏の方の駐車場にいた。早く来いよ」
敷き詰められた石を飛ばしながら少年が一人、文字通り『降り立った』。
ああ、あの時言っていた空を飛べるっていうの、本当だったみたい。
垂れた前髪ごしに様子を覗き見た少女は、そう考えた後に今はもう手のうちから零れてしまった幸せを思い返して自嘲する。
膝を抱えていた少女と少年の視線が絡む。その僅かな時間の間に、少女は態度をガラリと変えた。
すいと音も無く立ち上がり、少々乱れていた長い髪を手で撫で付ける。少年は、携帯電話をズボンのポケットにしまった体勢のまま動いていない。
心理「もうお聞きになったと思いますが、改めて自己紹介致しましょう。私、学園都市第五位『心理掌握』の名を賜っておりますの」
一方「…………」
心理掌握の言葉に、一方通行はただ黙って彼女を見ているだけだった。
その視線は恐怖も嫌悪も感じさせるものではなかったが、心理掌握にはそうではなかったのだろう。
毅然とした表情に少しだけ泣きそうな顔が覗く。それは直ぐに引っ込められる。
代わりに浮かんだのは挑発的な笑みだった。
今一度彼女が口を開こうとした時、白い羽をはためかせて垣根帝督が空から現れる。
続いて、走って麦野沈利が登場した。優雅にやってきた二人と違いこの暑い中を動き回ったせいか額には汗ぷつぷつとが浮いていた。
自称、花も恥らう乙女の見せる姿だとはお世辞にもいえなかった。
麦野「あーもう空が飛びたいぞ私はー」
ゼイゼイと荒い息の中からあえぐように発せられた彼女の第一声に、心理掌握を含めた残りの三人が含み笑いを漏らす。
何時もの空気に流されていることに気付いた心理掌握は、俯いて唇をかみ締める。
そして顔を上げるともう彼女の表情は『心理掌握』が常から浮かべている涼しげなアルカイックスマイルに戻っている。
心理「あなたがたが学園都市に対して叛意を持っていないかどうかの調査、そしてもしも持っているようならしかるべき対処をする。それが私の仕事でしたの」
心理「とはいえ、こうまでなってしまっては不可逆ですから……今更どうしようもありませんわね。とりあえず、騙してしまっていた事については謝罪させていただきますわ」
何か仮面を被ったように様子を一変させている彼女の様子を見てレベル5三人は顔を向き合わせる。
やがて、一方通行が口火を切った。
一方「あー、一つだけ、言っとくことがあンだが」
心理「どうぞ?」
後ろ頭に手を当て、頭をかく一方通行。
『手之家心』には、その仕草が。一方通行が何かとても困っている時のものだとわかる。それが判ってしまう事も、彼女を打ちのめす。
対する三人には、心理掌握が。視線を微塵も揺らす事無く立っているその姿が、何故だか怒られている時に泣くのを必死で堪えている子供のようにも見えていて。
そしてそれは、それ程的外れなものでもなかった。
やがて心理掌握の鎧を打ち崩す最大の爆弾が、あっけなく投下された。
一方「実はなンだが俺達は途中から、手之家が『心理掌握』だって事は知ってた」
心理「―――――――――え?」
心理掌握は、第一にその言葉を聴いた己の耳を疑った。そして次に目を見開いたままぽかんと口を開けた。
どの位に驚いたかと言うと、目を開き口も開き瞳孔も開きついでに頭も開いて脳みそがどこかへ飛んでいく程には驚いた。
飛んでいった脳みそが戻ってくるまで多少の時間を要したのちにも、心理掌握はパクパクと口を開けたり閉じたりしている。
尻目に語る一方通行は特に気負った様子も無かった。
一方「お前ン情報統制は能力のせいか悪く無かったが……、依頼主の理事の方がお粗末でなァ。遠巻きに無様な監視してる私兵を垣根くンと麦野さンにシメて貰ったら一発で吐いたンだわ、俺らに接触する奴がいるってなァ」
心理「――――――から」
雑音の少ない空間ですら聞こえない程の蚊の鳴くような心理掌握の声は、聞こえるような大きさになるまで暫くの時間を要した。
心理「――――いつから……ですの?」
俯いているせいか前髪で目は見えない。やっと搾り出した声は隠しようも無く震えていた。
一方「二回目からはもォ知ってた」
麦野「理事も監視もシメたらぜぇんぜん持たねーでやんのよ。その辺のチンピラのがいくらかマシだったわ」
垣根「まぁそういうこったな、俺達もサプライズじゃねぇけど意趣返しに色々考えてて言い出さなかったんだが……」
口を揃える三人。そうでしたのとこぼして、心理掌握は腕で体をかき抱いて肩を震わせた。
心理「……あ、あはは。と、こ、ここでネタばらし、みたいな、も、ものですのね」
心理「それでは私、まるでピエロのようでは、ありませんこと……?」
頭を振った彼女に答える声は無い。
髪を梳いている手の動作にも、滑らかさが無い。まるで壊れた人形一歩手前だ。
心理掌握のもはや泣き笑いのような顔から、笑いの成分が失われるまで長くはかからなかった。
心理「……………………」
心理「………………ぅ」
心理「う、ううう、ぅぅぅぅぅううううううぅ」ポロポロ
飛んでいった脳みそを回収しに行く大任、ぜひこの私めにお任せください!!
『心理掌握』は、彼女自身の心を掌握できてはいなかった。
依頼の為に。手之家心として。そうして、いくつも張っていた予防線が彼女の過ち。
初めから、己は己として彼らに向かい合っていれば良かったのだ。
勿論彼女の生い立ちからそれが困難であることは判りきっているが、それでも彼女はそうするべきだった。
また、自分でも判っていたのだ。そうすればよかったと。そうしていたら変われていたと。
しかし彼女はそうしておらず自分の気持ちを偽った、その結果のみがある。
そして自分すら騙しきれていなかった嘘でできた鎧が、壊れ。
残ったのは孤独が大嫌いなだけの、ただの一人の少女だった。
心理「わ、わたく、わ、わ、ど、どんなおもいでぇ…………」
心理「そ、それを……み、み、みんな知っていただなんて――――ぇうぅ」ヒック
困ったように笑う三人は、別段怒っている訳でもない。
切っ掛けがどうであれ、心理掌握が彼らと過ごした時間に嘘は無い。その事を知っているから。蛇足だがそもそも一方通行と垣根帝督の関係は半ば殺し合いから始まり、麦野沈利は売られた喧嘩を買う事から始まったのであるし。
へたり込み、嗚咽を漏らし始めた心理掌握に三人が近寄る。
このような事全般に不器用且つ揃って恥かしがりやな三人は、思い思いの言葉を心理掌握に投げかけた。
曰く、別に怖くなんかは無い。曰く、隠していたのは悪いが、こっちも途中から似たようなものだ。曰く、まあちょっと刺激的で面白かった。曰く、抹茶ラテ十杯飲めば許す、等。
それが心理掌握を励まし慰める為の言葉達で、聖人君子でもない彼らは彼女の『隠し事』に少なからず怒っていた事、そして先ほどの言葉達は完全に額面通りの物では無い事は心を読まずとも彼女は理解できていた。
しかし嬉しかった。彼らが、これまで自分に投げかけられた事のある言葉と同じようなものを発していても、その内面まで過去のそれと同じでないこともわかったから。
そしてそれ以上に怖かった。この期に及んで、と言わざるを得ないがそれでも彼女は『心理掌握』だから。これまで彼女(メンタルアウト)を受け入れた人間はいなかったから。
震えそうになる声を必死に抑えてもこぼれる涙は抑えきれず。泣いている子供そのものの様相で、彼女は唇を動かす。
心理「でもわたくし……『心理掌握』、ですのよ……?」
一方「それが俺らがつるむのになンか関係あンのか?」
垣根「俺も未元物質なんだぜ実は」
麦野「それこそ今更過ぎるでしょ、どっちもね?」
あくせらンは犠牲になったのだ…
『可愛いは正義』という三千世界の最優先絶対法則の犠牲にな…
『可愛いは正義』という三千世界の最優先絶対法則の犠牲にな…
実は俺も、明日5時から仕事に行かなきゃいけないただのオッサンだしな
鼻水を啜りながら心理掌握が顔を上げる。眼が赤い。
彼女の眼に写った三人の顔は、どれもこれも似たような物だ。
一方通行が表情を崩した。
垣根帝督が口元を緩めていた。
麦野沈利が目を細めていた。
彼らの視線は心理掌握の一身に注がれ、彼女はそれが何を望んでいるものなのかを視線だけで掌握した。
それに応えて、心理掌握は破顔する。
頬を流れる涙よりも、その笑顔は輝いていた。
┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
>>883
えっ
えっ
一方通行が表情を崩していた、だな正しくは
三度あった事なのになんで四度目があるの? どういうことなの?
何時もどおりのおまけを投下するの
おかしいな>>883の下が見えないぞ
>>883
また最後に意味の分からない文字列が入ってるぜ
また最後に意味の分からない文字列が入ってるぜ
滝壺「おそろいじゃなかった……」シュン
垣根「ほらほら滝壺ちゃん、細かいこと気にしてちゃ駄目だって」
絹旗「ねえ一方、この『カマンベールのフライ』と『モッツァレラの衣揚げ』って、どう違ってどっちがおいしいんですか?」
一方「レラレラレラレラ……。実は来るたンびに俺もそれ考えてンだよなァ……、今日どっちも頼ンでみるか?」
フレンダ「パスタのサイズ……でも運動すればカロリーも……でも最近太ももが…………」
麦野「サーモン! スモークサーモンのサラダ! これね!」
心理「バジルは匂いというか香味が少し苦手なんですの……」
駅前から少し外れたイタリアンレストランに、七人組が座っている。
一つのテーブルで足りなかったからか、二つ並べられたテーブルごしに数多の会話が飛び交う。
メニューを覗き込みワイワイと騒いでいるその様子には、全員が数年来の友人達だと説明されても納得できる程の一体感があった。
おい誰か>>883の下二行程の古代文字を解読しろ
一方「サラミベーコンオニオンのS三つ、スモークサーモンのサラダL、スパゲティランチが――――なンだっけか」
絹旗「カルボナーラですね」
滝壺「ミートソース」
垣根「チーズカツレツ」
心理「トスカーナピラフを」
麦野「私はねー…………」
あれだこれだと矢継ぎ早に繰り出される言葉の全てに、弾んだような陽気が乗せられていた。
幸いにも、店内には珍しく彼ら以外に客の姿が無い。少しやかましくも微笑ましい光景に、店員はのんびりとした注文を全て受けた後、笑顔を浮かべて厨房へと消えていった。
そして他愛ない話をいくつかこぼしてから、垣根帝督がいかにも加虐的な笑みをこぼす。
>>883
最後がよくわからんのだが
最後がよくわからんのだが
おまけ投下宣言前に書き込むタイミングを逃した俺が言うのも何だがお前ら食いつきすぎだろwww
垣根「にしても、手之家心ねえ。こころてのうち、って今考えりゃちょっとストレート過ぎねえか?w」
心理「も、もう! その事はもう言わないで頂けませんかっ!?」
フレンダ「やー、結局でももう心ちゃんって呼ぶけどねー」
麦野「こころんマジこころん」
垣根「おい一方、テメェもなんか名前考えたらどうだ? 何なら俺が名付け親になってやっても構わねえぞ、アクセランよりはカッケェ名前つけてやんぜ」
一方「ァ? 垣念は黙ってろよ」
垣念「」ビキビキビキビキ
絹旗「でも私達にまで内緒にしとくなんて、超徹底してたんですね」
一方「まァ今だから言っちまうが、ここン店員さンに予め手紙渡しといてなァ……。『心理掌握お前の正体は知っているぞ、バラされたくなければ~~』みてェなのを帰り際に手之家に渡してもらう予定だったンだ」
垣念「そんで、ビビりまくってる心ちゃんを俺達がおどかす……っつう筋書きがパァだ」
麦野「残念無念垣念ね。その手紙私にも後で見せてよ」
垣念「おう、良いぜ。……ちげーし! 垣念じゃねーし!」
フレンダ「そういうのホント好きだよねぇ。私も嫌いじゃないけど」
滝壺「ドッキリでした、に憧れるのは不可避だよふれんだ」
垣念「しかし心ちゃんの事、最初っから最後まで手之家って呼んでたのお前だけだな一方」
麦野「そういやそうね。なんで?」
絹旗「超気になりますね」
心理「…………」
麦野沈利の言葉で、その場の全ての視線が一方通行に集中した。心理掌握のものも含めて。
一瞬、生まれて初めてほんの少しビビった一方通行だったが、直ぐに気を取り直した様子だった。
彼が名を呼ばなかった理由は、別に大層なものでもなんでもない。ただ彼が自分でそうしようと決めた程度のものだ。
だから他人に言うことも吝かではない、筈だった。が、今のように話を振られると突如言い難くなる。一度口を噤むと、更に言い難くなる。ハードル上げの法則である。
一方「いや、そンな大した理由でもねェンだが…………」
垣念「ほうほう、それでそれで」
何をどう言っても勿体ぶっている事になる、そう気付いた一方通行は、大人しく白旗を上げる事にした。
早目に終わらせてしまう事で、傷を浅くしようとの魂胆であった。
一方「アレだ。心理掌握ってバラして、それを認めたら名前を呼ンでやろォと思ったンだよ」
瞬間、あらゆるベクトルを感知し、操る一方通行はその場の空気が完全に停滞したのを感じた。
そして、停滞した空気が自分の望まぬ方向へ流れ始めているという事も、同時に。
だが勿論、操作する術などあろう筈も無く。
麦野「じゃあさぁぁぁぁ、あぁぁくせらぁぁぁぁ」
麦野沈利が、邪悪極まりない笑顔に顔を歪めている。
心理「――――――」
心理掌握が、何故か頬を染めている。理由は自分でも判ってはいまい。ただただ、雰囲気に押されただけなのだから。
垣根「名前、一発呼んじゃうか! な、一方ちゃぁぁぁぁん」
垣根帝督が、『良ィ』笑顔で一方通行の肩に腕を回した。
すかさず巻き起こる息の合った『な・ま・え!』コール。
ハァ!? とか アァ!? とか言っていた一方通行も次第に勢いを無くして口をパクパクとさせ始める。
コールが途絶え、俯いた一方通行を待って全員が今か今かとその瞬間を待ち構える。厨房の影から、ウェイターとシェフが顔を覗かせていた。
心理掌握と同じくらい赤面した一方通行は大きく深呼吸をして、ええいままよとばかりに口を開き――――――
一方「こ……、こ……、ここrなンだこの空気はァ!!!?? こォいゥ話じゃねェからこれ!!!!」
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