元スレ勇者「俺が本物の勇者なの! 城でふんぞり返ってるあの野郎は偽者なの!」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
201 = 125 :
女剣士「あ、あの……」
勇者「ん?」
女剣士「お二人は……一体どういう関係なんですか?」
勇者「それはもう、とろけるようなあま~い……」
真勇者「気色悪いことをいうな!」
勇者「冗談だよ、冗談」
真勇者「よかろう。君たちには全て話してしまおう。私とこいつは……“二人”で魔王を倒したのだ」
女剣士「ええっ!?」
勇者「驚いてる、驚いてる」ニヤニヤ
少女「ホントに倒してたんだ……!」
勇者「ちょっと待って、少女ちゃん! そこは『分かってたよ』ってなるとこでしょ!
長年付き合ってるんだからさぁ!」
少女「剣の腕は認めてたけど、魔王倒してるってのはホラだと思ってた」
勇者「マジかぁ……」
202 = 195 :
1人で倒したってのは噂であって真実じゃなかったわけか
203 = 125 :
真勇者「私は国から命じられた“勇者”として――」
勇者「俺はこいつの“相棒”として、魔王を倒す旅に出た」
真勇者「知っての通り、我々はどうにか魔王を討ち取った。
我々の功績は国中に公表され、さまざまな恩賞を受けることができるはずだった。
ところが、陛下はこうおっしゃったのだ」
国王『魔王はあくまで勇者一人で倒したことにせねばならぬ。
そうでなければ、“勇者の伝説”に相応しくないのでな』
国王『もし、“二人で倒した”と公表するのなら……勇者を勇者とは認めぬ。
恩賞の話もなかったことにしてもらう』
勇者「ざっくりいうと『魔王は勇者一人で倒したことにしなきゃ、地位も名誉もやらねえぞ』と」
女剣士「ひどい話ですね……」
勇者「まあね。だけど、俺はそれなりに金もらえたし、別にかまわなかったんだ。
なのにこいつがカンカンに怒っちゃって……」
204 = 125 :
勇者『二人で魔王を倒したのに、国から“魔王を倒した”と認められるのは私一人だけとはどういうことか!
こんなバカげた話があるか!』
相棒『いいじゃねえかよ。俺は高い地位につくとか柄じゃねえし』
勇者『ふざけるな! もしお前の存在を世間に公表しないのならば、私とて地位や名誉などいらん!』
相棒『それじゃなんのために戦ったんだよ、お前は。
勇者として魔王を倒したら、重職について国をよりよいものに変えるとかいってたじゃん』
勇者『なんとでもいえ! 私は決めた! 全てを公表し、勇者の称号は捨てる!』
相棒『お前は一度いったら聞かないからなぁ……』
少女「うへえ、頑固だねえ」
勇者「ダイヤモンド並みに固いからな、頭が」
女剣士「それでどうなったんですか?」
勇者「だから、俺は……」
205 = 125 :
相棒『分かったよ。俺は俺で勝手に“勇者”を名乗る!』
勇者『!』
相棒『首都から遠く離れた町で、“俺は勇者だ”“お前は偽者だ”って主張しまくってやる。
活躍しまくって絶対有名になってみせる』
相棒『だからお前も気にせず“勇者”として恩賞を受けろ』
相棒『で、もし……俺の噂を聞いたら……会いに来てくれよ。そしたら酒でも飲もう』
相棒『――約束だ』
勇者『本当に……やるのか?』
相棒『ああ、俺が約束を破ったことがあるか?』
勇者「……ってわけだ」
女剣士「だから……ずっとこの町で勇者を名乗ってたんですね。約束を守って……」
206 = 195 :
ここからどうやってまとめるんだろ
207 = 125 :
真勇者「しかし、あれから五年……ずいぶん待たせてくれたものだ」
勇者「バカ、お前の耳が遠いんだよ」
ハッハッハ… アハハハハ…
女剣士「やっと分かりました。あなたに黒い噂がつきまとってた理由が」
真勇者「うむ、私がこいつと組んでたところを見た人間はそれなりにいる。
なのに、魔王を倒したのは私一人の手柄になっているのだからな。
私が手柄を独占したのでは、と考える人間が出るのは当然のことなのだ」
真勇者「しかし、いずれきちんと公表するつもりでいる」
勇者「いや、しなくていいよマジで。遠慮とかじゃなく」
少女「うんうん。歴史の陰に隠れた勇者様の相棒がこれじゃみんな幻滅しちゃう」
勇者「幻滅て」
アハハハハ…
209 = 125 :
真勇者「ああそれと、女剣士さん」
女剣士「は、はいっ!」
真勇者「愚かな野心のために故郷を失ったと聞いている。私の力がまだまだ至らないばかりに……」
女剣士「いえ、そんな! 悪いのは実業家なんですから……」
真勇者「実業家殿は間違いなく極刑になるだろう。
そして、二度とこのような事件が起きぬよう、対策に努めていく」
女剣士「どうか……お願いいたします!」
少女「いやー、超真面目。同じ勇者でもここまで違うとはね」
勇者「くそう……剣の腕は五分五分だったのに……」
210 = 125 :
酒の席は進み――
勇者「あん時、お前が逃げてよぉ~。一人でデビルと戦うはめになって……」
真勇者「違う! あれは戦略的撤退で……」
アハハハ…
少女「ねーねー、勇者様」
真勇者「なんだい?」
少女「魔王を倒した時のことを教えてよ! 自称勇者は教えてくれないから!」
女剣士「あっ、私も聞きたかったです! 教えて下さい!」
真勇者「…………」
真勇者「いいたくない」
少女「えっ、どうしてー!」
女剣士(勇者さんと同じ答えだ……)
211 = 140 :
魔王討伐の時のことを言わない伏線が残ってたか
212 = 125 :
真勇者「理由は簡単だ」
少女「なに?」
真勇者「あんな化け物との戦いを……二度と思い出したくないからだ! 口にしたくもないッ!」
勇者「な? だよな!」
真勇者「魔王は本当に強かった……。いや、あれは、本当に……強すぎる……」
勇者「戦闘中、何度諦めたか分からないもんな……」
真勇者「倒した時感じたのは、感激や達成感ではなく、ただただ安堵だった……」
勇者「分かるゥ! 嬉しいとか感じる余裕もなかった!」
真勇者「私は断言できる」
真勇者「もし、また魔王が現れたとしたら……私は絶対戦わないと! 二度とゴメンだ!」
勇者「俺も! 次は他の奴に任す!」
少女「ものすごい問題発言が飛び出たよ……」
女剣士「それにこの二人がそれほど恐れるなんて……魔王はどれだけ強かったの……」
213 = 195 :
忘れてた
期待
214 = 195 :
まさかの理由w
215 = 192 :
高機動生命体G
216 = 125 :
翌日になり――
勇者「もう行っちゃうのか」
真勇者「ああ、これでも忙しい身なのでな」
勇者「また遊びに来てくれよ」
真勇者「もちろんだ。よければ、お前も城に遊びに来てくれ。そちらの二人もご一緒に」
勇者「国賓級の扱いで頼むわ」
女剣士「勇者様、お元気で!」
少女「じゃあねー!」
微笑むと、真勇者はマントをひるがえし、帰っていった。
217 = 125 :
勇者「久々の再会も果たしたし、今日もはりきって仕事するか!」
少女「うん!」
女剣士「はい!」
勇者「ついにあいつに俺の名が届いたし、こりゃいよいよ俺が本物の勇者って、
みんなが認める日が近いかもな!」
少女「うん、近い近い。きっと千年後ぐらいには実現できるんじゃない?」
勇者「せ、千年!?」
女剣士「長生きしないといけませんね」クスッ
女剣士(この国には二人の勇者がいる。どちらもとても強くて……そしてステキな人だ)
― おわり ―
218 = 125 :
以上で完結です
ありがとうございました
220 = 172 :
乙
面白かった
221 = 123 :
乙
よかった
222 :
おつおつ面白かった
224 = 199 :
乙
W勇者が組んで戦うとこも見たくなったよ
225 :
オチがようわからん
226 = 122 :
読み終わった、お疲れちゃん
しっかり伏線も回収して丁寧で読みやすかった
227 :
ふんぞりくさる
みんなの評価 : ○
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