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    元スレ勇者「俺が本物の勇者なの! 城でふんぞり返ってるあの野郎は偽者なの!」

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    1 :

    第一話『自分を勇者だと思い込んでる一般剣士』



    勇者「強くなりたい?」

    剣士「はい、一ヶ月間で……出来る限り」

    勇者「どうして?」

    剣士「どうしても……斬らなくてはならない“罪人”がいるんです」

    勇者「いいだろう、引き受けよう。
       一ヶ月で君を確実にレベルアップさせてやる! 約束だ!」

    剣士「ホントですか、ありがとうございます!
        よかった、あなたはこの地域で一番腕が立つ剣士だと聞いたので……」

    勇者「チッチッチッ、俺はただの剣士じゃないよ。俺は……勇者だ」

    剣士「えっ、勇者?」

    2 :

    続けたまえ

    3 :

    勇者「うーんこの香りたまんねぇ~
    甘~い醤油の香りが
    食欲をそそるぜ!」

    4 :

    キン キン キン

    5 = 1 :

    剣士「なにいってるんです! 勇者様はお城にいるあの方じゃないですか!」

    剣士「五年前、たった一人で魔王を倒したという……」

    剣士「その手柄で、今や勇者様はこの国の軍団長。
        次期国王の座も約束されている、まさに雲の上の人なんですよ!」

    勇者「違う! 俺が本物の勇者なの! 城でふんぞり返ってるあの野郎は偽者なの!」

    剣士「偽者……?」

    勇者「あいつは俺の手柄を奪って、ああやって偉そうにしてやがるんだ!」

    剣士「…………」

    剣士(たしかに勇者様には黒い噂もつきまとう……。
        本当は魔王を倒した人間が別にいて、その手柄を奪って今の地位にいる、だとか)

    「あー、その人のいうこと真に受けない方がいいよ」

    剣士「え?」

    「だってこの人、“自分を勇者だと思い込んでる一般剣士”だから」

    剣士「そうなの?」

    6 :

    ふむ

    7 = 1 :

    勇者「違う! 俺は本物の勇者――」

    「だったら魔王を倒したはずだよね? その時のこと聞かせてよ」

    勇者「……いいたくない」

    「ほら」

    剣士「ああ……」

    勇者「だけど、俺は本物の勇者――」

    「もういいから。さっさと修行つけてあげなよ。一ヶ月しかないんだから」

    勇者「わ、分かったよ」

    剣士「よろしくお願いします!」

    8 = 1 :

    庭に出る三人。

    勇者「お、いい剣だね」

    剣士「はい、これは私が所属する≪実業家私兵隊≫だけに配られる剣ですから。
        ちょっと特殊なんですよ」

    勇者「俺のと交換しない?」

    剣士「ダメです。隊では武器は厳しく管理されてますから」

    「人の剣を欲しがるなんて、勇者のすることじゃないよ」

    勇者「うぐう……」

    勇者「気を取り直して修行を始めよう。まず、構えから――」

    剣士「はいっ!」

    9 :

    なろうじゃん

    10 :

    これ系は魔王倒したし帰るかと比べてしまう

    11 = 1 :

    勇者「胸を借りるつもりでかかってこい!」

    剣士「いきますっ!」

    キィンッ! ガキィンッ!

    勇者「いいぞ、今日一日でだいぶよくなった!」

    剣士「ホントですか!」

    「胸を貸すのもいいけどさ。ちょっとお姉さんの胸チラチラ見すぎじゃない?」

    剣士「えっ!」

    勇者「バ、バカいえ! 俺はジロジロ見てただけで……」

    「なお悪いっての。一ヶ月しかないのに」

    剣士「…………」ポッ

    12 :

    セクハラすんな

    13 :

    本筋で盛り上げる前に無駄な会話で引き伸ばすのはダメな例

    14 :

    続けたまえ

    15 = 1 :

    勇者「コホン。しかし、一ヶ月ってのはなかなか短いよねえ。どんな事情があるんだい?」

    (ムリヤリ話題を変えたな……)

    剣士「私は今、実業家さんの≪私兵隊≫に所属してるんですが……」

    「実業家さんっていえば、復興ビジネスで名を上げた人だよね」

    剣士「うん。魔王のせいで滅んだ村や町をいくつも立て直したの」

    勇者「俺ほどじゃないが……なかなかの人物だな」

    剣士「そして一ヶ月後、実業家さんはこの町の≪顧問≫に就任されるんです」

    勇者「顧問?」

    「町の相談役になるってことだね。実質町のトップになるってこと。
       商売人が町を治める立場になるなんてすごい快挙だよ」

    勇者「そりゃすごい! 勇者である俺ほどじゃないけど」

    16 = 14 :

    無職の俺ほどでもないな

    17 = 1 :

    剣士「だけど、実業家さんはある“罪人”から殺害予告を受けてるんです」
        顧問になる日に襲撃すると――」

    剣士「それで私、実業家さんをなんとしても守りたくて、お暇を頂いて……」

    勇者「そういうことか」

    剣士「それに私個人としても……その“罪人”は斬らなければならなくて」

    勇者「いったいどんな因縁が……?」

    剣士「…………」

    勇者「あ、いや、無理に話さなくてもいいよ! 俺、勇者だから!
       君が悪だくみで剣を修行するつもりじゃないことはよぉく分かる!」

    剣士「すみません。ですが……いずれお話しします」

    18 = 1 :

    三日後――

    剣士「えいっ! えいっ!」

    勇者「そう、力む時は力む、力を抜く時は抜く。メリハリが大事なんだ!」

    剣士「たった三日でかなり強くなれた気がします!」

    勇者「でしょ? やっぱ指導者がいいと伸びもいいんだな」

    剣士(この自称勇者さんの剣の腕や教えは本物だ……。
        だけど、これほどの腕があればもっと国の中央で活躍の場はあるはずなのに……)

    「ねーねー。ちょっといい?」

    勇者「ん?」

    「仕事の依頼をしたいって人が来てるよ」

    勇者「よしきた!」

    剣士(どんな仕事だろう? やっぱり盗賊を退治だとか……)

    19 = 1 :

    勇者「食い逃げ犯?」

    店主「ええ、この町の飲食店が次々にやられて困ってるんです。それで代表して私が……」

    「似顔絵でも描いて、注意喚起すればいいんじゃない?」

    店主「ところがそいつ、変装の名人で逃げるその時まで犯人かどうか分からなくて……」

    勇者「ただし連続して行われてるから同一犯に間違いないと」

    店主「そうなんです」

    勇者「“食ったら金を払う”。こんな当たり前なことすらできない奴はこの勇者が退治してやる!
       約束しよう!」

    店主「ありがとう、勇者さん!」

    剣士(この町では一応“勇者”扱いなのね)

    21 = 1 :

    勇者「さっそく行動開始だ!」

    剣士「はいっ! ですが……どうやって捕まえるんです?」

    勇者「そりゃあ食い逃げしそうな店に張り込んで……」

    剣士「具体的にどのお店を? この町、結構広いですけど。当然飲食店の数も……」

    勇者「…………」

    勇者「どうしよっか?」

    「んもー、しょうがないな。あたしに任せて!」

    町の地図を広げる。

    「今までに被害にあったお店に印をつけていこう」チョイッチョイッ

    剣士「なるほど、法則性を見つけるわけね!」

    22 = 1 :

    「できた!」

    勇者「うーん、法則性はないな。あっち行ったりこっち行ったりしてる」

    「だったら線で繋げてみよう」サッサッ

    勇者「あ」

    剣士「すごい! “走ってる棒人間”になった!」

    「でしょ? 犯人の奴、食い逃げをゲームみたいに楽しんでるんだよ。
       となると次は……ここ。パスタ屋さんが狙われるね」

    勇者「俺の推理通りだな。パスタ屋に向かうぞ!」

    剣士「勇者さん、推理しましたっけ?」

    「いいのいいの。手柄にしてあげて」

    23 :

    似たような作品漫画でなかったっけ?デブでブサメンの勇者が手柄奪われる話

    24 = 2 :

    何を楽しませたいのか考えてなさそう

    25 = 1 :

    ― パスタ屋 ―

    勇者「…………」ズゾゾゾゾッ!

    「ちょっとー、ちゃんと丸めて食べてよ」

    勇者「俺は麺っつうのはこうやって豪快にすすらないと食った気しないんだよ」

    「口の周りソースまみれだし、こっちが食欲なくなっちゃうっての」

    剣士「まあまあ。ところで今……店には私たちの他に三人の客がいますね」



    細身「大盛り頼んだのは失敗だったなぁ……」

    肥満「うまぁい!」

    「ガハハ、うめえや!」



    勇者「細いのと、太ってるのと、デカイ奴か……」

    26 = 1 :

    「三人ともお一人様みたいだし、あの中の誰かが食い逃げ犯の可能性は高いね」

    剣士「そうね」

    勇者「食い逃げといや、求められるのはダッシュ力だ。
       あの太った奴は除外していいだろう。となると、残るは……」

    すると――

    肥満「ごちそうさまっ!」ダッ!

    料理人「コラ、待てーっ! 食い逃げだーっ!」

    勇者「……え」

    剣士「行きましょう!」ダッ

    勇者「うう、俺の推理……」ダッ

    「代金はあたしが払っとくからねー」

    27 :

    なんで少女はずっとついてきてんだ

    28 = 1 :

    肥満「ククッ……俺に追いつける奴ァいねえぜ!」タタタッ

    ボロッ ボロロッ

    口と服から綿やクッションを捨て、本来の体型になる。

    食い逃げ犯「これで逃げ切れば、この町は制覇だ!」タタタッ

    剣士「そうか、ああやって太った人になりすましてたんだ!」

    勇者「セコイ真似しやがる」

    剣士「だけど、速い……! とても追いつけないわ……!」

    勇者「任せとけ」

    剣士「え」

    勇者「かつて魔物から逃げ……いや魔物を追いかけた時に比べれば、
       あんな奴に追いつくのは楽勝すぎる!」

    ダッ!

    凄まじいダッシュでみるみる食い逃げ犯に追いつく。

    29 = 1 :

    勇者「もらったァ!」

    ガシッ!

    食い逃げ犯「うわぁっ!」

    ドザァッ!

    勇者「勇者から逃げることはできんぜ」

    食い逃げ犯「く、くそっ……!」モゾモゾ

    懐から武器を取り出そうとするが――

    剣士「動かないで!」チャキッ

    食い逃げ犯「ひっ! わ、悪かったぁ! 刺さないでくれ!」

    勇者「女剣士ちゃん、ナーイス!」

    30 :

    龍が如くでデブの食い逃げ犯いたよな。

    31 = 1 :

    ……

    店主「どうもありがとう、勇者さん! このお金は被害にあった店からの気持ちです。
       受け取って下さい」

    勇者「いやぁ、どうも」

    剣士「あの食い逃げ犯、あちこちの町で食い逃げをしてた常習犯だったみたいですね」

    「あの足の速さと変装スキルを持ってれば、もっと世の中の役に立てただろうにね」

    勇者「だが……この勇者には敵わなかったってことだ」

    勇者「とにかくこれで……俺の勇者としての名がまた轟くってわけだ!」

    剣士「…………」

    剣士(性格はともかく、この人の剣の腕と足の速さはホンモノだ……。
        私はなんとしても強くなって、倒してみせる!)

    剣士(私の村を滅ぼした……“罪人”を!)





    ― おわり ―

    32 = 14 :

    口に綿入れてどうやってパスタ食うんだよ
    パクタ飲み込む時に一緒に飲み込んじゃうやないかい

    33 :

    感動した

    35 :

    飽きてんじゃねえよ

    36 = 10 :

    がんばったね

    37 = 1 :

    第二話『町の勇者』



    弟子入りしてから二週間――

    剣士「せやぁっ! たあっ!」

    ガキンッ! キンッ!

    勇者「いいよいいよー!」

    剣士「はい!」

    「おっつかれー、はいドリンク!」

    剣士「ありがとう、少女ちゃん」

    「あんたには、はい青汁」

    勇者「ぶっ!」

    38 = 14 :

    勇者「女剣士ちゃん気持ちいい////気持ちよくてもう出ちゃう///あっ、あ、あぁぁぁぁぁあん//////」ビュルルルルルッ

    39 = 1 :

    勇者は出かけ、女子二人きりになる。

    「ねーねー」

    剣士「ん?」

    「お姉さんが斬りたい“罪人”っていったいどんな奴なの?」

    剣士「……うん、話しちゃおうかな」

    剣士「私の両親……いえ故郷の仇よ」

    「故郷の?」

    剣士「およそ一年前、私がいた村は一人の男によって滅ぼされ、焼き払われたの。
        私はたまたま村を出てて助かったんだけど……」

    40 = 1 :

    焼き払われた家々、殺された村人たち――

    ゴォォォォォォ……!

    剣士『お父さん、お母さん! 嫌ぁぁぁぁぁっ……!』



    剣士「生き残ったのは私一人……」

    「それはひどいね……」

    剣士「両親の亡骸は焼かれずに済んだから、遺体を綺麗に保存してくれる近くの教会にお任せしたわ」

    剣士「その後、私は実業家さんに雇われて、私兵隊に入れてもらったの」

    「大恩人なわけだ」

    剣士「うん、焼き払われた故郷も生まれ変わらせてくれたし……
        一人ぼっちになった私のことも拾ってくれて……本当に感謝してる」

    41 = 1 :

    剣士「だけど犯人は……」

    「まだ捕まってないんだ」

    剣士「ううん、一度捕まって“死刑”になった……はずだったんだけど、
        処刑の寸前逃げてしまったの。実業家さんへの殺害予告を残して……」

    「え、ってことは脱獄したの?」

    剣士「うん、処刑人たちに重傷を負わせて……」

    「物騒だなぁ」

    剣士「だけど、私は逃げてくれたことに感謝してるわ」

    「どうして?」

    剣士「だって……おかげでこの手で両親の仇を討つことができるかもしれないんだもの」

    42 = 2 :

    罪人は城に居る奴で罪を被せられて逃げたのが主人公かな

    44 = 1 :

    剣士「私が小さい頃兄はいなくなって、両親もいなくなってしまった。
        だけど、だからこそ私は実業家さんのために強くなって、死刑囚を倒してみせる!」

    「お姉さんがあんなに頑張ってる理由、よぉく分かったよ」

    「実はね、あたしも戦災孤児で、一人でゴミ漁りとかして生きてたんだけど、
       あの自称勇者にたまたま拾われたの」

    剣士「! どうりで逞しいわけだわ……。立派に助手も務めてるし」

    「でしょ? 逞しくなきゃ生き延びられなかったもん。
       だけど勇者には感謝してもいるんだ。本人には絶対いいたくないけど」

    剣士「いい人に出会えたね」

    「うんっ!」

    「お互い拾われた同士……頑張ろうね!」

    剣士「ふふっ、ありがとう」

    45 = 1 :

    一方、その頃――

    「兄貴、今日という今日こそ決着つけてやる!」

    「やれるもんならやってみやがれ!」

    勇者「まあまあ、二人とも落ちついて……この勇者の顔に免じて……」

    「オラァッ!」

    「うりゃあっ!」

    グシャッ!

    勇者「俺の……顔が……」ミシッ…

    二人の拳に挟まれる勇者。

    46 = 1 :

    「勇者さん!?」

    「大丈夫ですかい!?」

    「すぐ医者を呼んできやす!」

    「俺は冷やすもの持ってくる!」

    タタタッ…

    勇者「いてて……。兄弟揃っていいパンチだった……」

    「二人の喧嘩を止めてくれてありがとうございます……」

    勇者「いやいや……勇者として当然のことをしたまでさ」

    47 :

    長過ぎる

    48 = 1 :

    勇者「ただいまー」

    「あ、お帰り」

    剣士「勇者さん、その怪我は?」

    勇者「ちょっと兄弟喧嘩に巻き込まれてさ。名誉の負傷ってやつ」

    「ああ、あの荒くれ兄弟ね。どうなったの?」

    勇者「兄弟だし、やっぱり“肉親の情”ってもんがモノをいったよ。
       これでまた勇者としての名が轟くわけだ」

    剣士「あの……前から思ってたんですけど勇者としての名を轟かせたいのなら、
        もっと首都に近い町でやった方がいいのでは……?」

    勇者「…………」

    勇者「それじゃ意味ないんだよ。約束だからな」

    剣士「…………?」

    49 = 1 :

    ……

    町長「勇者さん、頼みがあるんじゃが」

    勇者「なんだい、町長さん」

    町長「町の広場に大きな木があるじゃろ?」

    「あるね、あの大きな木!」

    町長「あれを……切り倒して欲しいんじゃ」

    勇者「町のシンボルを……どうして?」

    50 = 14 :

    剣士「罪人死ね!」ジョギンッ
    罪人「うわー!」血がブシャー!!
    勇者「よくやった」女剣士にキス
    「ライスシャワーならぬ青汁シャワーwww」ブシャーー

    FIN


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