元スレ斧戦士「攻撃当たんねえ!」闇魔術師「嫌われたくない……」竜「火を吐けない」姫「触手になりたい!」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
151 = 127 :
姫(天井に何かいるッ!)
姫「危ないっ!!!」ドンッ
姉姫&王子「え!?」
赤目「シャッ!」シュバッ
ザシュッ!
爪による一撃が、姫の背中を切り裂いた。
姫「ぐっ……!」ブシュッ…
赤目「オォ~、すげェな。よく天井に張り付いてた俺の気配を感じ取れたな」
赤目「今ので確実に、姉姫と王子、二人とも仕留められると思ったのによォ……」ジャキッ
姫(鉄の爪……!)
姉姫「押されてなかったら今頃……」ゾッ…
王子「外の彼らに気づかれず、なんの音も気配もなく、ここまでやってきたのか……!」
152 = 137 :
ありがとう師匠
153 = 127 :
姫「お姉ちゃんたち、下がってて! こいつの相手は私がするわ!」
赤目「ヒヒヒ……妹のお姫さんが俺の相手? ――何秒もつか試してみなァ!」ギュンッ
赤目「シャッ!」シュバッ
姫「あらよっと」ウネリッ
赤目「!?」
姫「触手キィック!」
ドカッ!
赤目「ぐはぁっ……!」
王子「おおっ! すごい!」
姉姫(神様、どうか妹を守って……!)
154 = 127 :
赤目「シィィッ!」シュバババッ
姫「ほっ、よっ」グネグネッ
赤目(常人離れした柔軟性! ことごとく俺の爪が空を切りやがる!)
姫(師匠、戦えてる! 私、帝国の精鋭相手に戦えてます!)
赤目「なるほど……牢獄の看守どもよりよっぽど手応えがある」
赤目「まるで触手かなんかと戦ってるようだ……」
姫「ありがと!」
赤目「だが、そうと分かればいくらでも対処法はあるぜェ!」ヒュバッ
姫「くっ」ウネッ
ザシィッ!
姫「きゃっ……!」ブシュッ…
赤目「しょせんは素人……どうかわすかまで先読みして攻撃すりゃあ、どうってことねェ」ペロッ
155 = 127 :
姉姫「やめて! 妹は殺さないで! 私の命をあげるから!」
王子「いやボクだ! ボクを攻撃しろっ! だからもうやめてくれぇっ!」
赤目「ヒヒヒ……安心しろよ。もちろん、お前らの命はちゃーんと貰ってやる」
赤目「ただし……この触手姫を始末してからなァ!」
姉姫「やめてぇぇぇぇぇっ!!!」
姫(お姉ちゃん……師匠……みんな……さよなら!)
――ガキィンッ!
156 = 127 :
赤目「ん」
騎士団長「ハァ、ハァ……」
姫「騎士団長っ!」
騎士団長「間に合ってよかった……姫様、よく戦いましたな」
姫「どうしてここに……!」
騎士団長「やはりお三方に護衛が一人もいないのはまずいと思い、斧戦士殿の許可をもらって」
騎士団長「戻ってきたのです」
騎士団長「後は私にお任せ下さい!」
赤目「ヒヒヒ……俺の相手は騎士団長ってわけかい。おもしれェ!」ジャキッ
騎士団長「命にかえても、貴様を倒す!」チャキッ
157 = 127 :
― 古城・城内 ―
ゴーレム「グゴゴゴゴゴゴ……!」グググッ…
竜「うあああああっ……!」メリメリ…
竜(なんてパワーだ……! ボクも本気で押してるのにィ……!)
斧戦士「ボウズーッ!!!」
女剣士「あの子を気にかけてる場合じゃない! ゾンビはまだまだいるんだ!」ザシュッ
「ギエエッ!」ドサッ…
斧戦士「分かってら!」ドシュッ
「グアアッ……!」ドサッ…
斧戦士「闇魔術師ィ! ……大丈夫か!?」
158 = 127 :
闇魔術師「ああ……問題ない」ニタァ…
斧戦士「!?」
斧戦士「お前……目や鼻から血が……!」
闇魔術師「なんの問題もない……」
闇魔術師「俺は嬉しいよ……」
闇魔術師「闇魔法を悪用する憎き悪党と……こうして戦うことができて……」
闇魔術師「あの時、お前と出会うことができて、本当に感謝してる……」
闇魔術師「絶対に、これ以上……ゾンビを増やさせはせん! 俺のプライドにかけて!」
斧戦士「闇魔術師……!」
159 :
ゾンビランドサガ
160 = 127 :
― 古城・外 ―
黒剣士「新たにゾンビが生まれなくなってきたな」
教祖「……くっ!」
教祖「敵の魔法使いが想像以上にやりおる……!」
教祖「だが、ゾンビはまだまだいるし、なによりゴーレムがいる!」
教祖「あんな子供の竜では、絶対にワシのゴーレムは倒せんっ!」
教祖「それより、赤目はどうした!? 古城に侵入してからずいぶん経つぞ!」
黒剣士「…………」
161 = 127 :
― 古城・玉座の間 ―
――ギィンッ!
ザシュッ!
赤目「ぐはっ……!」
騎士団長「ハァ、ハァ……」
赤目「やるな……。熊みてェな見た目のくせに、キレイな剣術使いやがる……」
騎士団長「光栄ですな」
赤目「正々堂々まともにやり合ったら不利――だが!」ギロッ
姉姫「えっ!」
王子「なっ!」
赤目「俺たち帝国工作員の辞書に、“正々堂々”なんて文字はねェッ!」ギュオオオッ
騎士団長「しまった!」
162 = 127 :
ザグゥッ!
騎士団長「ぐはっ……!」ブシュゥゥゥ…
騎士団長の腹部に、鉄爪が突き刺さった。
赤目「まんまとかかったな」
王子「ボクらを狙うと見せかけて、騎士団長の焦りを誘ったのか!」
赤目「ヒヒヒ……帝国のため、お前らは絶対皆殺しにしなきゃならない……」
赤目「まずはお前からだッ! 騎士団長ッ!」グオオッ
騎士団長(無念……ッ!)
163 = 127 :
――ガシィッ!
赤目「え!?(腕をつかまれ……)」
姫「触手心得……其の五≪獲物にはひっそりと忍び寄れ≫」グネッ
騎士団長(姫様ッ!)
騎士団長「だああああああああああっ!!!」
ザンッ!
渾身の一撃が、赤目の胸を切り裂いた。
赤目「…………!」
赤目「ヒヒ……触手姫のこと、忘れて、たか……。俺とした、ことが……」
赤目「黒剣士、後は頼ん……」グラッ…
ドザァッ…
165 = 159 :
ぬ
166 = 127 :
王子「やったの、かい……?」
姫「うん……よくやってくれたわ、騎士団長!」
騎士団長「光栄です……。ですが……姫様がいなければ……倒れていたのは私でした……」
騎士団長「この男……実力と忠誠心は間違いなく本物でした……」
姫「恐ろしい奴だったわ……」
姉姫「二人とも……無事でよかった……」
姫「お姉ちゃんたちこそ!」
姫(さて、斧戦士さんたちは大丈夫かしら……)
167 = 127 :
― 古城・城内 ―
ゴーレム「ガァッ!」
ドゴォンッ!
竜「ぐああっ……!」ズウンッ…
ゴーレム「ガァッ! ガァッ! ガァッ!」
ドカッ! ドゴッ! ドガッ!
竜「げぼぉっ……!」
ゴーレムの蹴りの連打が竜を襲う。
斧戦士「ボウズッ!」ダッ
女剣士「あたしも行く!」ダッ
168 = 127 :
斧戦士「くたばれぇっ!」ガツッ
女剣士「てやぁぁぁっ!」ザシュッ
ゴーレム「ガゴォォォォォッ!!!」ブオオオンッ
斧戦士「うおっと!」
女剣士「危ないっ!」
ザシュッ! ブオオンッ! ザシッ!
竜(まただ……! またボクはみんなに助けてもらってる……!)
竜(役に立ちたいのに……恩返ししたいのに……できない……!)
竜(悔しい……!)
竜(自分が情けない……!)
169 = 127 :
竜(ボクは竜だ! 魔物の中で一番強いんだ……! だから、だからっ……!)
竜(ボクだってぇ……)ボッ…
竜「やらなきゃダメなんだァァァァァッ!!!」
ボワァァァァァッ!!!
斧戦士&女剣士「!?」
斧戦士「ボウズ、お前今……」
竜「ボク、火を吐けた……!」
ゴーレム「グオオオオオオオオオッ!」ドドドドドッ
竜「よーし……斧お兄さんたち、すぐそこを離れてッ!」
竜「すぅぅ~……」
170 = 127 :
竜「ガオオォォォォォォォォォォォォォッ!!!」
ゴォワァァァァァァァァッ!!!
ゴーレム「グ……グオオォォォォォォォッ……!」
「ギャアア……ッ!」 「ヒイイ……ッ!」 「アァァァァ……」
ジュワァァァァァァ…
竜が吐き出した炎が、ゴーレムやゾンビを包み込んだ。
斧戦士「す、すげえ……!」
女剣士「一発でゴーレムたちを焼き払った……!」
闇魔術師(自分の体を勝手に使われた死者たちも、喜んでいることだろう……)
171 = 127 :
玉座の間のメンバーが駆けつけてきた。
タタタッ…
姫「あっ、やったのね! ゾンビたちを全部やっつけたのね!」
斧戦士「おう! ボウズがやってくれたぜ!」
女剣士「ふふ……かっこよかったよ」
竜「へ、へへへ……」
姫「こっちも、騎士団長があの赤い目の男を何とか倒したわ!」
斧戦士「これで残るは……あの黒剣士と教祖だけだ!」
闇魔術師「……おい」ヨロ…
斧戦士「闇魔術師!」
闇魔術師「もうすっからかんだが……最後に少しでも皆の傷を癒やしてやる」グジュグジュグジュ…
斧戦士「ありがてぇ……」
闇魔術師「お? さすがにもう嫌がらんか」
斧戦士「ああ、もう二度と闇魔法使いは悪党だなんていわねえよ……!」
172 = 127 :
― 古城・外 ―
教祖「バカなァァァッ! ワシのゴーレムがあんな奴らに……!」
教祖「ど、どうするのだっ! 赤目もやられてしまったようだぞっ!」
黒剣士「…………」
教祖「おい、何とかしろっ! ワシももう魔力はほとんど残っておらんし――」
黒剣士「お前はもう用済みだ」
ザシュッ!
教祖「が、は……っ! キ、キサマァ……」
教祖「協力すれば……帝国に招く、と、いった、のに……」ドチャッ…
黒剣士「お前のような危険人物を、帝国に招くわけなかろう」
173 = 127 :
― 古城・城門 ―
斧戦士「黒剣士! 残るはお前だけだ!」
騎士団長「いさぎよく諦め、剣を納めるのだ!」
黒剣士「……諦める?」
黒剣士「赤目も教祖も役目は果たしてくれた……」
黒剣士「後は消耗したお前たちを全滅させ、姉姫と王子を抹殺すれば済むことだ」
女剣士「ずいぶんと自信家じゃないか」
女剣士「なら、帝国の剣技とやらを見せてもらおう! たあああっ!」ダッ
黒剣士「…………」スッ
ギィンッ!
キィン! ガキッ! キンッ……!
174 = 127 :
キィンッ! ――ギィンッ!
黒剣士「なかなかの腕だ……しかし、軽い」
ザシィッ!
女剣士「がは……っ! つ、強い……!」ガクッ
斧戦士「女剣士ィッ!!!」
騎士団長「参るッ!」ダッ
ガキィン!
黒剣士「騎士団長……おそらく、護衛メンバーの中で一番実力が高いのはあなただろう」グググ…
騎士団長「光栄ですな!」グググ…
黒剣士「しかし、あなたの剣技は、毎日のように見て研究し尽くしている」
騎士団長(!? どういう意味――)
ズバァッ!
騎士団長「ぐおぉぉ……!」ドザァッ
176 = 127 :
斧戦士(あっという間にあの二人が……!)
竜「斧お兄さん、ボクがいくよ!」ズシンッ
斧戦士「待てボウズ!」
竜「すぅぅぅ……」
ゴゥワァァァァァァッ!!!
竜「あれ!? かわされ――」
黒剣士「竜は恐ろしい魔物だが、子供では私の相手になれん」
ザグッ!
巨体に強烈な一太刀が入る。
竜「あああっ……」ズウンッ…
斧戦士「…………!」
斧戦士(マジかよ……!)
斧戦士(黒剣士……やっぱこいつ化け物だ……!)
斧戦士(いや、こいつは……こいつの“もう一つの姿”は――)
177 :
見てるぞ
178 = 127 :
黒剣士「姫たちと闇魔術師は、戦力として期待できまい」
黒剣士「先程の言葉を返そう……残るはお前だけだな」チャキッ
斧戦士「……戦う前に、一つだけいいか?」
斧戦士「お前は……俺も会ったことがある。城にいた……姫さんたちの執事だな?」
黒剣士「……そうだ」
姫「えっ!」
姉姫「執事!?」
黒剣士「なぜ分かった?」
斧戦士「よく考えれば、簡単なことだった」
斧戦士「姉姫と王子のデートコースを知ってて、かつボウズが竜なことは知らず魔物をけしかけた」
斧戦士「この条件に当てはまる奴……って考えるとあんたしかいなかったんだよ」
179 = 127 :
姫「ウソでしょ!? 執事が帝国のスパイだったなんて!」
姉姫「そうです! とても信じられません!」
黒剣士「事実です、姉姫様、姫様。私は帝国工作員として、あなた方の執事となりました」
黒剣士「そして今やるべきことは、王子と姉姫様の抹殺です」
黒剣士「この国と隣国の同盟は、帝国のためにも絶対阻止せねばならない」
姉姫「そんな……!」
斧戦士「あいにくだが、んなことは絶対させねえぜ!」
斧戦士「名を上げるためとか、斧のためとかじゃねえ……みんなのためにお前をブッ倒す!」
黒剣士「……来い」
斧戦士「…………」フゥー…
斧戦士「行くぜッ!」ダッ
180 = 127 :
斧戦士(大振りは決してしねえ! 小さく振って、隙を作らねえ!)
ガキンッ! キンッ! キィンッ!
斧戦士(そしてぇ――)
ガキィンッ!
斧戦士(つばぜり合いみてえに、力が必要な時だけ、パワーを爆発させるッ!)グンッ
黒剣士「ぬ……!」ズズ…
竜「い、いいぞ……斧お兄さんが、押してる……」
闇魔術師「うむ……力なら斧戦士が上だ……!」
181 = 127 :
キンッ! ギィンッ! キンッ!
黒剣士(重い斧を巧みに操り、懐に入らせない……。やりづらい……!)
斧戦士「どりゃ!」ブオッ
黒剣士「だがっ!」シュバッ
ザシッ……!
斧戦士「が、ぐぅ……!」
騎士団長「……ごほっ」
騎士団長(やはり、技量は執事殿――黒剣士の方が上……!)
騎士団長(戦いが長引けば長引くほど、“本来の実力差”が響いてくる……!)
182 = 127 :
黒剣士「この一ヶ月間でずいぶんと鍛え直したようだ。それは敬意に値しよう」
黒剣士「だが、この私には勝てんッ!」
ザンッ……!
斧戦士「ぐああっ……!」
斧戦士(やはり強ええ……!)ガクッ
姫「斧戦士さん!」
姉姫「ああっ……」
王子「強すぎる……!」
184 = 127 :
斧戦士「まだだ……!」ヨロ…
黒剣士「まだ立てるとは……体が大きいだけあってタフネスは流石だな」
斧戦士(立ったはいいが……打つ手がねえ……!)
斧戦士(どうすりゃいい!? どうすりゃこいつに勝てる!?)
斧戦士(もっと斧を短く持って、小さく振るしか――)
女剣士「……らしくないじゃないか」ググッ…
女剣士「今のあんた、見て思ったけど……やっぱりあんたは……」
女剣士「思い切り斧ブン回す方が……似合ってるよ……」
185 = 127 :
斧戦士(その通りだ! こういう時こそ、自分のスタイルでやってやる!)
斧戦士(全身力みまくってぇぇ……)ムキッ
斧戦士「どぉりゃあぁぁぁぁぁっ!!!」
黒剣士(なんという迫力!)
ブオンッ!!!
攻撃は空振りだった。
斧戦士「……くっ!」ヨロ…
黒剣士「こんな大振りが当たるわけなかろう」
黒剣士「追い詰められ、ついにヤケクソになったか……失望させてくれる」
斧戦士(いや……もう一回……! もう一振りだけ……!)ムキッ…
186 = 177 :
面白いぞ
187 = 127 :
斧戦士「どぉうりゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
黒剣士「当たるわけが――」
ドカァンッ!!!
黒剣士「!?」
城壁が砕け、破片が黒剣士に飛び散る。
黒剣士(これを狙ってたのかッ!)
斧戦士「もらった!」ブオンッ
黒剣士「させるか!」バッ
ガキンッ!
斧戦士「ぐ……ッ!」
騎士団長(完璧なタイミングだった……! あれを受け止めるとは……ッ!)
189 = 127 :
斧戦士(受け止められた? いいや……俺の斧とパワーはここからだッ!)
斧戦士「うぅおおおおおおおお……!」グググ…
黒剣士「な……!」ピシッ…
斧戦士「ぬがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」グググ…
黒剣士「なんという……」パキィンッ
ガシュッ!!!
斧が、剣もろとも黒剣士の体を斬った。
黒剣士「…………ッ!」
黒剣士「見事、だ……」
ドザッ…
190 = 127 :
黒剣士「一ヶ月前とは……結果が逆に、なったな……」ゴフッ
斧戦士「みんなのおかげさ……」
斧戦士「なぁ……執事さん」
黒剣士「…………?」
斧戦士「なんで、あんたは一ヶ月前、まるで警告するような戦いを俺に仕掛けてきた?」
斧戦士「あれがなきゃ、今の勝負だってどうなってたか分からねえ……」
斧戦士「あんたの帝国に対する忠義は本物だし、手を抜いてたとも思わねえが……」
斧戦士「心のどこかで、俺たちが姉姫さんたちを守り切るのを期待してたんじゃねえか……?」
黒剣士「さあな……。正直なところ、自分がどう思っているのか、自分でも分からん……」
黒剣士「だが、もしそうだとしたら……先に逝った赤目に、申し訳が立たん、な……」
斧戦士「…………」
191 :
いつの間にか超大作になってた
192 = 127 :
姉姫「……執事」スッ
黒剣士「姉姫、様……」
姉姫「私はこの国の王女として、あなたがやったことを許すわけにはいきません」
姉姫「ですが……」
姉姫「もし、私たちのうち誰か一人でも亡くなっていたら、言えなかった言葉ですが言わせていただきます」
姉姫「執事……今までありがとう」
黒剣士「…………」
193 = 127 :
黒剣士「私も、執事として……最後に……」ゴホッ
黒剣士「姉姫様……ご結婚、おめでとうございます……。どうか、王子殿と幸せ、に……」
黒剣士「そして、姫様……どうかこれからも、触手のようにのびのび、と……」
黒剣士「…………」
姉姫「執事っ!」
姫「執事っ!」
斧戦士(大した奴だぜ……)
斧戦士(帝国工作員としても、執事としても仕事をこなして、逝っちまいやがった……)
…………
……
194 = 191 :
(工作員としての仕事は失敗したけどな)
195 = 127 :
……
姉姫「皆さま、本当にありがとうございます」
王子「君たちがいなければ、ボクたちは死んでいただろう。心から礼をいわせてくれ」
斧戦士「へへへ……メチャクチャきわどかったけどよ」
闇魔術師「まさか、血が出るほど魔力を振り絞るはめになるとは思わなかった……」
竜「みんな無事でよかったぁ……」
姫「お姉ちゃんたち! みんなこれだけ頑張ったんだから、幸せになってよ!」
女剣士「斧戦士……かっこよかったよ!」
騎士団長「騎士として使命を果たすことができ、光栄ですな」
斧戦士「よーしっ、みんなで帰ろうぜ!」
オーッ!!!
………………
…………
……
196 = 127 :
それから――
― 訓練所 ―
弟子A「でやぁっ!」ブンッ
弟子B「だあっ!」ブンッ
斧戦士「ダメだダメだ! そんなへっぴり腰じゃ、斧は自在に操れねえぞ!」
弟子A「早く先生のように斧を操れるようになりたいです!」
弟子B「先生はその剛腕で、帝国最強の剣士を圧倒したんですもんね!」
斧戦士「お、おう」
斧戦士(姫の宣伝のおかげで、斧人気が上がって、こうして弟子もできたが……)
斧戦士(ちょっと評判に尾ヒレがつきすぎなんだよなぁ……ボロ出なきゃいいけど)
197 = 127 :
女剣士「そろそろ休憩にしたらどうだ?」
斧戦士「おう、そうだな」
斧戦士「よーし、休憩ターイム!」
弟子A「オスッ!」
弟子B「オスッ!」
女剣士「あんたたち、お腹がすいたろう。パンを持ってきたよ」
弟子A「いただきますっ!」
弟子B「ありがとうございますっ!」
斧戦士「俺にはねえのか?」
女剣士「ない」
斧戦士「……またお腹でっかくなったんじゃねえか?」
女剣士「……うん」ナデナデ
198 :
お腹…だと…
199 = 127 :
― 教室 ―
闇魔術師「……というわけで闇魔法の本質は、この世の闇と真正面から向き合うことであり」
闇魔術師「悪事に使うなど断じてあっては……」
生徒A「でさぁ~」ヒソヒソ…
生徒B「マジで?」ヒソヒソ…
闇魔術師(……む)
闇魔術師「コォ~ラァ~……」
生徒AB「!?」ビクッ
闇魔術師「闇魔法は扱いが難しい……授業は真面目に聞かねばならんぞ……」グジュグジュグジュ…
生徒A「ひ、ひいいっ!」
生徒B「すみませんっ!」
200 = 127 :
― 秘境 ―
ゴォォォォォォォッ!
竜「どうだい!」
竜「これで、ボクを一人前の竜って認めてくれるよね?」
父竜「うむ……あえてお前を置き去りにしたかいがあったというものだ」
母竜「この人ったら、あなたのことをずっと心配してたのよ?」
父竜「おいおい……」
竜「……だけどね、お父さんお母さん」
竜「ボクは竜としての誇りを持ってるけど、人間とも仲良くするつもりだよ」
父竜「……好きにするがいい」
母竜「それがあなたの選択なら、私たちは何も言わないわ」
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