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    元スレ斧戦士「攻撃当たんねえ!」闇魔術師「嫌われたくない……」竜「火を吐けない」姫「触手になりたい!」

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    101 = 1 :

    登山を始めてしばらくして――

    ガサガサ…

    斧戦士(ん、茂みから気配が……!)サッ


    ガバァッ!


    王子「わーっ!? 熊!? フッ……死んだふり」バタリ

    剣士「鎧をつけた熊……魔物かっ!」チャキッ


    「いいえ……!」

    「違うわ、これは……!」

    102 = 1 :

    騎士団長「ハッハッハ、熊と間違われるとは、光栄ですな」

    「騎士団長!」

    「どうしてここに!?」

    騎士団長「私は騎士団長として、当然婚前デートに参加していたのですが」

    騎士団長「姉姫様と王子殿の様子がどことなくおかしいことに気づきました」

    騎士団長「そこで、二人を問いただしてみたのです」

    騎士団長「すると、観念したのか、二人は全てを吐きましたよ」

    騎士団長「二人が替え玉であることも、本物の二人が今どうしているのかも……」

    「さすが騎士団長……鋭いわね!」

    「では、私たちを連れ戻すつもりでここへ……?」

    騎士団長「…………」

    103 = 1 :

    騎士団長「いいえ、違います」

    「!」

    騎士団長「私は騎士団長として、“本物の姫と王子”の無事を見届けに来ただけです」

    騎士団長「お二人のデートを邪魔するつもりはありません」

    「騎士団長……」

    王子「ありがとう……」

    騎士団長「その代わり、私も護衛メンバーの末席にお加え下さい」

    「もちろんです」



    少年「やったぁ! あの熊さん、いい人だね!」

    闇魔術師「うむ、話が分かる人でよかった……」

    斧戦士「敵が思ったより手強いって状況で、騎士団長の加入は心強いぜ……」

    104 = 1 :

    夜――

    ― 西の山・山頂 ―

    たき火を燃やし、キャンプを楽しむ一行。

    「さ、みんなで炊いたご飯をいただきましょう」

    王子「フッ、実においしいよ」

    ワイワイ…

    斧戦士「この肉、うっめえ!」ガツガツ

    剣士「あまりがっつくな! みっともない!」

    少年「みんなと一緒にご飯作って食べるの楽しいね!」

    闇魔術師「うむ……こういうことを楽しむなど、生まれて初めてだ……」ホロリ

    「ちょっ、泣くほどのこと?」

    105 = 1 :

    騎士団長「ではこれより、私がこのキャンプを盛り上げましょう!」

    斧戦士「よっ、騎士団長!」

    「ヒューヒュー!」

    騎士団長「あ、そぉれ! あ、そぉれ!」ヨイヨイ

    他全員「…………」

    剣士「まるで酔っ払った熊だな……」

    斧戦士「シッ、聞こえるぞ!」





    ガサ…

    106 = 91 :

    どんだけ熊なんだよ騎士団長

    107 = 1 :

    ガサ… ゴソ…


    斧戦士「なんか来たぞ! みんな構えろ!」ズンッ

    剣士「また山賊か!?」チャキッ

    少年「また熊ってオチじゃないの?」

    騎士団長「いや、私は人間なんですが……」



    茂みから出てきたのは――

    109 = 1 :

    スライム「キシャァァァッ!」ネバ…


    斧戦士「スライム!?」

    「きゃっ!」

    王子「魔物までボクらを狙ってるのかい!?」

    斧戦士「いや、山なら魔物ぐらい出るし、こんな奴の一匹や二匹、怖くも――」


    ゾロゾロ…


    斧戦士「へっ、こんな奴の三匹や四匹……」


    ゾロゾロ… ウジャウジャ…


    斧戦士「十匹や十一匹……!」

    「どんどん増えてるじゃない!」

    斧戦士「オーノー!」

    110 = 1 :

    一行は魔物集団に囲まれてしまった。

    「ぐへへへへ……」 「人間がいっぱいだぁ~」 「フシュルルルル……」


    ゾロッ…


    斧戦士「スライム、ゴブリン、ワーム……オークまでいやがる!」

    剣士「く、来るぞ!」

    闇魔術師「50体はいる……! 魔物がこんな徒党を組むなんて……!」

    騎士団長「みんな、円陣を組め! 姫様たちや少年君を守るんだっ!」


    オーク「ぶへへへ……こいつらぶっ殺せば、たっぷり餌にありつけるそうだぜ」

    オーク「やっちまえっ!!!」


    グオオオオオオッ! キシャアァァァァァッ!

    111 = 1 :

    ガキンッ! グオオッ! ザシュッ! ズバッ! キィンッ!

    ワーム「ギャァス!」ガブッ

    斧戦士「うげっ! 噛まれた!」

    剣士「このぉっ!」

    ザシュッ!

    ゴブリン「グオオッ……!」ドサッ

    スライム「キシャァァァァァッ!」ネバァァァ

    ベチャッ…

    騎士団長「これは……毒液!」ジュアァァァ…

    闇魔術師「闇の手よ、敵をなぎ倒せぇっ!」ブオオオオンッ

    斧戦士(くそっ、いくら倒してもキリがねえ! どんどん湧いてきやがる!)

    112 = 1 :

    円陣の中――

    王子「くっ、ボクに戦う力があれば……!」

    「ごめんなさい……私がこんなデートしたいっていったせいで……」

    「謝ってる場合じゃないでしょ、お姉ちゃん!」

    少年「…………!」

    「ほら、あなたもこっち来て! いざとなったら私が守ってあげるから!」ウネリッ

    少年(怖い……!)

    少年(ボク……臆病だけど、火を吐けないけど……ボクだって……戦わなきゃ!)

    少年「ボクも戦うっ!!!」

    113 = 1 :

    斧戦士「オーノー! ったく、何匹いやがるんだぁっ!」ザシュッ

    少年「斧お兄さん!」

    斧戦士「ん!? お前は下がってろ! あぶねえぞ!」

    少年「ううん……ボクも戦う!」

    斧戦士「は!?」

    少年「ボクだって役に立ちたいんだ!」ズオオオオ…


    「ギャオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!」


    「え!?」

    剣士「な!?」

    騎士団長「なんと、この子は……竜だったのか!」

    王子「フッ、なんとなく予感はしていたよ……。うん、予感してた……ううん……」ドサッ

    「ああっ、しっかりなさって下さい!」

    114 = 1 :

    騎士団長「しかし、これなら一気に形勢逆転できますぞ!」

    剣士「ああ、あたしたちの勝ちだ!」


    「さ、さあいくぞ! ガオーッ!」オドオド…


    剣士「……あれ?」

    斧戦士(やっぱりダメだ!)

    斧戦士(戦えないボウズが竜になったところで、悪いが役に立たねえ!)

    斧戦士(それどころか、魔物どもにとっちゃ食いでがあるいい餌だ!)

    斧戦士(あっという間にたかられて、食い殺されちまう!)

    斧戦士「ボウズ、竜になるのはやめ――」

    115 = 1 :

    オーク「ブヒィ!? なんで竜がいるんだよ!?」

    「ゲ、竜だと!?」 「き、聞いてねえぞ!」 「逃げろォ!」

    ゾロゾロ… ゾロゾロ…



    斧戦士「あれ? あっさり引いてく……」

    「……へ?」

    闇魔術師「そうか、竜は最上位の魔物……」

    闇魔術師「魔物の世界では、竜に出会ったら問答無用で引くのがルールなのだろう」

    「なぁるほど! すごいじゃない、竜くん!」

    (……そんなことはじめて知った!)

    116 = 1 :

    「ねえねえ! 逃げてった奴ら、追いかけていっていい?」ズシンズシン

    「やめてよ! せっかくいなくなったのに!」

    「だってぇ、こんな気分いいのはじめてなんだもん!」



    斧戦士「あいつ、意外と調子に乗るタイプだな……」

    闇魔術師「後でたっぷり矯正しておこう」グジュグジュグジュ…

    斧戦士「頼むわ」

    117 = 1 :

    剣士「――――!」ハッ

    剣士「あそこに誰かいるぞ!」

    斧戦士「あいつは……!」





    二人組が立っていた――

    赤目「ヒヒ……魔物軍団は役に立たなかったなァ」

    黒剣士「あの子が竜だったとは……私のリサーチ不足だった」

    黒剣士「どうやら、お前が用意した“奴”の手を借りるしかなさそうだ」

    赤目「おや? 奴ら、こっちに気づいたようだぞ」

    119 = 1 :

    斧戦士「てめえ、こんなとこにいやがったか!」ダダダッ

    黒剣士「…………」

    斧戦士「この二日間、山賊や魔物をけしかけてきたのはてめえだな!」

    黒剣士「そうだ」

    斧戦士「なんでこんなことしやがる! ≪過激派≫ってのはここまでやるのか!」

    黒剣士「答える必要はない」

    斧戦士「だったらよぉ……ここで決着つけてやる!」

    121 = 1 :

    斧戦士「だりゃあっ!!!」ブオッ

    黒剣士「相変わらずの大振りか。進歩がない……」

    斧戦士(と見せかけて!)ビュオッ

    ギィンッ!

    つばぜり合いになる。

    黒剣士「む……」ググッ…

    斧戦士(ここで押し込むッ!)ググッ…

    黒剣士「させるか」

    ――ギィンッ!

    斧戦士(あっさりいなされたか! さすがだぜ……!)

    122 = 1 :

    斧戦士「なら次の攻撃で――」

    黒剣士「そう焦るな」

    斧戦士「!」ピタッ

    黒剣士「お前たちは明日、≪古城≫に来るのだろう? 決着はそこでつけよう」

    黒剣士「行くぞ」スッ…

    赤目「ヒヒヒ……」スッ…


    シーン…


    斧戦士(くそっ……いなくなっちまった!)

    123 = 91 :

    強敵だな

    124 = 1 :

    剣士「今のは誰なんだ? 雰囲気からして只者じゃなかったが……」

    斧戦士「ヤツはこの国の≪過激派≫のリーダーだよ」

    斧戦士「隣国との同盟が嫌だから、姉姫さんと王子を狙ってるって連中だ」

    騎士団長「いえ……おそらく違います」

    斧戦士「え、違うの?」

    騎士団長「今の戦い、私も拝見していましたが――」

    騎士団長「あの黒い剣士の剣技……巧妙に隠してましたが、あれは≪帝国≫のものです!」

    斧戦士「帝国ゥ!?」

    「なんでいきなり帝国が出てくるのよ!」

    騎士団長「それはむろん、我が国と隣国の同盟を潰すためでしょう」

    125 = 1 :

    騎士団長「我が国と隣国の同盟が成立すれば、帝国にとっても脅威となる」

    騎士団長「その同盟の条件である姉姫様と王子の結婚は、なんとしても阻止したいはず」

    騎士団長「しかしいくら帝国といえど、あからさまにお二人を暗殺するわけにはいかない」

    騎士団長「そんな時、このお忍びデートの情報を入手したのでしょう」

    騎士団長「お二人を密かに、しかも同時に抹殺できる絶好のチャンスですからね」

    騎士団長「我が国でお二人が揃って変死したとあらば、仮に同盟が成り立ったとしても」

    騎士団長「その関係はひどくぎこちないものとなるでしょうから……」

    「そ、そんな……」

    王子「帝国が出てくるなんて……」

    斧戦士「つまり、あの二人は帝国軍の人間か!」

    騎士団長「いえ、そうではないと思います」

    斧戦士「ことごとく人の推理を否定してくるんですけど、この熊ぁ!」

    「まあまあ」

    126 = 1 :

    騎士団長「彼らはおそらく、帝国の工作員です」

    斧戦士「工作員?」

    騎士団長「各国に数名ずつ潜んでいるといわれる、帝国のスパイです」

    騎士団長「幼少の頃より、戦闘や諜報はもちろん、あらゆる訓練を受けて育つと聞きます」

    騎士団長「魔物使いのような技能も当然こなせるとか……」

    騎士団長「帝国の利益のためなら、どんな手でも使うと聞きますし」

    騎士団長「ある意味、帝国軍より手強い存在といえるでしょう」

    「今までの、過激派も、山賊も、魔物も、全部あいつらの差し金だったってわけね!」

    127 :

    王子「帝国が相手となると、デートは中止した方がいいのでは……」

    騎士団長「いえ、彼らはこちらのデートコースを把握しています」

    騎士団長「その上で古城で決着をつけよう、と我々に挑戦してきたのです」

    騎士団長「もし、このまま逃げようとすると敵もなりふりかまわなくなり」

    騎士団長「今まで以上にどんな手に出てくるか分かりません」

    騎士団長「たとえば、湖畔の村の住民を巻き添えにするような作戦を仕掛けてくるかも……」

    「そんなことは断じてさせません!」

    「さすがお姉ちゃん!」

    斧戦士「こうなった以上、奴らと真っ向勝負した方がむしろ得策ってわけか!」

    剣士「面白いじゃないか!」

    王子「フッ……一生の思い出になるデートになりそうだ」

    128 = 127 :

    「明日の敵は誰になるのかなぁ?」

    斧戦士「帝国の一部隊くらい引き連れてくるんじゃねえか?」

    騎士団長「いえ、軍が他国に入れば大問題になりますし、そんな派手なことはしないでしょう」

    騎士団長「今この国にいる帝国の人間は“あの二人だけ”と断定していいと思います」

    斧戦士「ほら、また否定されたぁ!」

    剣士「あんたはもう黙っときな」

    騎士団長「おそらくまた、山賊か魔物をどこかから調達してくるのではないでしょうか」

    斧戦士「魔物はボウズがいるから怖くねえし、山賊なんかに負けるほど俺らもやわじゃねえ!」

    斧戦士「こうなったらデートの護衛、最後まで完遂しようぜ!」

    オーッ!!!

    闇魔術師「……と、その前に」

    斧戦士「ん?」

    129 = 127 :

    闇魔術師「先程の戦いで、何人か負傷しているだろう」

    闇魔術師「この俺が治癒してやろう……」ニタァ…

    闇魔術師「闇よ……」グジュルグジュル…

    斧戦士「オーノー!」

    剣士「あたしは治療しなくていい! へっちゃらだ!」

    騎士団長「わ、私も! 大した傷ではありませんし!」

    闇魔術師「遠慮するな」ニタァ…


    ぎゃあぁぁぁぁぁ……!



    こうしてデートの二日目が終了、決着は三日目に持ち越された。

    131 = 127 :

    翌日――

    ― 古城 ―

    「ここが古城です。今は誰も住んでいませんが……」

    王子「へえ……この国の歴史を感じさせる美しい城だね」

    闇魔術師「だが、美しさと裏腹に、ここでは壮絶な戦があったとも聞く」

    騎士団長「ええ、今でも地中には大勢の兵士が眠っていることでしょう」

    「や、やめてよぉ……」

    斧戦士「……おっと、おしゃべりはそこまでだぜ」

    斧戦士「来たぞ……帝国の奴らだ!」

    132 = 127 :

    黒剣士「よく逃げずにやってきた」

    赤目「ヒヒヒ……古城で最終決戦ってわけだな。ロマンチックぅ~」

    教祖「…………」



    斧戦士「一人見ないツラがいやがる……誰だ?」

    「不気味な奴ね……」

    闇魔術師「あれは……≪暗黒教≫の教祖だ!」

    斧戦士「あいつが!? たしか脱獄したっていう……」

    闇魔術師「うむ……かつて闇魔法を悪用し、大勢の人間を虐殺した、おぞましい男だ!」

    闇魔術師「同じ闇魔法使いとして、恥ずべき存在だ!」

    133 = 127 :

    斧戦士「んな危険人物を脱獄させて、戦力にしたのかよ! とんでもねえ奴らだ!」

    剣士「だが、相手はたった三人だ。こちらの方が数では有利!」

    騎士団長「ええ、さすがに昨日の今日で新しい戦力を用意する時間はなかったのでしょう」

    斧戦士「よーし、黒剣士は俺と女剣士でブッ倒す!」

    斧戦士「赤目野郎は騎士団長と姫、教祖は闇魔術師とボウズでやっつけてくれ!」

    オーッ!!!



    赤目「ヒヒヒ……勝手に対戦カード組まれてんぞォ?」

    黒剣士「暗黒教の教祖よ、頼む」

    教祖「うむ……だが約束は守ってもらうぞ。お前達に協力すれば……」

    黒剣士「分かっている。もし、奴らを仕留められたなら、帝国に国賓として招く」

    教祖「ならばよろしい」ズズズズズ…

    134 = 127 :

    教祖「亡者どもよ……我がしもべとなり、敵を喰らい尽くせ」ズオォォォォォ…


    斧戦士「なんか唱えやがったぞ!」

    闇魔術師「あの魔法は……まさか!」


    ボコッ… ボココッ… ボコォッ… ボコボコッ…


    「なに!? なんなのさ!?」

    「地面から亡くなった方々が……!」

    闇魔術師「あれは死体を使役する闇魔法の禁術……! どんどん生まれてくるぞ!」

    騎士団長「彼らがたった三人で、私たちに挑んできた理由はこれだったのか!」

    斧戦士「あの教祖一人いれば、戦力には不自由しないってわけかよ!」

    135 = 127 :

    「ウオォォォォ……」 「殺シテヤルゥ……」 「グオォォォォン……」

    ウジャウジャウジャウジャ…



    ゾンビ「ウォォォォォン……」

    斧戦士「このおっ!」ガシュッ

    斧戦士「やべえ! 100や200じゃきかねえぞ! なんて数だ!」

    闇魔術師「おのれ……死者を冒涜する魔法を……!」

    剣士「くっ!」ズバッ

    騎士団長「はあっ!」ザシュッ

    騎士団長「こんな数とまともに戦ったら勝ち目はない! 古城の中に避難しましょう!」

    136 = 127 :

    ― 古城・城門 ―

    斧戦士「ダメだ、扉が閉まってやがる! 中からじゃなきゃ開かねえぞこれ!」

    斧戦士「斧で壁は砕けるが……こんなんじゃゾンビに食われる方が早いぜ!」ガッガッ

    「ボクの力でも開かない……!」ググッ…

    「――――!」ハッ

    「私に任せて!」

    剣士「どうする気ですか?」

    「あの小さな窓から、城に入って鍵を開けるわ!」

    剣士「あんなの猫でなきゃ入れないんじゃ……」

    「大丈夫! 私なら入れる!」グネグネグネ…

    剣士「す、すごい……!」

    剣士(まるでイモムシ……)

    137 :

    イモムシwww

    138 = 127 :

    まもなく扉が開いた。

    ギィィ……

    「開けたわ! みんな入って!」

    斧戦士「ナイス姫!」

    騎士団長「素晴らしい柔軟性ですな!」

    タタタタタッ…

    「みんな入ったわね! さ、閉じちゃうわよ!」


    ――バタンッ!


    「グオオォォォォォ……」 「ウオォォォォォン……」 「ガァァァァァ……」

    ウジャウジャウジャウジャウジャウジャ…

    鉄の扉に群がる無数の亡者たち。

    139 = 127 :

    赤目「あ~あ、籠城されちまったなァ」

    黒剣士「どうするのだ? ゾンビどもでは、あの扉は突破できまい」

    教祖「ワシの魔力を甘く見るなよ……」

    教祖「亡者どもよ……集まれ!」グッ


    グチャグチャ… グチュグチュ… グチョグチョ… メキメキ… グニャグニャ…


    赤目「おお? おお? おお~?」

    黒剣士「ゾンビが集まって、巨人になっていく……!」


    ゴーレム「グオオオオオ……!」ズシン…


    教祖「これぞ闇魔法の最高峰――≪死体ゴーレム≫の完成だ……!」

    140 = 127 :

    教祖「扉を破壊しろ、ゴーレム!」


    ゴーレム「グオオオオオオッ!!!」

    ドゴォン! ドゴォン! ドゴォォォォンッ!

    ミシミシ… ミシミシ…


    教祖「どうだ、この破壊力! これこそ悪と破壊を司る闇魔法の真骨頂ォ!」

    赤目「おォ~、すげえすげえ!」

    黒剣士(さすがはかつて狂信者集団≪暗黒教≫を率いてきただけのことはある……)

    141 = 127 :

    ― 古城・城内 ―

    ドゴォン… ドゴォン… メキメキ…

    斧戦士「扉がミシミシいってんぞ! あれじゃ破られるのは時間の問題だ!」

    騎士団長「ここもまもなく戦場になるでしょう」

    騎士団長「姫様たちは、奥にある≪玉座の間≫へ!」


    「分かったわ! お姉ちゃんたち、こっちへ!」

    「皆さん、どうかご無事で!」

    王子「役に立てずすまない……!」

    タタタッ…


    剣士「いい人たちだな。絶対死なせてなるものか!」

    斧戦士「おうよ! ぜってぇここで食い止める!」

    142 = 127 :

    ドガァンッ!

    ゴーレム「グオオオオオオオ……!!!」ズシン…

    ついに、ゴーレムによって扉が破られた。



    斧戦士「オーノー! な、なんだありゃあ……! さっきはあんなのいなかったろ!」

    剣士「しかも、あの巨人の後ろから、大量のゾンビも入ってきたぞ!」

    騎士団長「まずいですな……!」

    闇魔術師「ゾンビどもは……俺に任せろ!」ズズズズズ…

    斧戦士「闇魔術師!?」

    143 = 127 :

    闇魔術師「この城に避難できたおかげで、魔法陣を描く時間を稼げた……」

    闇魔術師「亡者たちよ……冥府へ還れ!」ズオオオオオオ…

    闇魔術師「ぐっ……!」ミシッ…

    闇魔術師(なんという魔力! やはり魔法使いとしては、俺よりはるか格上……!)

    闇魔術師(だが……ッ!)


    ドササッ… ドサッ… ドサササッ… ドザザッ… ドザッ…


    騎士団長「おおっ、ゾンビたちが倒れていきますぞ!」

    斧戦士「すげえ、すげえぜ闇魔術師!」

    闇魔術師「しかし、全員というわけにはいかんし、あのゴーレムは止められん……!」

    闇魔術師「後は頼む、ぞ……!」

    斧戦士「任せとけっ!」

    144 = 127 :

    ― 古城・外 ―

    赤目「ゾンビがばたばた倒れてんぞォ? どういうこった?」

    教祖「ほう、まさか闇魔法使いがおったとはな……」

    教祖「しかも、なかなかの使い手と見える」

    教祖「だが……ワシに歯向かうのは十年早かったようだがな!」ギンッ

    教祖もさらに魔力を高める。

    黒剣士「…………」

    145 = 137 :

    皆が特技活かしてる感がよい

    146 = 127 :

    ― 古城・城内 ―

    斧戦士「なんとかあのゴーレムを攻略しねえと……!」ダッ

    斧戦士「だりゃっ!」ズガッ

    剣士「たあっ!」ズバッ

    騎士団長「むん!」ザシュッ

    ゴーレム「ガアッ!!!」

    ブオンッ!!!

    斧戦士「うわあっ!」

    剣士「うぁぁっ!」

    騎士団長「ぐっ!」

    斧戦士「ち……くしょう、なんてパワーだ!」

    147 = 127 :

    「でやああああああああっ!!!」ダッ

    ガシィッ!

    ゴーレム「ゴッ!?」

    「斧お兄さんたち! こいつはボクに任せて!」グググ…

    斧戦士「任せてって……全員でかからねえと……」

    「大丈夫! 絶対……倒すから!」グググ…

    斧戦士「……分かった!」

    斧戦士「よし、俺らは残ってるゾンビを突破して、黒剣士と赤目野郎を倒すんだ!」

    剣士「分かった!」

    騎士団長「闇魔術師殿がゾンビ増殖を止めてくれてる間に、急がねば!」

    148 = 127 :

    ゴーレム「ガアアアアアアッ!!!」

    バキィッ!

    「ぶげっ!」

    「い、痛くないぞっ」ブンッ

    ドゴォッ!

    ゴーレム「グウウウウ……」

    激しくぶつかり合う竜とゴーレム。



    斧戦士「でりゃああっ!」ドゴッ

    剣士「たあああっ!」ザンッ

    騎士団長「ぬんっ!」ズバッ

    斧戦士たちは大量のゾンビと格闘する。

    149 = 127 :

    ― 古城・外 ―

    教祖「……いかがかな?」

    黒剣士「うむ、よくやってくれた。全て思惑通りだ」

    黒剣士「みごと、護衛たちの目をゾンビやゴーレムに向けてくれた」

    黒剣士「あとは……全て“赤目”がやってくれるだろう」

    黒剣士「密かに潜入し、標的を暗殺するのは、ヤツの十八番だからな……」

    150 = 127 :

    ― 古城・玉座の間 ―

    「皆さんは大丈夫でしょうか?」

    「うん……斧戦士さんたちが粘ってくれてるみたい」

    王子「歯がゆいね。ここで無事を祈ることしかできないなんて」

    「変な気起こさないでよ。敵の狙いはあなたたちなんだから」

    「戦いが終わるまで、私たちはここにいれば――」


    触手『触手たるもの、いかなる時でも周囲への警戒を怠るな……』

    触手『四肢に神経を行き渡らせ、空気の流れを感じるのだ』

    触手『これが触手心得其の四だ』ウネッ


    (なんで? なんでこんな時に師匠の教えを思い出してるの私?)

    「…………!」ゾクッ


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