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    元スレ斧戦士「攻撃当たんねえ!」闇魔術師「嫌われたくない……」竜「火を吐けない」姫「触手になりたい!」

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    51 = 1 :

    執事「皆さまに紅茶です。どうぞ」コトッ

    斧戦士「これうんめえ!」グビグビ

    少年「ホント! もっと欲しい!」グビグビ

    闇魔術師「……コホン。ところで、護衛任務についてうかがいたいのだが」

    「お姉ちゃん」チラッ

    「実は私、一ヶ月後、我が国で隣国の王子様と三日間≪婚前デート≫をするのです」

    斧戦士「デート?」

    「デートといっても大勢の兵を引き連れた、大都市訪問といったところですが……」

    闇魔術師「そうか、この王国は隣国と同盟関係を結ぼうとしている」

    闇魔術師「そのために、あなたが嫁がれるというわけか」

    「そうなんです」

    「うちと隣国が同盟を結べば、かの帝国もそう簡単に手を出せない勢力になるわ!」

    斧戦士「戦略結婚ってやつか……」

    闇魔術師「政略な」

    52 = 23 :

    性略か

    53 = 1 :

    少年「つまり、同盟のために、好きでもない人と結婚しなきゃいけないってこと?」

    「いいえ、そんなことはありません。私もあの方のことを愛しています」

    「ですが、結婚前の最後のデートぐらい、二人で自由なデートをしてみたいのです……」

    「そこで、お姉ちゃんは公式行事のデートはそっくりな替え玉にお願いして」

    「隣国の王子様と独自にデートすることにしたの!」

    「その二人をあなたたちに護衛してもらいたいのよ!」

    斧戦士「俺たちが……」

    闇魔術師「頼みたい仕事というのは、お忍びデートの護衛というわけか……」

    「そう、こんな仕事まさか兵士には頼めないし、傭兵の知り合いなんかいないし」

    「どうしようって悩んでたところに、あなたたちと出会えたってわけ!」

    少年「わぁっ、いいじゃない! やろうよ!」

    斧戦士&闇魔術師「…………」

    54 = 1 :

    斧戦士「いや、さすがにそれは……まずいんじゃ」

    闇魔術師「うむ、バレたらただでは済まん……」

    「どうしてよ! あなたたち、大きな手柄を立てたいんでしょ!?」

    斧戦士「だけどよぉ……」

    闇魔術師「国際問題にも発展しかねんし……」

    「なによ! さっきまであんなに……!」

    「おやめなさい」

    「いいのです。無理強いするわけにはいきませんから……」

    「……分かったわ」

    執事「姫様……」

    55 = 1 :

    「…………」

    少年「どうして姫お姉さんは、自分のお姉さんにデートさせてあげたいの?」

    「私が触手になりたいだとか、今までのびのび生きてこれたのはお姉ちゃんのおかげだった」

    「お姉ちゃんが王女としての責務をしっかり果たしてくれたから、私は好き勝手やれたの」

    「だから……だから……」

    「だから、お姉ちゃんのたった一度のワガママくらいなんとしても叶えてあげたいのよ……」

    少年「姫お姉さん……」

    斧戦士「…………」

    闇魔術師「…………」

    56 = 38 :

    おもしろい

    57 = 1 :

    斧戦士「よし、決めた!」

    斧戦士「俺……やっぱり力になってやるよ!」

    闇魔術師「俺もだ……」ニタァ…

    少年「ボクもついてく! いいでしょ!」

    「え、いいの!?」

    斧戦士「だって、今の話聞いちまってさぁ……やらないのは男じゃねえだろ!」

    闇魔術師「うむ、俺の闇魔法の見せどころと見た」

    「ありがとうございます……!」

    執事「よかったですね、姉姫様」

    「はい……!」

    執事「お三方、どうかお二人をよろしくお願いします……」

    斧戦士「おう、任せとけ!」

    58 = 50 :

    ショタドラゴンは可愛いの?

    59 = 1 :

    帰路につく斧戦士たち。

    斧戦士「いやぁ~、まさかこんな大仕事が舞い込んでくるとはな」

    闇魔術師「しかし、やることはデートだ。危険はさほどでもなかろう」

    斧戦士「そうだな。せいぜい観光旅行を楽しもうぜ!」

    少年「ボク、楽しみ!」

    斧戦士「ボウズ、デート中はくれぐれも竜になるんじゃねえぞ」

    少年「分かってるよ。ボクの正体は四人だけの秘密ね!」

    斧戦士「それじゃ俺、こっちだから」

    闇魔術師「うむ」

    少年「じゃーねー! 斧お兄さん!」

    スタスタ…

    斧戦士(この護衛を成功させて、あの姫とコネができれば……)

    斧戦士(近衛兵になんかしてもらったりして……)グフフ…

    60 = 1 :

    すると――

    斧戦士「――ん?」

    黒剣士「…………」ザッ

    斧戦士(なんだこいつ……いきなり現れやがった!)

    斧戦士「えーと、誰だ?」

    黒剣士「……勝負を申し込む」

    斧戦士「は? なにいって――」

    シュバッ! ――ギィンッ!

    鋭い斬り込みを、かろうじて防御する。

    斧戦士「ぐっ!?(なんて速さだ……!)」

    黒剣士「さあ、今度はそちらの番だ……」

    61 = 1 :

    斧戦士「こなくそぉっ!」ブオンッ

    黒剣士「ずいぶんと大振りだな」シュバッ

    ザシィッ!

    肩を斬られる。

    斧戦士「ぐあああっ……!」ブシュッ…

    斧戦士「くそっ、このっ!」ブンブン

    斧戦士(ちくしょおおおお! 当たんねええええええ!!!)ブンブンブン

    黒剣士「そんな力任せでは、薪割りがせいぜいだな」

    黒剣士「トドメだ……」ジャキッ

    斧戦士(やべえ……やられる……!)

    62 = 1 :

    闇魔術師「おい、どうした!?」タタタッ

    少年「どうしたの!?」タタタッ



    黒剣士「……む。まあいい、実力は把握できた」

    タタタッ…

    闇魔術師「なんだあいつは? お前の友達か?」

    斧戦士「はぁ、はぁ、はぁ……んなわけねえだろ……」

    少年「大丈夫!?」

    斧戦士「ああ……だけど、お前らが来なきゃヤバかった……」

    闇魔術師「大した傷ではない、すぐ治癒してやろう」ニタァ…

    斧戦士「え、治癒ってまさか――」

    闇魔術師「もちろん、これだ」グジュグジュグジュ…

    斧戦士「オーノー!」

    63 :

    不穏な空気に

    64 = 1 :

    ……

    斧戦士「やっと終わった……」

    闇魔術師「回復してやったのだ。少しは感謝しろ」

    斧戦士「分かってるよ! ありがとよ!」

    闇魔術師「ところで今の剣士……いったい何者だったのだ?」

    斧戦士「分かんねぇ……。黒ずくめで顔も隠してたし……」

    斧戦士「だが、今度の護衛……もしかしたら、一筋縄じゃいかないかもしんねえ……」

    闇魔術師「うむ……」

    少年「うん……!」

    斧戦士(マジで殺されそうになって、やっと分かった……!)

    斧戦士(このままじゃダメだ、このままじゃ……)

    65 = 1 :

    ― 訓練所 ―

    斧戦士「……お前に折り入って頼みがある」

    剣士「?」

    斧戦士「俺を鍛えてくれ!」ガバッ

    剣士「いきなりどうした?」

    斧戦士「今度、重要な仕事をすることになってな……。今のままじゃダメだって分かったんだ!」

    剣士「どんな仕事だ?」

    斧戦士(正直に話すわけには……いかねえよなぁ……)

    斧戦士「んーと、ある女性を守る、的な?」

    剣士「!? 誰だ、その女性というのは!」

    斧戦士「それは……内緒だ!」

    剣士「なんだそれ!」

    66 = 1 :

    剣士「教えてくれなきゃ、稽古なんかつけない!」

    斧戦士「……頼む!」

    斧戦士「どうしても、やり遂げなきゃならないんだ!」

    剣士「……いいだろう。だが、手加減はしないぞ!」

    斧戦士「もちろんだ!」

    67 = 1 :

    斧戦士「どぅりゃあっ!」ブオンッ

    剣士「だから、あんたは大振りすぎる!」

    斧戦士「やっぱりこのスタイルを変えなきゃダメかぁ……」

    斧戦士(闇魔術師は闇魔法で人助けしようとし、竜のボウズはプライドを捨てて人に化けた!)

    斧戦士(あの姫様だって触手になりたい一心で、あんな人間離れした柔軟さを手に入れた!)

    斧戦士(俺ももう“斧らしさ”とか“男らしさ”とかいってらんねえ!)

    斧戦士(強くならねえと……!)

    斧戦士「もういっちょう!」ヒュオッ

    剣士「おおっ! 今のはよかったぞ!」

    68 = 1 :

    他のメンバーもそれぞれ――

    闇魔術師「…………」ズズズ…

    闇魔術師「……瞑想終了」

    闇魔術師「もっと魔力を上げておかんとな……。いざという時、枯渇したらまずい……」



    「フーッ! フーッ!」

    「ダメだぁ……どうしても火が出ない……!」



    「よっと」グネリッ

    「ど~う? こんなに曲がるようになったのよ」グネリッグネリッ

    執事「姫様、お見事です」パチパチ



    …………

    ……

    69 = 1 :

    一ヶ月後――

    ― 城 ―

    国王「ただいまより、我が国の第一王女と隣国の王子殿による婚前デートを開始する!」

    国王「皆の者、盛大に出発を祝ってくれたまえ!」


    ワァァァァ……! ワァァァァ……!

    ドンドコドン… ドンドコドン…



    「姉姫様バンザーイ!」 「隣国王子バンザーイ!」 「行ってらっしゃいませー!」

    ワアァァァァァ……!


    城の周辺は、大勢の民衆と兵士が集まり盛り上がっていた。

    70 = 1 :

    その裏では――

    「よろしくお願いします……」

    王子「バレないように頼むよ」

    「はいっ!」

    影王子「お二人もごゆっくり!」

    「さあ、あっちに護衛の三人が待ってるわ!」

    執事「姫様たち、早く! このパレードを抜け出せるのは今しかありません!」

    「行ってくるわ、執事!」

    執事「城でデートの成功をお祈りしております」ペコッ

    71 = 1 :

    王子「フッ……君たちが護衛役かい? まあ、三日間よろしく頼むよ」

    斧戦士(こいつが……隣国の王子! どことなくいけ好かない奴だぜ……)

    王子「さっそく自己紹介してもらおうか?」

    斧戦士「斧戦士だ! 攻撃がなかなか当たらねえ!」

    闇魔術師「闇魔術師だ……皆に嫌われている」

    少年「ボクはりゅ……じゃなかった、ただの人間の子供です!」

    「あなたの義理の妹になる姫よ! 夢は触手になること!」グネグネ

    王子「…………」

    王子「フッ、期待してるよ」

    斧戦士(あっ、意外といい人かも)

    72 = 1 :

    「それじゃお姉ちゃん、デートコースをみんなに教えてあげてくれる?」

    「ええ」


    一日目 湖畔の村に宿泊(名物のクリームシチューを食べる)

    二日目 西の山で登山&キャンプ

    三日目 古城を訪問


    「このように考えてます」

    斧戦士「へぇ~、なかなかいいデートプランだな。大都市訪問なんかよりよっぽど面白そうだ」

    「そりゃそうよ、私とお姉ちゃんと執事で考えたんだから!」

    「さ、お姉ちゃんと王子さんは馬車に乗ってもらって……しゅっぱーつ!」

    73 = 1 :

    道中――

    ガラガラガラガラガラ…

    ザッザッザッ…

    「こうして、王子様とゆっくりデートができるなんてホント嬉しいです」

    王子「ボクもだよ」


    斧戦士(ゆっくりとデートといきゃいいがな……)

    斧戦士「ところでさっきから、後ろをつけてきてる奴がいるな」ヒソヒソ…

    闇魔術師「ああ、全身を白いローブで覆っている」ヒソヒソ…

    闇魔術師「どうする……? 俺の闇魔法で威嚇してみるか?」

    斧戦士「いや、やめとこう。ただの旅人かもしれねえし」



    白ローブ「…………」ザッ…

    74 = 1 :

    デート開始から一時間ほど経過――

    バババッ

    武装兵A「その馬車、止まれ!」

    武装兵B「ここから先へは通さんぞ!」

    ザザッ…

    武器を持った集団が一行の行く手を塞いだ。



    斧戦士「なんだ!?」

    少年「うわぁ!?」

    75 = 1 :

    武装兵A「隣国の王子を引き渡してもらおう。我々の手で成敗してくれる!」

    斧戦士「なにいってやがる! この馬車に王子なんか乗ってねえよ!」

    武装兵A「ふん、調べはついているのだ!」

    斧戦士「なにい……!?」

    少年「あわわわ……」

    斧戦士「なんなんだこいつら!?」

    闇魔術師「おそらく、隣国を嫌ってる一派……それも≪過激派≫の連中だろう」

    闇魔術師「隣国との同盟を阻止するため、やってきたにちがいない」

    武装兵A「その通り! 我らは隣国との同盟など断じて認めん!」

    武装兵B「王子を引き渡せばよし。さもなくば、全員痛い目を見るぞ!」

    76 = 1 :

    斧戦士「ここは俺に任せときな」ズイッ

    武装兵A「や、やる気か!?」

    斧戦士「お前ら全員、武器を構えろよ」

    武装兵A「みんな、構えろぉ!」

    バババッ

    斧戦士(よーし、全員の武器がうまく並んだ!)

    斧戦士(この一ヶ月……俺は筋トレだってこなしてきたんだぜえっ!)

    斧戦士「ぬううんっ!!!」ブオオンッ

    バキキキィィンッ!!!

    武装兵A「な……!?」

    「ひいいっ!」 「俺の剣が……!」 「槍が折れた!」

    斧戦士「お前ら……出直してきなぁ!」ビシッ

    ワァァ…… ヒィィ……

    武装集団はあっさり逃げていった。

    77 = 1 :

    斧戦士「どうよ?」

    闇魔術師「おお……やるではないか」

    少年「すごーい!」

    「あなたこんなに強かったのね!」

    斧戦士「あいつら見たとこ武器もろくに持ったことない素人集団だろ?」

    斧戦士「さすがにそんなのに負けらんねえよ。武器もナマクラだったしよ」

    ワイワイ…

    斧戦士(後ろにいる白ローブも動き無し、か……)



    白ローブ「…………」

    78 = 1 :

    ― 湖畔の村 ―

    村長「これはこれは旅の方々、湖畔の村へようこそ」

    「この村の名物であるクリームシチューを食べさせて頂きたいのですが」

    王子「お金はたっぷりある。全員に振る舞ってくれたまえよ」ジャラッ

    村長「おお、これはこれは……ずいぶんと裕福な旅人様ですな」

    村長「シチューはあちらにある民家でご用意します」

    村長「夜になるまでは、しばらく村を散策していて下され」

    「は~い!」グネリッ

    村長「おわっ!?」

    少年「ボク、シチュー楽しみ!」

    79 = 1 :

    村を自由に歩き回る一行。

    「のどかで、キレイなところですね……」

    王子「うん、公式のデートだったら絶対来られなかっただろう」



    「あんなにのびのびしたお姉ちゃん見るのはじめて……」グネーッ

    少年「姫お姉さんはいつものびのびしてるもんね」

    斧戦士「だが、気になるな……」

    闇魔術師「なにがだ?」

    斧戦士「決まってんだろ。なんでこのデートがあの≪過激派≫どもにバレてたかってことだよ」

    闇魔術師「ううむ……たしかに。極秘デートのはずなのに……」

    斧戦士「ま、いいか! クリームシチューが楽しみだぜ!」

    闇魔術師「あまりよくない気もするが……俺も楽しみだ」ニタァ…

    81 = 1 :

    夜になり――

    村娘「うちの村自慢のクリームシチューです! 熱いうちに召し上がって下さい!」

    モグモグ…

    斧戦士「うんめえ!」

    闇魔術師「うむ、これはたまらん。色が黒ければもっとよかった」

    少年「おいしーっ!」

    「トロ~リしてて、ますます体が柔らかくなりそう!」グネグネェ…

    「濃厚で、それでいてまろやかで、とてもおいしいです……!」

    王子「フッ、君を料理人として、スカウトしたいぐらいだよ」

    村娘「皆さん、ありがとうございます!」

    82 = 1 :

    斧戦士「おかわりください!」バッ

    少年「斧お兄さんだけ、いっぱい食べてずるい!」

    斧戦士「覚えとけボウズ、体が大きい奴はたっぷり食べる権利があんだよ」

    少年「体の大きさだったらボクだって……!」

    闇魔術師「おいっ! 戻ってはならんぞ、こんな家の中で!」

    少年「あ、いっけない」

    「んもう……ハラハラさせないでよ」

    「?」

    王子「?」

    アハハハハ… ハハハハハ…

    83 = 1 :

    「この辺りは治安はいかがですか?」

    村娘「今はとても良好です。騎士団の人達がよく対応して下さったおかげで……」

    「それはよかった」

    村娘「ただ……先ほど気になる知らせが入ってきたんですよね」

    「というと?」

    村娘「昔逮捕されて、牢獄にいた≪暗黒教≫の教祖が、何者かの手引きによって脱獄したとか……」

    村娘「看守の人達は、鋭い爪のようなもので倒されてたそうです」

    「まぁっ……」

    「物騒な話ね……」

    闇魔術師(暗黒教だと……!)



    斧戦士「…………」ピクッ

    84 = 1 :

    斧戦士「お前ら……どうやらちょっと忙しくなりそうだぜ」

    闇魔術師「どうした?」

    斧戦士「外が騒がしい……おそらく山賊かなんかだ……!」

    闇魔術師「なんだと!?」

    斧戦士「俺と闇魔術師だけ外に出る。みんなはこのまま中にいてくれ」

    「どうかお気をつけて!」

    「頼んだわよ!」

    王子「君たちの働きに期待しているよ……フッ」

    少年「脂汗、ハンカチで拭く?」

    王子「ありがとう……フッ」フキフキ

    85 = 1 :

    村の入り口で、村長たちが山賊と対峙していた。

    村人「村長、どうしましょう!?」

    村長「大丈夫じゃ。今の山賊どもは賢い……金さえ払えば帰っていくケースが多いという」

    村長「あ、あの……どうかこれでご勘弁を」ジャラ…

    首領「へっ、ずいぶんと用意がいいな」

    首領「一応もらっとくが、オレたちはこんなもんどうでもいいんだよ」

    首領「もっといえば、この村自体どうでもいい」

    村長「おっしゃる意味が……」

    首領「一つだけ質問に答えろ。この村に旅人集団が来てるはずだ。どこにいる?」

    村長「あちらの民家ですが……」

    首領「よし、そいつらだ! 間違いねえ! そいつら“だけ”を狙え!」

    山賊A「へい!」

    山賊B「分かりやした!」

    ウオォォォォォ……!

    86 :

    みてるぞ

    87 :

    俺も少年になろうと思えばなれるのかな…

    88 = 1 :

    斧戦士(他の家や村人はスルーして、まっすぐこっちに来やがった!)

    山賊A「こいつが護衛か!」ダッ

    山賊B「やっちまえ!」ダッ

    斧戦士「ふんぬうっ!」ブオオンッ

    ドカッ! ザシュッ!

    山賊AB「ぐあああっ……!」

    豪快な斧さばきで、二人を仕留める。

    斧戦士「オラァ! バッサリやられたい奴だけかかってきなァ!」

    山賊C「てめえ、よくもやりやがったなァ!」

    89 = 1 :

    闇魔術師「一人だけいい格好はさせんぞ」ヌゥッ

    斧戦士「オーノー! 夜だと昼間の十倍は怖いぞ、お前!」

    闇魔術師「闇よ、渦となりて敵を飲み込め……」

    ズオオオオッ…

    山賊C「なんだこれ!? 黒いのがまとわりついてきて――」

    山賊C「う、うぎゃぁぁぁぁぁっ!!!」メキメキゴキゴキ…

    斧戦士「おお、やるじゃねえか!」

    闇魔術師「褒めてる場合ではない。まだまだ山賊はいるのだからな」

    斧戦士「ちいっ! 全員こっちに向かってきやがる!」

    「私にも手伝わせて!」グネリッ

    斧戦士&闇魔術師「えっ!?」

    90 = 1 :

    斧戦士「あんたは姫なんだぞ! 戦っちゃダメだろ!」

    「大丈夫、私だって師匠の弟子よ。山賊なんかに負けないんだから!」

    山賊D「オラァッ!」ブンッ

    「あらよっと」ウネリッ

    山賊D「な!?」

    「触手心得其の一……≪常に柔軟であれ≫!」

    「そして――」ガシッ

    山賊にチョークスリーパーを決める。

    山賊D「ぐ、ぐるじっ……!」

    「触手心得其の二……≪獲物を捕える時は一瞬で≫!」グググ…

    山賊D「あふぅ……」ガクッ

    闇魔術師「失神させた……!」

    斧戦士「や、やるじゃねえか、姫!」

    「でしょ~!」グネグネグネグネグネ

    91 :

    姫強いなw

    92 = 1 :

    首領「なに手こずってやがる! ええい、オレが出る!」

    首領「うおおおおおおおっ!!!」ブオッ

    斧戦士「ぐっ!」ギンッ

    斧戦士「だりゃあっ!」ブンッ

    首領「こんな大振りが当たるかよぉっ!」サッ

    首領「今だっ! 家の中にいる、姉姫と王子をとっ捕まえるんだ!」

    山賊E「へいっ!」

    斧戦士(こいつらもデートのこと知ってやがる! なんでだよぉっ!)

    斧戦士「やべえっ! こいつらを家に入れるな!」

    闇魔術師「くっ!」ズオオオオッ

    「ダメ、入られちゃう!」

    93 = 1 :

    ところが――

    ザシュッ……!

    山賊E「ぐはっ……!?」ドサッ

    斧戦士「!?」

    斧戦士「お前は……!」

    白ローブ「…………」ザッ

    斧戦士「誰だ!? なにもんだ!? なんで助太刀した!?」

    白ローブ「あたしだ、あたし」

    斧戦士「この声! ま、まさか……」

    バサァッ!

    剣士「そうだ、あたしだ」

    斧戦士「オーノー!」

    94 = 1 :

    剣士「今はあたしのことより、さっさとそいつを倒してしまえ!」

    斧戦士「おう!」

    斧と棍棒が押し合う。

    首領「オレの腕力に張り合うとは……ぬがぁぁぁぁぁっ!」グッ…

    斧戦士「パワー勝負なら負けねえぜぇ!」グッ…

    グググググ…

    斧戦士「ぬぅあぁぁぁぁぁっ!」ムキィッ

    首領「ゲェッ! 押され――」

    ガシュッ!

    首領「ぐ、はぁ……っ!」ドサッ…



    「わわっ……首領がやられた!」 「逃げるぞ!」 「ひええ~っ!」

    タタタタタッ… タタタタタッ…

    95 :

    「ダメ、入られちゃう!」

    いやらしい

    96 :

    ククク・・面白い

    97 = 1 :

    剣士「ふぅ……あたしに感謝しろよ」

    斧戦士「助かったぜ……だけど、なんでお前がここにいるんだよ!?」

    剣士「あんたがどんな仕事をするか気になったからだ」

    斧戦士「だからなんで?」

    剣士「ほら、女の人を守る……とかいってたから!」

    斧戦士「ハァ? 意味分かんねーよ」

    「あなたは誰? もしかして……斧戦士さんの恋人?」

    斧戦士「恋人じゃねえよ!」

    剣士「恋人じゃない!」



    闇魔術師「イチャイチャしおって……闇魔法をぶつけてやりたい」ズズズ…

    98 = 1 :

    ……

    剣士「話は分かりました。是非あたしも参加させて下さい!」

    「ええ、喜んで」

    王子「フッ、ようやくまともな人が入ってくれて嬉しいよ」

    斧戦士「傷つくこというのやめてくれる?」

    闇魔術師「しかし、気になる……。なぜ山賊がこのデートのことを知っていたのか……」

    「だったら私に任せて! ちょうど一人、捕まえてあるからさ」グイッ

    山賊D「ひ、ひいいいっ……! ボク、悪い山賊じゃないよ! 見逃してぇぇぇ……!」

    「触手心得其の三、≪拷問は容赦なく≫!」ウネウネウネウネウネ…

    コチョコチョコチョコチョコチョ…

    山賊D「あひゃひゃひゃひゃひゃっ! ひゃーひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!」

    山賊D「げーっひゃっひゃっひゃっひゃっ! あひゃっ……! あひゃひゃっ……!」

    少年「うわぁ……」ゾッ…

    斧戦士「子供が見るもんじゃねえ」サッ

    99 = 1 :

    「なんで私たちを襲ったの?」コチョコチョコチョ…

    山賊D「た、頼まれっ……頼まれたんでしゅっ!」

    「誰によ?」コチョコチョコチョ…

    山賊D「く、黒っ! 黒ずくめの……剣士っ! 大金、くれたからっ……!」

    斧戦士「…………!」

    斧戦士「やっぱりあいつか……」

    闇魔術師「奴はいったい何者なのだ?」

    斧戦士「おそらく、さっきの≪過激派≫に違いねえ! きっとあいつがリーダーなんだ!」

    闇魔術師「となると、次はいよいよあの剣士自ら来る可能性が高いな」

    斧戦士「おもしれえじゃねえか……。返り討ちにして、斧の強さを見せつけてやるぜ!」

    少年「…………」

    少年(ボクも、役に立ちたい……)

    こうしてデート一日目は終わった――

    100 = 1 :

    次の日――

    ― 西の山 ―

    斧戦士「今日はこの山を登って、山頂でキャンプか」

    斧戦士「標高は低い山だが、ナメてかからないようにな」

    ワイワイ…

    少年「闇お兄さん、大丈夫?」

    闇魔術師「この格好で登山はキツイ……」ハァハァ…

    剣士「姫様、体柔らかいですね……」

    「私、触手目指してるから」グネグネッ

    王子「足もとに気をつけて。さ、ボクにつかまって」サッ

    「ええ、ありがとうございます」


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